転生先は…ファンタジーな世界で化物に   作:㐂眼翔

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一期一会の世界…

誰かと会えば…別れ

誰かと別れれば…出会い

そんなサイクルに回る世界で彼は…

by『』



昔話 下

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広がる青い空。

 

生い茂った木々に止まる鳥の鳴き声。

 

今、この森には自然に満ち溢れてゆっくりとした空間が広がっていた。 そんな中、俺は心底神を恨んでいた。

 

「ヴァ〜……」

 

「私は決して屈しない! …お父様、こんな親不孝者をお許しください。 オークに犯されるぐらいなら……死を選びます! さぁ、ウメ・マツダは闘いに負けたのだ。 逃げも隠れもしない! さぁ、殺せ!」

 

……なんなんだ、この娘は。 それにしても、名前が梅と松田って…。 最初俺は娘の名前を聞いて、この世界に日本があるのかと思ったがこの娘が話す言葉自体がこの世界での言葉であった。 その為前の世界での、日本語・英語・中国語etc…との言語からはこの世界との言語とは繋がりがないのだ。 そうなれば、この世界には日本と言う存在が無いわけだ。 だが、この世界での言語で梅や松があるとすれば物自体はあるのであろう。 それをそのまま、子供の名前につける親は感覚的には日本人よりなのかもしれない。

 

俺の前で地面に座り込んでいる娘は、見た目が大和撫子とも言える姿だった。 髪は長くて黒く後ろで結んでおり、少し目付きが悪いが顔は整っており美人と言える女性であった。 服装は浴衣?に似た服で、紅く染まった色が彼女の見た目を大人っぽくさせていた。

…しかし、そんな美貌を持っているにも関わらずに彼女からは『残念』感が凄かった。

 

「ほらっ! どうした、オーク! 殺るがいい!」

 

俺は彼女と会う前は、日常を繰り返していた。 朝になれば起きて飯を食い、食い終われば畑仕事をしながら人間が森に入った事を教えてくれる『犬』を世話をする。 そして、今日仕事している所に『犬』から教えてもらい人間を追い返す為に出向いた。

それが彼女との出会いとなった。

 

最初、彼女と顔を会わせると相手は顔をニヤけ始め腰に差していた刀に近い形状の武器を鞘から抜き出し、俺と対峙し始めた。 その後は、酷い事に俺は彼女が繰り出す攻撃を棍棒で弾くだけをしていた。 何が酷いと言うと彼女は、剣術がまったく知らないのかスッッッッッゴク弱かった。 例えるなら子供が棒を振り回しているだけのような動きで、俺に攻撃していた。

何百何千と襲来する人間達でも、こんなに酷い闘い方をする奴は初めてだった。 和装美人で、少し身長が小さく口が開けば厨二病に近い言葉を吐き続ける。

そして、俺が彼女の攻撃を弾き続けて10分程で相手は息を切らしてその場に座り込んでしまった。

 

「煮るなり焼くなり…好きにするがいい! …あっ、でも少し優しくしてほしいものだ」

 

自分から負け宣言しては、殺せ殺せと言っている残念美人は挙げ句の果てには腰の帯に差していた鞘を抜き出し、近くの地面に投げ捨て身体を横にして大の字で寝っころがりだした。

そんな彼女を見て俺は溜め息を吐いてもバチは当たらないだろう。

 

「…ァ〜」

 

(なんなの…こいつ)

 

「どうした!? 棍棒など捨てて殺るがいい!」

 

俺は彼女を見ているだけで、身体に疲れを感じ視線を空に向けて一言。

 

「ヴヴヴァ〜…」

 

「こら! 無視するな、オーク!」

 

彼女の言葉は耳に入れず、どこまでも広がる青空を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オークの軍団は壊滅して、脅威から逃れ再び平和が訪れたエルフの村。 そんな脅威から私達を救ってくれた心優しきオークは、村人全員が彼を治療していた。

 

「こっちの傷にも水を! 化膿し始めてる!」

 

「誰か、熱冷ましの薬草持ってきて! 高熱になってきてる!」

 

「交代で彼に魔法を当て続けろ! 決して死なすなよ! 恩を返すんだ!」

 

皆が必死に彼を助ける為に治療していく。 そんな中、私は彼の横たわる右側に座り右手を両手で掴み彼の無事を祈るだけしか出来ないでいた。

私はまだ魔法が使えない為に、彼を治療することが出来なかった。

 

(…オーク。 良くなって…そして、お礼させて。 貴方のお陰で村は救われたのだから。 あの時、貴方が居なければ今私は此処に居なかった。 私を助けてくれてありがとう、村を救ってくれてありがとう、そして皆を助けてくれてありがとう。 オーク…)

 

それからも村の全員が力を合わせて、3日間かけてオークの看病を続けた。 誰もが文句を言わずに、オークを治療していく中で私はずっと彼の側で意識を取り戻すのを待った。

 

村が襲われてから5日目、私はふと気がついたら頭を彼の腹部を下にして寝てしまった。 ガバッと身体を起こしては、彼の腹部に寝ぼけて涎を垂らしてしまっており慌てて拭くと寝ていた彼に反応が見られた。

 

「……ァ…ヴ……ヴァ」

 

「オーク!」

 

私は呻き声をあげながら目を開けようとするオークに、呼びかけると少しずつ目を開けて自分を呼びかけた相手を探しているのか周りを見渡していた。 オークは私を見つけると、起きたばかりだと言うのに安堵の溜息を吐いた。

大方、自分のことより村が無事だと言うことに安心したのであろう。 そんなオークに私は、心が温まり自然と涙を流していた。

 

「…ぐすっ、オーク。 本当に貴方のお陰で…救われたわ。 ありがとう…」

 

「!? …ヴァ」

 

最初私が泣いた事に驚いていたが、礼の言葉を聞いてオークは傷だらけの顔ながら微笑み私の頭に手を乗せて優しく撫で始めた。 彼の手は大きくて硬く、ザラザラとしているのにも関わらず何故か撫でられている頭は気持ちよく、暖かい気持ちになっていく。

その後、オークが起きた事を知った村の皆は彼を寝かせていた家に駆け込んできた。 それを見たオークは驚くが、村の皆は彼を目の前にして礼を言い始めた。

 

「ありがとう…」

 

「村を救ってくれて、ありがとうございます」

 

「貴方のお陰で、私達は助かりました。 ありがとうございます…」

 

皆して彼に頭を下げて言うものだから、オークも困った顔しながらも苦笑していた。 エルフがオークに礼を言う事自体が異常なのに、彼は正にオークとしては異常な存在だ。 だけど、そんなオークもいても良いかなと私は思った。

 

その後、オークは動ける程に回復するが彼の声は戻る事は無かった。 声帯が傷ついたのを治そうと試みた所、完治する事は出来ず今後彼は喋ることが出来ないそうだ。 しかし、本人は気にしていないのか村の1人にジェスチャーで文字の事を聞いていた。

2日かけて彼は、エルフが使う文字を覚えて木の棒を使い地面に文字を書いていく。

 

『傷を治してくれて感謝する。 貴方達が思うほど俺は出来た存在じゃない。 だからそこまで俺に感謝するは無い』

 

2日で村の外にいる人間が使う文字とは違い、私達が使う文字を覚えたオークに対して驚いた。 そして彼は謙虚なのか私達に何も要求する事は無かった。 そればかりか、半分以上が壊滅状態の村を復旧し始めた。

 

私は、彼オークに驚かせられたが一番驚愕させられた場面があった。 彼は、一度壊された家々の残骸を片付け終わると私達の家を建てる為に材料集めをし始めた。 それに私達も手伝う為に、男達は斧を持ち女達は複数人で材料を載せる大八車を引きながらオークと共に森に入った。

そして、オークは森にある程度入って丁度良さそうな木を見つけると側に寄って行った。 それを見た男達は、オークの周りで木々を切るために各自で散らばっていく。 だが、私は奇妙な事に気づく。 エルフの男達は木々を切る為に斧を持っているのに、オークは何も持っていない。 不思議に思った私は、オークに近寄り問いかけようとするが彼は木に右手でノックして何かを確認できたのかウンウンと頷いていた。 益々訳が分からなくなり、私はオークに聞こうとした。

 

「…どうしたの? オー…」

 

私は最後まで言えなかった。 突如、彼は木の前で不思議な構えをし始めたのだから。 左足を前に右足を後ろにして、右手を引くように身体を捻っていく。 それを見ていたエルフ全員が目を奪われていた。 そんな事をオークは気にしていないのか、彼は彼の行動をとっていた。 錯覚なのであろうか、彼からは重苦しい空気が漂いエルフ達は息を呑んだ。 そして、次の瞬間…。

 

ヒュボッ

 

ドオオオオッン

 

ポンッ

 

「「「「「ええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!???」」」」」

 

私は目の前に起きた事に信じられず口をアングリと開けてしまい、他の皆は驚愕な声をあげていた。

確かに見ていた。 オークが木を殴りつけたのを…だけど、次の瞬間に彼に殴られた木は凄まじい威力で爆発するじゃないかと思わせる光景を予想したが、私達の斜め予想を超えていた。 確かに木は殴られ、そのオークが放った攻撃に耐えられなくなり砕けそうになる瞬間に木の抜けた音を立てて木から何個かの箱状の物が現れた。 その後もオークは、数十本の木を箱状の物に変えて大八車に乗せていく。

この現象に私達の頭では理解できず、直接オークに聞いてみた。

 

『俺だけが使える魔法みたいなものだ』

 

本来魔法とは、自分達の周りに存在する微量な力を変換させ発現させる物だ。 個人によって保有する力がそれぞれであり、多く持っていれば長く強く発現する事が出来る。 それに対してオークのは、魔法を使えば使った分だけ体力を持って行かれるが彼のは純粋に木々を殴る際の体力だけを消費していた。

これを魔法と言っていいかは分からないが、本人がそう言っているのだから私達エルフは納得せざるおえなかった。

 

ある程度の木の材料を村に運んでは、再びオークは森に入っていくので私達も追いかけていく。 また木々を回収した場所に戻ってくると、オークは今度はその場の土に向かって殴り始めた。 すると、先程の木と同じように土も箱状な物に変わっていく。 オークが殴って箱状な物に変えては、私達は男女合わせて大人数で大八車に載せて行った。

 

土の箱状な物もある程度集め、村に戻り材料を決められた場所に置いていく。 その間にもオークは、他のエルフに地面に文字を書いて指示していく。 私達に理解しにくい物ばかりの指示を送っていくが、誰も不満も疑問も持たずに行動に移していた。

 

ようやくオークが納得する材料が集まったのか、彼はエルフの私達に礼は言えないが頭を下げた。 そして彼の作業が始まった。

 

最初にオークは、箱状の木を一度バラバラにしては何かの台を作り始めた。 続いて、男達が持ってきた大岩を殴っては箱状にして釜戸を作って中に木を入れ燃やし始めた。 それと一緒に砂も入れていたが、私達には理解が出来なかった。

オークは釜戸の中を見ては、次の作業に入り本来その場に建っていた家の地に地面の上に土の箱状の物を敷き詰めていく。 前々から私達が住んでいる家は、横幅が10m程で正方形な形になっており高さが3m程の建物だった。 オークは土の箱状の物を、横と幅を15mの正方形になるように置いていく。 それを真似させる為エルフに指示していく。

 

無くなった家何軒かの場所に、オークの指示通りに土の塊を置き終わると次の作業に移るためにオークは地面広く書き始めていく。 男達の作業、女達の作業と役割分担まで書かれ家を作るための絵まで書かれていた。 どれもこれも、私達には無かったやり方で分かりやすくやり易い物だった。 村の皆が彼の指示に動いている間、オークは最初に作った台の上で色々な物を作り上げていた。

イス・テーブル・ベット・ドア・容器まで、木の箱から作り上げていたが完成した物の量が多かった。 どう見ても私達が作ったら時間がかかるであろう物が、彼は難なくと作っていた。 このオークは物作りが得意であったか、皆で話していたがそうでは無いらしい。 本来オークと言うものは、物作りが苦手で人間や私達が持つ物を奪って使う種族なのだ。 物作りが得意な種族と言えば、ドワーフであるが彼らにオークが作った物を出来ても早さまでは負けるであろう。

オークが色々な物を作って間にも、村に新しい家が建ち始めていた。 ある程度、形枠の家ができるとオークは黙々と作っていた階段状な物を家の上に乗せていく。 するとみるみる内に屋根が出来て行った。 これを見た私達は、思わず『あ〜』と納得してしまった。 本当に彼には驚かせてばかりだった。 そして、それを真似るように男達は階段状の物を乗せて屋根を付ける。 イスなどは、村の全員分を作ったのか配っていくオーク。

 

今日1日で何軒の家が村に出来上がり、皆は喜んだ。 それを見た私も自然と笑みがこぼれた。 別の話で、釜戸に入れていた砂は『ガラス』という板が出来上がっていた。 最初、私達は見た事の無い物に驚いていたがオークはそんな私達を気にせず家の一部分に嵌めていた。 すると、透明な『ガラス』の為に家の中からでも外が見やすくなっていた。 本当に何故彼は、この様な知識を持っている事に疑問に思ったが誰も聞く事はしなかった。

 

その後、村の中心で宴会をあげようとしたが井戸の水が干上がっていた事に気付いた。 一度上がった気持ちだったが、私達は新たな問題にぶち当たり気持ちが落ちてしまった。 村にある井戸は、私達の生命線とも言えるものだった。 川までは遠く片道でも半日も必要な距離の物。 皆が落ち込んでいる所に、私達を救ったオークが声を上げて皆の視線を集める。 その後に彼は村から川がある方向を聞くと、地面に彼の言葉が。

 

『安心しろ』

 

一言だけの言葉であったが、村の皆は彼の言葉に説得力があるのか落ち込んだ気持ちが薄れていった。

 

次の日、私とオークで川に向かって歩いていた。

 

ザザザザザザザザザザッ

 

私の隣に歩くオークは、何処からか持ってきた剣で地面に刺して線を引いていく。 剣で斬られていく地面は、土の塊を生み出しながら縦横1mほどの溝を作り川に向かって歩いていく。

横にいるオークを横目で見ながら、私は彼の事について考える。

 

(今更だけど何で彼は…私達を助けてくれたのかしら。 傷だらけになって声を失い私達からのお礼も受け取らず、自分からも何かを要求する事も無い)

 

私は余りに人が良すぎるオークに、内心では心を痛めながら彼を疑い始めてしまった。 今のオークは、見た目が酷く身体全体に傷があり顔には頬が抉れてしまい歯が剥き出しになっていた。 誰が見ても恐怖を覚えさせる顔であったけど、村の皆は彼に信用と感謝の気持ちで怖がる事は無かった。 だけど私の中では、彼を疑う感情が湧きつつあった。

そんな事を考えながらも川に着くと、彼は村から引いてきた溝を川と繋げる。 すると、川の水は村に向かっていく。 それを見た私は、村は安泰だとホッとする。 しかし、オークは少し慌てるように村から持ってきた少し大きめの容器に川の水を入れると腰に下げていた袋に入れた。 だが、私は目を疑う光景に目の当たりにした。 彼が持つ袋と容器の大きさが違いがあり、どう見ても容器の大きさでは袋に入るとは思えないのだが現実に入ってしまったのだから。 それも袋は容器を入れたにも関わらずに最初の大きさのままだった。

 

不思議な現象に頭が追いつかない私に、オークは私の前に背を向けてしゃがみ込む。

 

「ヴァッ」

 

「…えっと、乗れって事?」

 

私の言葉に頷くオーク。 未だに頭は追いついていないが、私は素直に彼の大きな背に乗る。 そして、私を背負いながらも村に向かって走り出す。 彼の足の早さに驚きながらも、あっという間に村に帰ってきた。

そして、帰ってきたオークの姿を眺めるエルフ達は村に流れてきた水を見て喜んでいた。

そんな中、オークは切り始めの場所に向かい袋から川で汲んだ器を取り出す。 これを見た皆も、私と同様な驚きを見せていた。 彼は最初に掘った場所に少し細い木の棒を地面に突き刺し、その上に石の箱を載せる。 難なく石の箱を載せる木の棒も凄いと思っていたが、それよりも凄い事を彼はやってくれた。

 

パッシャッ

 

サー

 

オークは川で汲んだ器の中にある水を、新しく作った川の方向の向きに木の棒に載る石の面に水をかけると見た目が石から水が湧き出るようになった。 これに私達は最早それに対して反応する事が出来なかった。 明らかに、彼の手にあった水は石にかけられただけなのだがそこが水源に早変わりしてしまった。 オークは、一仕事終えて両手を上に上げて身体を伸ばして解していた。 そんなオークに、私は本当に訳の分からない存在だと思い知らされた。

 

その日の夜、村で宴会が始まり皆でオークを讃えていた。 住む場所、飲み水に挙げ句の果てに食料問題まで解決させたオークを私は少し離れた場所から遠目で見ていた。 水の問題を解決させた後も、オークは皆に色々な事を教えていた。 オークが作り出した土の箱の上に、種を植えると尋常じゃない速さで植物が成長する現象を見せた。 私達に無い…いや世界には無いであろう魔法と言う名の奇跡に、村の皆はオークを神に近い存在と崇めるようになっていた。 そんな皆を見てオークは、威張る事無く苦笑するだけだった。 私は彼の苦笑する表情に、気になるようになった。

宴会も終わり、皆が寝静まった頃に私は眠れず家を出て外で風に当たろうと考えた。

 

「…あっ」

 

少し歩いていると村から外れた場所に、ぼんやりと光が灯る場所を見つける。

私は其処に何も考えもせずに、虫の本能と同じように光の元に向けて足を運ばせる。 すると、光を灯した松明の横に彼がいた。 大岩に座り空を見上げるオーク。 だが、彼は私に気づいたのか此方に顔を向けた。

 

「…ゴホッ、ヴァ〜」

 

何処と無く彼の表情は、優れていると思えない顔だった。 それを見た私は、彼に近寄りながら聞く。

 

「どうしたの、オーク。 眠れないの?」

 

コクリ

 

私の質問に頷くと、彼は大岩から立ち上がり私にその場所に座るように手を向ける。 オークの方は大岩に向けて地べたに座った。 彼に従う為に、私は大岩に腰をかけてオークに昼に疑問を思った事を聞く為に話しかけた。

 

「ねぇ…オーク? なんで私…エルフの皆を助けてくれたの?」

 

ガリガリガリ

 

彼は私の質問に答える為に、袋から木の棒を取り出し地面に文字を書いていく。

 

『別に深い意味は無い。 あの時に君を見つけて困っていたから助けただけだ』

 

「…何も見返しも考えず?」

 

そうこれが一番引っかかってる言葉をオークに問いかける。 彼が何も考えずに、目の前に困ってる存在がいれば助かると言うならば相当なお人好しと言える。 だから、何か裏があるじゃないかと私は疑ってしまう。 助けられた身ではあるが、再び村の皆に嫌な事を体験させたくはない。 少しでも彼の内の中を知りたい私。

そんな事を考えていると、彼は少し苦笑いしながら文字を書いていく。

 

『そうだな、俺はオーク。 君が思っているオークは残虐非道な存在だろう。 それが正しい。 でも俺はオークの身として、この力を身体を魔法を持って誰かの為に使いたいと思う。 世の中は非常だが、その中に少しでも困ってる者を助ける奴がいてもいいだろ?』

 

「………」

 

『だから、君達に頼みたい事があるんだ』

 

「…何?」

 

私は彼の事が分かんなくなり、一先ず彼の言葉に返答する。

 

『片手間でもいい、村の近くに困ってる者がいた時は助けてやってくれ。 少しでも世界に助ける存在がいてもいいと思うんだ。 だから、俺は君や村の人々を助けたんだ。 神は無情だからな』

 

何故か神と書いた文字だけが力が強く書かれていた。 だけど、彼の言う通りに神様は何もしてくれない。 私達が困っていても事は進んでいくのだから。 少しわかった事で、彼オークは神様が嫌いなのだと。…難なくだが。

突然、彼は袋の中に手を入れて何かを探し始める。

 

「ヴァッ」

 

「えっ…」

 

袋の中から取り出し、その物を私に見せるオーク。 それは半円状な物で、木製の櫛を私に見せる。 そして、オークは立ち上がり私に近寄り私の右手を優しく掴みその手に櫛を載せた。

 

「く…くれるの?」

 

「ヴァ」

 

その櫛は良く出来ており、持つ場所には木の特有な模様が綺麗に見える。 この櫛からは新しさを感じ、昼間イスなどを作ってる時に一緒に作られたと見られた。 だけど、櫛は手軽に作れないであろう出来栄えに心奪われていた。 だけど、私は酷く心に痛みを感じた。 少しずつ私の顔から生気が抜けていくのがわかるほど落ち込み、そんな私を見てオークは心配そうに見ていた。

 

「ヴ〜…」

 

「…ごめんなさい、私…貴方を疑ってたわ。 最初はオークと貴方に怯えて、その後になりふり構わずに助けを求めて事が終われば疑う私。 こんな私なのに貴方は…優しくしてくれる。 本当にごめんなさい、貴方に疚しい気持ちなんかこれぽっちも持ってすらいないのに疑ってしまって…」

 

私はこんな優しいオークに対して、疑う気持ちを持ってしまい自分がどんな醜い生き物なんだろうと考えると少しずつ悲しくなり、目から涙が溢れてしまった。 突然に泣き始めた私を見て驚くオークは、地面に書き始めた。

 

『それは仕方ない事。 俺はオーク、君はエルフ。 違う種族で本来ある2つの存在は奪う者と奪われる者。 それをいきなり信じ合えるのは不可能。 だから気にすることは無い。 だけど、今は君は俺の事を分かってくれた。 それだけでも俺は嬉しい』

 

オークはそんな事を書き上げると、私の方に顔を向けて笑った表情を見せる。 今の彼の顔は夥しい数の傷の中に片方の頬は抉れ、彼を知らない者であれば恐怖する顔であろう。 だけど、私には今の彼の表情と目は美しく見えた。

彼の目からは、相手を安心させ本当に優しい目付きで顔は私達エルフを守った為に負った傷だらけだったが真剣に守ろうとした意志が見られる物だった。 彼の事に対して思い始めた私に、2つの感情が現れ始めた。

彼優しいオークに対する暖かな気持ち、それと変わって疑ってしまった自分の悲しみ。 それが私の中で混ざり合ってしまい、より一層に涙が溢れてしまう事に。

 

「ヴァヴァッ」

 

だけど彼は、そんな私を見て頭に手を優しく置き撫で始める。 私を慰めようとしてる彼に、気持ちがこんがらがり立ち上がり私は泣きながら彼の身体に抱き締めにいった。

 

「うわ〜! ごめんなさい、ごめんなさい!! そしてありがとうオーク。 ひっく…ひっく、貴方のお蔭で今私は此処にいます。 本当にありがとう…」

 

2mに近いオークに、1m30cmしかない私は彼のお腹に顔を押し付けて抱き締めて謝罪とお礼を言い続けた。 言い続けてる私に、優しく右手は背中に回して残った左手は私の頭を撫でてくれていた。

 

「ヴァ〜ヴァ〜」

 

泣き続ける私に優しくしてくれる彼により一層と涙が出てしまい、この後私は泣き疲れたのか気がつけば寝てしまった。

 

目が覚めたのは次の日の朝、場所は自分が住む家のベッドの上。 私は寝てしまう前に何をしていたのかを、思い出そうすると突然家に入るエルフがいた。

 

「おい、ミーネ! あのオーク、村を出てちまったぞ! 広場にオークの書き残しがあったんだ!」

 

「えっ!?」

 

私はそれを聞くなり、身体を起こして家を出て広場に向かった。 広場に向かった私は、広場に集まる皆を見て少しずつ走る足を緩めて近づく。 近づく私に気づいた村長は、私に話しかける。

 

「来たか…ミーネよ。 あのオーク様は、村を出てしまった。 そしてこんな書き残しを…」

 

村長は私の手を引き、広場の方に導く。 其処に書かれたのはオークが残した言葉だった。

 

『どうも、皆さん。 大変お世話になりました、傷も良くなりました。 貴方達との出会いは、奇妙な物でしょう。 村が襲ったオーク、それを助けたオーク。 そんな不思議な出来事だったでしょうが、皆さんは俺を良くしてくれました。 一度は怯えられましたが、後々に俺を敬うようになりましたが俺はただ単に貴方達を救いたかっただけです。 記憶の隅に置く程度で構いません、困ってる者を見つけたら助けてあげてください。 それだけです、面を合わせてお別れ出来なくてすみません。 では失礼します』

 

そうしてオークは、人知れずに村を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

「この後、私達は彼の銅像を作り上げて彼の言う通りに村の近くにくる困ってる者を助けるようになったのよ」

 

「「「………」」」

 

私の話を聞いていた子供達は静かに聞いていた。 あの後、数十年が過ぎある魔法を生み出した私はある決意をした。

 

「…そのオークは、何処に行っちゃったの?」

 

「分からないわ…だけど、また何処かで誰かを助けてるに違い無いわ。 あのオークですもの」

 

そう彼は敵対しない者には、心優しいオークなのだから。

 

「ミーネお姉ちゃんは、そのオークの事…好きなの?」

 

「えぇ、好き…大好きよ」

 

「やっぱりだからだよ、話してる時のお姉ちゃんの顔が嬉しそうな顔してるのって」

 

「じゃあ、お姉ちゃんが村の男の人の告白を断っていたのって…」

 

子供達は確信したのか、ある質問してきた。

 

「お姉ちゃん…そのオークに会いに行くの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうよ、あのオークに会う為に準備していたのだから」

 

そう私の決意は…あの心優しいオークに会う為に。 そして彼と…。

そしてこれは、私と彼が会う数年前のお話の事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こらっ! オーク! 無視するな!!」

 

最早、彼女を無視して家に帰ろうと考える俺。 俺の前でギャーギャーと喚く彼女から視線が逸れて横にある武器に、目が取られる。 その武器は、どう見ても刀の形状なのだが刀は片刃で峰があるのが普通なのだが…この武器は両刃なのだ。 俺はその武器に近寄り、鞘と共に拾い上げる。

 

「なっ!? 私の家にあった名刀『殺刀』! オーク! その刀に何を…!?」

 

俺は彼女の言葉を聞かず、一度武器を鞘に納めて左手で鞘を持ち右手は添えては身体を自然体にする。 そして腰に当てていた鞘から刀を引きにく為に身体と共に左足を後ろに引く。 そして、加速ついた刀に後押しする為に右手で引き向いた。

 

シャッン

 

すると抜くと同時に目の前に仮想の物を切るように、刀を振ると周りは一度静かになる。 小さな音だけが鳴り響き、少し時間が立つと音が戻り始めた。

 

「………」

 

その一連の動作をすると彼女は黙り込んでいた。

俺的には静かになった事に喜びを感じ、再び刀を鞘に戻して彼女の近くに置いた。

そして、その場を後にしようと彼女に背を向ける。

 

「待ってくれ!」

 

彼女の停止の言葉を俺に送るが、俺は無視して家に帰ろうとする。 だが、その後俺の背中に衝撃が走る。

それにビックリした俺は、振り向くと背中に彼女がしがみ付いて一言。

 

「オーク! 私を強くしてくれ、いや…師匠!」

 

「ヴファッ!」

 

誰か…この娘の取り扱い説明書をください。

 

 




どうも、ヨッピーですw

いや〜、仕事環境が変わってしまい寝る時間すら不規則になってしまい更新が出来ない状況でした…

リハビリがてらに、こちらの作品を書き上げました…誰も読まないだろうけど(^◇^;)

こんなオークもいても…いいじゃない!

11月09日、良いオークの日

これを考えた人は…天才だと思ったヨッピーでしたw

では、この作品でも他の作品でもお会いしましょう…ジーク・ヨッピー!( ̄^ ̄)ゞ
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