それと映画観て来ました!
凄くよかったです!
色々考えさせられる部分もありましたが、考え方は人それぞれです。
答えは一つではない。
取捨選択は難しいことですが、これができるのも生きている、目標があるからこそなのではないかなと思います。
ではでは番外編どうぞ!
昨日のカードゲームから、いや穂乃果からやっと解放され家に帰り、怪我をしてなければ稽古をして、ご飯を食べて、風呂に入り、歯を磨いて、11時前には就寝。
そして朝5時~6時頃には起きる。
これが楯の生活リズムになっている。
「そういえば今日は小泉さんと星空さんとご飯を食べに行くんだったな」
今日はこの前の約束、一緒にライブを観れなかったのでご飯でもどうかと誘ったら、今日が大丈夫なようなので待ち合わせをした。
今現在朝の6時30分。
いつもなら稽古をしているのだが、怪我のせいで稽古が出来ない。
待ち合わせ時間は11時。
つまり暇を持て余しているのだ。
「とりあえずご飯を用意しようかな」
今日というか、金曜日から叔父は考古学のサークルメンバーと熱烈な発掘作業に行っているため、用意するのも一人分だから直ぐに出来てしまう。
「いただきます」
今日の朝ご飯のメニューは白米に味噌汁、玉子焼きとほうれん草のおひたし、焼き鮭と和風の献立。
「相変わらずニュースとかはスクールアイドルの事の特集とかが多いんだな」
何処かしらのテレビ局で今巷のスクールアイドル!と銘打った特集をやっているのだ。
「今日のインタビューにお答えしていただくのは、なんと今一番熱いと呼び声が高い『A-RISE』の皆さんです!」
「やっぱり綺羅さん達って凄い人気を誇っているのか」
インタビューの光景を眺めながら、ご飯を淡々と食べていると。
「それではやっぱり気になる質問がきています!」
「どんな質問でしょうか?」
「ズバリ!今皆さんは好きな人がいますか!?」
「………うん。
あの出来事は気の迷いだったはずだ」
三人を助けたときに好きだと言われたが、あれはその場の感情で言ったに違いないと思っている楯。
「「「います!」」」
「おお!皆さんいらっしゃるんですね!!」
「はい!」
「あの子はとてもからかいがいある子なんです♪」
「そうだな。
でもいざという時はとても頼りがいがあり、逞しいところもあってカッコいいぞ」
「おやおや~。
まさか皆さん同じ人を好きなんでしょうか?」
「そうですね!」
「でもあの子、優しいから他の子も惹かれちゃいそうで怖いのよね~」
「確かにな」
「皆さんにそこまで想われているなんて、その想い人が気になりますね~」
「………………」
楯は思考が止まっている。
まさかテレビ、全国放送されているだろうニュース番組で三人が好きな人がいることですら大ニュースなのに、同じ人を三人が好きであると公表したのだからある意味で公開処刑されているようなものだ。
まあ、まだ名前などを公表されてないだけマシなのだろうが。
「因みにその彼とは何処で知り合ったんですか?」
「水族館なんですが、本当に出会いは偶然でしたよ」
「それに最初、彼は私達のこと知らなかったんですよ~」
「知らない人がいてもおかしくないのだが、同じぐらいの歳には名前ぐらいは知られているだろうと自負していたからな」
「また珍しい人なんですね~」
「そうなん………」
ポチ。
テレビを消す楯。
なんだかこれ以上は知らぬ存ぜぬを決め込んだほうが、後々逃げ口上が作れるのではと思う楯。
「……さっさとご飯食べちゃおう」
止まっていた食事を再開する楯であった。
***
時刻は10時30分。
待ち合わせ場所は秋葉原駅前。
約束の時間より30分早く着いてしまった。
「あれ?まだ30分もあるな…」
楯はいつも待ち合わせの時間より早く着いてしまうのである。
よっぽどの事がない限り遅刻はしたことがないのだ。
「とりあえず小泉さん達に着いてしまったことを連絡しておこうかな」
律儀に連絡してしまう楯。
隼とか昔から楯のことを知っている人間は連絡しなくて大丈夫と言ってあるのだが、花陽や凛とは初めて遊ぶので連絡はしといたほうがいいだろうと思ったのである。
「ええっと、『僕は先に着いてしまいましたが、ゆっくり来てもらって大丈夫です』っと」
メールの送信完了を確認したら、近くのお店を見ようと思ったら。
「あ、あの…お、おはようございます」
後ろから声を掛けられたので、後ろを向くと花陽が立っていた。
「おはよう小泉さん」
「まさか!?私遅刻してしまいましたか!?」
遅刻してしまったと思って、慌てふためく花陽。
「遅刻はしてないよ。
むしろ約束の時間より早く着いてるよ」
「そ、そうですか。
遅刻してなくてよかったです」
「別に遅刻したって怒りはしないから、気にしなくてもいいのに」
「いえ、お誘いしてもらったのに遅刻するのは失礼なのではと思いまして…」
「それにしても」
「?」
「小泉さん、可愛いね」
「!!??」
いきなり可愛いと言われ顔が真っ赤になっていく花陽。
「な、何言ってるんですか!?
わ、私なんか可愛くないです!!?」
「そんなことないよ。
普段、というか私服姿を見たのは今日が初めてだからね。
春先らしい色合いの服がマッチしてて、とても可愛いと僕は思うよ」
「え、いや、そんな、は、恥ずかしいです……」
なんだか片言を喋っているみたいな口調になってしまう花陽。
普段から異性と話す機会も楯ぐらいとしかなく、といってもそこまで会話をしているわけでもないが…。
面と面ではっきりと可愛いと言われたのは初めての事だったので、走って逃げたいほど恥ずかしい花陽だが。
「あれ~?皆早いにゃ」
少し遅れて凛も到着。
「おはよう星空さん」
「城宮君おはようだにゃ!」
「か~よちん。
顔が真っ赤だけどどうしたの~?」
「な、なんでもないよ凛ちゃん!?」
「なんだかあやしい…」
「あ、怪しくなんて、ないよ?」
「なんで疑問系なんだにゃ?」
「さ、さぁ~?」
「相変わらず二人は仲が良いんだね」
「かよちんとは幼稚園の時からの大の仲良しさんなんだにゃ!」
「二人は幼馴染なんだね」
「そうですね。
凛ちゃんは私の大切な友達です」
「かよちんだって凛の大切な友達だよ!」
「凛ちゃん!」
「いいね仲が良い事は。
僕も仲の良い友達がいるけど、そいつは悪友に近いからね」
もちろん隼のことである。
「くしゅん!」
「うわ!汚いなお兄ちゃん」
「今俺を噂した女の子がいた気がする」
「馬鹿言ってないで、早く荷物運んでよお兄ちゃん。
早く掃除終わらせないとお姉ちゃんに怒られるよ」
「それだけはマジでヤバイ」
女の子に噂されていると思っている隼であった。
「とりあえずお昼までもう少し時間があるし、少し遊んでからご飯にしようか?」
「凛、身体を動かせる所に行きたい!」
「それじゃあバッティングでも行ってみる?」
「凛は構わないけど、かよちんは大丈夫?」
「私も構いません」
「それじゃあ行こうか」
楯達はバッティングマシーンがあるお店に向かう。
駅から近くの場所にお目当ての場所はある。
「それじゃあ今プリペイド買ってくるから待ってて」
楯はプレイするためのプリペイドを買いに行く。
「こんな所にバッティングセンターがあったなんて知らなかったにゃ」
「うん。
普段電気屋さんとか来ないもんね」
そうここはチェーン店の電気屋さん。
とても大きなビルの階層、一フロアにバッティングマシーンがあるとは思ってもいなかった二人。
「お待たせ」
楯は二人に買ってきたプリペイドを渡す。
「城宮君ありがとにゃ」
「ありがとうございます」
「さて早速バッティングやろうか」
「まずは凛からやる!」
凛は軽いバットを持って、軽く素振りをする。
(やっぱり星空さんは運動神経がいいのか、体幹は優れてるほうかな)
凛は筋力面は身体が少し細く感じるので、遠くには飛ばせないかもしれないが、身体のブレは少なくしっかりしている。
しかし柔軟性は少し難があるかもしれないが、コツさえ掴めばポンポン打ちそうだなと評価する楯。
「城宮君、最初はどのくらいのスピードがオススメかにゃ?」
「そうだね。
二、三球は80でいいんじゃないかな?
それで遅く感じるのであれば、スピードを上げていけば良いと思うよ」
「わかったにゃ~」
凛は80キロで始めてみる。
車や電車に乗っている時の80キロはとても早く感じるが、距離が少し離れていて、こちらに向かってくる球は人によっては遅く感じる。
動体視力、元より身体能力が良い凛には遅く感じるようで。
キン!
キン!
真芯で捉えていた。
「星空さん上手いね」
「凛ちゃん凄い!」
「えへへ~」
10球ぐらいからは110キロぐらいまでなら打てるレベルまでに達していた凛。
しかし120キロ以上はどうもスイングスピードが間に合わず、振り遅れもしくはファールチップになってしまう。
100~110の間ぐらいが今の限界らしい。
そして一プレイが終わる。
「お疲れさま」
「凄いよ凛ちゃん!
あんな速い球打てるなんて!」
「でももっと早い球打ち返したかったにゃ」
「いやいやあれだけ打ち返せれば上出来だよ。
身体の柔軟性がもっと良くなれば、もう少し速い球も打てるようになると思うよ」
凛は20球中12球打ち返し、4球ファールチップ、4球ストライクと最初にしては上出来なスタートと言えるだろう。
「じゃあ次はかよちんの番にゃ!」
「う、打てるかな…」
花陽は運動が少し苦手である。
ましてやバッティングなどまともにやった事はないであろう。
打席に立ち、軽く素振りをしてみる。
(……あのスイングは流石に打てないだろうな)
花陽はバットを振るとバットの重さにつられフラフラしてしまう。
「小泉さん」
「ひゃい!?」
「その振り方は危ないよ。
下手したら怪我しちゃうよ」
楯は花陽の後ろに回り、抱きつくようにバットの構えや振り方などを教えていく。
しかし当の花陽は突然抱きつかれる形をされてしまい、頭が真っ白状態のためか話の内容が入っていない。
「小泉さん聞こえてる?」
「き、聞こえてます!聞こえてますよ!?」
「それじゃあ今教えてあげた構えで、軽く素振りしてみてくれるかな」
しかし話の内容が入っていない花陽は先ほどと同じくフラフラとなってしまう。
「教え方が悪かったね。
じゃあ僕がお手本見せるから、よく見ててね」
楯はゆっくりと構えから花陽に見せていく。
少しずつだが、理解して形になった花陽は一プレイやってみる。
まずは全球80キロでやってみた結果。
20球中7球打ち返し、3球ファールチップ、10球ストライク。
思ったより打てたみたいで凄く喜んでいた。
「かよちん、7球も打ち返したにゃ~!」
「本当に打ち返しちゃった!
今でも信じられないよ!」
「もう少しスイングスピードとか身体の使い方が理解できれば、もっと速い球も打てると思うよ」
「それじゃあ次は城宮君の番!」
「まあ頑張るよ」
楯はバットを持って、軽く素振りをする。
凛や花陽よりも速いスイングスピード。
最初から140キロからスタート。
1球、2球と余裕をもって打ち返す。
「城宮さん凄いです」
「あんな速い球打ち返すなんて凄いにゃ」
(久しぶりのバッティングだけど、この調子なら150キロまではいけるかな。
それに怪我の方も大丈夫そうだ、これなら明日から稽古再開しようかな)
楯はそんなことを考えながら、操作をして球の速度を150キロに変更する。
その速度も余裕とまではいかないが打ち返す。
「まだ速くして打ち返すなんて…」
「凛、目で追うのがやっとなのに…」
150キロの速度を後ろから見ていた二人は唖然としている。
150キロはバッターボックスに到達するのに一秒かかるか、かからないぐらいの体感速度。
その速度を振り遅れなく、打ち返している楯を凄いなと眺めている。
時折見える楯の真剣な横顔にカッコいいなと頬を染める二人。
(あと7球か…160キロやってみるかな)
楯は最大速度160キロに設定してみる。
160に設定してからの初球。
バットは虚しく空を切り、後ろの反射板に当たるとドン!!と音が響く。
初球はストライク。
「お、音がヤバイです!」
「速すぎて見えないし、ほんとに音が凄いにゃ!」
後ろに当たったボールの音は重く響く。
(速い!これが100マイル!)
打てなかったが不思議と気持ちが高揚していく楯。
(集中しろ)
自身が高められる限界までの集中力を発揮する。
次のボールがバッターボックスに向かってくる。
少し振り遅れ、ファールチップになってしまう。
「もう凄いしか出てこないよね凛ちゃん」
「そうだね。
でもなんだか今の城宮君、カッコいいにゃ~」
(まだこれでも振り遅れか…。
踏み込みが甘いのかな)
今の振り遅れを踏まえ、スイングのタイミングなどを見直していく。
次第に振り遅れがなくなり、内野ゴロだが打ち返していき、あと一球になる。
(これがラストか…)
「頑張ってください城宮さん!」
「城宮君頑張るにゃ!」
声援を送ってくれた二人に笑顔で答える。
その笑顔に二人は心が高鳴る。
(それじゃ最後は応援してくれてる二人の為にも絶対に打ち返す!)
ラスト一球が機械に装填され、発射態勢に入る。
そして遂にラスト一球が発射される。
圧倒的な速度で真っ直ぐ飛んでくる球。
(高さはここ!
後は振り抜くだけだ!!)
高さを見極め、バットを振る。
振った瞬間にバットと球がぶつかり合い、球の勢いに負けないように力を込めて振り抜く。
球の勢いに負けずに振り抜いた結果、キィン!!と打球は勢い良く上に上がっていき、吸い込まれるようにホームランボールとされる的に当たるのだった。
***
「お腹空いたにゃ~」
「ほら凛ちゃん、オススメのお店を紹介してくれるんでしょ。
もう少しの辛抱だから頑張ろ!」
「ほんとお腹空いたね」
三人はバッティングをやり終え、時間もお昼時になっていたので、凛のオススメの店に行くことになった。
少し表通りから離れ、住宅街に近い場所にそのお店はあった。
「こんにちはー!!」
「おう!らっしゃい!」
凛は顔馴染みなのか、ドアを開けると元気よく店主の親父さんに挨拶をする。
「お、今日は友達と彼氏を連れてきたのか!」
彼氏と言われ、凛と花陽は楯の顔を見る。
「ち、違うよ!?城宮君は彼氏じゃないよ!?」
顔を真っ赤にしながら否定をする。
「そうなのか?
でもいい男じゃねえか!
今のうちに捕まえとかないと、こんないい男他の奴に取られちまうぞー」
「それはそうだけど…」
実際クラスの中には楯の事が好きなクラスメイトが何人かいる。
楯がクラスにいないときなど、よく話の議題に持ち上がるぐらいだ。
確かに楯はカッコいいし、家庭的なところもあり、何より優しい。
凛は昔の事もあり、男の子が苦手な部分がある。
だが不思議と楯には気兼ねなく接することが出来ている。
これが恋なのかは今はまだ凛には分からないのだが。
「親父さん、星空さんも困ってるからそこまでにして上げてよ。
それに早く親父さんが作るラーメンが食べたいしね」
「そうか!じゃあとびっきり美味いラーメン作ってやるから、ほら席に座れ座れ!」
ラーメンが食べたいと言われ、嬉しくなったのか楯達を席に促す。
「嬢ちゃんはいつものでいいんだよな?」
「大丈夫にゃ!」
「お二人さんはどうする?」
「僕は星空さんがいつも頼んでるものを同じくお願いします」
「私は普通のでお願いします。
あ、あと白米も頂けると嬉しいです」
「あいよ!ちょっと待ってろよ」
親父さんは厨房に入っていく。
「星空さんはよくこのお店に来るの?」
「二週間に一回は来てるかな。
多ければ一週間に一回にゃ」
「凛ちゃんとはよく一緒に食べに行くんですけど、このお店は来たことなくて、よく話してくれてたから今日来れて良かった」
「僕もまだまだこっちに来たばっかだから、この近辺に何があるとか右も左も分からないんだよね」
「そういえば城宮君はどういった経緯でこっちに来たんだにゃ?」
「……悪戯好きな人にホイホイついて行ったら、入学してて今に至るよ」
そういえば騙されて女子校に入れられた事を忘れていた楯。
「ええ!?まさか悪い犯罪とかに巻き込まれていたりするんですか!?」
「いや犯罪には巻き込まれてないよ。
そう犯罪にはね……」
今現在廃校の危機には巻き込まれて、色々大変な目にあってるけどねと心の中で愚痴る楯。
「待たせたな!」
親父さんが熱々のラーメンを運んできた。
「先ずは普通盛りと白米だな」
花陽の前にお茶碗に盛られた白米とラーメンが置かれる。
白米を見た瞬間、滅茶苦茶目が輝き、凄く良い笑みを浮かべる。
「そんで、これがうちの最高のスペシャル盛りだ!」
凛と楯の前に普通盛りの二倍はあるであろう丼が置かれる。
「どうだ凄いだろ!」
「相変わらず凄い量にゃ~!」
「すごく…大きいです…」
とても満足そうな顔をする親父さんと凛。
「熱いから火傷には気をつけろよ」
「「「いただきます!」」」
三人は熱々のラーメンを食べ始める。
スープは醤油ベースとオーソドックス。
ほんの少しこってりながらも、後味はとてもあっさりとしており麺もコシがとてもしっかりしていて、もちもち感が堪らない。
具は普通盛りの方はチャーシューが二枚、ナルト、メンマ、ネギ、もやし、海苔と結構具だくさんなのだが、スペシャル盛りの方はチャーシューが六枚、ナルト、メンマ、ネギ、もやし、海苔、煮卵、コーンととにかく具だくさんな上、麺も二人前はありそうなぐらいな量が入っている。
「中々麺が出てこないけど、どんだけもやしとか盛ってるんだろ?」
「大体150グラム前後盛ってるな」
「盛りますね」
「やっぱ腹いっぱい食べてもらいたいからな!」
本当に腹いっぱいに食べてほしいのだろうと思えるぐらいの良い笑顔と笑い声を出す親父さん。
「小泉さんはラーメンもだけど、白米はもの凄く美味しそうに頬張るね」
「よくぞ聞いてくれました!!!
白米はですねとても素晴らしいんです!!!」
とても目をキラキラさせながら白米が素晴らしいと発言する花陽。
「もしかしていけないスイッチ入れちゃった?」
「こうなったらかよちんは止まらないにゃ」
凛に小声で尋ねるとこうなったら花陽は止まらないので、話を聞きながら食べることをオススメされた。
その後如何に白米が優れたもので、どれだけ偉大な食べ物なのかを熱弁する花陽。
その熱弁を言葉の意味としては花陽に悪いが話半分に聞きながら食べ続けたのだった。
ちなみに花陽は白米を三杯おかわりしていた。
***
「いや~流石にお腹いっぱいだな」
「城宮君ごちそうさまにゃ!」
「城宮さんご馳走さまでした」
「どういたしまして。
さて、この後はどうしようか?」
「あの、もし大丈夫なら行きたい場所があるのですが、そこに行ってもいいですか?」
「僕は構わないよ」
「凛も大丈夫!
いつものお店かにゃ?」
「う、うん」
どうやら二人はよく行くお店なのだろうと二人の後について行く。
着いたのはスクールアイドル専門店。
「はぁ~」
お店の中は右も左もスクールアイドルからスクールアイドルによるグッズで埋め尽くされている。
楯は初めて訪れたので、こんなお店もあるのだと関心を持つのであった。
「見て凛ちゃん!」
花陽は凛に何かを見せて興奮しているようだ。
凛はその見せられているものをまじまじと見つめている。
楯は二人から離れてお店の中を見ていると。
「兄さん、こうゆうお店は初めて?」
カウンター越しで話しかけてくる店員さん。
「そうですね」
「か~!それは損してるよ!」
「そうでしょうか?」
「こんな可愛い子達の写真やポスターにタペストリーに囲まれていないのは損だよ!!」
「はぁ」
楯はこういうタイプはどう対応したらいいのか、慣れてないのか返答に困ってしまう。
「そんな兄さんにオススメなのはこれとかだね!」
オススメしてきたのはA-RISEの写真集などのグッズ。
「やっぱりA-RISEは押さえとかないとダメだよ!」
「そうですか…」
少しめんどくさくなってきた楯。
どんな商品でもゆったり眺めているのは好きなのだが、一々オススメ商品を相手の顔色を伺わず、自分の趣味趣向を押しつけてくるのは嫌いなのである。
「その他にはこのグループとかがオススメだね!」
「はぁ……じゃあA-RISEのブロマイドください」
何かしら商品を買えば大人しくなるだろうと思い、ツバサ達のブロマイドを買うことにした。
「へへ!まいど!」
してやったりの顔を浮かべる店員。
怒りがこみ上げてくるが、一々怒るのも仕方ないのでお金を支払い、お店の外出る。
「とりあえずこのブロマイドどうしよう」
ブロマイドを買ったはいいが、こういうものを持ったことがないから、どう扱えばいいのかわからない。
「まあ、鞄の中に入れとけばいいか」
鞄の中に入れ、そのまま入れたこと忘れてしまう楯であった。
「城宮さんお待たせしました」
花陽と凛がお店から出てくる。
「今日もお目当てのもの見つからなくて残念だったにゃ~」
「仕方ないよ、人気が凄いからね」
プルルル。
誰かの携帯が鳴る。
「ごめん、僕のだ」
楯は電話に出る。
「もしもし」
「あ、もしもし俺、俺だよ」
「俺って人は知りません」
電話を切る。
しかし直ぐに電話がかかってくる。
「ちょっとしたお茶目なジョークじゃないか」
「いきなりオレオレ詐欺をしてくる叔父さんが悪い」
電話の相手は叔父。
「それで電話してきてどうしたの?」
「いや~今東京に向かって帰ってるんだが、宿泊した所で良いものを貰ってな。
うちに土鍋ってあったっけ?」
「土鍋?
確かあったはずだけど、何に使うのさ」
「ふっふっふ…凄く良いお米を貰ったから、折角なら土鍋で炊いたやつを食べたくてな」
「土鍋でお米を炊くのは構わないけど、誰がやるのさ」
「勿論楯」
「ですよね」
そんな会話をしていたら、後ろから物凄い視線を感じたので振り返ってみると…。
そこには目を輝かせて羨ましそうに楯を見つめている花陽がいる。
「……………」
「……………」
花陽が楯に期待の眼差しで見ている。
仲間に誘いますか?
はい。
→いいえ。
→はい。
いいえ。
(そんな可愛く見られたら誘うしかないじゃないか)
楯は花陽の可愛さに負けてしまうのだった。
「小泉さん。
良ければ夕飯食べに来ない?」
「ええ!?
いいんですか!?」
「構わないよ。
星空さんも良ければどうかな?」
「かよちんが行くなら凛も行くにゃ!」
「どうする小泉さん?」
「是非行かせてください!!」
「分かった」
「おーい、誰か来るのか?」
「うん、友達が二人来るけど大丈夫でしょ?」
「たんまり貰ったから大丈夫だぞ」
「それじゃ俺は家に帰って、土鍋とか用意しとくよ」
「よろしくな」
電話を切る。
「というわけで、軽くおかずの品を買ってから家に行こうか」
「はい!」
「わかったにゃ~!」
「食べたいおかずとかあれば、作れる範囲なら受け付けるから買い物のときに教えてね。
それと二人とも親御さんに連絡しなくて大丈夫?」
「あ!お母さんに電話します!」
「凛もお姉ちゃんに電話しとかなきゃマズいかにゃ」
二人は急いで連絡をする。
凛は遅くならないようにと言われていたが、花陽の方は大丈夫なようだが、何を言われたのか分からないが電話が終わると顔を赤くしていた。
「さてと二人共大丈夫みたいだし、買い物行こうか」
「凛!唐揚げが食べたい!」
「私はおこぶとか煮物とか、でも白米があれば大丈夫です!」
「まあ、期待はしないでね。
二人の好みの味とか、まだ知らないからさ」
「大丈夫です!」
「凛も魚じゃなければ大丈夫!」
「星空さんは猫みたいなのに魚が嫌いなのか」
そんな好き嫌いを話しながら、買い物を済ませ楯の家に着いた三人。
「ここが僕んちだよ」
そこは十階建ての分譲マンション。
そこの一番上の階の一室、部屋の間取りは無駄に広い5LDK。
叔父が仕事場から近いのと、物を溜め込む癖があるため、物置代わりにしていた。
しかし楯が来てから部屋の掃除をされてしまい、ほとんど物をリサイクルや骨董屋に売られたりと散々な目にあってしまった。
楯曰く、「なんか呪われそうな仮面や石像、どこかの部族の衣装とか使わないでしょ」とバッサリ出荷されてしまったのだ。
「とても広いですね」
「色々な事が出来そうだにゃ」
「最初来たときは本当にゴミ屋敷かなと思うぐらい、物が溢れかえってたけどね」
「この広い部屋が一面ゴミにですか…」
「片付けるのには一苦労したよ。
捨てないで!とゴネ始めるし」
「あはは…」
「じゃあ夕飯の準備しようかな」
「私お手伝いします!」
「凛もお皿運びとかならお手伝いできるにゃ~」
「星空さんは料理とかはしないの?」
「……にゃはは~」
苦笑いを浮かべる凛。
「それじゃあ小泉さんは」
「城宮さん!私にご飯を任せてくれませんか!」
「ええっと…」
「大丈夫です!
私凄く自信あります!」
花陽は両腕で前にガッツポーズをとると見事な胸が強調され、任せてくださいと楯に迫る。
「わ、わかったよ。
ご飯に関しては小泉さんに任せるね」
楯も花陽の豊満な胸、もとい花陽も可愛い子なので凝視するのも恥ずかしいので目を逸らしてしまう。
「ありがとうございます!」
自分で白米を炊ける事が嬉しいのか、物凄く喜ぶ花陽。
「星空さんも少しは料理してみようか」
「えぇ!?」
料理をしようと言われ、驚く凛。
「いや凛は遠慮しとくにゃ」
「そんなこと言わずに挑戦してみよう」
「凛、料理作っても美味しく出来ないし…」
「大丈夫。
僕も一緒に手伝うから、一つ一つやっていけば簡単な料理は作れるよ」
「本当に?」
上目遣いで楯を見つめる凛。
その姿が本物の猫のようで、星空さんも可愛いなと思ってしまう楯。
「失敗しても僕がちゃんと食べるから気にしなくても大丈夫だよ」
「じゃあ指切りにゃ!」
凛が小指を出してくる。
それに小指で応じる楯。
「えへへ♪」
その笑顔にときめく楯。
「帰ったぞー」
叔父が帰ってきたようだ。
「おお!我が家に女の子が二人もいるぞ。
で、どっちが楯の彼女なんだ?ん?」
荷物を置いて、肘でついてくる。
「二人共友達だよ。
そしてその肘ウザい」
「なんだよーいけず~」
「……叔父さんご飯無しね」
「ちょ!」
「小泉さん、これがお米ね」
叔父が置いた荷物からお米をいち早く見つけ、花陽に渡す。
「はい!頑張ります!」
テキパキと炊く準備を始める花陽。
「まずはサラダから作ろうか」
「わかったにゃ~」
「俺も手伝っちゃうぞー」
「いらない。
とりあえず発掘作業でついた土とかお風呂に入って落としてきて」
「かしこまり!」
そそくさと風呂場に向かう叔父。
しかし何か言い忘れたのか戻ってくる。
「そういえば名前言ってなかったな。
おじさんは城宮学だから、まなぶちゃんとか呼んでくれていいぞ~」
「はよ風呂行ってきなよ」
学は今度こそ風呂に向かう。
「面白い人ですね」
「テンションだけはやたらと高いんだよね。
まああんなだけど、大学の教授なんだよ」
「凄い人なんだにゃ~」
「いや凄くはないんじゃないかな。
それによく言うじゃないか、天才と馬鹿は紙一重って」
例えば、学者で言うなればその得意な分野は天才的な発想と理論を持ち得るが、違う分野になった途端発想も理論も持ち得なくなる。
極端に言えば、誰しもどこかしら一部分に秀でているのである。
しかしその秀でている部分には目を向けるのではなく、寧ろ駄目な部分を人は見てしまうのである。
しかしそれを誤魔化すことが出来るのが、言葉という力だ。
長所と短所、言葉の使い方次第で欠点だったものが、得意な事に早変わりしてしまう。
しかしその長所と短所にも落とし穴は存在する。
下手に長所ばかりを作りすぎると何時しか言葉で飾られた嘘が露見してしまう。
だからこそ自分の駄目な部分も受け入れることが出来る人は強いのだろうと楯は考える。
***
あれから花陽はご飯を炊くことに集中してしまい、話をせず淡々と作業をして最高の出来と言えるご飯を炊き上げる。
その間に凛と楯はおかずをサクサクっと作っていく。
凛のリクエストの唐揚げから、煮付ける時間が少ないが花陽のリクエストの煮物も作る。
一応風呂から上がってきた叔父のリクエストの玉子焼きも作る。
「それじゃ食べますか」
「そうだね。
いただきます」
「「「いただきます」」」
楯はご飯を一口、口に運ぶ。
「!!」
「凄く美味しい…」
学は目を見開き、楯は素直な感想が零れる。
「良かったです!」
「本当にかよちんが炊いたご飯は美味しいにゃ~」
「本当に凄く美味しいよ!
僕が作ったら、ここまでのものは作れる自信ないな」
「そんなことないですよ!
城宮さんもおかずをあれだけテキパキ作れるのですから、凄いですよ」
「城宮君の教え方は分かりやすくて、作ってて楽しかったにゃ!」
「そうかな?
あんまり教えるのは得意じゃないんだけどね」
「楯は人に教えるのには慣れてないだけさ」
「いや、叔父さんは毎日色々な人に教えているんだから、教えるの下手くそだったら拙いでしょ」
「はっはっは!
確かにそうだな!」
「それにしても小泉さんと結婚できる人が羨ましいな」
「えぇえ!!?」
突然楯から結婚できる人が羨ましいと言われ、真っ赤になる花陽。
「いや、こんな美味しいご飯が毎日食べれるのは嬉しいことだと思ってね」
少し寂しい顔をしてしまう楯。
「だったら楯が嫁にもらってやればいいじゃねえか」
「そう言われても、小泉さんには迷惑だと思うし」
「迷惑だなんて!?
そ、そんなことないと思いますよ!?
それに私より凛ちゃんのほうがいいと思います!」
「えぇ!?」
何故か花陽からバトンタッチされる凛。
「ほほぅ~、こっちの子も確かに可愛いし楯にはもったいないぐらいだわな!」
「まあ、そうだね。
僕よりもっと良い人はいっぱいいるさ」
「「そんなことないです(にゃ)!」」
二人して否定するのだった。
「いいね~青春だね~」
「叔父さん、おじさん臭いよ」
「なんだぁ駄洒落か?」
そんなたわいもない事で笑いあう四人。
***
その後楽しく談笑しながら、ご飯を堪能した四人。
今楯は洗い物をしている。
「二人は楯の事、どう思ってるんだ?」
学は花陽と凛に楯の事を尋ねる。
「ええっと…」
「どうって言われても…」
どう言えばいいのか分からない二人。
確かに気にならないと言えば嘘になるが、好きかと言われれば、まだ分からないとしか言えない。
「はっはっは!
まだまだ時間はあるから悩め悩め」
笑顔で悩めと言う学。
「それから楯の事、友達として二人にお願いしとくかな。
あいつ、よろしく頼むわ」
先ほどの楯と同じ様に少し寂しそうな笑顔をする学。
「よろしく頼む…ですか?」
「ああ、あいつは強いが弱い…いや脆い」
「それはどういう意味にゃ?」
「そうだな、楯の事が本気で好きになったときに教えてやるさ」
話しをはぐらかす学。
「二人共、そろそろ送っていくから帰る準備しといて」
楯が台所から声をかける。
「は、はい!」
「わかったにゃ~」
帰る身支度を済ませる二人。
「二人共気を付けて帰れよ~」
「「お邪魔しました」」
楯達がリビングから出て行き、リビングの椅子に一人静かに座る学。
「楯にも早く支えてくれる人が見つかるといいんだがな…」
楯の弱さを知る学。
「でもことりやさっきのあの子達ならもう一歩踏み込んでくれるだろ。
心配なのは、また大切なものが出来て失うときだな…」
学は色々考えを巡らせる。
「まあ俺は兄さんと同じく陰ながらサポートするしか能がないからな」
淋しい笑みを浮かべる学。
どんなに頑張っても大切なものは戻ってこない。
それが人ならば尚更だ。
どんな事にも出逢いと別れは表裏一体。
それを受け入れるには幼き日の楯には無理だった。
あそこまで戻れたのも、ことりや隼の御陰でもある。
しかし近い将来、再び楯の心を折る出来事が起きてしまうのだった。
次回 extraNo04 A-RISEの皆さんは楯君にお姉ちゃんと呼んでほしいようです
いかがでしたでしょうか?
バッティングに久しぶりに行きたいです。
ホームランは中々打てないんですよね。
次回はA-RISEメインですね。
はたして楯君はお姉ちゃんと呼ぶのでしょうか…。
ではまた次回でお会いしましょう!