2019年もハイスクールD×Gをよろしくおねがいします。
ビルガメスが引力光線を放つたびに、ダイスケの鎧の一部が破損し、その奥の肉体が傷つく。
その黄金の拳は軽くふるっただけでダイスケの体を宙に浮かせ、意識を明滅させる。
そしてビルガメスはダイスケを踏みつけ、力の差を見せつける。
「これが、余の力の一部だ。忘れるな、これがまだ一部なのだ。」
ダイスケはビルガメスの足の押さえつけから逃れんと必死になってもがく。しかし、さらに増す踏み付けの力で抵抗することもかなわなくなってくる。
「本来であれば全力で一気にここにいる主神たちや各勢力のトップを相手に大立ち回りをしてもよかった。だが、それは余の趣味ではないし目的とは程遠い行為だ。」
「目、的……?」
「お前に知る必要はないことだ。お前は我が目的にはどうやら届かぬ者のようだからな。――見ろ。」
そう言ってビルガメスはダイスケを押さえつける足を放し、その足でダイスケを蹴って転がす。そのダイスケには、ガイセリックによって重傷を負わされたイッセーとサイラオーグの姿が見えた。
「余は猛者を探している。余と戦えるだけの強者を。そのために今日は冥界における有望株とやらを直接見定めに来たわけだ。だが、結果はこれだ。」
その残念そうな眼を今度はダイスケに向ける。
「特に残念なのはお前だ。お前は特別な力の中でも特に特別な力を持っている。なのにその宿す力と合一化されていない。」
「……合一化?」
「そうだ。例えばあのガイセリック。本来奴はキリスト教アウリス派の信徒で自分たちを迫害したカトリックに対して復讐するという目的を持っていた。だが、デスギドラと一つになったことで死を克服し、その結果死を楽しむようになった。カトリックへの復讐を忘れるほどにな。だが奴は強くなった。宿すものと近づくことで合一化され、その力は目的を持っていたころよりも強力になった。今では身に宿すデスギドラと意思を疎通させることでより結びつきがが強くなり、語り合うことで強くなっている。」
そのガイセリックを見つめるビルガメスの視線は、まるで絵画や彫刻といった芸術品を見る時の目であった。
「その点、余は楽だった。封印されていたキングギドラは意識を破壊されていて一つになったのは余の魂とキングギドラの肉体の相性が良かったためにすぐに一つと成れたのだ。だからこの力をいくらでも自分の意志で自由に変質させて使うことができる。すでにキングギドラの肉体と力は魂である余のものなのだからな。だが、その点お前はどうだ?」
ビルガメスは眼下のダイスケに視線を落とす。
「お前はどうやらその身に宿すものと対話ができていないようだな。その防御過多な鎧を見ればわかる。力のリソースがバランスよく振り分けられていない証左だ。それでは攻撃力もスピードもそれなりのものどまり。余に届くはずもない。」
ビルガメスの指摘する通りだった。ダイスケはイッセーとドライグのようにゴジラと対話できていない。意思疎通ができなければこちらが望む姿を作れるはずもない。
そして、過剰気味の防御に関してもそうだ。本来装甲というものは機動性とのバランスや、攻撃を受けた時に力を逃がすための柔軟性が必要になってくる。だが、ゴジラが生み出す鎧はただ守るためにガチガチに固めてしまった装甲だ。
まるでダイスケを守ろうとするかのような意思を感じるが、硬すぎる装甲は柔軟性を欠き、機動力を殺す。勿論硬すぎるものはもろく崩れやすく、防御に適さない。
さらにリソースを奪われた攻撃力は低下し、本来の力を発揮できずにいる。
すべて、ダイスケがゴジラと対話できずにいるために起きた負の連鎖である。
もちろんダイスケはこのことにはずっと早くに気付いていた。夏休みの合宿頃からダイスケはずっとゴジラとの対話を求めてきたが、一向にゴジラは応じない。
おそらく、人間を憎んでいるからだろうとダイスケは考える。核によって住処と仲間、そして本来の自分を奪われたのである。それを行った人類に対して怒りを持つのは道理だ。人間の身に宿ったというのも本来不本意だろう。憎む相手になぜ力を貸さねばならないというのだ。
人類のツケが、ダイスケに降りかかっているといってもいい。
そんなことを考えた瞬間、ダイスケの身に異変が起きた。不気味な音を立てて、肉体が徐々に変質していっている。
――シン化のはじまりだ。
「余の力を前にしてゴジラの意志そのものが立ちはだかるか。いいだろう。
イッセーが暴走した時と同じだ。危険を察知して、ゴジラの意志そのものが出張ってきたのだ。
本来人類を憎むはずのゴジラがなぜダイスケの危機に対して自ら進み出てくるのかは分からないが、もしシン化すればまた暴走し、味方も危険にさらしてしまう。
「や、やめろ……! 俺がやるから引っ込んでろってんだ……!」
ダイスケは必死になって自分の腕を押さえつける。しかし、徐々に始まる変化は止められない。肉体も変質し始め、声も出なくなってきた。
「あ、が……!」
手のひらが天を向き始め、瞳が見開かれていく。口の中の歯は乱杭歯にかわり、意識がもうろうとしてくる。主導権をゴジラが握ろうとしているからだ。
そんな中、薄れる意識の中でダイスケは必死になって考える。
どうすればシン化を止められるか。どうすればゴジラと意志を疎通することができるのか。どうすればビルガメスに勝てるようになるのか。
これまでいくら語りかけても返事ひとつよこさないゴジラに対し、どう呼びかければいいのか。案外、今のこのシン化になりかけの状態はいいのかもしれない。何せいつも奥に引っ込んでいるゴジラの自意識が表に出かけているのだ。
だが、問題は呼びかける方法だ。ただ望むことを口にしても聞く耳持たないだろう。ではどう語りかければいいのか?
そう考えた瞬間、声が聞こえた。遠くで、それでもはっきりと聞こえる声が。
『我、目覚めるは覇の理を神より奪いし二天龍なり――』
「我、目覚めるは王の真理を天に掲げし赤龍帝なり!」
『無限を嗤い、夢幻を憂う――』
「無限の希望と不滅の夢を抱いて王道を往く!」
『我、赤き龍の覇王と成りて――』
「我、紅き龍の帝王と成りて!」
『汝を紅蓮の煉獄に沈めよう――ッ!』
「汝らに誓おうッ! 真紅の光輝く未来を見せると!」
一つは聞きなれない者たちの合唱、もう一つはイッセーの声だった。それは、呪文。
思えばサイラオーグも呪文めいた言葉を口にして鎧を身に纏い禁手化していた。
呪文の詠唱という、一見気恥ずかしい行為ではあるが、神器システムにおいて呪文の詠唱とは実はプログラムに対する改変用のアクセスコードなのではないだろうか。
重要なのは、相手に向けて語りかける意思だろう。イッセーもサイラオーグも力の根源に対して語りかけるように呪文を詠唱していてた。ならば、自分もそれをすればこの状況を変えられるはずだ。
問題は今声が発することができないほどに肉体が変質しているということである。だからダイスケは一旦自分で自分の口を破壊する。
すると、すぐにシン化の状態で再生することができないのか、いったん人間の口に戻ったのだ。
残り時間は少ない。うまくいく保証も、ゴジラが自分の想いを受け入れてくれる確証もない。だが、ダイスケは迷わずに、すかさずダイスケは自分の想いを、ゴジラに向けて呪文として口にした。
「――獣の頂点に立ちし怪し獣の王よ。」
――それは、ただ一匹に怪獣にのみに許された称号――
「――力の均衡を持って真の力を顕現させよ。」
――それは、ダイスケが求める力の形――
「――怒りと激情を以て立ちはだかる壁を打ち崩せ。」
――それは、今目の前にある障害と取り除きたいという想い――
「――しからば想像超えし絶対なる力の権化と成り果てよう。」
――それは望みを叶うことができるのならば何者にだってなってやるという覚悟――
そしてそれが通じた瞬間、力が爆ぜた。
膨大なエネルギーが発生し、一瞬のうちにそれは収束する。
だが、その一瞬のうちにすべては起きた。まず、シン化しかけていた鎧と肉体がパージされ、生まれたままの姿のダイスケの肉体が残る。
そこにいったん肉体から離れ、再構成した鎧がダイスケの肉体に装着されていく。その鎧は依然と同じように鎧武者を彷彿とさせるデザインだが、以前よりもすっきりとした細身の印象を見せる軽装鎧を思わせるデザインラインだ。
すべてが収まったその瞬間、鎧の目がぎろり、と前方のビルガメスを睨んだ。
「……そのまま
「自分でやりたくってね。
「なるほど、そして呪文を唱えることでゴジラと意思をつなげ、自分の意図を伝え、力を再誕させたか。どうやら合一化の第一歩進んだようだな。だが、それでだけでこのビルガメス、切り崩せられるものではないぞ。」
そう言ってビルガメスは両の手のひらから引力光線を放つ。不規則な軌道のその光線は地面を崩しながらダイスケに迫り、命中する。先ほどはこれだけでダイスケはほぼ行動不能のダメージを与えられていた。
土煙が晴れる中、見えるのはダイスケの倒れ伏した姿のはず。だが、そこには仁王立ちし、無傷の姿のダイスケがいた。
「……なに?」
さすがのビルガメスもこれには驚いた。命中すれば着弾点を重力操作で物体の結合を破断し、確実に目標物を破壊する引力光線。それを食らって無傷なのだ。
そのダイスケの防御能力を見極めるために今一度ビルガメスは引力光線を放つ。やはり物体は破壊される。だが、ダイスケには何の効果もない。直撃しているにもかかわらず、である。
「おわりか? ならこっちの番だな。」
そう言ってダイスケは掌をビルガメスに向ける。熱線を撃つつもりなのだ。だが、これまでダイスケがビルガメスに熱線を放っても重力を操った重力偏向シールドでいとも簡単に防がれた。それを繰り返すつもりなのかとビルガメスは防御の体勢をとる。
すると、ダイスケの体が放電し始める。発生して電流は手のひらの先に集まり、渦を巻く。その渦の中心に、青白い熱線のエネルギーが収束していく。その収束が臨界点にたした瞬間、螺旋の一撃「スパイラル熱線」は放たれた。
スパイラル熱線は螺旋の穿孔効果によりこれまで以上の速度で大気を抜け、ビルガメスに向けてまっすぐに飛ぶ。そして、ビルガメスの重力偏向シールドに直撃するが、熱線は重力のゆがみを無視して直進し、ビルガメスの装甲に火花を散らす。
「なんと!?」
ビルガメスが怯んだ隙に、ダイスケはビルガメスとの距離を驚異的なスピードで一気に詰める。その速度は下手な
「つーかまえた。」
怯むビルガメスの腹部に、ダイスケの拳が正確に撃ちこまれる。初めてまともに受けたダイスケの拳に、ビルガメスはあるものを感じ取る。
(この力、先ほどとは比較にならん……不要な防御の分のリソースが腕力に来たか!)
ビルガメスの考えるとおりである。これまで余分に防御に回していた獣具のリソースを、他のところにも均等にバランスよく配備されるようになっているのだ。
それにより、ただでさえ圧倒的な腕力がさらに力をつけたのである。
理解したビルガメスがダイスケのに発目の件だを受け止め、自分の今の全力の拳を放つ。防御が薄くなったというのなら、そこを狙わない手はない。
だがビルガメスの拳はダイスケにやすやすと受け止められる。まるで衝撃も何もまるでないかのように。
それだけではない。先ほど鎧を殴った瞬間、違和感を感じた。まるで鎧に届く前に見えない壁に押し返されたかのような感覚を感じたのだ。
このことを踏まえ、ダイスケの防御の謎をビルガメスが解こうとする。
「鎧表面にバリヤーでも張っているのか? 非現実的な話だが、そうでなければ道理がつかない。」
「ああそうさ、バリヤーだよ。正確にはお前のような重力偏向シールドじゃなくて、雷神の因子で生み出した大電力による電磁メタマテリアルの非対称性透過シールドなんだがな。」
そう、これがダイスケが木場に以前言っていた「テスト中の新技」である。
電磁メタマテリアルの存在を知ったダイスケは、すぐに雷神の因子による大出力放電でこれを再現しようとしていたが、いずれのテストも電磁メタマテリアルの生成までの電力を得ることができなかった。
そんな中の先ほどのパワーアップは偶然ながらもチャンスだった。雷神の因子にもリソースが渡るようになった今ならできる。そうダイスケは賭けに出たのだ。そして、賭けに勝ったのである。
「なるほど、飛び道具も直接打撃も通さないシールドか……なら通じるまでギアを上げていくだけよ!」
そして、常人の目には理解しえないような速度で拳の応酬が始まる。
ビルガメスは宣言通り徐々にギアを上げていき、ダイスケも新しい力の試運転代わりにとギアを上げていく。
だが、お互いに決定打を与えられないのは必定だった。お互いに特殊な防護手段を用いているのである。決定打を与えるにはそれを突破するだけの必殺の拳を放たなければならない。
その第一手を先に決めるチャンスを得たのはビルガメスだった。ビルガメスはダイスケの拳を弾き、がら空きになった胸に向けて拳に引力光線のエネルギーを乗せた拳を放つ。
引力光線のエネルギーによって電磁メタマテリアルを破壊し、直接拳でダイスケの薄くなった装甲を貫いて突きたてた。
拳はダイスケの胸に突き刺さり、体をも貫く。ビルガメスはこれで勝利を確信した。がしかし、ダイスケは違った。
自分の体を貫く拳を、全身の筋肉を硬直させて固め、抜けなくしたのだ。それに気付いたビルガメスが必死に腕を引き抜こうとするが、ダイスケはさせない。そして、右手の拳に熱線のエネルギーを溜め始める。体内放射を拳だけに起こすようにしたのだ。
その拳が構えられた瞬間、ビルガメスが思った。
――ああ、これを避ければウソになる。
そして放たれる破壊の拳。拳がビルガメスの左ほほを正確にとらえると、拳に溜まった熱線のエネルギーは一気に爆発する。その爆発の衝撃でビルガメスの腕は抜け、体は大きく吹き飛ばされ、壁に激突した。
黙々と立ち上る土煙が晴れた時、そこには座り込むビルガメスの姿があった。
「おもしろい……実におもしろい。あの呪文ひとつで今の状態の余と対等に戦える存在になるとは。宿す力が強力なのもそうだが、宝田大助。使うお前……いや、
そう言って、ビルガメスはダイスケに向けて宣言する。
「宝田大助。卿は今より、我が計画の中に入った。」
「……計画?」
「ああ。もっとも、それほどおおそれたものではないが。」
胸部の傷が塞がっていくダイスケを見ながらビルガメスは立ち上がってそう言う。そして、再びに拳を構える。
「今はその話は置いておこう。ただだこの時ばかりはお前との闘争を楽しみたい。さあ、来――「いいや、これでお開きだ。」――ん?」
見ればビルガメスのみならず他の構成員の周囲を大勢の手練れの悪魔、天使、堕天使、そして神々が取り囲んでいる。その先頭に立つのはアザゼルだ。
「あの結界の仕掛けの種が重力操作による重力偏向シールドだって気付いたからな、すぐに対応策をとらせてもらった。種さえわかればこっちのもんだ。こっちにはなにせ
二重結界の種が重力偏向能力によるものと気付いたアザゼルはすぐに行動に移した。まず、重力偏向の状態を徹底的にサーチ、その結果をもとにアジュカ・ベルゼブブとディハウザー・ベリアルが自身の能力、あらゆる事象を計算と方程式によって操る『
そのおかげですでに一般人は退避し終え、ビルガメスたちを各神話の実力者たちが取り囲める状態となったのである。
「ふむ、少々遊びが過ぎたか、これは。おい、全員生きているか?」
「勿論でございます、ビルガメス様。」
「おいおい、さすがにこれはちと骨が折れるね。この聖剣使いのお嬢ちゃん、強くなってるし、イーマはいつの間にか全滅してるし。」
「さすがにこれはまずいんでないの? やっとあのへんな穴の攻略法が見えてきたっていうのに。」
忠勝、彦斎、ホトゥが返事をする。ただ、ガイセリックからの返事はない。
「また死んだか。いい加減起きたらどうだ。」
「……しゃーねぇーなぁ。せっかく死を堪能してたところなのに。」
そう言ってガイセリックは起き上がる。それを見て驚くのは斃した二人であるイッセーとサイラオーグだ。
「おいおい、まじで不死身かよ……。」
「心臓を潰されても生き返るとは……フェネックス並の不死身度合だな。」
「言っただろうが、死を超越したってよ。どーする、ビルガメス。まだやるてっんだったらとことんやるぜ。今日はまだまだ死ねそうだ。」
そう言うガイセリックにホトゥは不平を漏らす。
「馬鹿言うな! お前はいいかもしらんが俺らは死んだらそこで試合終了なんだよ!」
「教会相手に戦って散華するのはいいが、他の神話の奴がいるっていうのが気に入らん。ここでは死ねんぞ。」
「しかし、某はビルガメス殿と御身のためとあればいくらでも命を賭ける所存。命ぜられよ。」
彦斎と忠勝の正反対の意見を聞いて、ビルガメスは判断した。
「――ここで本気を出すという手もあるが……興が乗らんな。全員撤退だ。」
するとその言葉を聞いた四人は腕に付けている宝玉付きの腕輪の宝玉をスイッチのように押し込む。すると、四人の姿は瞬く間に霧に包まれてすぐに霧ごと消えてしまった。
「これも
「おい、待――」
ダイスケがビルガメスを捕まえようとするも早く、転送結界装置は作動し、ビルガメスの姿は掻き消えてしまった。
これでダイスケ達は敵を撤退させることには成功した。しかし、自身の力を見せつけるというビルガメスの目的は達せられてしまったのである。
といことで新年一発目はダイスケのパワーアップから始まるVS78でした。
実はダイスケのパワーアップは最初のころは予定になかったのですが、イッセーがガンガンパワーアップしてるのでこっちもやっちゃっていいかと思いやりました。やっていることはパラメータの最適化と全体的な底上げですね。これからはダイスケもガンガン熱線のバリエーションが増えて技も多彩化していきます。
あと、以前書いた活動報告の返信も待っています。情報が少なくて参ってるんです、ほんと。
なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!