ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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VS13  Avengers Assemble

「ごちそうさま。」

 

「いえ、お粗末さまでした。」

 

週に数回、ダイスケは榛名に夕食を作ってもらうことがある。料理はそれなりにできるのものの、手間を考えるとやはりコンビニ弁当やインスタント食品に頼りがちな一人暮らしにとってありがたい話である。それだけ彼女が世話好きということもあるが、傍から見れば充分カップルだとしか言い様がない。それでも二人共互いに恋愛感情を感じていないのだから不思議なものだ。

 

「あとは私が片付けるので、宝田君は休んでいてください。」

 

「いや、俺がやる。やるったらやる。絶対やる。」

 

「じゃあ、私が洗いますから、洗剤を濯いで食器を乾燥機に入れてください。」

 

「あい。」

 

流水音と食器が乾燥機に並べられる音だけがキッチンに響く。

この時ダイスケが考えていたのは先日に行われたリアスとライザーのレーティングゲームの顛末だ。

当日はダイスケも関係者ということで特別に来賓席で観戦することになっていた。その場にはグレモリー・フェニックス両家の関係者が並び、いかにも場違いなダイスケは浮いていた。観戦者の中にはリアスの兄でもある魔王の一人、サーゼクス・ルシファーの姿もあって、この縁談がどれだけ悪魔の社会に影響を与えるものなのかが伺える。

試合内容はといえば、実力差がありながらもよく粘った善戦と言っていいものだった。

開始早々、イッセーは合宿中に開発したという女性の衣服を剥ぎ取る『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』なる珍必殺技で観客の度肝を抜いた。良くもあんなゲスな技を思いつくと感心しているうちに相手方の兵士三名を行動不能にし、朱乃との連携で即座に撃破したのには感心した。

だが、その直後に小猫がライザーの女王、ユーベルーナに撃破されてから状況は一変する。高火力の朱乃がユーベルーナにかかりきりになったことで木場とイッセーの二人で残りのライザー眷属と戦うことになってしまう。

個々の戦いそのものは着実に勝利を収めた彼らだったが、やはり多勢に無勢が仇となり続いて朱乃、木場と続けてリタイアしてしまう。その間、有利でありながらもライザーはあえてリアスとの一騎打ちを申込み、彼女はそれを受けてしまった。一騎打ちを申し込んだだけあってライザーの実力はリアスのそれを上回っており、加勢に来たイッセーも圧倒された。

ボロボロになったイッセーの姿を見たリアスは下僕が傷つく事よりも敗北を受け入れ、縁談もまとまった。

それから二日過ぎた現在、未だイッセーの意識は戻らず、アーシアが付きっきりの看病をしている。昨日はダイスケも見舞いに行ったが、その身に受けた傷はモニター越しに見るものよりも酷かった。無論、この片付けが済んだらまた見舞いに行くつもりだ。

本当は本日行われる婚約披露パーティーにも招待されていたが、全く行く気になれなかった。ライザーの勝ち誇った顔を見たくないというのもあるが、それ以上に今目を覚まさないイッセーの方が気になっていたからだ。

そしてダイスケは考え続けている。この決着でいいのだろうか、と。それは表情にも出ていたようで、横にいる榛名は気づいてしまった。

 

「どうかしました?昨日からずっと何か考え込んでいるみたいですけど。」

 

「ん?いや、自分には直接関係のない身近に起こったあることを考えてただけだよ。」

 

「そうですか。」

 

誤魔化して話を終わらせてみたが、やはりここは自分とは違う“女”である榛名に聞いてみれば答えが出るのかもしてない。

 

「なあ、女ってさ、好きでもなんでもない男と結婚できるものなのかな?」

 

「なんです?いきなり。」

 

「いや、最近見た小説でそんな話があってさ。参考意見程度に。」

 

本当のことを言うわけにはいかないので真実はぼかす。

そしては聞かれたことが事実に基づくものだとは知らずに、手を動かしながら榛名はしばし考えている。

 

「……そうですね、出来る人はいるんじゃないでしょうか。家の事情とか、その人が我慢しなければならない立場にあるとかなら。」

 

「それで好きでもない男の子供を産めるのか?」

 

「我の強い人はできないでしょうね。その小説の登場人物はそういう人なんですか?」

 

「うん、我は強いな。で、その結婚を阻止しようとしてくれた男がボロボロになって、「自分のために彼を傷つけたくない」って言って婚約を認めちゃうんだ。」

 

「だとしたらその結婚は最悪ですよ。例え婚約相手がどんなお金持ちでも、その女の人は心を許しませんから。」

 

「そうだよな。自分のために傷付いた男がいるんだもんな。そっちの方を好きになっちゃうよな、普通。」

 

「生まれてくる子供だって可愛そうです。父親が原因で母親の愛を受けられないんですから。」

 

「……だとしたら、破談になったほうが幸せだよな。」

 

「そうですね。結婚式にでも乗り込んで花嫁を奪っちゃったほうがまだハッピーエンドですよ。」

 

「……だよな。ありがとうな、聴いてくれて。」

 

「いえ。……で、奪っちゃうんですか?」

 

突然の質問に一瞬、ダイスケは呆気にとられた。

 

「へ?なにが?」

 

「その小説の結婚を阻止しようとした男の人です。」

 

自分が例え話として質問していたことを思い出し、ダイスケはなんとか取り繕おうとする。

 

「いや、まだ続きはないんだ。でも―――」

 

今なら続きを自分たちで作れる。

やるべきことはもう決まった。問題は目の前にいる榛名である。すでにイッセーの見舞いに行くことは伝えてあるものの、先ほどの意味深長なやりとりで不信感を与えてしまったかもしれない。

だとすると多少強引な手段値でなければならないかもしれない、とダイスケは覚悟するものの、それは杞憂に終わった。

 

「あ、あとは私一人でも充分ですから、兵藤君のお見舞いに行ってあげてください。」

 

「え、でも……。」

 

「顔に出てますよ。『早く行かなきゃ』って。」

 

「え……?」

 

「事情はよくわからないけど、ちゃんと帰ってきてくれるならそれでいいですから。」

 

ね、と言って榛名は微笑んだ。

 

「……今日中には戻る。」

 

「はい、鍵はいつものところに置いておきますね。」

 

そしてダイスケは振り向くことなく、玄関へ向けて駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

赫く沸る炎の中。

今、イッセーの意識は深淵の中にありながらも炎に照らされた空間の中にある。

 

『まったくもって情けないな。これでは先が思いやられる―――と言ってしまってはさすがに不憫か。お前自身はまだまだ脆弱な存在なのだからな。』

 

まったくもって言いたい放題だ。それもまるで見てきたかのように言う。

 

『ああ、俺はずっとお前を見てきた。本当は分かっているのだろう?俺がどこにいるのか。俺は何者なのか。』

 

その声はまるで心の奥底から―――否、左腕から聞こえてくるのは既にわかっていた。

 

『お前は人の身でありながらドラゴンであるという異常なる存在なんだ。これ以上無様な姿は見せないでくれ。そんな様じゃあ「白い奴」に笑われる。』

 

誰だろうか。少なくとも因縁深い相手ではありそうだが。

 

『いずれお前は奴に出会う。奴はフェニックスなど足元にも及ばない強さを持っている。その時までに生き延び、勝つための経験と努力を積み重ねていくといい。そうすればお前は間違いなく強くなる。』

 

想像できなかった。ライザー以上の相手が間違いなく自分の目の前に現れるであろうこと、そしてそんな相手と自分が対等に戦わなければならないことを。

 

『負けるのもいい。敗北もお前の糧となる。だが、決してそのままで終わらすな。巻き返し、ねじ伏せ、叩きのめし、見せつけろ。お前を嘲笑った者たちにドラゴンという存在がどういうものなのか刻み付けろ。そのためにも俺の力の本当の使い方を教えてやろう。』

 

「なあ、教えてくれ。お前は一体なんなんだ?」

 

『ようやく訊いたな。ならば答えよう。俺は赤い龍の帝王《ウェルシュ・ドラゴン》、ウェールズの赤い龍。ドライグだ。』

 

「ドライグ……赤龍帝の籠手に宿る者。」

 

『そうだ。お前が望むなら、俺はいつでもお前に力を与えよう。ただし、大きな犠牲が必要だ。なに、それだけの価値はあるさ。保証しよう。』

 

 

 

 

 

 

「あら。いいタイミングでいらっしゃいますね。ちょうど起きたところです。」

 

ダイスケがイッセーの家に到着するなり出会ったのはグレイフィアだった。

 

「ああ、今は入室されないほうがよろしいでしょう。アーシアさまはずっと付きっきりで看病されていましたから、積もる話もあるでしょう。」

 

「解りました。でも、なんであなたがここにいるんです?わざわざここに来る俺を待ってたわけでも、イッセーを看護するためにここに居るわけでもないんでしょう。」

 

「ええ。イッセーさまに会場へ直接転移出来る魔法陣を差し上げるのと、サーゼクス様からの言伝を伝えに。」

 

「言伝?」

 

「ダイスケさまにもお伝えしましょう。『妹を助けたいなら、会場に殴りこんできなさい』とのことです。」

 

それを聞いてダイスケは呆れた。つまり、リアスの兄は魔王という立場でありながら政治的に複雑な利権が絡んだ今回の婚約を不意にしようというのだ。

普通なら政治的指導者が貴族同士とはいえ婚約一件に口を出すことなどありえない。つまり、サーゼクスという男はいち兄としてこの婚約を阻止したいらしい。よほどリアスがライザーとの婚約を嫌がっているのを知ってるか、自分の妹が可愛いようだ。

 

「なるほど。つまり魔王様の仕切りで婚約阻止に殴り込めってことですか。」

 

「そう捉えていただいて構いません。乗るか乗らないかは当人の自由ですが。」

 

「乗りましょう。俺も色々フラストレーションが溜まってたんです。でも、これだけははっきりと言わせていただきます。」

 

一拍空け、ダイスケは真剣な面持ちで言い放つ。

 

「切っ掛けは魔王様でも、これは俺たちの喧嘩だ。魔王様の仕切りでは動かない。俺も、イッセーも、気に食わないからぶち壊しに行く。そこだけははっきりさせておきます。」

 

「……ええ、それで構いません。それでは。」

 

グレイフィアは会釈してその場を辞そうとするが、慌ててダイスケは呼び止める。

 

「ああ、そうだ。グレイフィアさん、すいませんがタキシードを2着用意して頂けませんかね。あと、身を隠すローブも。」

 

「構いません。しかし、何故タキシードを?ローブはわかりますが……。」

 

「パーティに乗り込むのに私服はちょっと、ね?あ、あとそれと……。」

 

「ほかにも何か?」

 

「ええ、ニシンのパイを一つお願いします。」

 

「はあ……。構いませんが、何にお使いになるので?」

 

「パーティー会場に乗り込むのに、ニシンのパイが必要だっていう作法があるんですよ。」

 

「承りました。向こうに着いた時、当家の者に直接あなたに届けさせます。……ご武運を。」

 

軽く会釈した後、こんどこそグレイフィアはその場をあとにした。そしてダイスケが頃合を見計らってイッセーの部屋に入ろうとした時、アーシアが急いだ様子で出てきた。

 

「あ、ダイスケさん!イッセーさんが……。」

 

「知ってる。グレイフィアさんから聞いた。それよりどうした?」

 

「それが、イッセーさんが私に貸してほしいものがあるとかで、急いで私の部屋から取りに行かないといけないんです。部長さんを連れ戻すために……。」

 

「そうか。悪いな、引き止めて。」

 

「はいっ。」

 

アーシアが行ったのを確認すると、ダイスケは室内に入る。

 

「あ、あ、ぐあぁぁあぁぁぁぁあああぁぁぁああああ!!!!」

 

するとそこには燃える左腕を抑えて苦しみ悶えるイッセーの姿があった。その様子を見て慌ててダイスケが駆けつける。

 

「おい、しっかりしろ!!」

 

「くっ、うっ、がふっ、ううううううううううううううう!!!」

 

倒れるイッセーをダイスケは介抱するが、イッセーは声が漏れないように額を冷やしていた濡れタオルを噛んだ。

燃える左腕は徐々に鎮火していってはいるが、異変はすぐに見て取れた。左腕が神器を装着した時の姿になっている。いや、今まで見たのとは様子が違う。まるで生き物のような生命感があるのだ。

 

「……これは。」

 

「フー、フー……ペッ。俺の腕を神器の中にいるドラゴンにくれてやった。力と引き換えにな。」

 

噛んだタオルを吐き捨ててイッセーは平然と言い放つ。

 

「くれてやったって……どういうことだよ!?」

 

『責めてやるな。コイツに考えがあるからこそ話に乗ったんだ。』

 

変化した左腕から声が聞こえる。それはイッセーの声でも自分のものでもないこの部屋にいるもうひとつの存在の声である。

 

「……誰だ。」

 

『名を訪ねたくば己の名を名乗ってから……と言いたいがあいにく俺はお前のことはこいつを通じて知っているからな。俺はドライグ。赤龍帝の籠手に宿る者だ。』

 

「怒ってくれるなよ。俺から頼んだ事なんだ。ライザーの野郎をぶっとばすためにな。」

 

「怒りはしねぇよ。でも、なんだってわざわざ腕をドラゴンのものに変えたんだ。力がいるんだったら、純粋な体力を底上げしたほうがお前にとっちゃ楽だろ。」

 

ダイスケの言う通り、ただ力が欲しければほんの少しだけ地力の体力を上げさえすれば、赤龍帝の籠手の能力でいくらでも底上げできる。

 

『それがな、この男なかなか面白いことを考える。もうすぐあの娘も戻ってくるだろう。』

 

「ああ、きっとアレがあれば……野郎に一矢報いることができる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「“婚約”披露宴だなんていって……これじゃあほとんど“結婚”披露宴じゃない。」

 

今リアスは己の控え室にいる。もうすでにパーティーは始まっている時間だ。

リアスの言うことは最もだった。

今のリアスの格好はほとんどウェディングドレスと言っていい衣装だった。

だが、これは自分が選択した末の結果。甘んじて受ける他ないのが、今のリアスの立場だった。

 

「そう言うなよ、リアス。せっかくの花嫁衣装にそんな顔は似合わないぜ?」

 

不意に炎が立ち上がり、中からライザーが現れる。

 

「いけません、ライザー様!ここは男子禁制ですよ!?」

 

リアスに使えるメイドの一人がライザーの侵入をたしなめるが、それを当人は気にも止めない。

 

「硬いこと言うなって、俺は今日の主役だぜ?いや、主役は“花嫁”の方だったな。失敬、失敬。」

 

「まだ花嫁になったわけじゃあないわ。……一体なんなのよ、この衣装。すぐに取り替えてもらうわ。」

 

「いやいや、それでいいのさ。グレモリー家とフェニックス家が繋がれたって、より冥界中にアピールできるだろう?そして君もそれを着ることでより諦めがつく。だろう?」

 

嫌味ったらしく言うライザーに、リアスは唇を噛む。

 

「安心してくれ。本番ではそれとは比較にならない最高の花嫁衣装を君に送るよ。」

 

そういって再び炎の中に消えるライザー。

そんな中、リアスの脳裏にあったのはイッセーのことだった。

最後まで一緒に戦ってくれた可愛い弟分にして下僕。

ボロボロになってまで自分の為に戦ったイッセーのその傷ついた姿が、今でも目に浮かぶ。

 

(ごめんなさい、イッセー……。駄目な主で……。)

 

そう想いに耽るリアスに、メイドが非常にも現実の時の流れを告げる。

 

「リアス様。お時間です。」

 

 

 

 

 

 

「おねがいしますよ~。警備員さん、通してくださいよ。」

 

「ダメだ。招待状のない者を通すわけにはいかん。」

 

「そうは言ってもねぇ、こっちは届け物があるんですよ。ほら。」

 

「なんなんだ、そのバケットの中身は。」

 

「「ニシンのパイ。激ウマだぁでぇ?」」

 

「なんでニシンのパイ!?」

 

「いや、パーティーの届け物ったらニシンのパイでしょ。」

 

「どこの星の常識!?ていうか、なんなんだお前ら。」

 

「いや、私たちね、魔女の宅急便コンビ”相棒”ってやってるんですけれど、グレモリーのメイド長様からこれを届けてくれって頼まれちゃって。」

 

「相棒ってなんだよ、相方交代するフラグがバリバリに立っちゃてるじゃん。」

 

「そんなことないわよねーイセ子。」

 

「そうよダイ子、私たちの絆は永遠よ。いつか必ずわたしたちの宅配で冥界を優しさに包んであげるんだから。」

 

「いや、訳分かんねーよ。」

 

「なによ、見てわかんないの?目に見えるすべてのことがメッセージなんだから。」

 

「とりあえずほら、バゲットのなか見てみてよ。ほんとにニシンのパイしか入ってないから。」

 

「……確かにニシンのパイだ。ところでイセ子だったか?そいつの左腕はどうしたんだ。」

 

「ああこれ?これはあれよ、この前たくさんのジャガイモを配達してくれって依頼の時にちょっと。」

 

「ちょっとってなんだ、何があった。」

 

「まあ、疲労骨折の複雑骨折?みたいな。」

 

「そうか、大変だったな。それでなんだ、受取票か何かにサインすればいいのか?」

 

「いえいえ、受取票もサインも必要ございません。」

 

「え?じゃあどうするんだ?」

 

「「テメーの顔面に拳の判子。」」

 

ローブと見張りの男が、宙を舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

冥界の名家同士の婚約パーティーとあって、会場は大いに賑わっている。会場には数々のドリンクや食事が並び、まさに贅の限りを尽くしたと言わんばかりの光景だ。

だが、所詮は婚約披露宴。本当の結婚披露宴ではこれ以上の趣向がこられるはずだ。そして社交場らしく、貴族同士の会話もあちこちで見られる。こういった場における会話は、ただの世間話ではない。お互いのビジネスの近況や、政治についての意見交換もある。さらには将来のためのコネクション作りや重要な商談につながる会話も起こる。貴族社会においては往々にして、パーティー会場が政治の場になっていたりするのだ。

そんな中、レイヴェル・フェニックスは他の眷属たちをそばに置いて、顔馴染みの貴族との談笑を楽しんでいる。

 

「うふふふ。お兄様ったら、レーティング・ゲームでお嫁さんを手に入れたんですのよ。結果の見えていた勝負でしたが、見せ場ぐらいは作ってさしあげる余裕はございましたわ。オホホホホ!」

 

実際はそこまで余裕があったわけではないのは、実際にゲームを見ていればわかるのだが、相手は中継されていた試合を見てはいないのだろう。それを聞き手の悪魔は鵜呑みにしてしまっている。

その姿をリアスの眷属悪魔として招待されている朱乃たちは遠巻きに眺める。

 

「これみよがしに、言いたい放題だ。」

 

タキシードでキッチリ決めた木場が苦笑する。

 

「中継されていたのを忘れているのでしょう。」

 

そこへ、ドレスで着飾った蒼那が現れた。

 

「会長……。」

 

「私は学校の関係者ということで観戦していましたが、結果はともかく勝負そのものは拮抗、いえ、それ以上のものでした。それは誰の目にも明らかです。」

 

ダイスケがこの言葉を聴いていたら間違いなくブチ切れるだろうが、同じ場にいた上役たちも同様の意見だったという。

 

「ありがとうございます。でも、お気遣いは無用ですわ。」

 

朱乃のその言葉に、蒼那は怪訝そうな顔をする。

 

「多分、これで終わりじゃあない。僕らはそう思ってますから。」

 

「……ええ、終わってません。」

 

木場と子猫が言い終わると同時に、壇上に大きな火の手が上がる。ライザーの登場だ。

 

「冥界に名だたる貴族の皆様方!本日は貴重なお時間をさいて頂いてのご来場に、フェニックス家を代表して御礼申し上げます。」

 

ライザーが恭しく、会場の貴族たちに挨拶を述べる。

 

「本日お集まりいただいたのは私ライザー・フェニックスと、名門ゲレモリー家次期当主リアス・グレモリーとの婚約という歴史的瞬間にお立会いいただくためであります。」

 

その言葉をレイヴェルは誇らしげに聴き、グレモリー眷属たちは厳しい視線でもって聞く。

 

「さあ、ご紹介いたします!我が后……リアス・グレモリー!!!」

 

リアスの魔法陣が展開し、そこから純白のドレス姿のリアスが現れる。

紅い光が収まり、リアスが目を開けようとした、まさにその時。

 

ザザ、ザ―――……

 

突然、非常放送用のスピーカーからノイズ音が流れる。よほどの緊急時以外は使われないものだったので、会場にいる全員が何事かとスピーカーの注目した。

 

『あー、あー、マイクの音量大丈夫?ワン、ツー……はじめまして。私、霧m』

 

『いや、ふざけてないで早くやれよ。』

 

『わかった、わかった。……どーも、皆さん。知ってるでしょう?宝田大助とぉ―――』

 

『兵藤一誠でぇございます。』

 

『『おい、パイ食わねぇか。』』

 

ドッガァァァァァアアアアアアアン!!!

 

衛兵の体がドアを突き破り、会場の中に飛ばされた。それが立てる騒音と土煙に、貴族たちが何事かと視線を突き破られたドアに向ける。

誰もがそこに視線を釘付けにしていた。

すべての貴族達も。

蒼那も。

ライザーも。

グレモリー眷属たちも。

そして、リアスも。

土煙が晴れ、二人の人影が見える。

そこにいたのは紛れもない、タキシードを着たダイスケとイッセーだった。

 

「……イッセー!?」

 

リアスが突然のその登場に驚く。

俺は無視ですか、と呟くダイスケをよそにライザーが立ちはだかる。

 

「おい、貴様!ここをどこだと思っている!?」

 

それに構わず、イッセーは宣言する。

 

「俺はオカルト研究部の兵藤一誠!リアス・グレモリーの処女は……俺のモンだァァァァアアアア!!!」




子供たちもおいでぇ……パイ焼くぞぉ!!
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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