Girls High School Monster   作:騎士見習い

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入学式には桜の花弁と叫び声が舞い散る

夢を見た。

 

大きな会場、広いホール、たくさんの人。そうだな、例えるのなら武道館だな。ピッタリだ。

 

照明に照らされ、相棒といえるギターを持ちマイクに手を伸ばす。緊張を押し殺し、響きわたる声で歌い出す。

 

気持ちよかった。それ以外の言葉はなかった。いや出てこなかったって言ったほうが正しいのか。

 

だけど、現実はそんなに甘くなかった。

 

「俺たちはそんなん聞きに来たんじゃねぇよ!!引っ込め!!」

 

「そうだ!そうだ!たった一人の演奏なんてつまらねぇ〜んだよ!!」

 

歌い終わった後に聞こえてくるのは歓声でも、拍手でもない。罵詈雑言の雨嵐を浴びていた。

 

や、やめ……やめ……。

 

 

 

 

 

 

「やめろぉぉ!!!!」

 

あまりの悪夢に体が反射的に起き上がる。辺りを見るとホールも人もいなく見慣れた自分の部屋だった。

 

「はぁはぁ……はぁ〜〜」

 

安堵なのか溜息なのか分からない息をつきケータイを見ると、時刻は8時05分。

目を擦り、再度確認すると8時06分と1分進んでいた。

 

「は……はぁぁ!!!???」

 

クローゼットを開け放ち制服を取り出し、パジャマを脱ぎ捨てる。

 

「ど、どうしてだ!?いつも通り7時30分に目覚ましセットしといたのに!」

 

陽の光が窓から射し、小鳥のさえずりが聴こえてくるような長閑な朝には似合わない大声を出しながら、あたしの朝は過ぎ去った。

 

 

 

 

 

 

やっぱり、うどんを考えた人は神様だ絶対。今日みたいな急いでる日はうどんを掻き込むのが定番だな。

 

あたしがこれから通う高校。北白高校はこの辺だと中の上ぐらいの偏差値だけあって、生徒の大半は進学目的で入学してくる。あたしも多分大半の中に入るんだろうな。

朝のうどんパワーが炸裂し体調が

 

 

「最悪だぁ」

 

 

校門に着いたはいいが、気持ち悪い。うどんが逆流してきそうだ。

朝はあんなに元気だったのに、まさか朝うどんには時間差の反動があるなんて……

 

「ふ、不覚」

 

「だ、大丈夫か?あんた」

 

倒れ込む寸前に誰かが支えてくれた。き、救世主!?

 

「あ、ありがうっぷ」

 

こんなところで高校生活を終わらせたくない。どうか、神よ。音楽、うどんの神よ。

 

「こりゃあ、ダメそうだな。肩に掴まれ保健室まで運んでやっからさ」

 

「感謝するよ。……馬の……尻尾。ガクッ」

意識が消える寸前に「ポニーテールだ!」と聞こえたのは幻聴だろうな。

 

 

 

 

 

 

また目を覚ますと白い天井だった。薬品の匂いが微かに臭う。

 

「お、やっと起きたか。心配したんだぞ、勝手に倒れるから」

 

私の顔をのぞき込むように見ていたのは、可愛らしいと男らしいを足して2で割ったような宝塚歌劇団みたいな人だった。うん、我ながらナイス例え。

 

「もしかしてあなたが、あたしの窮地を救ってくれたポニテ神?」

 

「だれがポニテ神だ」

 

脳天にチョップを食らう。手加減してくれている辺りは優しさがあるな。

 

「で?どうして倒れそうになったんだ?」

 

「言わなきゃ、ダメか?」

 

「深い事情とかあるならやめるけど」

 

「ない。これっぽっちもない」

 

「じゃあ言えるじゃん」

 

イケイケな高校生活謳歌がこんなところで潰えるのか。

 

「う、うどんを食べた」

 

「悪いもう一回頼む」

 

「うどんを食べてたんだ!時間がなかったからしょうがなく」

 

「お前はバカか!?朝から、んなもん食ってくるからいけないんだろ!」

 

ごもっともです。だけど、小麦由来成分豊富だよ。腹持ち良いんだよ。さっぱりしてるんだよ。って誰に言い訳をってポニテ神にか。

 

「あたしもついてないな、うどんキチのために入学式を欠席するなんてな」

 

ん?んんん?んんんんんんん?

 

「オナジ。ナカーマ。I am high school student1年生」

 

「英語使うならもっと頑張れよ。そうか、同じ1年だったのか」

 

「先輩かと思ってた。ポニ……馬の尻尾のことを」

 

通りで制服とかが真新しかったのか。にしても、やけにポニテが印象に残ってしまっている。

 

「言い直せてねぇよ!!」

 

握り拳2つがあたしの頭蓋骨を万力のように潰しながらグリグリしてくるぅぅぅ!!!

 

「痛い痛い痛い!!ラーメンマンみたいに細長くなるぅぅ!!」

 

「マニアックな例えすんな」

 

うどんの敵ラーメンマンのことあたしは大ッ嫌い!!

 

ようやく解放され、頭を摩る。

 

「じゃまぁ、あらためて松原 ひさ子よろしく」

 

「岩沢 まさみ。よろしくひさ子。これからも迷惑をかける」

 

「迷惑をかけるの前提かよ。まぁいいや、岩沢とは長い付き合いになりそうだからな」

 

やれやれ感を出しているが、ひさ子とまったく同じことを思ってしまったな。ほんとにひさ子とは長い付き合いになりそうだよ。

 

「ハハッ、同感」

 

あたしの高校生活初の友達ができてよかった。ボッチは嫌だらな。

 

「まだいたのね、あんたたち。さっさと教室行きなさい。今頃自己紹介とかやってるから」

 

あっ、すっかり忘れてた。

 

「行くか岩沢」

 

「あたし教室分かんないんだけど?ひさ子知ってるの?」

 

「知ってるもなにも同じ教室だしな。寝てる間にクラス名簿見に行ってからな」

 

なんて頼れるんだ。あたし友達は……。しかも同じクラスなんてついてるじゃないか。

 

 

保健医の先生にお礼を言い、教室棟に移動する。

北白高校は1学年40人4クラスと基準が分からないが普通だと思う。部活動も積極的だから活発な学校と説明会で聞いた。

 

ひさ子の足が1-3で止まる。どうやらここがあたしが1年間過ごす教室。

 

男らしくひさ子はドアを開け、ずかすかと入っていく。同じく入っていくと、予想通りクラスメイトの視線が集中する。

 

「すいません。保健室に行っていたので遅れてしまいましまた」

 

「体調崩してましたけど復活しましたので心配なく」

 

肘で脇を突かれ一言余計だと小さな声で言われる。肘はちょっと痛かったな。

 

肩までの長さの髪。幼さを感じさせる童顔の女の先生だった。

 

「松原さんと岩沢さんね。よかった休みかと思っちゃったわ。ちょうどいい、この場で自己紹介してくれるかしら?」

 

両手をパチッ☆と合わせ。教卓での自己紹介とい公開処刑が提案されてしまった。

目立つのは嫌いじゃないけど、ケースバイケースというかなんていうか。

 

だけど、ここにヒーローがいた。

 

「松原 ひさ子。特技と言えるか分かんないけどギターをよく弾きます。これから1年よろしく」

 

ギター?

 

「ひさ子ギター弾けるのか?」

 

「まぁな。小学校から弾いてる」

 

新たな新事実と共に拍手が鳴り、自然と次のあたしが注目されていく。

 

勇気を出せあたし!

 

「岩沢 まさみげす……」

 

「「「………」」」

 

か、噛んでしまった。やっちゃった。

その証拠に、げす?、げすって何?、もしかして噛んだ?とかこそこそと聴こえてくる。

助けを求めようとひさ子を見ると。肩を震わせ笑う一歩手前みたいな顔をし、ぷっ、と口元を抑えあたしから顔を逸らした。

 

「あらためて岩沢さん。お願い」

 

気力の無い返事をし、再度挑戦する。

 

「岩沢 まさみです。趣味は楽器の演奏です。これから1年間よろしくお願いしまちゅ……」

 

「「「………惜しい」」」

 

早くもクラスが一致団結したみたいでよかった。本当によかったよ。ほんと早く死にたい……。

 

「がんばって岩沢さん。先生応援してるから」

 

「岩沢ちゃんあとちょっと」

 

「岩沢がんばれ」

 

ここまで、心に突き刺さる応援は初めてだ。高校って初めて体験することが、多くって体が持たないなハハッ。

 

案の定ひさ子は笑いすぎて死にかけていた。

 

「岩沢 まさみです。趣味は楽器の演奏です。これから1年間よろしくお願いします」

 

この15年間で最も大きい拍手をあたしは貰った。

 

「席だけど、ちょっとしたミスで岩沢さんが左端の窓の

1番後ろの席で、松原さんがその前よ」

 

何かと縁があるんだな。とりあえず席に座る。

 

必要事項などなどを述べられてすぐ下校となった。

それから、連絡先交換やらと高校生な必要な儀式を行った後。

 

「うっし!岩沢帰ろうぜ。ここら辺地域だろ?」

 

「………」

 

「お〜い岩沢〜聞こえてるか〜?」

 

「………」

 

「悪かったって笑って。でもな、お前があんなとこで噛むのが悪いんだぞ。許してくれよ」

 

バカにしてるのか謝罪してるのか分からないがまぁ、聞きたいことたくさんあるし、心の広いあたしはひさ子を許す。

 

「いいよ。気にしてないから。早く帰ろ」

 

教室に出る前に男女関係なく、お疲れと声をかけられまくったことであたしのHPは0になった。

 

 

 

 

 

「岩沢はどんな楽器が出来るんだ?」

 

「カスタネットとか」

 

「だれが某アニメのセリフを使えと言った?ちゃんと言え」

 

その某アニメを知っていることに驚きつつも正直に、言ってみる

 

「色々とやってみたけど1番ギターが長く続いてるし、楽しい。まぁ中1からなんだけどね」

 

「機会があったらセッションしてみようぜ。絶対楽しいから!」

 

「セッション!!いいね!ひさ子なのにナイス提案!」

 

「バカにしてんだろぉ!」

 

本日2度目のラーメンマン強制手術が開始された。

その、痛みによる叫びが響き渡り、晴天の空に消えていった。

 

 




どうも、騎士見習いです。
本編書かないで何してんだ!!と言われると思いますが、すいません!!キャラ紹介書いてる時にこの話の創作意欲がものすごく出てきてしまって、つい書いてしまいました。

この話は本編で音無たち出会う前そして記憶が戻る前のガルデモを主人公とした作品です。こちらは本編を主体に書くのであんまり更新が出来ませんが逃げたりしないので、首長くお持ちください。

読んでくださった読者さん。ありがとうございます。
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