屑を装いながら頑張って生きてます。   作:ロイヤルかに玉

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勇人「切り札があると言ったな」(1つとは言っていない)


第13話 さあ、画面の前の皆も爆弾を使おうぜ?

 

「散れ!『オルレアンの氷花(Fleur de la glace d’Orleans)』!」

突如、空間が白く染まる。そして吹雪のような風が吹き抜け、僕に襲いかかる。

制服が風でバタバタと揺れている。ジャンヌの周囲には微細な氷の粒ができ、青い光がデュランダルの刀身から放たれ、氷の粒が光を反射して眩しくなる。とても美しい光景だ。しかし、これは敵を殺すための技。どんなに美しくても、見入ってはいけない。

 

──カチカチカチ

 

「な、マジかよ!?」

凍ってきた地面を避けるため後ろに跳ぶ。

しかし、飛んでいる間に辺り一帯は凍りつき、着地と共に滑ってバランスを崩す。

「っ……」

何とかバランスを取るが、目の前からはジャンヌがとどめを刺そうと、剣を振り上げて迫ってくる。この不安定の足場ではどうしようもない。

しかし、僕は自然とにやけてしまう。何故なら既に手を打っているからだ。まだ勝負はついていないが、それでも笑ってしまう。

「終わりにしてやろう……」

「残念~。終わるのそっちだよ!」

悪党のように笑いながら、右手に握った自作の小型爆弾を見せつける。

「貴様ッ!? まさか!?」

「これが切り札だ」

此処は火薬庫、火薬が凍っているとはいえ、誘爆する可能性はいくらでもある。

小型の爆弾が起爆するだけで大爆発を巻き起こす。

賭けだが、生き残れる可能性があるなら、いくらでも命という賭け金を払ってやる。

「貴様っ正気か!?」

「あーあー聞こえませーん」

焦りの声を耳にも止めずに、左手にライターを握り、小型爆弾に付いている糸に点火する。

火は素早く糸を焼きながら小型の爆弾の元へ。僕はその場で小型爆弾を転がし、バックステップを取った瞬間――

「っ!?」

 

爆発が巻き起こり、爆音と熱が辺りを巻き込んだ。

 

熱を感じながら僕は爆風で吹き飛ぶ。

「いてっ!」

「ぐっ!?」

小さな爆発は僕とジャンヌを吹き飛ばし、互いに凍った壁に叩きつけられた。

背中にはひんやりとした感触がする。

爆発の規模的に火薬の量が多かったみたいだ。

しかし、周りの火薬に誘爆しなくて本当に助かった。

熱と煙を感知したスプリンクラーが作動し、水が降り注ぐ。

爆発の熱で温められた体が冷やされる。

 

あぁ^~体が冷やされるんじゃ^~

 

しかし、寿命が伸びた代わりに面倒くさいことになった。

「……あーあ。教務科(マスターズ)からなんて言われることか……」

もし、誘爆していたら学園島は吹き飛んでいた。ある意味、殺人未遂だ。

こんな事したのがばれるとなると、流石の僕も覚悟を決めないといけなくなる。

それに、結局火薬は濡れてパーだ。火薬庫で爆弾使う馬鹿なんて居るはずがない。

スプリンクラーは反応したし、確実に教務科にばれただろう。

「ば、馬鹿な……」

「まあまあ、芸術は爆発だってよく言うじゃん?」

まあ、華もないただの爆発であるが、破壊工作の練習とでも思っておけばいいか。

勇人は91572の経験値を得た! 経験値美味しいですペロペロ(^ω^)

さあ、画面の前の皆も爆弾を使おうぜ? 今ならEXPブーストで経験値2倍だ!

 

「貴様、死ぬ気だったのか!?」

「生き残れるなら、あらゆる手段を用いて0%を1%にする。それが生きると言う事だ」

人差し指を立てながら焦るジャンヌに対してドヤ顔を決める。

実際、そこまでの火薬を使ってない。

いや、此処(火薬庫)じゃそう言う問題じゃないけど。

「それにしても、君たちって馬鹿だよねー」

「何…………?」

「アンタら、個人の戦闘能力はバカみたいに高いんでしょう? なんでアンタら、組織の人間総出でこっちを潰しに来ないわけ? イ・ウーは圧倒的武力で敵を滅ぼすっていう基本戦術も知らないのか?」

「おのれ……。黙って聞いていれば……」

ジャンヌが怒りに満ちた顔をする。これでOK、やっと挑発に乗ってくれた。

後は適当にやるだけで何とかなる。

手招きして「かかってこいよ」と誘い、ジャンヌを挑発する。

「私を愚弄したこと、地の底で後悔するがいい!」

「残念ながら、大後悔時代は来ないよ!」

斬撃をバックステップで躱すが、足元が凍っているので着地には注意ってあれ?

着地した瞬間足を滑らして盛大にこける。

「くそ、そういう事か……」

凍った地面にスプリンクラーが作動し、水が降り注いだことで、極度に摩擦抵抗が少なくなっていたのか……! 全く、自分のバカさ加減に腹が立つ……!

ジャンヌはデュランダルを突き立てようと振り上げている。横に転がって何とか回避する。僕が倒れていた場所を、デュランダルは氷諸共、床を突き破っている。

どうやら、破壊力は並の武器の比ではなさそうだ。

デュランダルの斬撃を一度でもくらう=問答無用で即死といった公式が脳内で完成する。  

「ちょこまかと……」

「生憎、ちょこまかと逃げるのが得意なんでね」

へらずぐちを叩きながら、壁を支えに立ち上がる。

「そのへらず口、叩ききってくれる!」

ジャンヌがデュランダルを構え、間合いを詰めると同時に横に薙ぐ。

畜生、何でこいつ滑って転ばないんだよ……。こちらの行動が一気に制限された……。

今まで何とか凌げていたが、流石にもう持たない。

「もう、持たないな……」

後ろに摺り足で下がり、とにかく回避に徹する。

ジャンヌは跳躍して一気に距離を詰め、デュランダルを縦に振り降ろす。

俗に言うジャンプ切りだ。サイドステップをする感覚で横に滑り、渾身の一撃を躱す。

鋼よりも屈強な刃は凍っている床を粉砕する。

ジャンヌはもう1度デュランダルを振り上げ、凍った床を滑るように距離を詰めてくる。氷の上で戦い慣れているようにも見える。相手が有利であるこの状況を何とか打破しなければならない。

隙あらば先輩たちが来るまでに倒すか、出来なくても追い詰めておきたかったが、この状況では出来そうにもない。それどころか、先輩達にバトンタッチしても、凍った床で戦うなんて流石に辛いはずだ。この状況だけでも……。

「しかし、本当に良く粘る」

「言ったろ? 僕は殺せないって」

繰り出される斬撃を躱す内に、足元からズリッと何かが擦れる音がした。足元を見れば、そこは凍った床ではなく、灰色の床だった。よし、このまま……。

「ほら、かかってこいよ! 僕が怖いのか?」

「いいだろう。その挑発に乗ってやる。ただし、一仕事した後でな!」

ジャンヌがデュランダルを床に突き刺すと、忽ち床は凍りつく。氷は灰色の床を透き通った青色に染め上げていく。

「ふざけんな、白髪女ぁ!」

凍ってきた地面を避けるため後ろに跳ぶ。

だが、僕の反応が予想通りと言わんばかりに、ジャンヌは迷いなく、その隙に一気に近づいてきた。

僕が着地するより早く、床は凍りつき、着地と同時にバランスを崩す。

必死にバランスを取る僕の腹にジャンヌの蹴りが入る。

「っ!」

声を出す間もなく、吹っ飛ばされて凍りついた床の上を転げ回る。

立ち上がろうとした頃には、既にジャンヌのデュランダルは振るわれていた。

「ええい、ままよっ!」

首を落とそうと迫りくる刃を、スライディングをして躱し、ジャンヌの股下を潜る。

ジャンヌの股下を通過した時に、彼女がスカートではない事にやはり残念だと感じた。

 

しかし……くっきりとあのラインが見えて、僕は少し興奮してしまう。

 

「ヒュー、いい眺めだ」

「き、貴様ッ! どこまでふざければ気が済むのだ!?」

顔を赤くしながら怒鳴ってくる。やはり女子だ、可愛いのぅ……。

大剣を振り回すのは勘弁願いたいが。

「感謝する。最近欲求不満でな。おっとっと修正修正っと……」

鼻血が出てきた。どうやら興奮のあまりというやつらしい。

ぐへへ。おっといけねえ、これじゃあ僕はただの変態だ。

手の甲で鼻血を拭きとる。

 

「死ね……」

僕は後悔した。興奮のあまり余所見をしていたことに。既にジャンヌは僕の目の前に移動し、自慢の大剣を振り降ろそうとしている。

彼女の目は完全に怒気を含んでいるものだった。

「あっ……」

絶望が込み上げてくる中、デュランダルは迫る。

強靭かつ、鋭い刃は僕の体を切り裂こうと刀身を光らせる。

僕は後先考えずに無我夢中で横へ跳んだ。

「グッ!」

冷たい地面の上に倒れ、ジャンヌの方に向き直る頃には、既にデュランダルが振り降ろされていた。滑る地面の上で、焦って立つことはできない。

もうだめだ……。16年という短い人生だった。痛いだろうなー。

先輩…………済みません。仕方ない、閻魔様と交渉する準備でもしとこう。

 

死因が性的興奮後に余所見か~。交渉以前に、こりゃ成仏できねぇな。

 

目を閉じて迫りくる刃を待つ。

 

しかし、痛みは全く来ない。目を開けてみれば、刃は寸前のところで止まった。

 

「──まったく、手間の掛かる後輩だ」

この声は……。

「遠山先……輩……?」

助けに歓喜しながら先輩を見るが、それよりも先に驚愕の光景が目に入った。

遠山先輩が……デュランダルを真剣白刃どりで受け止めていたのだ。

「いやーっ!? こんな所にも人外がぁっ!」

「いきなり人外呼ばわりとは失礼だな。後、キミはもういい子にしておいた方がいい」

「そうよ! あんたの野望もここまでよ!」

神崎先輩がジャンヌに銃を突きつけている。

凍った手をどうやって治療したのかは不明だが……。

「ふっ……武偵法9条。よもや忘れたわけではあるまいな。武偵に人は殺せない。…だが、私は違う!」

そう言ってジャンヌは剣を凍らせていく。このままでは、デュランダルを掴んでいる先輩が……。

「先輩っ!」

「やれやれ、仕方ないな」

しかし、遠山先輩はまだ余裕だ。

「何……?」

遠山先輩は白刃どりをやめると同時に、デュランダルを受け流す。

「キンちゃんに! 手を出すなああああ!」

誰かがこちらに駆けてくる。あれは星伽先輩だ。それよりも鬼のような形相でこっちに来てる!? ああ、あの人遠山先輩絡みだったら人が変わるんだな……。佐々木みたいなものか……。なんか雰囲気が似てると思ったんだよ……。類は友を呼ぶ……か。

 

「はぁ!」

星伽先輩の刀が刀身を光らせながらジャンヌに襲いかかる。

ジャンヌも負けじとデュランダルを振るい、斬撃を受け止め、すぐに星伽先輩の隙を突いてデュランダルを振る。

刃同士がぶつかる耳に響く音が何度も聞こえる。

「勇人、あんたは良くやったわ。もう休んでなさい」

「ふぅ、お言葉に甘えさせていただきますね。あ、これ使ってください」

切り札は1つとは限らない。

いつ使おうか迷ったが、より優秀な人間に使ってもらう方がいいだろう。

神崎先輩なら上手く使う筈、そう思いながらスタングレネードを手渡す。

「使わせてもらうわ。キンジ! あたしがこれを使ったら2人であいつに接近して拘束するわよ!」

「ああ、分かった」

神崎先輩がピンを抜くと同時に斬り合っている2人の地面へ転がす。

「白雪!」

すぐに星伽先輩はその場から離れる。

「くっ」

光と大きな音が発せられ、光が止むと同時に遠山先輩は銃を、神崎先輩は二刀を手に接近する。

ジャンヌは神崎先輩の攻撃を受け流し、遠山先輩を狙う。

しかし、遠山先輩は予想していたのか、もう一度真剣白刃どりでデュランダルを掴む。

「君はもう、諦めた方がいい」

「今度は逃がさん!」

ジャンヌは剣を凍らせる。剣が凍る速度は先程とは桁違いだ。既に、遠山先輩の手を凍りつかせようと氷が迫ってきている。

 

「はあああっ!」

刀を構え、星伽先輩が二人の間にを理込むように走る。そして、ジャンヌの持っているデュランダルめがけて──

 

「──緋緋星伽神──!」

 

長い修練によって極められた居合切り。

緋色の炎と共に抜き放たれたその刃は、炎と共にデュランダルを断ち切り、天井にまで炎を巻きあがらせた。

世界は緋色に染まった。

自慢の剣が折れて戦意を失ったのか。その光景に、ジャンヌはただ立ちすくしていた。

 

そして……。

 

「デュランダル! 逮捕よ!」

 

神崎先輩がジャンヌに手錠をかけた。

 




徐々に変態化が進む主人公。

果たして、変態は何処まで行けるか――。
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