ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 GODZILLA劇場アニメ第二部公開が迫る中、小説の「プロジェクト・メカゴジラ」を読みました。
 感想としては……実は今日までHDDとゴジラのクロスオーバーでゴジラ側のスペック負けてねと思うことが多々あったのですが、それをすべて吹き飛ばしてくれました。地球を破壊できるエネルギーを秘めた物体を地球にいながら熱線で宇宙空間で狙撃して完全破壊するってどういうこと。メカゴジラもだいぶ頭おかしい設定みたいですし、モスラもなかなかです。大樹先生、このしがない二次創作に光を与えてくださって本当にありがとうございます。


VS54  呉越同舟という言葉を聞いて真っ先にゲ○レンジャー劇場版を思い浮かべるのは私だけですか

「まず一つ訊く。ヴァーリ、俺たちと共闘する訳はなんだ?なに企んでいやがる。」

 

 ロキ襲撃の翌日、オーディンとロスヴァイセ以外の襲撃に遭った面々に加えてシトリー眷属、そしてヴァーリのチームが兵藤邸の地下の大広間に集まっていた。

 

「純粋に戦いたいだけだ。美猴達も付き合うと了承してくれている。これでは不服か、アザゼル?」

 

「不服だし解せないね。だが、戦力としてほしいのは事実だ。このタイミングででてくるなんて英雄派とお前がつながってるなんて見方もあるが――まあ、お前と英雄派じゃ反りは合わないか。」

 

「ああ、互いに不干渉でいることにしている。俺はそちらと組まなくてもフェンリルと戦うつもりだ。組まないというのなら……そちらごとまとめて相手にするだけだ。」

 

 それを聞いたアザゼルは頭を悩ませながら言う。

 

「サーゼクスたちも悩んでいる様子だが、旧魔王の生き残りであるお前からの申し出を無下にできないって言っててな。本当に甘い魔王どもだが、お前を野放しにするよりかは協力してもらったほうが賢明だと俺も感じている。」

 

「現場で動く身としては納得できないことも多いけれどもね。」

 

 アザゼルの言葉にリアスが不満をあらわにする。それは、この場にいる三大勢力にかかわるもののほとんどの意見の代弁である。

 しかし、悪魔の王である魔王が良しとしているのならそれに従うほかない。ソーナも不承不承の体で了承していた。

 

「ま、不穏な動きをすれば誰かが後ろから刺せばいいだろ。」

 

 ダイスケの物騒な提案にヴァーリが苦笑する。

 

「ま、ヴァーリのことは一旦置いておいてロキ対策に話を進めたいが――スルーズ。」

 

 アザゼルに名指しされ、スルーズは物思いにふけっていたのかハッと顔を上げる。

 

「お前さん、あのビオランテとかいう怪獣に見覚えがあるらしかったが、何を知っている?エリカとかも言っていたようだったが。」

 

 ロキ襲撃以降、スルーズはいつもの自信にあふれた姿と打って変わり、何かに迷い、逡巡しているような様子であった。しかし、意を決して彼女は語る決意をする。

 

「わかったわ。話しておかないと、対策もとれないでしょうしね――」

 

 話はこうだ。

 五年前、スルーズとロスヴァイセは北欧で飛び級で大学に通っていた。ロスヴァイセは文系へ、そしてスルーズは生物学を学んでいた。そのときであったのがロキ襲撃時にいた白神博士とその娘の白神エリカであった。

 二人は中東のとある企業の依頼で砂漠環境に耐性を持つ植物を作り出す研究をしていた。スルーズはそのゼミに通い、年が離れていながらもエリカと仲が良くなり親友とも呼べる間柄になっていた。

 

「彼女はよく言っていたわ。「いつか砂漠に薔薇が咲く日が来る」って。彼女、薔薇が好きだったから。」

 

 博士とエリカを手伝い、その成果もあって試作品ができるあと一歩まできた。しかし、そのとき悲劇が起きる。

 ガス関連の工事中、作業の手違いでガス爆発が起こり、研究室が爆破したのだ。スルーズと白神博士はその場を離れていたため無事だった。しかし、工事に関係者として立ち会っていたエリカは爆発に巻き込まれ、命を落としてしまった。

 白神博士は絶望に落ちた。何よりも大切にしていた娘を失ってしまったのだ。それから博士は失意のうちに大学を去り、個人で研究室を立ち上げた。

 

「でも、まさかエリカの遺伝子を薔薇に融合させていたなんて……彼が彼女の声を聴いていなければ私も知らなかったことよ。」

 

「それだ。ダイスケ、お前あのビオランテの中にいるエリカの声を聴いたって言っていたな?」

 

 アザゼルの問いにダイスケが答える。

 

「はい。確かに聞こえました。」

 

「……今までにそうなったことは?」

 

「ありません。でも、死んだ母が不思議な力があったって祖父から聞いたことがありますけど……。」

 

「シン化で遺伝していながら覚醒していなかった力が目覚めたのか?しかしそれだと魔術や魔力による念話じゃなくて超能力の類ってことに……いや、このことを話していてもしょうがないな。スルーズ、博士はこちらの説得で寝返る、または戦闘をやめる可能性はあるだろうか?」

 

「……無いでしょうね。きっと博士は彼女と復讐に乗り出す気だから。」

 

「復讐?誰に対してだ。」

 

「……博士はあの事故を研究を恐れたアメリカのバイオメジャーがやったと思い込んでる。バイオメジャーはアメリカの穀物関連のトップ企業達が作ったいわば穀物市場の軍産複合体。彼らなら研究をつぶすためなら殺人もいとわないって本気で信じ込んでいたわ。おじい様を殺した後は……きっと関係ない人が巻き込まれて大勢殺される。あれは間違いなく事故だったのに。」

 

「なるほどね……止めなきゃならない対象がもう一つ増えたな。ビオランテの対策は後々考えるとして、先にロキとフェンリルの対策に取り掛かろう。そのためにも、五大龍王の一匹、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』ミドガルズオルムに接触する。」

 

「……ミドガルズオルムって?」

 

 イッセーが隣のダイスケに聞く。

 

「ロキが生み出した怪物の一匹だ。別名ヨルムンガンド、ミズガルズ蛇。ジ○ンの悲しき決戦兵器の元ネタ。」 

 

「ああ、IGLOOね。」

 

「兵藤一誠、今のでほんとにわかったのか?それに、ミドガルズオルムは俺たちに答えるだろうか。」

 

ヴァーリの問いにアザゼルが答える。

 

「二天龍、ファーブニル、ヴリトラ、タンニーンで龍門(ドラゴン・ゲート)を開く。そこから奴の意識だけを呼ぶんだよ。本来は北欧の深海で眠りについているからな。」

 

「あの、それって俺もやるんですか?正直周りが正真正銘の化け物だらけで気が引けるんですけど。」

 

 匙が恐る恐る問う。確かに匙と呼ばれるほかのメンバーと見比べるとどうしても見劣りしてしまう。

 

「まあ、要素の一つできてもらうわけだ。緊張しなくていい。大方のことは俺たちや二天龍に任せろ。とりあえず、タンニーンと連絡が取れるまで待っていてくれ。俺はシェムハザと対策について話してくる。お前らはそれまで待機だ。バラキエル、ついてきてくれ。」

 

「承知した。」

 

 アザゼルとバラキエルはそう言って大広間から出ていく。残されたオカルト研究部とヴァーリチームが所在なさげにたたずむ。

 

「赤龍帝!」

 

 美猴が手を上げる。

 

「な、なんだよ。」

 

「この下にある屋内プール使っていいかい?」

 

 ガクッと来た。あまりに予想外だったので返す言葉が出ない。そこへリアスがずずぃッと前に出て美猴に言い放つ。

 

「ちょっと、ここは私と兵藤一誠の家よ。勝手な振る舞いは――」

 

「まま、細かいことはいいじゃねぇかよスイッチ姫。」

 

 バチコーン!とリアスは美猴の頭をひっぱたく。

 

「いってぇぇぇぇぇ!!なにすんでぃ、スイッチ!」

 

「あなたね!あなたのせいで私は……もう冥界をまともに歩けないのよ!!」

 

 そう、スイッチ姫の名のもとは美猴である。それを聞いたアザゼルが商売に持ち込んだのだ。

 

「結構なことじゃねぇかい、おっぱいドラゴンはおれっちも見てるぜ。光栄だよなぁ、自分が思いついたネーミングが採用されてるんだから。」

 

「こ、この猿ぅ……どうしてくれようかしら……ッ!」

 

 相性が悪い二人がにらみ合う中、一方では和やかに話している。

 

「これが最後の聖剣なんですね!初めて見た……当然だけど。」

 

「ええ、ヴァーリが独自の情報をえまして、私の家にある伝承と照らし合わせてみて見つけました。ああ、場所はないしょ、ですよ。」

 

「アーサーさん、ルクリリは好みですカ?」

 

「ええ、いただきましょう。……やはり英国人が入れる紅茶が一番ですね。香りが違う。スコーンもいい。隠し味はレモンですか。」

 

「Yes!さすが同郷なだけ会って話が合うネー。」

 

 見ればイリナが聖剣談議で盛り上がり、アーサーとエリーが同郷ネタで盛り上がっている。その様子を遠巻きに見る木場とゼノヴィアは複雑そうだ。同じ剣士として警戒し、なおかつ興味が惹かれるのだろう。

 そんな中、イッセーの服の袖をアーシアがくいくいと引っ張る。

 

「どうした、アーシア?」

 

「あ、あの……白龍皇さんにお礼を。」

 

 そう、アーシアは次元のはざまに飛ばされてそこをヴァーリに救われている。その礼が言いたいが近づきづらいのだろう。

 そこでイッセーはアーシアの手を引き、難しそうな本を読みながら椅子に座っているヴァーリの前に立つ。

 

「どうした?」

 

「いや、アーシアがな。ほら。」

 

「あ、あの、先日は助けていただき本当にありがとうございました!」

 

「ああ、そのことか。こっちも気まぐれでやったことだし、お互い気にしないでいこう。」

 

 そういってヴァーリは興味に矛先を目の前の本に戻す。

 すると、別のやり取りがイッセーの目に飛び込んでくる。

 

「まさかお前がヴァーリと一緒にいるとはな。」

 

「世界中を一人で旅している途中で偶然であった。あのときは腹を空かせていてな、インスタントの即席めんをごちそうになった。それ以来行動を共にしている。」

 

「あのな、テロリストの集団にホイホイとついていくなよ。結局お前また悪役じゃねぇか。」

 

「あのときは仕方なかったのだ。それに、テロとはいっても時々ヴァーリが強者と戦う程度で基本俺たちは世界の各地を様々探索しているのがメインだ。破壊活動などそんなにしていない。」

 

「だったらさっさと出ろよ……。」

 

「そうもいかん、一宿一飯の礼がある。」

 

「何でそこまで律儀なのかねぇ……。」

 

 頭を抱えるダイスケ。そこへ、メカゴジラがある望みを訴える。

 

「宝田大助、実は折り入って頼みがある。」

 

「な、なんだよ。」

 

「俺の名前を付けてほしい。」

 

「はぁ!?他の奴に頼めよ!!」

 

「俺に最も縁があるのはお前だ。だがらこそ、オリジナルにつけてほしい。……駄目だろうか。」

 

 感情がないように見えて懇願する犬のようにも見えるメカゴジラに、ダイスケは折れた。

 

「あーもう、わかったよ!いずれ考えるから。」

 

「いや、今すぐがいい。やることが多いだろうから、今のうちに済ませたい。」

 

「ったくもう……じゃあ、お前はこれから『桐生義人』って名乗れ。」

 

「意味は?意味はなんだ?こういうのには意味が込められているのだろう?」

 

「だー、くっつくな!桐生てのはあれだ。機械の龍で、機龍って考えて、音が一緒の桐生にした。知り合いにもう一人いるんだけどな。義人は……なんだかんだでお前はいい奴だからな。だからだ。」

 

「桐生、義人……俺の、名前。」

 

「外で歩くときはよく似た赤の他人で通してくれよ。ただでさえ――「みんな、聞いてくれ!今日から俺は桐生義人だ!!」触れ回るな!――行っちまった。」

 

 この様子だとアザゼルたちのほうにも向かうだろう。ただ、ダイスケは合掌するのみである。

 すると、ふいにイッセーは何者かに肩をつかまれる。

 

「にゃ♪久しぶりだにゃ~、赤龍帝ちん。」

 

「く、黒歌……。」

 

「んー、なんか前に見た時より顔が凛々しくなってるかにゃ?禁手に至るとそうなるの?それとも女の子でも知っちゃったかにゃ~?」

 

そういいながら黒歌がグイッと顔を近づけるが、イッセーは顔を引き攣らせて仰け反る。確かに黒歌は美人であるが、以前の邂逅で苦手意識を持っているイッセーだ。

 

「ま、そんな訳はないか。なんかヘタレっぽいし、いざとなったら逃げそうだにゃ。」

 

「う、うるさいわい!!」

 

「まあ、そこで相談なんだけど……。」

 

「な、なんだよ。」

 

「私と子供作らない?」

 

「……へ?」

 

 突然の申し出にイッセーは硬直する。が、それに関わらず黒歌は続ける。

 

「私ね、ドラゴンの子供がほしいのよ。それも特別強いドラゴンの。ヴァーリにも頼んだけど断られちゃってねー。だからあんたしかいないにゃん。それも人間ベースなんて珍しいにゃん。二天龍なら遺伝子的に十分だし。子供はどうしても残したいんだよねー。だがら遺伝子提供者がほしいにゃん。」

 

「な、な、な……!?」

 

 顔を真っ赤にして後ずさるイッセーに黒歌は追撃をかける。

 

「怪獣王の子でもいいけど、あっちはそばにいる娘が怖そうだからねー。でも今ならお買い得にゃん。妊娠するまでの関係でいいからどうかにゃ?認知とかもしなくていいし。」

 

 つまりは体だけの関係。その淫靡な響きに思わずイッセーはぜひとも、と言いそうになるが、小猫がグイッとイッセーの服を引っ張ってそれを止める。

 

「先輩は……姉さまには渡しません。」

 

 それを見た黒歌はにんまりと笑う。

 

「ふーん、白音も成長したかにゃ?ま、考えておいてねー。」

 

 そこまで言うと黒歌はイッセーと小猫に手を振ってヴァーリのほうに向かっていった。そんな時、ため息をつく朱乃が見える。バラキエルが来てからずっとこの調子だ。

 

(朱乃さん、大丈夫かな……。)

 

 そんな朱乃の心配をするイッセーをよそに、

 

「この猿!滅してやるわ!!」

 

「やってみろぃ、スイッチ!!」

 

 リアスと美猴が喧嘩を繰り広げていた。

 

 

 

 

 

 

 アザゼルが戻ってきた後、イッセーとヴァーリ、そして匙は転移魔方陣でアザゼルとともにミドガルズオルムに会いに行った。

 その間、やることがないダイスケとメカゴジラ改め義人は河内家の前に来ていた。

 

「……ほんとうにいいのか?霧香と会うなと言ったのはお前だぞ。」

 

「いいよもう、ここまできたら。現状テロリストだけど、前の侵略者よりはまだマシになってるからな。基本ヒマ人の集団みたいだし。」

 

 頭をかきながらダイスケはそう言う。そう、ダイスケは義人を霧香にひさびさに逢わせようとしているのだ。

 本当なら知り合いをテロリストの顔見知りにはさせたくない。だが、今の侵略者の軛から解き放たれた義人なら会わせてもいいだろうと考えている。

 

「じゃあ、インターホン押すからな。」

 

「お、おう。」

 

 緊張する義人をよそに、ダイスケはインターホンを押す。

 

『ピンポーン』 

 

 しばらく反応を待つ二人。親御さんが出て行っていることは確認済みなので、顔そっくりの二人がいる状況を説明する手間が省けることはほぼ確実だ。

 

「はーい。」

 

 聞こえてくる声。おそらく霧香だろう。そしてドアが開かれる。

 

「どちらさまで――ダイスケ君?」

 

 しかし、出てきたのは霧香ではなく榛名であった。

 

(しまった――――!!!)

 

 想定外の相手が出てきたことで焦るダイスケ。確かに姉妹なので声が似ていた。だから油断してしまっていたのだ。 

 それ以前に榛名が家にいること可能性を見落としていたダイスケも悪い。そのせいで義人に代わってダイスケが今度はあたふたしてしまう。

 

「あ、あ、あのな、ここここいつは、その……。」

 

「こいつ?誰かほかにいるんですか?」

 

 榛名の言葉でハッとなるダイスケ。そして自分の後ろを見るとそこに義人の姿はない。横を見れば塀に隠れて榛名の視界に入らないようにしている。

 

「え、い、いや、なんでもない……。」

 

 ここで余計なことを言えばボロを出しかねない。そこでダイスケは話題を変えることを考える。

 

「あー、そういや今日霧香いないの?」

 

「あの子なら今日図書館に行きましたけど……。」

 

 それを聞いたダイスケは義人にシッシという風に手を振る。

 

(?)

 

 いまいち意味を理解していなかった義人だったが、すぐに「図書館に行け」という合図だということを理解する。

 

「どうしたんです?手で何か追い払っているようですけど。」

 

「え!?い、いや、季節外れの蚊がいてさ。あっち行け、シッシ!シッシ!」

 

「……蚊、ですか?」

 

「そうそう、季節はずれの蚊ほど食われるとかゆいって言うじゃん?ああ、大丈夫。もういなくなった。」

 

 もちろんいなくなったのは蚊ではなく義人だ。その卓越した身体能力で全力ダッシュしていったのである。

 

「そっかー、霧香いないか。ならいいや。ああ、言伝とかも必要ないから。じゃあな。」

 

 そういってダイスケはその場から立ち去ろうとする。しかし。

 

「待って!」

 

 榛名が呼び止める。

 

「ど、どうした?」

 

 振り返れば、そこにしゅんとした表情の榛名がいる。何か思いつめたような様子だ。悩み事だろうか。

 

「ダイスケ君がオカルト研究部に入ってから私、あんまりダイスケ君のそばにいてあげられてないですよね……。今はお家にエリーさんたちがいらっしゃいますし、私もうダイスケ君にとって必要ない存在なのかなって……。」

 

 確かに、ダイスケがオカルト研究部に入ってからあまり榛名が家に来ることが少なくなっていた。ダイスケの帰りがオカルト研究部の活動で遅くなることが多くなった。それに、今はエリーたちがいることで榛名が家に来ることを遠慮するようになっていた。

 

「必要のないって……俺にとって榛名は必要だとかそうじゃないとかの存在じゃないよ。」

 

「そういう存在なんです!ダイスケ君が私のせいで転校していったあの時から……。」

 

「あれは俺が後先考えずに勝手にやったことだ。榛名が気に病むことじゃない。」

 

「それでも、私のためにダイスケ君に迷惑をかけたことには変わりません。だから、私はその償いをしないといけないんです。でも、今は……。」

 

 胸に手を当て俯く榛名。その榛名の肩に、ダイスケは手を置いて顔を覗き込む。

 

「榛名、俺は一度もお前に迷惑をかけられたとか、もう必要ないだとか考えたことはない。むしろ感謝してるんだ。今まで迷惑をかけてきたのはむしろ俺のほう。」

 

「でも……。」

 

「確かに、今は前みたいな関係性じゃなくなってきてる。でも、そのことで榛名が気に病んだりする必要はないんだ。だから、俺の世話だとか贖罪なんて考えずに、普通に俺のうちに遊びに来てくれ。会える時なら、いつでも待ってるからさ。」

 

「ダイスケ君……。」

 

 そう言ってダイスケは榛名の頭を撫で、その場を後にする。しかし、榛名本人はいまだ納得できていないようであった。

 

(いつか、本当のことを話さないとな……。)

 

 ダイスケはそう誓う。いずれ、真実を知ってもらい、ちゃんと彼女と向き合うために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の朝、一同は兵藤邸の地下の大広間に集まっていた。学生であるイッセーたちもシトリー眷属たちも今日は学校に登校していない。代わりに彼らの姿と行動パターンを模した使い魔たちに登校してもらっている。

 本来であれば彼らもちゃんと登校したいところであったが、ロキとの決戦を控えているため休まなければならない。もっともダイスケは使い魔が榛名への対応を間違えないかとハラハラドキドキし、ソーナも生徒会長である自分がいない間に何か学校で問題が起きるのではないかと思ってソワソワしていた。

 万が一学校に何かあっても用務員として在駐しているMMSの面々がいるから安心……な……はず……。

 

「冗談じゃないぜ、まったく……。」

 

 そこへ小言を呟きながらアザゼルがカートを押して入ってくる。その顔は不機嫌極まりないといった感じだ。

 カートの上には柄の短い小槌が乗っている。

 

「オーディンのジジイからプレゼントだとよ。ミョルニルのレプリカだ。ったく、クソジジイめ、マジでこいつを携帯していやがった。しかし、ミドガルズオルムの野郎、よくこんな細かいことまで知ってたな。」

 

「ミョルニルって、まさか……。」

 

「そうだイッセー。こいつは雷神トールのがもつ伝説の槌のレプリカだ。こいつには神の雷が宿っている。だが、心清い者でないと使いこなせなくてな、俺みたいな煩悩の塊じゃ直接持つのも不可能なんだ。だからこうしてカートに乗せてきた。」

 

「オーディン様はこのミョルニルのレプリカを赤龍帝さんにお貸しするそうです。どうぞ。」

 

 そう言ってロスヴァイセが重たそうにそのハンマーをイッセーに手渡す。

 見た目からはそこまで重そうには見えなかったが、イッセーが手にした途端一気に重く感じる。

 

「お、重いぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 あまりの重たさにイッセーは床にミョルニルを落としてしまい、床がへこんでしまう。それどころかその衝撃で部屋全体が大きく揺れた。

 

「やっぱ普通の状態じゃ持てなかったか。まあ、禁手になれば持てるだろう。でも無暗に使うなよ?高エネルギーの雷でこの辺一帯が消えるからな。」

 

「マ、マジですか……。」

 

 アザゼルが語るその威力にイッセーは戦慄した。だが、これに増幅した力を譲渡(トランスファー)すればロキといえどもひとたまりもあるまい。

 

「そういえば、今日ダイスケの奴は?」

 

「アイツは今日はビオランテ対策で動いている。何か心当たりがあるらしいが……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーたちがロキ対策で動いている間、ダイスケはとある超高層ビルの前に立っていた。

 ビルに入っている企業の名は『帝洋グループ』。日本最大のコンツェルンである。そのビルの中にダイスケは入っていく。

 ダイスケは受付を済ませアポイントメントを確認した後、エレベーターに行って最上層へ行く。そして会長室に通される。

 

「祖父に会いに来るのにわざわざアポをちゃんととるとはな。そういう謙虚さを見ると下手な一流校に通わせてエリート意識を植え付けずに済んだというものだ。」

 

 そう言うのは部屋の大きなデスクに座っている、ダイスケのもう一人の祖父である新堂嘉男だ。

 

「流石に自分の祖父とはいえ、日本最大のコンツェルンの会長に会うのにアポ無しはまずいでしょう。」

 

 何を隠そう、ダイスケの母方の祖父が日本最大のコンツェルン、帝洋グループの会長だったのである。

 このことはダイスケはあまり周囲の人間には話していない。知っているのはいちばん付き合いの深い榛名くらいのものだ。このことを周囲に明かさない理由としては、知られたことでこれまでの関係を変えたくないというのがあるが、そもそもダイスケの交友関係が狭いこともあって知る人間がいないのは自然なことである。

 

「実はこれから福岡に飛ばなければならなくてな、あまり時間を取ってやれないのだが……。」

 

「構いません。あなたに話すことは少ないですから。その、実は、俺――」

 

「裏の世界のことだろう。お前が裏の世界に首を突っ込んでいる、と。」

 

 その言葉にダイスケは驚く。いや、なにしろ日本最大のコンツェルンの会長だ。リアスの顧客には一般企業の社長などもいるのだ。彼ほどの男なら裏の世界の事情を知っていてもおかしくはない。

 

「夏の中盤に自衛隊の裏の作戦に参加しているのも報告を受けている。グレモリー家の次期当主のところにいることもな。本当ならもっと早くに言いに来てほしかったところだよ。」

 

「あの、このとこ祖父ちゃんのほうには……。」

 

「春雄くんにはしばらく黙っておいたほうがいい。追及されたときに正直に話せばいい。彼だって私の仕事の手伝いをしていてくれた時には裏の世界のことは一応知っていたからな。」

 

「わかりました。遅くなってすいませんでした。でも、今日の本題はここからなんです。」

 

「本題、というと?」

 

「五年前に起きた北欧のとある大学で起きた爆発事故の原因を知りたいんです。」

 

「五年前……ああ、確か遺伝子工学の権威、白神博士の娘さんが亡くなったというやつか。あの研究には中東の企業だけでなくうちも金を出していたから覚えている。それで、それを知ってどうする?」

 

「ひょっとしたら、一人の男の暴走による悲劇を事前に食い止められるかもしれないんです。」

 

 その一言を聞いた嘉男はしばし黙る。そして、すぐに判断を下した。

 

「今お前が何に首を突っ込んでいるのかはあえて聞かないでおこう。上田君、この子を資料室に案内したまえ。彼は秘書の上田だ。彼についてもらうといい。」

 

「畏まりました。」

 

「ありがとうございます。」

 

「大助さま、こちらへ……。」

 

 ダイスケは促されるまま、会長室を後にしようとする。そこへ、嘉男が声をかける。

 

「ダイスケ、裏の世界に身を置くということは常に命の危機にさらされるということだ。自分も、その周囲の人も。だからこそ……強くなれ。」

 

「……はい。」

 

 その嘉男の言葉を背中に受け、ダイスケはその場を後にする。向かったのは五年前の事故の調査資料がある資料室だ。

 

「大助さま、今回会長の権限で非公開の資料の閲覧も可となっております。御用のある時はいつでもお呼びくださいませ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 早速、ダイスケは当時の調査資料を読みふける。それも、隅から隅までだ。そこである一文を見つける。

 

「そんな……それじゃあ、これって……。」

 

 すぐにダイスケは携帯をかけ、アザゼルに連絡を入れる。

 

『おお、ダイスケ。何か分かったか?』

 

「ええ、とんでもない事実です。それから、ミカエルさんとなんとかして会えませんか?天界に動いてほしいことがあるんです。」




 というわけで使えるコネはとことん使い倒すダイスケ君なVS54でした。使えるものは使わないとね(という言い訳)。
 なお、感想などもお待ちしております。ただ、メンタルが非常に弱いのできついことを言われるとオーバーアタック!!になりますのでご勘弁を。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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