黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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ネタ的な小話回。シリアス:ネタ 1:2(?)
紫さん…難しいです。


十八 唐突とお茶

「何か御用かしら? ご主人様?」

「…その呼び方はやめなさい」

 

 何故? 何故顔を赤くして背けるの?

 何故か御主人様の御主人様に呼ばれて飛び出て、という訳だが、どういう状況だろうか。私の主の藍はいないし、目の前には紫が座っているだけ。召喚ではなく隙間を通されたから、まあそんなことだろうとは思った。それにしても、本当に考えている事がわからない妖怪だ。

 

「…まぁ、座って頂戴」

 

 物凄く帰りたい。

 言われるがままにソファーに座り、机越しに座る紫を軽く睨む。扇子で口元を隠し、微笑するいつもと同じ状態。彼女と話すと話が狂う為苦手なのだが。

 

「で、結局何よ」

「つれないわね。ちょっと呼んだだけよ」

 

 何がしたいんだこの隙間妖怪。

 話す事もなく時間が過ぎる。私にも、彼女にも、仕事というものがあるだろう。何故こんな無意味なことをするのやら。次第に機嫌が悪くなり、机に置かれたお茶を飲み干す。美味しい。

 

「失礼します…やはりか、狼戈の匂いがしたんだ」

「文句なら私に言わないでね。勝手に連れてこられただけだから…って匂い?」

「ああ、甘くて美味しそうな匂いだ」

 

 …聞かなければ良かったな。

 

「で、結局何の為に呼んだの?」

 

 私の問に、回答者はいない。藍はわからないだろう。だが、目の前で此方を見てくる隙間妖怪は違うはずだ。呼んだ張本人だし。それなのに一言も話さない紫に、少し息を荒げる。

 

「何で何も話さ…ッ!?」

 

 体の力が抜け、ガクンとソファーに落ちる。まさか…お茶に何か…

 

「なに…を……」

 

 妙に落ち着いた藍と、扇子を閉じる紫の姿を見て、私は意識を投げ出した。

 

 

「…紫様、彼女は私の式ですよ?」

「ええ、わかってる。ただ彼女を見ていると、どうも遊びたくなるのよ」

 

 少し機嫌の悪そうな藍にそう返しておく。藍も私の言葉通りのことを思っているのか黙り込んだ。妖怪の欲とでもいうのだろうか。チラと少女の寝顔を見る。スヤスヤと眠り込んでおり、スースーと寝息をたてる様は可愛らしい限りだ。尻尾は不規則に揺れている。もういいだろう。“今回は„特に遊ぶ用事もない。藍に引き渡すとしよう。

 

「藍、連れて行っていいわよ」

「…わかりました」

 

 さて、優しい優しい狼さん? いつ化けの皮が剥がれるのかしらね?

 あと何十年の内に、本性を現す事を願っているわ。

 

 連れていかれる少女を眺めながら、心の内でほくそ笑んだ。

 

 

 狼戈が…14歳? それにしては賢く、大人しすぎる…だが年齢で嘘を吐く必要はないし、友達(家族か)に嘘を吐く理由もないだろう。なら、何故こんなに落ち着いて…

 ふと抱き抱えた狼戈の頬に一筋の粒が線を描く。私が助けて貰った日も、こんな風に泣いていたな。そんな事を考えながら、自室へ戻る。狼戈をベッドへ寝かせ、私もベッドへ倒れ込んだ。

 

 

「んぅ…ぅぅ…?」

 

 薄く開く視界に段々と意識が覚醒していく。私は…確か紫に隙間で連れて来られて、そしてお茶に何か仕込まれて…

 段々と怒りが込み上げて来た。私の事を何だと思っているのだ。私はお菓子を作って燐達と駄弁ってから、普通に寝る予定だったというのに、寝かされてしまった。どういう事ですかね。

 怒りのあまり布団を軽く殴ると、小さな悲鳴が聞こえた。その瞬間に冷や汗が止まらなくなり、命の危険を察する。

 

「…ほう。主人に手を出すとは…」

「わ、わざとじゃない…ち、違う…ひぅ!?」

 

 隣で寝ていた藍を殴ってしまった。後悔してももう遅い。泣きたい。泣いた。

 

「違うって…わざとじゃなひぁぅ…!!」

「ん? 聞こえないぞ?」

 

 わかってるだろ。わかってやってるだろこの狐。

 既に何度目かわからぬ私の悲鳴。誰も助けてくれない。紫、許すまじ。

 

 

 散々遊ばれた挙げ句、地霊殿に帰って来た。私が拐われてから既に4時間が経過している。どれだけ寝ていたのか、どれだけ玩具にされていたのかはわからない。

 もうヘトヘトだ。疲労だ。もう疲れた。

 愚痴を溢しながら、また布団の中へ潜り込んだ。




私の好きなキャラが出ていない訳じゃないです。
ただ、所謂嫁的なキャラはまだですね…

妖怪の山にいるキャラです。
この物語で登場するんですかね…(自問自答)
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