三月終わる前にもう一話投稿したい!と思っていたのですが、仕事とかが忙しくできなかった…。
今月も地味に忙しいので、早めに更新できたらいいなと思っています。
ではでは本編をお楽しみください!
日曜日も無事終わり、新しい週の始まり。
楯はクラスメイトと約束していたクッキーを朝教室に付いてから配り始めた。
「やったー!城宮君ありがとー!」
「また暇があったら焼いてきてね」
「我が世の春がきたぁぁぁー」
「これで後十年は戦える…」
「ありがとにゃー」
何か変な声が聞こえた気がするが気にしない。
(あと渡せてないのはあの二人かな)
楯は眼鏡をかけた子に渡しにいく。
「ええっと、小泉さんだったよね?これ良ければ食べてね」
「え?私にも良いんですか!?」
声は小さいが凄く驚いてる花陽。
「もちろん。まあ友好の証じゃないけど、友達になってくれると嬉しいな」
「わ、私なんかで良ければ…」
「ありがとね。これからよろしく」
「よ、よろしくお願いします」
楯が笑顔で話すのだが、話すのが苦手なのか少し俯いてしまう花陽。
「小泉さん、気軽に話してかけてね」
楯はもう一人渡してない子のほうに向かってしまう。
(私にもあれだけの行動が出来たらな)
花陽は楯の行動力や明るい性格が少し羨ましく思えた。
しかし中々自分を変えることが出来ないでいるのが、現状なのである。
友達の凛は自分のことを応援してくれているのに内気な自分の殻を破ることができない。
自分の殻を破り、内気な自分を変えるきっかけが出来ることを願いながら…。
「西木野さん」
「何?」
楯は渡せてないもう一人の真姫の席にいき、声をかけた。
「これどうぞ。味の保証は出来ないけど」
楯はクッキーを渡す。
「別にいいわよ」
「そっか。なんかごめんね」
楯はクッキーを持って、自分の席に戻っていく。
「あ…」
真姫は相手からの厚意を素直に受け取れないときがある。
しかしそれは相手を拒絶しているわけではなく、真姫なりの照れ隠しとかでもあった。
真姫はいつから素直に相手の厚意を受け取らなくなったのか、思い返しても思い出せない。
自分の将来を決められて、好きなことも中々できずに。
自分にだってやりたいことだって、たくさんあるが自分を囲う鳥籠からは出られない。
こんな自分をいつしか狭い鳥籠から、広い世界に連れ出してくれる人が現れると信じて…。
***
お昼休みになり、お昼をどこで食べようかと思っていると。
「楯君~!」
ことりが楯を呼ぶ。
「どうしたんですか、南先輩?」
「一緒にお昼食べようよ」
「ええ、構いませんよ」
楯はお弁当を持って、ことりについていく。
周りからは声をかけるのが遅れたとか、まさか付き合ってるのかなとかの声が続々出てくるのだった。
「楯君連れてきたよ」
連れてこられたのは中庭。
すでにパンを美味しそうに頬張っている穂乃果。
「今日もパンが美味いっ!」
「高坂先輩、頬張るのはいいですが、口元にクリームがついてますよ」
楯はハンカチを取り出して拭いてあげる。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
子供っぽいところを見られたのが恥ずかしかったのか、少し赤くなる穂乃果。
楯も座り、弁当箱を開けて食べ始める。
「相変わらず楯君は自分で作ってるんだね」
「まあ二人分作る分には苦労しませんからね」
「その唐揚げ美味しそう!」
穂乃果は楯のおかずの一つの唐揚げが欲しいようだ。
「これですか、食べてみますか?」
「いいの!?」
「ええ、どうぞ」
お弁当とお箸を受け取り食べる穂乃果。
その姿は本当に可愛らしいなと思う楯。
「城宮さん、あんまり穂乃果を甘えさせてはいけませんよ」
「許容範囲内は許してあげてください、園田先輩」
「海未ちゃん!城宮君のお弁当…凄く美味しいよ!」
「穂乃果、食べながら喋るのは行儀が悪いですよ」
「まあまあ、ほら海未ちゃんももらって食べてみなよ!」
「いや、それでは城宮さんに悪いですし」
「構いませんよ、園田先輩もお好きなやつを一つどうぞ」
「それでは、この煮物を頂きます」
「どうですか?」
「本当に美味しいですね。城宮さんはいつも自分でお弁当を?」
「そうですね。料理を作ることは好きなので」
「本当に素晴らしい後輩で私は嬉しいです。それに引き換え穂乃果ときたら…」
穂乃果は次のパンに夢中のようだ。
「楯君!私にも何かちょうだい♪」
ことりもねだる。
「どれが欲しいんですか?」
「うーん、じゃあ玉子焼き!」
ことりは楯のほうを向いて、口をあーんとあける。
「自分で食べてください」
「そ、そうですよことり!そんなこと破廉恥です!」
「おおっ!これが噂のカップルがするやつだね!」
海未は人の目の前で恥ずかしいことをと思っていて、穂乃果は中々お目にかかれないものを見たいのか目が輝いている。
「楯君。あーんして///」
穂乃果の『カップル』という単語を聞いて、嬉しくなっていることり。
楯はさっさと終わらせればいいかと、ことりに玉子焼きを食べさせてあげる。
「うん!いつ食べても美味しい!」
満足気のことり。
顔を赤くしている海未。
やってもらいたいと思ってしまう穂乃果。
「それより何かあって、僕を呼んだんじゃないんですか?」
「特にないんだよね。あ!今度新入生歓迎会の放課後にライブするから頑張ろうね!」
「何を頑張るんですか?」
「もちろん練習!」
「………………」
思考がストップしている楯。
練習を頑張る?俺は何の練習をさせられるんだ?踊るの?
「おおーい!城宮君、大丈夫?」
「は!?大丈夫です」
「もうライブの場所は確保してあるんだよ」
「早いですね。どこを借りたんですか?」
「聞いて驚くことなかれ!なんと講堂を借りちゃいました!!」
「行動力は認めますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫!皆見に来てくれるよ!」
「頑張ろうね。穂乃果ちゃん!」
「不安しか出てきません…」
「不安だ…」
この選択が苦く痛い最初の一歩になるとは思ってもいなかった…。
その後はたわいもない話で盛り上がる四人であった。
***
放課後になり、楯は穂乃果に連れられ二年の教室に連行されてしまう。
「連れてきたよー」
「出来た~!見て見て!」
ことりは三人にスケッチブックを見せる。
そこには衣装が描かれていた。
「おおー!可愛い~!!」
目をキラキラさせている穂乃果。
「本当?ここのね、カーブのラインが大変なんだけど作ってみようと思うの」
(相変わらずことり姉はデザインセンスとか凄いよな)
楯も何度か服を作ってもらったことがある。
ファッションに関しては動きやすい服が一番な楯に、コーディネイトしてあげた結果……逆ナンされてしまうのだった。
それ以降ことりには参考程度にしか付き合ってもらっていない。
「ことり。ここのスゥーと伸びているのは何でしょうか?」
「脚よ」
「素足にこの短いスカートはないのでは?」
「アイドルだもん。これぐらいは普通だよ」
海未は自分の太ももから膝下を見つめる。
太くないか気にしているのだろう。
「大丈夫!海未ちゃん、そんなに脚太くないよ!」
「人の事を言えるんですか!」
勢い余って席から立ち上がる海未。
それを聞き、自分の足を触る穂乃果。
「よし!ダイエットだ!」
「二人とも大丈夫だと思うけどな」
「右に同じくで」
ことりと楯は全然細いほうだと思うのだった。
「それよりも他に決めておく事って、一杯あるよね。
サインに、街を歩くときの変装に…」
指で数えながら、今はいらない事まで考えてるようだ。
「そんな事必要ありません」
「ええっ!?」
「それより…グループの名前決めてないよ」
「「おおっ!」」
「おお!じゃないですよ」
四人はグループ名を考え始める。
しかし安直な名前しか出てこない。
「中々良い名前が思い浮かばないね」
「私達に何か特徴があればいいのにね」
「私達の性格はバラバラですし」
「じゃあ、単純に三人の名前を使ってみようか」
「それじゃあ芸人さんと変わりませんよ」
「確かに漫才師ですね」
「だよね…。そうだ!海未ちゃんの『海』にことりちゃんは『空』で私は『陸』!合わせて陸海空!なんてどうかな?」
「全然アイドルっぽくないよ」
「だよねー。ううっ思いつかない」
「それなら他の人の意見も取り入れてみてはどうでしょう?」
「それだ!」
穂乃果は答案箱作り、ライブのポスターに『グループ名募集』と書き加え、箱を設置する。
「結局丸投げですか」
「これのほうが、皆もさらに興味を持ってくれそうだし」
「そうかもしれないね」
「ようし!お次は歌と踊りの練習だ!」
意気込んで中庭に行ってみたが、他の人たちが使用していて使えない。
その次にグラウンドに体育館を回るが、部活動が活動中の為使えるわけもなく。
空き教室は鍵がかかっている始末である。
先生に空き教室を使えないか聞きにいく。
「空き教室を?何に使うんだ?」
「スクールアイドルの練習をしようと…」
「お前達がアイドル?ふっ!」
鼻で笑う先生。
「鼻で笑われた!」
「今回は使用許可は出せないから、諦めろ」
使用許可は下りないのであった。
「で…」
「ここしかないようですね」
最後に辿り着いたのは屋上。
「日陰もないし、雨が降ったら練習できないけど、贅沢は言ってられないよね」
「うん。でもここだったら音とか、他の人を気にせず済みそうだね」
「それじゃあ頑張って練習しましょうか」
「「「おおおーーー!!!」」」
意気込む三人。
まずは歌の練習をするのか整列する。
「まずは歌の練習からいくよ」
「「はい!!」」
楯は地べたに座り三人を見ている。
しかし一向に進まない。
というか沈黙が苦しい。
「あ、あれ?曲は?」
「私は知りませんよ…」
「…私も」
「なぜ曲がないのに、歌の練習になったし…」
四人はしばらく固まったまま、時は進んでいく。
***
所変わり、先ほどのポスターを眺める子がいた。
「…アイドル」
眺めているのは花陽である。
「かーよちん」
花陽の一番の友達の凛が花陽を見つけ、近づいてくる。
「り、凛ちゃん!?」
「どうしたの?」
「え!?いうぁ…うぅん…」
凄い目が泳ぐ花陽。
「な、なんでもないよ」
少し俯いてしまう花陽。
「じゃあかーえろう」
「う、うん」
花陽はポスターが気になってしまう。
そこに花陽に近づいてきて、後ろに立つ人が話しかけてくる。
「なに、これ?」
「さ、さぁー?」
自分は知らないですと白を切るのであった。
***
「お待たせしました」
「いえ、そこまで待ってないので」
海未の部活終わりを待っていた楯。
「それでは穂乃果の家に行きましょうか」
穂乃果とことりは先に行ってしまっているので、用事があった楯は海未に案内してもらうことにしてもらったのである。
「園田先輩は弓道部でしたよね?」
「ええ、そうです」
「今度よろしければ見学をしてみたいのですが、いいでしょうか?」
「もちろん城宮さんみたいな方は大歓迎です」
「では近いうちに見学させてもらいます」
「城宮さんは弓道とかされたことは?」
「ほんの少しだけ父から教わりました」
「そうですか。でしたら見学のときに射を見せてもらいたいです」
「本当に素人ですけど、大丈夫ですか?」
「至らないところは、私が教えてあげますよ」
「それはありがたいです」
今度弓道部を見に行くと約束をしてから、5分ぐらい歩いたら穂乃果の家に着いた。
穂乃果の実家は和菓子屋さんのようだ。
「ここが穂乃果の家で、ここのお饅頭はとても美味しいんですよ」
「そうなんですか。じゃあ帰りに買ってかえろうかな」
入り口の戸を開け店に入る海未と楯。
「あ、あらいらっしゃい」
お店に入ると和菓子を食べている人が出迎えてくれる。
この人が穂乃果のお母さんなのだろう、とても似ている。
「こんばんわ。穂乃果は?」
海未は挨拶をして、穂乃果がどこにいるか尋ねる。
「上にいるわよ。それより海未ちゃん、その子は彼氏?」
楯の方を見て彼氏かと聞く。
「ち、違います!学院の後輩です!」
顔を真っ赤して否定する。
絶対この人分かっててからかっているのだろう…悪戯したときの顔をしている。
「あら、ついに海未ちゃんにも春がきたと思ったのに」
やはりからかっているようだ。
「始めまして。城宮楯と申します。高坂先輩、園田先輩にはお世話になっております」
「とっても礼儀正しい子ね。家の子達に見習わせたいぐらいだわ」
「ええ、まったくです」
主に穂乃果に対して言っているのであろう。
噂をされた穂乃果は。
「くしゅん!」
「大丈夫?穂乃果ちゃん?」
「平気平気。お団子美味しいね」
「幸せだよー」
ダイエットのことを忘れている二人。
穂乃果の母は。
「二人ともお団子食べる?」
「いえ、けっこうです。ダイエットをしないといけないので」
「僕も結構です。帰りにお饅頭を四つ頂きたいのですが」
「じゃあ帰りに包んであげるわね」
「ありがとうございます」
二人は穂乃果の部屋に向かう。
部屋に入った瞬間、お団子を頬張っている二人を見て唖然とする海未。
「お団子食べる?」
「今お茶いれるから、ちょっと待ってね」
「貴女達…ダイエットは?」
「「…ああっー!!」」
顔を見合わせ慌てる二人。
「はぁ。努力しようとする気がないようですね。それで曲のほうはどうなりましたか?」
「うん!一年生に凄く歌の上手い子がいるの!ピアノも上手で、きっと作曲も出来るんじゃないかなって思ってるんだ。
だから明日その子に会って、聞いてみようと思うの」
「もし作曲してもらえるなら、作詞はなんとかなるよねって話してたんだよ」
「なんとか…ですか?」
「誰か当てがあるんですか?」
「うん!」
「ねえー!」
二人は身を乗り出し、海未を見つめる。
なぜに海未を見つめるのかわからない楯。
「海未ちゃんってさ~、中学のときに『ポエム』書いてたよね?」
「私達にその『ポエム』を読ませてくれたもんね?」
ポエムという単語を強調して言う二人。
「え!?ぅ…ぅう…」
海未は脱兎の如く逃げ出した。
走り出す体勢が良くなかったのか、机の脚に足が当たってしまい、倒れそうになる。
楯は受け止めようと手を伸ばすが、上半身だけでは支えるのは難しかったのか一緒に倒れてしまう。
「いたたた」
「いつつつ」
「ワーオ」
「海未ちゃん……?」
穂乃果は海未ちゃんが大胆になったと思い、ことりに至っては目から光がなくなっている。
それもそのはず、楯と海未は今上下に重なっている状態で、海未が楯に抱きしめられいるような状態。
「園田先輩、だいじょう…ぶ……」
「ええ、だいじょうぶ…で……す?」
二人はお互いの顔が近くにあり、もう少し近付けば『キス』ができてしまうぐらいの距離。
純情な海未は顔が真っ赤になり、楯も同じくらい赤くなる。
楯は急いで海未を抱き起こして離れる。
「ご、ごめんなさい!」
「いえ!私のほうこそごめんなさい!」
二人して赤くなったまま謝る。
硬直してる海未に追撃をする穂乃果。
「で、海未ちゃ~ん。『ポエム』のことでさ~」
海未は今度こそ部屋から逃げようとするが、捕まってしまうのだった。
***
少し落ち着いた海未。
穂乃果達に『歌詞』を書いてくれと頼まれるが…。
「お断りします!」
「ええー、なんで!?」
「海未ちゃ~ん」
「絶対に嫌です!
中学のときのあれを思い出すこと自体、私には恥ずかしい事なんですから」
「ほら、『アイドルの恥は掻き捨て』って言うじゃない」
「言いませんよ!」
「でも、私は衣装作りで精一杯だから、作詞とかには手が回らないよ」
「穂乃果が作ればいいじゃないですか。
言い出したのは、貴女なのですから」
「いやー、私には無理だよーえへへへ」
笑って誤魔化す穂乃果。
穂乃果は小学生のとき…。
「おまんじゅう、うぐいすだんご、ようかんはもうたべあきた」
こんな作文を書いて、発表をしていたのだ。
「海未ちゃん…無理だと思わない?」
「それは…」
ことりが海未に賛同を求める。
楯も流石にそれは…と賛同するしかなかった。
「お願い!海未ちゃんしかいないんだよ!」
「私達も出来る限り手伝うから!何か元になるものだけでもお願い!」
「園田先輩、僕からもお願いします。
力になれるかわかりませんが、サポートは全力でしますので」
三人が海未に頭を下げる。
海未にことりの追撃が加えられる。
「海未ちゃん!お願い(エコー)」
潤んだ瞳であんなに可愛らしい声で懇願されては誰も断れない、ことりの強力なスキルであった。
楯も何度あれに負けたことやら…。
「もう…それはずるいですよ、ことり」
根負けしてしまう海未。
「「やったー!」」
「さっすが海未ちゃん!そう言ってくれると信じてたよ!」
「ただし、ライブまでの練習メニューは、私と城宮さんで決めさせてもらいます」
「「練習メニュー??」」
「僕も一緒に考えるんですか?」
「ええ、城宮さんは二人と違って、基礎体力が出来ているはずです。
ですので、私と一緒にコーチをやっていただきたいのです」
「それは構いませんが、僕教えるの下手ですよ?」
「大丈夫です。穂乃果、パソコンでA-RISEの踊っている動画を開いて再生してください」
海未は穂乃果に動画を開くように指示をする。
「これでいいの?」
A-RISEの動画を再生する。
「彼女達は楽しく歌って、踊っていますが、ずっと動いてるでしょう。
それでも息を切らさず、笑顔をで踊り続けるのは、かなりの体力が必要なのです」
確かにこれだけ動くのなら、基礎体力がしっかりしていないとすぐにばててしまう。
そんな醜態を見せては、スクールアイドルの活動など夢のまた夢だ。
(それにしても、綺羅さん、統堂さん、優木さんって歌も踊りもこんなに上手かったのか。
これは人気になって、隼や乃愛ちゃんもファンになるのも頷ける)
楯は三人のことを思い出す。
あの出会った夜の三人から言われた言葉を思い出し、顔が赤くなってしまう。
「城宮君、顔赤いけど大丈夫?」
「え?だ、大丈夫です」
「楯君、ことりに隠してないかな?」
ことりから黒いオーラが見えるのは気のせいだろうか…。
「隠してないです。ただA-RISEの人達は凄いのかと思っていただけです」
「それならいいけど」
なにがいいのかわからない楯。
「穂乃果、ちょっと腕立て伏せの姿勢になってください」
「ふぇ?」
なんで?の顔をしているが、腕立て伏せの姿勢になる。
「これでいいの?」
「それで笑顔を」
「これでどう!」
良い笑顔だけど、もうすでに腕が耐え切れないのか、プルプル震えている。
「その表情のまま、腕立てができますか?」
「う…うう…うわわぁ!」
一回も出来ずに顔から落ちる。
これはそうとう体力作りしないと厳しいのでは?と思う楯。
「いったーい!!」
「弓道部で鍛えている私はともかく、穂乃果とことりは楽しく歌えて、踊れるだけの体力を身につけなくてはなりません」
「そっか、アイドルって大変なんだね」
「はい。ですから、明日の朝から特訓です!」
「「明日から!?」」
「当たり前です!」
「ちなみに城宮さん。手本で笑顔のまま、腕立てはできますか?」
「多分出来ると思います」
楯は腕立て伏せの姿勢になり、笑顔のまま腕立てをこなす。
腕立てのスピードを緩めることなく、50回は軽々やってしまう。
「は、早いですね」
ここまで早いとは思っていなかった海未。
「ここまでやれとは言いませんが、二人の目標は笑顔でこなせるようになることが、当面の目標でしょうか」
「うん!頑張るよ!」
「私も頑張る!」
「では明日、6時から開始しますので」
「はやっ!」
「起きれるかなー」
穂乃果とことりは起きれるか心配になってきた。
「城宮さんも寝坊しないよう頑張ってください」
「わかりました」
その後海未と練習メニューを簡単に考え、お饅頭を包んでもらい帰るのであった。
***
翌日。
「園田先輩、おはようございます」
「城宮さん、おはようございます」
今現時刻、朝の5時45分。
場所は穂乃果の家の前。
集合を穂乃果の家の前にしたのである。
「おはよー!楯君!海未ちゃん!」
「おはようございます、南先輩」
「おはようございます、ことり」
後は穂乃果だけだが……。
「お、おはよう。ふわぁぁー」
寝惚け眼で欠伸をしながら登場の穂乃果。
「さて、じゃあまずは軽く身体をほぐしてから、ランニング、筋トレと移っていきます」
「「はーい」」
「わかりました」
四人は近場の公園でストレッチをし、次に5キロ弱のランニング、そして腕立て、腹筋、背筋の筋トレをやっていき………トリは神田明神の階段ダッシュ。
楯としては、運動に慣れてない二人には膝の負担が激しいダッシュはやらせたくないのだが、時間が圧倒的に足りないので、仕方なく回数を極端に減らし取り入れる。
もちろん慣れてきたら、徐々に回数も増やすことを視野に入れて。
海未が一番上でタイムを計り、二人はスタート位置につく。
「よーい、どん!」
その言葉と同時に上がっていく二人。
最初こそ勢いがあるが、三分の一ぐらいから失速していく。
三分の二辺りでは一応走れてるかなって感じ。
最後は必死にジャンプしてるみたいな走り方で上っていく。
「ひぃ、はぁ、き、きついよー」
「足が動かないよー」
「朝の練習はこれでおしまいです。お疲れさま二人とも。
ですが、これから毎日朝と晩にこれを、ダンスと歌とは別にやってもらいますので」
「一日二回も!?」
「ええ!!?」
「やるからにはちゃんとしたライブをやります!
そうじゃないと生徒は集まりませんので」
「…はーい」
「そろそろお願いします」
「次は楯君の番だよね?」
「ええ、城宮さん準備はいいですか?」
「大丈夫です」
「では、よーい、どん!」
勢い良くスタートをする楯。
スピードも落とさず、順調に上っていき、難なくゴール。
ほとんど肩で息をしていないのは、普段からの鍛錬の賜物である。
まあ普段、猛達との訓練は地獄に近い練習メニューだから当たり前である。
この訓練風景は後のお話で……。
「うわ!城宮君のタイムが私達の半分切ってるよ!」
「さすが楯君だね!」
「これぐらいできないと、あの人たちについていけないので」
「確かにそうかも」
ことり一人だけが納得してしまう。
「何々。城宮君は何か特別な練習でもしてるの?」
「いえ、特には。もし機会がありましたら、参加してみます?」
「面白そう!やってみたい!」
「私も少し興味があります」
「では、暇なときに案内しますよ」
「やったー!」
「よろしくおねがいします」
この時ふたりはまだ知らなかった。
楯の練習メニューが過酷だとは知る由もなかった……。
「君達」
「あれ?副会長さん?」
「朝から頑張ってるんやね」
「その格好は?」
「ここでお手伝いしてるんや。
神社とかは色んな気が集まる、パワースポットもといスピリチュアルな場所やからね。
四人とも階段を使わせてもらってるんやから、お参りぐらいはしていき」
「はーい!」
元気に返事をする穂乃果。
四人は、パンパン!と手を叩き、手を合わせ神様にお祈りする。
「初ライブが上手くいきますように!」
「「うまくいきますように」」
(三人が怪我や体調を崩さないようお願い致します)
後ろからお祈りしている姿を見つめている希。
「あの四人、本気みたいやな」
希は四人が本気なのを再確認できたのを心から喜ぶのだった。
次回 これが私達の最初の一歩を踏み出す歌
いかがだったでしょうか?
次は真姫ちゃんに曲を作ってもらうお話です。
楯は真姫ちゃんと仲良くなれるのかな?
ではでは次回もよろしくお願い致します。