ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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艦これの夏イベ、オール丙無事クリアできました。


VS39  小猫の決断

「ブラックホール第三惑星人だっけ、あいつら結構気前がいいにゃん。自分たちの最新兵器を私たちの護衛に回してくれるにゃんて。」

 

「ま、あいつらはあいつらで思惑があるんだろうけどよ。それはそれでいろんな連中の寄合の禍の団らしいぜぃ。」

 

黒歌と美猴があっさりとメカゴジラの製造者をばらしてくれた。これでかつてアザゼルが言っていた、「映画の内容は本来来るはずであった未来である」という仮説がほぼ肯定されたことを意味することになる。

つまり、これから数々の強敵がダイスケたちの前に立ちはだかることを意味することだが、今はそれよりも目の前の三人とどう渡り合うか、という問題がある。

 

「宝田大助、そこの猿は俺に任せろ。銀色の奴はお前と浅からぬ縁と聞く。いっそここで決着をつけろ。」

 

「言ってくれるじゃねぃかい、元龍王!だったら思いっきり暴れまわってやらぁ!」

 

そう言って再び筋斗雲に乗り美猴はタンニーンに向かっていった。激しい空中戦が繰り広げられる中、ダイスケは言う。

 

「イッセー、お前は部長と一緒に小猫をあのアマから守ってくれ。……頼んだぞ!」

 

ダイスケは鎧を展開して地面を蹴り、メカゴジラに肉薄しようとする。が、想定していたタイミングよりも早くメカゴジラが目の前に来る。

 

「――なっ!?」

 

「力の使い方を覚えたのはお前だけではない。」

 

とっさに組み合いながら、メカゴジラが言う。同じことをしてきたのだ。つまり、莫大な筋力の利用法をむこうも身に着けたということだ。

 

「ならよ!」

 

ダイスケは熱線剣を生み出してそれを袈裟懸けに切りつける。しかし、メカゴジラは避けようともしない。それもそのはず、熱線剣は装甲にあたると同時にその威力を散らされてしまった。

その改良された装甲の形状が、通常の熱線のほかにも剣の形を得た熱線剣をも散らしてしまったのだ。

 

「……だけかと思ったかよ!」

 

熱線剣が効果がないと判断してすぐに、ダイスケは背鰭を引きちぎって鰭斬刀を作り出す。メイスを使うことも考えたが、爆発の威力も受け流されると判断した結果だ。

左斬上げで斬りつけるが、メカゴジラが手にした何かに阻まれる。

 

「ミサイルパイク。実装されたばかりの新兵器だ。」

 

形状としてはフィンガーミサイルを引き延ばしたような形で、その先端は鋭くとがっている。なるほど、確かにパイクである。

そのパイクで鰭斬刀を弾くと、すぐさま持ち替えて鋭い突きを繰り出してダイスケの胸に突き立てる。強靭な装甲に阻まれた、と思った瞬間、パイクの先端が爆ぜた。

 

「なに!?」

 

その爆発の威力でダイスケの装甲に罅が入り、過たずそこへもう一度突きが繰り出され、再び爆ぜる。

 

「がっ――」

 

先ほどと違い内側で繰り出された爆発は確実にダイスケの肉体にダメージを与える。当然流血し、それが気道に入ってダイスケは喀血する。だが、やられたまま終わるダイスケではない。

 

「おらぁ!」

 

鰭斬刀による突き。それは一撃でメカゴジラの装甲を突き抜け、体を貫通する。

 

「侵略用サイボーグさんよ、ずいぶんといいモン持ってるけどそれで何するつもりだ?」

 

「決まっている。地球人の排除とブラックホール第三惑星人の繁栄。」

 

しかし、それにも拘らずメカゴジラはパイクの先端を爆発させ続ける。その報復にダイスケは鰭斬刀を引いて押してを繰り返して傷口を広げようとする。

 

「じゃあ、それでお前に知恵をつけてくれた霧香はどうなる!?」

 

「それは――不本意だが死ぬことになる。」

 

「本当にわかっててやってるのかよ、お前は!?」

 

しかし、互いに優れた回復力によって傷ついてすぐに回復するという無限地獄に陥る。そこでダイスケは相手を蹴り飛ばして一旦距離をとろうとするが、どうやら同じことを考えていたらしく、互いに蹴りあって距離をとる結果になる。

互いに森の奥へと飛んでいくが、ダイスケは急いで空中で体勢を立て直し着地、その脚部に込めた靭力と熱線噴射の反動でもといた場所へ急ぐ。そしてイッセーとリアス、小猫の眼前にはSS級はぐれ悪魔である黒歌が立ちふさがる。

 

「にゃん♪」

 

一見ふざけているように見えるが、その瞳にこもった殺意と全身から放つ殺気はイッセーも感じられるほど濃密であった。状況としては三対一、一見すればイッセーたちが有利なように見えるが仙術と妖術という対処困難な攻撃手段を持つ黒歌に対しては数の上の不利など問題ではないのだ。

そんな中、小猫が言う。

 

「……姉さま。私はそちらへ行きます。だから、部長たちは見逃してあげてください。」

 

「なっ!?何を言って――」

 

「何を言っているの、小猫!?」

 

イッセーよりも強く反応したのは主であるリアスである。

 

「あなたは私の下僕で眷属なのよ!勝手は許さないわ!」

 

「……ダメです。姉さまの力を私が一番よく知っています。姉さまの力は最上級悪魔に匹敵するもの。いくら部長たちでも、幻術と仙術に長けている姉さまを捉えきれるとは思えません……。」

 

「いえ、それでも絶対にあなたをあちら側に渡すわけにはいかないわ!あんなに泣いていた小猫を目の前の猫又は助けようともしなかった!」

 

「だって、妖怪が他の妖怪を助けるわけないじゃない。ただ、今回は手駒が欲しいから白音が欲しくなっただけ。そんな紅い髪のお姉さんより私のほうが白音の力を理解してあげられるわよ?」

 

おどけた様子でいう黒歌に、リアスは怒りを燃やす。

 

「黒歌……。力におぼれたあなたはこの子に一生消えない心の傷を残したわ。私が出会ったとき、この子に感情なんてものはなかった。小猫にとって唯一の肉親であったあなたに裏切られ、頼る先を無くし、他の悪魔に蔑まれ、罵られ、処分までされかけて……。この子は辛いものをたくさん見てきたわ。だから、私はたくさん楽しいものを見せてあげるの!この子はリアス・グレモリー眷属の『戦車』塔城小猫。私の大切な眷属悪魔よ!あなたには指一本だって触れさせやしないわ!」

 

「しかし、リアス・グレモリー、家族は家族と共に生きるもの。それが普通。俺はそう学んだぞ。」

 

一足先に舞い戻ったメカゴジラが言う。

だが、森の奥から放たれた熱線によってふたたびメカゴジラは森の奥へと消える。

 

「……地球外のサイボーグ風情が知った風に言うんじゃねぇよ。」

 

そこへ結界の端まで飛んで行ったダイスケが戻ってくるなり言い放つ。

 

「小猫ォ!さっき言ってたアフターサービス、ほんとはイッセーにお前を任せるだけのつもりだけだったけど、俺からも背中を押してやる!」

 

一拍置き、呼吸を整えるとダイスケは言葉を放つ。

 

「誰も自分自身の力から逃げることはできない。どこまで逃げても自分は自分についてくるからだ。みんな自分の“毒”と向き合わなきゃならない時が来るんだよ。それでお前が姉ちゃんについて行ってその手駒として自分の力と向き合うっていうんなら俺は別に止めない。」

 

でもなぁ!とダイスケは続ける。

 

「自分見捨てた姉貴に道具として利用される人生なんてクソ以下だ!いくら時間が掛かったっていい、お前は部長の役に立ちたいんだろう?自分を拾ってくれた恩に報いるために!おまえが自分で言ったことだ!だからオーバーワークなんてした。だから悔しくってお前は泣いた!」

 

小猫は涙を流し、コクン小さく頷く。

 

「だったらもう、本当の答えは出てるじゃねぇか。」

 

そう言って、ダイスケはイッセーにアイコンタクトする。それに気付いたイッセーは、小猫に手を差し出した。

 

「小猫ちゃん。俺、前にダイスケに褒められたんだ。お前はバカだけどいい奴だって。いい奴かどうかはわかんないけど、確かに俺はそんなに頭は良くない。でも、困ってる仲間のためなら体を張ることはできる。小猫ちゃん、もしこの手を取ってくれるんだったら、俺は仲間である君のためにいくらでも体を張るよ。自分の才能を開花させられなくても、その時はその時。一緒になってない頭を絞るよ。だから――一緒にリアス部長の眷属でいよう。」

 

差し出されたイッセーの手。その手を、小猫は掴んだ。そして、その心の内を吐露する。

 

「行きたくない……。私は白音じゃなくて塔城小猫。黒歌姉さま、あなたと一緒に行かない、行きたくない!私はリアス部長やイッセー先輩と一緒に生きる!生きるの!」

 

それが、小猫の答えであった。だが、黒歌は一度苦笑した後、冷酷に宣言する。

 

「そう――じゃ、死ね。」

 

その冷笑と言葉と共に、黒歌がすぅっと伸ばした指先から黒い霧が流れてくる。流れはゆったりとしていながら、黒い霧はあっという間に周囲を覆い尽くし、今にも結界内の森全体を飲み込むほどの勢いで広がっていった。

無論霧はダイスケたちも覆い、それを吸ってしまったリアスは――

 

「――あ。」

 

力なく、小猫と共に崩れ落ちる。

 

「部長!小猫ちゃん!」

 

イッセーが二人のもとへ駆け寄り、ダイスケも続こうとするが、それはメカゴジラに阻まれる。

 

「行かせると思うか?」

 

「……だろうな!」

 

そのまま、二人は刀とパイクの激しい打ち合いにもつれ込む。斬撃を刺突が、刺突を斬撃が受けあう激しい攻防に発展する。そんな中でもダイスケは冷静に分析する。

先ほどの霧は間違いなく毒霧だ。それも、自分に影響がないところを考えると悪魔用に特化した毒霧だろう。イッセーの方に影響がないのは赤龍帝を有しているからだろうが、SSランクはぐれ悪魔に対する戦力が二人もやられてしまったのは痛い。

 

「まいた量は薄くしておいたからすぐに死ぬってことはないにゃん。全身に回るのはもっともっと苦しんでから。あっさりなんて殺してあげない、じーっくり時間をかけて殺してあげるにゃん♪」

 

いつの間にか高い木の枝の上に座りながら、黒歌は言う。

 

「このッ……!」

 

そこへめがけてリアスは毒にむしばまれた体で魔力の塊を放つ。見事に命中するものの、黒歌の体はまるで煙が掻き消えたように霧散する。

 

「いい一撃ね。でも無駄無駄。幻術でいくらでも自分の分身くらい作れるのよ。」

 

木霊する黒歌の声とともに、次々とその分身が現れる。

 

「イッセー!お前、オーラを読むのが上手くなったんだろ!?どれが本物か探すんだ!」

 

「わかってる!でも、どれも本物と同じオーラを纏っていて判別できないんだ!」

 

周囲を必死に本物の黒歌を探して見回るイッセーが叫ぶ。残念ながらダイスケにはオーラを読む技巧は身についていない。どうやら相当な気の使い手でない限り探知は困難らしい。

いっそ熱線で周囲を焼き払おうかとも考えたがここは結界の中。暴発して味方も巻き込む危険性があるうえに、目の前にはメカゴジラがいる。そんな余裕はない。

 

「ブーステッド・ギア!」

 

とにかく応戦するためにイッセーは籠手を出現させる。しかし、その宝玉に輝きは無く、いつも聞こえてくる音声も聞こえない。

 

『……相棒、神器が動かん。非常にあいまいな状態になっている。』

 

「な、なんで!?」

 

『修行の結果、成長の分岐点に立ったのだ。あと一押し、何かが強烈なひと押しがあれば先に進めるはずなのだが、その変化がただのパワーアップか禁手なのか分からない。システム自体が混乱している。こんなチャンスはめったにない、なんでもいい!お前にとっての劇的な変化をくれ!中途半端な刺激ではただのパワーアップ止まりだぞ!』

 

「ド、ドライグ、今はとりあえずパワーアップで、次の機会に禁手ってできないのか!?」

 

『いや、こんな状態次にいつなるかわからない。下手をすれば一生もう巡ってこないかもしれないぞ。』

 

とんでもない状況でとんでもない分岐点に立ったものである。その劇的な一歩が何かわからないからこそ修行に失敗したというのに、今ここで決めろとはずいぶんと無茶な話だ。しかし、悠長なことを言ってられないのも事実である。敵がこんな格好の標的を見逃すはずがない。

 

「あらん?赤龍帝ちゃんは不能かにゃん?でーも、こっちには関係ないにゃん♪」

 

幻影の一つ――本体かも知れないが――が動けないリアスと小猫に向けて濃密な破壊の魔力の塊を放つ。急いでイッセーは盾になり、リアスと小猫を狙った魔力の身代わりとなる。

 

「ぐはっ――」

 

殺すつもりの一撃がまともに当たったのだ。その威力にイッセーは肺からすべての空気を押し出してしまう。おかげで制服の前部分は完全に剥げてしまい、弾着痕には痛々しい痣と血がにじむ。

 

「イッセー……。」

 

リアスが自分の盾なったイッセーに近づこうとする。しかし、その姿はあまりにも弱々しい。

 

「だめです、動かないで!なーに、こんなのへでもありま――」

 

言い続けようとした瞬間に、次弾がイッセーを襲う。不意打ちの一発だったのでダメージも痛みも先ほどの非ではない。

 

「よっわ。こんなのがヴァーリのライバルなわけ?」

 

せせら笑う黒歌の幻影。

そこに、ダイスケの熱線が直撃して幻影をかき消す。

 

「俺のダチを……嗤うなァ!」

 

どれが本物だかわからないが、メカゴジラとの打ち合いのさなかダイスケは黒歌を狙った。当然、隙が生まれる。

一瞬を見切ったメカゴジラの一撃がダイスケの腹部に突き刺さる。そして、爆発。

 

「……なぜあの弱者にこだわる。いざという時に力を発揮できないものは、戦場ではすぐに唾棄されるものだ。」

 

「そうかもなぁ……だけど、そんな奴に期待しちまうのが人間なんだよ!」

 

ダイスケは身を前に推し進め、爆発するパイクの穂先を体外から突き出させる。そして、メカゴジラのわき腹に爪を突き立て、奥の肉にまで食い込ませた。これでともに動くことはできない。

 

(頼むイッセー……こいつだけでもなんとか抑えるから至ってくれ!!)

 

そのダイスケの姿をイッセーは見て涙を流す。自分が力に目覚めたのは、いつだって誰かが傷ついてからだ、と。

アーシアは死にかけた。リアスは一度泣いた。そして今度は小猫とダイスケが――。だが、それではだれも救えない。誰かが傷ついてから力が目覚めることほどつらいものはない。

 

「誰も……やらせねぇぇぇぇっ!」

 

立ち上がるイッセーだが、またもう一撃見舞われる。今度は一瞬意識が飛んだ。しかも、その威力でイッセーの体は後方へ吹き飛び、巨木に激突し、地面に倒れ伏す。。

悔しさで涙が止まらない。それでも、何とかしてリアスと小猫の傍へ這いより、気合を入れて再び立ち上がる。足には激痛が走る。当然震えもあるが、それでも立ち上がる。だが、それでも悔し涙だけは止まらなかった。

 

「あんたが小猫ちゃんのお姉さんでも……俺は小猫ちゃんを泣かす奴は許さない……。」

 

「はっ、こんなよわっちい奴にそんなこと言われるだなんて、白音もたいへんねぇ。もっとかっこよくて強い白馬の王子様が言ってくれるならともかく、あんたみたいに泥まみれ血まみれの奴が言っても女の子は引くだけだにゃん♪あー、きもいきもい。」

 

そんな発言をした黒歌の幻影に、銀色の何かがぶつかってくる。ダイスケが投げたメカゴジラだ。

 

「黙ってろ、あばずれ。今の世の中必要なのは熱血系の主人公なんだよ。ただの綺麗だけなイケメンなんざお呼びじゃないんだクソが。」

 

投げ飛ばされたメカゴジラは再び戦闘態勢を取り、今度は距離を離してダイスケと対峙する。互いの手が決定打になりえない以上、互いにけん制しあうしか手がなくなってきたのだ。

 

「イッセー先輩……。」

 

そんな中、小猫がイッセーに呟く。その呟きに、イッセーは苦笑しながら答える。

 

「ごめんな、こんな情けない奴で。歴代の赤龍帝ってさ、みんな短時間で禁手に至れたってさ……。何か月もかかってるのは俺だけだって。わかってた、わかってたんだよ。赤龍帝の力が宿っていても、俺自身がだめなんだ。だから、小猫ちゃんに役に立てない……せめて壁になれればッて思ってたけど――俺は才能のないダメ悪魔なんだよ。」

 

しかし、小猫は首を横に振る。

 

「……ダメじゃないです、イッセー先輩はダメじゃないです。知っていますか?歴代の赤龍帝はみな力に溺れたって。……姉さまと一緒です、例え力があっても、優しさがなければ……必ず暴走してしまう。イッセー先輩はやさしいです。力が足りなくても、それはとても素敵なこと……きっと、歴代でも初めてのやさしい赤龍帝です。」

 

だから、と小猫は毒に苦しみながらも笑みを作って言う。

 

「イッセー先輩はやさしい『赤い龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)』になってください……。」

 

その言葉で、イッセーは何かに気付く。何かがわかったのだ。

 

「……部長。俺、自分に何が足りなくて禁手に至れないか、わかった気がするんです。恐らく――部長の力が必要になります。」

 

「……わかったわ!私でよかったら力を貸すわよ!いったい何をすればいいの!?」

 

神が作りしシステムをも転換させるイッセーにとっての特異点。それは――

 

「――おっぱいを、つつかせてください。」

 

誰もが絶句した。

 

「バカか!?お前はバカなのか!?」

 

「赤龍帝、いくらなんでもそれは公序良俗に反する。破廉恥な行為だ、と俺は学んだぞ。」

 

ダイスケからも、そしてメカゴジラからも常識を疑われるイッセーの要求。しかしリアスは――

 

「……わかったわ。それであなたが至れるなら……。」

 

そう言いながら、リアスは胸元をはだけさせようと脱ぎ始める。

 

「部長!?ひょっとして毒が頭にまで回ってる!?」

 

「オリジナル、一つ聞きたい。彼らのこの行動は本当に意味があるのか?そして俺は彼女の羞恥心の為にカメラと視覚センサーをオフにするべきなのだろうか。」

 

「お前どこまで地球の常識身に着けてるんだよ!?そして感性は意外とまともなのな!」

 

そう言いながらもダイスケは自分の背中にリアスが隠れるように移動してやる。

 

「礼を言う、オリジナル。正直、どうしたらいいか困っていた。」

 

「俺だって困惑してるんだよ、バーカ!!」

 

一方、イッセーはまさかリアスが快諾してくれるとは思っていなかったので非常に焦っている。

 

「ほ、本当にいいんですか!?自分で言っておいてなんですけど、つつくんですよ、部長の胸の先端を!?」

 

「い、いいからっ。恥ずかしいのだから早くしなさい……!」

 

本来毒が回って顔が真っ青になっていたリアスだが、今度は羞恥心で顔が真っ赤になっている。

 

「お、おい!お前たち戦いの最中に何をやっている!?」

 

繰り広げられるとんでもない光景に驚くのは美猴と空中戦を繰り広げていたタンニーンである。

 

「おっさん、ダイスケ!俺が乳をつつく間もってくれよ!」

 

「はぁ!?乳を!?乳をつつく!?お前はこの状況で何を言って何をしようというのだ!!」

 

「つつけば俺の何かが激しい反応をしてその影響で禁手になれるかもしれないんだ!」

 

「俺との修行は無駄なのか!?まさかお前がそこまでバカだったとは!」

 

無論、困惑しているのは味方だけではなく――

 

「ねぇ、美猴!あれは何の作戦なのかしら?あの貴族のお嬢様、自分の胸をさらけ出しているわ。」

 

「そんなん俺っチがわかるかい!赤龍帝の思考回路は俺ッチたち常人とは別次元にあるんだろうよ!」

 

敵からも異常者扱いされるイッセーだが、いざ実行しようとするととてつもない問題が自分の前に立ちふさがっていることに気付く。

 

「ダ、ダイスケ!おっさん!大変だ!」

 

「今度はなんだ!?」

 

「右の乳首と左の乳首、どっちを押したらいい!?」

 

「「知るかぁぁぁぁぁ!!」」

 

互いに敵と対峙しなければならないのにバカな質問をされたので怒り心頭である。

 

「そんなもんどっちも同じだろうが!俺との修行をフイにしやがって、こうなったらさっさとつついてさっさと至れぇぇぇぇぇ!!!」

 

「確かに男として理解は少しできるけれども!ここまで来たらどっちでもかわらねぇだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「バッカ野郎ゥ!!俺にとっちゃ人生最初で最後のファーストブザーだぞ!!人生かかってるんだよ!そして理解してくれてありがとうな、ダイスケ!!」

 

「いらんわ、そんな感謝!!」

 

思わずダイスケはイッセーの足元に熱弾を放つが、一切イッセーは気にならないくらい目の前の乳に集中している。

 

「部長、おすすめは!?」

 

「もう、バカ!それなら同時につつけばいいでしょ!?」

 

「――その発想はなかった!!」

 

主の言う通り、イッセーは自分の両人差し指を主の乳首に狙いを定め、あやまたずつつき、押し込む。

本来黒歌の攻撃のせいで立つのも限界という状態だったが、この信じられない状況が信じられない活力を与えてくれる。

 

ずむっ

 

ダイスケは背中を向けていたので本来はこの光景が見えないし、音も聞こえないはずであるのにそんな音が聞こえるような気がした。事実、その瞬間イッセーの両人差し指はリアスの乳首を見事につついていた。

確実に、的確に、しかし優しく、慎重に指先が埋もれていく。その感触と事実に興奮し、イッセーは盛大に鼻血を吹き出す。その時、誰にも聞こえなかったが、イッセーには聞こえていていたリアスのこの声。

 

「――ぃやん。」

 

聞き逃さなかった。イッセーは聞き逃さなかった。アザゼルが言っていた、「女の乳首はブザーと同じ」という言葉は真実だったのだ。この世の理の中心であったのだ。今、イッセーにとっての世界の中心は、間違いなく乳首だった。

そして、見えた。それは――宇宙の始まり――

 

『――至った!本当にこれで至りやがったぞォォォ!!!』

 

驚愕するドライグ。そして、真実に目覚めた力は産声を上げる。

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!! 』

 

くすんでいた宝玉に光が戻ると、今までにない高揚感と共に信じられない規模のオーラが体内から噴き出して鎧を形成していく。

 

「……最っ低です。やさしいどころかやらしい赤龍帝だなんて……。」

 

毒のせいもあるだろうが、目の前で起きた最悪の覚醒劇に、小猫は顔を青ざめて突っ込みを入れる。心の内でイッセーはごめん、と謝り、そして最後のヘルメットとマスクが装着され、完全な鎧姿となった。

 

「禁手、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』ッ!主のおっぱいつついてここに降臨!!」

 

その瞬間、ギャグにならない衝撃波が起こる。物理エネルギーと化したイッセーのオーラがクレーターを作ったのだ。

 

『相棒、おめでとう。しかし酷い。そろそろ泣いていいか?』

 

冗談ではなく涙声のドライグである。

 

「ああ、ありがとうよ。そんでもってごめん!で、首尾はどうよ?」

 

『時間にして三十分は禁手を維持できる。鍛錬の成果だな。弱いお前の初めてにしてはなかなかのものだ。』

 

「マックスの倍増出しでどれくらいいける?」

 

『マックスで放てばそのたびに五分消費すると思え。最大で五回、その他の行動を考えると六回もない。譲渡も同じだ。』

 

「じゃあ、うまいこといけば十五分は戦えるかな。」

 

『いや、そんなにいらん。ほれ、試しにいつものように魔力を放ってみろ。』

 

イッセーは言う通りに腕を突き出し、黒歌に向けて精進を合わせ、魔力を放つ。すると、赤い閃光と共に今まで見たことのない力の奔流が放たれる。遥か彼方に着弾した魔力が爆ぜて、その爆風が発射地点にまで届く。

その一撃で毒霧も晴れるが、自分で起こしたことにイッセーは自分で驚きを隠せなかった。

 

「おお、久しいな、この赤い一撃!兵藤一誠、はるか先にある山が一つ今ので消し飛んだ!結界も掻き消えたぞ!」

 

上空にいるタンニーンが愉快そうに告げる。

 

『全身のオーラを集束して放つ一撃だ。見た通り倍加しなくてもこの威力をもつ。まあ、貯蔵量が少ないから連射はできないが。』

 

その一撃を見たダイスケも圧倒されたが、同時に対抗心も湧いてくる。

 

「おい、俺の偽物。」

 

「……なんだ。」

 

「実は俺がさっきまで使ってた熱線は半分以上威力をセーブしていてな。結界の中で撃つと暴発して危険だと思ってたんだが――」

 

そう言うあいだ、青いエネルギーの塊がダイスケの右手に出来上がる。

 

「案外そうでもなかったみたいだから本当の威力で撃たせてもらうわ。」

 

無論、全力で撃つ場合は口から放つのだが、一切力を抑えていない、鳶雄に向けてはなっていた威力の一撃をダイスケは放つ。

すると、放たれた一撃はメカゴジラに見事に命中し、それでも威力は衰えずにメカゴジラの体を一気に押し出す。その威力は殺されることもなく遥か彼方にメカゴジラを追いやり、遥か彼方の山が一つ粉砕された。

 

「フハハハハ!共にいい塩梅に仕上がっているではないか!!しかしあの銀色の、あれでまだ壊れんとはずいぶんと頑丈だな。敵ながら大したものだ。」

 

その本来の威力の熱線も受けていたであろうタンニーンが過去を思い出したのか、戦いの最中であるのにもかかわらず大笑いをする。しかし、笑っていたのはタンニーンだけではなかった。

 

「アハハハハ!」

 

黒歌である。

 

「面白いじゃないの!それなら、妖術仙術ミックスの一発をお見舞いしてあげようかしら!」

 

黒歌の両手に、それぞれ違う波動を持つ力が放出されてないまぜになる。その異なる力の融合体がイッセーめがけて放たれた。

しかし、その一撃はイッセーを正確にとらえるも傷一つつけることも叶わなかった。

 

「――こんなもんか?」

 

事実、受けた本人としては全くダメージを受けていないのだ。脅威と言われた妖術と仙術を同時に受けて無傷であったのだから余裕の一言も出てくる。

 

「……調子に乗らないでよ!!」

 

黒歌は表情を一変させて驚くも、先ほどと同じ波動の攻撃を何度も撃ち出す。しかし、イッセーはそれにかまわず一気に黒歌との距離を埋める。

何発も何発もイッセーに直撃打が当たるも、それらすべてを禁手に至った鎧が弾いてしまう。そして、距離を詰めたイッセーは黒歌の顔面に向けて一撃を放つ。しかし、わざと顔前でイッセーは拳を止めた。

 

「俺のかわいい後輩、泣かせるんじゃねぇよ……ッ!」

 

「――ッ。」

 

「次に小猫ちゃんを狙った時、俺はこの拳を止めることはない。あんたが女だろうが、小猫ちゃんの姉さんだろうが関係ない。あんたはもう、俺の敵だッ!!」

 

イッセーが拳を収めると、黒歌はすぐさま後方へ飛び退き、距離をとった。

 

「……クソガキがッ!」

 

毒づいてみせる黒歌であったが、その瞳には怯えの色があった。禁手に至っているという事実と、フルスケイルメイルが放つ威圧感がそうさせているのだ。

しかし、それを見て誰もが威圧されるというわけではない。美猴が哄笑をあげる。

 

「ヒャハハハハ!こいつはいいや、ドラゴンの親玉が二匹!おまけに怪獣も!これを楽しまなきゃウソってもんだぜぃ!!」

 

如意棒を回し、美猴はますます戦闘継続の意思を見せる。だが、先ほどのイッセーの一撃で毒霧が晴れ、その御陰でリアスと小猫の調子も戻ってきている。このまま上手く持てば、五対二に持ち込めるうえに、結界も消えたので悪魔の増援も来るだろう。

そんな希望が見えた時、突如空間に裂け目が生まれる。その裂け目から、一人の眼鏡をかけた美青年が現れた。手には直剣を持っており、腰にはもう一振りの剣が携えられている。その両方の剣から、聖なるオーラが放たれていた。

 

「そこまでです、美猴、黒歌。他の悪魔たちが感づきましたよ。」

 

美猴と黒歌に親しげに話す様子から、青年が彼らの仲間、つまり禍の団のメンバーであることがわかる。その青年の姿を確認した美猴は空中から降りてくる。

 

「あれ、おまえはヴァーリと一緒じゃなかったのかぃ?」

 

「あなたたちが遅いから様子を見に来たんですよ。そしたらこの状況だ。まったく、何をしているのやら。」

 

ため息をつく青年。その姿に殺気は感じられなかったが、何かを察知したタンニーンが叫ぶ。

 

「全員、そいつに近づくな!手にしてる得物が厄介だぞ!」

 

その刀身を一目見たタンニーンは、焦りの色を隠せない。

 

「あれは聖王剣コールブランド、またの名をカリバーン。エクスカリバーやデュランダルを差し置いて地上最強の聖剣と称されるコールブランドがまさか白龍皇のもとに下るとはな……。」

 

コールブランド。エクスカリバーと同一のものともされる、アーサー王伝説に登場し、ペンドラゴンの血統の者でないと扱えないという聖剣中の聖剣。それが剣のみならず使い手までもがテロリストになったという事実に、タンニーンは苦笑せざるを得なかった。

 

「しかしもう一振りはなんだ?見たところ相当な名剣と見たが。」

 

タンニーンの疑問に、青年はその件の剣に手をのせて言った。

 

「こっちは最近発見されたものですよ。そう、これこそが行方不明になっていた七本中最強のエクスカリバー、『支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)』です。」

 

最強の聖剣に続き、最後にして最強のエクスカリバーまでもがこの青年の手中にあるという事実に、タンニーンのみならずイッセーたちも驚きを隠せなかった。

 

「あら、そんなに話して平気なの?」

 

黒歌の問いに、青年は頷く。

 

「いいんです。私自身、そちらの聖剣使いと聖魔剣の使い手に大変興味がありましてね。赤龍帝殿、あなたからご友人のお二人によろしくと伝えていただけませんか?私の名はアーサー・ペンドラゴン。いずれ一剣士として相まみえたい、と。」

 

そこまで言うと、アーサーはコールブランドで裂け目をさらに切りつける。すると、三人ほど通れそうなほど、空間の裂け目が広がっていった。

 

「さて、逃げますか。」

 

そう言うと、三人は空間の裂け目に身をひそめる。が、それを見逃すダイスケではない。

 

「無傷で行かせるかよ!」

 

そう言って掌から熱線を放つ。が、着弾する瞬間にアーサーは支配の聖剣を振い、熱線をかき消した。

 

「『支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)』はあらゆる事象を支配する。それはあなたの自慢の熱線も同じですよ、怪獣王。支配を受けたくないのなら、もっと本気の一撃で来るべきだ――それではさようなら、赤龍帝に怪獣王。」

 

アーサーはそれだけ言うと、空間の裂け目は消えた。

ダイスケはメカゴジラが消えた方向に目を向けると、天に向けて一つの光が帰っていくのが見えた。

すべては、終わったのである。その後、押っ取り刀で駆け付けた悪魔たちに保護され、魔王主催のパーティーは結果的に禍の団の襲撃によって中止となったのである。

 

 

 

 

 

 

「失態ですね。」

 

魔王領にある会議室で、堕天使副総督であるシェムハザは開口一番にこう言った。隣にいるアザゼルは心中でほどほどにしてほしいと願いながら茶を飲んでいる。

シェムハザが失態としたのは冥界指名手配中のSS級はぐれ悪魔がパーティーに個人的理由でちょっかいをかけていた件についてだが、まさか誰もこのような事態を想像だにしていなかっただろう。結果的に事態は最小限に収まったが、催しの場の隙を突かれた、という点は悪魔の警戒体制の是非を問うものだ。

だが、危機管理に関しては堕天使側にも問題があった。何せ総督本人がカジノに夢中で事態に気付けなかったなど他の堕天使幹部やセラフがいるこの場で口が裂けても言えない。

 

「相手は禍の団独立特殊部隊『ヴァーリチーム』の美猴と黒歌、さらに聖王剣コールブランド使いも関与。一人一人が強力な力を有するチームの内の三名も現れるとは。大体、悪魔の危機管理能力には――」

 

またか、とアザゼルは顔を手で覆う。何せこのシェムハザ、一度小言が始まると長いのだ。

確かに危機管理に関しては今後の課題となるだろう。だが、大局的に見れば死傷者はゼロ、毒を受けたリアスも小猫も無事でおまけに赤龍帝のイッセーは禁手に至れた。全体を見れば大きな収穫となったのは確かで、そのあたりは全員承知している。

遠くの席では魔力で体を小さくしたタンニーンが上役たちともうすぐ開かれるリアスとソーナの一戦を予想していた。

 

「俺はリアス嬢を応援させてもらう。何せ俺が直々に鍛えこんだ赤龍帝がいるのでな。あいつは面白いぞ。何せ戦いの最中に乳をつつくんだ。」

 

「アザゼルがもたらした知識はレーティング・ゲームに革命を起こしそうだよ。下手をすれば半年以内に上位陣のランキングに変動が起こるかもしれない。」

 

「それはいい。ここ十数年はトップ十名に変化がなかったものですから。これからはさらに面白いゲームが見られそうだ。」

 

そんな話をしているとき、一人の隻眼の老人が室内に入ってくる。

 

「ふん、若造どもは老人ひとりの出迎えもできんのか。」

 

その蓄えた白いひげは床に届きそうなほど長く、頭には古ぼけた帽子をかぶっている。杖をついてはいるが、その腰は真っ直ぐだ。アザゼルはその姿を認めると悪態をついた。

 

「おーおー、久しぶりじゃねぇあか、北の田舎のくそじじいことオーディンさんよ。」

 

北欧神話の主神、オーディン。戦争と死の神でもあり詩文の神でもある。魔術に長け、知識に対し非常に貪欲な神であり、自らの目や命を代償に差し出すほど。その主神が二人の鎧姿の戦乙女(ヴァルキリー)を伴って突然現れたので会議室は騒然となる。

 

「久しいの、悪ガキ堕天使。長いこと敵対していた相手と仲良くやっておるようじゃが……また小賢しいことでも企んでおるのか?」

 

「ハッ、しきたりやら何やらで雁字搦めの古臭い田舎の神様とは違って俺たち若人は至高が柔軟でね。わずらわしい敵対関係よりも己の切磋琢磨発展向上を選んだのさ。」

 

「それはまた弱者らしい負け犬の精神じゃて。所詮は親たる神と魔王を失った小童どもの集まりよ。」

 

「……子供の独り立ち、とは考えられないのかねぇ。頭の固いくそじじいには無理な話か?」

 

「すまんが悪ガキどものお遊戯会にしか見えんでな。乾いた笑いしか出ぬわ。」

 

罵詈雑言の応酬に嫌気がさしたアザゼルに代わり、サーゼクスが前に出る。

 

「お久しゅうございます、オーディン殿。」

 

「サーゼクスか。ゲーム観戦の招待、来てやったぞい。しかしおぬしも難儀よな、本来のルシファーの血筋が今やテロリストとは。悪魔の未来は前途多難じゃの。」

 

オーディンは皮肉を言うがサーゼクスはそれに関わらず笑顔のままだ。

 

「時にセラフォルー、その恰好はなんじゃいな?」

 

「あら、オーディン様はご存じでない?これは魔法少女の格好ですよ!」

 

相手が相手であるにもかかわらず、相変わらずのセラフォルーはオーディンの目の前でポーズをとる。

 

「ほう、最近の魔術界隈はこういうのが流行っているのかの。しかし、これは中々……ふむふむ、ほうほう。」

 

セラフォルーを嘗め回すのその視線はイッセーに負けず劣らずのスケベ心全開だ。そこへ遮るように銀髪のヴァルキリーが割って入り、金髪のヴァルキリーがあろうことかオーディンの首筋に剣を添える。

 

「オーディン様、卑猥なことはいけません!アスガルドの名が泣きます!」

 

「そうよ、おじい様。あんまり外に恥を知られるようならラグナロクの前にその首を切り落とすわよ。」

 

「まったく、お前らは固いのう。そんなんだから勇者(エインヘリヤル)の一人もモノにできんのじゃ。」

 

その一言に銀髪のヴァルキリーは泣きだし、金髪のヴァルキリーは憤慨した。

 

「ど、どうせ彼氏いない歴=年齢のヴァルキリーですよ、私は!!私だって彼氏欲しいのにぃぃぃ!うぇぇぇぇぇぇん!!」

 

「私はロセと違って作れないじゃなくて作らないのよ!お父様のように強い勇者(エインヘリヤル)じゃないといやなの!!!」

 

その二人の様子に流石のオーディンも嘆息を漏らす。

 

「おいおい、なんなんだよ、このヴァルキリーたちは。」

 

「見苦しいものを見せたの、アザゼル。なにせこやつら方や器量はいいが堅い、方や高望みで男が寄ってこんでの。そのおかげでわしのお付きじゃ。」

 

「それでいいのかよ、ヴァルハラの人選……。」

 

「それはそうとして、今回のゲームではあの怪獣王を宿した者も出るそうではないか。いやじゃぞ、暴走してあの時の二の舞になるのは。あやつめ、専用に作り直したグレイプニルすら引きちぎりよってからに。トールの雷を吸収しよったときは本気で焦ったぞい。」

 

そう言うオーディンに、サーゼクスが残念そうに言う。

 

「それが、今回は残念ながら彼は出場できそうにありません。」

 

「なんじゃ、レーティング・ゲームのシステムに障害でも出たか?」

 

「いえ、日本政府から、彼を貸すように要請が来ました。例の……招かれざる宇宙からの訪問者についてです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイスケはひとり、グレモリー邸前の駅で列車を待っていた。

本当であればリアスとソーナの一戦に、自分もリアス側で出場して異種族も参加する未来のレーティング・ゲームの範となるはずだった。しかし、サーゼクスからダイスケに急遽日本に帰る旨を伝えられたのだった。

その内容は、日本の伊豆半島で自衛隊のレーダーが一瞬未確認の飛行物体を探知した、というものであった。

超音速で飛ぶそれの大きさはほぼ人間大。未知のステルス機という可能性もあったが、日本国内ということを考えればありえない話である。それら条件と照らし合わせて裏の世界も含めて現在知られている人間大の未確認飛行物体といえばメカゴジラしかいない。

しかも時刻はダイスケが確認した逃走するメカゴジラを視認した後で辻褄もあっている。さらに関連性は分からないが、現在伊豆半島で不可解な現象が多発しているとのことらしい。

美猴が言っていた「ブラックホール第三惑星人」という単語のこともあり、その関連が疑われる中、ダイスケはすでに二回メカゴジラと戦った戦闘経験者であるオフィサーとして協力してほしい、というのが日本政府の要請であった。

さらに、行方不明になった北村のこともある。連絡が来なくなり、気になって彼の自宅に行ったものの鍵はかかったままで新聞受けの配達物が詰まっていた。一応、アザゼルに頼んで堕天使の情報網で行方を調べてもらったが、駒王学園襲撃の夜以降に行方知らずとなったこと以外分からなかった。

行方不明になったタイミングが駒王学園襲撃の夜ということもあって、まさか関連があるのではないかとどうしても疑ってしまう。

それらを含めてダイスケとしては断る理由はない。いっそこれをメカゴジラと決着をつける機会にしたいとも思っているほどだ。そう言う理由でダイスケは要請を二つ返事で引き受けた。

駅にはダイスケ以外誰もいない。リアス眷属の見送りもない。それもそうだ、彼らは今対シトリーのレーティング・ゲーム対策でいっぱいいっぱいだ。ダイスケ一人を見送る余裕はないだろう。

そういった理由は分かっていても、どこか物寂しさを覚えるダイスケである。手慰みにアザゼルから渡された自身の獣具の資料を読む以外に時間を潰す方法がなかった。

そうしているうちに、ホームに列車が入ってくる。荷物を手にしダイスケは乗車する。

すると小さな影がダイスケの方へ駆けてきた。

 

「ダイスケ先輩!」

 

小猫であった。ダイスケは窓を開ける。

 

「お前……ゲームの下準備じゃないのかよ。」

 

「先輩が……行くって聞いて……。言わなきゃいけないことがあって……。」

 

走ってきたのであろう、息を整えて小猫が言う。

 

「最初に……ごめんなさい。せっかく先輩が私と向き合ってくれたのに突き放したりして――ほんとうにごめんなさい。」

 

普段見たことのない頭を下げる小猫の姿に驚くダイスケ。普段だったら皮肉の一つも言うだろうが、この真剣な雰囲気でそれをすると窓越しに殴られそうだったのでさすがにやめた。

 

「いいって。俺もお前のことわかってなかったんだから。」

 

「……それでもです。それと――ありがとうございました。」

 

顔を上げて小猫が言う。

 

「イッセー先輩は私に手を差し伸べてくれたの、あれってダイスケ先輩がそうするようにって言ってくれてたからなんですよね。そうじゃなきゃ、自分と向き合う決心なんてできませんでした。だから――「いや。」え?」

 

「――いや、確かにイッセーにお前のこと頼むって言ってたけどさ、あれはあいつが素で言ったんだ。そういうやつなんだよ、あいつは。」

 

ダイスケの言葉に、小猫は一瞬止まってしまった。その瞬間、汽笛が鳴る。

 

「宝田様、そろそろ。」

 

レイナルドが現れる。

 

「はい、わかってます。じゃあな、小猫。勝てよ。」

 

ピストンが車輪を動かし、列車が進み始める。ダイスケが離れていってしまうことに気が付いた小猫は、たまらず駆けだす。

 

「あ、あの!先輩!」

 

徐々にスピードを上げる列車に追い付かんとするが徐々に引き離されていく。

 

「これからも、いつもと変わらずに接してくれますか!?」

 

ついに追い付けなくなり、列車は加速していってしまう。しかし、ダイスケが座っている席の窓から、サムズアップされた手が見えた。

自分でもなかなか気障なことをしたとダイスケは思う。それでも、言葉を使わずともこれで十分に伝わるだろう。

人間界につくまでの時間は長い。暇つぶしにと再び資料を開く。そのタイトルはこう記されていた。

 

――《怪獣王の王装(ゴジラ・キング・オブ・モンスター・アーセナルズ)》と。




ということで体育館裏のホーリーに入る前にオリジナルストーリーを二つほどはさみます。
んなことやってねぇでさっさと話し進めろと思われると思いますが、話しの都合上重要な話ですのでご勘弁を。
なお、感想などもお待ちしております。ただ、メンタルが非常に弱いのできついことを言われると「レディー、ゴー!ボルティックフィニッシュ!!イェーイ!!」になりますのでご勘弁を。
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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