……ゴトランド? 早波? 知らない子ですね(目をそらしつつ)。
そんなこんなでお送りするVS79です。
「なーんで傷は治ってんのに絶対安静なのかねぇ……。」
事態終了後、ダイスケは即座に強制的に病院に緊急搬送され、絶対安静の命令を受けた。一応の名目は怪我による影響を考慮して、とのことだったが、実際はあのパワーアップが原因であろうことは明白だった。
何せ自力でシン化を抑えたのである。その影響がどれほどのものなのか測れるものではない。なのでこの部屋に緊急的に供えられたセンサーでモニタリングしているのだろう。
「精神崩壊した振りでもしたら出してもらえるかな。おーい、ここ開けてくださいよ。うわぁ、流星かな。いや、ちがう。流星はもっとこう、バァーって光るもんな……って駄目だよなぁ。どう考えても。」
あまりにも暇なので精神崩壊したガンダム主人公の物真似(しかも結構似ている)をしてみたが、虚しくなってきたのですぐにやめる。
すると、しばらくたってドアがノックされる。どうぞ、とダイスケが言うと、はいってきたのはアザゼルと複数人の堕天使たちだった。
「よう、気分はどうだ。」
「精神崩壊おこしそうです、暇すぎて。」
「そうかそうか、じゃあちょっと話でもするか。」
そう言ってアザゼルは手近にあった椅子を手繰り寄せて、そこに座った。
「っていうか、入ってきてよかったんですか? 俺をモニタリングしてるんでしょう?」
「あー、いいんだ。一時間近く計測してみたが何にも出ないからな。撤収だよ、もう。面会謝絶も解除だ。で、だ。例のパワーアップだが……お前いったい何やった? ありゃあ、神器でいうところの禁手どころの話じゃない。イッセーがやった真女王化と覇の克服と禁手を同時にやったようなもんだ。なのにお前自身には何の悪影響も見られない。イッセーだって段階を踏んでやったことを段飛ばしでやったってのになんでここまで平常でいられるんだ?」
アザゼルの言う通りだ。イッセーですら、パワーアップを段階を踏んでやってきた。それも奇跡としか言いようのない変化をだ。それをダイスケは呪文ひとつでシン化を抑えたうえでおそらく禁手であろうパワーアップを果たした。
元のポテンシャルが高かったから、といえばそれだけだろうがそれでは済まされない何かがあることは明白だった。
「……実はあのシン化しようとしてたとき、ゴジラの怒りというか、怨嗟の念をあまり感じなかったんです。どちらかというと、何かに必死になったからああなったって感じが一番近いじゃないかと。」
「怨嗟の念を感じないだと? あれだけ俺たちに怒り心頭で襲いかかってきたあのゴジラが?」
「そうでしょうけど、俺にはそう感じられました。それで、イッセーの呪文が聞こえて、ああ、これかって思ってアドリブで呪文を考えたらああなったって感じです。」
「それにしてもよく呪文でシン化を抑えようって思ったな。普通なら思いつかんぞ。」
「ビルガメスに「お前はゴジラと対話できていない」って言われてこなくそ、ってなったのもあるんですけど、呪文を唱えること自体が獣具のアクセスするためのキーなんじゃないかって思って。俺、なんか気恥ずかしくて、呪文を敬遠してましたから。だから今までゴジラと意志疎通できていなかったんじゃないかなって。」
「それで成功したんだからなぁ。よくやったよ、ほんと。」
自身の頭を掻いて、ダイスケの決断力と賭けに出た根性を称えるアザゼル。そして「そうだ」と手を打つ。
「あのパワーアップ形態……禁手と覇の克服の同時発現形態か、の名前考えないとな。」
「また厨二センスっすか。」
「厨二言うな。そうだな、『
アザゼルに命名権を譲られたダイスケは、気恥しながら自分のアイデアを口にする。
「――『|再誕せし怪獣王の王装《ゴジラ・キング・オブ・モンスター・アーセナルズ・リ・バース》』……っていうのはどうですか?」
「んお? ずいぶんとささやかだな。」
自身が考えていた命名案とは裏腹におとなしめのダイスケの案に、アザゼルは意外そうな顔を見せる。
「いや、別にこれじゃなきゃってわけじゃないんですけど、平成ゴジラが住処にしていたバース島と、鎧が生まれ変わったことをかけようと思って……変ですかね?」
「……いや、変じゃねぇよ。むしろこれくらいあっさりしてた方がいいかもしらん。わかった、報告書と資料にその名で記しておこう。」
アザゼルはそう言い、機器がすべて撤収されたことを確認してその場を後にしようとするが、「ああ、そうだ」と言って一旦立ち止まる。
「女はあんまり泣かせるんじゃねぇぞ? エリーたち、おまえのことすっげぇ心配してたからな。ハーレム作るなら女を泣かすな、これは先達からの助言だ。」
「いや、作る気はないっすよ?」
ダイスケの反論にも手を振って答えるだけのアザゼルはその場を立ち去った。
また一人残されたわけだが、一人の沈黙はしばらくして破られる。
「ダァァァリィィィィィィィンンンンンン!!!!!」
「ダイスケさん、無事ですか!!」
「ダイスケェェェェェぇぇぇぇぇ!!!」
バタン! と乱暴にドアが開けられ、エリー、マリー、スルーズが飛び込んでダイスケに縋り付く。
「ダーリン大丈夫!? 怪我ない!? 苦しいとかはない!?」
「自家製痛み止めが必要なら言ってください、お医者様の許可もとってありますので!」
「欲しいものとかある!? 売店行って買ってくるわ! 大丈夫、私オーディンの孫だからお金はあるから!! あの……でも、女の裸が乗ってるエッチの週刊誌とかは……なんだったら私が脱ぐし……。」
「あー、大丈夫だから。怪我はもう治ってるし、痛み止めもいい。エロ本もいらないし脱ごうとするな。それとエリー、スルーズに対抗しようとするな。」
怪我は一つもないはずなのに頭痛がしてきたダイスケ。だが、これも心配してくれるが故だ。
「だけど……まあ、心配してくれてありがとうな。」
「「「……うん。」」」
頬を赤らめてうなずく三人。そこへ頭を撫でる行為を入れれば立派な女たらしであろうが、そんなことを思いつくはずもないのがダイスケという男である。
「でも良かったネ。私、あの男にダーリンが殺されちゃうって思っちゃったもん。」
「私も結界の向こうで心配で死にそうでしたよ。よく盛り返せましたね。」
「まぁな。ギリギリセーフってやつだ。」
「あったりまえでしょ、私が惚れた男なのよ。……でも、あの男、まだ自分の力の本気のほの字も出していないんでしょうね。お爺様もさっそく各勢力で一級の特別指名手配になるだろうって言っていたわ。」
「だな。実際戦ってそう感じた。あいつの本気はあんなもんじゃない。じゃなきゃ、各神話勢力の代表が集まった今日のゲームに乱入するもんか。あれは先生やサーゼクス様、オーディンたちを全員相手にしても本気出せば勝てるって踏んでるから余裕でいられたんだ。」
そういうダイスケにはそう言えるだけの確信と実感があった。なにせ千を超える神器を自分の枷としているような男だ。キングギドラの獣具無しでも一対一なら最上級悪魔くらいは打倒できるとみていい。
「だから……強くならなきゃな。今よりも、もっと。俺たちの平和を守れるように。」
「もちろんネ! 私も獣具が禁手に成れる目処が今日の一件で付いたし、今まで以上にゼノヴィアたちと鍛錬する!」
「私もです! お姉さまを守るためならば、禁手にだってなんだってなってやります!」
「今日の一件で私の拡張能力の有用性も確認できたしね。まだまだ強くなれるわ、私たち。」
そう決意を新たにする四人。だが、ダイスケにはひとつ気がかりなことがあった。
「……そういえば、今日のこと榛名になんて説明しよう。」
「「「あー……。」」」
ただでさえ今日のゲームも人の殴り合いが見るのは苦手だからと観覧を辞退した榛名だ。今日の一件のことを聞けば卒倒するかもしれない。
「……ちょっとテロったけど偉い人たちのおかげで無事だったって言っておくか。」
何も今日あったことをすべて伝える必要もないだろう。今言ったことは事実を一部掻い摘んだだけの説明だが、間違ってはいない。だからこれを伝えるだけでいいだろう、そうダイスケは考えていた。
だが、この事がのちにダイスケ本人の大きな後悔に繋がることであろうとは、だれも微塵にも考えなかったのである。
*
「今帰った。」
ビルガメスは自身の隠れ家である中東のある地方にある豪邸に戻るとそう言った。しかし、そう言ったからと言って使用人が迎えるわけではない。使用人を雇えばそこから足がつくから、というのもある。だが、自分のことは自分でする、それが彼の生活に対する態度であり姿勢であるから使用にの類は一切雇ってはいない。
その代わり、同居人が彼を迎える。
「おかえり。」
曹操である。ここは彼ら英雄派のセーフハウスでもある。ビルガメス特製の重力偏向シールドのおかげで決して見つからないこの豪邸は彼らにとってもいい隠れ家であった。
「一人かい? ガイセリックたちはどうしたんだ?」
「あ奴らは早速今日の反省会を兼ねた自主トレーニングだ。余は今日はその必要がないからまっすぐ帰っただけのこと。」
「……ずいぶんとご機嫌だね。何かいいことあったかい?」
「まぁな。卿と同じく、我が計画にふさわしい者を見つけてきた。」
「それは兵藤一誠かい? 困るな、あれは俺の獲物なのに。」
「いや、宝田大助だ。」
「おいおい、そっちもだよ。困ったな、こいつは。」
「なら先に仕留めるといい。次は卿の出番、だろう?」
「おや、君は乗らないのかい?」
「どうも気が乗らん。そもそもオーフィスなど余にとってどうでもいい存在だからな。」
「本当のギドラの力ならばオーフィスを下すことも容易い……だったかな? どうにもあの話、俺には眉唾でね。」
「そう思うのは必定。だが、これは事実だ曹操。次元の王であり星を喰う者であるギドラの本当の力は今日見せたものの比でなく、本来の力ならば――」
「――この星そのものを一口で飲むこともできる。だな、メトフィエスよ。その言葉は聞き飽きた。」
「これは失礼。」
いずこからメトフィエスと呼ばれる青年が現れる。その声は澄んでいて、髪型は古代日本の髪結いににて、アングロサクソンやゲルマンのような白い肌とプラチナの透いた髪が目立つ。
だが、特徴的なのはその長身と尖った耳だ。これが彼が人間でないことを示している。そう、彼らは異星人であった。彼らはペルセウス座BD+40°740恒星系第4惑星エクシフィルカスからやってきた『エクシフ』という。
「だが、ビルガメス。私にとっては君の存在は福音なのだ。同じことを繰り返し言いたくもなるほどに、ね。オーフィスという無限の存在も目ではない。」
「まあ、ビルガメスがオーフィスを打倒する日は来ないよ。俺たちでどうこうできるからね、もう。」
「
「そう言う事さ。じゃあ、俺はガイセリックたちのトレーニングに参加するかな。」
「加減はしろ、下手をしたらガイセリック以外は即死の力だぞ。」
「わかってるって。」
そう言って曹操は屋敷から出ていく。その後ろ姿を見てビルガメスは呟く。
「精々やってみるといい。卿……いや、
「おや、彼はもう計画から外れたのか?」
「ああ、もっといい適材が見つかった。それに、自ら自分の計画破綻につながるような弱点を抱えた曹操はもう、見ておれん。」
「弱点……ああ、あれか。」
「成長し、力を得るために致し方なく背負う弱点なら理解できる。だが奴は本来必要もないのに自ら自縄自縛に陥った。アレを知った者ならすぐに対策が打たれる。自ら弱点を増やした愚行だ、あれは。……あれさえ受け取らなければよかったものを。」
「旧友の手切れで、それが見えなかったのだろう。策士に見えて存外甘いところがある。」
「そこが奴の限界だ。だが……宝田大助にはそれがない。もちろん、愚行を犯せばすぐに興味は失せるが。」
「そう言えばミレニアンたちがまた不平を言っていた。「はやく我々に肉体を取り戻させろ」とね。声が聞こえるのが私だけだから彼らも必死でね。うるさいことうるさいこと。」
「G細胞のサンプルの予備があっただろう。あれには細胞修復を行うオルガナイザーG1があったはずだ。あれでも与えてやれ。」
「いや、あれを使うのは最終手段だそうだ。何せ彼らの細胞がG細胞の負荷に耐えられる保証がない。」
「なら黙って我らに技術供与していればいいものを……。そう言えば道満の仕込みはどうなった?」
「ああ、それは――「順調よ。あとは本人が目覚めてくれる一押しをするだけ」――だそうだ。」
そこへさらに道満が加わる。
「私は直接じゃないけど、曹操に同道するわ。何せ私の研究――いえ、あの人の研究を世に見せつける最高の機会だもの。自分から出張らないと。」
「執念、か。それもいいがあまり曹操に乗りすぎるな。あれの計画は破綻すると見た。」
「了解。あの娘への一押しがすんだら早々に戻るわ。何せまだ本来の私の研究はまだ完成していないんだからね。」
そう言って道満は屋敷の奥へと消えていく。
「……いいのか。あの女の計画が君にとって良くない方向に行くことも。」
「そうなったときはそうなったとき。あの女を潰すだけのこと。まあ、今のところは見ていて面白い。それに――今回あの女のすることは失敗する。」
「それはどういった理由で?」
「引力がそう言っている。そうなるさだめではない、と。」
「君がそう言うのならそうなのだろう。信じよう。」
「ああ、奴は必ず生き残る。そして奴は再び余と相まみえる。」
「その時が来たら言ってくれ。――すぐに実行できる。」
「すまないな、メトフィエス。」
「礼など不要さ。われわれエクシフにとってギドラの融合者である君は奉仕すべき存在。その力を何に使おうが、我々は君が望むことをするだけのこと――すべては、献身の道に続くのだから――」
*
「みなさーん、一列になってお並びくださーい! 最後尾はこちらでーす!」
ウェイトレスの格好をしたアーシアが廊下に並ぶ客たちを誘導する。長蛇の列だ。
本日は文化祭の当日。結局、オカルト研究部の出し物は「旧校舎でできることを全部やる」になった。具体的にはコスプレ喫茶に占いとお祓いの館、さらにお化け屋敷とやれることをすべてごった煮にした企画が立ち上がったのだ。
「本場のアフタヌーンティーはいかがですカー? ご希望なら紅茶占いを無料でいたしマース!」
「あ、はい。そうやって紅茶の茶葉を残してですね、皿をかぶせて裏返して……さぁ、これで占いましょう。うーん、まず恋愛運は……。」
コスプレ喫茶ではマリーとエリーが無償で(イギリスの実家からかっぱらった紅茶を使って)紅茶占いのサービスをしているのでこれも盛況だ。それもよく当たるというので話題になっている。
さらに、小猫が本格的な仙道による気を診る占いと朱乃のお祓いもこれまた盛況。彼女ら目当ての男子のみならず彼女たちのファンの女子生徒や一般客も評判を聞いてやっている。
お化け屋敷はほかのメンバーでローテを組んでお化け役をやっているが、ギャスパーが人気だ。悔しいが実際ヴァンパイアのコスプレをした彼の格好はかわいいと評判なのである。一方、お化け役のイッセーは感づいた女生徒に「犯される!」と何もしていないのに先制攻撃を食らうという憂き目にあっていた。これも日頃の評判だろう。
特に目立つ特技もないダイスケはおとなしく喫茶店のバックヤードで料理やコーヒー、紅茶を作っている。料理に関しては自炊しているので問題ないが、お化け役に行くとその隠せないオーラで客をビビらせてしまうためバックヤードにご忠勤となったのである。
「どう? ダイスケ。」
「あ、部長。ちょっとパンケーキの粉少なくなってきましたね。シロップはあるんですが。あと、紅茶はマリーたちがかっぱらってきたのが山ほどあるとして、コーヒーが切れそうです。」
「わかったわ。この後ローテが空く祐斗に買ってきてもらうわ。ほか、ない?」
「あー部長。その――イッセーに告白されたってマジですか。」
「~~! ゴホッゴホッ……ど、どこから聞いたのよ。」
「いや、他の眷属連中からなんとなく。よかったすね、思いが通じて。」
「……まだそういうんじゃないわ。あれはイッセーの決意表明みたいなものよ。」
「おや、手厳しい。でも、近いうちにあるんじゃないですか? 本気のプロポーズ。」
「まあ、期待してみるだけしてみるけど……。」
「学園祭だし? なんかありますよ、きっと。」
「そうかしら」と言ってリアスが出ていく。それと入れ替わりでやってきたのは榛名だ。
「おう、榛名。皿洗いはまかしとけ。その代わり11番テーブルにそのケーキセット頼む。」
「わかりました。……あの、さっき部長さんと何のお話を?」
「ん? イッセーが部長にプロポーズするかどうかって話。」
「ええ!? それって悪魔の貴族さんと下僕の侍従を超えた愛ってやつじゃ……?」
「まあな。でも、あの二人ならなんとかなるだろう。」
「です……よね。きっとそうです。思いあうのなら、結ばれた方がいいに決まっています。……でも、私は――」
「ン? どうした。」
「い、いえ。なんでもないです。11番テーブル、持っていきますね。」
そう言って榛名はケーキセットを持ってバックヤードから出て行った。
あの時、榛名が言いかけたことはなんだったんだろうか。その疑問はのちに最悪の形で知ることになるとは今のダイスケは想像だにしていない。
とにかく、後三十分働けば自由時間。それまで張り切るだけだ。
*
「へぇー、そっちはアガレスのガンダム姐さんとね。」
「ああ、旗取り戦だ。つーか本当にそっちは災難だったな。こっちはだれも注目してないからつつがなく進んだよ……俺が暴走した以外は。」
グレモリーとバアルの戦いは実は裏でシトリーとアガレスのゲームも同時進行で行われていた。そこで匙は最後の最後でヴリトラを暴走させてしまったらしいのだ。
「最後の最後で暴走させちゃってさー、評価ガタ落ちらしい。ああ、会長の評価、俺のせいで下がったって考えたら……。ああ、ゲーム教師の夢が遠のく。」
「最後は僅差で勝ったんだろ。なら、最悪の評価だけは避けられるんじゃないか? ま、ブレーキ役のイッセーがいなかったっていうのがなぁ。」
「それだよ、今後の俺の課題は。あーあ、こうなりゃいやだけどあのグリゴリの研究所に行くしかねぇかな!?」
「匙、早まるな。あのアルマロスっておっさんは我と俺もトラウマだから。思い出したくない。」
「わ、悪い。――おい、そこの生徒! 側溝にごみをポイ捨てするんじゃぁない! 悪い、俺注意しに行くから。」
「おう。後夜祭の後片付けもがんばれよ。」
そう言ってダイスケと匙は別れた。
そしてダイスケはその辺を理由もなくプラプラしている。今日できる分の片づけはすべて終了しているので気は楽だ。
すると、夕日も沈んだ空に炎の明かりが見える。最後のキャンプファイヤーが始まったのだ。と、そこでダイスケは旧校舎に忘れ物をしていることに気付く。急いで廊下を走っているとみょーなものに出くわした。
イッセーとリアス以外の部員が部室のドアを少し開けてその中を覗き見しているのだ。しかもそこにはエリーとマリー、それに榛名までいる。
「……なにやってんの?」
(((((((((((シーッ!!))))))))))))
全員に静寂でいることを要求され、そして木場がここから覗けと指をさす。そこから見えたのは――自分でも言っておいてまさかと思える光景だった。
「……リ、リアス。」
「――え?」
イッセーが、リアスの名を呼び捨てで呼んだ。いや、それだけではない。決意を新たにしたイッセーがはっきりと言った。
「……俺、リアスのことが……リアスのことを一生守っていきたいです。俺、あなたに惚れてます! リアスのことが、大好きです!!」
言った。
ついに言った。
あれだけ最後の一歩を踏み出すことを恐れていたイッセーが、最後の一歩を踏むどころか飛び越えた。
告白された方のリアスはというと、一瞬あっけにとられた表情になったが、しばらくしてうれし涙を流していた。正直声は遠かったので聞こえづらかったが、ところどころ「待ってた」や「私も」という単語が聞こえてくる。
ということはつまりあれだろう、告白成功とみていい。
「そっか……やったな、イッセー。」
それを見届けたダイスケはその場を後にしようとしたが、隠れていたゼノヴィアとイリナがバランスを崩し――
「あ、ちょ、ゼノヴィア! 危ないって!!」
「ちょ、ま、押すな!!」
――教室に乱入してしまう。
「み、みんな!?」
「み、見てたの!?」
二人っきりだとばかりにキスする寸前までいっていたイッセーとリアスが固まる。
「あ、いやーまぁ、その。とにかくおめでとう。これで私も安心してイッセーに言い寄れるというもの。」
「ご、ごめんなさいね! 気になったものだから……。」
雰囲気をぶち壊した張本人があわててそう取り繕おうとするが、アーシアは自ら前に進んで二人を祝福した。
「お二人とも! おめでとうございます! 私もこれで安心してお姉さまの後を追えます!!」
「まあ、これで《浮気》が成立する環境になったのだから、良しとしますわ♪」
「……ここからが本番、というやつですね。」
朱乃と小猫までがそう言う始末。しまいには
「今日くらいは不純異性交遊は見逃してもいいですよ。」
「ゴメン、僕も楽しませてもらった。」
「イッセー先輩、漢を見させていただきましたぁぁぁぁぁ!!」
ブレーキ役のロスヴァイセがそそのかし、木場とギャスパーも楽しんでみていたことを告白した。
「いいなー。私もいつかあんなふうにプロポーズされたいネー。」
「わ、わたしだって……。」
「あわわわわわ、見てはいけないものを見てしまいました……。いや、将来の参考にはいいのかも? あれ、私一体何言って……。」
「いや、君たちほんと何言ってるの。何かうすら寒いものを感じるんだけど。」
違う男に恋い焦がれる三人に様子を見て、そのターゲットは戦慄を感じた。
が、それよりも今は羞恥に震えるリアスだ。耳まで真っ赤になり、プルプルと震え、さっきとは違う意味で涙目になりかけている。
「さぁ、みなさん、打ち上げ用のケーキと飲み物を持ってきましたわ! 皆さんでこうパァーッといきま……あら、なにかありまして?」
唯一覗き見していなかったレイヴェルが打ち上げ用の食べ物とケーキを持って現れる。タイミングがいいのか悪いのか。
それでリアスはついに爆発した。
「もう! 人生最大の幸せな瞬間だったのに! どうしてくれるの! イッセーがこんなところで告白してくるからでしょう!!」
「え、えぇ!? これ、俺が悪いのか!?」
『十中八九そうじゃない?』
「そんなぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!」
そんなイッセーの叫びが、旧校舎に木魂した。
ということで何やら不穏な動きを見せつつも一区切りついたVS79でした。
実は当初の予定にはなかったメトフィエスの登場。アレを出すなら当然必要だなと思い登場させました。当然それに対抗してダイスケも天元突破でパワーアップせざるをえないわけで。
そして次回よりようやくリメイク以前からやりたかったことを世に送り出せる運びとなりました。これを思いついたあの時からずっとずっとやりたくてやりたくて仕方なかったことをついに実現できます。なんか自分でハードルを上げに上げてしまってる感がありますが、とにかくやりたかったことを実現できます。そしてこれまで張った伏線を大量に回収することになるのでたぶん書き終えた後血反吐を吐いて倒れるでしょう。
あと、以前書いた活動報告の返信も待っています。ガチで待ってます。
なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!!