2年C組 オンタイセウちゃん
身長…151cm
髪…銀色でふわふわ
目…銀色で涼しげ
得意科目…理科
バスト…G
特徴…常にジャージ
性格…まじめ。おばかな子とがんばりやな子とは相性よし
……いやいや、銀髪銀眼はわかるけれどもGカップって。しかも常にジャージって。
ドストライクですやん。
そんなこんなでスーパー曹操タイムその一はっじっまっるっよ~!
イッセーたちを目の前にして、曹操は右手をゼノヴィアに向ける。それに呼応して曹操の周囲にある七つの珠が動き出す。
「まずは七宝が一つ――
曹操のつぶやきの後、球体の一つが掻き消え、次の瞬間にはゼノヴィアの得物が破壊されていた。
「――ッ! エクス・デュランダルが……!」
誰もが呆気にとられた。ゼノヴィアが為す術もなく、エクス・デュランダルを破壊され、その破壊されたエクスカリバー部分からデュランダルの刀身がのぞき見える。
「
次の瞬間、ゼノヴィアの腹部に穴が開き、大出血を伴う。
「がっ――」
ゼノヴィアが倒れこむ。その傷は一目見ただけで致命傷だと分かった。
「ついでに
「ゼノヴィアを回復させて、アーシア!」
突然の出来事に反応できなかったアーシアが我に返り、ゼノヴィアに向けて走る。
「ゼノヴィアさん、しっかりして!!」
泣きながらアーシアはゼノヴィアに回復のオーラを浴びせる。
その光景に怒るのはイッセーだけではなかった。木場が曹操に向けて飛び出し、イッセーもそれに続く。
「曹操ォォォォオ!!」
「許せないッ!!」
二人が同時攻撃を仕掛けるが、それを曹操は聖槍と
そうして二人の攻撃を捌く傍ら、球体の一つをリアスと朱乃に向けて飛ばす。
「――
球体はイッセーたちを通り過ぎ、リアスと朱乃のもとへ飛んでいく。
「弾けろっ!!」
曹操の命令で、球体はリアスと朱乃に向けて輝きを放った。
「眩しい……!」
「でも、こんなもので!!」
光に包まれながらも二人は手から攻撃を放とうとし――何も起きなかった。
その出来事に戸惑いながらも、もう一度二人は手から攻撃を放とうとする。しかし、やはり何も起きない。
「
上級悪魔と、それに並ぶ力を持つリアスと朱乃でこれだというのなら、他の女性メンバーもやられる危険性がある。
特に今、アーシアを封じられたらゼノヴィアが死んでしまうことになる。
「ふふふ、この限られた空間で、限られた力で君たち全員を封じる。派手な攻撃はサマエルの制御に悪影響を与えるからね。できるだけ最小限の動きで、サマエルとゲオルグを死守しながら俺一人で全員を倒す。何とも高難易度な仕事だよ。だが――」
曹操は黒歌とルフェイが攻撃態勢に入ったのをを見て防御の構えを取る。
黒歌魔力、ルフェイは魔術を派手に煌めかせてゲオルグとサマエルにめがけて力を放とうとする。が、しかし。
「――
曹操がそういった瞬間、球体が光を放つ。次の瞬間には黒歌とルフェイは別の場所に強制的に移動させられていた。
そして、それに気づいた次の瞬間には二人は攻撃を放ってしまっていた。その攻撃の進む先にはゼノヴィアを回復させるアーシアが――
「くそったれ!!!」
『Change Star Sonic!!!』
瞬時にイッセーは
「がはっ……!」
アーシアを狙われれば当然イッセーは動く。早く動くには
力なく崩れ落ちるイッセー。そのイッセーを、曹操はせせら笑う。
「赤龍帝、君は確かに脅威だ。だが、やりようなんていくらでもあるんだよ。」
ここでイッセーは曹操との明確な実力差を思い知らされた。確かにパワーでは勝っているだろう。しかし、それを抑え込むテクニックは曹操はやはり抜きん出ている。
そのイッセーの状態に気付いたアーシアはイッセーのもとへ向かおうとする。
「イッセーさん、回復を!!」
「だめだ、ゼノヴィアに集中しろ! 俺はちょっと腹が痛い程度だから!」
実際は腹が痛いどころではない。しかし、アーシアにはゼノヴィアに集中してもらわねば命に関わる。
その倒れるイッセーの目に、アザゼルの黄金の鎧とヴァーリの純白の鎧が並ぶのが見えた。
「ヴァーリ、俺に合わせろ!!」
「まったく、俺としてはひとりでやりたいんだが……!」
そのように愚痴を言いながらもヴァーリはアザゼルとともに曹操に立ち向かう。
光の槍による突きと、魔力がこもった拳打の共演。普通であれば相手することすら願い下げるような代物だ。しかし、曹操はそれを文字通り紙一重で避けていく。
「力の権化である鎧装着型の禁手は確かに莫大なパワーアップを果たすが――それが過剰すぎてオーラが迸り過ぎる! だからそれに注視すればどこから攻撃が来るかすぐにわかってしまう! 手にしている得物やこぶしに攻撃力を高めるためにオーラが集中してしまうからね!」
そう言いながらヴァーリとアザゼルの攻撃を捌ききる曹操の失われたはずの右目が輝いた。
「
曹操はそう言ってアザゼルの足元を見る。するとアザゼルの足が見る見るうちに石化していく。
「これは――メデューサの眼か!!」
メデューサ、ギリシア神話に登場する怪物。ゴルゴン3姉妹の1人。宝石のように輝く目を持ち、見たものを石に変える能力を持つ、頭髪は無数の毒蛇で、イノシシの歯、青銅の手、黄金の翼を持っている女の怪物。
その
「なんなんだ……! このバカげた強さは……!?」
「いえ、貴方とはすでに一度やりあっていますから、対処は簡単でした。その人工神器の弱点は、ファーブニルの力を貴方に合わせて反映できていない、という点です。」
アザゼルの腹から聖槍穂先を引き抜きながら言う曹操。
それを見たヴァーリは激昂した。
「アザゼルッ!? おのれ、曹操ォォォォォ!!!」
怒るヴァーリは曹操に向けて極大の魔力の塊を撃ち出した。
「君を拾って唯一力の使い方を教え込んだのがアザゼル総督だったな! 育ての恩人をやられて激昂したか!!」
その魔力の破壊力ならば曹操もひとたまりもないだろう。しかも、直線コースだ。しかし、その魔力攻撃に向けて球体が一つ飛んでいく。
「――
すると、球体表面に空間の渦が現れる。その黒い渦にヴァーリの攻撃は吸い込まれ消え、小猫の眼前にその渦が現れる。
先ほどの曹操の説明を思い出すイッセー。その言葉が確かならば――
それに気づいたイッセーは必死になって動こうとするが、体が言うことを聞かない。
小猫の眼前の渦からヴァーリの魔力が放たれてしまう。そして小猫に直撃すると思われたその時。
「バカ! 避けなさい!!」
黒歌がその身を盾にして小猫をかばったのだ。
爆音がホテルのロビーに響く。黒歌はもろにヴァーリの魔力を浴びてしまい、全身から血をしたたらせ、体から煙を上げて倒れこむ。
「――なに、ちんたらしてんのよ……。」
「……ね、姉さま……なんで……!」
小猫が黒歌に駆け寄る。
「なんでも……糞もないでしょうが……妹見捨てられるほどできちゃいないってことよ……!」
苦しげながらも黒歌は小猫にそう言う。それを見てヴァーリは行き場のない怒りを抱く。
「曹操……よくも俺の手で仲間を傷付けさせてくれたな……!」
「……ヴァーリ、君は仲間想いすぎる。まるでそこに無様に転がる赤龍帝のようだ。いったいいつから二天龍はそんなにヤワくなった?」
「そこまで俺を挑発するか……どうやらよほど死にたいらしいな――我、目覚めるは――」
「ゲオルグ、サマエルを!!」
「当然のこと! やれ!」
ゲオルグがすぐさま手元のサマエルをコントロールしている魔方陣を動かし、サマエルを動かす。すると、舌を出し切っている口元から何かが撃ち出される。
それは
「こ、これは――ガハッ……!」
「サマエルが血を撃ち出したんだよ。最強の
「そういうことなら俺はどうだ?」
すると義人が横合いからメガバスターを放って曹操を狙う。それを曹操は聖槍のオーラで弾く。結果、弾かれたビームがエントランスの天井に大きな穴をあける。
曹操が開けられた大穴に気を取られた瞬間に義人はある
「来い、ガルーダ!!」
義人の合図にどこからともなくラジコン飛行機大の物体が飛来する。それは、義人が開発していた自身の支援自立飛行ロボット『ガルーダ』である。
ガルーダは曹操の足元にハイパワーメーサービームキャノンを撃ち込んで牽制すると、義人の背後に回ってホバリングする。
「スーパーメカゴジラフォーメーション!」
するとガルーダはホバリングしたまま垂直姿勢になり、そのまま機体の腹と義人の鎧の背部とドッキング、ハイパワーメーサービームキャノンが前方を向く。
「スーパーメカゴジラ、合体完了。」
宣言する義人に向けて曹操は聖槍の極太のオーラを放つ。上級悪魔でも一瞬で消し去られるようなオーラ砲撃だ。しかし、それを受けても義人は平然とし、腹部の砲門を開放する。
「――プラズマグレネイド。」
すると全身に配されたエネルギーコンデンサから吸収したエネルギーを何倍にも増幅、砲門にエネルギーが集中する。
「ファイア。」
放たれる一条の閃光。その一撃を防ぐために曹操は七宝の球体をすべて盾にするが、余波で吹き飛ばされる。
「これほどなのか!」
吹き飛ばされながらも曹操は
その勢いのままに義人は全砲門から全メーサー、全ビーム、全ミサイルを発射しながら曹操の周囲をヘリコプターのようにホバリングしながら旋回する。
それらすべてが撃ち終わった後、曹操のいた場所には大きな土煙が立ち込める。
「曹操!」
ゲオルグがサマエルを操りながらその名を叫ぶ。その瞬間、土煙の向こうから義人に向けて再び
「二度は効かないと学習しろ!」
不意打ちものの一発に義人はそう言うが、本命は別にあった。土煙が晴れた先、準備動作として曹操の左腕の籠手の各所から白いガスが噴出される。
「――オキシジェン・デストロイヤー・レイ。」
もうもうと立ちこめる土煙を払う一条の紫の閃光が曹操の左手から放たれ、義人に襲い掛かる。それは義人の装甲やプラズマグレネイドのシステムをも無視して義人に大ダメージを与える。
「ぐぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
全身から火花を散らし、義人は吹き飛ばされる。
「やはりこの
その言葉を聞いたうずくまる義人はその攻撃の正体を察する。
「防御を無視……それもプラズマグレネイドのコンデンサシステムが反応しないということはビームに見えるが物理攻撃――そうか、これは極小原子による脆化現象……!」
「そういうことさ。これは防御魔法や術式も無視できる優れものでね。これを発見した
突如響く金属音。木場が聖魔剣で曹操に斬りかかり、それを聖槍が受け止めたのだ。
「見ていてわかった! あなたは本当に強い、強すぎる!! しかし、それでも一太刀入れたいのが剣士としての心情だ!」
「いい剣筋だよ、木場祐斗。正直この中で相性的に無難に俺と戦えるのは君と桐生義人だろう。パワーは無いが臨機応変に変化する特性は突き詰めれば非常に厄介だ。だが――成長途中の今であればわけない。」
曹操が横薙ぎに聖槍を振るうと木場はそれを後方にステップして避ける。
そして、禁手の龍騎士団を生み出して攻撃させる。
「忠勝が言っていた例の亜種禁手か! いぞ、ぜひ俺に見せてくれ! 参考にさせてもらう!」
曹操の七宝が球体のまま騎士団を破壊していく。その間に木場は動けないイッセーたちを守る位置取りをする。
正直な話、今の木場の龍騎士団の練度では到底曹操には届かない。それを理解したうえで木場はあえてイッセーたちを守るために龍騎士団を展開したのだ。
その意図に気づいた曹操は最後の龍騎士を破壊すると、つまらなそうに息をつく。
「――ここまでか。特性と今の状態も把握しきったよ。速度はともかく、技術が騎士に反映できていないのが今後の改良点、か。まあ、技そのものはいい。もっと高めるがいいさ。」
そう断じた曹操は木場に背を向けてゲオルグの元へ歩く。
「僕と、刃を……合わせるまでもないというか……ッ!」
それは剣士にとって、いや、戦士にとっての最大の侮辱である。背中を見せた時点で、戦う価値はないと宣言したようなものだ。
その曹操の木場に対する態度に、イッセーは怒りの視線を向けるが曹操は全く意に介さない。
「ゲオルグ、どれだけ取れた?」
「四分の三、といったところかな。これ以上はサマエルを
「……ま、上出来だな。」
ゲオルグの答えに満足した曹操は指を鳴らす。するとオーフィスを包んでいた舌が掃除機のコードを巻き取られるようにサマエルの体内の戻り、オーフィスは解放される。
そして、解放されたオーフィスの言葉を聞いて一同は驚く。
「我の力、奪われた。」
「そうさ、オーフィス。目的はあなたを殺すことではなく、あなたの力を奪うこと。そしてそれから新たなる『ウロボロス』を作り上げる。」
「新たなウロボロス……まさか、お前の目的は……!」
「御名答だと思いますよ、堕天使総督。そう、俺たちは自分たちに都合のいいウロボロスがほしかった。力の象徴となってくれて且つ、オーフィスのように面倒な注文を付けないウロボロスが。正直俺たちにはグレート・レッドはどうでもよくてね。でも彼がやられるのは面倒なことになる。それにご機嫌取りに正直うんざりしていてね。それらに並行して「無限の存在は倒し得れるのか」という俺たち英雄派の超常の存在に挑む理念も試すいい機会だった。」
曹操の説明に、アザゼルは血を吐きながら言う。
「……見事だよ、無限の存在をこういう形で打倒するとはな。」
「打倒というのはちょっと違うかな。俺たち禍の団には力ある象徴が必要なのも事実だ。あれだけの連中を繋ぎ留めておくには、考えの読めない異質な龍神は不向きってだけですよ。」
「――これは誇っていいぜ。お前らは実に人間らしい。実に人間らしいえげつなく、いやらしいやり口だ。」
アザゼルの皮肉に、曹操は飄々と答える。
「総督からお褒め戴き恐悦至極。ええ、俺達は――人間ですよ。」
そう言うと曹操は禁手を解いた。
「いいのか? 彼らを打倒するまたとない機会だが。」
「それもいいけど、藪を突きたくはないよ、ゲオルグ。それよりも、サマエルが奪ったオーフィスの力はどこに転送した?」
「計画通り本部の研究施設。今頃は培養槽の中さ。」
「そうか、じゃあ俺は帰るかな。転送を頼む。君は例の場所へ。」
「わかった。」
そう言って曹操はゲオルグが作った転送陣の中に入るが、それをヴァーリが血を吐いて倒れそうになりながらも呼び止める。
「待て、曹操! なぜ俺たちを殺さない!? アーシア・アルジェントを女の異能を封じる七宝で封じればグレモリー眷属は詰んでいたというのに!」
「さっき言ったとおり、藪を突きたくなかったし、それじゃつまらないだろう? 君だってこういう相手を舐めるようなことはよくやってるじゃないか。兵藤一誠の時のように、ね。」
そう言うと曹操は聖槍の穂先をイッセーに向ける。
「赤龍帝の兵藤一誠。何年かかってもいいから俺と戦えるまでにはなっておくれよ。将来的に俺が神器の究極戦をやるのは君かヴァーリだと思っている。その時はぜひとも俺の前に立ちふさがってくれ。なにせ英雄が最後に挑むのは魔王か伝説のドラゴンと相場は決まっているからね。」
「俺かヴァーリ……重要なこと忘れてないか? こっちにはまだダイスケだっているんだぜ。そっちは怖くて無視すんのかよ。」
その言葉を聞いた曹操はおっと、と思い出したようにイッセーたちに教えた。
「そうだ、そうだ。君たちに伝えるのを忘れていた。さっき入った仲間からの知らせだ。宝田大助は――死んだよ。河内榛名に殺されて、ね。」
その言葉に、一同は衝撃を受ける。何よりも信じられない話だったからだ。
「……は? じょ、冗談言うなよ、お前。ダイスケが死んだ? 口から出まかせ言ってるんじゃねぇ!!」
「そうよ! 確かにダイスケは河内さんに対して鈍感だから一度痛い目にあった方がいい気がするとは思ったことはあるけれど、よりにもよって……河内さんに殺されるなんてありえないわ! 第一、彼女にはそんな異能はないし、ダイスケを大切に想っているあの娘がそんなことするわけない!」
イッセーとリアスが口々に否定するが、曹操は訂正する気はかけらもない。
「冗談でもないし、口から出まかせでもないんだな、これが。それにリアス・グレモリー、大切に想うからこそ傷つけてしまうということは人間にはあるのだよ。そして彼女、河内榛名には――俺たちから獣具を一つ送らせてもらった。京都の柳星張を覚えているかな? あの一件は彼女に対する仕込みに過ぎない。彼女はあの時から内に宿す歪みによって獣を育てていたんだよ。」
聖槍で肩を軽く叩きながら曹操は言う。
「そこのところを上手く突いたのがウチの道満って奴でね。彼女はそういったことをやるのが実にうまい。先祖の特徴を良く継承してくれているよ。そして宝田大助もオーフィスと同じく弱点というものを突かせてもらった――人間関係、というね。彼ならば身内に手を上げることはないだろうと踏んだがその通りだったそうだよ。そして、この俺の左手の力と同じ根源から生まれた『オキシジェン・デストロイヤー』というものによって彼は死んだんだよ。」
曹操の説明の一つ一つがダイスケの死という信じられない出来事に証左になっていく。何より説得力があった。
信じられない現実が彼らに重しとなってのしかかってくるさまを堪能した曹操はゲオルグに指示を飛ばす。
「じゃ、やってくれ。」
「ああ。それと、さっき入った情報だが……。」
そういってゲオルグは曹操に一枚の紙切れを渡す。それを一瞥した曹操は目を細めて言った。
「そうか、そうか。受けた恩をこうして返すのが旧魔王のやり方か。まあいい、協力はしてもらった。」
その様子から何か想定外のことが起きたことを感じさせるが、その内容まではわからない。
ゲオルグが先にいずこかへ転移した後、曹操の転移陣も輝きを強め始める。
「ハプニングが起きたわけだが、まあいい。一つゲームをしよう。もうすぐここにハーデスの命を受けた死神の一団が抜け殻のオーフィスを回収しにやってくる。その状態のオーフィスをハーデスに渡したらどうなるかはわからない。――さあ、オーフィスを死守しながらどうやってここから脱出するか、ぜひ挑戦してくれ。俺は二天龍には生き残ってはほしいが死神たちにそれを強制させる気はない。襲い掛かる脅威を乗り越えてこそ、俺に挑戦するチャンスがあるのだと俺は思うよ。」
そう言い残して、曹操の姿は陣の放つ光の向こうへ消えていった。
残されたイッセーたちにはただ、敗北感と喪失感が刻まれていった。
*
「見てきましたが駐車場に死神の一団が来ていました。相当な数です。」
「そうか。わかった、木場。ご苦労だったな。」
偵察に行った木場がアザゼルに報告する。
今一同はホテルのワンフロアに強固な結界を張って一時の休息に入っていた。何しろケガ人が続出のこの状況ですぐに動くことはできない。アーシアの治療が頼りだった。
とりあえず怪我した者の治療は済んだが、ヴァーリはいまだに苦痛に悩まされていた。原因はサマエルの呪いだ。この中で最も魔術に精通したルフェイでも解呪は不可能で、専門の治療が必要となっている状態だ。
メインの主力になりうるヴァーリが倒れているこの状況も危ういが、チームとしてはもっと危うい状況になっていた。禍の団全メンバーに「クーデターを企てたヴァーリチームがオーフィスをだまして自陣に加わえようとしたが、英雄派が無事救助。残ったヴァーリチームは即刻処断せよ」という通知が届いたのだ。
これまでヴァーリが好きにしていた分の付けが回ってきたということだろうが、本人たちはあまり気にしていないようである。
そんななか、「周囲を見て回る」と言っていたオーフィスが戻ってきた。そのオーフィスのアザゼルは問う。
「見てみてどうだった。」
「我、弱まった。今の我、全盛期の二天龍より二回り強い程度。」
「……確かに弱くなったな。だがまてよ。あいつら絞りかすって言ってたよな。それで二天龍より二回り強い程度っていうのは……。」
考え込むアザゼルに、オーフィスは一匹の『蛇』を見せる。
「我、サマエルに捕えられている間、こうして力を蛇にして逃がした。それ、さっき回収した。曹操、たぶん、気づいていない。」
「そうか、それでか!! なるほどね、力の一部は逃がしてそれを後から回収したんだから絞りかすと誤認するわな。英雄派め、オーフィスをなめすぎたな。」
「でも、ここから我、出られない。ここに、我をとらえる何か、ある。」
「そういえば、外に何かありましたね。ウロボロスを象った像のようなものが。死神達が囲んでいたので詳しく確認できませんでしたが。」
「それは多分、
それを踏まえたうえでどう動くか思案していたアザゼルがルフェイに問う。
「お前さん、黒歌と同様に空間に関する魔法に長けていたな。どうにかして外に助けを呼べないものか。それか、少人数づつだけでもここから脱出する方法とかないか。」
「あるにはありますが……黒歌さんが倒れた今だと、私一人では限界があります。それに一度に出られるのは術を行使する私以外には二人だけ。結界も強固になっているでしょうから、チャンスは一度きりでしょうね。」
それを聞いたアザゼルは「うーん」と考え込む。
「と、なるとオーフィス用の結界装置をなんとかして死神どもをうまいこと切り抜けないといかんな。しかし脱出しようにもオーフィスを置いていくのはまずいし、死神どもは厄介だ。」
「先生、死神ってそんなにヤバいんですか?」
イッセーが悩むアザゼルに問う。
「まあ、実力はお前たちのほうが上だろうがな。しかし、死神の鎌はダメージとともに対象の生命力を奪う。その形通り「命を刈り取る形」なんだ、死神の鎌は。斬られ続ければいくら頑強だろうといずれ寿命が尽きる。オーフィスもそれから死守せにゃならん。こいつをハーデスにやるのは事態のさらなる悪化を意味するからな。」
脱出困難な上数いる死神からオーフィスを死守しつつうまく脱出しなければならないという高難易度の状況を改めて言葉にすることでアザゼルはため息をつく。
「だが外に助けを呼ぶものは何人かいるな――イリナ、お前だけは先に行ってくれ。行ってサーゼクスと展開に英雄派の真意とハーデスの行いを伝えるんだ。」
「わ、わたしが、ですか!? で、でもそれなら客分のレイヴェルさんを先に逃がしたほうが――」
「いや、レイヴェル自身は自分を優先しなくともいいと言ってくれた。相性的にも不死のフェニックスの力は死神には有効だしな。いいか、お前はミカエルの
イリナ本人としては真っ先にこの場を離れることは不本意だろう。親友だっている。そして仲間思いだ。最後まで本当は一緒にいたいだろう。だが、イリナは自分のなすべきことを理解し、うなずいた。
「よし、護衛にはゼノヴィアを連れて行け。エクス・デュランダルはやられたが、芯のデュランダルは見たところ無事だ。結界の外で英雄派や死神がが待ち伏せしているということもありうるからな。」
「護衛、か。エクス・デュランダルを失った私にはそれしかできないだろうな。」
「落ち込むな。護衛も立派な務めだ。ついでに展開にデュランダルの修理も依頼しておけ。それに天界製の聖魔剣もそろそろ実戦配備できる頃だろう。そいつもひっさげてこい。」
「……了解。」
ゼノヴィアも承諾した。そこへルフェイが鞘に収まった長剣を差し出す。
「先に行かれるのでしたら、今ここでイリナさんたちにお渡ししたほうがいいでしょう。これは兄からの預かりものです。皆様にお渡しするように、と。」
「こ、これは! まさか
「おい、いいのか。アーサー・ペンドラゴンの得物だろうに。」
「いいんです。それの使いどころはフェンリルちゃんを制御するのでもうおしまいです。フェンリルちゃん以上の魔物もそういませんし、十分ですからね。ならば、本来あるべきところに戻すべきだ、と兄が言っていました。」
「あ、ありがとう、ルフェイさん! 英雄の子孫の人ってみんな怖い人ばっかりだと思ってたけど……アーサーさんみたいに理知的な人もいるんですね!」
「恐縮です。変人とは兄ともどもよく言われますが。さあ、別室へ。お二人用の術式を組まなければ。」
そういって三人は別室に移動していった。それを見送ったアザゼルは膝を叩く。
「よし、脱出計画を練り上げるぞ。オーフィスも含めて全員で脱出し、……ダイスケの安否をこの目で確かめることが目的だ。」
ということで曹操くんご満悦第一回なVS83でした。
そして次回本来あるはずのおっぱい祭りは多分直接描写はしません。だってひとり死んでるんでそんなテンションでもないというか。そこんところの空気考えたらあれは書けませんよ。
あ、あとアンケートも募集しております。詳しくは活動報告にて。
なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!