話術、心理学、人体学などを使用し、確保した犯罪容疑者から情報を引き出す方法いわゆる尋問を学ぶ学科だ。綴先生が主任。拷問方法も学ぶという噂もあるが、定かではない。
どっちにしろ、お世話になりなくない学科だ。
主任の綴先生は常にタバコらしき物を吸っており、それを使い生徒に対して根性焼きを行う事もあるらしい。結構サディスティックだ。生徒の個人情報に精通しているらしい。
尋問の技術においては日本でも五本の指に入る名人らしく、彼女に尋問されると、どんな口の堅い犯罪者も洗いざらい何でも白状した挙句、女王様等と異様に尊敬させる。
そう、尋問室は『未知なる世界の境界線』でもある。
尋問室に入りたい人はどうぞ、問題を起こしてください。
『9班と24班はスタート地点についてください』
アナウンスが鳴り、僕達24班はスタート地点に着く。
照りつける太陽にイライラする中、僕はスタート地点に立ち大きなため息をつく。
何故かって? さっき、小夜鳴から
『
ここまではいたってシンプルだろう? 問題はこの後だ。
『使用武器は
これだよ、これ! 『頭部に当たれば死んじゃう可能性があるんですけどね』って、危険すぎるだろう!? 語尾に音符マークがついてそうで和やかに聞こえるかもしれんが普通に人の命に関わってるんじゃねぇか! 絶対、興味本位で頭部を狙う奴が出て来るぞ!? Sっ気のあるお嬢様とかさ!
なんで1年の序盤から命かけたテストをせにゃアカンねん!
それともアレか? 小夜鳴が言ってた『卒業する頃にはこの場にいる数名にはもう2度と会えないんですけどね』って言葉ってこれの事だったのか?
早速お別れの時期が来たじゃねぇか! やべぇ、今のうちに絡指しとこう。死ぬ気は無いがな。
「天原、気合れていこうぜ」
「後数秒でスタートです。落ち着いて行きましょう」
「まあ、頑張ろうや?」
強襲科A、眼鏡君、強襲科B……。そうだな。死なないように努力しよう。
ピッ-!
開始の合図と共に、僕たちは作戦の再確認の為物陰に隠れた。
「まず、相手の構成は
やっぱり居やがったよ、スナイパー。よりにもよってこうだもんな。僕には何か憑いてんじゃねぇの? お祓いでも受けてきた方が良いのか?
「恐らく車両科《ロジ》は強襲科《アサルト》と組んで行動するだろう。きっと、操縦する車両からの射撃による強襲だと思う」
「天原さんの予測が当たっている可能性が高いでしょう。スナイパーにはもちろん、
「とりあえず、天原は俺たちと別れて、スナイパーの索敵・強襲だな」
それが今回の僕の仕事だ。この3人を囮にして、スナイパーを先に片づける。
そして、後は目のフラッグを探すか、3人と合流して敵を倒すかのどちらかだ。
「うん。任せてくれ」
僕は3人と別れて行動を開始した。とりあえず、敵スタート地点へ行こう。スナイパーは大抵、砦に構えて向かってくる敵を仕留めるのだからな。
*
敵スタート地点は高い建物もあるが、ほとんどが住宅である。人通りは大通りに多いが、ちょこちょこ人が通るくらいだ。
通信機が鳴り連絡が入る。
『天原さん。今どの辺に居ますか?』
「敵スタート地点だけど」
『そうですか、気を付けてください。先程、
「OK。できるだけ早くスナイパーを黙らせる。どの辺から狙撃された?」
『予想するに、屋上に柵が無いビルからでしょう』
「任せてくれ」
さて、屋上に柵が無いビルは大方把握しているが、問題は如何に気づかれる事無く接近するかだ。まあ、秘策は我にありってね。
此処は人通りがある。人混みに紛れ込み……気づかれないように相手に近づく……。
長年のスラムでの経験と知恵が編み出した技………。
その名も……『隠伏』。どう? かっこいいでしょう? 一度言ってみたかったんだよね。
周りの空気に溶け込みながら、存在が無いように振る舞う………。
まあ、その気になれば気配も完全に消せるからね。チャン先生には敵わないけど。
いや、あの人は気配どころか姿をも消しているから根本的に違うのかな?
僕はスナイパーがいると思われるビルの中に入ると、笑みを浮かべる。
多分、今の僕は自分でも引く程下衆な笑みを浮かべているだろう。
「よし…………行くか」
通信機を手に持ち、ビルの屋上に向かって歩く。
さて、こっちも気合を入れるか!
ー屋上ー
居やがったぞ。のんきにスコープを覗いていやがる
そこには、柵のないビルの屋上から狙いを定めているスナイパーがいた……。
さて、悩んでる時間はない。
僕は足音を立てずにスナイパーに近づくと、後ろから思いっきり殴りつけ、狙撃銃を奪い取った。
「何ッ!?」
スナイパーが驚くがそんな彼をしり目に、僕は狙撃銃を屋上から放り投げる。
通信機を取り出し、「狙撃される危険性はなくなったのでそちらは頼む」と一言だけ残し、敵に向き直る。
「油断したが、そう易々と倒せると思うな!」
ホルスターから拳銃を抜き、標準を僕に合わせてくる。
「頭はやめちくり~」
僕は頭を庇いながら物陰に隠れる。
非殺傷弾が遮蔽物に弾かれる音が屋上に響き、僕もホルスターから銃を取り出し、遮蔽物から顔を出すと同時に引き金を引く。
相手も遮蔽物に隠れており、射撃することが難しい。もっとも、僕の射撃精度はクソなので動かない的に当てられるかも分からないが。
しかし、このままじゃ味方の消耗がきつい。強襲されて耐えているが、長くは続かないだろう。早いところ、手を貸してやりたいが……。ここは意を決して仕掛けるしかない!
遮蔽物から身を投げ出し、相手の発砲を誘う。
「おらよっと!」
相手がこちらに標準を合わせる僅かな隙を突いて、銃を相手に投げつける。
僕の手から離れた銃はクルクルと回転しながら空中を進み、相手に向かっていく。
「投げたっ!?」
相手の目が逸れた。チャンスが巡ってきた。
僕はエサを追う獣の如く走る。相手が僕の行動に気づき、銃口向けるが既にこちらの間合いだ。
相手の拳銃を蹴りあげ、驚く相手に追撃を加える為、そのまま前へ踏み込んでパンチを相手に頬に見舞う。
「ぐっ」
相手も負けじとパンチを繰り出す。
「いてっ」
相手の拳が僕の頬を捉え、思わず後ろへ後ずさる。相手は追撃で蹴りを繰り出してきた。
咄嗟に腕で蹴りを受け止めるが、蹴られた部位に痛みと熱を感じ、後ろへ飛び退く。
「もらった!」
着地の隙を狙って相手は踏み込んで右ストレートを繰り出してきたが、左手で外側へ払いのける。
ピッー!
終了の合図が鳴った。
目のフラッグが攻撃用のフラッグに触れたと言う事だ。そのまま相手チームに押し切られたか、それとも反撃の末、逆転したかのどちらかだ。
『9班と24班は定位置へ集合してください』
アナウンスに従い、ビルから出て予め決められている場所へ向かう。
既に、他の班員は集合している。空気から察するに、僕達の敗北の様だ。
「態々言うまでもなく、9班の勝利だ。お前ぇら!終わったからさっさと帰れ!」
蘭豹に言われ、僕たちはその場で解散した。
「あー疲れた。ホント、協力とか疲れるよ」
仲間を信じ、仲間を助けよ? 生憎、助ける仲間は愚か信じる仲間すらいないんだよ。
あいつらとは今日限りの関係だし、別にいいか。ごめんね屑で。
ソファーに寝転がり、今日の事を思い出す。
助け合うか……。ああ、やめようやめよう。こんな事考えたって時間は巻き戻らないし。
大体、なんでこんな事しないといけないんだよ……。めんどくせぇ。
担任の教師が『そんなこと言わずに頑張りましょう?』って言っていたがな。
『頑張ろう』ってのは努力を強制する事に近い。つまり、これは今話題の自殺なんかにもつながる危険な発言なんだ。こんな事をイカれた武偵校の教師に言っても「それがどうしたって?」って返されるだろうな。 あいつら人の心ねぇのかよ。
よく教師なんてできるな。あいつらに教師ができるなら僕にだってできる。
道徳の授業に至っては2時間ぶっ続けで話せるぞ?
はあ、明日も学校だ。でも、今度の休日に日向ぼっこできる草原を探しに行くのだ。
それが唯一の楽しみでもある。早く休日にならないかな……。
この時、僕は愚かにも気づいていなかった。その休日はとんでもない事態に繋がる事を……。
探偵術と推理学による調査・分析を習得する学科だ。高天原先生がが主任だ。僕の偏見だが、武偵高の中では比較的まともな教員が在籍している思う。外部からの依頼で迷子や行方不明者を探したり、未解決事件のプロファイリング、浮気調査なども行っているらしい。
ちなみに高天原先生は僕の好みのタイプでもある。「