ラブライブ!一年男子は俺だけ・・・えっ?   作:飛翔翼刃

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やっと完成しました~。
今日は真姫ちゃんの誕生日ですね!真姫ちゃん誕生日おめでとう!!
本当は誕生日のお話作りたかったけど、作る暇なかったからそれに関するお話は番外編で作る予定…(´・ω・`)

ではでは本編をどうぞ!


第七話   ファーストライブまで後5分!?

 

 

 

「位置について、よーいどん!」

 

海未の合図と共にスタートする穂乃果と楯。

少しは慣れてきて、体力もついてきたのかタイムが着実に伸びている穂乃果とことり。

 

「うわーまた負けた!」

 

楯に遅れることゴールした穂乃果。

 

「何時から競ってたんですか?」

 

「最初からだよ!」

 

「まだまだ高坂先輩には負けないですよ」

 

「あはは…なんだろう、いつまでも勝てない気がするのは私だけかな」

 

「別に競う必要はないのでは?」

 

「いや目標は城宮君を最後には倒して平和を勝ち取ることだ!」

 

「それ言葉の意味的にいかんでしょ」

 

楯をRPGのボスにする穂乃果。

走りこみの次はダンスの練習。

 

「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト」

 

海未のカウントに合わせて、テンポを計る。

 

「ことりちゃん、左手が少しずれてるよ」

 

「うん」

 

お互いを意識して、ずれている所や気になる所はすぐに指摘していく。

次は海未も加わり、三人の動きを確認していく。

 

「穂乃果!」

 

「ここでタッチ!」

 

海未と穂乃果がタッチで位置を交代していく。

さらにテンポを上げ、集中力が上がっていくにつれ三人の動きが良くなっていく。

 

「良い感じですね!」

 

「うん!これを維持しないとね」

 

「先輩方。そろそろ軽く休憩を入れてくださいね」

 

疲れを感じさせない動きだが、まだまだ体力が続くわけではないのでしばし小休止。

楯は三人が休んでいる間も日課の素振りをしている。

 

「298、299、300っと」

 

朝の素振りはお終い。

穂乃果達も飲み物をちょうど買ってきて、戻ってきた。

 

「はい、楯君」

 

ことりから飲み物を渡される。

 

「ありがとうございます。南先輩」

 

「それにしても城宮君って毎日素振りしてるよね」

 

「ええ。これはもう日課ですからね」

 

「いつもどれくらいやってるの?」

 

「朝が300回、夜に300~500回ぐらいですかね」

 

「よくそれだけ振れるね」

 

「慣れですよ。小さい頃から毎日やってるんで、これでも少ないほうなんですよ」

 

「本当にこの真面目さを誰かに見習わせたいぐらいですね」

 

海未は誰とは言わないが穂乃果であろう。

 

「授業中に少し居眠りしてるもんね、穂乃果ちゃん」

 

「いや~練習を頑張るあまり、授業に身が入らなくって」

 

テヘヘと笑う穂乃果。

 

「いや、それは本末転倒では?」

 

「大丈夫!テストは一夜漬けすれば!」

 

「よく進級できましたね」

 

「日頃の行いがいいからね!」

 

「よくないですね」

 

「よくはないかな」

 

「よくなさそうですね」

 

「皆酷い!!」

 

穂乃果でからかう三人。

階段のところからこちらを窺う人影がいる。

 

「おお!あれは!おーい!西木野さーん!!」

 

「ゔぇええぇ!?」

 

「真姫ちゃーん!」

 

逃げようとした真姫は穂乃果の大きな声に呼び止められる。

真姫は穂乃果の傍に行き。

 

「大きな声で呼ばないでよ!」

 

「どうして?」

 

「恥ずかしいからに決まってるでしょ!」

 

まあ普通は大声で呼ばれたら困るよね。

 

「おはよう。西木野さん」

 

「おはよう。城宮君」

 

「そうだ。あの曲三人で歌ったんだよ!真姫ちゃんに聴いてほしいんだ」

 

「はぁ!?なんで私が聴かなくちゃいけないの?」

 

「だってあの曲…真姫ちゃんが作ってくれた曲なんでしょ」

 

「だから私は曲なんて作ってないって言ってるじゃない」

 

あくまで曲など作っていないと言い張る真姫。

 

「まだ言ってるのですか」

 

「西木野さんはもっと誇って良いと思うんだけどな」

 

「うぅ…城宮君」

 

楯には少し素直な真姫。

 

「ふふふ、ガオー!」

 

穂乃果は怪獣になった。

真姫の耳に口を近づける。

 

「な、何する気よ!?」

 

「イッヒッヒッヒ」

 

「い、いやーー!」

 

悪人面の穂乃果にこちらに助けを求めてくる真姫。

次の瞬間。

 

「えい」

 

穂乃果は真姫の耳にイヤホンを入れる。

 

「え?」

 

「いよっし。作戦成功♪」

 

「はぁ、仕方ないわね」

 

イヤホンが入っている耳に意識を集中する真姫。

 

「結構上手く歌えてると思うんだ。じゃあいくよ!」

 

「「「ミュージックスタート!」」」

 

穂乃果、海未、ことりが一緒にスタートボタンを押す。

流れたのは三人の歌声ではなく、某夢の国のパレードで流れる音。

 

「「「「……………………」」」」

 

「ふと行きたいなと思っちゃって」

 

動画でも見たのだろうか。

これもネズミの仕業に違いない。

くだらない事は置いといて、三人の歌声を真姫は少し辛口な評価で採点するのであった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

(あの宣伝チラシを取りに行くのは、あの二人が通り過ぎてから…)

 

ファーストライブまで着々と迫りつつある。

皆に知ってもらうために、チラシを作って設置することしたのだ。

 

「ねえねえ、どこの部活に入るか決めた?」

 

「ううん、まだ考え中なんだよね」

 

「じゃあさ、スクールアイドルなんてどう?」

 

「ええ!?私には無理だよ~」

 

どの部活に入ろうか悩む一年生二人組み。

 

(今ならいける!)

 

普段のおっとりしてる彼女からは想像できない速さで奪取する。

そのチラシを見てご満悦な花陽。

 

「おはよう。小泉さん」

 

「おはよう」

 

「はぃいい!!?」

 

楯と真姫に突然挨拶され吃驚する花陽。

 

「大丈夫?」

 

「だ、大丈夫…です」

 

凄くぎこちない返事をする花陽。

 

「城宮君、私先行ってるわよ」

 

「わかった」

 

真姫は先に教室に向かう。

 

「そのチラシ…ライブ観に来てくれるのかな?」

 

「は、はい。観にいこうと…」

 

「僕も当日は観客の一人として観にいくから、一緒に観にいこうよ」

 

「ええっと、その、あの…」

 

一緒に観にいこうと誘われる花陽だが、異性から誘われるとは思っておらずテンパリ始める。

 

「小泉さん、一回深呼吸しよう」

 

花陽はスーハースーハーと深呼吸をする。

深呼吸をしたおかげか落ち着いた。

 

「当日までに決めてくれればいいさ。

 他に約束してる人がいるなら、そっちを優先してね」

 

楯は花陽にそう言って、チラシを一枚取って教室に向かっていく。

 

「本当に城宮さんは行動力があって羨ましいな」

 

花陽も教室に戻っていくのであった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

放課後になり、穂乃果とことりの二人に秋葉原の駅前に楯と海未は連れてこられていた。

 

「なぜここにチラシを配りに来たんですか?」

 

「それは海未ちゃんがね…」

 

それは朝の出来事が原因らしい。

 

「あれ?貴女達、スクールアイドルやってる人達だよね?」

 

「はい!グループ名はμ'sって言います」

 

「ミューズ?ああ!石鹸の「違います」」

 

即座に否定する海未。

いや普通の人が聞いたら、石鹸しか出てこないと思うよ。

 

「私の妹がね、ネットで貴女達を見かけたって言ってたわよ」

 

「本当ですか!?」

 

ネットで見かけたと聞き、嬉しくなる三人。

 

「明日ライブやるんだよね?」

 

「放課後にやりますよ!」

 

「どんな風に踊るのか気になるな!少しでいいから踊って見せてほしいな!」

 

「ええ!?此処でですか?」

 

生徒が登校している道の真ん中で踊るのはどうしたものかと考える。

 

「ほんと少しでいいからさ」

 

「あぁ…」

 

海未はいざ人前で踊るとなったらと考えると、緊張や羞恥心のほうが勝ってしまい逃げ出してしまいそうになる。

 

「うふふ」

 

何か思いついたのか、凄く悪そうな笑顔を浮かべる穂乃果。

それを見て話しかけてきた二人組みは引き気味になってしまう。

 

「いいでしょう。もしライブを観に来てくれたら、ちょこっとだけお見せしてもいいですよ~。

 ええ、お二人様だけ特別にね」

 

「お友達も連れてきてくれたら、もう少しだけサービスしちゃおうかな」

 

穂乃果とことりは数少ないチャンスを活かそうと『踊り』という餌でお客を釣ろうとする。

 

「ほんと!?」

 

「いくいく!観にいくよ!」

 

「毎度あり~!それじゃあ頭のところだけ」

 

穂乃果とことりは並ぶのだが、一人足りない気がする。

 

「あれ?もう一人の子は?」

 

「「え?」」

 

辺りを見渡すが海未の姿が見当たらない。

 

「あれ?海未ちゃんがいなくなっちゃった!」

 

まさかの海未が逃亡したのであった。

それから二人は屋上にいる海未を見つける。

 

「二人とも…やっぱり私には無理です…」

 

「どうしたの海未ちゃん?

 海未ちゃんなら絶対にできるよ」

 

海未を励ます穂乃果だが。

 

「できますよ。歌や踊りはちゃんと練習してきましたから…。

 でも、人前で歌や踊りを披露する事を想像すると駄目なんです…」

 

それはそうだろう、いくら武道等を習っていて、それを披露するのとはベクトルが違うのである。

だからこそ初めてであろう大勢の人前で披露することへの重圧に負けてしまい、先程逃げてしまったのである。

 

「そうだ!そういうときはね、お客さんを野菜とかに見立てて思えば大丈夫だってお母さんが言ってたよ」

 

お客相手にそう思うのは失礼だが、緊張を少しでも和らげるには仕方ないことなのかな…。

 

「野菜ですか?」

 

海未はお客さんが野菜だとイメージをしてみる。

 

「皆ー!それじゃあいっくよ~!!」

 

普通に農業を生業としている姿の海未しか出てこない。

 

「まさか私に一人で歌えと!?」

 

「どんなイメージを思い浮かべたの海未ちゃん」

 

「穂乃果が野菜というから、周りには野菜しか出てきませんよ!」

 

まあ野菜と聞けば、いつも目にしている野菜の形しか出てこない。

頭だけ野菜の人型がいたら、リアルならダッシュで逃げるよ。

 

「どうしよう…困ったな~」

 

「でも海未ちゃんが辛いなら、何か考えてあげないと」

 

ことりちゃんは本当に優しい子だね。

 

「人前じゃなければ大丈夫だと思うんです!そう人前じゃなければ!」

 

それはただの趣味になっちゃうのでは?

 

「海未ちゃん!」

 

穂乃果はしゃがみこむ海未を立たせる。

 

「色々考えるよりさ、慣れちゃったほうが早いと思うよ。放課後いこっか!」

 

「え?」

 

「それでここに連れてきたと」

 

「そうだよ!」

 

「荒療治ですね…」

 

「ひ…人が沢山います……」

 

「そりゃあ駅前かつ電気口のほうですから、お店とかも沢山ありますからね」

 

「ここなら海未ちゃんの克服にはうってつけの場所だと思ったからね。

 それにここでチラシを配れば、ライブの宣伝にもなるし。

 大きな声でチラシを配ってれば、慣れてくると思うよ」

 

確かに慣れてしまえば簡単なことなのだろうが、いきなりこれは難しすぎやしませんかね先輩方…。

海未は穂乃果に教わった、野菜戦法を思い出しながら念じる。

 

(お客さんは野菜。お客さんは野菜。お客さんは野菜………いける!)

 

目を見開きいざ海未の視界に映ったものは………。

 

「ぁ…ぁあぁ…」

 

見事に頭だけ野菜の人型が映っていた。

それを想像できる海未も対した想像力の持ち主である。

 

「ことりちゃんは大丈夫そう?」

 

「私は平気だよ」

 

「城宮君は?」

 

「僕も大丈夫です」

 

「穂乃果ちゃん。海未ちゃんが」

 

そう言われ、後ろを振り向くと。

 

「あ、シークレットが出ました」

 

現実逃避にガチャガチャをしている海未。

 

「まあ最初からこれはきついですよ」

 

「そしたらどこでやろうかな?」

 

「無難に学院の校門前とかがいいと思います」

 

「うーん。仕方ないそうしよっか」

 

四人は学院に戻るのであった。

校門前に着いたのは、夕焼けで空が茜色に染まってしまっている時間。

しかしまだ学生達はちらほらと帰路に向かって、校門前を過ぎようとしていた。

 

「ここなら平気でしょ?」

 

「まあここなら辛うじて」

 

「それじゃあ始めるよ」

 

穂乃果はすぐに配り始める。

ことりも違う生徒に近寄っていき、宣伝していく。

 

「園田先輩。僕が近くで一緒に配りますから、頑張って慣れましょう」

 

楯は海未の近くで配り始める。

海未も渡そうとするのだが、声をかけられず生徒は通り過ぎてしまう。

しかしめげずに次の生徒に。

 

「お願いします!」

 

頑張って渡そうとする海未。

 

「いらないわよ」

 

結果は受け取ってもらえず。

 

「そう言わずに受け取ってあげてもいいのではないでしょうか。先輩」

 

リボンの色からして三年生と認識した楯。

 

「別にもらうもらわないは私の勝手でしょ」

 

「それはそうなんですが、ここは僕からのお願いだと思って、彼女から一枚受け取ってあげてください」

 

楯は頭を下げる。

その姿を見た海未と頭を下げられた生徒は驚いてしまう。

周りも少しだけだが、こちらに視線が集まっている。

見られているのが嫌になったのか。

 

「わかったわよ!もらえばいいんでしょ!」

 

ひったくるように海未から一枚受け取る。

 

「ありがとうございます。先輩!」

 

「ふんっ!」

 

もらったらさっさと歩いていってしまった。

 

「よかったですね、園田先輩」

 

楯は次に来た生徒にお願いしますと渡しにいく。

 

(城宮さん…ありがとう。私も頑張らなくては!)

 

楯の後押しもあってか、チラシを恥ずかしがらずに配り始める海未。

 

「海未ちゃん!それ配り終わるまで頑張ろうね!」

 

「ええ!頑張ってみせますとも!」

 

先程までの海未とは考えられないな~と思う穂乃果。

 

「あ、あの」

 

「ん?ああ、貴女はこの前の」

 

穂乃果に話しかけたのは花陽だった。

 

「はい。あの、ライブ観にいきます!」

 

「本当!?」

 

「来てくれるの!?嬉しいな!」

 

「では、貴女にはこれを差し上げましょう」

 

花陽に持っているチラシを全て渡そうとする海未。

 

「海未ちゃん。それじゃ意味ないでしょ」

 

「わかってますよ。ちょっとしたジョークです」

 

やっぱりさっきの考えは考え直したほうがいいかと思う穂乃果。

そんな彼女らを影から覗く人が一人いたのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

チラシも無事配り終わり、穂乃果の家で集まることになったのだが、楯はことりに運んでほしいものがあると言われ、ことりに付いて行った。

今現在、穂乃果と海未はA-RISEの動画を見ている。

 

「やっぱり私達と動きのキレが違うよね」

 

まだ始めたばかりの三人とA-RISEの三人では経験量が違う。

それこそ彼女らも最初は見向きもされないこともあったはずだ。

しかし諦めずに練習に練習を重ね、今の実力や人気を勝ち取っているのである。

 

「こっちのほうかな?これもいいな、これかこれかこれか」

 

ハンバーガー屋の教祖の如く変なポーズを海未に見せる穂乃果。

 

「なんですかそれは?」

 

「海未ちゃん知らないの!?」

 

「知りません」

 

そんなやりとりをしているとパソコンからピロンと音がする。

 

「あ!」

 

「どうしました?」

 

「ランクが上がってるよ!」

 

「あ。上がってますね!」

 

「私達のチラシを見てくれた人が票を入れてくれたんだよ!」

 

「なんだかこう嬉しさが込み上げてくるものですね!」

 

二人が喜んでいると。

 

「おまたせ~」

 

「お待たせしました」

 

ことりと楯が穂乃果の部屋に入ってくる。

 

「ことりちゃん!またランクがあがったよ!」

 

「本当だ!凄く嬉しいね!」

 

「あれ?その紙袋はもしかして…私達の衣装?」

 

「そうだよ。さっきお店で最後の仕上げをしてもらったんだ」

 

「ワクワクが止まらないよ~!」

 

穂乃果は目をキラキラさせ、海未はどんな衣装なのか心配をしているようだ。

 

「じゃーん!これが私達の衣装だよ!」

 

衣装を見た瞬間。

 

「うわ~可愛いよことりちゃん!本物のアイドルみたい!!」

 

穂乃果はお気に召したようだ。

 

「本当!?えへへ、よかった」

 

「凄い凄いよ!」

 

テンションが上がりすぎたのか腕をぶんぶん激しく動かす穂乃果。

 

「本物ってわけにはいかないけど、なるべくそれに近くしたつもりだよ」

 

「うぇへっへ、いぃよ~この衣装」

 

なんかヘブン状態の穂乃果。

しかしこの衣装がおきに召さないのが一人いた。

 

「ことり」

 

「なぁに、海未ちゃん?」

 

「そのスカート丈は何でしょう…」

 

スカートの丈を指差す海未。

 

「うん?……あっ」

 

ここでことりはあることを思い出す。

そうある学院での一コマ。

 

「いいですかことり!スカート丈は最低でも膝下までなければ穿きませんからね!!いいですね!!!」

 

「は、はいぃぃ!!」

 

こんなやりとりがあったのを今になって思い出すことり。

そんなことりの肩を思いっきり掴み、凄い形相で見つめる海未。

 

(園田先輩…凄く怖いです)

 

そんな海未に恐怖を感じる楯。

 

「言ったはずですよね…最低でも膝下まで丈がないと穿かないと!」

 

「だってしょうがないよ。アイドルだもん」

 

「アイドルだからと言って、スカート丈が短くなど決まっていません!」

 

これは海未のほうに軍配が上がってしまう。

 

「それはそうなんだけど」

 

「でも海未ちゃん、今から直すのは流石に無理だよ~」

 

「そういう手に出るのは卑怯ですよ!ならば私は一人制服のままで歌います」

 

「ええ!?」

 

「それはないよ海未ちゃん!」

 

「そもそも二人が悪いのですよ!私に黙って結託するなんて」

 

「だって…絶対に成功させたいんだもん」

 

穂乃果の気持ちもわかる。

だが海未の気持ちも尊重してあげなくてはチームとしてはよろしくない。

 

「歌を作って、ダンスのステップを覚えて、衣装も揃えてさ、ここまで頑張ってきたんだもん。

 皆でやってよかったって、頑張ってきてよかったって思いたいんだよ!」

 

何を思ったのか穂乃果は窓を開ける。

 

「そう思いたいのーーーーー!!!!!」

 

突然大声で叫ぶ穂乃果。

完璧に近所迷惑である。

でもたまに大声で叫びたいときってありますよね?

 

「何をしているのですか穂乃果!近所迷惑ですよ!」

 

「でも海未ちゃん、私も穂乃果ちゃんと同じ考えだよ」

 

「ことり」

 

「私も皆でライブを成功させたい!」

 

「いつもいつも二人はずるいです」

 

二人のわがままには最後は海未が根負けしてしまう。

でも海未が二人のわがままを受け入れてくれるからこそ、この三人の仲はいつまでも続くのだろう。

 

「わかりました。私もその衣装を着て、歌います」

 

「海未ちゃん!だーいすき!!」

 

海未に抱きつきクルクル回転する穂乃果。

 

「うわわ穂乃果!?危ないですよ!」

 

「大丈夫だよ!」

 

そう宣言している矢先に滑って海未も犠牲に一緒に倒れる。

 

「え?」

 

楯は運が悪いのか、微笑ましくその光景を眺めていたら二人が倒れてくるではないか。

避けようにも二人に怪我でもされるわけにもいかないので、下敷きになるのを甘んじて受け入れる。

そして二人は楯の上に倒れる。

 

「いっててて」

 

「もう穂乃果!」

 

「穂乃果ちゃん。海未ちゃん」

 

ことりからまたもやトーンが低い声が出される。

それもそのはず、楯は二人を抱き寄せているように下敷きになっている。

 

「ああ!城宮君ごめん!」

 

「ご、ごめんなさい城宮さん!」

 

「い、いえ大丈夫です…」

 

二人とも軽くて助かったと思う楯。

 

「ねえ、楯君…。後でo☆ha☆na☆shiしようか」

 

「いやマジで勘弁してくださいことり姉…」

 

ことりの目に光がなく、恐怖しか感じないせいか、いつもの呼び名で呼ぶ楯。

そしてことりに平謝りする楯。

 

「城宮君ってことりちゃんのこと、いつもはことり姉って呼んでるの?」

 

「ええ、小さい頃からの幼馴染ですから」

 

「じゃあなんで、学院では呼ばないの?」

 

「公私ははっきりさせてるだけです。

 学院は学び舎ですからね、それに変な噂をされてはことり姉が困るでしょうから」

 

「そんなことないよ~。私は噂されても全然構わないのに」

 

「まあ、あくまでプライベートのとき以外はちゃんとしたけじめをつけているだけです」

 

「本当に城宮さんは立派です」

 

「いえ、先輩のほうが立派ですよ」

 

何かをお互い感じ取る楯と海未。

 

「それより明日のライブを成功させてくださいと、神様にお願いしに行きませんか?」

 

「良いね!行こう行こう」

 

「うん!行こうよ」

 

「そうですね。行きましょうか」

 

楯が提案してそれに賛成する穂乃果、海未、ことり。

四人は神社に向かう。

もう日も暮れ、境内は当たり前だが誰もいない。

お賽銭箱の前に四人並んで、お参りをする。

 

「どうか明日のライブが必ず成功しますように…いや絶対に大成功しますように!」

 

「明日は緊張せずに歌えますように」

 

「明日のライブ、皆が楽しんでくれますように」

 

「三人の門出が良いことでありますように」

 

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

それぞれの願いを言っていく。

この願いは悲しくも神は叶えてはくれない。

しかし希望という一筋の光を授けてはくれる。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「これで、新入生歓迎会を終わります。

 各部活も体験入部を行っていますので、興味があったらどんどん覗いてみてください」

 

生徒会長の挨拶で締め括られ、新入生歓迎会が無事終わる。

一年生達は各々興味がある部活に体験入部するものや、興味が持てずそのまま帰宅するものもいるようだ。

穂乃果達は最後までお客さんを集めようとチラシを配っていた。

 

「お願いしまーす!この後四時からライブを行いまーす」

 

「ぜひ観に来てください!」

 

でも中々チラシを受け取ってはもらえないようだ。

 

「吹奏楽部へ入部を希望する方は、こちらにお集まりください」

 

穂乃果は吹奏楽部のほうを見てみると何人も入部希望者集まっている。

頑張らなくてはと意気込み。

 

「ねえねえ、どこの部活に入る?」

 

「おねがいしまーす!」

 

「演劇部とかはどうかな?」

 

チラシを渡そうとするが無視されてしまう。

 

「くっそー。他の部活に負けてられないよ」

 

「うん!頑張ろう穂乃果ちゃん」

 

「よろしくおねがいしまーす!午後四時からです。おねがいしまーす!」

 

昨日までとは違う海未。

その光景を嬉しく感じる穂乃果とことり。

その頃楯は…。

 

「お願いします。四時からライブがありますので、ぜひ観に来てください」

 

校門前でチラシを配っていた。

部活に興味がない人にせめてライブだけでも観に来てくれないかと誘っていた。

しかしほとんどの人が受け取っても、そのまま帰ってしまう。

 

「参ったな。中々集まらないものだな」

 

一人や二人は観に来てくれると思っていたが、どうやら考えが甘いようだった。

 

「あと一時間もないがもう少し粘ってみるか」

 

穂乃果達はクラスメイト達の協力もあり、照明の確認や衣装チェックにリハーサルを行っている。

衣装チェックのときに海未が往生際悪くジャージを穿いてやり過ごそうとしていたが、穂乃果によって阻止されたことを記しておこう。

その頃ライブを観にいくと言った花陽は…。

 

(もう少ししたらライブ…楽しみだな)

 

ロッカーの中にしまっていたチラシを見て、心待ちにしていた。

ロッカーの扉を閉めるとそこには…。

 

「しゃあーーー」

 

蛇の鳴き声のような猫が現れた。

 

「うひぃ!!」

 

その出来事に驚いてしまう花陽。

 

「やったーいったずら成功♪」

 

悪戯が成功したのを喜ぶ凛。

 

「やめてよ~凛ちゃ~ん」

 

「えへへ~。ねえねえ一緒に陸上部見にいこう!」

 

凛は走ることが好きなので、陸上部を見にいこうと花陽を誘う。

 

「ええ!?陸上部!??」

 

花陽は焦る。

ライブの時間が刻一刻と近付いている中、陸上部を見にいっては間に合わないかもしれないと。

 

「いや、その、あのー」

 

なんとか言い訳をしてライブを観にいこうとするのだが…。

 

「ほらかよちん、少し運動してみたいって言ってたじゃん。早くいっくにゃあ~」

 

「ちょ、え、り、凛ちゃ~ん…」

 

花陽はライブを観にいくと言ったから、その約束を果たそうとしたいがそれが出来ない。

 

「城宮さん…だ、だ、ダレカタスケテー」

 

助けを呼ぶが無常にも凛に連行される花陽であった。

そして穂乃果達を認めるわけにはいかないと頑なになっている生徒会長は…。

 

「えりち。あの子達が気になる?」

 

「希。そんなんじゃないわ」

 

「せっかくなら、見学でもしてくればええんやない?」

 

「私は…希はどうするのよ」

 

「そうやな~、うちは帰ろうかな。

 また明日ね、えりち」

 

希は生徒会室を出ていく。

絵里は自分はどうしたらいいのか少し迷っていた。

別に穂乃果達がどうなろうが関係ないが、この学院の評価を落とされてはたまったものではない。

彼女達が嫌いでこんなことを考えているわけではない。

真面目すぎるゆえに、そして幼少の頃の習い事の所為もあり意固地な部分が出てしまっているのである。

それでもライブは刻一刻と迫っている。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ほんの少し時間は戻り、校門前でチラシを配っていた楯に戻る。

 

「あと30分か…そろそろ講堂に戻ろうかな」

 

もうこれ以上は効果は望めないと思い、戻りながらチラシを配ろうと思った矢先。

 

「うわわあぁぁーーーん!!!」

 

どこからか泣き声が聞こえる。

 

「うん?泣き声?」

 

楯は泣き声がするほうに行ってみる。

場所は校門を抜けて、すぐ近くの歩道橋に立ち尽くし泣いている小さい男の子がいる。

歳は3、4歳といったところだろう。

周りの人は気にかけるが声をかけない。

楯はその男の子の目線に合わせ声をかける。

 

「僕、どうしたのかな?」

 

「ぐすっ。あの、ね。おかあ、さんと。はぐ、れた」

 

「そっか。おかあさんとはぐれたのはどっちかな?」

 

「ぐすっ。わから、ない」

 

どうやら男の子は何かに夢中になって、知らずに此処まで来てしまったようだ。

 

(あとライブまでは25分…なんとかなると信じよう)

 

「よし。じゃあお兄ちゃんが一緒におかあさんを探してあげる」

 

「ほんとう?」

 

「ああ。だから男の子なら泣き止まなくちゃ駄目だぞ」

 

「うん!」

 

男の子は涙を溜めていた目を擦る。

 

「それじゃあ、どの道から歩いてきたかわかるかな?」

 

「ええっと…あっち?」

 

男の子は近くの道を指差す。

 

「じゃあ、あっちの道を戻っててみようか。

 そうすれば、お母さんに会えるかもしれないしね」

 

楯と男の子は歩いてきたであろう道を歩いていく。

10分ぐらい歩いたのだが、まだ母親を見つけられない。

男の子が歩き疲れたと言っていたので、肩車をしてあげる楯。

 

(あと15分…流石にやばいな)

 

穂乃果達のライブまで、あと15分と走っていけばギリギリのラインだが、男の子を見捨てるわけにはいかない。

 

「そういえば、僕はなんて名前なのかな?」

 

「虎太郎」

 

「虎太郎君か、良い名前だね」

 

少しでも気を紛らそうと話をしていると。

 

「虎太郎!」

 

虎太郎のことを呼びながら、こちらに走ってくる女性。

 

「おかあさん!」

 

虎太郎を下ろしてあげると走って駆け寄っていく。

 

「もう勝手にいなくなったら駄目でしょ!」

 

「ごめんなさい…」

 

怒られてシュンとなってしまう虎太郎。

 

「おかあさん、見つかってよかったな虎太郎君」

 

「うん。ありがとうお兄ちゃん」

 

「本当にありがとうございました。

 あら、その制服は音ノ木坂学院のよね?」

 

「はい。今年度から共学化のテスト生として入学しました」

 

「そうなんだ、一番上の子も通ってるのよ」

 

「そうなんですか?縁があればお会いしてみたいですね」

 

もうすでに一度会っているが、顔や名前を知らないため会ってみたいなと思う楯。

 

「もし会ったら友達になってあげてね。

 あ、君カッコいいからあの子の彼氏でも大歓迎よ♪」

 

「いや、いきなり彼女になってくださいと言うのはどうなんでしょう…」

 

何だか元気ハツラツで冗談が好きそうな人だなと思う楯。

 

「それじゃ僕は用事がありますので、失礼します」

 

楯は時間を確認する。

あと10分しか猶予がない。

 

「そうなの?じゃあまた今度お礼をさせてもらうわね」

 

「いえ、気にしなくても大丈夫ですよ。

 ただ一緒に探してあげただけなので」

 

「その歳でそんな考えができるなんて偉いわね!ますます気に入っちゃうわ。

 この子のお姉ちゃんは『矢澤にこ』っていうの。よろしくね」

 

「僕は城宮楯といいます」

 

「楯君ね。今日は本当にありがとうね。

 にこにあったら、仲良くしてあげてね」

 

「もちろんですよ。それでは失礼します。

 またね虎太郎君」

 

「ばいばい」

 

楯は虎太郎と虎太郎のお母さんに挨拶をして、学院に向け全力で走り出す。

タイムリミットまで残り8分。

とにかく必死に走り学院に辿り着くことだけを最優先に。

丁度目の前の信号機も赤から青に変わる。

運よく信号に捉まらなければ少しの遅れで講堂にいけるかもしれない…。

そう思った矢先に最悪な事態が起こる。

 

(嘘だろ…)

 

信号も青と確認していたのだが、車が信号を無視して進入してきたのである。

手前側の車は止まっているのは確認できた…反対側の車はどうやら赤信号に気付かず侵入。

あと数秒もせずに楯と衝突してしまうであろう。

楯もこの短すぎる時間に考えられる行動をはじき出す。

 

(駄目だ!考えが纏まらない)

 

この考えてる時間にも車はスピードを緩めることをしない。

いや、どうやら居眠り運転をしていたのか、意識が覚醒し運転手も瞬時にブレーキを踏む。

辺りにはけたたましいブレーキ音が鳴り響く。

楯はとにかく回避しようと走った勢いを利用し、歩道にめがけ飛び込む。

飛び込むが少し遅かったせいなのか、左足首と車の左ライト部分が軽く接触してしまう。

 

「い…!!」

 

左足首に痛みが走る。

その痛みに気をとられ顔面から歩道に着地してしまう。

 

「君!大丈夫か!?」

 

目撃者の一人が楯を抱え起こす。

額部分が切れてしまったせいで、血が流れている。

幸いにも意識ははっきりとしている。

 

「はい…なんとか無事です…」

 

楯は額から流れる血が少し左眼に入ってしまい、右眼しか視えない。

通行人の一人がハンカチで額部分を直接押さえ、止血しようとしてくれている。

そのハンカチをガーゼの代わりし、楯のハンカチともう一枚ハンカチを結び、鉢巻の要領で強く固定する。

額の出血は血管が細いので止血さえちゃんとすれば、止まるから問題はない。

問題は左足首のほうだ。

痛みはそこまでないが、少し腫れている。

打撲の症状も詳しく診ないとわからないが…今は怪我よりも先輩達が心配なのである。

しかしこの左足首では痛みが出てきたら歩くことも辛い。

 

「もうすぐ救急車が来るから頑張れよ!」

 

「すみません!その救急車を音ノ木坂学院に向かわせて、誰の車で構わないので俺を学院に連れて行ってください!お願いします!!」

 

楯は頭を下げる。

周りは顔を合わせるだけだ。

怪我人を動かすわけにはいかないからだ。

 

「今俺の大切な人達が必死に最初の大事な一歩を踏み出そうとしているんです!

 俺はそれを見届けなくちゃいけない義務がある!

 俺の怪我よりも、その人達の一歩はこれからの学院を決める大事な一歩なんです…。

 だからお願いします…俺を…俺を大事な人達の下に連れて行ってください……お願いします」

 

楯は泣きながら周りの大人達に頼み込む。

子供の我侭だというのは重々承知である。

しかしここで彼女達の大事な一歩を見届けなければ、これから彼女達と一緒に歩めない気がしてしまう。

そんな固い信念を感じたのか、一人届け出ると申し出たのである。

 

「本当に大丈夫なのかい?」

 

「はい。ここで止まっていては俺が俺でなくなる気がするので」

 

そう、楯は約束を破るのが嫌いだった。

守れぬ事は最初からしない。

約束をした以上、どんなことでも果たすのが楯の一つの信条なのである。

 

「そうかい。それじゃ少し飛ばすぞ!」

 

(ああ、そうだ。小泉さんに一緒に観ようと誘っていたのに…今度何かしてあげよう)

 

楯はそんなことを考えながら、楯を乗せた車は学院に向け走っていく。

タイムリミットまで残り5分を切った………。

 

 

 

ちなみにこの後学院に着いて、講堂から運ばれるときに勝手にいなくなったことを警察の人に怒られるわ、救急隊員の人に怒られるわと酷い目にあう楯であった。

 

 

 

 

 

次回    苦いファーストライブ…私達のこれからの覚悟、本当の決意。

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
次は遂にファーストライブですね。
あれは何回見てもきついものがあります…。

では次のお話でお会いしましょう!
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