ハイスクールD×G 《ReBoot》   作:オンタイセウ

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 令和になって一発目、めっちゃ難産でした。っていうか、これ以降ずっと難産で帝王切開が続くと思います。
 むしろ投降できないと思います。なぜなら……今日から艦これのイベントが……。


VS87  ドゴラ

 サーゼクスが用意したウパルに近い近郊の都市の古城の一室に、エリー達はいた。広い会議室の中にある机には今回のエリーの弔い合戦に参加する者たちの姿があった。

 

「今回の私たちの呼びかけに応じてもらった事に対して、まずはお礼は言わせてください。わがままに付き合ってくれて、本当にありがとう」

 

 まずはマサノ姉妹。彼女たちは上座に陣取る。今回の攻撃に中心にして発起人である。

 

「礼など必要ない。MMSのリーダーとして、今回声をかけてくれたことにこちらこそ礼を言わせてほしい。――久々に派手に暴れ回れるいい機会だ。こいつらにもいいガス抜きになる、というかいい加減働かせないとな。」

 

 次にMMSの面々が並ぶ。このメンバーは今回はメインの戦力になる。

 

「彼を想う同士なら、礼なんて必要ないわ。気持ちはあなたと一緒よ」

 

 そう言うのはアスガルド代表としてウパル奪還に挑むという名目上派遣されたスルーズだ。

 

「ほんとうなら生きている間にしてあげたかったのですが……京都での借りを返すこれ以上ない機会です。豪獣鬼(バンダースナッチ)一体を魏怒羅と婆羅護吽に任せることになりますが、ここは彼らの厚意を素直に受け取ります」

 

「ダイスケとの再マッチを奪われたというのもあるが、ダイスケをも降し、レーティングゲームの二位と三位を退けたという実力も気になるからな。戦闘神を名乗るものとしてはここは参加せねばらなんだろう」

 

 同じく日本神話勢代表という名目でウパル奪還というお題目に派遣されたヒオとマナ。以上、11人が今回集ったメンバーである。

 

「では、ジョンさん。状況の説明をお願いします」

 

「了解した」

 

 そう言ってジョンは立ち上がり、皆が囲む円形テーブルに搭載された三次元ホログラフィックモニターを起動させる。そこには立体的に示された現在のウパルの状況が映し出されていた。

 

「現在ウパルは河内榛名によって完全にゴーストタウンと化している。湾を望むように立地している冥界メイン通信用アンテナタワーを中心に、半径5㎞にわたる範囲を結晶体で覆い尽くしている」

 

 ジョンの言葉を裏付けるようにホログラム映像の中のウパルの中心地は結晶体に覆い尽くされていた。

 

「この結晶体間には強力なエネルギーが常に放出されており、その出力は下級悪魔クラスなら一撃で消滅してしまうほどだ。そして先日、レーティングゲームの二位と三位が攻撃を実行したが返り討ちに遭った。おそらく強力な電磁波によって魔力結合が阻害されたものだと考えられる」

 

 そう言いながらジョンは空中で手を動かして映像を動かす。

 

「攻撃方法も多岐に渡る。両掌から稲妻状の光線を放ち、両肩の巨大な結晶体からもエネルギー波を放っている。フィールド内に生えている結晶体をミサイルのように飛ばしてくる上、あらゆる攻撃を阻む障壁に念動波らしき攻撃もしてくる。これらを完全に防ぎきるのは困難だろう。記録映像から見ても対空迎撃能力も高い」

 

 空中に投影されているロイガン・ベルフェゴール眷属とビィディゼ・アドバン眷属の戦いの様子を見た一堂は渋い顔になる。そこに記録されている戦闘力はまさに圧巻。これが何の戦闘訓練も受けていない元一般人のなせることなのかと息をのむ。

 

「今回の作戦実行に当たり、まず考えなければならないのはいかにこの攻撃をかいくぐり、本体に肉薄して攻撃するかを考察することが必要になってくる。皆あらゆる観点から忌憚なく意見を言ってほしい。何しろ時間がない。河内榛名が実行しようとしていることにタイムリミットは残り一日ほどしかない」

 

 榛名はダイスケの体液を自分の体内に注ぎ込むことで文字通りの一体化を図ろうとしている。今すぐにそれをしないのはダイスケの肉体を溶かしたオキシジェン・デストロイヤーの減退時間があるからというだけのこと。そのタイムリミットが過ぎればすべて取り返しがつかないことになる。

 

「それに冥界政府の方でも事態解決に頭を抱えているらしい。なにせ冥界経済と通信の一角を担う重要拠点だ。超獣鬼(ジャバウォック)という別の脅威も存在する現在、これ以上のダメージを避けたいところだからな」

 

「二つの意味でせっつかれているって訳か……」

 

 マイロンの言葉にジョンは「そうだ」と返す。

 

「だが冥界の方もただ俺たちに全責任を押しつけようとしているわけではない。大公アガレス家の次期当主から内々に支援の申し出があった。これを見てほしい」

 

 そう言うジョンは一つのメッセージ映像を流す。それはシーグヴァイラからのビデオレターであった。

 

『ウパル奪還に向かう皆様、シーグヴァイラ・アガレスです。今回は本当ならば私も同好の士(ソウルフレンド)の敵討ちに同行したいところですが、私の立場上どうしても豪獣鬼(バンダースナッチ)対策にでなければなりません。そこで、というには心ばかりのものですが、皆様に支援物資をお送りしたいと思います。是非とも活用してください』

 

 ビデオレターが短く終了すると、各員の前にあるモニターにその()()()()の概要が表示される。

 手元の操作パネルで各員の前に映されたシーグヴァイラからの支援物資の内容を見た一堂は唖然とした。

 

「おいおい……」

 

「マジでこんなもん作ったのかよ!?」

 

「ロボット好きとは聞いていたし、感謝しますけどさすがにこれは引きマース……」

 

 全員が全員それぞれにシーグヴァイラとこれを作ったという堕天使陣営に引き倒している。その様子にジョンはこう言う。

 

「まあ気持ちはわかる。俺も正直実用性があるのか疑問だが、それでもいまのこの状況ではありがたい支援だ。ではこれ運用も頭に入れた上で作戦を立案していこう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖魔剣と六振りの魔剣と光剣がぶつかり合って火花を散らす中、木場はあることを思い出していた。

 イッセーとの約束である。

 イッセーはあるとき、ふいにこう言った。

 

――なあ木場。俺とお前、もしどちらかが死んじまったら、その分みんなのために戦うって約束し合わないか?

 

 当然、木場は何を言っているのかと思った。そういうことはどちらも生き残ってこそであり、最初から生存をあきらめるようなものではないと答えた。

 だが、イッセーはこれまで起きた数多くの死線から、いずれ誰かが死んでしまうのではないかと不安に感じていた。だからこそ、そういったときにもしもなった場合に心を奮い立たせるためにこうした約束が必要になるいのではないか、と考えていた。

 もちろん死ぬつもりは毛頭ないし、お互いにどちらかが死ぬと考えるのは嫌だったがそれでも、と約束した。

 それなのに、イッセーは帰ってこなかった。

 だから木場は折れそうな心を必死に誤魔化しながら心が俺切った仲間を今日まで支えてきた。そう約束したからだ。だが、もうそろそろ限界だ。ジークフリードの顔を見た瞬間から、胸の奥から黒いモノが湧き出てきて止まらない。

 鍔迫り合いの中、木場はその怨嗟の念をジークフリードに向けて吐露した。

 

「君には悪いが、僕のこの抑えられない激情をぶつけさせてもらう。貴方方のくだらない計画とやらのせいで僕の無二の親友は帰ってこなかったんだ。――あなたが死ぬのには、それだけで十分すぎる理由だッ!!」

 

「いい殺気だよ。前に戦った時とは比べ物にならない。おもしろい、ならば敵討ちを果たせるものなら果たして見せろ、赤龍帝の無二の友の騎士(ナイト)くん!」

 

 ジークフリードの六本の腕に力がみなぎって木場をはじく。離れた距離を詰めながら木場は聖魔剣の属性を龍殺し(ドラゴンスレイヤー)に変えて再び斬りかかる。

 龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の一太刀が浴びせられるが、ジークフリードはやすやすと一振りの魔剣だけでそれを受けきる。

 そこで木場は聖魔剣を右手だけで支えて左手に龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の短剣を生み出してそれを投擲した。しかし、それはジークフリードの背中から延びる透明な触手によってはじかれる。

 

「いい不意打ちだ。だが、龍殺し(ドラゴンスレイヤー)とわかっているなら阿修羅と魔龍の宴(カオスエッジ・アスラ・ヴィレッジ)とは別に生やした宇宙触腕獣の透明触手(ドゴラ・インビジブル・ハンド)で受ければいいだけだ」

 

 不意打ちが失敗したことで木場は体勢を立て直すためにいったん距離を取る。それを見たジークフリードは目を細めて何かを考えているようだった。

 

「……これは君に勝ったとしても深手は逃れないな。それぐらい君は強くなっている。たとえ勝っても、そのあとにリアス・グレモリーなり姫島朱乃にやられれば僕は確実に死ぬ。このまま逃げても悪くはないんだけど、アジュカ・ベルゼブブとの交渉が決裂した上におめおめと逃げ帰ってきたなんて知られたらヘラクレスやジャンヌあたりに笑われる。それだけはいやだ」

 

 そういいながら、ジークフリードは拳銃のようなものを懐から取り出した。いや、これはピストル型の注射器だろうか。

 

「僕は本当に恵まれているのかそうでないのかわからない。なにせドラゴン系の神器をその身に宿しながら、強力な龍殺し(ドラゴンスレイヤー)たるグラムに選ばれたという皮肉な存在だ。せっかくの力をその身に宿した力のせいで全力が揮えない。でも、もしもそれを可能にすることができるなら? 膨大な犠牲とデータの蓄積の上、真の魔王の血を受け継ぐ者の協力で何が得られるのか」

 

「魔王の、血……? まさか、それは!」 

 

「察しがいいね、木場祐斗。そう、これはいわゆるドーピング剤さ。魔王、それも真の血統の血を聖書の神が作った神聖なる神器に与えるというコンセプトで生まれた。神聖なる器物と深淵の魔性の結合。あのシャルバの血でできたものを自分の体内に入れるっていうのはちょっと気が引けるけど、この場合は致し方ない」

 

 そう言ってジークフリードは己の首筋に注射器の針を突き立て、引き金を引く。

 変化はすぐに起きた。血管が不気味に浮き出て脈動したかと思うと、肉体がミチミチと音を立てて肥大化していく。

 全身の筋肉がこれでもかと膨れ上がり、体躯が一回りも二回りも大きくなっていく。その姿は六本腕の鬼のようで、擬人化した蜘蛛の怪人のようにも見える。

 身にまとっていた英雄派の制服は破れ、放たれるプレッシャーと不気味なオーラは尋常ではなかった。

 

『――『業魔人(カオス・ブレイク)』、この形態を僕たちはそう呼称している。薬のほうは『魔人化(カオス・ドライブ)』と呼んでいるんだよ』

 

 声までも低く変質してしまっている様に、木場は嫌悪感を感じた。逆にそれを見て感心しているのはアジュカだ。

 

「素晴らしい。人間という存在は時にその欲望から天使や悪魔をも超える。やはり人間こそ可能性の塊だ」

 

 だからこそ、人間には異形の存在は隠さなければならない。異星人の技術を裏で有しているとはいってもそれでも異星人側が制限している。もしも両方を無際限に使うとするとしたら、その時人はとてつもない怪物を生み出してしまうだろう。それこそゴジラのような、である。

 魔人と化したジークフリードが一歩前に出る。それだけで庭園の空気が震え、瘴気が渦巻く。その空気を纏って魔剣と一体化した豪腕が振るわれる。

 一瞬早く反応した木場はすぐに回避行動をとる。すると、先ほどまで木場がいた場所が氷の柱で貫かれ、空間に裂け目までできている。各魔剣の能力の相乗効果だ。もしも一瞬でも判断が遅れていたら文字通り木場は粉々になっていたはずだ。

 しかし、即座に寒気を感じる。ジークフリードがグラムを構えているからだ。すぐさま禁手を切り替えて木場は龍騎士を一体生み出してそれを蹴ってその反動で飛び上がる。次の瞬間にはバカのような極大のオーラの奔流が龍騎士を飲み込む。

 それでもその余波だけで木場の肉体はダメージを受けてしまった。しかし、木場は急降下し、禁手を聖魔剣に切り替えてジークフリードに斬りかかる。

 

「ならせめて手の内の一つだけでも潰す!!」

 

 当然受け止められてしまうが、受けたのは光の剣。木場はすぐさま鍔競り合う聖魔剣を光を喰う聖魔剣に代えてこれを消滅させる。ここまでは計算通りだった。

 木場の目論見通り手の内の一つは消すことができた。しかし、残りはどうしようもない。しかも、ジークフリードの武器はこれだけではない。

 

『ほう、獣具(こちら)の方も強化されたか』

 

 ジークフリードの背中から透明な数本の触腕が伸びる。その太さは以前の倍、強さとしなやかさも併せ持っている。その触腕が木場の胴体に絡みつき、一気に引っ張る。

 そして始まるのは鉄橋をも持ち上げる力を有する触腕の殴打。もちろん痛めつけるのが目的であるからその力は加減されているが、もとより華奢な木場は一撃目で意識を刈り取られた。だが、四撃目の衝撃でなんとか意識を取り戻す。

 

(こ、これはまずい! でも、いまは()()()は繰り出すことはできないっ!)

 

 実は木場は、というよりリアス達はこのジークフリードの持つ獣具、宇宙触腕獣の透明触手(ドゴラ・インビジブル・ハンド)に対する最高のメタを張る事ができる。すでにその方法も習得済みだ。

 だが、今の状態ではとてもではないがそれを繰り出すチャンスとタイミングを作り出すことができない。

 すると、触腕で嬲るのに飽きたのか、ジークフリードは木場の肉体を空中で解放する。

 

『では次はこいつで遊ぼうか!』

 

 触腕を格納し、自らの六本の腕に一体化した魔剣達を今度は使う。

 各魔剣の攻撃が生む能力の相乗効果で木場の肉体はさらに少しづつ、しかし確実にダメージを蓄積させられていく。

 その連続攻撃の締めとして、五振りの魔剣がまとめて木場の胸一点を狙って繰り出される。それを木場は紙一重でよけ、爪先に生じさせた龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の刃を蹴りとともに突き立てる。

 しかし、その刃は儚くも砕け散る。

 

『なるほど、この肉体の強度は君の聖魔剣以上、か』

 

 驚愕する木場。その振り上げられたままの足を、ジークフリードは空いている手で掴む。そして、木場は浮遊感を感じた。もちろん次に感じるのは衝撃。地面に体を叩きつけられたのだ。

 激しくバウンドする木場の肉体。しかし、その隙に木場拘束から逃れて距離を取る。痛みに耐えながらも態勢を整えようとした瞬間、木場は自分の足が固定されているのに気付く。ジークフリードの魔剣の一つ、ダインスレイヴの能力だ。

 急いで炎の聖魔剣を生み出してその炎熱で氷を解かそうとするが、それよりも早く氷の杭が木場の足を地面から突き刺して固定してしまう。

 そして大振りに構えられるグラム。木場は急いで幅広の聖魔剣を自分の前にいくつも生み出し、それを盾にして左手で支える。しかし、放たれたグラムの斬撃は木場の左腕を盾にした聖魔剣ごと切り裂いた。

 何とか炎の聖魔剣で足元の氷を破壊し、飛びのいた木場。そして、左腕の傷口を氷の聖魔剣でふさぐ。応急処置だが、何もしないよりはマシ、という程度だ。しかも足をやられた。これでは自慢のスピードで動けない。

 

「祐斗……!」

 

 惨状を前に、リアスは縋るようにイッセーの駒を握るだけ。ほかの面々も動けない。

 

「……木場さんまで、死んでしまう……もう、こんなの……こんなのいや……!」

 

 アーシアがそういいながらも木場に向けて回復のオーラを放つが、オーラと神器の力の発揮はその者の精神状態に深くかかわる。放たれる回復の力は当然弱々しく、機能するようには見えない。

 何とかリアスと朱乃が攻撃を加えるが、ジークフリードの肉体には傷一つつかない。小猫の纏う闘気も弱々しく、レイヴェルの不死鳥の炎の翼にも勢いがない。その自分たちの今の状態に、彼女たち自身が強いショックを受ける。

 その無様としか形容できない彼女らの姿を見たジークフリードは吐き捨てるように言う。

 

『これは酷い。三日前戦った者たちと同一人物には見えない。木場祐斗との戦いに乱入でもしてくる他と期待していたが、まさかここまで影響があるとはね』

 

 言い返せない。誰も、否定もできない。そこへ追い打ちをかける言葉をジークフリードは放った。

 

『これでは兵藤一誠は無駄死に、だね』

 

 その言葉を聞いた木場は目を見開く。

 

『おっと、木場祐斗。否定したいのかな? だが事実そうだろう。出がらしのオーフィスのためにシャルバと相討ちになったんだろう。あれ以来シャルバの気配がないからね。生きていれば今の冥界の状況を見て大喜びしているだろう。兵藤一誠はオーフィスとシャルバを放っておくべきだったんだ。シャルバが力を失ったとはいえオーフィスをどうこうできやしない。後でどうにでもできたんだ。自分の後先を考えずに行動し、味方にこれだけの悪影響を与えるとは……だからあえてもう一度僕は言う。――兵藤一誠は無駄死にだ』

 

 木場は言葉が出てこなかった。それにとどまらず思考が一気に真っ白に染め上がった。そして言葉の代わりに喉奥からドス黒いモノが湧き上がってくる。

 このジークフリード言う者は兵藤一誠という男のことを理解していない。そんな男が兵藤一誠を語ってはならない、語らせてはならない。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

 腕に受けた傷や全身に受けたダメージで本来力は入らない。だが、それでも木場祐斗は前に進んでいかなければならなかった。

 

「僕はまだ戦える! 僕は立たなければならない! あの男、兵藤一誠のように!」

 

 その言葉通り、木場は足をふらつかせながらも立ち上がり、ジークフリードに向けて一歩一歩、弱々しくあるがだが確実に歩を進めていく。

 

「グレモリー眷属の兵藤一誠はどんな相手にだって決して臆せず立ち向かった!! それを……それを……っ!」

 

 強い眼光でジークフリードを睨み付けると、木場は言い放った。

 

「赤龍帝はあなたがけなしていい男じゃないっ!! 僕の親友を……馬鹿にするなぁッ!!」

 

『無駄だよ。いくら赤龍帝にようにやろうとも機にはベースが人間であるという弱みがある。唯の人間からの転生者では、いかに才あろうとも、肉体はついて行かないぞ』

 

 木場は十分承知していた。だが、それでも前に進もうとする。

 その時だった。リアスの持つイッセーの駒の一つが木場に向けて輝きを放ちながら飛んでいく。木場の現前で駒が静止すると、より一層強い輝きを駒は放った。

 光が止んだ後に残ったのは一振りの聖剣――アスカロンだった。そして、声が聞こえた。

 

――いこうぜ、ダチ公。

 

 言葉が、でなかった。ただ、うれしかった。

 たとえさっきの声が幻聴であろうとも、目の前にアスカロンがあることは事実。涙を振り払い、木場はアスカロンを手にする。

 

「そうだね、イッセーくん。いこう! 君となら、僕はどこまでも強くなれるんだから! 君が力を貸してくれるのなら――僕はどんなもでも切り刻められる!!」

 

 そして木場は手にしたアスカロンで目の前で起きた現象を信じられないジークフリードに斬りかかる。狼狽するジークフリードは受け入れられずにいる。

 

『ば、馬鹿なッ! まだ立つのか!? あれだけ失血すればその足だって動かなくなるはずと言うのに……!』

 

「ああ、痛いよ。正直立っていられないくらい痛いさ。でも、立てってさ。この剣を通してイッセーくんが無茶言うんだよ。だったら……やらなくちゃぁいけないじゃないか!!」

 

 アスカロンの刀身から莫大な龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖なるオーラは吹き出す。そして、それはジークフリードに影響を与えた。

 

『なんだ、この肉体の反応は! これはまるで僕が禁手でグラムを扱おうとしたときの……だがこの肉体は龍殺し(ドラゴンスレイヤー)に反応している……まさか、これは!!』

 

「どうやらアスカロンの龍殺し(ドラゴンスレイヤー)にやられたようだね。今のその肉体がいくらグラムに対応していようとも、アスカロンはあくまでも別物か!」

 

 いける。木場がそう判断したその時だった。グラムが妖しい光を放っている。何かをする帰化と木場は警戒して一歩引くが、それはジークフリードが意図して起こしたものではなかった。

 グラムから放たれる妖しい光が木場に向けて放たれる。それは木場をどうこうしようというものではなく、純粋に彼を受け入れる者であるかのようだった。

 

『そんな! グラムが木場祐斗に呼応している!? これは――魔人化(カオス・ブレイク)の弊害だとでも言うのか!?』

 

 どうやらグラムはこの土壇場で持ち主を選び直したようである。それも今の持ち主に相対する敵に、だ。

 

「ならば来い、グラム! 僕を選ぶというのなら、僕は君を受け入れよう!!」

 

 その言葉を受けてグラムはジークフリードの手を焼いて離れ、木場めがけて飛んでいってその眼前に突き刺さる。

 

『そ、そんな! こんなことがあり得るのか!? 駒だけでも赤龍帝はっ! 戦うのかっ! この男を奮い立たせるのか!?』

 

 友情を理由に同盟を断ったアジュカの心を理解できなかったジークフリードにはこれを理解しろというのは無理な相談だろう。

 しかし、今の木場の状態ではグラムを持つことができない。どうしたものかと思慮しているところに、小猫とレイヴェルとアーシアが駆けつける。

 小猫が切り落とされた木場の腕を元の位置に固定し、癒着しやすいよう気を流す。

 

「……『俺のダチを助けてやってくれ』って、イッセー先輩が言ってくれた気がして」

 

 木場の体の方を支えるレイヴェルも言う。 

 

「眷属でもない私にも聞こえましたわ。『小猫ちゃんやみんなを支えてくれ』って。ほんと、あの方は優しすぎますわよ……っ!」

 

 そして、アーシアが回復のオーラを傷口に流し、傷を癒やす。

 

「『アーシアも戦うんだ』って、聞こえました。駒を通してそんな風に行ってくれた気が……いいえ、言ってくれたんです。きっと」

 

 そのアーシアの目に、もう涙は流れていなかった。

 

「ごめんなさい、イッセー。『いつもの笑顔でいて』――あなたが残してくれた思いを私は……っ! でも、もう大丈夫ですわ。私も戦えます!」

 

 朱乃が懐から腕輪を取り出すと、それを腕に装着させる。すると、三対の漆黒の翼が生える。

 

「……『みんなと共に戦ってください』、か。そうよね。あのヒトなら、そう言うに決まってるわ」

 

 リアスもイッセーの駒を胸に抱き立ち上がる。その瞳は涙に濡れながらも決意の炎がともっていた。

 

「さあ、私のかわいい下僕たち! グレモリー眷属として、目の前の敵を消し飛ばしてあげましょう!!」

 

 その彼女たちの姿を見て、木場は思わず笑んだ。ただ、イッセーのおかげで復活した彼女たちを見られて本当に心の奥からうれしかったのだ。

 もう一人じゃない。それに、この手にはグラムとイッセーのアスカロンがある。だが、それでもなおジークフリードの戦意は消えない。

 

『そうか、そう来るか。ならこちらもそれ相応の策をとる!!』

 

 そう言ってジークフリードが懐から取り出したのはもう一つの魔人化(カオス・ドライブ)

 

業魔人(カオス・ブレイク)は実は二つの段階がある。第一段階は神器に作用しての変化。そして二本目を使った変化は獣具に作用しての変化。さすがに立て続けに二本目は寿命を削るが――それでも見せてあげるよ。業魔人(カオス・ブレイク)の第二段階っ!!』

 

 迷いなく針はジークフリードの首に突き刺さり、中の液体が体内へ注入されていく。

 変化はすぐに起きた。まず、不気味にジークフリードの肉体が宙に浮かび上がる。そして風船のように膨らんでいく。そして膨らむごとに肉体は透明度を増し、透き通っていく。

 合計八つの腕と足はだらりとのび、これも透明の触手に変わっていく。そしてその先端から四振りの魔剣が外れ、地面に突き刺さる。そして触手の先端は龍の顎を備えていた。

 その全体的なシルエットはまさに空飛ぶ巨大クラゲ。もはや人間の姿はとどめていなかった。

 

『これが業魔人(カオス・ブレイク)の第二段階、神器と怪獣の力の融合だ。怪獣の要素のおかげで大分龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の影響も薄くなった。さあ、第二ラウンドといこうか!!!』




 オリジナルをうまくぶっ込めない自分の力量の無さが本当に情けないVS87でした。
 次回ですが、ジークが可哀想なことになります。ごめんよ、せっかく強化したのに……。
 最近なんと! 評価1をいただきました! やったぜ、史上最低評価!!
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!
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