黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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主人公の能力は4つ(正確には3つ)。
ただ、その内2つが、基本的に戦闘に使い道のない日常的なもの。

(現在戦闘に使えるのは『記憶を具現化する』だけ)

能力が多いだけで、決してチートキャラではない(と思います)。
主人公の戦闘力は、また後程に描写が入ると思われます。

以前お伝えした通り、俺TUEEE!!!は基本的にないのでご了承くださいませ。


十七 料理と体質

 厨房。あるのか定かでは無かったが、しっかり存在していた。ただ、ちょっと見たくないものがあったりする。肉とか…何の肉ですか? これ。そんな疑問は置いといて。

 食事風景を見せていただくと、見事にデザートが無い。もう肉とかがデザート的な感じなんですかね。まあ、それならそれで好都合。

 

「材料的に…さとり様と妖怪化した動物しか、デザートは無理かな」

 

 動物に、下手に何かを与えると死に繋がる可能性が高い。さとりの為にも、できる限り避ける。ペット用のケーキもあったはずだが、私にそんなものを作る技術はないのです。

 

 今回作ってみるのはエクレア。狼のお手軽クッキング、始まるよ。

 薄力粉に無塩バター、卵にチョコに塩少々。さあ、腕によりを掛けて…!!

 

 

 やはり、時間が掛かってしまった。毎食後ではなく、定時制にしよう。3時のおやつにするべきだ。一日一回、健康的にも。それで働いているのか、と聞かれるとぐぅの音も出ない。

 結局、食事(昼食?)時間に遅れてしまった為、包装してそれぞれ配っている。妖怪化した動物は結構多い。甘いものが無理という子は…残念ながらまた明日。とりあえず、多目に作ってよかった。

 正直、この能力ならばエクレアそのものを出せば、それで終わる。だが、そんな気持ちの籠っていないものを受け取ってだれが喜ぶのだろうか? やはり、手作りが一番なのだ。

 

 挨拶がてら妖怪達に配り終え、残るは空、燐、さとり。別に緊張する訳でもない。現に、他の妖怪からは美味しいと言われている。

 まずは、と空の部屋をノックする。ご飯の後ならばいるはずだか…

 

「うにゅ? どうぞ?」

「失礼するよ~。はい、お空の分」

 

 透明の包装紙に包まれ、更にハート柄の袋に入れられたエクレア。個人的に崩れも無く、可愛い出来だと思う。

 

「いいの!? ありがとう!!」

 

 笑顔の空に心を揺れ動かされる。最近、誰かと会う度に心が揺れている気がするのは、きっと気のせいでは無いと思う。で、でも変態じゃないもん。

 

「甘くて美味しい!!」

「…チョコと同じ感想だね。まあ喜んでくれたなら嬉しいや」

 

 いつの間にかエクレアを頬張る空と別れ、次は燐。どんな反応をするのか少し楽しみだ。

 

「失礼するよ。お燐の分も作って来たよ」

「おお? わざわざすまないね」

 

 初めて見るのか、エクレアをじーっと見つめる燐。私が食え食えと催促すると、不思議そうな顔で一口かじった。あ、意外と大きく食べるんですね。

 

「ん~!! 甘くて美味しいね!」

「感想がお空とまったく一緒だね。ま、ありがとう。じゃ、私はまだ配らなきゃ」

 

 時々貰える“美味しい”や、“ありがとう”を聞いた時が一番嬉しい。パティシエの性だね。

 さて、残るはさとりか…口に合うといいのだけれど。

 

 

「失礼します」

「…狼戈さん? どうぞ」

 

 さとりの前に堂々と歩みより、袋を手渡す。

 

「私はもうさとり様のペットなんですから。さん付けはいいですよ。

 これ、私特製のデザートです。お口に合えば幸いですけど…」

「…わかりました。ありがとう、狼戈」

 

 その言葉を聞いて微笑み、部屋を退出する。どうも、どう接していいのかわからない。ご主人様として接するべきなのか、一人の妖怪として接するべきなのか。年齢的にも、私はこれでいいと思う。

 

「…まあ、これはこれでいいかな」

 

 

「…何故に」

「今はちょっとだけ仕事が無くてね…暇なのさ」

「うんうん」

 

 自室に戻れば居座る妖怪二人。もう今更文句を言う気力も無く、そのままベッドにボフッと倒れ込んだ。布団に潜り込み、丸くなる。尻尾を全身を覆うようにクルンと巻き、目を瞑った。

 

「お疲れ様だね」

「ん…別に疲れてる訳でもないけどね。丸くなると落ち着くんだ」

「はは。まるで猫ちゃんみたい」

 

 空の指摘にもっともだと笑う。狭い場所や暗い場所は生前(?)から好きだった。丸くなるのは動物の本能故か。

 

「そういえば、狼戈は何歳なんだい?」

「私? 私は14だよ」

「そうかい。まだ若い…え?」

「じゅう…よん?」

 

 想像していた年齢と桁が違ったのか、燐と空が唖然とする。言わない方が良かったかも知れない。

 

「1…14にしては性格も大人過ぎるし…」

「昔から大人しいとか、賢いとかよく言われてたよ。ま、色々あったからね」

 

 私が大人しいと言われていたのは、実際に私が大人しかったからではない。あの事件で現実を見た。人生とは、所詮こんなものなのかと。心を閉ざしたからこそ、大人しいと言われていただけだ。あの時は無力だった…でも、今なら…。まあ、嘆いたところでもう遅い。死んだ命はもう戻らない。

 

「年齢はどうでもいいよ。私は私なんだからさ」

 

 ところで、年齢的にまだロリ扱いの私がロリを好きと言ったら、ロリコンになるのだろうか。そんなくだらない疑問を浮かべつつ、起き上がってポカンとする燐と空の顔を見比べる。その表情に思わず吹き出してしまい、止まっていた時間が動き出した。

 

「ぶっはは!! 二人とも顔!!」

「な…ッ!! 他人の顔を見て笑うとは失礼だね」

 

 燐に悪ふざけで突き飛ばされ、ベッドに倒れる。その“少し押されただけ„でもちょっと痛い。流石妖怪。力加減が難しそう。肩を抉られるよりは遥かにマシだけど…ね。

 

「…ねぇ? お燐。お空」

「…なんだい?」

「うにゅ?」

 

 ここで聞くのは変人扱いされるかも知れないが、一応理由も添えて聞いておく。

 

「私、誰かに会う度に“美味しそう„とか“美味しい„とか言われるんだけどさ。

 二人から見て…どうなのかな。単に私の運が悪いだけかな?」

 

 その言葉に、燐が小さくピクッと動いた。ああ、やっぱり。美味しい、か…まったく、勘弁して欲しいものだ。

 

「い、いや、私は…」

「美味しそうだよ?」

 

 狼狽する燐に、サラッと答える空。確定だ。これで私の体質がわかった。誰からも美味しそうに見え、かつ実際に美味しいと。血から肉まで美味しいと。うむ、軽く笑えない。

 

「ま、襲われるとは思ってないよ。変なこと聞いてごめんね」

 

 燐に申し訳なくなり、話を区切る。このまま続けて良いことはないし…何か別の話題を…

 

「ああ、あたいはもうすぐ仕事だね。じゃあね、狼戈」

「私も仕事にいかなきゃ!! バイバイ狼戈ちゃん!!」

 

 いきなり来ていきなり帰った二人を見送る。然り気無く空にちゃん付けされたが、こいつは私より下だと見られているのか、友好的なのかどっちだろう。友好的なのだと信じたい。

 昼は眠いからもう寝てしまおうかな、そう思って(何度目かわからないが)ベッドに倒れ込んだ…が、私の背中はベッドに付くことはなく、体を襲う浮遊感。そのまま地面に落下し、訳もわからないまま辺りを見回す。

 

「…随分と楽しそうね、狼さん?」

 

 そこには、気味の悪い笑みを浮かべる紫の姿があった。




ヤヴァイ、グダグダ。
二章通して全てグダグダな気がします…
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