ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 気が付いたらかなりたまっていたのでいつものペースではありませんが投稿したいと思います。
 そしていろいろ京都について調べながら書いていたら一人で行きたくなってきました。……また深夜バスで行こうかな。


VS61  当時リアルタイムで見ていたものとしてはライダーとプリキュアは京都駅で鉢合わせしていてほしかった

「京都、キター!!」

 

 ダイスケが珍しくテンションを上げて両手を上げる。

 

「え、なんでそんなにテンション高いノ?」

 

「京都についたら特撮好きはこうするんだよ。」

 

 エリーの問いに、ダイスケはテンションを普段のものに戻して答える。

 

「だけど、京都駅って本当に広いな!東京の駅にも負けてないぜ!」

 

「そりゃあ、京都は日本の観光の最大手だしね。これくらい力は入れるわよ。」

 

 感動するイッセーに、桐生が答える。だが、感動しているのはイッセーだけではない。

 

「見ろ、アーシア!伊○丹だ!」

 

「はい、ゼノヴィアさん!伊勢○です!」

 

 興奮気味のゼノヴィアとアーシアだ。

 

「天界にもこんな素敵な駅が欲しいわね!ミカエル様に相談しなくっちゃ!」

 

 そして多分速攻で却下されるであろう望みを持ったイリナである。

 

「集合場所はホテルの一階ホールだったわね。ほーら男子、あとアーシアとゼノヴィアっちとイリナさんも駅に夢中になるのはいいけど、さっさと集合場所に集まらないと午後の自由時間なくなるわよー。」

 

 班のリーダーである桐生が一同に声をかける。全員まとまると、桐生はしおりを出して地図とにらめっこする。

 

「えーと、ホテルは駅の西口側なのよね。だからここの出口をそのまま出てバス停方向に出て、右方向に動いていけば……。」

 

「とりあえず駅出ねぇ?いつまでもここに至って前には進めないし。」

 

 松田がそう愚痴ると、桐生はメガネをキッと光らせる。

 

「甘いわね、松田。知らない土地で迷うとホントに大変なのよ。一人の判断ミスであっという間に戦死者が出るわ。」

 

「ここは戦場かよ!」

 

「いや、松田。桐生の意見は正しい。チームワークは大切だ。ここは我らのボスである桐生に任せよう。京都はすでに我々に牙をむいているかもしれんのだ。」 

 

 ゼノヴィアの謎の説得力のある凄味に圧され、松田は「わかりましたよ……」と力なく呟いた。

 

「キャー!痴漢!」

 

 突然駅の奥のほうから女性の悲鳴が聞こえる。男が「お、おっぱいを……」と呟きながら痴漢行為に及んでいたが、周囲の男性によって取り押さえられ、警察に引き取られていった。

 

「なんだ、なんだ。京都も物騒なもんだな。」

 

 元浜が呟く。

 

「だな。どこにでも変態はいるもんだね。」

 

「うん、うん。」

 

 普段から変態三人組と呼ばれる三人である。

 

「よし、把握した!いざゆかん!!」

 

 地図を完全に頭に入れた桐生の先導のもと、一同は京都駅を出て本格的に古都へと足を踏み入れる。

 ホテルはすぐに見つかった。その名も「京都サーゼクスホテル」。ちょっと行った先には「京都セラフォルーホテル」なんてのがある。どうやら古都のホテル業界は冥界が牛耳っているらしい。

 事前にリアスから聞いていた話ではあったが、ここはグレモリーが経営しているホテルらしい。だから格安で予約が取れたのだ。

 入口に立つボーイに学生証を見せると、ホールのほうまで丁寧に案内してもらう。そしてその煌びやかで絢爛豪華という言葉がよく似合うロビーの佇まいは慣れない松田、元浜、桐生を圧倒する。

 

「すっげぇ……うちの高校、こんなホテルに二年生全員泊めて宿泊費とか大丈夫なのかよ……?」

 

 裏の事情を知らない松田の意見はもっともだろう。一方、グレモリーの本邸を知っているゼノヴィアの反応は一転して薄い。

 

「うーん、確かにホテルとしてはすごいだろうが、その、部長の実家と比べたらなぁ……。」

 

「そこは比べるところじゃねぇぞ、ゼノヴィア。こっちはあくまで一般客相手のホテルだからな。上級悪魔で貴族のグレモリー家の本邸と比べちゃいかん。」

 

 ダイスケの言うとおりである。それに、横浜だの東京だのの超高級ホテルを家の事情で知っているからこそ、こういうところのある程度抑えたところもよくダイスケにはわかるのだ。

 ロビーから少し進むと、ホールの入り口が見える。そこにはすでに何名かの駒王学園の生徒の姿があった。時間が来ると各クラス、班ごとの点呼が始まる。全員床に座り、先生方の注意事項に耳を傾ける。そして、最近先生になったロスヴァイセが前に出る。

 

「百円均一のショップは京都駅の地下街にあります。何か足りないものがある場合はそこで済ませるように。おこずかいの利用は計画的に。学生の内から奔放なお金の使い方を知るとろくでもない大人になります。お金は天下のまわりもの、あれやこれやとつかっていたらすぐに蓄えなんてなくなります。だからこそ百円で済ませるのです――百均は日本の宝です。」

 

 やたらと百均について熱く語る元ヴァルキリー。何の話かと思って耳を傾けていた生徒たちはみなずっこけた。アザゼルも頭に手をやってまいっている様子である。彼女は就任してからすぐに生徒から人気が出た。美人でまじめなのにどこか抜けているという点が男子のみならず女子にもウけ、今ではちゃん付けで呼ばれる始末だ。

 

「――とまぁ、百均云々はともかく、各先生方の注意された点には全員留意すること。それじゃあ部屋に荷物を置いたら午後五時半まで自由行動だ。ただし、遠出は禁止、範囲は京都駅周辺のみとする。五時十五分には各自ホテル内に入るように。」

 

 アザゼルの最終確認を聞いた後、各々は「はーい」と返事し、ホール出口でボーイから部屋のキーを受け取る。基本は洋室の二人部屋だったが、ダイスケとイッセーは「ホテル側の事情」とやらで一人部屋らしい。

 これは当人たちにとってはうれしい誤算だった。まあ、なんというか、若さゆえに一人になりたい事情というものが男子にはあるものだ。などと考えているとイッセーがカギを受け取る番になる。

 

「イッセー、お前はこれだ。」

 

 なぜかイッセーだけアザゼルから受け取ることになった。そしてなぜかにやにやと笑うアザゼル。その理由は後ですぐに判明することになる。

 

 

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「すげぇ!」

 

「……俺は今猛烈に駒王学園に入学してよかったと思っている。受験頑張ったもんなぁ……。」

 

 素直に興奮する松田と静かに感涙を流す元浜である。何せ自分たちが当たった部屋がエラく豪華だったものだから感動しているのだ。

 

「……まぁ、シングルルームだからな。この狭さは致し方ない。」

 

 一方、一人部屋をあてがわれたダイスケである。松田と元浜の部屋と比べて見劣りはするものの、一人で使う分には十分豪華な造りだった。

 そして同じく一人部屋をあてがわれたイッセーだったが……。

 

「わ、和室?」

 

 イッセーだけ違う階で簡素な引き戸に八畳の床。古ぼけたテレビに丸テーブルと一見したら安アパートの一室かと思える部屋だったのだ。

 

「ぶははははは!マジかよ!この部屋だけ和室じゃん!しかも八畳くらいか?いやーよかったなイッセー、一人部屋で!!」

 

「しかもベットではなく敷布団か。しかも一人だけ。こいつは、旅行費のやりくりがこんなところに影響したか?」

 

 大爆笑する松田と冷静に分析しながらも笑いをこらえる元浜である。

一応トイレと風呂はきれいだった。ただ、やはり洋室と比べると質素なつくりだ。涙目になったイッセーだったが、そこへ誰かが引き戸をノックする。

 

「イッセーくん?ここにいますか?」

 

 ジャージ姿のロスヴァイセだった。イッセーはその姿を確認すると、ずかずかと駆けより小声で猛抗議する。

 

(ロスヴァイセさん!いくらなんでもこの扱いは……。)

 

(我慢してください。一応この部屋は私たちが話し合う時に使うようにとリアスさんが用意してくれたものなんです。)

 

(話し合いって……悪魔的な?)

 

(何かあった時のための集合場所兼ブリーフィングルームですか。確かにこの部屋なら地図も広げられるでしょうし。)

 

(ダイスケくんの言う通りですよ、イッセーくん。万が一のことを考えておいて損はなしです。その部屋を今のグレモリー眷属で(キング)代理になりうるイッセーくんにあてがったんです。)

 

(え、俺が(キング)代理?)

 

(なるほどな。イッセー、お前将来的に独立するんだろう?だからいい機会って思われたんじゃないか?)

 

(そういうことです。我慢してくださいね?)

 

(だからってこの扱いはねぇよ……。)

 

 がっくりとうなだれるイッセーに、諭すかのようにロスヴァイセはその肩に手を置く。

 

「というわけで、私は教師同士の会合があるので後は任せます。午後は自由行動ができるとはいえ羽目を外してはいけませんよ?京都の皆さんに迷惑をかけてはいけません。」

 

『はーい。』

 

 そこそこ適当に返事する四人組である。

 

「さて、まずはアザゼル先生を捜さないと。あの人はホールでの確認を終えたら早々に行方をくらませて……。これだからグリゴリの総督は……。」

 

 ぶつぶつと文句を言いながらロスヴァイセは部屋を後にする。どうやらさっそくアザゼルに振り回されているようだ。なにせ修学旅行以前から「舞妓だ舞妓!次に京料理をしこたま堪能するぜ!」とてめぇ曲がりなりにも教師だろうがいとツッコミたくなるようなことを口走っていたのだ。

 ロスヴァイセの苦労に合掌するイッセーに、元浜が京都の地図を出しながら言う。

 

「なあ、午後の自由時間、本来に予定にはなかったけど伏見稲荷に行かないか?」

 

「あー、あの鳥居がずらっと並んでいるところだろ。」

 

「そうそう、京都駅から一駅で行けるんだってさ。さっき他の先生に聞いたらOKが出たんだ。」

 

「へぇ、それならいいかもな。」

 

 イッセーの意見に松田もカメラのレンズをふきながら言う。

 

「行けるところは行けるときに行っとかないと、京都の名所なんて見て回れないぜ。」

 

「それもどうだな。じゃあ、アーシアたちも誘っていくか。ダイスケはエリーさんを頼む。」

 

「「「おー。」」」

 

 ということでイッセーたちの本格的な京都旅行が本格的にスタートすることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 京都駅から一駅進んだ先に稲荷駅があり、そこから下車すると伏見稲荷への参道に入る。一同は電車に数分揺られて稲荷駅へと到着した。

 

「アーシア、イリナ、見ろ。世にも珍しいものがたくさん店頭に並んでいるぞ。」

 

「わぁ、かわいらしい狐さんですね。」

 

「……ここでお土産買ったらお小遣い足りるかしら。」

 

 教会トリオは早速京都の雰囲気を堪能していた。

 

「ダーリン見て、これ!サムライソード!」

 

「木刀な。買うなよ。剣道で使う木刀と違って、結構作りが甘いから。」

 

「「えっ。」」

 

 無自覚に剣士として惹かれたのかゼノヴィアとイリナが木刀をレジに持っていこうとするところだった。

 

「買うなよ。」

 

「「えぇ……。」」

 

 じーっ、とイッセーを見る教会剣士二人。どうにかしてくれといった表情だ。

 

「……木刀の柄に『伏見稲荷』って彫ってある奴があるからそれにすれば?それなら記念になるだろ?」

 

「「おお!」」

 

 天啓を得たりとばかりに二人はそっちの木刀をもってレジに向かっていった。

 

「エリーはまねすんなよ?」

 

「……はーい。」

 

 日本らしいお土産にひかれていたらしいが、無駄遣いを嫌うダイスケに止められる。それで木刀を買ってほくほく顔のゼノヴィアとイリナ、それを見て微笑むアーシア、さらにそれを見て残念がるエリーという構図が出来上がった。

 

「よし、じゃあここで美少女四人組の京都風景を一つ!」

 

 そういって松田はその光景を写真に収める。

 

「ちょっとぉ、私は入れないの?」

 

 それを見て桐生が半眼で物申す。

 一番鳥居をぬけると、大きな門が出てくる。その両脇には狛犬ならぬ狛狐が鎮座している。

 

「魔除けの像だな。本来なら私たちのような魔の存在は入れないんだろうが、このパスのおかげで入れそうだ。」

 

 ゼノヴィアが狛狐を見て言う。「このパス」とは、事前にグレモリー眷属の面々がリアスから受け取った悪魔用の観光許可証の事だ。これのおかげでイッセーたち悪魔も問題なく許可を得た形で寺社仏閣を観光することができる。

 

「やっぱ見られてるよな?」

 

「ああ、だいたい十四、五人ほどか。結構な数がいるな。」

 

 イッセーは駅に降りた時から感じる視線について口にしていた。ダイスケは自身のシン化以前に得た生体フェイズドアレイレーダーによってその数も把握している。

 

「まあ当然だろう。私たちは天使と悪魔。ここの本来の信仰とは関係のない部外者だ。事前に魔王様方から話は行っているだろうが、それでも一応の監視はしたいのだろう。」

 

「だとしても例の話があるからな。気が抜けない。」

 

 ダイスケの言う例の話とは、イッセーたちが新幹線に乗り込む前にリアスから聞いた事件についてだ。

 最近、京都で悪魔や天界関係者が次々と何者かに襲われたらしい。いずれも軽傷で済み、相手も殺す気はなかったようで悪魔や天使相手に古いなまくらの日本刀で切り付けてきた。

 ただ、その襲撃者は襲撃時に「天誅!」と言いながら斬りつけてきたとのこと。何らかの思想犯であることと、いまだに追跡の手を逃れていることから注意せよとのことだった。

 ともかく、引きずるものはあるものの、千本鳥居を潜っての本殿を目指す山登りが始まった。

 

 

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「……ぜーはーひゅ、ほーはーひゅ、ま、待ってくれぇ。ど、どうしてお前らそんなに動けるんだ?」

 

 元浜の息が上がっている。それを見た松田が呆れながら言う。

 

「おいおい、元浜。情けないぞ。アーシアちゃんだってまだ元気だってのに。」

 

 松田はもともと運動神経抜群なのでこの程度では根を上げない。イッセーたちは悪魔、ダイスケとエリーはもともと身体的ポテンシャルが高めな上、獣具の恩威にあずかっているのでこの程度では全く疲れない。イッセーに至っては山でドラゴンと追いかけっこしていたのだからなおさらだ。

 そのことに、イッセーは心の中でタンニーンに感謝する。

 途中休憩所の店を見ながらも伏見山への挑戦は続く。ちなみにここに来ようといった立案者の元浜は死にかけていた。

 

「おぉ、ここから京都の街並みが一望できるとは。」

 

「はい、絶景ですね!」

 

「じゃあ写真に収めておきましょ。そういえば、この山って地元の学校の部活の走り込みのコースなんだって。」

 

 ゼノヴィアとアーシアが伏見山からの絶景に感動し、桐生が豆知識を入れる。

 周囲を見渡せば本当に赤い鳥居だらけだ。鳥居には個人名のみならず企業の名も刻まれている。奉納されたものなのだろう。

 

「俺、ちょっとてっぺんまで行ってくるわ。」

 

「お、なら俺も行こうかね。」

 

 イッセーとダイスケは断りを入れて頂上を目指す。ほかの観光客の邪魔にならぬよう、二人はハイペースで山を駆け上がっていく。そして頂上らしき場所に出る。だが、そこにあったのは古ぼけたお社だけだった。

 

「あれ、これだけ?」

 

「ひょっとしたら道間違えたか?」

 

 実は千本鳥居の続く道の途中途中に枝分かれする道がある。ひょっとしたらそこで間違えたのかもしれない。

 ザァァァ、と風が木々を揺らす音だけが聞こえる。

 

「どうする?みんなもそろそろ上がってきてると思うけど。」

 

「ここにお参りだけしてみんなのところに行くか。」

 

 そうして二人はお社に向けて二礼二拍手一礼する。どうせイッセーは卑猥な願い事言ってるんだろうなと思いながらダイスケはとりあえず拝んでおく。

 すると、背後に気配がした。

 

「……京の者ではないな。」

 

 その声を聴いて二人は後ろを向く。

 

「ここで仕掛けてくるのかよ……。」

 

 伏見稲荷についてからずっと気配は感じていた。だが、ここで動きを見せるとはダイスケも思わなかった。数は先ほど感じた人数より増え五十人近く。それらが二人を取り囲んでいた。

 その取り囲んでいる者たちは一様に黒い翼を生やした山伏装束、すなわち烏天狗だったり、狐の面をかぶった狩衣姿の者たちだった。皆手に武器を持ち、その中から一人、前に出てくる者がいる。

 

「……女の子?」

 

 イッセーはそう言うが、ただの女の子の格好ではない。年齢は小学校低学年ほどで輝く金髪に、同じく金色の双眸に巫女装束。そして、その頭には狐の耳が付いていた。

 その少女が二人に対して憎々しげに言う。

 

「余所者めッ!よくも……ッ!かかれ!」

 

「っ!おいおいおい!」 

 

 イッセーは慌てて籠手を出し、ダイスケも両手両足に獣具をつける。

 すぐさま烏天狗が錫杖や棒で突いてくるが、二人にとっては鈍い一撃。やすやすと避けてみせる。

 

「母上は返してもらう!」

 

 少女はそういうが、二人にとっては何の事だかさっぱりわからない。

 イッセーとダイスケは一旦距離を取る。

 

「イッセー、パス見せろ。」

 

「――ああ!」

 

 イッセーは自身の悪魔用フリーパスを見せる。そしてダイスケが言う。

 

「こっちは正規の手順を踏んで京都に来ている。サーゼクス・ルシファーから連絡が行っているはずだ。それとも?これ以上手を出してくるのなら、正当防衛としてある程度痛い目を見てもらうが、いかがか?」

 

「その通りだ!大体、京都に来たばっかの俺たちがお前の母ちゃんの事なんか知るわけないだろ!」

 

「黙れ!私の眼は誤魔化せんぞ!禍々しい気で神聖な場を汚しよって!あまつさえ我が母上をさらうなど……死んでも償えると思うな!」

 

 それを聞いたダイスケの額に青筋が浮かぶ。やばい、とイッセーは焦った。

 相手が話を聞こうとしない上に一方的に母とやらをさらった犯人に仕立て上げている。確かに常人でも起こるだろうが、ダイスケの場合はその上を行く。――今の言葉で相手を殺す気になってしまった。

 何せ相手から「死んでも償えると思うな!」という言葉が出てしまったのである。ダイスケからしたら立派な殺害宣告。向こうが殺す気ならこちらも、という論理だ。

 

「待て待て待て!ダイスケ、早まるな!」

 

「……イッセーよぉ、お前これでおめおめ逃げ帰れるか?向こうは俺らを訳わかんねぇ理由で襲ってきてるんだぞ?こりゃ、殺されても文句は言えんだろう?」 

 

 そういってダイスケは鎧を身にまとった。そして、地面を蹴ったかと思うと一瞬で姿が消える。

 

「な!?どこに……ぐわ!」

 

 驚いた狐面が宙を舞う。さらにそのそばにいた烏天狗が吹き飛ばされ、また別の者が瞬時に弾き飛ばされていく。

 

「ななななななんだ!?」

 

 一番驚いたのはイッセーだ。何せダイスケが突然騎士(ナイト)並みのスピードで動いているのだ。

 

「『雷神の因子』だよ。」

 

 高速移動からブレーキをかけたダイスケが答える。

 

「この前トールさんにもらった『雷神の因子』を利用して自分を電磁石化して、地球上の磁場に乗って高速移動できるようにした。簡単に言えばリニアモーターカーだ。さらに――」

 

 またダイスケは地面を蹴る。すると、アークを放った軌跡が更なるスピードで狐面や烏天狗を撥ねていく。

 

「こうやって電気推進を加えることでさらに加速できる。」

 

 電気推進とはかの有名な探査機、「はやぶさ」にも搭載された次世代推進方式の事だ。詳しい説明は省くが、これは化学燃料ではなく電気エネルギーによって推進する。実用段階にある電気推進はそれほど推力が高くないのにどうやってそれほどの加速を得ているのかや、いったいどれほどの電力で動いているのかなど突っ込みどころは多いだろうが――

 

「……俺、そこまでの恩威得てない。」

 

『いや、もともとあの時ダイスケから送られたのは『雷神の因子』のエネルギー()()だ。因子そのものはお前にはいっていなかった。さすがにあいつもそこまで器用じゃない。』

 

「そっか、それならいいんだ……じゃなくて、ダイスケ、やりすぎだ!」

 

 少女の眼前まで迫ったダイスケを禁手化したイッセーが受け止めようとする。周囲を見ればすでに烏天狗や狐の面の者で立っているものはない。この少女にもそれほどの力があるとはイッセーには思えなかった。

 だが、イッセーより前にダイスケを止めたものがいた。その手にした大柄な戦斧で少女に迫るダイスケを止めたのだ。

 

「……どこのどいつだ。」

 

「それはこちらの台詞だな。九尾の姫御子に手を出すとは何事だ。」

 

 ダイスケは一旦距離を取る。そして、相手を観察する。

 性別は女、身長はダイスケより少し高く、肌は日本人とは思えない褐色。髪は外にはねるような銀髪で、頭の横でツインテールに束ねている。なによりもミニスカートは履いているものの上半身はサラシを巻いただけ。それよって豊かなバストが強調されておりイッセーは思わず兜のマスクの中で鼻血を流す。

 なんにせよ騎士(ナイト)並みのスピードで動いていたダイスケを止める程である。相当な手練れであることは間違いない。

 

「姫御子?この人の話を微塵も聞かない餓鬼がか?」

 

「そうだ。事と次第によっては貴様らを打ち滅ぼす。」

 

 しばらく二人の間でにらみ合いが続く。

 するとドサリ、という音がイッセーの背後からする。少女が恐怖で腰を抜かしたのだ。

 

「大丈夫?」

 

 イッセーは少女の手を取って立たせてやる。何とか少女は立ち上がり、首を何度も細かく縦に振る。よほどダイスケが怖かったのだろう。

 

「あはは、一応こいつも手加減はしてるからさ。許してやっちゃくれないかな?」

 

 おっぱいドラゴンの活動で子ども相手の扱いに手馴れてきた、わざわざ少女と同じ目線になって言うイッセーである。たしかにイッセーの言う通り、ダイスケに吹き飛ばされた者たちは一様に苦しんではいるが死んでいる者はいない。

 少女はうん、と頷きかけるがハッとなってイッセーの手を払う。

 

「さ、触るな!ええい、撤退じゃ!このままではこいつらには勝てん!おのれ、邪悪な存在め、必ず母上を返してもらうぞ!貴女様も!」

 

「フン、仕方あるまい。ここは引いておくか。」

 

 少女はそれだけ言うと、一迅の風と共に刺客、そして謎の戦斧の女ともども行方をくらませた。

 

「……あの餓鬼、今度見つけたら本格的に泣かす。」

 

「あはは……。」

 

 苦笑いするイッセーであったが、何か起こってほしくない何かが起きていると予感してしまった。




 ということで雷神の因子活躍しましたよ。ゴジラにはないオリジナルの強化だけどいいですよね……?そしてもちろんアレも出します。
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。……ないと寂しいねん。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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