ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 これを書くにあたって京都の観光名所を調べていたんですが、そのせいでやっぱりまた行きたくなってきました。地元は特に観光名所というわけでもないので京都や大都市が羨ましい。
 でも金がない……。パソコンから離れるのつらいお……。ホント自分てインドア派だなぁ。釣りはするけど。


VS62  京都行きたい観光したい(作者心の声)

 初日の夜、駒王学園二年生たちはホテルでの夕食を終えていた。

 食事を終えたあと、イッセーたちはようやく一息つけた。何しろ例の襲撃後、松田たちと早々に合流してゼノヴィアたちに事情を話し、ずっと警戒をし続けながら観光していたのだ。

 もちろん、ホテルに帰ってからアザゼルとロスヴァイセに報告したが、やはり二人とも困惑していた。

 何しろ事前に悪魔が京都を訪れることは京の都を裏で統べる者たちにも連絡が行っているはずだからだ。

 

「なにか臭うな。俺からもう一度確認を取ろう。」

 

「先生、このこと部長には――」

 

「いや、やめておけイッセー。まだ何が起きているのか完全に把握できていない。アイツに余計な心配はさせなくていい。」

 

「わかりました。ああ、でも俺の飛んでいった可能性の事もあるんだった。どうしよう……。」

 

「ドライグがいつかお前のもとに帰ってくるって言ったんならそれを待ったらどうだ?待つっていうのも一つの手だぜ。まあ、ここにきている俺の配下にそれらしいものを見つけたら報告するように言っておく。」

 

 そう返され、イッセーもアザゼルたちに任せることにした。その後、ロビーで明日の確認をした後、いつもの四人組で少し部屋で遊ぶ。そのあと、イッセーは自室に戻り、敷かれた布団の上でまったり過ごすこと十数分後――

 

「――頃合いだな。」

 

 そういって立ち上がり、静かにイッセーはふすまを開けて左右確認。だれもいない。

 

「……よっしゃよっしゃ。」

 

 イッセーはそろりと部屋を抜け出すと、非常階段の扉を開けた。

 この時間帯は大浴場で女子たちが湯船につかっている。そう――覗きである。

 

(くくくくく!いつも俺をバカにしているクラスの女子どもめ!この俺がなめるようにその裸体を見てやるぜ!!)

 

 自然とこぼれる笑み。馬鹿だ。湧き上がる性衝動の赴くままイッセーは階段を下りていく。ほんと馬鹿だ。

 そのとき、女風呂に続く非常階段に人影が一つ――ロスヴァイセだ。ジャージ姿でイッセーを待ち受けていたのだ。

 それを見たイッセーはふっと皮肉げに笑う。

 

「やはり悟られていたんですね。俺の覗きを。」

 

「勿論。わかりきっていたことですから。」

 

 そして、ロスヴァイセは構える。

 

「私は教師として、女生徒の裸を死守します!」

 

「俺だって!女湯を覗く!いくら仲間でもここだけは譲れない!」 

 

 お互いに自分の攻撃範囲直前で足を止め、しばしにらみ合う。そして――

 

「「とぉ!」」

 

 イッセーとロスヴァイセの女湯の覗きをかけた戦いが始まる。ここは一般客や悪魔に関係のない生徒がいるため派手な戦闘は行えない。よって普段派手に魔方陣を広げて魔術攻撃を行うロスヴァイセには不利だ。

 なんの縛りもない状態ならロスヴァイセがその手数の多さでイッセーを圧倒するだろう。だが、この状況下ではシンプルに自身のポテンシャルをあげられるイッセーが有利だ。

 その証拠に、ロスヴァイセは小さな氷の塊を魔術で作ってそれを礫にして飛ばすが、イッセーは自身のドラゴン由来の炎と熱を口から放ってすべて溶かして撃ち落としている。

 

「くっ、いつもより攻撃が鋭い!性的なものが絡むとここまで力を上げるなんて……なんて非常識な!」

 

「クラスの女子の裸を見れるなら、俺は今日ここであなたと刺し違えてもいい!」

 

「何というスケベ根性!あなたね、普段からリアスさんや朱乃さんの裸体を好きなだけ見ているでしょう!なおかつ触ってもいるのだからそれで十分なのでは!?」

 

「それはそれ、これはこれです!!」

 

「馬鹿じゃないの!?――だけどこれでは私が不利。こうなったら……お願いします!」

 

「あいよ。」

 

 ローテンションな返事が非常階段に響く。そう、ダイスケがイッセーの前に立ちふさがったのだ。

 

「そんな……どうしてお前が!?」

 

「どうしてもクソもねぇよ。今、女湯には榛名がいる。エリーがいる。あいつらに対する責任として、俺はその裸をお前に見せるわけにはいかねぇんだよ。」

 

 そう、ダイスケには守るものがあった。自分を世話してくれる榛名、そして自分を好いていてくれているエリー。彼女らを護る為に、ダイスケは立ち上がったのだ。

 

「くっ……それなら、一緒に覗こう!もちろん河内さんやエリーは俺は見ないようにする。それならどうだ!」

 

「確かに魅力的なお誘いだな。……だが、乗るわけにはいかねぇな。」

 

「な、なんでだ!?」

 

「確かにあの二人は魅力的なボディーラインをしている。俺だって覗きたい。だが、それをやってあいつらを悲しませるようなマネは、俺ぁしたかねぇのさ。」

 

 そう言って、ダイスケは獣具を両手足に纏う。それを見たイッセーも覚悟を決める。

 

「そうか、それなら戦うしかないな。だが、お前はロスヴァイセさんより不利だぞ。お前の基本的な攻撃はみんな大規模な破壊につながる。あの高速移動法だってこんな閉所じゃ使えない。それに俺は木場との特訓であいつのスピードに慣れた。そう、お前には不利な条件しか――」

 

 ところが、ダイスケは指一本を何もない虚空に向けて突き出し、そこから一条の閃光を放つ。ブゥン、という音とともに、閃光が夜の京都の空に放たれる。その一撃は、京都の空を覆っていた雲を晴らし、星空を覗かせさせた。

 

「い、今のは――」

 

「俺が『雷神の因子』を得て作り上げた戦法が高速移動だけだとでも?今のは放射火炎でも熱弾でも熱線でもない。――荷電粒子ビームだ。」

 

「「な……なんだって(ですって)!?」」

 

 まさかのSF兵器の登場に、イッセーもロスヴァイセも驚いた。そしてまさか新技をこんなばかばかしいシーンで使うことになるとは作者も考えなかった。

 

「荷電粒子ビームなら励起させる電力を調整させることでいくらでも威力を加減できる。イッセーだけに当てて貫通させずに周囲には何の被害も出さないなんてこともできるし、生体フェイズドアレイレーダーと合わせれば10km先の針の穴にビームを通すなんてことも可能だ。まだ鍛錬を積んでいないからそこまでの事はまだできないけどな。」

 

「そ、そこまでのことが……くそっ!まさかダイスケがアドリブで得たものをここまで使いこなしてくるなんて……それでもっ!覗きたい世界があるんだ!」

 

 イッセーがオーラを高める。どうやらますます本気になったらしい。

 

「俺にだってなぁ……譲れないものがあるんだよ!」

 

 ダイスケもオーラを高める。まさに一触即発。そこへ――

 

「あー、変に盛り上がっているところすまない。」

 

 アザゼルが現れる。

 

「ど、どうしてここに!?」

 

「まさか先生も覗きっすか。」

 

「ちげぇよ。俺とお前たちに呼び出しがかかったんだよ。近くの料亭まで移動だ――魔王少女サマのお呼びでな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレモリー眷属とイリナ、そしてダイスケとエリーはアザゼルに先導されて街の一角にある料亭に案内された。

 中に通され、和の雰囲気が漂う廊下を抜けると個室がある。そのふすまを開けると、いつもの魔法少女の格好ではない、着物を着たセラフォルーがいた。

 

「ハーロー、みんな!ごめんね、こんな時間に呼び出しちゃって。」

 

 格好は違うがいつものテンションのセラフォルー。そしてそこには先客がいた。

 

「おお、兵藤たち。」

 

 匙たちシトリー眷属の二年組だ。

 

「よお、お前たちも?昼間そういやどこに行った?」

 

「こっちはずっと先生方の手伝いだちくしょうめ。」

 

 ため息交じりの匙である。

 

「まあまあ、ここのお料理でも食べて機嫌を直してちょうだいな。とてもおいしいのよ?特に鶏料理なんて絶品なんだから♪皆も食べていってね。」

 

 イッセーたちが席に着くやいなや、次々と料理が運ばれてくる。これでも夕食を取ったばかりであったが、その味故に問題なく胃の中に入っていく。アザゼルなど日本酒に手を出しているくらいだ。

 

「それでレヴィアタン様はどうしてこちらに?」

 

 イッセーの問いにセラフォルーは横チェキで答える。

 

「京の妖怪さんたちと協力体制を取るために来ました♪」

 

「あ、ちゃんと仕事はするんだ。」

 

 ダイスケの何気ない一言にセラフォルーはプンすかと怒る。

 

「失礼ね、ダイスケくん!これでも、冥界の外交担当よ!……でも、どうにも大変なことになっているらしいのよ。」

 

 セラフォルーはその顔を陰らせ、箸をおく。

 

「京都側の報告では、この地の妖怪たちを束ねていた九尾の御大将が先日から行方不明らしいの。」

 

 その言葉を聞いて、ダイスケとイッセーは昼間のことを思い出す。

 

――母上を返せ!

 

「……なるほどね、そういうことか。」

 

 ダイスケが言わんとしていることを悟ったのか、セラフォルーはうなずいた。

 

「ええ、アザゼルちゃんからあなたたちの報告を耳にしたのよ。おそらくはそういうことよね。」

 

 アザゼルが盃の酒を呷ると言う。

 

「ここの首領である妖怪が攫われたってことだ。関与してるのは――」

 

「十中八九『禍の団(カオス・ブリゲード)』ね。」

 

 セラフォルーが真剣な面持ちで言う。

 

「ったく、こっちは修学旅行で学生の面倒を見るので手いっぱいだってのにな。やってくれるぜ、テロリストどもが。しかも問題はこれだけじゃねぇ。ダイスケ、アーロン・ブロディって覚えてるか?」

 

「……忘れるわけありませんよ。それがどうかしたんですか?」

 

「生きてる。」

 

「ハァ!?」

 

 ダイスケは思わず立ち上がった。何しろ死んだはずの人間が生きているといわれたのだ。

 

「MMSのジョンからの報告だ。あいつらは今、南明日香村を襲撃した怪獣の探索に自衛隊と共に出ていたんだが、途中で怪獣と遭遇、さらに戦闘中にブロディが乱入してきたらしい。」

 

「乱入してきたのがアーロンだってのは確認できたんだすか?」

 

「メンバー全員が顔を見ている。それで怪獣は霧とともに姿を消し、アーロンもどこかへ走り去ったようだ。今、ともに自衛隊とMMSが周辺を探索中だが、何も見つかってない。」

 

「そうですか……。」

 

 そういってダイスケは再び座る。

 

「俺としては怪獣が霧と共に消えたってのが気になっているところだ。ひっとしたら、絶霧(ディメンション・ロスト)かもしれないと思っている。まあ、怪獣の固有能力かもしれないが、それでも『禍の団(カオス・ブリゲード)』の関与を疑ってもいいかもしれない。」

 

 そういうアザゼルに酌をしながらセラフォルーは言う。 

 

「いずれにしろ、まだ何も公表するわけにはいかないわね。なんとかして私たちで事を収束させなければならないわ。例の辻斬り騒ぎの事もあるし、私はこのまま連携してくれる妖怪の方々と一緒に事に当たるつもり。」

 

「了解だ。俺も動こう。ったく、京都に来てまでやってくれるぜ、やっこさんどもはよ。」

 

 再び日本酒を呷りながらアザゼルは毒づく。舞妓と遊べなくなることもあって多少イラついているのだろう。

 そんなアザゼルを見て、イッセーは何かしなきゃいけないという衝動に駆られる。

 

「あの、俺たちは何をすればいいんでしょう?」

 

「とりあえず、修学旅行を楽しめ。」

 

「え?で、でも。」

 

 うろたえるイッセーの頭を、アザゼルはわしゃわしゃと掻く。

 

「何かあったら呼ぶよ。だがな、お前らガキに取っちゃ一生に一度の修学旅行だ。俺たち大人ができる限り何とかするから、今は旅行を楽しんで思い出を作れ。」

 

「せ、先生ぇ……。」

 

「そうよ、赤龍帝ちゃん、ソーナちゃんの眷属ちゃんたちも今は京都を楽しんで。私も楽しんじゃうから!」

 

「お前は俺と一緒に仕事だ。」

 

「えぇ……言ってみただけなのにぃ。」

 

 そういうことになり、今夜はこれで解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あくる次の日。本日は清水寺からスタートだ。

 ホテルからバスで移動し、「清水道」バス停からは坂を歩いて移動する。

 

「ここ、三年坂って言って、転んだら三年以内に死ぬらしいわよ。」

 

「ほ、ほんとなんですか!?怖すぎですぅ!」

 

 桐生の言葉をアーシアが鵜呑みにし、本気で怖がる。その怖がりようと言ったらイッセーの腕に転ばないようにしがみつくほどだ。

 

「……日本という国は恐ろしい術式を一般人も通る坂に仕込むのだな。」

 

 ゼノヴィアまでも桐生の話を信じ、イッセーの空いている腕にしがみつく。それを見かねたダイスケはスマートフォンで検索し、二人に教えてやる。

 

「あのな、ここは本当は産寧坂っていってこの坂の上の清水寺にある子安観音へ「お産が寧か(やすらか)でありますように」と祈願するために登る坂って意味なんだよ。再念坂って名前もあってご利益があることを示す名前なんだ。転んだら死ぬっていうのはどっちかっていうと和歌山の方だ。」

 

「「本当ですか(なのか)!?」」

 

「何よ、ダイスケ。せっかく面白い反応だったのに。」

 

「桐生よぉ。よくねぇぞ、そうやって知らない人間をからかって遊ぶの……って、何やってるんだ、エリー。」

 

 見ればダイスケの右腕にエリーがしがみついている。先ほどの話を聞いたにもかかわらずに、だ。

 

「え?こ、転ばないように?」

 

「目ぇ背けるな。大体いつも抱きついてくるくせに便乗しようとするの止めろよな。」

 

「いいじゃん、減るもんじゃなシー!」

 

 そんなやり取りを繰り広げながら土産物店、陶磁器店、料亭が軒を並べる参道を歩く。その先には仁王門がそびえたち、いざ中へと入る。

 

「見ろ、アーシア!異教徒の文化の粋を集めた寺だ!」

 

「はい、歴史を感じるたたずまいです!さすが異教徒です!」

 

「異教徒バンザイね!!」

 

 かなり失礼な褒め方をする教会三人組。

 

「おーい、ここには一応観音様とオオクニヌシノミコトがいらっしゃるんだから。イッセー、あれいい加減矯正しろよ。」

 

「いや、あれは一生治らねえよ……。」

 

 その後、門に入ってすぐにある弁慶の錫杖と下駄を持ち上げるチャレンジをし、本殿を参って有名な清水の舞台へ。

 

「ここから落ちても85パーセントの確率で助かるらしいわよ。松田、やってみれば?」

 

「やらねぇよ!」

 

 そんなやり取りを桐生と松田がしている中、ダイスケはひとり先に行く。

 

「ダイスケ、なんで先に行くんだ?」

 

 元浜の問いに、ダイスケは答える。

 

「この先からのアングルがゴジラで出てきたからな。撮ってくる。」

 

「ああ、そういやそうだったな。小さいころ見た記憶あるわ。」

 

 目的のアングルでスマートフォンのカメラを起動させてシャッターを押しまくる。

 

「珍しいね、ダーリンがそんなににんまり笑うって。」

 

「そりゃそうだ。オタクはこういう時に魂に火がつくからな。」

 

 そして、一同は境内にある地主神社に入る。恋占いや恋愛成就で有名なところだ。一同はそこにも参拝する。

 

「一番、エリザベス・D・マキノ!行きマース!」

 

 エリーが挑戦するのは10メートルほど離れてたつ2つの守護石「恋占いの石」。目をつぶって、その石から石に辿り着けば恋が叶うとされている。ところが。

 

「とーう!」

 

 エリーは驚異的なジャンプ力で石から石に飛び移る。

 

「Yes!たどり着けたネ!」

 

 たしかに「必ず歩いて行かなければならない」というルールはない。だが、いくらたどり着きたいからといってもこれはやりすぎだ。その驚異的なジャンプ力に他の参拝客が目を丸くしている。

 

「アホ。いくらたどり着きたいからってやりすぎだ。やり直し。」

 

「ええ~!?じゃあじゃあ、こっちの恋占い御神籤やろう!それで挽回するネ!ほら、アーシアも一緒にやる!」

 

「え、えぇ!?私もですか!?」 

 

 巻き込まれたアーシアと一緒にエリーは200円を出して御神籤を引く。アーシアが恐る恐る中を開いてみるとそこには――

 

「十一番、大吉……!想い人と結ばれる、将来安泰……!」

 

「おお、よかったな、アーシア。」

 

「はい、イッセーさん!本当に良かったです……本当に……!」

 

 良い結果に思わず涙ぐむアーシア。よほどうれしかったらしい。それもそうだ、神様に後押しをもらったようなものだから。

 

「よかったな。」 

 

「ええ、よかったわ。」

 

「なんだか私も見てて安心したわ。」

 

 横でゼノヴィア、イリナ、桐生も胸をなでおろす。

 一方エリーはというと――

 

「十四番、末吉……!?想いは伝わるもののライバル非常に多し。さらに増える模様……!?」

 

 食い入るように自分の結果を見つめるエリー。内容にかなりショックを受けているようだ。

 

「さっきの恋占いの石の(バチ)が当たったな。なに、ライバルなんて増えないから安心しろ。しょせん御神籤だ。」

 

「増えたジャン!この前増えたジャン!あの女、週四でダーリンにアスガルドからビフレストで会いに来るし!」

 

「わかった、わかった。さっさと御神籤縛ってこい。あ、生きた木の枝には結ぶなよ。」

 

「はーい……。」

 

 とぼとぼとエリーは歩いていく。それら恋占いに一喜一憂する姿を見た松田はつぶやく。

 

「元浜よぉ、なんか俺ら……蚊帳の外じゃね?」

 

「泣くな松田よ。後でホテルに帰ったらイッセーを殴るとしようではないか。ダイスケはやめておこう。万倍になって返ってきそうだからな。」

 

 そうして清水寺の観光を終え、今度は銀閣寺へと向かう――

 

 

 

 

 

 

「銀じゃない……。」

 

 ゼノヴィアは絶望した。銀閣寺に対して抱いていた幻想を現実が見事に打ち砕いたのだ。

 

「……ゼノヴィアさん、お家でも「銀閣寺が銀で金閣寺が金、きっとキラキラ輝いてまぶしいんだろうな」って瞳を輝かせて言っていましたから。」

 

 アーシアが打ちひしがれるゼノヴィアの肩を抱いていう。パンフレットやネットの情報も見ないで楽しみにしていたのだろう。いずれにしろ、幻想である。

 

「建設に携わった足利義尚が死んだから銀箔を張るのやめたとか、幕府の財政難で中止になったとか言われているらしいわね。」

 

 事前に調べていたらしい桐生が言う。

 

「いや、最近の研究じゃ元から銀箔は貼っていなかったうえもとは黒漆塗りだったそうだぞ。どっちにしろ銀は酸化して輝きが失われるからな。メッキでもなきゃ無理なんだよ。」

 

 ダイスケがスマートフォンで調べながら言う。

 いずれにしろ、現実はゼノヴィアにとって甘くはなかったのである。

 近くの店で昼食を済ませば次は金閣寺――

 

 

 

 

 

 

「金だッ!今度こそ金だぞ!」

 

 鹿苑寺にたどり着き、金閣を初めてみたゼノヴィアの最初の一言はそれだった。

 

「金だぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 両こぶしを上げて全身で喜びを表現するゼノヴィア。まるで子供のように喜んでいる。

 確かにゼノヴィアが興奮するのも納得の美しさだ。松田も自慢のカメラを取り出して何枚も夢中でとっている。イッセーも携帯のカメラを起動し、写メを取る。

 

「部長たちにも送ってあげようっと。」

 

 そうして京都で撮った写真の何枚かを駒王学園で待つリアスたちに送る。

 鹿苑寺内を見て回った後、金閣寺土産を買い、中にある御茶屋で休憩を取る。

 

「どうぞ。」

 

 和服姿の女性店員が淹れたての抹茶と和菓子をもってくる。

 

「――ふぅ。」

 

 その芳醇な苦みと風味に、ダイスケは思わずため息をついた。決していやじゃない苦味が口と鼻を通り抜け、あとから風味が通り抜けていく感覚が心地いい。

 

「これが日本の抹茶……和菓子と合うようにうまくできているネ。アーシア達もこうしたらいいよ。」

 

 紅茶党のエリーが抹茶と和菓子を交互に口に運んでいう。

 

「あら本当。抹茶の苦味が和菓子でうまい具合に緩和されるわ。」

 

「本当です。こうしていると本当のお抹茶のおいしさが伝わってくるみたい。」

 

 イリナとアーシアが感動する横で、ゼノヴィアだけがぽわぁっとした顔で平気で抹茶だけを口に入れている。

 

「……金ぴかだった。」

 

 いまだに感動冷めやらぬのか、抹茶の苦みなどお構いなしに飲み続けている。よほど嬉しかったらしい。しかし、その余韻も見知らぬ女性の悲鳴で掻き消える。

 

「キャー!痴漢!変態!」

 

「お、おっぱいを、おっぱいをくれ!」

 

 男性が女性に胸を揉もうとして周囲の男性に取り押さえられる。京都に来てこれで痴漢騒ぎを見るのは二度目か。

 

「痴漢かー。そういえば朝のニュースでもやってたな。祗園の方でも痴漢騒ぎがあったってさ。きのうの事といい、今日といいちょっと変じゃね?」

 

「お前がなにを言う松田よ、お前行きの新幹線の中で俺に襲い掛かってきただろうが。」

 

 眼鏡をくいっと上げながら元浜が指摘する。それを聞いて非常に気まずくなるのがダイスケで、横でにんまりと笑うのはエリーだ。

 

「いや、なんだかさ、あのときは寝ぼけていたというか、意識が朦朧としていたんだ。それでやたら乳を触りたかったんだよなぁ。なんだったんだろう、あの感覚。」

 

「それは青春だな。若さゆえの過ちということだ。」

 

 松田と元浜はそろってうんうん、と頷く。同じくイッセーもその気持ちがわかるのかしんみりと頷いた。

 すると、不意にイッセーの携帯が鳴る。着信は朱乃からだった。イッセーは迷惑にならないよう、茶屋から出て電話を取る。

 

「もしもし、どうしました?」

 

『あ、イッセーくん?いえね、大したことではないのだけれど、ちょっと気になることを小猫ちゃんが言っているの。』

 

「小猫ちゃんが?どうしたんです?」

 

『それがね、写っているらしいの。イッセーくんからもらった写メに。』

 

「……写ってる?」

 

『ええ、風景の中に狐とか烏天狗だかの妖怪が写っているらしいの。何が起きているの?妖怪がいることは京都だから特に珍しくはないのだけれど。』

 

 京都には観光地の寺や神社であるにもかかわらず時折写真撮影禁止の場所がある。それは文化財であるため、というのもあるが、中には()()()()という理由で撮影を禁じているところもあるそうな。

 そういった話を思い出し、背中を悪寒が走るイッセー。

 もとよりそういった気の流れに敏感な小猫である。なにか感じ取るものがあったのだろう。

 

「い、いえ。特に問題ありません。あ、ちょっとアーシアが呼んでるみたいなんでまたあとで。」

 

『……何かあったらすぐに連絡をくださいね?』

 

「はい、もちろんです。」

 

 そういったやり取りをし、イッセーは電話を切った。……アーシアに呼ばれた、というのは嘘だ。このままではアザゼルに言われたことを守れなくなりそうだからそうしたのだ。

 ただ、このことは他の者にも伝えた方がいい、と思い茶屋に戻る。すると、異常事態が起きていた。松田、元浜、桐生の三人が眠りこけているのだ。

 疲れから来た睡魔というわけではないことは見てわかる。現にダイスケたちは起きている。そして、アーシアを除く戦闘ができる者たちは一様に女性店員をにらんでいた。

 怪訝に思ったイッセーだったが、その理由はすぐに分かった。女性店員の頭に狐の耳が付いているのだ。周囲を見渡せばほかの一般客も倒れこむように眠っており、立っているのは獣の耳を生やしたものばかり。

 

「……まさか観光地で襲われるとはね。」

 

 ゼノヴィアはそう言い、事前に木場から護身用にと貰った聖なる短剣を抜く。ダイスケやマリーも獣具を展開し、イッセーも籠手を出そうとする。すると、意外な人物がそれを止めた。

 

「待ってください、彼らに戦いの意志はありません。」

 

 ロスヴァイセだった。

 

「あなたたちを迎えに行くようにアザゼル先生から連絡を受けました。武器を仕舞ってください。」

 

「どういうことです?」 

 

 全員ノックアウトする気だったダイスケが尋ねる。見れば確かに周りを取り囲む妖怪たちに敵意は感じない。

 

「停戦――というか、誤解が解けました。九尾のご息女があなたたちに謝りたいというのです。」

 

 状況がいまいち読めない一同に、狐の耳を生やした女性が一人前に出てくる。そして、深く頭を下げた。

 

「私は九尾の君に仕える狐の(あやかし)でございます。先日はご無礼を働いてしまいました。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されていますので、どうか私たちについてきていただけないでしょうか。」

 

「ついてこいだぁ?」

 

 警戒心MAXのダイスケだ。その問いに、狐の女性は答える。

 

「はい、我ら京の妖怪が暮らす裏の都――いわば裏京都です。魔王さまと総督殿もすでにそちらにいらっしゃっています。」

 

 どうやら否が応にもいかなければならなくなったようだ――裏の都とやらに。

 




 というわけで観光回なVS62でした。あー、俺も修学旅行いきてぇ!!中学の時には一度行ったのですが、その時は清水寺と鹿苑寺と北野天満宮ぐらいしか有名どころを巡っていないんですよね。高校の時は東京と横浜だったし、酒を飲める歳になって以降は一度も行ってないですし。深夜バスでまた行きたいなぁ。どうでしょうみたくやられますけど。
 そしてでましたアニゴジの必殺技。結構汎用性が高いので多用していくと思います。
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
 
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