ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 以前投稿したものを改定し、投稿し直しました。


VS51  悪役にも憧れるのとそうでないのがある

 場所は北欧。

 フィヨルドを望む丘の上にその研究所はある。研究所と言っても規模は小さい。研究員はおらず、責任者である初老の男ただ一人の住まいとなっている。

 研究の内容もおおそれたものではない。この初老の博士の興味をひくものだけに限られた小さなものだ。

 そんな研究所の中で博士は、顕微鏡を見ながら自分以外の存在の気配を感じ取る。

 

「来客の予定はないはずなのだがね。」

 

 暗闇の向こうから一人の青年が躍り出る。

 

「これは失礼、玄関が開いていたもので。」

 

「……玄関もあけていないはずだが。」

 

「この場合どうやって入ってきたかは問題ではない。なぜ私がここにいるか、それが重要なのだ。」

 

「バイオメジャーか、それとも中東か。いずれにしても私はもう協力しないといったはずだ。」

 

「いやいや、そのどちらでもないのだ白神博士。――ああ、この薔薇。実に見事だ。」

 

「それに触るな!」

 

 はじめて博士は顕微鏡から目を放し、男を怒鳴る。

 

「触りはしない。必要もない。オーラの流れでわかる。この薔薇は……死にかけている。」

 

「そうだ。死にゆくものをそっとしておいてくれ。」

 

「博士はそれでよろしいのか?この薔薇は――()()なのだろう?」

 

「ああ、特別な薔薇だ。だが、命が消えるのはどうしようも――「はたしてそうかな」――なに?」

 

「私はとある特別な生物の遺伝子サンプルを手に入れた。個人でやったもので実に苦労したが……ともかくこれの遺伝子情報を与えればその薔薇は永遠の命を得ることになる。」

 

「――永遠の、命?」

 

「そう、まさに永遠の命。それを私は持っている。もちろん交換条件付き。さあ、欲しいですかな?」

 

「――何者だ?」

 

「おお、これは重ね重ね失礼。わが名は――ロキ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふはははは!ついに貴様の最後だ、乳龍帝よ!』

 

 画面では蜘蛛の姿を模した怪人が高笑いをする。

 

『何を!この乳龍帝が貴様たち悪の軍団に負けるものかよ!いくぞ、禁手化(バランス・ブレイク)!』

 

 すると、イッセーそっくりの特撮ヒーローが見事な変身を遂げる。その姿はイッセーの鎧の姿そのものであった。 

 現在オカルト研究部一同とアザゼルは兵藤家地下の大広間でとある映像作品を鑑賞していた。作品名は『乳龍帝おっぱいドラゴン』という特撮ヒーローものだ。

 題名からしてわかるように主人公のモデルはイッセーである。とはいっても本人が出ているわけではなくよく似た背格好の俳優にイッセーの顔をCG加工ではめ込んだものだ。

 

「……始まってすぐに冥界で大人気らしいです。」

 

 サブカルに詳しい小猫がイッセーの横でそう語る。何を隠そうこの番組、小猫の言うとおり初回放送から視聴率50%を超える超オバケ番組なのだ。

 あらすじは伝説のドラゴンと契約したおっぱい大好きな若手悪魔のイッセー・グレモリーが悪魔に敵対する悪の組織と戦うというものだ。著作権はグレモリー家が仕切っており、大分稼いでいるらしい。

 さらに商売の手は手広くおもちゃ版ブーステッド・ギアの試作品まで届いている。

 画面のほうでは敵の新兵器の登場でおっぱいドラゴンがピンチに陥るが、そこへ新キャラが登場する。

 

『おっぱいドラゴン、私のパワーを受け取って!』

 

『おお、スイッチ姫!これで勝てる!』

 

 するとリアスそっくりのスイッチ姫なるキャラクターは自分の胸(修正済み)を曝け出しておっぱいドラゴンに触らせる。

 

「説明しよう!おっぱいドラゴンはスイッチ姫の胸をスイッチのようにタッチすることでパワーアップできるのだ!」

 

 ノリノリで説明するのは原案にかかわっているアザゼルだ。その頭をリアスはスパン!とスパンキング。

 

「グレイフィアから聞いたわよ、アザゼル。スイッチ姫のアイデアを出したのはあなたなんですってねぇ。おかげで私は、私は……!」

 

「いいじゃねぇか、ガキからも人気が出るようになって。さらに人気が高まったって聞いたぜ?」

 

「おかげでもう冥界を歩けないわよ!!」

 

「いや、それを言ったら俺もですよ。ちょっと外歩いただけで「おっぱいドラゴン!」って呼ばれそうですもん。」

 

 怒るリアスにフォローを入れるイッセー。しかし、嘆いているものはほかにもいる。

 

『フフ、いいじゃないか。どうせ俺とお前はおっぱいドラゴン乳龍帝だ……。』

 

 ドライグである。まさか自分がこんな扱われ方をされるとは思ってもみなかったようで心底ダメージが来ている。

 

「ああ、ドライグもゴメンな。巻き込んじゃって。でも偶にはこんなのもいいだろ?」

 

『ああ、本当に飽きないよ。お前といると……。何せこれは始まりであってお前との付き合いはまだまだ続くんだもんなぁ……あはは、あはははははは……。』

 

 乾いた笑いが止まらない。本格的に精神にキているのだろう。

 しかし、画面で続く物語はさらなる展開を生む。

 

『ありがとう、スイッチ姫。おかげで……『ふん、他愛もない』そ、その声は!?』

 

明らかに敵のボスキャラらしい声。その声を発する敵キャラは、ダイスケの獣具の姿そっくりだった。

 

『お前は暗黒怪獣王ゴジラ!何しに来た!!』

 

『クモ怪人を囮に使い、貴様とスイッチ姫がそろったところで一気に叩く作戦よ。しかし、俺の出番もないと思ったが、クモ怪人め、女好きなだけで実に使えん奴だった。』

 

『き、貴様!自分の部下をよくも!』

 

『ほざくがいい。そして喰らえ!「放射熱線」!!』

 

 チュドォォォォォンととてつもない爆発がスイッチ姫と乳龍帝を襲う。

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!』

 

『きゃぁぁぁぁぁぁ!』

 

 その凄まじい破壊力に、ヒーローとヒロインがまとめて吹き飛ばされる。

 

『力を抑えてやったのにその程度か。なら、次会う時こそこの俺を楽しませるほど強くなるといい。フハハハハハハハ!!』

 

 そう言ってダイスケに酷似した悪役は去って行った。

 

「……なにこれ。」

 

 絶句するイッセー。何しろ親友がいつの間にか特撮ヒーローの悪役、それも相当に極悪そうな悪役に抜擢されていたのだから仕方がない。

 

「ああ、あれはシリーズ通して出てくる予定の作中最強の悪役「暗黒怪獣王ゴジラ・ダイスケ」っていってな。数話に一度登場してハッピーエンドをぶち壊す最悪キャラだ。」

 

「ダイスケの扱い最悪じゃないですか!!」

 

「いや、俺がどうせなら悪役も必要だろうからって志願したんだよ。ねぇ、先生。」

 

「ああ、「おっぱいドラゴン」が制作されていることと俺が制作にかかわっていることをダイスケに漏らしちゃったときがあってな。ライバル役に木場の「ダークネス・ファング」がいることにはいるんだが、明確な敵キャラがいなかったんだよ。それで特撮にも詳しいから相談してみたらこういう風になってな。」

 

 ウンウンと頷きながらダイスケはアザゼルに続く。

 

「確かにライバル役がいたら盛り上がる。だが、敵役がかっこよすぎると「あ、こいつ後で味方になるな」と視聴者に悟られ、いずれ現れる第三勢力の存在もばれる。だから味方になりえない敵キャラを一つ作っておくことで今後の展開を視聴者に予想させづらくする狙いがあるわけだよ。あとから第四勢力を出して味方にするってこともできるから、こうすると物語の自由度が広がる。序盤好き勝手しておいて終盤にしれっと主人公の仲間になってる悪役もいるからな。壇黎○とか。」

 

「で、でもいいのかよ。お前、俺の出汁にされちゃってるわけなんだぞ。」

 

 イッセーはダイスケの冥界での風評を気にした。このような役柄ではダイスケは冥界でヘイトを集めてしまうだろう。そうなっては本当の意味で冥界を歩けない。

 だが、ダイスケは「いいんだ」と言う。

 

「イッセー、これは俺の存在にNOを突き付けている貴族に対するけん制の意味合いもある。俺が宿すゴジラの力の暴走を危惧して俺を排斥しようって動きも一部にはあるらしい。そういう連中に対してこういう風に俺がピエロになることで警戒心を削ぐって目的もあるんだ。だからこれでいいんだ。それに……こういう風にダチを手伝うってのも悪くないからな。」

 

「ダ、ダイスケ……!」

 

 イッセーは感激した。まさかダイスケの自殺とも取れる行動にこのような意味があったとは。それにダイスケ自身に利益がないのに自分を助ける行動をしてくれるなんて思いもよらなかった。

 思わず目頭が熱くなる。そこへアザゼルが更なる情報を教える。

 

「ダイスケのおもちゃの方は乳龍帝やスイッチ姫以上に売れていてな。何でもみんなストレス発散用にぶち壊すのが流行っていて生産が追い付かないらしい。そんな流行り方するなんて悪魔の連中も色々たまっているものがあるんだろう、うんうん。あ、取り分は要求通り、利益の4割はダイスケのとこに行くってよ。」

 

「そんな使い方したら自然とそうなるだろうよ!なに、俺そんな形で冥界でヘイト集めてるの?目論見とだいぶ違うんですけど!かっこいいスーパーヴィラン狙ってたのに!!つーか、金の話はイッセーの前じゃ言わないでって言ってたでしょう!!」

 

「あ、やべ。」

 

 珍しく自分の発言にしまったとなるアザゼルに焦るダイスケ。ここでダイスケの真の目論見が露見した。本当の意味で出汁にされていたのはイッセーだったのだ。

 貴族云々は本当なのだろうが、本心はうまい儲け話に自分も乗ろうとしていただけだったのだ。

 

「ダイスケ……お前……。」

 

 ジトーとダイスケを見る一同。さっきまで感動していたが真の目論見を知ってしまってはその熱も冷める。立った悪評も半分自業自得なのだから何も言えない。

 

「エリえもーん、計画が完全に破たんしたよぉぉぉぉぉ!!」

 

「あーもう、ほらほらこっち来て。」

 

 この場で唯一味方になってくれそうなエリーに助けを求めるダイスケ。それにこたえるエリーはナチュラルにダイスケの頭を撫でてやる。

 

「ほーらよしよし。本当はうまいこと冥界で人気出してやろうって考えてたんだよネー。それであわよくば一儲け狙ってたと。まあ、視聴者の反応ばかりはコントロールできないからネー、なでなで。」

 

「ちっきしょう、脚本にも口出しとけばよかった……。」

 

 流石に抱きしめるまではいかないが、それも肉体的接触が過密になっている今日この頃。無論マリーはそれを見て嫉妬するわけで。

 

「わ、わたしだって頭を撫でてあげるくらい……って、どっち方向に嫉妬してるんですか私ィ!!」

 

「マリー、そろそろ素直になってもいいんじゃナイ?」

 

「な、何をおっしゃってるんですかお姉様!私はお姉様一筋ですから!オランダにいって同性婚はまだ狙ってるんですからね!」

 

「マリー、前から言おうと思ってたけど、流石のオランダも同性婚はできても姉妹同士の結婚は無理だと思うワヨ。」

 

「そ、そうなんですか!?ガッデェェェェェェム!!!」

 

「え、ちょっと待って。まさかマリーも……いや、そんなこと。」

 

 まさかの展開に困惑するダイスケ。姉妹そろってだなんてそんなこと……などと考えている。

 だが、決してそれ以上は口には出さない。外れて「え、なに、もしかして自分二人から好意もたれてるって思った?ぷーくすくす!この人ちょー自意識過剰なんですけど!」などと女子(とくにリアス、朱乃、小猫あたり)に笑われたくないからだ。

 

「まあまあ、新しい恋の息吹に一喜一憂するのもいいですけれど。イッセー君、何か忘れていません?」

 

「え?俺ですか?朱乃さん。」

 

「まあ、自分で言ったのに忘れてしまったの?私たち、デートの約束をしていたではありませんか。」

 

 そう、イッセーは完璧に忘れていた。

 自分がディオドラの眷属との戦いのさなかとんでもない約束をしてしまっていたことを――

 

 

 

 

 

 

 暗闇の廃工場の中、ダイスケは瓦礫の上で一人の男の胸ぐらをつかんでいた。

 

「こ、殺すなら……殺せ!どうせ死ぬ身だ!」 

 

「そうかい。」

 

 そのままダイスケは男の顎をあいている手で殴りぬく。すると、男はそのまま昏倒した。

 そのように気絶し、倒れ伏す男の影がいくつも見える。

 

「ダイスケ、そっちは終わったか?」

 

「ああ、気絶させた。そっちは?」

 

「何人か倒したけど、一人影を操る神器を使ってたやつに逃げられた。」

 

 見れば、エリーとマリーがギャスパーと協力して倒れ伏している襲撃者たちに意識を眠らせる術を使って眠らせている。

 

「英雄派ってのは随分と人員に恵まれてるんだな。まあ、拉致してきたって可能性もあるけど。」

 

 ダイスケたちが戦っていたのは禍の団の英雄派と呼ばれる者たちの一党だ。これで襲撃は五度目になる。

 

「……部長、やっぱり彼らにも『蛇』が付いてるネ。」

 

「お兄様の情報通りね。エリザベスさん、マリアさんと一緒にいつも通り『蛇』の除去お願いできるかしら。」

 

「リョーカイでーす!」

 

 襲撃者は皆神器保有者。そして神器にはオーフィスの新しいタイプの『蛇』が巻き付いていた。その機能は一つ。巻きついた神器を激しく刺激し、劇的な変化――禁手を起こすことだ。そして目的を果たせば『蛇』は自然消滅するという仕組みだ

 もちろん、生命に直結する神器に過度な刺激を与えれば所有者は死ぬ。だが、幾度となくこれを複数の被検体で行えばいずれ一つ二つは禁手に至れるだろう。それも刺激を与える相手を強力な眷属ぞろいで有名なグレモリー眷属で行えば確実だ。

 これに三度目の襲撃の時にイリナのおかげで気付いた。そして気絶し、グリゴリの施設に送られた襲撃者たちが変死したという知らせが届いたのも同時であった。

 それ以来その原因である『蛇』を魔術とパワーに長けたエリーとマリーが引きはがすようにしているのである。

 

「ダーリン、引きはがした『蛇』の処理はいつも通りお願いね。」

 

「はいよ。」

 

 引きはがした『蛇』はダイスケが握りつぶして殺すようにしている。イッセーでもできそうだが、オーフィスの『蛇』を潰すほどの力を増幅するのには仕様上時間がかかる。だから無段階にパワーを上げられるうえに地力に優れるダイスケがこの役目を担っている。

 

「だけどよくこんな発想に至れるわ。どこの誰かは解らないけど、こんなアイデアは思いついたとしてもそうそう実行できない。よほどの極悪人かそれほどまでに力ある人材を求めているかのどっちかね。」

 

「その両方って可能性も?」

 

 『蛇』を握りつぶしながらダイスケがリアスに問う。

 

「なんにせよ危険人物ってことよ、英雄派のトップは……って、朱乃。あなた随分と楽しそうだけど何かあったの?」

 

「あら、忘れたの?いよいよ明日なんですもの。一日イッセー君が私の彼氏になってくれるが♪」

 

 空気が一瞬凍り、グレモリー女子メンバーからの殺気が一斉にイッセーに向けられる(ダジャレに非ず)。

 

「オイ、イッセー。お前いつか刺されるぞ。」

 

「いや、ダイスケ、そんなこと言ったって……そうだ木場、こういう時どうすればいいかモテる男からひと言。」

 

「……笑えばいいんじゃないかな。」

 

「「それ、ヤシマ作戦が終わった後のセリフ。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらアルファ・ワン。ターゲット1、ターゲット2と合流しました、オーヴァー。」

 

『こちらストロベリー・レッド。こちらでも確認したわオーヴァー。』

 

「……わざわざMMSの連中から軍用の無線機借りる必要あったんですかね、オーヴァー。」

 

『いいのよ、雰囲気出るし。オーヴァー。』

 

 現在、ダイスケとリアスならびにグレモリー眷属一行はイッセーと朱乃のデートの尾行の真っ最中だ。

 ほかのメンバーは固まって行動するという愚を犯してしまっているが、ダイスケは離れた、かつ決して動きを見逃さない距離をキープしながら監視している。

 リアスたちが恋のライバルの監視という名目があるが、ダイスケはただ面白がって尾行しているに過ぎない。もちろん二人がR-18な場所へ出向いた際は倫理的な意味で止めるつもりだ。

 

『いい、とにかく朱乃がイッセーを誘うようなことがあれば即刻止めるわよ。オーヴァー。』

 

「いや、倫理的な意味だったら止めるつもりですけど、いいんですか?なんか二人の問題だから手ぇ出しづらいんですけど。オーヴァー。」

 

『何言ってるの、止めるわよ!朱乃に出し抜かれるわけにはいかないの!私なんてまだ体を触ってもらっただけなんだから!オーヴァー!!』

 

『私もリアスお姉様と一緒です!抜け駆けされるなんて目も当てられませんオーヴァー!!』

 

『……私なんて房中術使おうとして拒否されたんですよ、オーヴァー。』

 

「あー、うるさいうるさいうるさい。っていうか小猫、やっぱそっちに行ったんだな。オーヴァー。」

 

『……なんだかんだで優しい人ですし、オーヴァー。』

 

「まあ、優良物件だってのは認めるよ。がんばれオーヴァー。」

 

 早々に無線を切り上げ、尾行に専念するダイスケ。見れば随分と朱乃は楽しんでいるようである。普段のお姉様の雰囲気は消え去り、今は完全に普通の一女の子。お仕置きの印象しかないダイスケからすれば非常に新鮮な姿であった。

 露店で買い物したり、水族館に立ち寄ったり――どこからどう見ても二人はカップルであった。

 するととたんにイッセーと朱乃が走り出す。尾行を撒く気だ。

 

「気付かれ――たのは部長たちだな、こりゃ。」

 

 元スパイの祖父直伝の尾行術を駆使するダイスケである。尾行がバレない自信は人一倍だ。

 しかし、尾行されていることがバレて逃走されたのなら後を追う必要がある。そこでダイスケは強化された身体能力で跳躍し、屋根伝いに二人を追いかける。

 高所からならば見つけやすいうえによもや建物の屋根を伝ってまで追いかけてくるとは思わないだろう。結果、五分で二人は見つかった。しかし、場所が問題であった。

 

「……手ぇ引いてたの朱乃さんだったよな。」

 

 入っていたのは歓楽街の裏手、ラブホテル街であった。こんな場所あったか?とダイスケはいぶかしむが、以前アザゼルが風俗の営業を始めたということを思い出してここがそこなのだと思い至る。

 

「ったく、あの人は……ってあれ?」

 

 見れば朱乃とイッセーがラブホテルに入ろうとしている。完全に朱乃がイッセーを誘っており、イッセーがそれを断るとは思えない。

 ダイスケには本来は二人を止める権利はない。しかし、もしも受付などで二人が未成年だとばれれば当然問題になる。下手をすれば停学もありうる上、イッセーに至ってはただえさえ悪い校内での評価が地に落ちる。

 

「おいおい、これはヤバいって――」

 

 ダイスケが慌ててラブホテルに入ろうとする二人を止めようと動いた時、首筋に冷たい感触が走る。

 

「貴方、たしか高校生よね。こんなとこに来ていいと思ってるの?」

 

 聞こえてくるのは冷たい女の声。自分の首の横を見れば直剣が見えた。冷たい感触の正体だ。

 

「ダチが間違い起こそうとしてるのを止めようとしてただけなんだけど――ね!」

 

 すぐさま籠手を両手につけ、首筋に当てられた剣を弾くダイスケ。そして背後にいるスーツを着た女を正面に捉えた。

 

「へえ、いい反応するじゃない。」

 

「あいにくとこういうのには慣れててね……何者だ。」

 

「それならあそこにいる私のおじい様を見ればわかるわよ。」

 

 そう言って女は顎をくいっと動かす。促されるまま背後を見るとそこにいたのは――

 

「お、オーディン!?」

 

「おう、怪獣王の小僧はなんじゃ、出歯亀かの?横恋慕かの?」

 

「ちげーよ!どっちかっていうと出歯亀はそっちの赤龍帝のほう!」

 

「うるせぇよ!」

 

 ひとしきりわめいた後、女に向き直る。

 

「何でこんなところに北欧の主神がいるんだよ。」

 

「それはこれから話すわ。とにかく、リアス・グレモリーとアザゼル総督に連絡を入れて頂戴。――北欧からオーディンがきた、とね。」




 ということで投稿し直しのVS51でした。
 なお、感想などもお待ちしております。ただ、メンタルが非常に弱いのできついことを言われるとTADDLU CRITICAL STLIKE!!になりますのでご勘弁を。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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