ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 まだ書き溜めがいっぱいできたいるわけではないのですが投稿します。タイトルは今回語られる事情を見ていただければ納得していただけるかと。以前のレーティングゲームの流れをどうするかというアンケートに対する回答です。
 そしてちょっと前の話になりますが、『GODZILLA-星を喰う者-』のティザーが流れましたね。グレンさん、せっかくご意見いただいたのにごめんなさい。なんかギドラが超チートになりそうです。っていうかサブタイトルの時点でもう……。


VS72  こういう展開になったということはつまりそういうこと

「しっかりしろ、あきらめるな!」

 

「……くるしい、もう……。」

 

 父親がベットに横たわる我が子の手を取り、必死に励ます。

 この子供は生まれた時から病弱というわけではなかった。むしろ快活でよく外で遊ぶ元気な子だった。

 それがここ数年で急激に体力が落ち、謎の発熱に苦しめられている。村から遠い病院で診てもらっても原因は不明。手の施しようもなく日に日に子供は衰弱していった。

 もともと裕福な家ではなかったが、夫婦ともども必死に働き、金を貯め、いい医者がいるという病院をいくつもまわれるだけ回った。だが、それもすべて徒労に終わる。最後の医者に匙を投げられ、迫りくる謎の病魔の死の手を座して待つこととなったのだ。

 

「大丈夫だ、きっとよくなる。希望を持つんだ。」

 

「……ごめんなさい、もうだめみたい。こんな僕でごめんなさい。ずっとずっと僕のことを想ってくれたのに。」

 

「謝らないで。おねがいだから……!」

 

 母親が縋り付く。熱にうなされながら自分たち夫婦に謝る自分の息子の顔がもう直視できない。そのときだった。

 

「引力に引かれて訪ねてみれば、なるほどどうして。これは余にとっての吉報であるな。」

 

 いつの間にか家の中に貴族のような服を着た金髪の青年が入り込んで、しかも自分たちに気付かれず今ここにいる。

 

「な、なんなんだあんた!」

 

「名乗る必要はないな。余は単に引力に引かれてここに来ただけのこと。」

 

「で、出て行ってちょうだい! ここには泥棒なんかにあげるようなものは――」

 

「女よ、その子を助けてほしくばそこをどけ。」

 

 そう言って男は二人に向けて手をかざす。するとどうだろう、夫婦の体は途端に宙に浮き、部屋の端に移動させられてしまう。

 

「そう、そこでおとなしくしていろ。」

 

 夫婦は部屋の角で互いに手を握って震える。見ず知らずの不法侵入者が訳の分からない力で自分たちを動かしたのだ。当然ながら恐怖がわく。

 

「む、息子に何をする気だ!?」

 

「黙ってみていろ。邪魔されれば気が散って作業ができん。」

 

 そう言いながら男は手のひらを何かを探るように子供の体の上を滑らせる。そして、胸の上に来たときなにかを感じたか手を止める。

 

「ここか。そもそも合わぬからこうなったのだ。無くなってもこの子に害はあるまいて。」

 

 そうして男は呪文のような言葉を紡ぐ。

 

「縁とは引き合う力、すなわち引力。これを操るは森羅万象を支配すること成りて、いざこの縁をば断ち切りわが手へ――」

 

 すると、子どもの胸から光輝く何かが浮かび上がってくる。それは一組の指輪のようなものだった。男は宙に浮くそれを手にする。

 

聖女の微笑(トワイライト・ヒーリング)か。癒しの力がこうも人を苦しめるとは。合わぬ縁は神器の本質をも歪めるか。」

 

 そう言いながら男は懐にその指輪を入れて夫婦に言う。

 

「この子を苦しめていた根源との引力は消えた。これでこの子は数日あれば回復するだろう。栄養ある食事があればそれでいい。」

 

 その言葉が信じられず、思わず夫婦は我が子の元へ駆け寄る。するとベットには安らかな寝息を立てている我が子の姿があった。額に手を当てても発熱はない。ほんとに病が治ってしまったのだ。

 

「ありがとうございます! なんとお礼を申せばいいのか……。」

 

「いくらでもお礼を払わせてください、お願いします。」

 

「報酬はすでにもらった。この子にとっては害でしかないが余にとっては使えるものだ。いらぬ礼など必要ない。」

 

 そう言って青年はその場を立ち去ろうとする。その背中に向けて、父親はただ一言問うた。

 

「せめて、せめてお名前を!」

 

 その問いに、男は足を止め、振り向いて言い放った。

 

「ならば覚えておけ。我が名はビルガメス。原初の英雄の名と血を受け継ぐものだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなー、いくぞー! ぽちっとぽちっと――」

 

「「「「「「ずむずむいやーん!」」」」」」

 

 ステージ上に立つイッセーの掛け声に、客席の子供たちの歓声が響く。

 今日は学園祭を目の前にしてイッセーたちグレモリー眷属とダイスケは冥界の旧首都、ルシファードにある大型コンサート会場のステージ中央で『乳龍帝おっぱいドラゴン』のショーを執り行っていた。

 通常は代役が変身術とスーツでショーを執り行って言うのだが、今日はサーゼクスからの直々の依頼で本物が出ることになった。

 

「ふん、お前だけでは不安だからな。来てやったぞ!!」

 

 そう言って出てくるのは鎧をまとったダイスケ。最近のストーリーで紆余曲折あって味方となったダイスケに、もはや形式美の悲鳴が上がる。

 

「おい、味方で出てきたのに何でそこで悲鳴!?」

 

 アドリブによるダイスケの突っ込みに観客席から今度は大爆笑が上がる。物語ではすでに最悪の悪役からコメディリリーフと化したダイスケの一挙手一投足に会場に笑いが起きる。もうどこぞの元首相補佐官や神を自称する天才クリエイターばりだ。

 

「おい、突っ込みはほどほどにして一緒に行くぜ! ドラゴン――」

 

「ゴジラ――」

 

「「「「「「「キ――――ック!!!」」」」」」」

 

 二人がキックのアクションを敵の怪人役のアクターにすると、子供たちも一緒に必殺技の名を叫ぶ。

 サーゼクスからは「予定が合わないのであれば遠慮せずに断りを入れてほしい」といわれてはいたが、これを経験してしまえば断ることなどできようはずもない。満席の会場の子供たちの歓声のためならば多少スケジュールが合わなくともやってやりたいと思うのが人情だろう。

 二人のほかにもスイッチ姫ことリアスやダークネスナイト・ファングの木場がステージに立ってそれぞれ男性陣と女性陣の歓声を受ける。

 特に木場にはお母さま方をはじめ多くの女性ファンが歓声を上げている。マスクの奥ではそれに嫉妬するイッセーではあったが――

 

「「「「「「「「おっぱいドラゴ――――ン!!」」」」」」」

 

 自分を求めてくれる子供たちの声援には筆舌しがたい喜びがあった。

 そんなヒーローショーの一幕を終えたイッセーとダイスケは舞台裏で一息ついていた。

 

「ふぅ、とりあえず今日表に出る仕事は終わりかな。」

 

「だな。でも俺もようやくファンがつくようになってよかったぜ。やっぱ脚本の力ってすげぇな。」

 

「いつの間にか俺たち有名人だもんなぁ……。」

 

「ああ、駆け出しのころと比べたらお前本当に人気者だもんなぁ。俺なんてまだまだ軌道修正の途中だけど。」

 

 そう、とにかく現在グレモリー眷属と仲間たちは冥界において有名人になっている。目立った戦や闘争がなくなって実践経験を体験する悪魔が久しくなった今、ほぼ日常的に強敵と戦うイッセーたちは注目の的となった。

 何せ相手がコカビエルに禍の団、北欧の悪神ロキに京都の英雄派の襲撃と錚々たる面々に事件が相手だ。めまぐるしく変わる世界情勢の中でイッセーたちの活躍は吉報となり、希望となっている。それも「おっぱいドラゴンまたもお手柄!」といった具合にまるでテレビの中のヒーローが本当に活躍しているように報道するのだから冥界の子供たちにとっては本当にあこがれの的だ。

 ダイスケなどおっぱいドラゴンの物語上では当初悪役であった。なのに、ダイスケのそのイッセーに並ぶ活躍から軌道修正をうけて「実はおっぱいドラゴンの旧友で本当の悪からおっぱいドラゴンと遠ざけるために自ら悪となり、おっぱいドラゴンをけん制しつつ裏で真の悪と戦っていた」という後付設定がつけられて今では悪のゴジラダイスケはおっぱいドラゴンの相棒役だ。それくらいイッセーたちの活躍は冥界に明るい影響を与えている。

 だが、一方で複雑でもある。なぜ自分たちがここまで大変な目に合うのか、と。サイラオーグのように自分からテロと戦うのなら活躍するのもわかる。だが、グレモリー眷属の場合は事件から寄ってくるのだ。そのせいでイッセーは以前曹操に言われた「赤龍帝がこの状況を引き寄せている」という言葉が引っかかってしまい、この一連の動きはすべて自分が引き寄せてしまったのではないかとついつい考えてしまう。

 それでもそれのおかげで今のオカルト研究部の面々との絆があるのだ。一概に悪いとは言えなかった。

 そんな風に多忙なイッセーたちもいざ人間界に戻れば学園祭の準備に追われる今日この頃。特にオカルト研究部は男手が少ないためイッセー、ダイスケ、木場の三人は連日突貫工事に明け暮れている(ギャスパーは腕力がないためかなしいかなどうしてもこちらにカウントされない)。

 

「トイレ行ってくっか。」

 

「だな。」

 

 とりあえずの気分転換に二人でトイレに行くことにしたのだが、廊下に出た途端子供の泣き声が聞こえてきた。

 

「やだぁぁぁぁ! おっぱいドラゴンにあいたいぃぃぃぃ!!」

 

 母親らしき女性が子供をあやしているがどうしたらいいかわからないといった様子で、イベントのスタッフと相談事をしている。子供の方は地団太を踏んでぐずっている。

 

「すみません、握手とサイン会の整理券配布はすでに終わってしまってしまいまして……。」

 

 どうやらこの母子はサイン付き握手会の整理券配布に間に合わなかったようだ。サイン会はショーの前に終えてしまっているから、それを知らなかったらしい。

 何せ人間界のイベントを参考にして最近初めてできた冥界のイベントだ。生活も文化も違う悪魔たちからすれば新しいもの過ぎて慣れないものだろう。

 

「そ、そうだんたんですか……。リレンクス、もう終わっちゃったんだって。」

 

 その母親の言葉に子供はより一層の涙を浮かべて泣き叫ぶ。

 

「どうしたんすか?」

 

 ダイスケが男性スタッフに尋ねる。

 

「あ、宝田さん。実はこちらの方がサイン付き握手会の整理券の配布に間に合わなかったらしくて――」

 

「ああ、聞こえていたのはそう言う事か。おい、坊や。あんまりお母さんを困らせちゃいけないぞ。」

 

 そうやさしく言いながらダイスケは子供の頭をやさしくなででやる。ちょっとしたサービスのつもりだった。サインはしてやることはできないがイッセーじゃなくともそれで満足してくれるはずだと思った。それなのに――

 

「ひぃ!! ゴ、ゴジラ……!」

 

 どうやらおっぱいドラゴンがかっこよくてドラマを見ているだけで、ストーリーはあまり気にしていないタイプの視聴者だったらしい。元悪役のダイスケの姿を見て泣き叫ぶのはやめたが本格的な恐怖に子供は襲われた。

 それを見てダイスケはがっくりと膝をつく。

 

「どうせ……どうせ俺なんて……わかってるよ、元は身から出た錆だって……。」

 

 その姿を見ていたたまれなくなったイッセーが鎧を出すためのカウントを始める。いや、それだけではない。その子が大事そうに手にしていたおっぱいドラゴンのフィギュアを見てたまらなくなったのだ。鎧を身にまとい、マスクだけを格納しておく。

 

「やあ。」

 

「! おっぱいドラゴンだ!!」

 

 イッセーに気付いた子供は一転して喜ぶ。反応が前者と後者でえらい違いだ。そんな子供に、イッセーは歩み寄る。

 

「坊や、名前は?」

 

「……リレンクス。」

 

「リレンクス、俺に会いに来てくれてありがとう。すいません、ペンとかありますか。」

 

 そう言ってイッセーはスタッフに尋ねるが、ダイスケがそのペンを求める手を遮って止める。

 

「イッセー、駄目だ。」

 

 ダイスケは気付いた。イッセーが少年のかぶっている帽子なりにサインするつもりなのだと。

 

「いや、でも……。」

 

「それでも、だ。いいか、この場でこの子にサインしてみろ。ほかのちゃんと並んでサインをもらった子の立場はどうなる? この仕事に携わっているスタッフさんのことも考えろ。こんなところで特例を作ったら仕事が成り立たなくなる。この子だけを特別扱いすることはできないはずだ。」

 

「じゃあ、いったいどうすればいいんだよ!?」

 

「そこは自分で考えろ。おっぱいドラゴンならどうすることが正解なのか、それはお前にしか決められない。」

 

 そう言われたイッセーは自分でも足りないと自覚する脳をフル回転させてどうするべきか考える。そして、答えは出た。イッセーは子供と同じ視線になるためにしゃがんでやる。

 

「なあ、リレンクス。悪いけど、サインはしてあげられない。でも、それは今回は、だ。また同じイベントをやる。約束するよ、その時はまた俺も出る。イベントの決まりに従ってくれるなら、サインも握手もしてあげる。だから今日は俺にたまたま会えたラッキーを土産にしてくれないか?」

 

「……ほんと? また会える?」

 

「ああ、会えるよ。その時はお母さんにお願いしてくれ。でも、一つだけ約束だ。今日のこの出来事は俺たちだけの秘密。みんなが羨ましがるからな。約束できるか?」

 

「うん、約束する!!」

 

 そう強く言ったリレンクスの頭を、イッセーはなでてやる。

 

「偉いぞ、リレンクス。男の子はつらいことや悲しいことがあっても強くならくちゃならない。女の子を守れるくらいにな。だから、こんなことで泣いちゃだめだぞ。」

 

「うん!」

 

 そして、少年は母親と一緒に礼をしながら帰っていく。それを見送るのはその場に残された二人とスタッフだ。

 

「すいません、兵藤さん。フォローしていただいて。本当は私だけで対応しなければならなかったのですが……。」

 

「いえ、俺も間違いを犯しかけました。すいません、差し出がましい真似をして。」

 

「そんな、おかげで助かりました。」

 

 そう礼を言ってスタッフは持ち場へ帰る。その後ろ姿を見ながら、イッセーはダイスケに尋ねる。

 

「……なあ、これでよかったのかな。」

 

「さぁな。俺も本当はスルーするべきだったんだろうけど……。」

 

「でも、あの子の夢は守れたわ。そのことに関しては胸を張ってもいいと私は思うわよ。」

 

 背後から声がする。振り向けばそこにいたのはリアスだった。

 

「部長。」

 

「確かにサインしようとしたのは軽率だったわね。でも、そのあとはちゃんと対応できていたわ。ダイスケもありがとうね。」

 

「いえ、本当なら手を出すべきじゃなかったんでしょうけど。どうも、ね。」

 

「人情よ。そういうのは。イッセーも偉かったわ。」

 

 そう言ってリアスはイッセーの頬を撫でた。こうやって自分を理解してくれる主に、イッセーは心から感謝している。

 いや、それだけじゃない。主以上に惚れた女である。だからこそ、守りたい。そばにいたい。だが、そこで終わりたくない。もっと近づきたい。

 

――死んでくれないかな?

 

 だが、そう思うたびにあの女の影がちらつく。

 だから――怖いとイッセーは思ってしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにも、作業中に、出かけなくても、いいじゃ、ねぇか、よ!」

 

「まぁまぁ、先方からのきってのお願いらしいし。」

 

 釘を打ちつけながら愚痴を吐くダイスケは木場になだめられる。

 

「だってこのサイラオーグさんとのレーティングゲームの前の時期にバアルの執事がイッセーに会いたいって言うんだろ。なんかあるんじゃないかって疑うぜ。……サイラオーグさんは卑怯な手を使う人じゃないってわかるけどな。」

 

「多分大王家も関わっていないと思うよ。部長のお母さま経由で内密に来た話らしいし。」

 

 現在、オカルト研究部のみならず駒王学園の生徒全員は文化祭の準備で大わらわだ。どこの部活動もいったん手を止めて文化祭の準備に明け暮れている。

 さらにオカルト研究部は裏の顔のグレモリー眷属としてもサイラオーグとのレーティングゲームを控えてる。その最中にバアル家の執事がイッセーに助力を乞うてきたのだ。

 なんでもサイラオーグの母、ミスラは悪魔にとってほぼ不治の病といってもいい「眠りの病」という病気らしい。その病にり患した悪魔は深い眠りに陥り、目を覚まさなくなってしまう。そして徐々に衰弱していきついには死に至るという。人工的な生命維持がなければ息絶えてしまうというその病気の治療にイッセーの乳語翻訳で語りかけてみたら目を覚ますのではないかと踏んだらしい。

 

「イッセーの野郎、相手の事情を聴いて拳が鈍るとかないだろうな。そんな事情を知ったら情けをかけそうで怖いぜ。」

 

「……ダイスケ君はそんな事情を聴いてもむしろ相手を苛烈にボッコボコにしそうだけどね。」

 

「あたぼうよ。相手の事情なんか知ったことか。……まあ今回は出番がないわけだけどな。」

 

 そう、本来は異種族参加のテストケースとしてダイスケは若手悪魔のレーティングゲーム連戦に参加するはずだった。だが、度重なる非常事態でその機会は流れ、ついに今回のゲームでは「特例は含まない」というお達しが来たのだ。

 

「まぁ、事情はわかるよ。過去二回でまともに参加できなかったし。それじゃデータは取れんわなぁ。」

 

「案外運営に大王派からの横槍があったかもしれないね。「純粋な眷属でなければその悪魔の実力は測れない」とか言ってね。ダイスケ君の戦闘能力も報告が行ってるだろうから、警戒されてるんじゃない?」

 

「アジュカ様一人で組み立てたシステムとはいえ、運営はほかの悪魔も関わってるもんな。ありうる話だ。まあいいさ。特訓には付き合えるわけだし、その分サポートするよ。」

 

「本当に助かってるよ。対サイラオーグ戦のシュミレーションには同じパワータイプの君はうってつけだから。」

 

「俺も対多人数戦の練習ができるからいいよ。いつも一対一とは限らないものな。」

 

 ゲームそのものには参加できないとはいえ、裏で支えるのが今のダイスケだ。イッセーのような劇的な変化がないが、それでも着実に強くなっているダイスケはサイラオーグのシュミレーションには最適だ。

 むろん、向こうも悪魔としては珍しい鍛錬を積みタイプであるから今の予想をサイラオーグが超えてくるということもある。が、やらないよりはいい。

 

「スルーズもロスヴァイセさんに時間があれば特訓相手になっているからな。なんか仕込んでくるんじゃないか?」

 

「僕も新技があるから近々それを試してみたいな。相手、してくれるかい?」

 

「おう、もちろんだ。俺も新技があってさ。試してみたいからちょうどいいや。」

 

「へぇ、また新しい砲撃方法かい?」

 

「いや、今回は防御技。ただうまくできるかどうかなんだよなぁ。」

 

「あら、男の子二人で秘密の会話ですか?」 

 

 そんなことを言いながら榛名が資材を持って部屋に入ってくる。そう、榛名は先の修学旅行で裏の世界を知ったため、オカルト研究部預かりの身となったのだ。また英雄派に狙われるという可能性もあったため、できる限り誰かがそばにいた方がいいというアザゼルの判断でこうなった。

 

「お、ちょうど釘が足りなくなってたんだ。ありがとうな。」

 

「蝶番もある。ありがとう、河内さん。」

 

「いえ、姫島先輩がそろそろ切れるだろうからと。」

 

「……そういえば、レイヴェルと小猫どうだ。」

 

「あー、まあ作業の妨げにはなっていないですけれども険悪な空気というか……。」

 

「やっぱり?」

 

 修学旅行の後、見聞を広げるためということでライザーの妹のレイヴェルが転入してきた。半分イッセーを追いかけてきたのではないかとダイスケは見ているのだが、まさかというかやっぱりというか同じ学年の小猫とたびたび衝突している。

 恋のライバルということもあってか、またはレイヴェルの方が自分よりもスタイルいいことへのやっかみもあるのかとにかく小猫はレイヴェルに突っかかる。それでも直接的な闘争に至っていないのはお互いに自重していることの表れか。

 

「喧嘩するほど仲がいい、という関係になってくれればいいのですが。」

 

「まあ、そこは時間の問題だな。」

 

「イッセー君が間をとりなしてくれてはいるんだけどね。」

 

「そこは兵藤君に任せるとしましょうか。それでは私はこれで。衣装の仕上げが残っているので。」

 

「ああ、ありがとうな。」

 

 そう言って部屋を出ていく榛名の後姿をダイスケはじっと見つめる。

 

「……どうかした?」

 

 ダイスケのその視線に気づいた木場が訊ねる。

 

「ん? いやぁ、なんか最近あいつ何かに思い悩んでるみたいでさ。」

 

「それはそうだよ、修学旅行の時にひどい目にあったんだから。僕たちが悪魔だっていう事にもまだ慣れていないだろうし。」

 

「それはそうなんだけど、なんか違うことで思い悩んでいるみたいでさ。……やっぱり記憶をそのままにしたのはまずかったかなぁ。」




 ということでビルガメスの正体がほぼほぼ明かされちゃったようなVS72でした。運命も引力とか言っちゃうところはもろにジョジョの影響を受けています。やっぱりあの漫画は能力バトル物の金字塔ですわ。
 ダイスケの扱いの変化に関しては本当にかわいそうだったのでこうしました。作中でも言っていますが壇黎斗や氷室幻徳みたいな例もあるのでまあいいかな、と。
 榛名に関しては完全にフラグです。しかも気づいているひとは今後どうなっちゃうか気づいていらっしゃるんじゃないでしょうか。複線張ってるつもりで張りきれてない自分が情けない。
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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