ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 リアルは絶賛冬真っ只中ですが、無視していきます。


VS45  夏休み終わりにとんでもない変貌する奴はクラスに一人二人はいる

 夏休みの終わり。

 それは新たなるスタートでもあり、学生にとっては学校という名の地獄の窯が再び開いたことを示す。しかし同時に再び級友たちに会える日常が戻ってくるという意味でもある。

 そしてムザムザと級友たちの身に起きた精神的かつ肉体経験値的成長も見せられる羽目になるのだ。おもに地味目だった女子が明けに突然金髪ギャル化してたり、大人し目だった男子がみょーな自信をつけたるするアレである。

 

「聞いてきたぞ!やっぱり隣のクラスの吉田、夏に決めてやがった!!しかも相手は三年のお姉様らしい!!」

 

「「クソッたれ!!」」

 

 松田が持ってきた情報に、イッセーと元浜が毒づく。

 

「このクラスの大場も一年の子がお相手だったそうだ。」

 

「何っ、大場が!?」

 

 イッセーが振り返ると、大場がさわやかな笑顔で手を振っている。正直目の前にいたら顔面陥没するレベルでぶんなぐりたい。

 イッセーたちが一年時から続けているこの行事、それは他の男子の「夏、垢抜けちゃったぜ」を調べることだ。一体誰と、いつ、どこで、どうしちゃったのかという情報はイッセーたちにとってのどから手が出るほどほしい情報である。

 だって自分たちも童貞捨てたいもの。

 

「でもさ、今更そんな情報得たって得なんてねぇだろ。せめて夏休み中に集めて実践したらどーよ。」

 

 ダイスケの尤もらしい意見に松田は吠える。

 

「正直腹が立つんだよ!夏休み中に垢抜けた連中の「ああ、こいつまだ女を知らないんだ」的な見下す視線!!」

 

「いや、俺はそういう連中を「ああ、こいつらは本当の命のやり取りってのを知らないんだ」的な見下す視線で見てる。」

 

「あ、それは右に同じ。」

 

「一体夏休みに何があったんだよお前ら……。」

 

 ダイスケとイッセーの発言に戦慄する元浜だが、彼らが知る必要はないだろう。

 方や山の中をドラゴンに追い掛け回され、方や全身切り刻まれるという経験をしているのだ。そこに、女っ気は一つもない。きゃっきゃうふふな展開なんて望めようもなかった。

 おまけにそれが終わっても片方は大きな試合をし、片方は命がけの戦闘を経験した上に知り合いが一人死んでいるのである。これで松田と元浜に夏の間に先に彼女でも作られようものならイッセーは自決を考えるところだったに違いない。

 

「あんたら情けない面してるわねー。どうせ夏の間に何にもいいことなかったんでしょ大方。」

 

「桐生さん、あんまり言いすぎると怒られますよ……。」

 

 そこへ現れたのはクラスのエロマスター女子桐生と榛名だ。そして榛名の姿を見た松田と元浜がずいっと身を乗り出して懇願する。

 

「「そうだ!今からでもいい、河内さんどうか俺たちの――」」

 

「あ、流石にそれは嫌です。っていうか、無理です。」

 

「「想像以上にドストレートに断られたぁぁぁぁぁ!!」」

 

「ちょっと想像すれば断られるってわかるでしょうよ……。」 

 

 松田と元浜をゴミを見るような目で見下す桐生であったが、すぐさまイッセーに向き直る。

 

「そういやさ、兵藤。最近アーシアが遠い目になることが多いんだけど、なんか理由知ってる?」

 

「え?いやぁ、流石にそれは……。」

 

 イッセーは知らないと答えたが、本当はその理由を知っていた。

 それはイッセーたちが冥界での若手悪魔交流戦の始まりであったシトリー眷属とのレーティングゲームと冥界への里帰りを終えて駒王町の駅に帰ってきたときに起きた。

 いざ、列車を降りようとした時、そこに若手悪魔の一人、ディオドラ・アスタロトが現れたのである。彼はなんと現れるなりアーシアに求婚したのだ。

 ディオドラはその時、自身の胸の傷をアーシアに見せた。そう、アーシアが教会を追われたきっかけであった、アーシアに傷を癒された悪魔とはディオドラのことだったのだ。どうやらディオドラはその時以来アーシアに恋い焦がれ続けていたらしい。

 それ以来彼はアーシアに気に入られるために数々のラブレターや贈り物を送ってきた。それも夏休みが終わってから毎日のように、である。どうやらそれほど本気で求婚するつもりらしい。

 もちろんイッセーは反対である。アーシアの兄的存在を自負するイッセーからすれば家族を奪おうとする怨敵である。しかも、アーシアが嫁に行ってしまう夢を見てほぼ毎晩うなされているのである。許せるはずもなかった。ちなみに、贈り物のほとんどダイスケに横流しするという嫌がらせもやっている。

 アーシア本人には、というと困惑している様子であった。授業中も教科書を逆さにしてしまっていたほどである。そんなアーシアの様子はイッセーにとっても心配になるほどであった。

 そんなイッセーの視線を感じたのか、アーシアは笑みで返すが、やはりどこかぎこちない。そんなアーシアを見てどうしたものか、と考え込むイッセーであったが、教室にあわてた様子で入り込んできた一人の生徒によって邪魔される。

 

「お、おい!みんな大変だ!!落ちついて聞いてくれ!!」

 

 その男子生徒は友人から「まずは君が落ち着け」と胸にトンと当てられたミネラルウォーターを一口あおり、ゆっくりと呼吸を整えてクラス全員に聞こえるように報告した。

 

「このクラスに転校生が来る!それもかなりの美少女だ!!」

 

『……えええええええええええええ!?』

 

 

    ・

    ・

    ・

 

 

「えー、こんな時期にめずらしいですが、このクラスに転入生が入ってくることになりました。じゃ、入ってきて。」

 

 そう担任に促されて入ってきたのは栗毛ツインテールの相当な美少女であった。

 快活そうな顔つきに均整のとれたスタイルは男子の視線を釘づけにした。だが、イッセーとダイスケは魅了されるよりも驚いていた。それはアーシアとゼノヴィアも同様で、目が飛び出しそうになっているほどだ。そんな四名にはてなマークになっているのはエリーである。

 首から下げた十字架がきらりと光り、ぺこりと頭を下げて自己紹介をする。

 

「紫藤イリナです、皆さんどうぞよろしくお願いします!」

 

 コカビエル襲撃の折、以前来日して相当なインパクトを残した紫藤イリナその人であった。

 

 

 

 

 

 

「紫藤イリナさん、あなたの転入を歓迎するわ。」

 

 放課後、オカルト研究部部室に関係者各位が揃い、イリナを迎え入れていた。

 

「はい、皆さん初めまして……の方もいらっしゃれば再会した方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します!教会――いえ、天使さまの使者としてここ、駒王学園にやって参りました!!」

 

 パチパチと部員が拍手で迎える。

 そう、この駒王学園、和平の象徴となっているわけだが、今まで天界側は間接的な支援のみでとどまっていた。それではバランスが取れないと送られてきたのがイリナらしい。

 そんな事情を想像するダイスケをよそに、当の本人は「主への感謝云々」、「ミカエル様は偉大で云々」と以前と変わらぬ様子である。が、イッセーは気になってゼノヴィアに耳打ちする。

 

(な、なあゼノヴィア。イリナは神の消滅を知らないんだよな?)

 

(うむ、少なくとも私と別れた時点では知らないはずだ。)

 

 となれば事実を知れば大惨事必至だろう。何せこの場には直にコカビエルから神の死を知ったメンツが多いのである。いつかばれるということもありうるのだ……というイッセーの不安をどこ吹く風とアザゼルが切り出す。

 

「おまえさん、『聖書の神の死』は知ってるんだろ?」

 

「ちょおおおおおお!?先生、いきなりそれっすか!?」

 

 あわてて突っ込みを入れるイッセーだが、アザゼルはどこ吹く風だ。

 

「アホ、ここに来たってことはそういうの込みで任務が下っているはずだ。ここはな、三大勢力の協力圏内の中でも最も重要視されているところだ。そんなとこに来るってことは、ある程度の知識があるからこそさ。そうだろ?」 

 

「はい、総督。イッセー君安心して。私はすでに主の消滅を認識しているわ。」

 

「意外にタフだな。信仰心が人一倍だったイリナが何のショックも受けずにここにきているとは。」

 

 が、ややあってイリナはゼノヴィアに詰め寄り大粒の涙を流し始めた。

 

「ショックに決まってるじゃなぁぁぁぁい!!心の支え!宇宙の中心!あらゆるものの父が死んでいたのよ!?すべてを信じてきた私だったからミカエル様に真実を告げられた時、七日七晩寝込んじゃったわよ!!ぁぁぁぁぁあああああ主よ!!」

 

 散々ぶちまけた後、テーブルに突っ伏し大号泣するイリナ。よほどショックだったのだろう、いまだに引きずっているのだ。そんなイリナが哀れに思ったのかエリーがハーブティーを煎れて持ってくる。

 

「さ、これでも飲んで。気分落ち着くヨ?」

 

「ありがとう……あ、おいしい。」

 

 そんなイリナに、アーシアとゼノヴィアが語りかける。

 

「でも、私もわかります、その気持ち。」

 

「やけくそで悪魔に転生した私が言うのもなんだが、よく心が壊れなかったものだ。それだけでも良しとしようじゃないか。」

 

「あぁぁぁぁぁぁアーシアさん!!この前は魔女だなんて私ひどいこと言ったわ!何も知らないバカは私だったのに――本当にごめんなさい!」

 

 アーシアにイリナが、謝罪を込めて頭を下げる。

 

「ゼノヴィアにも謝らないといけないわ。別れ際にもう決別だみたいなこと一方的にまくし立てて……ごめんなさい!」

 

 ゼノヴィアにも詫びを入れるイリナ。しかし、その姿に、アーシアもゼノヴィアも微笑んでいた。

 

「イリナさん、私は気になんてしていませんよ。これからは同じ主を失いながらも敬愛する同志ってことでいいじゃないですか。」

 

「私もそうさ。あれは破れかぶれで悪魔に転生した私も悪かった。いきなりだったものな。だが、こうして再会できたのはうれしいよ。」

 

「うぅぅぅぅ、二人ともありがとう……!でも宝田大助だけは絶対に許さないし心を開くつもりもないから!」

 

 そうして三人はがしっと抱き合い、『ああ、主よ!』と祈り始めた。新派閥「教会三人娘」の誕生である……内二名が悪魔だが。

 

「じゃあ、お前さんはミカエルからの使者ってことでいいんだな?」

 

 アザゼルの念押しの確認にイリナはうなずく。

 

「はい、ミカエル様はここに天使側のスタッフがいないことを懸念されておりました。三大勢力の和平のシンボル的場に天使側から誰も来ていないというのは深刻だ、と。」

 

「今いる人員でも十分なんだがな。もともとお人よしを超えたレベルでもバックアップはしてるだろうに。で、お前さんはどの程度の権限を持つんだ?」

 

「それに関しては――直接見ていただいたほうがいいですね。」

 

 そういってイリナは立ち上がり、祈りのポーズをする。すると、その背中からまばゆい光とともに一対の白い翼が生えてきたのだ。

 

「こいつはまさか、転生天使の技術を完成させたか。」

 

「はい、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の技術をベースに、トランプをイメージにした『御使い(ブレイブ・セイント)』と称す配下を十二名、十四柱のセラフの方々がキングとなって編成されることになりました。」 

 

「なるほどねぇ。おそらく人工神器の技術も応用で入ってるんだろ。さっそく面白いもん開発しやがる。悪魔がチェスで天使がトランプとはな。まあもともとトランプは切り札って意味もある。神が死んで純粋な天使は二度と増えなくなったからな。そういう意味じゃ戦力拡充の切り札ってわけだ。だがその分だとジョーカーもやっぱりいるんだろうな。十二って数字もってのも十二使徒をもとにしてるんだろう。全く楽しませてくれるぜ天使長様もよ。で、イリナ、お前さんのスートはなんだ?」

 

 尋ねられたイリナは胸を張って答える。その手の甲にはAの文字が輝いていた。

 

「もちろん、ミカエル様のA(エース)です!もうこの栄誉だけで死んでもいい!!これからはミカエル様への信奉を糧に生きていくのよぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「ま、自分を見失うよかいいさ。」

 

 さっきまでの落胆なぞ遠くに投げたイリナを見て、ゼノヴィアが言う。さらにイリナはまくしたてるように言う。

 

「さらにミカエル様は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)御使い(ブレイブ・セイント)の異種混合戦も見据えていらっしゃるの!今はセラフだけのものだけど、いずれはセラフ以外の上位天使さまたちにもこのシステムを与えてレーティングゲームのように盛り上げていきたいって!」

 

 その壮大なミカエルの計画に驚く一同をよそに、アザゼルは感心していた。

 

「長年いがみ合ってた関係だ。急に和平っつっても不満に感じる者もいるだろう。そういう手合いの鬱憤をぶつける場としちゃぁ最適かもな。冥界でもダイスケをモデルケースに異種族も参加できるように間口を広げようとしてるんだからいい傾向だぜ。いずれは裏の世界のオリンピックみたいになるだろうな。」

 

「じゃあもう近いうちにそうなるってことっすか?」

 

 ダイスケの問いに、アザゼルはいやいや、と首を振る。

 

「『システム』の調整なんかもあるだろうからな。早くて二十年後だろう。そのころには新人悪魔たちもいい仕上がりになってるだろうからな。」

 

「二十年後かぁ。そのころには俺はいい大人だな。」

 

「いや、それはわかんねぇぞ。案外獣具の影響で悪魔みたいにそんな年を取らないってこともありうる。」

 

「え、マジっすか?じゃあ俺渋いオッサンになれないじゃん。」

 

「気にするのそこ……?」

 

 イッセーは変なところが気になっているダイスケを怪訝に思うと同時に、将来について少し夢想する。いずれ自分の眷属を伴って天使や堕天使のチームとゲームで戦う。正直まだそこまで実感できる実力が伴っていないため早々に想像はあきらめた。

 

「異種混合戦とは楽しめそうね。悪魔相手だけじゃない、多彩な戦略を考えるいい機会でもあるわ。」

 

 グレモリー眷属とのレーティングゲームで惜敗したもののその実力を発揮したソーナは乗り気である。それに対し

 

「きょ、教会を相手にするのはさすがに怖いですぅ……。」

 

 ギャスパーは心底怖がっている。何教会は悪魔堕天使との協定は結んだものの、ヴァンパイアに関してはその気配は一切なくヴァンパイアハントも未だ継続中とのことである。

 

「まあ、このあたりの話はこれでおしまいにして、今日はイリナさんの歓迎会をしましょう。」

 

 ソーナが笑顔で話題を切り上げる。イリナのほうも皆を見渡して言う。

 

「悪魔の皆さん、私は今まで悪魔を敵視し続けてきたし、斬りもしました。けれど、ミカエル様が「これからは仲良くですよ」と仰っていらっしゃったので私もそうしたいと思います。これからはここで教会代表として頑張っていきたいです!よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 イリナが転入してきてから数日が立ち、クラス内の雰囲気も落ち着いてきたところで二学期最初のイベント体育祭の準備と練習がはじまっていた。

 イッセーたちのクラスも今日は全員で出場種目の練習中である。そんな中やはり目立つのは転生天使であるイリナの身体能力だ。かけっこをしている相手のゼノヴィアとタメを張るほどの脚力を見せている。

 もちろん男子が見るのはその無邪気に動く均整のとれたスタイルの二人の肉体の競演であり、イッセーたち三馬鹿トリオも注視している。

 

「しかし、高速で動かれるのおっぱいの動きが把握できないな。」

 

「だな。」

 

「やはり適度な速度が一番揺れを確認できる。」

 

「……その前にブラぐらいはしてるだろうからそんなに揺れないんじゃね?」

 

 最後に冷静な突っ込みを入れるのはもちろんダイスケだ。

 

「お、兵藤に宝田じゃん。」

 

 そんなイッセーたちの元に匙が現れる。その手にはメジャーだのなんだのと計測器具がある。

 

「おう、匙か。」

 

 そんな匙の元に二人は尻についた砂を払い、歩いていく。 

 

「お前らさっきまで何やってたんだ?」

 

「揺れるおっぱいの観察。」

 

「揺れるおっぱいを観察するイッセーの観察。」

 

「あ、相変わらずだなお前らは。」

 

「そういや聞いたぜ。匙、お前ゲームでイッセーに勝ったんだって?その腕の包帯も勝利の勲章か?」

 

「いや、そうじゃないんだよ。ちょっと見てくれ。」

 

 そういって匙は右腕の包帯の一部を捲る。そこには刺青のような妙な文様が浮かんでいた。まるで黒い蛇がのたうっているようである。

 

「なにこれ、呪いの文様?」

 

「やめろよ、宝田。ヴリトラってあんまりいい伝説残してないんだから。アザゼル先生に聞いたら前のゲームでイッセーの血を吸ったのとラインで赤龍帝の神器とつないだことが原因でこうなったらしい。まぁ、悪影響ってわけじゃないらしいけど。」

 

「なんかの力を譲渡(トランスファー)したら消えるってのはないかな?その腕じゃ日常生活厳しいだろ。腕に宝玉まで出てるじゃん。」

 

「いやいいよ、兵藤。特に不都合してないし、気持ちだけ受け取っておくわ。ところでお前ら、何の競技に出るんだ?」 

 

 最初に答えたのはダイスケだ。

 

「綱引きと棒倒しと騎馬戦。クラス全員に腕相撲で勝っちゃってさ。「お前絶対出ろ!」って頼まれちゃって。あ、エリーも女子の綱引きに出るから生徒会の女子に警告しとけよ。あいつ結構力あるぞ。」

 

「獣具使いって悪魔並みに身体能力向上するんだろ。警戒するように言っとくわ。で、兵藤は?」

 

「アーシアと一緒に二人三脚。仲良くゴールするから見ててくれ。」

 

「ケッ!うらやましい奴め!俺はパン食い競争だちきしょうめ。」

 

そんな羨ましがる匙のもとに、二人のメガネ女子がやってくる。ソーナと副会長の真羅だ。

 

「何をしているのです、匙。これからテントの設営箇所のチェックをするのですから早く来なさい。」

 

「我が生徒会はただでさえ男手が少ないのですからちゃんと働いてくださいな。」

 

「は、はい、会長!副会長!じゃあ行くわ。」

 

 そう言って慌てて匙は二人の元へ向かう。

 

「――そういやあいつ、会長とのできちゃった結婚目指してるんだっけ。あの様子じゃ尻に敷かれるな。」

 

「言えてる。」

 

 そんな感想を言い合っていると、不意にドライグが口を開く。

 

『これは……ヴリトラの魂の気配が濃くなったのか。』

 

 その言葉にイッセーは怪訝そうな表情になる。

 

『何、気にするな。どうやら俺との直の接触が奴に影響を与えているようだ。たとえ幾重にも魂を分断されようとも何かの切っ掛けがあれば別ということらしい。』

 

「そいつはなにか、近いうちにヴリトラが復活するってことか?」

 

『流石にその気配はないさ、ダイスケ。何せあの匙というのが宿しているのはあくまでヴリトラの魂の一部なのだからな。しかし、ファーブニルとヴリトラが近くにいて、タンニーンとも出会った。どうやらイッセーは龍王に縁があるらしい。』

 

「あのー、宿主ほったらかしで話進めないでもらえません?」

 

「『無理。』」

 

「お前らほんとに息ぴったりだな!?もういい、アーシアと二人三脚の練習してくる。」

 

『おい、もうちょっとダイスケのそばにいろ。なかなか話が分かるやつだからもう少し話したい。』

 

「うるせぇ!」

 

 そういってずかずかとイッセーはアーシアの元へ歩いていく

 

「……さーて、俺も騎馬戦の打ち合わせ行ってくるかね。」

 

 騒々しかった夏休みが過ぎ、まだ残暑が残る九月。少しは平和に暮らせるかと思うダイスケであった。 

 しかし、そんな希望もどうやら簡単に打ち砕かれるようで。

 その日の放課後、イッセーはダイスケたちと共に部室に顔を出す。しかし、先に来ていたほかのメンバーは渋い顔をしている。

 

「何かあったんですか?」

 

 イッセーが訊くとリアスが答える。

 

「例の若手悪魔同士の交流戦、次の相手が決まったの。……よりにもよってディオドラ・アスタロトよ。」

 

 どう考えても波乱しかなさそうな展開にダイスケは思わず「あーあ」と呟いてしまった。

 




 ということで体育館裏のホーリーに突入です。今章ではオンタイセウがやりったかった対決をやっとさせることができます。
 なお、感想などもお待ちしております。ただ、メンタルが非常に弱いのできついことを言われると「RiderSting!!」になりますのでご勘弁を。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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