「まずい、サイラオーグさんが!」
上空の浮島に連れ去られるサイラオーグを見たイッセーが叫ぶ。
自軍の中でも間違いなく最高戦力のサイラオーグがこの場から離れるのは戦力の低下を意味する。もちろん、敵主力の引き付けはできているといっていいが、彼の力は本当ならば敵総大将であるビルガメスに向けられるべきだった。
さらに人数的なことを言えば今のサイラオーグはレグルスと一体化しているので二対一となりキルレシオとしては借金していることになる。
「仕方ない、あっちはあっちで任せよう。俺たちはこいつらを!」
ダイスケは思考を切り替えて目の前の三人を見据える。ビルガメスは動こうとはしていない。なら、まだビルガメスは数に数えなくていい。イッセーと組んで二対三。数は不利だが、ここを抑えれば味方の踏ん張りを期待すれば勝ちは見えてくる。
しかし、当然ながらダイスケの思考通りに事が進むはずもない。
「……こいつらでは速さ比べは期待できんな。俺はあの
忠勝と呼ばれていた男が背中から二対のトンボのような羽を広げ、文字通り目にもとまらぬ速さでイッセーとダイスケを抜いていく。ダイスケはそれを荷電粒子ビームで撃ち落とそうとするが、圧倒的な軌道で忠勝は木場たちに向けて飛んでいく。
「俺も教会の戦士でないと気が乗らん。スマンがお前たちはビルガメスの相手でもしていてくれ。」
彦斎はそういうと瞬時にこれまで見せていなかった鎧を身に纏い、イッセーたちの頭上を飛行して通り越す。これにイッセーもダイスケも魔力なり熱線なりを撃って撃ち落そうとするが、すべて躱されてしまう。
「……情けないがこれで二対一だ。」
「お前だけはここで確実に潰す!」
イッセーとダイスケは残されたホトゥを睨みつける。そのホトゥは諦めたかのように腰の円錐を割った形で螺旋の溝が掘ってある双剣を引き抜く。
「あいつら……そろいもそろって俺に面倒をぶつけやがって。じゃ、戦る前に名乗っておこうか。俺はホトゥ。ホトゥ・マトゥア。 イースターの初代王、ホトゥ・マトゥアの末裔。滅んだシートピア海底王国の生き残りでもある。王国の復興には興味はないが、俺を見出してくれたビルガメスに恩義があるでね。叩かせてもらう。」
そう言ってホトゥは双剣を構えた。
「これは『|海底守護獣の穿突双剣《メガロ・ドリル・ディバイド・ツインズエッジ》』。一つにあわせればドリルになる漢のロマン武器だ。」
が、言うが早いかホトゥの体は閃光に包まれる。そして光が晴れた後にいたのはカブトムシなどの昆虫を思わせる鎧姿のホトゥであった。
「そしてこれが禁手の『
言うが早いかホトゥは両手を合わせてドリルを作り、高く跳躍して地面にダイブする。
「高速での地中潜航能力だ! 悪いが攻撃力トップ二人を相手にする気はさらさらなくてね。先にあの回復係のシスターちゃんやらせてもらうぜ。」
あっという間に地面を進むホトゥ。陣形を無視して地面に潜り、直接最後方にいるアーシアを狙うつもりなのだ。
それにイッセーは焦り、憤った。
「させるかよ! すまん、ダイスケ、後は任せた!」
残されるダイスケ。その眼前にビルガメスが立ちふさがる。
「……すまんな、どいつもこいつも自由人だ。だが、こうやって我らが相対するのは恐らく必然であったのだ。」
「かもな。……そろそろあんたもネタを見せたらどうだい? これからやりあうんだ、見せてくれたっていいだろう。」
「そうだな、ならば見せてやろう。我が身に宿りし、黄金の終焉――来たれ! ギドラよ!!」
ビルガメスの言葉とともに、稲光が落ちてくる。するとビルガメスの足元から盛大に火花が噴き出る。その火花の中から炎のようなものが立ち上った。
「はっ!!」
ビルガメスは跳躍し、炎と一体になる。すると、その光は一つの形となっていった。それは、黄金の鎧。兜は龍を模した形で両肩には竜の首をかたどった飾りがついている。兜と合わせて首が三つ、ということだろうか。マントのようにたなびくのは翼で、鎧と同じ黄金の被膜を見せつけている。
鎧の種分は見た目からしてスケイルメイルだろう。装甲上の鱗がまるで一つ一つ丁寧に手作業で付けられたかのように均一さと優美さを醸し出している。
「括目せよ! これが我が獣具、『
*
一方、木場は予想外の敵と相対することになった
イーマにとどめを刺そうとしたところ、何者かに横取りされたのだ。最初はベルーガかと疑ったが、すぐに違うことに気付く。ベルーガは今木場の背後を守る形でいる。ならば別人だ。
だがいったい誰がと思ったその瞬間目の前に古い甲冑姿の男がいることに気付く。
「……獣具使いの一人かな?」
「いかにも。ビルガメス殿の家臣、忠勝と申す。本田忠勝の子孫らしいが……とくにそこはどうでもいい。」
甲冑姿の男は特徴的な形の槍の石突きを地面に立てる。そして奇妙なことに、その男の背中にはトンボのような二対の羽が生えている。
自分にも気取られないほどのスピード、それを生み出したのはその羽だろう。
すると、男が問う。
「グレモリー眷属の
「それは恐悦至極。で、そちらが僕の前に出てきた理由は?」
「至極簡単、一騎討ちを所望する。貴公の足と、某の羽、どちらが早いか尋常に勝負いたせ。」
「……承知した。ベルーガさん、僕はこの男の相手をします。他への牽制、よろしくお願いします。」
「承った。……負けるなよ。」
その言葉を合図に、木場の聖魔剣と忠勝の槍が交錯する。まず最初の一合目は相手の力量を確かめるためのもの。二合目で木場はあよくば勝利をとろうとしたが、それで分かった。この忠勝という男、只者ではない。
槍はその形状ゆえに懐に入られれば負ける武器だ。しかし、巧みな槍さばきで穂先をすぐに自分のところに持っていき、忠勝は木場の二合目の一撃を弾く。
こうなると危険なのは木場だ。聖魔剣が弾かれたことで胴体ががら空きになってしまっている。そこへ槍の穂先が迫る。
「クッ!」
すぐさま左腕に手甲のように装着する魔剣を生み出して防御する。何とか一撃をしのぐことはできた、しかし、魔剣の刃はあっさりと折れてしまう。が、これが逆に衝撃緩和となった。いわゆるクラッシャブル・ストラクチャーというやつである。
バックステップで素早く距離をとった木場は体勢を立て直す。しかし、ブゥンという羽が高速で羽ばたく音が聞こえた瞬間、忠勝はその間合いに入ってくる。
木場は左手にもう一振りの聖魔剣を生み出し、それで槍の穂先を弾く。残った右手の聖魔剣はすでに忠勝を間合いにとらえている。左手の聖魔剣で槍を滑らせながら木場は必殺の間合いに近づく。
その瞬間、木場の耳に強烈な衝撃波が襲う。忠勝の背中の羽が生み出した高周波だ。聴覚を一時的に麻痺させられた木場は緊急避難をする。
「雷の聖魔剣よ!」
もちろんただ距離をとるだけではない。雷の放電攻撃が行える聖魔剣で雷を放って牽制する。
しかし、忠勝は雷を避けもせずただ槍の穂先を向けるだけ。すると、槍はその穂先から木場が放った雷を吸収してしまう。
「……還るといい。」
そして放たれる放電。木場は急いで雷を発生させて弾くが、これでエネルギー系の攻撃は彼に意味をなさないということがわかってしまった。
「……なるほど。その羽と槍、思った以上に厄介だ。」
「無論、この羽と槍で一つの獣具。『|古代蟲王の吸収槍羽《メガギラス・アブソーブ・ランス・アンド・ウイングス》』がその名前。この名を覚えて死ぬといい。」
「生憎ここで死ぬつもりはない! 見せよう、僕の新たな
すると、悪魔である木場から本来ありえない聖なるオーラが溢れ出す。すると、地面から剣の刃が幾重にも出現し、同時にそこからドラゴンの意匠を象った甲冑を着た騎士が現れる。
それも一体ではない。龍の騎士がそれこそ一個分隊を作れるほどに現れたのだ。それらをまとめ上げる木場はさながら騎士団の長。
「『
本来、一人の人間に宿る神器は一つ。その神器が発現する禁手も亜種発現だとしても一つと考えるのが普通だ。もちろん、亜種と通常禁手を使いこなす場合もあるだろうが、これほど簡単にポンポン出るものではない。
「……これはもしや
「その通り。聖魔剣は
コカビエルの一件の折、木場は死んでいった同胞たちの聖剣適性因子を得た。それにより本来ありえない禁手に至った木場であったが、同時に
もちろん、その過程には文字通り死ぬほどの努力があった。全力でイッセーと真剣勝負に限りなく近い形での鍛錬を行ったのだ。禁手に至るにはその者の大転換となるような刺激がなければならない。そのため死ぬ気の特訓を続けたのだ。
その結果、赤龍帝の影響を受けたのかこのような竜騎士となって発現したのである。聖魔剣には威力で劣るものの、手数の多さはその人数分。もちろん木場の速度をそのまま発揮することができる。
「赤龍帝との特訓で発現したこの力、その速度で捌ききれるか!?」
「当然、やってみせるだけのこと!」
そう言葉を交わすと二人は再び常人では眼には追えない超高速のやり取りを再開した。
別の方ではゼノヴィアが京都の時と同じく彦斎と対峙していた。
「よう、お嬢ちゃん。好みの相手がほかにいないんでまた来た。」
「……イリナがいれば押し付けたんだがな。」
「酷いな。」
そう言いながら彦斎は手にした細かい刃が刃に並ぶハンマーハチェットを玩ぶ。確かにこれも脅威であったが、その身に纏った鎧も脅威であった。
爬虫類と鳥類の合いの子を思わせるその外見は言いようのない凶暴さを感じさせる。緑の地肌と金色のスケイルメイル部分のコントラストがさらにまぶしい。兜の赤いバイザー部分も怪しく光り、何か仕込んでいるのかと思わせる。何よりも恐ろしさを感じさせるのは腹部を一直線に縦断する刃の列。これが時折走る。まるで腹に取り付けたチェーンソーだ。
「その腹のチェーンソー、いったいどうなっているんだ? 構造上ありえんだろう。」
「神器関連で構造云々の突込みは野暮よ、お嬢ちゃん。うまいことなってるって思ってもいなきゃ夜眠れなくなる。」
「だな、ここで深く考えるなんて私らしくない!」
開幕一発目でゼノヴィアはエクス・デュランダルの破壊の聖なるオーラを遠慮なしに叩き付ける。彦斎はそれを背中の飛膜を使って華麗に飛んで避け、上空に逃れる。そして、兜のバイザーからその色と同じ赤い光弾を放つ。
途中で軌道が曲がったりもしない単調にまっすぐ飛ぶ光弾である。当然ながらゼノヴィアはその軌道上から逃れようとする。だが、光弾は着弾寸前に拡散し、空中で対空砲弾のように破裂する。
「なにっ!?」
予想しえなかった光弾の挙動に驚きつつ、エクス・デュランダルの刀身で防御するゼノヴィア。そこを彦斎が狙う。
「そこっ!」
ハチェットの持ち手の唾に当たる部分から鉤爪付きのチェーンが飛び出す。それがエクス・デュランダルの刀身に巻き付いて絡み付いてしまう。
そのまま彦斎はエクス・デュランダルをゼノヴィアから引き離そうとするが、奪われる寸前にゼノヴィアはエクスカリバーを分離させてその手に残すことに成功する。宙を舞い、離れたところに突き刺さるデュランダル。それに向けてゼノヴィアは
「ちっ、武器を奪えたと思ったのだがな。それにしてもずいぶんとエクスカリバーの使い方をマスターしたのではないか?」
「いや、火事場の馬鹿力だ。普段はこんなにうまくいかん。どうして、土壇場の時に限ってうまくこの能力を使えるのやら。私の悪いところだ。」
てっきり鍛錬によるものと思っていた彦斎は兜の奥でひとしきり笑う。
「いやー、いい。憎き教会の元手先だが、こういうのであれば気に入っていいと思っている。」
「それはどうも。それにしても獣具にも禁手があったのだな。」
「成るのと成らないのがあるらしいがな。大概が全身鎧よ。案外そっちのも成れるんじゃないのか?」
「生憎その手の話は――聞いたことがない!」
エクスカリバーとデュランダルを再び合体させて切りかかるゼノヴィア。
ゼノヴィアは確かに京都の時よりも成長している。しかし、相手の彦斎も京都では見せなかった手を見せてきている。いかにその差を埋めるか、ゼノヴィアにとってそれが問題だった。
また一方で地中を進むホトゥを追うイッセーはアーシアを守るために必死だった。
何せ相手は地中を進んでいる。こちらにはどこへ向かっているのかはわかっても、その移動速度が読めない以上攻撃の使用がなかった。
だからイッセーは
そして、自陣が近づいてきたことで味方に教える。
「アーシアが狙われている! 地下からくるぞ!」
その一言で最初に動いたのはロスヴァイセだった。懐から大きな植物の種のようなものを取り出し、それを握りつぶす。すると、ロスヴァイセは淡いグリーンの光に包まれる。
光が収まった後、そこにいたのはスルーズと同じ鎧を着こんだロスヴァイセだった。
「『|深緑獣の貸薔薇槍騎士《ビオランテ・ライエン・ローゼス・ランツェンリッター》』、初めて実戦で使うけど……やってやるわ!」
|深緑獣の貸薔薇槍騎士《ビオランテ・ライエン・ローゼス・ランツェンリッター》、これがその名だった。これはもともとスルーズから出た申込みであった。なにか自分にサイラオーグ戦で手伝えることはないか、と。
初めは女性陣との模擬戦の相手であったが、スルーズが木場とゼノヴィアとイッセーの武器の貸し借りを見て思いついたのがこれだった。
ビオランテは他の怪獣と違って植物ベースだ。なのでその身を分けることは簡単だ。ならばそれを利用して獣具も貸し与えて使えるようにすればいい、と。当然ながらレーティング・ゲームの運営にはしっかりと申告しており、「武器として」認められている。
能力としては濃硫酸の樹液の噴射や使用者の身体能力向上はできないが、それ以外の武器の生成や触手の発生やコントロールは可能だ。
それにより、まずロスヴァイセは地面に細かい根のネットワークを構築する。いわば根の結界だ。それがぶちぶちとちぎられていく感覚が手に取るようにわかる。地中を進んでいるホトゥがやっているのだ。
これで根の千切れる感官でどこをどのスピードで動いているか手に取るようにわかった。
「敵はアーシアさんの前方十メートル地点に出てくるつもりです! 現出まで3・2・1……今です!」
ロスヴァイセの言うとおり、アーシアの前方十メートルの地点で地面が盛り上がり、ホトゥが飛び出てくる。しかし、それを歓迎したのは朱乃の放った雷光だった。
「なに!?」
驚いたのはホトゥだ。何せ、だれにも探知できないはずの自分の位置を正確に割り出されたのだから。未来予知の能力を持つ者でもいるのかと疑うほどだ。
「……まさか予知されていたとはな。」
「ええ、こちらには優秀な人材が大勢いますから。イッセー君、ここは私たちがなんとかします。」
「
サイラオーグの
「わかりました。アーシアを頼みます!」
そう言ってイッセーはサイラオーグの方に向かった。それを確認した朱乃とクイーシャはホトゥに向き直る。
「さあ、というわけで――」
「――あなたの相手は私たちです。」
「……おいおい、あんたら後衛だろう。前衛の手伝いしなくていいのかい?」
「それに関してはお構いなく。イーマの数は順調に削れていっています。援護はほかの面々に任せても問題ありません。」
「うちのラードラやガンドマあたりがよく暴れていますからね。ドラゴンに変身すればあとは猫がネズミを追いかけるようなものですから。」
「怖い女二人だぜ。いや、元から女は怖いものか。」
そう言ってホトゥは二人の
しかし、それらはすべてクイーシャが操る
「おい、まさかこれも貧乏くじか!?」
返さえる自身の武器と雷光の二重奏を浴びながら、ホトゥはそう叫んだ。
*
サイラオーグは端的に言って苦戦していた。
何せ死んですぐに生き返る相手だ。しかも今は獣具を身に纏い防御力は一気にパワーアップ。余計に厄介な相手になっている。
とはいっても対策は一応ある。それは相手の精神を潰すことだ。以前見たイッセーとフェニックスであるライザーとの一戦はまさにそれだ。いくら肉体は不死身でも精神は決してそうではない。相手を圧倒的に超える力を知らしめせば臆させることができる。
だが、問題は相手の精神面だ。ライザーの場合はイッセーの覚悟を思い知らさせることと悪魔の弱点を的確につくことでイッセーは勝利で来た。ところが今回は相手は自身の死や痛みも受け入れ、享受し、歓喜している。
つまりイッセーの時と同じようにいかない手合いということだ。もちろんガイセリックは悪魔ではないので聖なるアイテムでの攻撃のような弱点をピンポイントで突くという戦術も意味をなさない。
それでもいつかは折れる。そう信じてサイラオーグは渾身の拳を放ち続ける。すべてがクリティカルヒット。にも拘らず、ガイセリックはいったん痛みでしゃがみこんだ後、顔を愉悦で曲げて反撃してくる。
「いいねぇ、いいねぇ、いいねぇ、その拳! 一撃一撃をもらうたびに死を覚悟する! 並の精神じゃぁまずもたないだろうなぁ!」
あえて殴られ続けていたガイセリックが吠える。しかし、それで終わるわけがなかった。
「お返しだぁ……『火砕流撃弾』!!!」
兜のマスク部分が開き、口が開いたようになるとそこからマグマのような色の稲妻のようなビームが放たれる。着弾したサイラオーグの黄金の獅子の鎧からは派手な火花が舞う。
「ぐぁぁぁぁぁああああああ!!」
ただ痛いのではない。全身が焼かれるように痛むのだ。それもそのはず、この火砕流撃弾はマグマのエネルギーを光線状にしたものだ。全身が焼けるように熱い。しかも本来ならネメアの獅子の能力で飛び道具は一切効かないはずだが、それすら突破する威力であった。
「ちっ、やっぱこの浮島じゃ大地のエネルギーをそれほど使えないな。下の方に移動するか。」
そして、ガイセリックは自分の足元を蹴り抜く。その結果、二人がいた浮小島はバラバラとなり、二人はアリーナの地面に落下していく。
「……好きにさせるか!」
戦艦の砲撃にも匹敵しようかというサイラオーグの拳撃が周囲の宙に浮く瓦礫を衝撃波で弾きながらガイセリックを捉える。だが、地面がないこの状況での拳は足の踏ん張りがきいていない分、大幅に威力が落ちる。
「空中戦で格闘を挑まざるを得ないっていうのは悲しいやな!」
サイラオーグの拳を弾き、ガイセリックは蹴りの一撃で彼をアリーナの地面に叩き付ける。
「続けていくぞ! 火龍重撃波ぁぁぁぁ!!!」
マスクのクラッシャーが開き、極太の火炎がサイラオーグを包む。それをサイラオーグは地獄のような積み重ねの鍛錬の末に身に着けた気の一種、闘気によって払いのける。
「やるな! なら続けて威力は落ちるが剛烈駆雷震ッ!!!」
今度は火龍重撃波にあわせて地割れを起こし、そこから灼炎色の光の柱が次々と立ち上がりサイラオーグに直撃し、彼を吹き飛ばす。
高く打ち上げられた彼の体があわや地面に激突するというその瞬間、イッセーが間一髪で駆けつけて彼を拾い上げる。
「大丈夫ですか、サイラオーグさん!」
「兵藤一誠……すまない、助かった。」
イッセーに支えられる形になったサイラオーグがイッセーに礼を言う。それを見て若干不機嫌になるのがガイセリックだ。
「赤龍帝ぃ……邪魔するんじゃねぇよ。せっかくのランデブーだったんだぜ? お前みたいな不純物が混じったら楽しめるもんも楽しめないだろう。」
「楽しむだとかそんなもん知ったこっちゃないよ、バカ。」
「そうだ。それにこの兵藤一誠、なかなかいい拳を持っている。俺が楽しみにしていた拳だ。味わえるお前が羨ましいぞ。」
「そうかい? それなら楽しめるかね。二対一でもまあいいか。不利になる分俺も死にやすくなるってか?」
そう言ってガイセリックは鎧の両肩の龍の首を鎌もたげさせる。
「一対一だったところ申し訳ありません。でも、サイラオーグさんが苦戦しているって聞いたもので……。」
「いや、事実助かった。死なない相手というのはなかなかつらい相手だな。ここは経験者の力を借りるとしよう。」
そうしてイッセーとサイラオーグの二人はタッグを組むことに決めた。
「ここで俺たちがこいつを抑えることができれば、ほかのみんなも戦いやすくなるでしょう。敵の大将にはダイスケが向かっていますから。」
「そうか。彼ならなんとかなるだろう。恐らく能力的にみてこいつが敵の最高戦力だ。そこへ二対一の有利な状況。うまくいけばこのまま勝利を――」
「あー、楽観的予想を立てているところ済まない。その便りのお仲間、お前さんたちの後ろで死にそうだぜ?」
ガイセリックのその言葉に、ハッとなって後ろを振り向くイッセーとサイラオーグ。彼らの背後はちょうどダイスケがいるあたり。その遠方を見ると、そこには倒れ伏すダイスケと余裕で無傷の鎧を着こむビルガメスの姿があった。
「言っておくが、俺たちの中の最強は俺じゃない。あいつ自分で言ってただろう? 「禍の団英雄派最強の男」ってな。」
ということで早速ポカをやらかしたダイスケとイッセーですが、それぞれ戦う相手は決まりました。でもシャレにならん相手という。
そしてガイセリックはガンガン技名を叫びます。もともとデスギドラが技名が全部漢字という東宝怪獣でも珍しい奴ということもあるのですが。
あと近々設定集も更新しようかと思っています。キャラも増えましたし。イラストも追加しようと考えています。
なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!