ラブライブ!一年男子は俺だけ・・・えっ?   作:飛翔翼刃

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大変長らくお待たせしてしまい申し訳ないです。
強敵だった夏休み。
本当に辛かったです。
早く旅行に行きたい。


ちょっとした日常の一コマ前編

「ねえおじさーん」

「うん?」

「なんで女の子みたいな漫画ばっかあるのー」

私がその時読んでいた漫画はうまるちゃんです。

「面白いからだよ」

一冊手に取り、読む甥。

「つまんなーい」

「(´・ω・`)」

後書きに後編を。
では本編をどうぞ。


extraNo04 A-RISEの皆さんは楯君にお姉ちゃんと呼んでほしいようです

皆様方こんにちは。

私、城宮楯は只今高級車の中の座席に座っているのですが…思考が追いついてないです。

いやはやお金持ちって凄いですね。

こんな車に乗ってるんですね。

自分は庶民なので、お金があっても普通の乗用車で満足なんです。

いや、そんな事はどうでもいいんです。

右には優木さん、左には統堂さんが腕に抱きついていて、優木さんの横に綺羅さんが居ます。

というか綺羅さん、めっちゃ睨んでてもの凄く怖い。

それにしても何故こうなった…………。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

今日は猛の手伝いをするため、練習に参加せず仕事場に向かっていたのだが、急遽猛に緊急の仕事が入ってしまったので秋葉原の駅まで帰ってきた。

 

「今だったらまだ練習してるだろうから、戻るのもありかな」

 

時間を確認しようと思ったとき…。

 

「ふふっ♪捕まえた~」

 

突然後ろから誰かに抱きつかれる楯。

 

「ゆ、優木さん!?」

 

突然抱きつかれたことに驚くが、それよりもあんじゅの豊かな胸が背中に当たってることの方が恥ずかしくて堪らない。

 

「顔真っ赤にして楯君は可愛いな♪」

 

「いや!あの!流石に人の目が恥ずかしいので!」

 

「じゃあ二人きりなら幾らでも抱きしめてもいいのかしら?」

 

小悪魔的な笑みを浮かべるあんじゅ。

 

「えぇ!?そ、それも恥ずかしいので…」

 

「あんじゅ!いい加減に離れなさいよ!」

 

「そうだぞ!」

 

あんじゅの後ろからツバサと英玲奈が止めに入る。

 

「楯君は私のなんだから!」

 

「違うぞ!楯は私のものだ!」

 

「あら早い者勝ちでしょ」

 

何故か楯は誰のモノか言い始める三人。

 

「いや、モノ扱いされても困るのですが」

 

「ほら楯君が困ってるでしょ」

 

「あんじゅが抱きつかなければこんなことにならないの!」

 

「いいじゃない。減るもんじゃないんだし」

 

「それより僕に何か用でもあったんですか?」

 

このままでは終始が見えなくなるのではと思い本題を聞いてみる。

 

「忘れそうになるところだったわ。

 ねえ楯君、今日これから暇ってあるかしら?」

 

「今日ですか?

 まあこれからこれといってはないですが」

 

あっちの練習は園田先輩に任せておけば大丈夫だろうと思う楯。

 

「それだったら今日この前のお礼をしたいから、私の家にご招待したいの」

 

「そんな、お礼なんてされるようなことはしてないですよ」

 

「それがね、この前のことをお父さんとお母さんに話したら、是非その子にお礼がしたいから今度連れて来なさいと言われたの」

 

「因みに私達の両親も同じことを言っていたぞ」

 

「だから、今日はツバサの家にご招待したいの~」

 

三人から来てくれるでしょうという期待の眼差しが向けられる。

こういう眼差しには弱い楯。

 

「わかりましたから、そんなに見つめないでください」

 

「やった!」

 

ツバサが凄く喜ぶ。

 

「今連絡するからちょっと待ってね」

 

ツバサは携帯で家族に連絡しているのだろう。

時折笑みがこぼれるが、その笑みが少し怖く感じるのは気のせいだろう。

一度電話を切り、直ぐに違うところに電話をかける。

 

「ええ。早くね」

 

電話が終わったようで此方に向くと満面な笑顔なツバサ。

 

「さあ楯君!今迎えの車が来るから、あっちで待ちましょ」

 

ツバサは楯の腕に引っ張りながら駆けだしていく。

 

「そんな引っ張ったら危ないですよ!」

 

「大丈夫よ!」

 

駆けていく二人の後ろを付いていくあんじゅと英玲奈。

その光景を見ていた周りは三人と親しくしていた楯の事を羨ましく眺める者や嫉妬の眼差しで見つめる者がいたようだ。

主に男の子達から。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

そしてツバサ達を迎えに来た車にまず驚く。

迎えに来た車がリムジン。

運転席から降りてきたのは執事服がとても似合っている初老の男性。

 

「お待たせいたしました」

 

そう畏まりながら、ドアを開ける執事さん。

 

「ありがとう」

 

ツバサは車の中に入っていく。

次にあんじゅが乗り。

 

「ほら楯君もおいでよ~」

 

あんじゅに隣においでよと手招きをされる。

 

「失礼します」

 

車に乗る前に執事さんに軽く会釈をする。

 

「はい。足下にお気をつけください」

 

楯が乗り、最後に英玲奈が乗るとドアを閉め、運転席に戻る執事さん。

そして車を発進させる。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

そして冒頭に戻ってくる。

腕に抱きついているあんじゅと英玲奈。

此方…というより二人を睨んでいるツバサ。

何だかいたたまれない気分の楯。

 

「そういえば楯君は今どこの高校に通っているの?」

 

ツバサがふと思った疑問を楯に尋ねる。

 

「今通っている高校ですか?

 音ノ木坂学院ですけど」

 

「「「え?」」」

 

「え?」

 

「「「「……………」」」」

 

しばしの沈黙。

 

「…あっ」

 

やらかしてしまったと冷や汗が出てくる楯。

何が拙いのかというと、あそこは『女子校』という事実。

ましてや共学になったと聞いてもいないから疑問に思われても仕方ないのである。

 

「楯君…女装趣味があったの?」

 

「あら、でも楯君は顔も整ってるから女装しても似合いそう♪」

 

「楯はそういう趣向をもっていたとは少し驚きだ」

 

ツバサからは哀れみの目で楯を見つめ、あんじゅは楽しみが増えたと見つめ、英玲奈には驚愕される。

 

「いやいや女装趣味なんてないですよ!?

 僕もある意味騙されて入学したんですから!」

 

そう本来なら自分の他にも共学のテスト生がいるはずだったのだが、蓋を開けてみれば…男子は自分一人と最初は逃げ出そうとも思った。

しかし父さんとの約束を果たすために理事長としての立場を無視し、個人的な立場で入学をさせてくれたのだから頑張れるだけ頑張ろうと思っているのである。

 

「そうなんだ。少し安心したわ」

 

「まあ楯も色々苦労しているのだな」

 

「そうなの、でもせっかくだから今度私にコーディネートさせてほしいな~

 それに女子校だから、気になる子とかいるんじゃないの~?」

 

確かに男子は楯だけで後は女子という構成ならば、少なからず気になる子がいても不思議ではない。

 

「恋愛とかの気になるというのはいないです。

 でも個人的に助けてあげたいっていう子は何人かいますよ」

 

お人好しの楯はお節介と分かっていても、助けたいという気持ちの方が先行してしまう。

 

「それじゃあ今楯君は好きな人っていないの?」

 

「そうですね。

 それにこうやって自分に好意を寄せてくれている人がいるだけでも、僕にとって救いになっているんです」

 

心のどこかでまだ拭えない傷をこうして自分に少なからず接してくれるのは、楯にとって手放せない…。

いや手放したくない日常なのだろう。

しかしそんな日常が続いていくことは有り得ない。

必ず何処かで終わりはやってきてしまう。

それを知っているのに縋ってしまうのは、弱さなのか…その弱さを誰しも見せられないのはどうしてなのだろう?

誰かを護るため?

誰かに必要とされるため?

強いと主張したいが為?

違う…自分の弱さを見せるのが怖いだけ。

一歩踏み出して言う勇気が無いだけ。

声を上げて弱さを吐くことも泣くことも今は許されない。

その弱さが露顕したとき、楯が持つ弱さは儚く脆く崩れ去っていくことだろう。

その儚くも脆いモノは時が経つにつれ顕著になるであろう。

その時に闇から光へと連れ戻すのは幸多き光携える女神であらんことを……。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

それから暫く走るとツバサの家に着いたようだ。

門前から家までの距離長くない?と思う楯。

家の前に着き、待機をしていた違う執事さんとメイドさんが出迎えてくれる。

 

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

「ただいま。いつもありがとね」

 

「優木様、統堂様、お荷物をお預かり致します」

 

「ありがとう」

 

「ありがとね~」

 

こんな社交的な場所に慣れていない楯は傍観していれば良いかと思っていると。

 

「あ、あのお客様!お、お荷物をお預かり致しましゅ!」

 

日が浅いのか緊張しているメイドさんが噛んでしまう。

 

「ぷふっ!」

 

笑われたのと噛んでしまったことに羞恥してしまい、真っ赤になってしまうメイドさん。

 

「ごめん。悪気はないんだ。

 ただあんまりこういう場が慣れてないから、少し緊張を解させてもらって嬉しいよ」

 

「い、いえミスをしてしまったのですから、笑われても仕方ないですよ…」

 

「人が困ったり、苦しんでしまうミスは良くないと思うけど、今のミスは良いミスだと思うよ。

 誰にだってミスは付き物なんだから仕方はない。

 そのミスを生かすも殺すも貴女が忘れなければ、いつか役に立つときが来ると思いますよ。

 だから今は笑ってください」

 

楯はミスをしてしまったメイドさんに笑顔を見せる。

メイドさんはとても良い笑顔で「はい!」と答え、手荷物を預かり、一礼をして家の中に入っていった。

 

「学院でもあんな感じで落としてるのかしら」

 

「ライバルは多そうね~」

 

「無自覚なのがまた手強いな」

 

メイドさんとのやりとりの光景を見ていた三人は無自覚って怖いなと感じるのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

家の中に入るのだが、そこは別世界なのではと錯覚するぐらい煌びやかな装飾が施された家具や照明。

使用人がせっせと働いている光景は普通の人はまず目にはする事はないだろう。

そこに一人の女性がこちらに歩いてくる。

 

「おかえりなさい」

 

「ただいまお母さん」

 

どうやらツバサのお母さんのようだ。

 

「「お邪魔してます」」

 

「二人もゆっくりしていきなさいね」

 

「「はい、ありがとうございます(ま~す)」」

 

あんじゅと英玲奈はよく遊びに来ているのか、軽く返事をする。

 

「それでツバサ、彼がこの前の?」

 

「そうよ」

 

楯は周りの物珍しい家具などを見ていて、ツバサのお母さんが居るのに気付いていない。

 

「こんにちは」

 

「え?」

 

声を掛けられた方を向くとツバサによく似た人がいる。

 

「あら、時間的にはこんばんはかしら?」

 

「時間的には『こんばんは』でもいいのではないでしょうか?

 外は薄明でほのかに明るいので、人によっては『こんにちは』ということもあるでしょうから」

 

日没は場所や季節により差異が出てくるので、その人の感じ方で『こんにちは』『こんばんは』と変化していくであろう。

 

「あら高校生とは思えない回答が返ってきて、おばさん吃驚だわ!」

 

おばさんではなくお姉さんの間違えでは?と思う楯。

 

「もうお母さん、楯君で遊ばないの」

 

「でも家にツバサぐらいの男の子が来るのなんて滅多にないから弄りたくもなるじゃない」

 

「ええ!?綺羅さんのお母さんなんですか!?」

 

「ツバサの母の深羽(みう)です」

 

「はじめまして。城宮楯と申します。

 てっきり綺羅さんのお姉さんなのだと思っていました」

 

「あら♪私もまだまだ捨てたもんじゃないものね」

 

「そうですね、お二人が並んで歩いていても姉妹にしか見えないです」

 

「おべっかが上手いんだから」

 

「いえ、本当にそう見えますよ。

 僕も甘えられる上の兄弟が欲しかったな」

 

ことりのことを姉として慕っているが、やはり近しい存在の兄弟が欲しかった。

本音を言えばことりが本当の姉なら良かったと何度思ったことがあるだろうか。

 

「私も楯君みたいな弟が欲しかったな~」

 

あんじゅが何かをねだるような目線で訴えてくる。

 

「ふむ、楯が弟なら普段がもっと楽しくなりそうだな」

 

英玲奈も楯が弟ならと考える。

 

「わ、私も楯君が弟だったら嬉しいかも」

 

ツバサが頬を少し紅くし、髪を弄りながら言葉を発する。

 

「こんな可愛い子達がお姉さんだなんて、楯さんは幸せ者ですね」

 

微笑ましいですねと言わんばかりの笑顔を浮かべながら、ツバサ達の援護をする深羽。

 

「ねえ楯君、私のことお姉ちゃんって呼んでよ~♪」

 

「私のこともお姉ちゃんと呼んでほしい」

 

「私も私も!」

 

「ええっと…」

 

お姉ちゃんと呼ぶのは何だか気恥ずかしいのだが、呼ばなければ納得してくれなさそうだ。

 

「お、お姉ちゃん」

 

「お姉ちゃんだけじゃ誰に言ってるのか、分からないな~♪」

 

楯を弄るのが楽しくなってきたあんじゅ。

 

「やっぱりお姉ちゃんは気恥ずかしいよ。

 それだったらツバサ姉、あんじゅ姉、英玲奈姉って呼ぶほうが言い易いかな」

 

「あら、何だか言い慣れた感じがするわね」

 

「幼馴染の子がいて、小さい時から呼んでるんですよ」

 

「幼馴染がいるんだ。その子は何歳年上なの?」

 

「一つ上です」

 

「その子は可愛いのか?」

 

「そうですね、可愛いと思いますよ」

 

(まさかそんな伏兵がいるなんて!)

 

(今のところ、その幼馴染が一番の難敵ってところかしら~)

 

(ふむ、でも今は楯のお姉さんになってあげれれば私は嬉しいぞ)

 

「それじゃこれからは私の事は、ツバサ姉って呼んでね。それでね本当の姉のように慕ってほしい。

 ううん、ほしいじゃないわね。慕ってください」

 

「私の事もこれからはあんじゅ姉って気軽に呼んで、いつでも甘えてね。

 でもたまには私にも甘えさせてね。楯君♪」

 

「勿論私もだ。これからは私の事も本当の姉として慕ってくれ。

 私はツバサやあんじゅみたいに可愛くは出来ないが、楯の事を一番に想うことは出来る。

 甘えたい時は甘えて、甘えさせてほしい時は甘えさせてもらえる関係になれればいいなと思う」

 

三人は今は恋人とはいかなくても、自分に甘えてくれる弟のような存在でもいい。

先ずはお互いを知ることから始めたい。

それこそ小さき頃から良いところ、悪いところ、全てを知ってしまえる姉弟の関係のように。

血の繋がりが、あろうがなかろうがお互いを結ぶ絆とは何なのだろう?

友情?愛情?信頼?嫉妬?羨望?

それは勿論全てだ。

どれか一つでも欠けては相手の事を知ることなど不可能であろう。

傷つき傷つけられて初めて相手の六情、自分の六情を知ることが出来るのであろう。

その(こころ)は実を結ぶのに時間が掛かり、ちょっとした事で枯れてしまう。

しかしお互いがお互いを支え合い、何時しかこの世界で最も美しき気高い一輪の(こころ)に変わっていくことであろう。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

お姉ちゃん騒動が落ち着き、夕食が出来たとの事で案内されたのだが。

またその場所が煌びやかな彩りが施されたリビングともダイニングとはかけ離れた場所だった。

一言で言えと言われたら高級レストランのVIP席とでも言えばいいのだろうか。

あまりにも自分が住む日常と違いすぎて、どこに座ればいいのかもわからない楯。

 

「ほら楯君はここに座って!」

 

ツバサに手招きされる。

指定された席は所謂お誕生日席。

 

「は、はは」

 

乾いた笑いしか出てこない楯。

嫌とは言えないので素直に指定された席に座る。

 

「そういえばお父さんは?」

 

「急遽外せない仕事が出来てしまったみたいで、今日は遅くなるそうよ」

 

「そっか楯君と会えなくて、残念だわ」

 

「そうね、お父さんも楯さんに会いたがっていたのに残念よね。

 でも今日の主役は楯さんなのだから、お父さんは気にせずご飯を頂きましょう」

 

深羽さんがそう言うとメイドさん達がせっせと料理を運んでくる。

その運ばれてくる料理はどれも普段一般家庭ではテレビなどでしか見ることが出来ないであろう料理が並ばれていく。

 

「楯さん、遠慮はしないで好きなものをお食べになってね」

 

「ええ、ありがとうございます」

 

折角の好意を無下にしたくないので笑顔で応える。

テーブルマナーに関してそこまで詳しくはないが、前に何時か知識として覚えておけばよいと勉強をさせられたことを思い出しながら食を進めていく。

どの料理もやはりいつも食べている料理より、一味、いや二味も違う。

飽きが来ず、何度でも食べたくなる味付け。

 

「凄く美味しいです!」

 

本当に美味しいものを食べたときはこれしか言葉が出ないであろう。

テレビに出ているグルメリポーターのように次々と言葉など出てこない。

それにどんな飾られた言葉よりも心からの一言のほうが作り手としても嬉しいであろう。

 

「それは良かったです。

 まだまだ色々な料理があるので、心行くまで堪能してくださいね」

 

深羽は本当に美味しそうに食べる楯を見て微笑む。

それはさながら自分の小さな子供が睦まじく食事を楽しんでいる光景を見つめている母親の姿であった。

 

「楯君、これも美味しいわよ」

 

ツバサがお気に入りの一品をオススメしてくる。

 

「あら~こっちのほうがオススメよ」

 

あんじゅは違うものをオススメしてくる。

勿論英玲奈も。

 

「いやこちらのほうがオススメだ」

 

案の定違うものをオススメしてくる。

 

「どれも美味しそうですね。

 順番に頂きますね」

 

オススメされたものを順に食べていくが、やはりどれもやみつきになるほどの美味しさ。

 

「この料理ぐらい作れるようになるには、どれぐらいの研鑽を積めばいいんだろう」

 

「楯さんは御自分で料理をなさるの?」

 

「簡単なものしか作れませんけどね。

 流石にこの手の込む料理は作れないです」

 

レシピがあれば作れるが、人を魅了する味を出せるかはまた別の話である。

 

「じゃあ楯君!今度私に手料理食べさせて!」

 

「それなら私も食べたいわ~」

 

「私も食べてみたいものだ」

 

「そんなに期待してもこれより美味しいものは出てきませんけど」

 

「楯君が作ってくれたことが重要なんだよ!」

 

あんじゅと英玲奈もうんうんと頷く。

 

「それならいいですけど、あんまり期待しすぎてがっかりはしないでくださいね」

 

これほどの料理を毎日食べているツバサ達に振舞える料理ってあったかなと考えてみる。

 

「楯さん、娘が我が侭を言ってしまってごめんなさいね」

 

「いえ、僕自身料理を作るのは好きなので全然気にしませんよ。

 それにやっぱり作る側としては食べてくれる人がいるのは嬉しいことですからね」

 

少し表情に陰りが出てしまう。

ツバサ達はその陰りには気付かない。

しかしそれを機敏に感じる深羽。

子を持つ親としての感が働いたのかはわからないが、楯の心の奥底に宿る陰りを垣間見た。

もしもだが楯が何時かツバサと恋仲になり、結婚をしたとしよう。

その時は本当の息子の様に、いや息子として接し寄り添ってあげようと思うのであった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

楽しい食事の時間も終わり、少しだけ家の中を散策させてもらい、帰る時間になり今現在玄関前で車に乗ろうとしていた。

 

「楯さん、今日はお時間を割いていただいて、ありがとうございました」

 

深羽は深々と頭を下げる。

 

「とんでもないです。

 こちらこそこれほどの施しをしていただいて、本当にありがとうございました」

 

楯も頭を深々と下げる。

 

「またいつでも来てくださいね。

 私達はいつでも楯さんを歓迎致します」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

楯は一礼して車に乗り込む。

 

「それじゃあお母さん、皆を送ってくるわね」

 

「ええ、それじゃあお願いね」

 

深羽は運転席の執事に声を掛ける。

 

「かしこまりました」

 

一言だけ頷き、車を発進させる。

発進してから最初は会話に花を咲かせていた四人。

暫く車を走らせていると皆、満腹感や心地よい車の振動で眠くなってきてしまう。

 

「少し眠くなってきっちゃたわね」

 

「そうね~」

 

「もうすぐ統堂様の家にお着きしますよ」

 

運転手から目的地に着くと告げられる。

 

「楯…」

 

英玲奈が楯に別れの挨拶をしようと思ったのだが、楯の方を向くと既に寝息を立てている。

 

「起こすのも可哀想だから、このまま寝かしてあげよう」

 

「せっかくだから、こんな可愛い寝顔をカメラで撮っときましょうよ♪」

 

あんじゅはすぐさま携帯のカメラ機能で素早く一枚撮り始める。

 

「ずるい!私も撮るわ!」

 

ツバサも一枚撮り始める。

 

「それなら私も記念に一枚」

 

英玲奈も別れの挨拶代わりと一枚撮っていく。

するとカメラのフラッシュが眩しかったのか、顔を背けてしまう。

その時に鞄から何かが落ちる。

 

「あら、何かしら?」

 

ツバサは鞄から落ちた物を拾う。

 

「これって」

 

「うふふ」

 

「嬉しいものだな」

 

落ちた物はこの前買った三人のブロマイド。

 

「せっかくだからお姉さんから、ちょっとしたプレゼントをあげようかしら」

 

ツバサは自分の鞄から油性ペンを取り出す。

プレゼントとは自分のブロマイドに直筆サイン。

中々目にすることが出来ないA-RISEのサイン。

それをすらすらと書いていく。

 

「なら私も~」

 

あんじゅはツバサからペンを受け取り、サインを書く。

勿論ハートマーク入りで。

 

「最後は私からのプレゼントだな」

 

あんじゅからペンを受け取り、達筆でサインを書く英玲奈。

 

「相変わらず英玲奈は字が綺麗よね」

 

「ほんと惚れ惚れするぐらい綺麗よね~」

 

「そうか?あまり意識したことはないのだがな」

 

「字ってその人の性格が出るって言われるぐらいだもの」

 

「ふむ。まあ性格など、こんな事や血液型とかで測れるものではないと思うがな」

 

尤もな事を言う英玲奈。

 

「統堂様。お着きになりました」

 

「そうか、ありがとう。

 それじゃあ、また明日」

 

ツバサとあんじゅに別れの挨拶をし、楯の鞄にブロマイドを戻してから車から降りる。

 

「それでは次は優木様の家に向かいますね」

 

「お願い」

 

車を再度発進させる。

英玲奈の家からあんじゅの家は近いため、そこまで時間はかからない。

 

「あ~あ、楯君が私達の学院に入学してくれたらよかったのに~」

 

「しょうがないじゃない。

 楯君にだって色々事情はあるのだろうから、諦めなさい」

 

「ぶ~ぶ~」

 

頬を膨らませるあんじゅ。

 

「今度楯君にお願いして、デートでもすればいいじゃない」

 

「でもツバサ達も来るんでしょ?」

 

「日にちを変えて、一対一にすればフェアでしょ」

 

「う~ん、まあそれならいいかも」

 

「なら、今度デートプランを考えましょうか」

 

「そうしましょうか」

 

ふふっと二人で笑いあう。

 

「お着きになりましたよ」

 

「は~い」

 

楯の鞄にブロマイドを戻し、車から降りる。

 

「ツバサ、また明日ね~」

 

「ええ、また明日」

 

「それでは城宮様のご自宅に向かいます」

 

「ええ」

 

ゆっくりと発進。

車内にはツバサと楯の二人。

運転手は運転に集中しているので、こちらを窺いはしない。

赤信号で車が止まる。

その時、楯は体勢が辛くなったのか身体を横に倒す。

その倒れた先はツバサの膝の上。

所謂膝枕である。

 

「!!」

 

突然膝枕の体勢に吃驚するツバサだが、嫌ではないので…むしろ大歓迎。

内心嬉しさで心が躍っている。

 

「本当にこの子は人をドキドキさせるのが上手いんだから」

 

楯の頭を撫でるツバサ。

 

「……か、さん」

 

頭を撫でられると嬉しそうな顔で寝言を言う楯。

 

「お母さん…か」

 

お姉ちゃんと出なかったのは残念だが、こんなに安らかな寝顔が見れたのが嬉しいツバサ。

 

「今君はどんな夢を見てるのかな?

 私は君をいつでも想っているよ。

 たとえ最後に選ばれなくても、私は君の、楯のお姉ちゃんだからね。

 何か辛い事や悲しい事、嬉しい事や楽しい事、全部一緒に感じてあげる。

 二人でいれば辛さは半分以下になって、楽しくなることは二倍、ううんそれ以上にだってできるはず。

 だからいつまでも君の事を男として、弟として見守っていかせてね」

 

頭を撫でながら、ツバサ自身のこれからを聞こえていないであろう楯に告げる。

それは今まで感じたことのない感情の芽吹き。

一人っ子のツバサと楯。

どんな困難でも一緒に受け入れようと思うツバサ。

彼女はどんな想いで彼と彼を取り巻く困難を越えていくのであろうか。

それは神のぞ知ること。

いや違う……彼らが自らの手で希望という夢の花を掴み、咲かせていくことであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 第九話   これは誰の落し物?

 

 

 

 

 

 

 




日常の一コマ後編。

「そういえば最近ラブライブってやつ人気だよね」

何気ない姉貴の一言。

「そうだね」

「あんたってラブライブ好きなの?」

「好きだよ」

好きじゃなかったら小説など書いてないよ。

「何だっけ、確か南ことり?だっけ?」

「あーことりちゃんね」

「ことりちゃんだってきも~い!!」

「(゚Д゚)」

こんなやり取りがよく姉弟で行われております。
まあ私以外は非オタクですから仕方ないですね。

次の投稿はもう少し早く頑張りたいです。
ではではまた次回。
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