屑を装いながら頑張って生きてます。   作:ロイヤルかに玉

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私は18歳になりました。
ぐへへ、後もう一歳年取ればR18小説が書けるぜ。(ゲス顔&下衆な笑い)


第14話 ヒャッハー! 犬耳娘DAAAAA! 

ジャンヌは尋問科に引き渡され、事態は収まりアドシアードは無事に終わった。

しかし、ジャンヌが不憫でならない。

だって、綴先生の尋問を受けているのだから……。

流石にこれには同情する。仕事押し付けられる、脅される、人外の相手するでとても疲れた。正に散々な一日と言ったところか。おまけに、地下倉庫で爆弾を使用した事に関して翌日、綿密に話し合おうと宣告されて僕の顔は青ざめた。

 

でも、閉会式のチアガールは最高だった。これだけは確かな事だ。

そういえば星伽先輩もチアやってたんだよな……。遠山先輩が羨ましい……。

僕も出会いが欲しいな~。

 

プルルルルッ!

 

ポケットに入れてある携帯が鳴り、画面を見ると義父と表示されていた。

義父から連絡が来るなんて珍しいな。あの人、いつもアポなしで来るから、こうやって連絡寄越してくると言う事は真面目な話だと言う事だ。

通話ボタンを押し、耳に携帯を当てる。

 

「はいはい、どうしました?」

『明日の放課後、予定あるか?』

「年中暇ですからいつでも暇ですよ?」

『じゃあ、帰りは真っ直ぐこっちに来てくれ。大事な話がある』

「……了解です」

 

それだけ言うと、通話は切られ、プープーと携帯から音がすると、携帯をしまう。

普段ふざけている義父の声に覇気が感じられた。余程の事らしいが、また面倒事を押し付けられるのだろうか? それだけが不安だ。

とりあえず、明日に備えて睡眠を取ろう。

なんせ、明日は教師と楽しい楽しいお話だ。(こちらが楽しいとは言ってない)

 

 

 

今日は珍しく、すっきり起きた。眠気もなく、気分爽快だ。今日も一日頑張ろう!

 

ドアを開けると、朝の日差しが僕を照らしてくれる。いつもなら煩わしいと思っていたが、こうも気分がいいと気持ちが良いものだ。

 

隣のドアが開く音がして、振り返ると……。

 

「あ……」

「あ……」

 

間宮が立っていた。

 

「えぇ!? 勇人君ってお隣さんだったの!?」

「あかり、お前隣だったのかよ!?」

 

互いに目を丸くして驚いた。入学してから結構経ってるのに、初めて知った衝撃の事実。

 

「プッ、あはは!」

 

突然間宮が笑い出し、僕も少しクスッとしてしまう。何が可笑しいのか僕にも分からなかったが、なぜか笑ってしまう。

 

「成程な、あの時の『うぎゃー!』って悲鳴はお前だったのか」

「うそっ、聞かれてたの!?」

「お前の部屋の前を通った瞬間聞こえてびっくりしたよ、いやーこれは傑作だ」

「うぅ、だって、起きたら時間が危なかったんだもん……」

 

2人で談笑しながら、歩き始めると、突然寒気がした。

 

「…………」

「勇人君? どうしたの?」

 

首を傾げる間宮をしり目に、震える体を何とか落ち着かせようとゆっくり呼吸する。

 

一瞬寒気が走ると同時に、刀を持って目を赤く光らせる生命体の姿が脳裏に浮かんだ。

そして、こう囁いた。『私の……あかりちゃんと……許さない……』って。

佐々木……。いやいや、此処はアパートのすぐ近くだ。佐々木はお嬢様だからこんな辺鄙な所に住居を構えるなんて――いや、あり得る。住んでなくても、一晩中、あそこの電柱に張り付いて間宮を監視したり……。なんだかだんだん怖くなってきた……。

 

「あ、あかりさん? ちょっと走って体を温めませんかね?」

急に恐ろしくなって、この場からとりあえず離れたいと、僕の体が訴え、全会一致で僕は此処から離れる口実を口にする。

 

「え? いいけど……顔色悪いよ? 大丈夫?」

「だ、大丈夫大丈夫! 顔色悪いのはいつもの事だから! さあ、行こうか!」

「うん! じゃあ、学校まで競争ね!」

「望むところだ!」

 

僕と間宮は一斉に走り出した。

 

 

間宮と走り出して、少し経つが、未だに体に寒気が走っていた。

僕は不安を紛らわす為、間宮に話を振る事にした。

 

「ところであかりさんや、ののかちゃんは元気かい?」

「うん、おかげさまで。あ、そう言えば、ののかにお見舞いのケーキ買ってくれたよね? 私の分も買ってくれてありがとう!」

「ああ、気にするな。僕も夾竹桃から毒を貰って危なかったからね。ある意味、君には命を救われたもんだから、そのお礼さ。改めて礼を言うよ」

 

走りながら会話して、少しは気が楽になった。この調子でいけば、学校までは持つ。

しかし、学校には間違いなく佐々木が居るだろう。できるだけ目を合わせないように今日は過ごそう。間宮と登校しているところなんて見られたら一発でアウトだ。途中で具合を悪い振りをして間宮を先に行かせる。後は間宮が余計な事を言わなければ……。

完璧だ……。最後は人任せだが、この作戦は行ける。

 

「どういたしまして。あ、言い忘れたけど、ののかがちゃんとお返ししなきゃって、お菓子を作ってるんだよ! 今度勇人君に持っていくね!」

「それは嬉しい、楽しみにしてるよ。うっ……」

 

いい感じに息が切れて来たので具合が悪い振りをしながらスピードを落とす。

僕の異変に気付いた間宮が足を止めてペースを僕に合わせてきた。

 

「勇人君、大丈夫? 具合が悪いなら無理しちゃだめだよ!」

「ああ、悪いけど……少し休んでから行くよ。あかりは先に行ってて。あんまり遅くなったら火野たちが心配するよ?」

「で、でも……」

「大丈夫だって。武偵憲章、『武偵は自立せよ。要請なき手出しは無用の事』。神崎先輩だってよく口にしないか?」

「う……うん。じゃ、じゃあ先に行ってるね! 何かあったらすぐに呼んでね!」

 

それだけ言うと、間宮は走っていった。しかし、間宮よ。僕は君の電話番号知らないから助けなんて求めようにも求められないんだが……。

まあ、仮病だし。後はゆっくり目指せばいいか。

 

 

 

僕は時間ギリギリに登校し、特にこれと言った問題もなく事は運んだ。

間宮が余計な事を言わないか心配だったが、佐々木から干渉は無いので無用な心配だったようだ。

 

間宮への信頼度が20上がった。

 

しかし、地下倉庫での爆発物使用と言う暴挙に対してのお叱りが残っている。

とりあえず、謝罪しながら頭を下げておけばいいか。土下座も辞さない方向で行こう。

作文百枚とか言われたらヤダなぁ。何とかそれだけは勘弁願えるようにお願いしよう。

 

 

「おや、天原君じゃありませんか」

 

気にくわない声が聞こえ振り返ると、小夜鳴先生が立っていた。

この人、いつも落ちこぼれを見下すような目で僕を見てくるのだが……。

最近、彼からは妙な視線を感じるんだ。

勘弁してくれよ……。お尻の穴が広がるのはもう御免だ。

こいつ、ロリコンの上にゲイかよ……ちょっとレベル高すぎんよー……。

 

「小夜鳴先生、どうしましか?」

「いえ、少し体調が優れないように見えたもので」

 

今、僕は「どの口が」と言った顔をしているに違いない。

目が合う度に僕を見下すような目で見てきて、今頃何の用だと。

突然僕に興味が沸いたかのように見始め、とうとう話しかけてきた。

 

「地下倉庫の件を不問にしてくれるなら体調はすぐにでも優れますよ?」

「いえ、そればかりは私でもどうにもなりませんよ。顔色も悪いし、本当に不調なのでは?」

 

笑いながらで近寄ってくる。

どうせ、貴重な穴が心配なんだろ? 渡す気はないが。

 

「いえ、大丈夫です。重度のストレスで体がボロボロになってるだけですから」

「それは大丈夫とは言いませんよ。少し見せてください、大事な生徒にもしものことがあったら困ります」

「いえ、そこまでしてもらわなくても結構です」

 

大事な生徒か……。此処の教師がそんなこと言ったって説得力が無いだろう。

とある教師は死ねと罵倒してくるし、とある教師は根性焼きを仕掛けてくるし……。

それに、僕のお尻の為にもな……。

男同士でそんな事したって、誰もは嬉しくないだろ?

確かに、教師と生徒の垣根を越えた関係は一部の人には受けるだろうが……。

僕と小夜鳴がそんな行為をして喜ぶのは┌(┌^o^)┐位だろ。

 

互いに一歩も譲らない口論が始まった。

僕は大丈夫の一点張り、小夜鳴は何かあった後では手遅れだとの一点張り。

 

 

「……大袈裟ですよ?」

 

呆れたように言った僕だったけれど。

 

「些細なことから大事になることもあるのですよ?」

 

笑顔でそう返されてしまった。

 

 

結局、そのまま押し切られ――てたまるか!

 

 

「余計なお世話だって言ってんだろコラァ! 僕の周囲2m以内にズカズカと踏み込んでくんじゃねぇよ! 授業の時は『馬鹿に用は無い』と言った視線で見てきたり、保健室利用した時といい、『お前に使う包帯はねぇ』と言わんばかりの顔で見てきやがって! いいか? 子供ってのはそう言う人間の感情に敏感なんだよ! 今まで落ちこぼれを見下すような目で見やがって、今頃良心にでも目覚めたのか、オォ!? それなら『今まで見下すような態度を取って申し訳ない』って謝罪するなりして誠意ってのを示せよ! 誠意ってのは金だけじゃねぇんだよ! 後な、ここからは僕の自分勝手な言い分だがな、お前の顔が気に食わないんだよ! 顔に恵まれなかったこっちからすればテメェは憎悪の対象なんだよ、自覚あんのかテメェはYO! お前に対して僕が嫌な感情向けてるのはお前だって分かってるだろう!? 分かってんなら変に関わってくんじゃねぇよ! 立ち入り禁止区域にも無断で侵入するのか、お前要領悪すぎだろう! そんなに暇ならご自慢の顔でビッチ共堕としてりゃいいじゃねぇか、ゲイはお呼びじゃないんだよ! ターコ!」

 

今までの鬱憤を吐き捨てるように罵声を浴びせた。なんだかんだでストレス解消になる。

ほぼ僕の自分勝手な上に罵倒も混ぜる屑な言い分だが。

 

「天原、小夜鳴先生になんて口聞いてんの?」

 

後ろを振り返れば、そこには僕を睨みつけている女子の集団が立っていた。

僕の記憶が正しければ、彼女らは小夜鳴にベッタリのビッチ共だ。

自分らが心酔している小夜鳴に対する罵倒をした僕に明確な敵意を向けている。

もし、僕がイケメンだったら「2人とも、落ち着いてください!」って感じで止めに入ってくるだろうが生憎、僕の顔がアレなのでこうやって高圧的な態度を取っている。

どうせ「小夜鳴先生を助けてあげてる私って素敵!」だとか思い込んでるんだろうな。

僕もそれなりの屑だから屑の考える事はよく分かるわ。

人の前で良い子ちゃんぶる典型的なパターンですわ……。イライラするんだよぉ……。

 

「ちょっと、教育が必要じゃない?」

 

リーダー格の女子がそう言うと、他の連中も頷いている。

身の危険を感じた僕は走り出す。

 

「クソォ! これだからビッチは!」

 

罵声を叫びながら走る僕を周囲は注目する。しかし、今は注目なんて気にしている場合ではない。後ろから脅威が迫ってきているんだ。

人を避けながら風のように駆け抜けた。

 

 

 

「そんな事があったんだ」

「それは勇人君が悪いんじゃ……」

「反省はしている、後悔はしていない。だが僕は謝らない」

 

教室に戻り、いつものメンバーと雑談しているのだが、何だかんだで僕が罵声を叫びながら校内を疾走したのは瞬く間に噂になったらしい。

そして、その経緯を間宮たちに話すと、全会一致で僕が悪いと言う事になってしまった。

僕も悪いかも知れないけど、しつこい小夜鳴もそうだし、何よりあのビッチ共だよ……。

ほら、イケメンと女子は許されて僕の様な男は顔がアレと言うだけでこの有様。

この理不尽極まりなない社会に生きる方々、これだけは覚えておいてほしい。

 

 

 

こんな事が罷り通る世の中だって事を……。

 

 

 

「天原ってなんで強襲科に来なかったんだ?」

「どうしたの急に?」

 

火野が突然言い出した。はっきり言ってまともに勤まりそうなのが諜報科ぐらいしか思いつかなかったし、後は単純にかっこいいからって思ったぐらいだ。ぶっちゃけ学力の問題とかで行けそうなのが此処しかなかったのも事実だけど。

それに、武偵とは実力さえあれば儲かる仕事だ。頭使うもよし、犯罪者を逮捕する依頼を受けて本能のままに敵に突っ込むのもよし、とても幅が広く、深い職業だと思う。

 

「いや、なんだかんだで強いじゃん」

「ただ単に、戦闘は本業じゃないからだよ」

「じゃあ、勇君も志乃ちゃんみたいに刀とか使えば?」

 

刀か……でも扱いが難しいんだよなぁ。リーチがある武器って振りが遅いし重いからあんまり使いたくないんだよね……。僕の回避スキルも鈍重な武器を装備したら使い物にならないし。何より機動力が落ちるのは困る。

僕の戦法は敵の攻撃を躱しながら煽りに煽って他人に任せる、または隙を突いて叩きのめすものだから。機動力が落ちちゃ、過程を踏めない。つまり詰む。

まあ、相手が挑発に乗ってくれなかったらそれまでだけど……。

ぶっちゃけ、先日に煽ったジャンヌとかまさかの煽り態勢が付いてて少し焦った。

2戦目で強くなるって正にゲームと同じ展開だな。

 

「いや、僕ってナイフより重いもの持てないから」

「何その箸より重いものは持てない的な言い分……」

 

火野、ツッコミありがとう。

 

「そうだ! 勇人君、今度自由履修で強襲科に来てみれば?」

「ああ、暇があったらね」

「お前絶対来ないだろう……」

「良く分かったな火野。勘のいい女は嫌いじゃないぜ」

 

よく「暇があったら」とか、「行けたら行く」とか聞くと思う。

しかし、日本人はこう言ったら大抵行かないって相場が決まっている。

そう言えば中学の時、遊びに誘われて「行けたら行くよ」って言って実際に行ったら、小声で「あ、本当に来るんだ……」って言われたな。そして、それからは断ったら、「また誘うね」っていって、それっきり誘われなくなったっけ。

あ、ちなみに「また誘うね」って相手が言ったら心の中じゃ、「次も断れよ」って思っている事が大体だから、覚えておこう。

 

「自由履修で強襲科、行ってみればいいじゃないですか?」

「え、なんで?」

「いえ、いい経験になると思いますよ?」

(強襲科は明日なき学科。上手くいけば勝手に始末される可能性が……)

 

突然、佐々木がそう口にした。こいつ、僕の事をどうせ強襲科で死ねばいいって思ってるだけだろうな。僕だって知ってるぞ? 強襲科は特に危険だってことぐらい。

でも蘭豹が主任か……。また厄介事押し付けられたらたまったもんじゃない。

あいつ、最近僕の事パシリかなんかと勘違いしているんじゃないだろうか……?

 

 

 

「んじゃ、僕は用事があるから先に帰るね」

「うん、またね勇人君!」

 

間宮達と挨拶を交わし、直接義父の家へ向かう。

義父の家は少し遠いので、バスを乗り継いでいかなければ行けない。

 

お、此処で降りないとな。

急ぎ足でバスから降り、次に乗るバスが来るバス停に向かって歩き始める。

都会にしてはこの辺りは人が少ないし、夕暮れと言う事もあってほとんど人は見当たらない。

まあ、朝などは通勤通学の人達でごった返すのである意味、今は運が良いだろう。

人混みはやっぱり嫌いだからね。

 

「…………獣臭いな。物騒だな、野犬でもいるのか?」

 

歩いても歩いても、獣臭さは鼻から離れない。一旦立ち止まり、耳を澄ませる。

犬の足音が聞こえるような気がする。少し早歩きしよう。

興味本位で近づいてきてるだけだろうし、早く離れればいいや。

早歩きをするが、足音は着いてくる。

 

「全く、何なんだ一体……」

 

僕は走り出すが、それでも足音は着いてくる。

 

 

もっと速く走り、そろそろいいかと立ち止まり、耳を澄ませ、匂いを嗅ぐと、足音と獣臭さはまだ感じられた。

 

 

イライラし始めた僕は近くの公園で犬を待ち構えた。

 

 

公園に入り、広場の中央に立つ。

 

「僕は……猫より犬派だ。そうだな、あそこの茂みから……」

 

茂みを見ながら……。

 

「犬耳が生えた美少女が出てくる……」

 

ガサガサ……。

 

茂みが大きく揺れた。まさか、僕の予想が当たって……!

そうか、神様は苦労する僕にご褒美をくれたんだ。だから僕を追い駆けて来たんだ!

よし、とりあえずメイド服を着させて御奉仕……やべぇ! もう我慢ならねえぇ!

僕は思わず茂みに向かって走り出した。

 

「ヒャッハー! 犬耳娘DAAAAA!」

「グルルルル…………」

 

茂みから出てきたのは……。

犬と呼ぶには不相応に大きくて、野犬と呼ぶにも不相応な美しい白い毛の野犬だった。

 

「いゃぁぁぁぁあああああ! 明らかにやばそうな野犬が殺意剥き出しで出てきたァァァ!」

 

何だよあの大きさ!? 犬じゃなくて狼じゃねえの!? 

 

「アオォォォン!」

 

野犬が犬とは思えない遠吠えを上げた。

 

こいつ完璧に狼じゃねえか! なんでこんな所にいるんだよっ!? 狼の森に帰れやッ!

あんな色の狼なんて見た事ねぇぞ!? 外来種か!? 飛行機に潜り込んできやがったのか!? 

いやそれ以前に空港どうかしてるだろう! なんであんなの見逃すのよ!

それともあれか? 海を渡ってきたのか?

興行収入193億円を記録したあの大作に出てきたタタリ神になった某巨大イノシシかよ!

 

「ガァ!」

「うおっ、あぶねぇ!」

 

突然狼が飛びかかってきた。横に身を投げ出してすぐに狼の方へ向き直る。

狼もこちらの動きを警戒しているようだ。

僕の隙を伺うかのように、こちらを睨みつけながら僕の周囲を歩く。

背を見せないように体の正面を狼に向け、こちらも距離を取るように足をそっと動かす。

 

「グルルル……」

「獣姦趣味なんて生まれてこのかた持ち合わせてねぇよ。御遠慮いただこう」

 

ナイフを取り出し、もしもの時の為に構える。

狼もこちらをさらに警戒する。余程仕込まれているようにも見える。

こいつには飼い主が居るのか……。命令で僕を噛み殺しにでも来たのか……? 

それとも手当たり次第に人襲えとでも言われたか? どっちにしろ迷惑だが。

それに買われるような恨みなんてない。

 

「おーい、勇人。遅ぇぞぉ、何やって……」

 

声のする方向を見れば義父が歩いてきたいた。

 

「義父さん! 逃げろっ、祟りなんて貰うもんじゃないよ!」

「何言ってんだお前……」

 

僕を冷たい目で見ながら冷静につっこむ。しかし、こちらからすれば一大事なのだ。

この人に危機感とか無いの?

 

「いいからやばいって、ギャア!」

 

隙を見せた僕に狼が飛びかかり、僕は押し倒される。

大口を開け、僕の顔に喰らいつこうとしてくるが両手で狼の口を押さえる。

待って、こいつ狂犬病だったら僕一発でアウトなんだけど、てかもう牙が手に刺さってる。

 

「ちょ、義父さん! ヘルプ!」

「お、こんな所に麻酔弾があるな~」

「いいから早く使えよ! この状況見て何とも思わんのか!?」

「ちっ、しょうがないな」

 

義父さんは銃を取り出し、麻酔弾を装填して狼に銃口を向けた。

この一連の動きは正に一瞬だった。

すべての動作を同時に行っているんじゃないか……そう思わせる程に。

発砲音が響き、しだいに狼は大人しくなり、僕にのしかかるように倒れた。

僕は狼を除け、立ち上がる。

 

「義父さん、ありがとう、助かったよ」

「んな事より、車に乗れ。行くぞ」

「行くって何処へ?」

 

義父さんが車に乗り込み、僕に言う。

 

 

「スラムへ」 

 




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失踪だけはしないつもりなのでどうかご容赦ください。
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