ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 以前一人で京都に行った時、晩御飯がなぜか京都駅内のステーキ屋でした。京都まで来たのに……。隣の席の外国人の親子連れと終始微妙な空気になっていました


VS63  序盤に死んだ奴が後々復活して出てくるのはある意味常識的

 金閣寺の一角にあった人気のない場所の小さな鳥居をくぐったダイスケたちが足を踏み入れたのはまさに異界だった。

 まるで時代劇のセットのような建物が並び、扉から窓から絵巻物で見るような面妖な物の怪たちが顔を出していた。

 一つ目入道、河童、朱の盆、化け狸に化け狐、魍魎、けらけら女、黒入道、赤鬼、青鬼と数多くの妖怪たちがダイスケたちを好奇の目で見ている。

 薄暗い空間に独特の空気。狐の姫君がいるという場所まで狐の女性に先導されて一同は歩く。薄暗い中、唯一の光源と言える灯火が道の先まで点々と続く。

 

「うきゃきゃきゃ!」

 

 突然目の前の提灯に口と目が出て笑い出す。しかし、ダイスケがその提灯お化けを横一文字にパチコーンと張り手する。

 

「ダパンプ!」 

 

 おまけにダイスケは提灯お化けを踏みつける。

 

「す、すいません!ここの妖怪たちはいたずら好きで……害をなすつもりはないんです!」

 

「ダーリン、警戒するのは分かるけどやりすぎネ!」

 

「……チッ。」

 

 狐の女性とエリーに止められてダイスケも拳を収め、提灯お化けから足を離す。

 

「ひ、ひどすぎる……。」

 

 ぴくぴくと痙攣しながら提灯お化けはつぶやく。

 

「あははは……あの、ここは妖怪の世界なんですか?」

 

「え、ええ。ここは京の都に身を置く妖怪たちが暮らす場所です。悪魔の方々のレーティングゲーム、あれの空間に近いものと考えてくださって構いません。私たちは裏街、裏京都等と呼称しております。まあ、表の京に身を置く妖怪もいるのですが。」

 

 そう狐の女性はイッセーに教える。

 

「……人間か?」

 

「いや、ほとんど悪魔らしいわ。」

 

「ほーん、珍しいわなぁ。」

 

「あのきれいな外国の娘っ子も悪魔なんやろか?」

 

「見たかいあの人間、あらもうほとんど人の所業やあらしまへん。」

 

「龍や、龍の気配や。それにおっそろしい獣の気配……。」

 

 どうやら彼ら妖怪たちにとってダイスケたちは相当珍しいらしい。

 家屋が建ち並ぶ区域を抜けると、小さな川を挟んで林に入る。そこをさらに進むと巨大な赤い鳥居が姿を現す。そしてその先には非常に大きな屋敷があった。そこに、五人の見知った顔が並んでいる。

 

「お、来たか。」

 

「やっほー、みんな☆」

 

 うち二名はアザゼルとセラフォルーだ。その間に先日の狐の娘がいる。だが、意外だったのは――

 

「どうも、先のレーティングゲームの時以来ですね。」

 

「……ふん。」

 

 なんとそこには最珠羅(モスラ)といっしょに件の褐色の女がいたのだ。ただし、今日はともに巫女装束で褐色の女の方はメガネをしている。

 

「モスラさん、なんでここに!?」

 

 驚いたのはダイスケだ。それに対し最珠羅(モスラ)は笑顔で手を振って返すのみ。詳しい事情は後で、ということなのだろう。

 

九重(くのう)さま、皆様をお連れいたしました。」

 

 狐の女性はそう報告すると、ボンッという音ともに炎となって消えてしまった。狐火という奴だろう。

 狐の姫君――九重は一歩前に出て口を開く。

 

「私は表と裏の京都に住まう妖怪たちを束ねる者、八坂の娘、九重と申す。」

 

 すると、少女は深く頭を下げた。

 

「先日は誠に申し訳なかった。お主たちの事情も知らずに襲ってしまった。どうかこの通り許してほしい。」

 

「……だってよ、ダイスケ。お前そういえば泣かすとか言ってなかったけ?」

 

「……わかった、わかった。もういいよ。」

 

「だって。俺も別にもういいよ。頭を上げてくれ。」

 

「し、しかし……。」

 

 よほど気にしているのだろう。そこでイッセーは膝をつき、目線を九重に合わせてやる。

 

「えーと、九重?九重はお母さんの事、心配なんだろう?」

 

「と、当然じゃ。」

 

「なら、頭に血が上ってあんなふうに間違えるときもある。もちろん、それは場合によっては問題を起こしたり、相手を不快にさせる。でも、九重は間違っていたって気付いたからこうして謝っているんだろう。」

 

「もちろんだとも。」

 

 そしてイッセーは九重の肩に手を置き、笑顔で続ける。

 

「なら、俺たちももう何も言わないよ。だから、これでいいんだ。」

 

 九重はイッセーの言葉に顔を真っ赤に染め、もじもじとしながら小さく呟く。

 

「……ありがとう。」

 

 立ち上がるイッセーを、アザゼルが小突いた。

 

「さすがおっぱいドラゴン。子供の扱いがうまいな。」

 

「ちゃ、茶化さないで下さいよ!これでも精一杯なんだから。」

 

「いえいえ、今ので少し見直しました。」

 

 ロスヴァイセの中では覗き行為ですでにストップ安だったのだろうか。それでもちょっとは持ち直したならいいことだ。

 しかし、これを見て火がついたのが一名。

 

「ま、負けてられないわ!こんなところまでおっぱいドラゴンの布教だなんて!『ミラクル☆レヴィアたん』の主演としては負けていられないんだから!」

 

 すると九重は照れながらイッセーたちに言う。

 

「咎のある身で申し訳ないのじゃが……どうか、どうか!母上を助けるために力を貸してくだされ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 一同は屋敷の中に通され、事情を聴くことになった。

 この京の都を取りしきる妖怪のボス、九尾の狐こと『八坂』は須弥山の帝釈天の使いと会談するために数日前にこの屋敷を出た。

 だが、肝心の会議の席に八坂は姿を現さなかった。不審に思った京都側が調べたところ、八坂に同行していた烏天狗の一人が瀕死の状態で見つかった。その烏天狗が死の間際、八坂が何者かに襲撃され、攫われたことを告げたらしい。

 そこで京都にいる怪しい人物をしらみつぶしにしていこうとした結果、イッセーたちを襲撃してしまった、ということだそうだ。その後、アザゼルとセラフォルーが九重たちと交渉し、冥界側の関与がないことを告げ、手口から禍の団がやった可能性が高いと情報を提供した。

 

「ですが問題はこれだけではありません。別の脅威がこの京都に迫っているかもしれないのです。その前に紹介しましょう、こちら、私の双子の妹で破斗羅(バトラ)。守護の私と対になる、攻撃の守護神です。」

 

「一応人間名でマナ・マイナ・インファントという名前がある。モスラの方はヒオ・ミアナ・インファント。好きな方で呼んでくれ。それと――ゴジラを宿す者よ。」

 

「宝田大助だ。」

 

「そう、ダイスケ。お前にも悪いことをした。すまんかった。今度はもっとちゃんとした場で戦り合おう。」

 

「マナ!そんな謝り方がありますか!本当にあなたは日本に来るときに航空自衛隊の皆さんにもご迷惑をかけて……。お姉ちゃん、そのことも怒っているんですからね!」

 

「あーもう、わかったわかった。今度からはちゃんと移動用ポータルになっている南洋神社を使うよ。」

 

「そうしなさい!……えーと、どこまで話しましたっけ?ああ、そうだ。柳星張のことだった。」

 

 いわく、この京都を守る四神相応ともう一つ、四神に対応した怪獣の守護者がいるのだという。それらは人の姿に変化することでひそかにこの都を都になる前から守護し続けた。

 東は魏怒羅(ギドラ)、西は婆羅護吽(バラゴン)、南に最珠羅(モスラ)、そして北にはもう一柱の守護獣がいた。その名は、雅瑪羅(ガメラ)

 

「ガメラだって!?」

 

 思わずダイスケは身を乗り出す。

 

「知ってるのか、ダイスケ。」

 

 イッセーの言葉にうなずいてダイスケは答える。

 

「昔、怪獣映画ブームだったころ、とある映画会社の社長が飛行機の中で空飛ぶ亀の怪獣の夢を見た。それをもとに映画を作ろうとしたんだけど、役員の反対でダメになった。その企画の名前が確か――ガメラだ。」

 

「なるほど、そういうことがあったのですね。まあ、それはともかく、このガメラはある任務を担っていました。それが邪神、柳星張を封じること。その復活の予兆を感知したので、こちらの私の妹、マナをこの日本に呼んだのです……来る途中で自衛隊の皆さんにご迷惑をかけたようですが。」

 

「悪かったって……柳星張は非常に執念深い。由来は超古代のとある文明が生み出した生物兵器だそうだが、ガメラはこれのカウンター兵器だったようだ。その因縁がこの日本に持ち込まれ、にらみ合いの状態が続き、一万二千年前、ついに両者はぶつかった。結果的にガメラは柳星張を封じることができたが、自身にも痛手を負い、故郷である海に帰って傷を癒している。それが、だ。おい、つれてこい。」

  

 マナの呼びかけで狐面が両脇をきっちりと固めて一人の男を連れてくる。その顔は――

 

「アーロン!?」

 

 そう、死んだはずのアーロン・ブロディだった。

 

「京の結界を無理やりこじ開けてはいろうとしたところを取り押さえたのじゃ。それでも十数人ほど反撃を受けて大けがをさせられてしもうたがな。」

 

 九重が説明する。

 

「言ったはずだ。何者かが柳星張の封印を解き、奴は霧の結界で隠れた。奴の目的はこの都だぞ!このままでは何千、何万人もの人が犠牲になる!」

 

「この通りこの男はガメラを宿している。おそらく本人の意思は何らかの形で眠っているのだろう。そうだな?」

 

「ああ、バトラ。我はこの死にかけた男の肉体を借りている。早いうちにこのカラダを持ち主に返したいのだ。そのためにも早く奴を見つけ出さねばならないというのに!……まて、貴様まさかゴジラか!?なぜ人の中にいる!?」

 

 その自身に対する接し方の違いから、ダイスケは今のアーロンはアーロンでない別の者なのだ、ということを実感してしまう。

 

「……本人の意識がないっていうのはマジなんだな。」

 

「ええい、柳星張のみならずゴジラまで!南無三、こうなれば先にこいつを――」

 

「落ち着きなさい、ガメラ!」

 

 モスラは立ち上がり、ガメラの前に立つ。

 

「この子は確かにゴジラを宿しています。ですが、この子自体には何ら邪悪な心は持ち合わせていません。私が保証します。ですから一旦落ち着きなさい。柳星張の行方も、私たちのみならず堕天使や悪魔の皆様方も協力して探索しています。ですから、今は落ち着きなさい。」

 

「お前がそう言うなら……そうしよう。代替わりしたモスラよ。母上は健在か?」

 

「ええ、島に戻っています。末っ子と一緒です。」

 

「そうか。」

 

 そういって落ち着いたのか、アーロン――ガメラはその場で座った。

 

「さて、その柳星張ですが、自衛隊の報告では霧と共に消えた、とあります。アザゼル総督、これはやはり?」

 

「ああ、絶霧(ディメンション・ロスト)とみてほぼ間違いないだろう。あれならどんな巨体をした怪獣も異空間に保存できる。何らかの攻撃につかってくるとみて間違いないな。」

 

「母上を柳星張の贄にするつもりなのか……!」

 

 九重が悔しそうに歯噛みする。

 

「いや、それはない。八坂を失えば京都の気の乱れが制御できなくなる。それは奴らにとっても得策じゃない。それに、八坂はまだ京都にいる。」

 

「どうしてそう言い切れるんです?」

 

 イッセーの質問だ。

 

「京都全体の気が乱れていないからだ。八坂姫はこの地に流れる様々な気を総括してバランスを保つ存在でもある。京都っていうのはそれそのものが巨大な力場だ。八坂姫に何かあれば何か異変が起きる。まだその予兆すらないということは姫は無事であり、攫った連中もここにいるってわけだ。」

 

「そういうことですか……。」

 

 イッセーが納得すると、鼻の長い山伏姿の老人が前に出る。なんでも天狗の長で、古くから九尾の一族と親交が厚いらしい。今回の件に関しても心を痛めているようであった。

 

「総督殿、魔王殿、どうにかして八坂姫を救うことはできんじゃろうか?我らであれば微力ながらできる限りの支援をいたす。」

 

 すると、天狗の長は一枚の絵画を見せた。それに描かれているのはまさに美女。その頭には狐の耳がぴんと立っており、何より胸が……デカァァァァァイ!説明不要!

 

「ここに描かれておりますのが八坂の姫ですじゃ。人相書き代わりに覚えていてくだされ。」

 

 いや、男子二名は人相よりその胸の方にくぎ付けになっている。

 

「……ダーリン?」

 

「い、いやあ、ちゃんと顔を覚えておこうと思ってたんだよ!何か助け出すチャンスがあるかもしれないし!?」

 

「……イッセーさん、なにかエッチなこと考えていません?」

 

「な、なに言ってるんだよ、アーシア!?俺は何も「助け出したらひょっとしたらエッチなご褒美くれるかもしれない」なんて欠片も考えてもはん!」

 

「まあそれはともかく……セラフォルー、悪魔側のスタッフはどれくらい調査している?堕天使側としては辻斬り騒ぎの調査をしている分の半分をこっちに移そうと思ってるんだが。」

 

「つぶさにやらせているわ。京都に詳しいスタッフにも動いてもらっているし。」

 

 それを確認したアザゼルは、一同を見渡す。

 

「ということでお前たちにも動いてもらうことになるかもしれん。人手が足りなさすぎるからな。特にお前たちは強者との戦いに慣れているから、対英雄派の際に力を貸してもらうことになるだろう。悪いが最悪の事態を想定してくれ。後、ここにいない木場とシトリー眷属たちには俺から伝えておく。それまでは旅行を満喫してくれていいが……いざとなったら力を貸してくれ。」

 

『はい!』

 

 アザゼルの言葉に、一同は応じる。

 すると、九重が手を付き、深く頭を下げる。両脇の狐の女性と天狗の長も続く。

 

「……どうかお願いじゃ。母上を……母上を助けるのに力を貸してくだされ……。いや、貸してください。お願いします……!」

 

 まだ母親に甘えたい年頃だろう。そんな小さな子が涙で声を震わせ、懇願している。

 流石のダイスケも心動かされた。

 

「イッセー、明日は嵐山方面だったよな。」

 

「ああ、そうだけど。」

 

「なら、何かあったらそっちに使いを出してくれ。すぐに動く。」

 

「い、いや、ならばいっそのこと明日はお主らとともにいる!襲ってしまった詫びもしたい。私が直々に嵐山周辺を案内しよう!」

 

「だ、そうだけど?」

 

 ダイスケは一同に確認を入れるが、みな納得の表情だった。

 

「先生的にはどうなんです?」

 

「んー、まぁ大丈夫だろう。異文化交流ってやつだ。ありがたく受けておけ。」

 

「なら、私たちも同行しましょう。姫の護衛です。ね、マナ。」

 

「わたしもか?ギドラやバラゴンはどうなんだ。」

 

「彼らは別件で働いているんです。なら、あなたが来るのは当然でしょう。」

 

「……うぅ、わかったよ。ガメラ、お前はどうする?」

 

「我は我で都の街中を見まわる。一刻も早く柳星張を見つけ出したい。」

 

 ということで明日は九重、モスラ、そしてバトラが嵐山の観光についてくることになった。

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ、河内榛名は班員と一緒に清明神社に来ていた。

 ほかの班員が小さな土産物店で物色している中、ふと気になるものが見えたのだ。

 

「お坊さん?」

 

 京都では托鉢の僧の姿を見ることは決して珍しくはない。だが、神社の前でというのが珍しかった。

 どうせなら、と五百円玉を掴んで托鉢の僧がいる白壁まで行き、器にいれる。

 

「これはどうも、お嬢さん。」

 

 その声を聴いて榛名は驚いた。男かと思ったら妙齢の若い女性だったのだ。

 

「ご、ごめんなさい、てっきり男性なのかと。」

 

「いえいえ、皆様よく驚かれますよ。それよりも御喜捨、ありがとうございます。お礼と言ってはなんですが……。」

 

 そういって尼は懐から小さな荒削りの水晶が付いたネックレスを取り出す。

 

「これをどうぞ。」

 

「い、いただけません!そんな高そうなもの。」

 

「いえいえ、大したものではございません。以前いただいたものでしたが、換金することも叶わずずっとこうして持っておりました。貴方なら似合いそうなので。どうか、私を助けると思って……。」

 

 しばらく、榛名は考える。無理な押し売りというわけでもなさそうだし、この人は信用してもいいだろう。それに金銭が発生しない物のやり取りだ。

 

「……それじゃあ、お言葉に甘えて。」

 

「おお、受け取ってくださりますか。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。」

 

 そういって尼は榛名の後ろに回り、その水晶のネックレスをつけてやる。

 

「なんとお似合いで。きっとそれがあなたを守ってくれるお守りになるでしょう。」

 

「ええ、ありがとうございます。」

 

「榛名ー!どこいったの!?」

 

 班員のクラスメイトからの呼び声が聞こえる。どうやら榛名を捜しているようだ。

 

「あ、みなさーん!」

 

 榛名は班員たちのもとに駆け寄る。

 

「あれ、榛名、そんなネックレスしてた?」

 

「ほんと、綺麗。」

 

「ああ、これですか。これは先ほどこちらの尼さんが処分に困っていらっしゃったものを――」

 

 そう言って榛名は振り向くが、すでにそこに先ほどの尼の姿はなかった。

 

「……あれ?」

 

「尼さんなんていないじゃない。」

 

「あれ、榛名、ひょっとして狐に化かされたとか?京都ならありそう!」

 

「も、もう!やめてくださいよ!」

 

 そう戯れながらもう一度榛名は先ほど尼がいたところを見る。やはりそこにはだれもいなかった。

 

 

 

 

 

 

 翌日、ダイスケたちは天龍寺に向かうため京都駅を目指していた。

 

「イッセー、お前顔がすっげぇにやけてるんだけど、どうした?」

 

「いやぁ、先日すっごいえらい、いや、エロい体験をしまして……。」

 

 みればアーシアが顔を真っ赤にしてそむけている。

 

「え、うそ、最後まで行った?」

 

「い、いやあ、さすがにそこまでは。……なんていうか、俺ってそういうことにいざとなると二の足踏んじゃうんだよなぁ。」

 

 恐らく過去の経験のせいだろう。レイナーレのことだ。初めてできた彼女に殺され、罵倒され、その命を奪えばいやでもトラウマになる。

 そのことを知っているダイスケはイッセーの肩を叩いて手を置く。

 

「……こんな俺だけど、相談ならいつでも乗るからな。」

 

「お、おう。ありがとう。」

 

 自分の抱えていることに鈍感なのか、それとも気づいていないふりをしているのか、イッセーは狼狽えながら頷く。

 

「おう、お前ら、なに難しい顔してるんだ?」

 

 松田が二人に顔を覗き込んでくる。

 

「いいや、別に……っていうか、お前らもすごい顔してるぞ、どうしたんだ?」

 

「いいや、別に?」

 

「名誉の負傷だ。そうだよな、ダイスケ?」

 

 話を振られたダイスケは口笛を吹いてごまかす。

 イッセーが指摘するように、松田と元浜の顔はボロボロだった。理由は単純明快。昨日の晩、女湯を覗こうとしてシトリー眷属の女子とダイスケにボッコボコにされたのだ。

 そのことに対し松田と元浜は「この裏切り者め」とでも言いたいような視線をダイスケに送るが、ダイスケはわれ関せずである。

 

「ま、気を取り直して観光しようぜ!桐生、天龍寺までは?」

 

「えーと、京都駅から山陰本線に乗って嵯峨嵐山駅で降りるわ。そこから徒歩ね。一キロも歩かないかしら。」

 

「了解。じゃあ、駅まで行くか。」

 

 一同は京都駅から山陰本線に乗って嵯峨嵐山駅で降りる。そのあとは徒歩で移動だ。

 天龍寺までは案内の看板が多数あったため迷うことはなかった。そして、山門にたどり着き、中に入って受付で料金を払う。

 

「おお、お主たち、来たようじゃな。」

 

 振り返れば巫女装束を着こんだ金髪幼女と二人の美女が目に入る。九重とモスラとバトラだ。

 

「やあ、九重。」

 

「うむ。約束通り来たぞ。ヒオ殿とマナ殿も一緒じゃ。」

 

「今日はよろしくお願いします。」

 

「……はぁ、観光じゃなく体を動かしたい。」

 

 九重は今日は一般人もいるので耳としっぽを隠している。モスラとバトラも今日は以前の巫女装束ではない。モスラ――ヒオのほうはラフな上着にジーンズできめ、バトラ――マナのほうは短いパンツに「好きです、京都」と書かれただっさいTシャツといった出で立ちだ。

 

「……いくらなんでもそのTシャツはないだろ。」

 

「それを言うな、ダイスケ。「サラシだけはだめだ」とヒオの奴に叱られてな……。」

 

「当たり前です。仏前なのだから自重しなさい。」

 

 一人の美少女と二人の美女と親しげな様子のイッセーとダイスケに松田は食い入るように問いただす。

 

「お、おい!おまえらこの美少女と美人二人と知り合いなのか!?どこで知り合ったんだよ!」

 

「……金髪幼女、ちっこくてかわいいな……ハァハァ。」

 

 一方、元浜が危険な息遣いになっている。そう、この男真正のロリコンである。九重など元浜からしたらストライクゾーンど真ん中なのだ。しかし、その元浜を突き飛ばし、桐生が九重に抱きつく。

 

「やーん!かわいい!なによ、兵藤。どこでいつの間にこんなかわいい子と美人さんと知り合ったっていうのよ?」

 

 桐生が九重に抱きついて頬ずりしている。どうやら桐生も(正しい意味で)子供好きのようだ。

 

「ええい、は、離せ!なれなれしいぞ、小娘め!」

 

「お姫様口調で嫌がるなんて……最高だわ!キャラも完璧!」

 

「あーはいはい、離れて離れて。」

 

 見かねたイッセーが桐生を九重から引きはがす。

 

「こちらは九重。それと、こっちはヒオさんとマナさん。俺やアーシアたちのちょっとした知り合いなんだ。」

 

「九重じゃ、よろしく頼むぞ。」

 

「ああ、グレモリー先輩つながり?それならわかるかも。私たちが泊っているホテルも先輩のご家族が経営している会社と関係あるらしいし。」

 

 若干足りないイッセーの説明だったが、桐生が違う意味で鋭いおかげで助かった。

 

「ところで九重、観光案内って何をしてくれるんだ?」

 

「私が一緒に名所についていって回ってやるぞ!」

 

 九重は胸を張って答える。

 

「そ、そうか。じゃあ、早速この天龍寺を案内してくれよ。」

 

「もちろんじゃ!」

 

 九重は笑顔で応えた。

 

「いや、どっちかっていうと静かに回りたいんだけど……。」

 

「まあまあ、ダイスケさん。ここは姫様のご厚意にのってあげてくださいな。」

 

「あぁ、体動かしたい……。」

 

 かくしてこの奇妙な一行で嵐山を観光することになったのである。




 <新作予告>






 やあ、みんな。
 みんなはオリ主系二次創作にどんな印象を持っている?
 俺TUEEEEE?原作キャラとの恋愛?ストーリーの改変?
 いや、俺ちゃんの場合は――





「やあ、ウェイド・ウィルソン君。私は君のボス、アイザック・レイ・ペラム・ウェストコット。アイクでいい。」

――そうかい、別に上司がどんな奴でも興味はないんだけどな。

「君にはこの新型リアライザのテストをしてもらう。死ぬ可能性があるが……なに、どうせ末期癌で死ぬ身だ。実験しても痛くもかゆくもないだろう。」

――ワオ、それで俺ちゃんに最後のチャンスってか、ありがたいね本当に。

「さあ、始めてくれたまえ。」


 そして俺ちゃんはモルモットにされ――


「リアライザの制御数値が想定を超えています。これでは制御不可能です。」

「肌もひどいことになっているな。拒否反応か?」


 アボガドと腐ったアボガドがヤッちまったみたいな醜い顔にされ――


「駄目です、脳波異常を確認、もう正気ではありません。」

「わかった、これでは使い物にならない。――廃棄だ。」


 ゴミ屑のように捨てられた――


 











 許せねぇ。この俺ちゃんに対してやったこと、万死に値する。

 そして俺ちゃんは奴らに復讐することに決めた。

 醜い顔を隠すために安いヒーローみたいな全身コンドームのタイツを着て、

 奴らのたくらみ全部をひっくり返すことにした。

 すべては復讐のため――

「それで俺ちゃんはこんなスパイダーマンとデス・ストロークを丸パクリしたかのような格好になったんだよ、士道くん。」

「いや、訳わかんないんですけど。なんで俺に付きまとうんですかあなた。」

「何言ってんの、オリ主と原作主人公の邂逅よ?」

「おい、なんだこの全身真っ赤な奴は。お前も私を殺しに来たのか。」

「ヘイヘイ、原作ヒロインちゃん。俺ちゃんはそんなひどいことはしねえよ。殺るとしたらDMMじゃねぇ、DEMのやつらだけさ。」


 


 デートしてデレさせろ?


 秘密組織のメンバーが大真面目にギャルゲーをやっていたら?


 それは君に任せるぜ、士道キュン。

 
 そう、これは俺ちゃんが復讐に至るまでの物語。






 デッド・ア・プール






 ファミリーでも見られるハートフルでバイオレンスな物語に仕立ててやるぜ?



「てなかんじの企画どうよ、コトリン。」

「コトリン言うな。っていうか、無理に決まってるでしょ。」




 うん、まあ無理なんだけどね、新連載なんて。D×Gやってるわけだし。単なる思い付きです。

 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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