あと、今回からケツアゴさんの意見を導入して「」の中の最後の句点を入れないようにしてみました。ケツアゴさん、ご意見ありがとうございます。
木場が初代孫悟空から意見を聞いた後、彼はサーゼクス眷属を率いて
送り主はサーゼクスとアザゼル。内容は四大魔王の一柱、アジュカ・ベルゼブブの現在の居所だ。そして伝言は「イッセーの駒を見てもらえ」ということだった。
確かに転生システムを創造したアジュカならば駒を見ることで何かを情報をつかむことができるはずだ。うまくいけば、イッセーを蘇らせる方法が見つかるかもしれない。
木場はそうしてリアスたちを先導して深夜になった今は駒王町から電車で八駅ほどの距離がある市街地に来ていた。
よもやこれほど近い場所にアジュカが拠点を構えていることなど木場は夢にも思わなかった。そして、メモの住所が示すのは目の前の廃ビルである。
中に入ると、暗がりのロビーに何人かの人間の姿が見える。魔力を感じないからそうとわかるが、その全員が異能持ちの人間独特の空気を醸し出している。
そのうちの一人が木場たちに気づくと、無作法にも携帯を木場たちに向ける。
「……全員悪魔か。しかもなんだよ、この異常な『ランク』と『レベル』はよ……!」
男の言葉を聞いたロビーの人間たちはみな一様に同じく携帯を向けて険しい表情になる。
それを見て木場が思い至るのはアジュカが人間界で運営しているという『ゲーム』のことだ。趣味で運営しているらしいが、どうやら彼らが持つデバイスはそれにかかわるものでそれで正体がわかったのだろう。
だが、それにしても目立っている。アジュカを早めに探したほうがいいと木場が思った時、ロビーの奥から自分たちと同じ悪魔だとわかるスーツを着た女性が一人現れる。
「申し訳ありません。このフロアは私共が運営するゲームのロビーの一つになっておりまして……」
その女性は頭を下げて詫びた後、奥にあるエレベーターに手を向けて案内する。
「どうぞこちらへ。屋上でアジュカ様がお待ちです」
女性悪魔に案内されるままに一同はエレベーターに乗って屋上へ向かう。
通された屋上は緑化されていた。しかも木々が植えられているうえに水場まであるという徹底ぶりだ。
女性悪魔が下がっていった後、屋上に深夜の冷たい風が通り抜ける。唯一の光源である月光があたりを照らす中、庭園におかれたテーブルと椅子があり、その男はその椅子に座っていた。。
「やあ、話は聞いているよ、グレモリー眷属。相変わらず大変な目に巻き込まれたようだね」
この男が現四大魔王の一柱、アジュカ・ベルゼブブである。そのアジュカにリアスが歩み寄る。
「夜分遅くに申し訳ありません。どうしても早急に見ていただきたいものが――」
「いや、すまないがそれは少し後になりそうだ。君たちとは別の、厄介な来客だよ」
そうアジュカが言うと、庭園の一角に転移用魔方陣が浮かび上がる。そこから現れたのは悪魔の一団だ。
「人間界のこのようなところにいるとはな、偽りのベルゼブブよ」
「その口調だけで何者かわかるのが魅力的だと思うよ、旧魔王派の諸君」
苦笑するアジュカと、一気に警戒態勢を取るリアスたち。すると、もう一人別口で現れる。
「いやあ、すいません彼らだけでなく、僕もいるんですよ」
そういって現れるのは英雄派のジークフリードだ。
彼はリアスたちを一瞥すると、すぐにアジュカに向き直る。その興味なさげな態度に木場は怒りを覚えるが、それを懸命に抑え込む。だが、後方で朱乃達の殺気が危険なほど上がったのを感じる。
「彼を……殺した、者たち……ッ!」
実際に決定打を打ったのはシャルバだが、それでもイッセーに手をかけた者達の一員であるという事実には変わらない。それを忘れるほど気落ちはしていないということだろう。
ただ一人、気性が大人しいアーシアだけがイッセーの死の理不尽さに嘆き悲しみ、涙を流すくらいだ。
「はじめましてアジュカ・ベルゼブブ。英雄派のジークフリードといいます。こちらの方々は英雄派に協力してくださっている旧魔王派の方々です」
現状は旧魔王派が英雄派を出し抜いたせいで敵対関係になっているはずだったが、どうやらそれとは別口もいるらしい。
「君のことは知っているよ、ジークフリード君。教会のエクソシストの中でも危険度ランキングに常に上位だったよ、君は。
テーブルの上で腕を組み、アジュカは問う。ジークフリードはともかく、ほかの旧魔王派の悪魔たちはその態度に怒りと苛立ちをあらわにしている。何か一言でも自分たちへの不敬を口にすればすぐさまとびかかる算段なのだろう。
もちろん、アジュカはそれを認識しているだろう。認識したうえでこの態度と余裕なのだ。
「要件は以前から打診していたことです。――我々と組みませんか、アジュカ・ベルゼブブ」
その言葉に、リアスたちは驚愕した。まさか仇敵ともいえる相手を組み込もうとするとは。特に旧魔王はそうだ。空気からして、悪魔全体ではなくアジュカ個人との同盟だろう。だが、いくら個人に対する同盟といえどもそうそう飲めるものではないはず。それがなぜこのような打診をしてきたのか。
「あなたは現四大魔王の一員でありながらサーゼクス・ルシファーとは違う思想を持ち、独自の権限も有する。そしてその異能に関する技術と研究は他を圧倒し、超越している。ちょっと声をかけるだけでサーゼクス派の議員数に匹敵する協力者も得られるというではありませんか」
現冥界政府は四大魔王に対応してそれぞれの派閥、つまり四つの派閥に議会はわかれている。その中で最も多いのがサーゼクスの派閥でそれに次ぐのがアジュカの派閥だ。
この二つの派閥は対局で見れば現政府の維持の名目で協力してはいるが、細かい政局では対立している部分があり、ニュースでも取りざたされている。特に目立つのは技術体系による意見の対立だ。
「うん、確かに俺は現魔王でありながら個人的な嗜好で動いている。サーゼクスの求めも言いつけも尽く破ったり撥ねつけたりしている。傍から見れば俺とサーゼクスが対立しているように見えるだろうさ」
「でしょう。だが、われわれが一番魅力に見えるのは、あなたがサーゼクス・ルシファーに唯一対抗できる悪魔の中のたった三人の『超越者』の一人であるからだ。そう、あなたほどの実力者が加わってくれるのならこれ以上心強い戦力はない」
ジークフリードの言葉を聞いて、アジュカはおもしろげに微笑する。
「なるほど、俺がテロリストになって、サーゼクスと敵対するのも面白いかもな。あの男の驚くさまを見るだけでも一考する価値はある」
「無論、こちらも有している情報と技術を提供しましょう。神器技術のみならず、こちらが有する
「ほほう、禍の団の技術のみならず
ジークフリードの甘言にうんうんとうなずくアジュカ。このままでは「では君たちに協力しよう」といわん傍からばかりだ。不安げに見るリアスたちをよそ目にアジュカは一度瞑目し、言った。
「――だが、いらないな。確かに魅力的な条件だが、君たちそのものは否定しなければならないのでね」
拒絶の意思を聞いてもジークフリードは顔色を変えなかった。もちろんその代わりに旧魔王派の悪魔たちは一層敵意を濃厚にしたが。
「詳しく事細かに聞きたいが、ここは簡潔にいきましょうか――なぜです?」
「俺が趣味に没頭できるのはサーゼクスが俺の意思をすべて汲んでくれるからだ。彼――いや、あいつとは長い付き合いでね、俺が唯一友と呼べる存在なんだ。だからあいつの事は誰よりも知っているし、あいつも俺の事をよく知ってくれている。あいつが魔王になったから、俺も魔王になっているにすぎないのさ。俺とサーゼクスの関係というのは、つまりそういうことだ」
アジュカとサーゼクスの交友の深さは木場も聞き及んでいるところだ。もちろん、木場たちが生まれるずっと前からのことだ。その時間が形成した絆というものは二人にしか理解できないのだろうが、いかに深くて強いものなのかは想像に難くない。
そこをジークフリードたちは見抜けなかったということだ。それがいかに確固たるもので、かつ魅力的な打診すらもはねのけられるものであったということだ。
「そうですか。『友達だから』、僕に理解できないが、そういうのが断る理由になるということはわかるよ」
ジークフリードは冷静に納得した様子であったが、旧魔王派の悪魔たちは色めき立っている。
「言ったろうが!! この男は! この男とサーゼクスは独善で冥界をしているのだと!」
「このような個人的感傷で動く者をいつまでも魔王にはしておけん!!」
「今こそ大義名分は得たり!! 忌々しき偽りの魔王め! 我ら真なる魔王の遺志を受け継ぐものが貴様を消し去ってくれるわ!!」
怨嗟に満ちた旧魔王派の悪魔たちの言葉を受けるが、アジュカはただ苦笑するだけだ。
「いかにもな三流の悪役のセリフだ。まさかとは思うが、あなた方は似たようなことをほかの現魔王関係者に言っているのかな? 怨念に彩られた言動には華もなければ興もない。つまり、つまらないということだな」
アジュカにきっぱりと切り捨てられら旧魔王派の悪魔たちはより一層怒りの色を濃くする。
「我らをそうも愚弄するか、アジュカッ!!」
一触即発。いや、すでに戦闘開始といっていいだろう。衝撃に備えて身を守るためにリアスたちは防御態勢を取るが、アジュカはただ、テーブルの上で組まれていた手を解くだけ。
そして片手を前に突き出して小さな魔方陣を展開させた。
「言っても無駄だとはわかっているさ。仕方がない、俺も久しぶりに魔王らしい仕事をするか――あなた方を消すことでね」
「「「「ふざけるなッ!!」」」」
旧魔王派の悪魔たちから放たれた膨大な数と強烈な威力の魔力の砲撃。それらはアジュカにむかって殺到する。
それに対し、アジュカのすることは手元の魔方陣に記された数式と文字を少しばかりいじるだけ。あわやアジュカに攻撃が直撃すると思った瞬間、攻撃はすべてあらぬ方向へ飛んでいく。
旧魔王派の悪魔たちはその光景に驚愕するが、アジュカはただ椅子に座るだけ。
「俺の『
怒りの表情から戦慄の顔に一転した旧魔王派の悪魔たち。それらに対しアジュカは淡々と語る。
「俺から言わせればこの世の異能や現象は大概法則性があってね。数式や方程式を当てはめることで操ることができる。俺は幼いころから数学好きでね、自然と魔力もそっちの方向に成長した。だから――こういうこともできる」
すると、四方八方に飛んで行った魔力の砲弾が軌道を変え、さらに散弾上に形を変えて旧魔王派の悪魔たちに襲い掛かる。
逃げる暇も、余裕もなかった。一発一発の威力は彼らが放った時よりも向上しているようにも見えた。アジュカは己の魔力で、敵の攻撃の方向と形状、さらに威力までもコントロールしきっているのだ。
すべては一瞬で片が付いた。旧魔王派の悪魔たちは全員無念の言葉を呟くことも許されなかった。アジュカは多数の旧魔王派の悪魔たちを完全な実力も見せず、あまつさえ椅子に座っただけで一掃してしまった。
「さて、残るは君だけだが……どうする?」
問われたジークフリードは、ただ肩をすくめるだけである。
「まだ切り札は残っているのでね、撤退はそれを使ってみてからかな」
「ほう、それは興味深い。だが――」
不意にアジュカは木場に視線を向ける。
「そちらのグレモリーの
アジュカはずっと木場のことを気にかけていたようだった。そしてアジュカはジークフリードを指さして言う。
「どうだろう、彼は君が相手をしては? お互い面識もあるようだし、このビルと庭園は私が特別に強化してある。多少暴れても崩壊はしないよ」
願ってもない申し出だった。木場は一歩前に出る。
「……祐斗?」
木場の行動に、リアスは訝しげに尋ねる。
「……すいません、部長。僕はいきます。もしも、一緒に戦ってくださるのであれば、その時はよろしくお願いします」
それだけ言うと、木場は聖魔剣を一振り生み出し、手にしてジークフリードに向っていった。
*
夜の駒王町。ダイスケの家ではマリーが一人で家財道具の一式をまとめていた。万が一に備え、リアスたちに片づけてもらうためである。
向こうでの戦いの準備はすでにほぼ整った。あとはともに戦うMMSとどう動くか話をまとめるだけだ。一通り片づけ終えると、冥界でエリーと合流するために転移魔方陣の準備を庭でする。すると、河内家の玄関に灯りが燈っているのに気付いた。
気になってのぞいてみると、霧香が玄関で一人たたずんでいるのが見える。気になってマリーは彼女に近づいて話しかけることにした。
「キリカ、どうしたの?」
マリーが近づいてきたことに気付いた霧香はハッとなってマリーに駆け寄る。
「マリアさん、大変なの! 姉が……榛名が帰ってきていないの! お父さんとお母さんに言ってもなんだか認識できていないみたいだし、警察に連絡しようにもその必要はないって……私一人でいそうなところをあちこち探してみたけどいなくって、携帯で連絡しても全然でないの! ダイスケさんや義人さんにも相談しようと思っても連絡がつかないし、私いったいどうしたら……」
霧香が助けを求めるようにマリーに縋り付く。
失念していた。身内がいなくなれば家族が捜そうとするのは当然。両親のほうにはおそらく榛名の協力者が認識阻害の術をかけていたのだろうが、霧香にはかけ忘れたのか、それともチャンスがなかったらしい。
それで方々を駆けずり回って一人で姉を探し回っていたようだ。
当然のことながら榛名が何をしていなくなったのか、言えようはずもない。
「そ、それは――」
言葉に詰まるマリー。どう言っていいのかわからなかった。しばらく考える。エリーだったら、ダイスケだったらこの場でなんというのか――
「キリカ、あのね、今とても大変なことになっているの。詳しくは事情が複雑すぎて言えないけれど……私とお姉さまなら何とかできるかもしれない」
「榛名がどこにいるか知っているの? なら私も――」
「だめ。それはだめ」
「どうして? 自分の姉が行方不明なのよ」
詰め寄る霧香。その圧に押され、マリーは若干たじろぐ。だが、ここで折れてはいけない。
「これはね、ものすごく危険なことなの。でも、私とお姉さまにはそれを切りぬけられるだけの
「……信じる。でもお願い。何があるのかわからないけれど……みんな無事で帰ってきて。それが、ここで私が大人しく引くための条件」
「うん……約束する。」
マリーがそう約することで霧香は玄関の奥へ消えていった。そして、玄関の電気が消える。
――嘘を、ついてしまった。
マリーは一人後悔する。本当のところ自分も、エリーも、榛名も五体無事で帰ってこれる約束はできない。だが、霧香にはこう言う他なかった。
だからこそ、誓う。必ずここに帰ってくるのだ、その気概で挑まなければならないのだ、と――
*
深夜の八王子の特自駐屯基地。深夜であるにもかかわらず人が慌ただしく動いている。コンテナの搬出らしいがどうも様子が違う。
その様子を見守るのは特自の権藤五郎一佐と、グリゴリの幹部の一人サハリエルだ。
「まったく、初の実戦投入が冥界、それも操縦士は本職自衛官じゃなくて堕天使ってのがなぁ……」
「それに関しては問題ないのだ。人間界では表ざたにはならないし、シュミレーションでの訓練もやったからね」
そういって見つめる先には特自の時期採用兵器が並んでいる。その名も、機動戦闘服ジャガー。原産はイギリスのジャガーU.K.、その発展型の米国仕様のジャガーU.S.に続く目の前の現物が日本仕様のジャガーJだ。
主目的は災害救助だが、両腕のハードポイントに備えられる武装で中型怪獣との近接格闘戦もこなせるという強化外骨格、すなわちパワードスーツである。
見た目は船の船首部分を切り取ってそこに細い腕と遡行性の歩行ユニットをとりつけたという形で、お世辞にも完全な人型とは言いづらい。それでもその走破性と機動力は機動総輪車や戦車を上回り、さらに最低限の火力の確保もできているという優れものだ。
「しかしいいのかい? 確かこの国は武器の輸出は認めれていないんじゃなかったかな。いかに特殊なものであろうともこれはいいの?」
サハリエルの問いに、権藤は不敵な笑みで答える。
「武器の輸出? 違うね、これは重機だ。こいつに固定武装は一切ない。それを取り外しちまえばこいつは立派な重機に早変わりだ――ってのをどっかのライトノベルでやってたぜ」
――屁理屈のこね方が実に
「名目上は『特殊環境下におけるオペレーション事項のテスト』でおたくらに
「それは当然。これを設計した異星人の『ビルサルド』が情報共有してくれたんだな。そしてうちの技術力と生産力なら武装だけならあっという間に備えられるんだな。これで対
「なかなかのお人好しでな。「ともにこの世で生きる仲間を、見捨てることはできない。我々はそれを見捨てる臆病者ではない」ってね。まあ、そういう人だから、いろいろと任せられるんだけどよ」
「その言葉を聞いて安心したんだな。人間の側がそういう風にしてくれるなら、こっちも安心して背中を預けられるんだな。」
「ま、せいぜいこいつで暴れまわってくれ。――がんばれ、ジャガーJ」
ということでまさかの登場ジャガーJなVS86でした。
それはそれとしてもうそろそろUA数が95000に達します。もうちょっとで100000も見えてきました。それもこれも応援していただいている皆様のおかげです。
あとアンケートも募集しております。詳しくは活動報告にて。
なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!