ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 『GODZILLA-星を喰う者-』の公開まで二週間を切りましたが、いまだにTOHOシネマズの上映予定が何時なのかわかりません。こういう時不便なんでもっと早めに情報を出してほしいものです。
 映画秘宝のキングギドラ特集を見ましたが、アニメではなく来年の『GODZILLA KING・OF・MONSTERS』のほうの特集でした。あっちのほうもヤバそうなんですよね、ギドラは。


VS73  男なら拳で語れ

『お着きになられたようです。グレモリー眷属の皆さんの登場です。』

 

 テレビの向こうで焚かれるフラッシュの音がスピーカーから響く。

 

「なんかプロレスみたいっすね。」

 

「まぁな。雰囲気的には近いものがあるのは確かだ。」

 

 今日はグレモリー対バアルのゲーム前の記者会見の日だ。ダイスケはアザゼルやレイヴェルなどと共に兵藤家の応接間で冥界の電波を受信できるテレビで記者会見の様子を見守る。

 

「でも、なんだか感慨深いわ。あの幼馴染のイッセー君がこんなに注目を集める存在になるなんて……。幼馴染として鼻が高いわ!」

 

「そうだなぁ、一方でお前最近影薄くなってきてるからなぁ。このままじゃ自称天使の上自称幼馴染の称号を得ることになるぞ、イリナ。」

 

「自称じゃないもん、事実だもん!」

 

 そんな感じでイリナをいじっているとグレモリー眷属の面々が現れて席に座る。すでに座っているサイラオーグとその眷属は反対側にいる。

 テレビ越しでもわかる、会場のピンと張りつめた空気。これはサイラオーグが発しているものだろう。

 

「まったく、あいつは闘志を出しすぎだ。記者まで威圧してどうすんだ。」

 

 アザゼルが顔に手をやる。何せ記者も下手をしたら意識を持っていかれそうなのだ。まぁ、そこまでこの場に真剣に向き合っているという事なのだろうが。

 しかも見れば場の雰囲気に圧倒されたギャスパーが目を白黒させている。

 

「あ、ギャスパーがだいぶやられてる。」

 

「……特訓させたんだがなぁ。急にこれは無理があるか?」

 

『両眷属の皆さんがそろったところで、今回の記者会見を開きたいと思います。』

 

 司会進行のその言葉で記者会見が始まる。まずは運営側からゲームの概要、日取りなどが明かされ、その後、両(キング)が堂々と意気込みを語る。

 待機しているイッセーは緊張しているようだった。何しろ記者の前では下手のことはできない。必死に平静を保とうとする。そんな中でも会見は順調に進行していく。

 

「そういえば試合内容はどうなるんです、先生? 俺、さすがにそういう話には加わってないんで聞いてないんですけど。」

 

「さすがにそこはまだ俺も聞かされていないな。集団戦になるのか、それとも個人対個人の連戦になるのか、バトルフィールドがどうなるかも少なくとも俺はまだ把握してない。ただ、俺がこっちにいるようにむこうにもディハウザー・ベリアルがついたって話だ。」

 

「レーティングゲームの王者っすか。確か別名が――」

 

「そう、皇帝(エンペラー)ベリアルだ。イッセーたちにとってはいずれ迎える壁だ。」

 

「ま、俺には縁のない世界ですわ。やれることといったらあいつらを裏で支援することくらい……。」

 

「お前が参加できなくなったのは悪かったよ。何せ不測の事態が続いたからな。サーゼクスも残念がっていた。」

 

「先生が謝ることじゃないですって。悪いのは不測の事態を起こした連中ですから。」

 

 そんな話をしていると、注目される両眷属へのインタビューが始まった。男性人気が高いグレモリーの女性陣が質問に答え、女性人気が高い木場も質問を受けてそつなく返していた。そしてついにイッセーにも質問が向けられる。

 

『冥界の人気者、おっぱいドラゴンこと兵藤一誠さんにお伺いします。』

 

『は、はい。』

 

『今回もリアス姫の胸をつつくのでしょうか?つつくとしたら、どの場面で?』

 

 その質問に兵藤家のテレビで様子を見ていた一同はガクッと崩れる。

 

「馬鹿じゃないの、あの記者馬鹿じゃないの!?」

 

「い、いくらイッセー君がおっぱい好きだからって……。」

 

「し、信じられない質問ですわ……。」

 

 耐性がないレイヴェルなどは耳まで顔が真っ赤になっている。

 画面の向こうのイッセーも面食らったのか驚いた表情だ。

 

『えーとですね、ぶ、ぶ、ぶちょ、じゃなくて。』

 

 思わず主と呼ばなければならない場面で部長と言ってしまいかけるイッセー。が、それが思わぬ方向に飛ぶことにつながってしまう。

 

『ぶちゅう!? いま、ぶちゅうと言おうとしませんでしたか!? それってつまり、ぶちゅぅぅぅっと吸うということですか、胸を!?』

 

『それはリアス姫のお乳を吸うという意味ですか!?』

 

 一斉に焚かれるフラッシュにざわめく記者たち。そして頭を抱えるダイスケ達。

 

「……アザゼル先生、この場合って「冥界は今日も平和です」と「冥界滅ぶわ」のどっちなんですかね。」

 

「はははは! まぁ後者に近い前者ってところだな。いかん、ツボにはまりそうだ。」

 

『つつくとパワーアップするとしたら、吸うとどうなるんですか!? 冥界が崩壊するとかありえるんでしょうか!?』

 

『リアス姫! これについてコメントをお願いします!』

 

『……し、知りません!』

 

 顔を真っ赤にして両手で顔を覆うリアス。ふつうこっちに振るだろうか。が、よりにもよって記者たちはとんでもない方向にも話を振る。

 

『サイラオーグ選手はどう思いますか?』

 

 とんでもない話題を自分のミスのせいで相手に振られたことを頭を抱えて韜晦するイッセー。まさかこっちにまで話を振られるとは思いもしなかった。

 

『うむ、リアスの乳を吸ったら、赤龍帝は恐ろしく強くなりそうだな。』

 

『おおおおおっ!』

 

 変なところで話を合わせてくるサイラオーグに、イッセーは愕然とした表情になっていた。まさか話に乗ってくるとは思いもしなかった。

 

「……これ、あしたの冥界の朝刊の見出しは「赤龍帝、吸う宣言!」ですかね。」

 

「賭けるか? 俺は「おっぱいドラゴン、今度はぶちゅうっといく!?」でいく。」

 

 ダイスケとアザゼルはそう言いあうが、実際は「おっぱいドラゴン、スイッチをぶちゅううううっっと吸う!?」になることはさすがにまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

「部長に嫌われたぁ?」 

 

「……みたいなんだ。」

 

 翌日の放課後、旧校舎のオカ研部室の隣の部屋でダイスケはイッセーの相談を受けていた。もうそろそろレーティングゲームに向けてのミーティングが始まる時間であったが、イッセーは隣の部屋で「俺は参加しても意味がないから」と学園祭準備の作業を一人でしていたダイスケに思い切って相談した。ちなみにエリーとマリーは外へ部材の買い出しに出ているのでここにはいない。

 ことは先日の夜に起きた。イッセーが自宅のサウナに入っていると、偶然リアスに遭遇したというのだ。ここまでなら普段ダイスケが聞かされている兵藤家の日常的なラッキースケベシーンだ。

 

「まさかの二人っきりになってほんと興奮したよ。ここで押し倒せる甲斐性があったらって思ってたら部長、「今ここであなたに押し倒されたらどうなっちゃうのかしら」なんてエロエロなことを言っちゃうしさ。」

 

「うん、そこはどうでもいいから続き言え。」

 

 そうしてまさかイッセーは逆に押し倒された。リアスの目は完全に行くところまで行こうとする女のそれだった。

 

「え、まさか最後まで行ったのか、お前。」

 

「い、いや、キスした後、部長の名前を口にしたら怒っちゃって出て行かれた……。」

 

「はぁ? 名前を呼んで?」

 

「うん、「あなたにとって私は何?」って聞かれて、そのまま泣いて出て行っちゃったんだ……。」

 

 そういったイッセーは俯く。

 

「ほかの女の子にも相談したんだけどさ、「状況はよくわからないけどイッセーが悪いに決まっている」って言われちゃって。」

 

「うん、まあ普段を見ていればそう言われるな。」

 

 スケベの癖をして朴念仁を地で行くこの男ならばそう言われるだろう。だが、ダイスケが気になったのはそういう場面で名前を呼んだのに相手の気を悪くしたという点だ。作業する手を止めてしばし考える。

 

「……なあ、お前さっき部長の名を呼んだって言ったよな? その時なんて言ったんだ?」

 

「え? そりゃぁ「部長」って。」

 

「は?」

 

「いやいや、は? って。だって部長は部長だぜ? 記者会見の時は主とか言おうとしたけどさ、眷属の俺が時が部長を気軽に「リアス」なんて呼べないだろう?」

 

「……いざヤろうっていうそのときまで?」

 

「え? ……まずかった?」

 

 ・

 ・

 ・

 

 しばしの沈黙、ダイスケはイッセーのこめかみに拳をぐりぐりを押し付ける。

 

「駄目だわぁー! お前ほんと駄目だわぁー! よりにもよって乙女思考全開の部長に対してほんま悪手やわー!」

 

「いだだだだだだだだだ!! 駄目って何がだよ!? 眷属としてのけじめだろう!?」

 

「眷属とかそういう問題じゃないんだよ! 男と女の話だ、これは!!」

 

 そう言って投げ捨てるように両拳をイッセーのこめかみから放すダイスケ。

 

「お、男と女って……。」

 

「いいか、これは眷属と主の問題じゃなくて男と女の恋愛問題だ。」

 

「い、いやいやいや、俺と部長がって……ありえないって。」

 

「じゃあ訊くけどな。女が好きでもない男に自分の乳首を晒せるか?」

 

「……自分の眷属が禁手に至れるかどうかって時ならあるんじゃないか。」

 

「そうだな、確かにお前の場合は状況が特殊すぎる。でもな、ふつう好きでもない男にそんことさせないぞ。」

 

「そうかも……そうかもしれないけどさぁ! ――もし、そうじゃなかったらどうなんだよ。」

 

「は?」

 

 イッセーの物言いに、ダイスケは怪訝な表情になる。

 

「もし、()()()()みたいに俺一人で踊ってたとしたら……もしも俺が好きになった人がレイナーレみたいな考えをしていたら――」

 

「おい、何でそこであの堕天使の名前が出てくるんだよ。……お前まさか――」

 

 そのとき、部屋のドアがガチャリと開かれる。木場だった。

 

「……イッセー君、そろそろミーティングの時間なんだけど――なにかあった?」

 

「いや、いいんだ。悪かったな、ダイスケ。へんなこと相談して。忘れてくれていいから。」

 

 そう言い残してイッセーは出て行こうとする。そんなイッセーに、ダイスケは言葉をかける。

 

「……あとで話がある。学際の準備を切り上げたら付き合え。」

 

「……ああ。」

 

 了承は取り付けた。そしてイッセーは木場とともに出ていく。その姿を見送ったダイスケは、一人頭を抱えた。

 

「あのアマ……まだイッセーの中で生きていやがった。」

 

 堕天使レイナーレ。イッセーを騙し、人としての生を奪った女。レイナーレ自身はイッセーの手によって抹殺された。だが、それでイッセーの中で決着がついたというわけではなかったのだ。

 おそらく、というより間違いなくあの女の行った非道がイッセーを苦しめているトラウマとなっている。惚れた女性に騙され、罵られ、殺される。これでトラウマにならない人間がいればよほどのメンタルの持ち主だ。

 いまでこそタンニーンのしごきにも耐えたイッセーだが、元は一般人だ。そのメンタルだって元は普通の人間並み。幼少期にいろいろと鍛えられてしまったダイスケとは違う。そこを完全に失念してしまっていた。

 

「……今思えば恋愛にへたれて当然か。」

 

 いままでイッセーがスケベな割に恋愛に奥手なことをいじってきてはいたが、よくよく考えれば悪いことをしたと思う。初恋の相手に自分で決着をつければ心にも決着がつくと考えていたダイスケの判断が甘かった。

 自分のうかつさに心底嫌気がさす。だが、何もしないというわけにはいかない。作業をしながらこの後イッセーにどう話せばいいか思案してしばらくたったその時、バタン! と勢いよく開かれる隣のオカ研部室のドアの音。

 何事かと廊下に出ればリアスがいずこかへ消える。そしてそれをアーシアが追う。その後ろ姿を目で追った後、開かれたオカ研部室の中には追いかけようとして明野に止められているイッセーの姿があった。

 

「……イッセー、何かやらかしたのか?」

 

「うん……ついさっきレイヴェルさんのお母さまが通信をよこされてね。ずいぶんと彼女が眷属悪魔としてフリーになったことをイッセー君にアピールされていたんだよ。それに加えて……。」

 

「お母さまはイッセーさまに私に変な虫がつかぬよう、守ってくれと頼みまして……イッセーさまはそれを快諾なさってくださったのですけれど、それを見たリアス様がご気分を害されたようでして……。申し訳ありません、皆様。母がとんでもないご迷惑をおかけしたようで……。」

 

「レイヴェルちゃんは気にしなくてもいいですわ。リスの気持ちを考えられなかったイッセー君が悪いのですから。」

 

 謝るレイヴェルにそういう朱乃。大体の事情を理解できたダイスケであったが、一つだけわからないことがあった。

 

「なあ、部長は何かイッセーに何かされたのか? さっきの話だけだとまだ部長が出て行った理由がわからないんだが。」

 

 近くにいたゼノヴィアとイリナに尋ねるダイスケ。するとすぐに答えが返ってくる。

 

「部長はな、イッセーに尋ねたんだよ。レイヴェルを守るように自分も守ってくれるのかと。もちろんイッセーはすぐにそうだと答えた。だが、アーシアも、姫島先輩もそうだと答えたから部長は自分がイッセーにとってなんなのか分からなくなったんだろうな。」

 

「リアスさんね、消え入りそうな声でイッセーにとって自分はなんなのかって訊いたのよ。そしたらイッセーくんったら「部長は部長」って言っちゃって……これじゃリアスさんがかわいそうよ! なんであんなこと訊いたのか、わからないのイッセーくん!?」

 

 そのイリナの問いに、イッセーはただ狼狽するだけ。それはそうだろうとダイスケは思う。ダイスケの考えが正しければ、その答えを持つだけの考えはイッセーは持ち合わせていない。なぜなら、奪われてしまったから。

 事ここまで至ればもう今日の分の学祭の準備が終わってからでは時間がない。今すぐ実行に移るべきだ。

 

「……悪い、みんな。イッセー借りるわ。あと、俺らもう今日は帰ってこないと思うから。」

 

「え? ちょ、ちょ!?」

 

 ダイスケはイッセーの手を引いてそのまま校外へと飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なあ、どこ行くんだよ?」

 

「いいから。」

 

 ひたすら進んでいくダイスケに、事情も分からずついていくイッセー。先ほどからずっとどこへ何しに行くのか尋ね続けているが、この調子ではぐらかされてしまう。

 ダイスケは何かしながら歩いている。見れば携帯をいじっている。誰かにメールでも送っているのだろうか。そうこうしているうちに目的地に着く。そこは――

 

「俺の、家?」

 

 イッセーの家であった。

 

「あのさ、この時間母さんは買い物に行ってるから誰も家にいないと思うんだけど……。」

 

「そっか、じゃあ鍵あけてくれ。」

 

「ええ……。」

 

 そうしてダイスケはイッセーの家に鍵を開けさせて中に入る。どこへ行くのかと思えばその行先は兵藤家の中に隠されているトレーニング用亜空間への転送ポートだった。

 

「え、トレーニングルーム行くのか?」

 

「ああ、お前もな。早くしろよ、ここの転送ポート、グレモリー眷属じゃないと動かないんだから。出ていくときは自由だけどさ。」

 

 言われて気付いたのかあわてて認証用スキャナーに自分の手をかざすイッセー。すると魔方陣が起動し、二人はトレーニング用空間に転送される。

 転送された後、ダイスケ適当に自分の荷物と上着を脱いでその辺に放る。そして、準備運動を始めた。

 

「な、なにすんの?」

 

「んー? 運動。悩んでいるときは体を動かすのが一番ってな――鎧出せ。」

 

「は?」

 

 その瞬間、ダイスケは鎧をまとってイッセーに向けて拳を突き出す。驚いたイッセーはあわてて受け身をとるが、拳のインパクトで後方へ飛ばされる。

 

「くっ、カウント開始!」

 

 突然ダイスケに殴られたことに驚きつつも、イッセーは冷静に鎧を身にまとうためのカウントを始める。しかし、その間にもダイスケは一気に距離を詰めて再び殴りかかってくる。

 一発、二発、三発と明確な意思がこもった拳をイッセーはよけ続ける。そして、カウントは終了した。イッセーも赤い鎧を纏う。

 

「おおおおおお!!」

 

 突然の出来事ではあったが、ダイスケが本気でくるというのならこちらも相応の気概を持って向かい討たなければならない。まだ倍加はしていないが素でも強力な赤龍帝の拳が放たれる。

 その一撃はやはりというか見事というかダイスケに片手で止められる。その拳を引いてダイスケはイッセーの体を引き寄せて背負い投げの要領で放り投げる。空中で放り投げられたイッセーはドラゴンの翼を広げて上空に滞空する。

 イッセーはその場に滞空し、地面に残るダイスケにドラゴンショットの乱れ撃ちを放つ。その一発一発をダイスケは熱線剣で切り裂いていく。そして隙を見てダイスケは上空のイッセーに向けて荷電粒子ビームを放つ。

 

「くっ!」

 

 あわや直撃という瞬間、イッセーは身を翻しぎりぎりビームをよける。

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!》

 

「おらぁ!」

 

 倍加されたパワーを右手に集中させ、ダイスケに向けて一気に解放させる。その衝撃でダイスケは後方へ吹き飛ばされるが、受け身はしっかり取っている。体勢をすぐに立て直すと、一気にイッセーに詰め寄り取っ組み合う。

 

「な、何でこんなことするんだよ!?」

 

「言っただろ、体を動かして悩み事をぶっ飛ばすんだよ。それと――」

 

 ダイスケは兜越しにイッセーの目を見据えて言う。

 

「お前の中にいるレイナーレを消し去る。」

 

「え――」

 

 そのイッセーがあっけにとられた一瞬に、ダイスケはイッセーの腹にフックを入れる。

 

「ガハッ――」

 

 イッセーが怯んだその一瞬、その腹にサマーソルトキックを叩きこむダイスケ。イッセーは背中をこすって後方へ吹き飛ばされていく。

 

「なんで……レイナーレの名前が……。」

 

「俺、あいつを騙すために一時組んでただろう。その時にあいつがお前に何したかも聞かされていてな。だけど、まさかここまであの一件が尾を引くとは思わなかった。お前……あいつのことがトラウマになっているな?」

 

「――!?」

 

「だってそうだろう。お前は人一倍スケベだ。数少ない魔力の才能を洋服崩壊(ドレスブレイク)乳語翻訳(パイリンガル)にかけるくらいだ。そのお前が女子との間の一線を越えられないとするなら……レイナーレの一件がトラウマになっているとしか思えない。」

 

「……あいつとは俺が直接決着をつけたんだ。トラウマなんて……。」

 

「それが余計にお前の中で影響しているんだろう。何せ初恋の相手を、自分の手で消したんだからな。」

 

「……うるさい。」

 

「確かにお前は決着をつけることができた。だが、ついた決着は奴のこの世でのかかわりだけ。」

 

「……うるさい。」

 

「奴がお前にしたことは、まだお前の心の奥底に傷跡を残している。だから――」

 

「うるさぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああい!!!!!」

 

 激昂するイッセーはダイスケに向けてドラゴンショットを放つ。その一撃をもろに喰らったダイスケは大きく飛ばされ、地面に激突する。

 

「そうだよ! あの女は……レイナーレはまだ俺の中で生きている! ずっとそうだ! 女の子のだれかと仲良くなっているとき、いつもあいつがちらつく! この子は本当はレイナーレみたく俺のことを馬鹿にしているんじゃないか、本当は俺と一緒にいるのがいやでいやでしょうがないんじゃないかっていつもビクビクしているんだ!」

 

「部長に対しても……そう思えるか?」

 

 立ち上がったダイスケの問いに、イッセーは首を横に振って「わからない……」という。

 

「部長ってさ、俺にキスしてくれるんだ。親愛の意味とかじゃない、男と女のキス。眷属には木場もギャスパーもいるっていうのに、してくれるのは俺だけ。何か明確な差があるってのはわかってるんだよ。でも――」

 

 目に涙を浮かべつつ、イッセーは溜めていたものをこちからこぼし始める。

 

「好きになって告白して、でも、OKって言われても本当にそれが本心なのか疑っちまう。」

 

――童貞丸出しの青臭い餓鬼が騙されてるとも知らずに「こちらこそよろしくお願いします!」ってさァ

 

「部長たちとデートするたび、本当はつまらないんじゃないかって思っちまう。」

 

――本当に退屈だったわ。盛った猿みたくすぐにホテルにでも連れ込んでくれれば誰の目にもつかずに殺せたのに

 

「俺だって好きな人の名前を口に出して言いたいよ……。」

 

――悪魔風情が私の名を呼ぶなぁぁぁぁあああああああ!!!

 

「でも駄目だ……またあの時と同じになるんじゃないかって思っちまう。わかってるんだ、レイナーレが特別悪い奴だってことくらい。みんなは本当にいい娘たちだ。でも、また同じことになるんじゃないかって、また俺は馬鹿にされて騙されるんじゃないかってどうしてもブレーキがかかる!!」

 

 そこまでの想いを吐露したイッセーは鎧を解いてその場にうずくまる。

 

「……もうあんなのは嫌なんだよ。」

 

 嗚咽するイッセー。そこへ歩み寄るダイスケはイッセーに語りかける。

 

「ハーレム王になりたい一方で女の子と仲良くなるのが怖い、か。確かにとんだ矛盾だが――お前はみんながお前を裏切ると本気で思えるのか?」

 

「そんな訳ないって、頭じゃ理解してる。でも、本心を聞かないと本当に理解なんて――「私はイッセーさんのこと大好きです!」――え?」

 

 突然聞こえたアーシアの声。振り向けばそこにはアーシア、朱乃、小猫、ゼノヴィア、イリナがいた。そして、皆歩み寄ってくる。

 

「ダイスケさんから連絡をもらったんです。イッセーさんの本心を聞き出してみるって。それでここに来たんです。でも……私たちがイッセーさんを馬鹿にするなんてことは絶対にしません!この世で一番大好きな人に、そんな思いを抱くことなんでできるわけないです! だって……心の奥底から大好きなんですから。」

 

 そう言ってアーシアはイッセーの前でしゃがみ、その手をやさしくとる。そのアーシアの笑顔とぬくもりがまるでイッセーの奥の芯にまで届いているようだった。

 

「リアスお姉さまも一緒です。イッセーさんがリアスお姉さまのことが大好きなのは私知っています。他のだれよりもリアスお姉さまのために戦えるイッセーさんなんですから、そのことは私も皆さんも知っているんです。もちろんイッセーさんのこと、リアスお姉さまも大好きなんですよ。」

 

 イッセーは思った。この少女はこんなにも自分のことを見て入れていた。守ると誓ったのに、本当はその逆で彼女に自分の心を守られていた。心安らぐ場所として、だ。

 

「だから……私たちのことを見てください。レイナーレ様なんて、どこかへぽいっとしちゃいましょう。だって、イッセーさんのことを想っているのは私たちなんですから。」

 

「わたくしもあなたが大好きですわよ。私たちを愚直に守ってくれる、そんなあなたの姿が大好きだから。」

 

 朱乃が背中からイッセーに抱き着く。すると、小猫がイッセーの両ほほを手で挟んで言う。

 

「私も先輩のこと大好きです。自分の血を受け入れられたのは、イッセー先輩がいてこそでしたから。そんな私を受け入れてくれたあなただから、好きになったんです。」

 

 すると、ゼノヴィアがイッセーの右隣に、イリナが左隣にしゃがむ。

 

「事情も知らずにお前を非難してしまったな。だが、私のお前への好意は信じてくれていい。何せ愚直にするしかとりえのない私がからな細かい腹芸などできんさ。」

 

「ごめんなさい、何も知らなかったのに酷いこと言っちゃった……でも、事情を知ったからには私もイッセー君の心と向き合えるようになるから! だって私、イッセー君の幼馴染だもん!」

 

 そう言ってくれるみんなの声がイッセーの心にこびりついていなどす黒いものを引きはがし、洗い流していく。

 

――なんだ、こんなに簡単なことだったのか。

 

 その瞬間、イッセーの心を暗くしていたレイナーレの影は一気に弱くなった。そして、目に溜まった涙を拭って立ち上がる。

 

「……みんな、ありがとう。みんなが言うんだから本当なんだよな。信じる。俺、約束する。みんな、ずっと一緒だ。百年後も、伊万年後も一緒にいよう。みんな大好きだ。」

 

 そのイッセーの言葉に、全員が強く肯いた。

 この様子なら大丈夫だろう。ダイスケはそう判断してその場を後にする。もうこんな空気になったら自分は単なるお邪魔虫だ。それに――

 

「あー、口から砂糖吐きそう。」

 

 この男、ラブコメの空気が単に苦手なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 中東の某所にある古城、そこに曹操とビルガメスの姿があった。

 

「さて、余もそろそろ支度を始めるか。」

 

「本気で行くのかい? ヴァーリににらまれてるんだけど。」

 

「構うものか。そもそも奴らの行動の方が禍の団にとってマイナスなのだ。余の行動を止める理由にはならん。捨て置け。」

 

「わかった、ヴァーリたちの妨害があった場合はこっちで食い止めよう。で、やっぱり連れて行くのかい?ガイセリックたちを。」

 

「むろん、奴にとっても余にとっても今回は絶好のデモンストレーションとなる。会場には多数の神話体系のVIPが集まるのだからな。彼らには我らの力をその身で体感してもらわねば。」

 

「宇宙を食い荒らす、絶対の終焉を……かい?」

 

「いや、まだその時ではない。せいぜい体験版を楽しんでもらうとするに努力するだけだ。」




 ということでイッセーのトラウマ、ちょっとはマシになるかな?なVS73でした。
 せっかくオリ主が原作主人公と友人設定なのですからこれぐらいはしないとね。
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!
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