黒狼狐己録 -Life Harboring- 作:ふーか
本当、申し訳ない。
『記憶を具現化する程度の能力』
正確に言えば、記憶にあるものを具現化する、か。
いまいち理解が出来ないが、銃器や爆弾等は具現化出来ない。刀や剣は出来る。ならば殺傷能力のあるものがダメ、という訳ではない…。かといって遠距離がダメなのかと聞かれると、弓は出来る。何故だ…
他、武器以外はだいたい出来そうだ。板チョコが出来るくらいなのだし。でも試していないものもあるし、基本的に謎が多い。さて、どうするか…?
今のところ確認したのは、銃器、爆弾、命等々。出来るものは、刀、剣、チョコ、トランプ。恐らく、探せばいくらでもあるだろう。
あれ?…まさか。
銃器は、引き金を引けば、機械(銃器)が“勝手に”攻撃するし、爆弾も火を点ければ“勝手”に爆発する。命はまあ当然だから何も言うまい。
まさか、”勝手に攻撃行われる„のがダメなのか? いや、でも剣だって投げれば同じことでは? ならば、この世界にまだ存在しないから? ならうどんげの銃剣は…あ、出来た。益々訳がわからない。ま、いざという時に使えばいいだろう。
「お燐。私の仕事って結局どうなるの? 私夜行性だから昼は苦手だよ?」
「うーん…夜の見張りとか?」
「いや、わざわざ死にに来る馬鹿はいないでしょ?」
結局、私の仕事は何なのだ。能力がわかっても、仕事がなければ意味がない。
「よし、それなら…うーん…」
会って間もない私のことを必死に考えてくれる燐に感謝しつつ、出来る事を考える。動物の世話? 見回り? 外で不審者がいないかを監視? どれもほぼ必要はない。世話はしっかり行き届いているし、わざわざ死にに来る不審者は、それこそ変態だ。どうするか…
「ッ…どうしようかな。何もせず居候は、私自身が嫌だし…」
「うにゅ~…動物の世話をしたり、ご飯作ったり…」「それだ!!」
「あわわっ!?」
食事を作る…!! 能力も生かせるし、料理の腕は中々にあると自負している。これなら難なくこなせる。それに、料理を作るのは私だけではないだろうから、いつ召喚されても問題ない。
「…ありがとう空!!」
「う、うにゅ…」
可愛いな、この鳥。本当に持ち帰っちゃダメかな。
「…じゃあ、決定だね。さとり様にお伝えして来るよ」
燐が元気に部屋を出ていく。空の頭を撫でつつ、色々と想像を広げる。あれを作ったり、これを作ったり。
「ところで、お燐とお空の部屋は?」
「お燐はここの隣だよ。私はその隣」
見事に並んでいると。全員にしっかり部屋を用意する辺り、さとりの動物好きが伝わる。家族か…羨ましいなぁ…私も、いつか出来るかな…。
布団にバフンと顔を埋め、少し涙目になった目を擦った。いけないいけない、こんな姿は見せられない。
それから燐が来る迄の時間、私は空と話したりした。空と話すのは中々に楽しい。無邪気に~はこれなんだよ、~は~でさ…と。昔を思い出す。あの忌々しい事件を。絶対に許せない…
「絶対に…絶対に許さない」
「狼戈? どうしたの?」
「え? あ、いや、なんでもない…よ」
口に出してしまっていたようで、即座に誤魔化す。私の過去なんて、誰も知らなくていい。知っても…後悔するだけだ。もう哀れみの目を向けられるのは嫌なのだ。
「狼戈!! さとり様が良いって!!」
「本当? 精一杯頑張るよ!」
さて、仕事は決まった。空のお腹が鳴ると同時に、私も動き出す。
さぁ、初仕事といきますか!!
いやはや、もう本当にグッダグダですね。
グダグダでも構わないよ、という寛大な心で見ていただけると幸いです。