IS ~THE BLUE DESTINY~   作:ライスバーガー

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第78話 胸に抱えて

夕暮れ時、朱色と宵闇の狭間の時間。夜が滲み寄る薄暗くなった空は数時間前まで辺り一面を包んでいた華やかな空気を塗り潰していた。

かといって夜の静寂に包み込まれた訳ではない。飛び散る火花と反響する剣撃音が荒々しくぶつかり合い白式と甲龍が二重奏を鳴り響かせている。

 

「くっ、このぉ!」

 

強い衝撃に吹き飛ばされた一夏が視線を上げる。橙と黒の間の色合いの空を背に浮かび見下ろすのは分断した刀刃仕様の双天牙月を左右の手に持った甲龍こと鈴音。

学園祭が終了し、クラスの片付けを手伝った後にアリーナを訪れた二人は許可も取らぬまま空中に躍り出て刃を交えていた。

 

「学園祭で浮かれて弱くなった、なんて言わないでしょうね?」

 

そんな事がないのは鈴音は百も承知だ。

夏休み後半のミサイル襲撃や授業や放課後、一夏を見ていれば日々精進を続けているのは見て取れる。それどころか学園最強である生徒会長の手解きも受けているのだ。

手軽でISに有効なイメージトレーニングを欠かさず日課として取り入れた効果もあるだろう、ISや武器の呼び出しに違和感を感じる事さえない。代表候補生に届かなくとも一年生の中では抜きん出て来ていると言って良い。

努力を続けているのは他の生徒も同じであるが、蒼い死神や銀の福音と言った世界でも間違いなくトップレベルの相手との実戦を経た経験が形となって来ている。

そこには白式と言うオーバースペックの機体がもたらす恩恵も少なからずあるが、一夏の努力を否定する要因にはならない。

 

「まだまだぁ!」

 

白式に出会った当初は慣れなかった宙を蹴る行為もごく自然に当たり前の動作として身に付いている。

空を駆け踏み込む一歩から繰り出されるのは剣が持つ最長の間合いを誇る突きによる一撃。

対象に突き立てる一点とその延長上にある線が織り成す軌跡は人間を含めてひと振りの剣の如く研ぎ澄まされる。

 

「そんなブレた切っ先で私に当たると思ってんの?」

 

雪片弐型を横合いから双天牙月で殴り付け姿勢を崩した一夏の腹部に甲龍の脚部が突き刺さる。

 

「っ!」

 

ISのシールドエネルギーが削られ衝撃が一夏を抉るが、更にその場で一歩踏み出し強引に姿勢を持ち直した一夏が腕の力だけで雪片弐型を引き寄せ横薙ぎに甲龍を叩く。

甲高い金属音が何度目か分からない刃の衝突を知らせ、双天牙月で雪片弐型を受け止め押し返さんとする鈴音が真正面から一夏の顔を見据えた事で、至近距離で両者の視線が交わる。

無言で視線を交えて数秒、不意に一夏の瞳が揺れを帯びる。

 

「くそっ!!」

 

力任せに雪片弐型を振り抜き両者の間に強制的に距離が作られる。

一夏は間違いなく強くなっている。圧倒的早さで大国中国の代表候補生に上り詰めた鈴音に負けず劣らずにだ。重ねた努力は決して裏切らないと鈴音も良く分かっている。

だからこそ、気付いてしまう。一夏の揺れる瞳の正体に、急速過ぎる成長に付いて来ていない心の有りどころに。

 

「一夏、アンタ……」

 

苛立つ心とは別に客観的に自分が陥っている状況を一夏は冷静に分析出来ている。

自分が何に迷い、次に何が必要なのか、剣の腕だけでも、ISの操縦技術でもないと分かっている。

 

「なんでだよ、手の震えが止まらないっ」

 

ISを得て浮かれていた気持ちが無いと言えば嘘になるだろう。

空を飛び、剣を持ち、自分より強い相手に対し立ち振る舞う感覚を楽しいと思うのも不思議ではない。

ある日突然湧いて出た力、唐突に訪れた幸運から始まる物語、男の子は誰でも一度は憧れるシチュエーションであり一夏とて例外ではない。

だが、一夏にとってISは姉の栄光の象徴であり、幼馴染と離れる切欠、直接的な恐怖を味わった相手でもある。ISに対する感情は複雑極まりない。

そんな一夏が、向けられれば恐ろしいと分かっている世界最強の武力であるISの力を生身の人間相手に振るおうとした。

銃を向けられ、無我夢中で、逃げなければならない場面、本能的直感でISを展開して切り伏せようとした。

結果的に一夏は人間に対しISを使わなかった、相手は一夏の都合を無視し一方的な敵意を向けており、正当防衛であるにしても万一その力を振るっていれば一夏は自責の念に囚われていただろう。

あの時、男達が引き金を引いていれば死んでいたのは自分だったと分かっていても、人を殺したかもしれない可能性の恐怖は簡単に拭えるものではない。

特に一夏の戦い方は突撃型の近接戦闘スタイル。ISによって何倍も敏感に引き伸ばされた感覚が引き金を引くよりも如実に命を奪う行為を教えてくれたはずだ。

一言で言うならば怖いのだ。ISの力が簡単に命を奪えるものだと分かってしまったが故に生まれた感情だ。

 

「っ!!」

 

震えを誤魔化す為に強く雪片弐型を握り直し再度宙を蹴り、不快感を振り払うかの如く飛翔する軌道を真正面から鈴音が双天牙月で受け止める。

 

「何も言わずに戦ってくれだなんて言うから何事かと思ったけど……」

「……悪い」

「謝んなバカ」

 

鈴音は一夏の身に何があったのかを聞き及んでいる。その上で鈴音には分かってしまったのだ。

あの時、束の手によって白式がその腕に戻っても何とも言えない表情を浮かべていた一夏の思いが手に取るように。

 

「分かってるんだ、考えても仕方ないって、どうしようもないって事くらい。それでも怖いんだ」

「そりゃそうよ、人を殺したかもしれないんだもの、怖いのが当たり前よ」

 

軍属でないにも関わらず手に入れてしまった。持て余すと言い換えても良い圧倒的な力の意味に気づいてしまった。

その当たり前を許容するには敷居が高すぎる。軍属の有無に関わらず代表候補生レベルであれば必要最低限の心積り。

しかし、半年前までISに関わりがあるとはいえ扱う立場になかった一夏にその覚悟を持てと言うのは酷だろう。それは鈴音も分かっている。だとしても、理由が分かった所で鈴音のやるべき事は変わらない。

鈴音の瞳に強い光が宿り甲龍のブースターが火を吹くと拮抗していた力のバランスが崩れる。

雪片弐型を押し返し両者の間に僅かに開いた隙間を攻撃特化パッケージ「崩山」によって得た最大の特徴である四門に増えた龍咆から赤い豪炎が放たれる。

 

「うわっ!」

 

慌てて距離を取った白式に追撃するのは炎の衝撃ではなく雷の鞭、甲龍の腕に新しく展開された鎖が伸び逃げる白式の腕を捕まえる。

 

「ちょっと痛いかもしれないけど、我慢しなさいよ!」

 

高電圧縛鎖(ボルテックチェーン)から迸る雷光が白式の装甲を無視して電撃を送り込む。

 

「っぁ!!?」

 

静電気ではなく攻撃目的の電撃に苦悶の表情が浮ぶ。生身の人間であれば即死級の攻撃であってもISを纏っている限り常識に縛られない。

シールドエネルギーに対するダメージは微々たるものだが、電撃は搭乗者の全身に軽いダメージを断続的に与え続ける。

 

「くっ!」

 

後方に急加速して鎖を振り解こうと身を捻るが、一夏の目に飛び込んできたのは甲龍の足の裏、鎖で繋がった直線上から鈴音は真っ直ぐに蹴り込んでくる。

ISの防御力があるとはいえ衝撃を完全に相殺出来るはずもなく、腹部に響く二度目の痛烈な蹴りに一夏から嗚咽が漏れる。

近接戦闘に関しては一夏の腕前は一年生でもトップクラスと言えるが、非固定浮遊部位の龍咆や二刀一刃の双天牙月、更には線でありながら曲を描く高電圧縛鎖と言ったトリッキーな動きが組み込まれればその定義は成り立たない。

 

「歯ァ食いしばりなさいよ!」

 

続けてくるのは突き上げられる掌底、吸い込まれた手の平が一夏の顎を捉え視界を明滅させる。

一度攻撃を始めた龍が放つ暴風は簡単に止まることなく、ガラ空きになった胸への拳撃がエネルギーを削り姿勢を崩した白式の背に遠心力の乗った重たい蹴りが放たれる。

勢いよく弾かれるものの、腕には未だに高電圧縛鎖が絡みついており一定距離を吹き飛んだ後に力任せに引き止められる。

 

「受けなさい一夏、これが私の新しい力よ」

 

高電圧縛鎖で繋がれた一夏に対し迫る四度目の蹴り。一度目の鋭角な脚部を利用したものでも、二度目の追撃の蹴りでも、三度目の回し蹴りでもない。

ほぼ垂直に落ちるような一撃は流星の如く空を駆け、四門の龍咆が左右上下四ヶ所に赤熱した炎を放ち唸り声を上げる。

龍咆が更なる加速を作り出し、余剰エネルギーを排出する煌きは舞い踊る蝶の羽の如く、甲龍そのものが美しく煌く剣となって振り落とされる。

天に竹林、地に少林寺、その名が示す奥義の具現化、夏休みの期間に強化されたのは甲龍だけではない。搭乗者である鈴音も格段に強くなっている。

目の前に迫る鈴音の全身を使った蹴りを辛うじて腕を交差し防御しようとするが威力も勢いも防ぐに至らず、直撃と同時に緩められた高電圧縛鎖から解放され、今度こそ白式は弾丸の如く吹き飛ばされた。

 

一夏が目でこそ追えていたが襲い来る衝撃の連続に反撃の糸口さえ見つけられず、防御姿勢もままならなかった。

背中からアリーナの壁面に叩きつけられ肺の中の空気を吐き出して、やっと一夏は自分が成す術なく撃墜されたのだと理解した。

 

「私は強くなったよ? ねぇ一夏、私が怖い?」

 

怖くない、と言えばそれも嘘になる。

楯無が一夏に与えた限りなく現実に近いイメージトレーニングはISの力が生身の人間に与える恐怖を鮮明に一夏にフィードバックさせている。

勿論、これは楯無が悪い訳ではない。最悪の想像が出来なければ一夏はあの時に男二人を切り捨てていたかもしれないのだから。

 

「私はまだ人を殺した事はないわ。でも、これから先どうなるかは私にも分からない。国の為だとか偉そうな台詞を口にするつもりはないけど、代表候補生としてISの力を軍事力として使う日が来るかもしれないわ」

「それは条約で!」

「そうよ、条約でISの軍事利用は禁じられている。だったらラウラの立場は? 銀の福音は? 蒼い死神は? 今日襲ってきた連中は?」

 

矢継ぎ早に畳み掛けられた言葉に条約を盾に喉から出掛かった反論が詰まる。一夏とて世の中が綺麗事だけで回っているはずがないと分かっているのだ。

自分自身が渦中に巻き込まれた身であり、これから先も平穏無事だとは限らないと良く分かっている。

 

「一夏が不安になる気持ちも分かるわよ? だからこそ私は一夏を尊敬する」

「尊敬?」

「そうよ? 覚えておきなさい、殺す覚悟と殺さない勇気は別物よ。自分が殺されるかもしれないのに刃を引いた一夏の勇気を私は否定しない」

 

一夏が殺すべき相手を殺さなかった事で更なる悲劇が生まれるかもしれない。もっと多くの人が苦しむ未来が派生したかもしれない。それでも、と鈴音は目を逸らさずに断言するのだ。一夏の判断を尊重すると。

相手を殺すイメージを浮かべる事が出来ると言う事は自分が殺されるイメージも浮かべられると言う事だ。自分の身を危険に晒すと分かっていながら、人を殺す事を拒んだ一夏の行為は間違っているのかもしれないが、鈴音はその判断を勇気だと肯定する。

 

「例え世界中が一夏を批判する日が来ても、私は一夏の判断を否定しない」

 

そこまで言って鈴音は地上に降下、改めて両手の双天牙月を握り締める。

 

「良いんだよ一夏、迷って悩んで苦しんで、どうすれば正解なのか一緒に考えていこ?」

 

甘美ともとれる優しい言葉に乗ることは決して甘える事ではない。

 

「それともここで諦める?」

 

その一言に一夏の目は大きく見開かれる。

仮に今この場で全てを投げ捨てたとしても鈴音も千冬も一夏を責めはしないだろう。むしろ「今まで良く頑張た」と褒めてくれるかもしれない。

だが、違う、そうではない。進むべき道が分からなくとも、もう二度と殻に閉じこもるような真似を一夏はしない。

一人では出来なくとも友と一緒なら立ち向かっていける。蒼い死神と相対するイメージを浮かべた際に仲間達が映りこんだように、一夏はもう一人ではないのだから。もがきながら前に進む意思表示を示す為に一夏は立ち上がる。

 

「……敵わないなぁ」

 

ぽつりと漏れる一夏の声には様々な感情が込められている。

相手が全面的に肯定してくれる「諦めてもいい」程に蠱惑的な誘い文句もないだろう。

この上なく魅力的な提案だが「諦める」選択肢を手に取る事はないと視線を上げる。

強くなりたいと涙を流し、敗北を続ける一夏だからこそ見えてくるものもある。

この世界は歪んでいる。その原因が天災なのかISなのか悪意ある何かなのかは分からないが、歪みに対抗する力は与えられている。

守られるだけだった人生からやっと一歩踏み出せたのだ。ここから先へ進むも戻るも一夏次第。

 

「鈴、もう一戦頼む」

「何度でも、気が済むまで相手してあげる」

 

人の心は簡単ではない。正しい道と分かっていても、それを是とするのが難しい場面はある。

だからこそ、何度でも納得するまでぶつかり合うしかないのだ。一夏の剣はそのまま一夏の言葉になるのだから。

あの時、白式がその腕に再び舞い戻った時、一夏はその力をどうしていいか迷ってしまった。それでも物言わぬ白式は再び定位置に戻ってきてくれた。

挫折を味わい、敗北に涙を流したとしても、一夏は何度だって立ち上がる。その姿を最も間近で見てきたのは鈴音でも千冬でもない。いつもそこにいてくれているのはいつだって白式だ。

その力をどうしていいか、疑問を覚えたなら一緒に悩み、一緒にその先を目指せば良い。白式はそう笑っているかのように全身を優しく包み込んでくれている。

一夏の迷いが晴れた訳ではない。力は何処まで行っても力である以上、守る為に使うか奪う為に使うかは単純な事柄ではない。何の為に力を振るうのか、その答えを簡単に出していいものではないのだ。

正解は誰も知らず、結論を後回しにする判断であったとしても、結局それらの答えはその時になってみないと分からないのだ。

人を殺す程の力を是とするか、その答えを学生の少年少女に求めるのは酷というものだろう。この世界はまだ血で血を洗う戦乱に染まりきってはいないのだから。

 

 

 

 

時刻は深夜、夜の静寂が満ちた街にそびえる高級ホテル テレシアの一室。

ガラス張りの窓に映り込む満天の星空を視界に映し満足そうな笑みを浮かべている妖艶な金髪美女、スコールはシャンパンを片手にソファに深々と腰を下ろしていた。

深い胸の谷間を露出させたドレス姿のスコールとは対照的にガラステーブルを挟んで向かい側に座るオータムもスーツ姿の正装ではあるが、浮かべているのは不機嫌を隠していない苛立った顔。

 

「不満そうね?」

「そりゃそうだ、捕まった連中の始末はどうにでもなるにしても白式も奪えず、こっちは姿を晒しただけじゃ割に合わないだろ」

 

スコールの楽しそうな表情の中にある心を見透かす視線にオータムは動じず応える。

 

「学園の地下への侵入に失敗したのは残念だけど、学園の間取りは手に入ったわよ?」

 

手にしたグラスをテーブルの上に置き、椅子の脇に置かれていた重厚なジェラルミンケースから取り出した紙媒体の資料がテーブルの上に撒かれる。何れも小さなメモ帳に手書きで記されたもので学園祭にて立ち入り可能な範囲の精密な間取り図。

 

「転んでもただじゃ起きないってか」

 

メモ帳の中にはアリーナと学園を繋ぐ地下道を始め、屋上に至る経路、職員室から各教室への最短距離、トイレの位置やアリーナ周辺の備品配置に至るまでが丁寧に記されている。

 

「用意周到と言って欲しいわ。それ以外に得るものもあったしね」

「剥離剤か」

「えぇ、まぁ、あまり使われる心配はしてないのだけれど」

「なんでだ?」

「篠ノ之 束がその気ならサイレント・ゼフィルスに使ってるはずだもの。使えないのではなく使わないと見るべきでしょう。色々と考える必要が出てきたのは間違いないけどね」

 

軽く唇を湿らせる程度にシャンパンを傾け、赤いグロスの塗られた唇に適度な水分が送られ妖艶な輝きが増す。

ガラス張りの夜空から差し込む星の光をグラスに反射させ微笑むスコールの表情は笑っているが真意を読み取るのは付き合いの長いオータムにも難しい。

 

「オータムにだって収穫はあったでしょう?」

「ロシアの国家代表のガキか、確かにアレは中々面白かった」

 

正々堂々の激突は言えない状況であったとはいえ国家代表を相手に面白いで済ませられるオータムもはやり化物の類。

学園備品の機体ではなく愛機アラクネであったなら良くも悪くも戦局は大きく変わっていただろう。

 

「でしょ? 得るものが無かった訳じゃないわ。それに……。そろそろ次の段階に移るもの、面白くなるわよ?」

 

アルコールが回った訳でもないのに口元を手の甲で隠したスコールはころころと擬音がなりそうな笑い声を小さく上げる。その様子は年相応の美しさと悪戯を思いついた妖精のような可愛らしさが混じり合っている。

 

「面白く?」

「そう、面白く」

 

再度ジェラルミンケースから取り出された別の資料、今度は紐で封がしてある茶封筒。

机の上ではなく直接オータムに手渡され紐解かれ取り出されるのはスペックデータ。スコールの言っていた意味を理解したオータムの表情が笑い顔に歪む。

 

「これは……。くっ、ははは! コイツは確かに面白くなるなぁ!」

「でしょう?」

「あぁ、コイツは傑作、いや悪夢と呼ぶべきか?」

「それでもまだ本来のカタログスペックには程遠いのよ?」

「って事はこれよりもっと化物になるってのか?」

「理論上はね。うちの連中も頑張ってくれたけど篠ノ之 束の技術を完全に再現する事は不可能だそうよ。その代わりにと言って出してきたのがソレって訳」

「これでまだ試作段階って訳か、頭がイカれてるとしか思えねーな」

「人の事言えないわ。私達だって十分イカれてるもの」

「違いないな」

 

ミサイル攻撃によって崩壊した束の拠点となっていた孤島より奪われた技術の一部。

箒の言葉を借りるなら「姉さんの悪い予感はどうしてこうも良く当たるんだ」と言う事だろう。

そこに記されていた可能性、破壊の軍勢は崩壊を呼ぶ先兵になりうるもの。

 

「まずは誰と遊ぼうかしら、ね?」




戦いの度に挫折する一夏君。いいじゃない人間だもの、青春だもの。

「鈴、もう一戦頼む」
「何度でも、気が済むまで相手してあげる」

あれ? ここだけ抜粋すると……。いや、気のせいか。
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