黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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戦闘メイン? いえいえ、性描写メインです。一応シリアス。
ここから二話、そんな描写が続くので、苦手な方はバックを推奨します。

どさくさに紛れて最後の能力解放。


三十二 九尾と悪魔

 籃に呪術を教えて貰う時以外で、籃の術を、戦闘を見るのは初めてだ。尻尾だけで強者の妖怪を捻り潰すその力…私も足手まといにならぬよう、全力を出さねばなるまい。オレンジの時と同様、生死が懸かっている。殺すというならば…私とて手加減は出来ぬ。

 

「籃、援護!!」

「なっ!?」

 

 二人に突っ込む。ここは巨大なロビー(的な場所?)。これだけ広ければ…暴れても大丈夫。尻尾に妖気を纏い、二人を弾き飛ばす。その速さ故か、それとも単に油断していたのか、簡単に吹っ飛ぶ二人。されど然程ダメージはないようで、各々が動き出す。

 

 狙うは…幻月。考察でしかないために真相は知らないが、もしシスコンなるものだったら、夢月を狙うのは得策とは思えない。だが、攻撃を仕掛けたのはそちら。文句は言えないのでは?

 弾幕を出されるよりも早く、懐へ潜り込む。だが、ただ弾幕に頼る相手ではないらしい。繰り出した掌底を受け流し、隙の出来た体に不意に衝撃が走る。気付けば数メートルを吹き飛び、壁に激突…込み上げた血を吐き出し、起き上がる。痛みなど…忘れてしまえ。

 

「狼戈!!」

「…え」

 

 気付けば、夢月から迫る巨大のレーザー。マスタースパークとでも言えるようなそのレーザーに、私の体は硬直する。避けなければ…そう思っても足が動かない…。いや、動けないなら動かなければ良い。こんなもの…相殺するまで…!!

 咄嗟に出せるだけの妖気を集中させ、掌で拡大させる。臨時の防御壁。瞬間、妖気と妖気の干渉するちりちりという音が空間を支配、防御壁は容易く割られ、壁にめり込む形で、その攻防は終了する。

 

「がっ…は……」

「狼戈…!!」

「おっと…逃げちゃダメ」

 

 幻月に足止めを食らう籃。動けぬ私に近付いてくる夢月。強い…何故こう無謀な事をしたのだろう。今更後悔しても遅いけど…。

 

「残念だったね。大丈夫、すぐ楽にしてあげるから」

 

 最初の私なら。多分抵抗も何もしなかった。そう、最初なら。

 だが、今は大切なものがある。生きたい…そう思える大切なものが。

 

 ーーー死にたくない。まだ生きたい。

 

「…まだ足掻く? あの狐も送ってあげるから大丈夫だよ」

「…ぁ?」

 

 小さく…自然に声が出る。籃を…殺すだと? お前等なんかに出来る訳がないだろう。籃は主人の隙間を介し、逃げられる。何も心配することなんか…

 そう思い、途中で気付く。今の籃が…私を捨てて逃げる? 無理…だよ。彼女は…きっと私を捨てられない。私なんていなければ…こんなことには…

 

 心の中で響く悲痛な叫びは、誰にも伝わることはない。

 

 

 まだ…狼戈は実戦が少ない。圧倒的に経験がない。狼戈が勝てる相手ではない…素直に即座に連れて帰れば良かったものを…私の判断のミスだ。私が悪いのだ。壁に激突し、吐血する狼戈。今すぐにでも助けたいのに…この悪魔、邪魔だ。

 

「助けたい? でも…無理なんだよ」

「黙れ」

 

 苛々が収まらない。狼戈を傷付けたこいつらをどうしてくれよう。殺しても、食っても、虐めてもまだ足りぬ。妖獣の長に喧嘩を売った罪…万死に値する。

 呪術を発動させ、辺り一面全てを焼き払う。全て…燃えるが良い。

 

「…籃……!!」

「狼戈!?」

「復讐なんて考えないで…いいから…逃げて?」

 

 …何故…何故こうまでして、仲間の事を守りたがる? 彼女の過去に何があった? 簡単に命を捨ててまで、誰かを助ける。それを実行出来る程の、何かが…そんなことはどうでもいい。逃げるにせよ戦うにせよ、狼戈をおいていく程、私は素直になれない。

 

「…わかった。でも逃げるなら一緒に…」

 

 そこまで口に出し、違和感に気付く。胸から…何か…赤いもの…

 

「ぐ…ぁぁ…ッ!!」

「籃ッ!!」

 

 突然走った激痛に、情けなく悲鳴をあげる。情は人を弱くするとは言うが、ここまで…以前の私ならば、遅れは例え一人でもとらなかった。なのに…

 

「仲良く地獄に行っておいで?」

「ぐっ…!!」

 

 狼戈の所へ突き飛ばされ、力なく倒れる。咄嗟の激痛に脳が驚き、思考が軽くパニックと化している。住処へ帰るという簡単な方法すら思い浮かばない。

 

「じゃあ…さようなら」

 

 その言葉に、覚悟を決める。狼戈と一緒なら…これも悪くない。そう思って目を瞑る。

 だが、いつまで経っても聞こえるのは静寂だけ。遅れて響く遠吠え。ゆっくりと目を開けば、其処に悪魔の姿はない。其処にいたのは…

 

 ーーー漆黒の大狼だった。

 

 

 今私自身がどうなろうと知ったことか。籃を殺すなど、絶対に許さない。させない。さようなら、と。その言葉を聞いて、私の中で何かが切れた。さよならするのはお前等だ。

 

「グルル…」

「ッ…!?」

 

 自分の姿がどうなっていたのか、それを確認する術はなかった。ただ目の前の敵を潰す。それだけを目標に。押さえつけた後、そのまま何もしなかったのは、私の甘さ故か。驚愕に色を染める姉妹に一度吠えて解放し、視線で伝える。帰るから放っておけと。その意図を読み取ったようで、夢月が口を開いた。

 

「…今、殺せばよかったでしょ? ねぇ、なんで?」

 

 何故か言葉が喋れない。もう一度ちらりと夢月を見る。なんで、皆こう死にたがるのかな。死んでも…良いことないんだよ? 私は結果的に死んで、今幸せだけどさ。

 

「…行くよ、お姉ちゃん」

「…う、うん」

 

 帰ったか。今回は私に非がある。今度…もし会う事があったなら、謝りたい。ハッとして籃に近付く。やはり流石妖怪という状態で、怪我はあっても何等問題はなさそうだ。だが、これも全て私のせい…

 上半身を起こす籃に、顔を近付ける。あれ…何か違和感が…

 

「狼戈、お前…」

 

 そう言われ、やっと気付く事が出来た。なんだよ、この姿。狼…? いや、そりゃ私狼だけどさ。もう訳がわからない…何? 何なの? 私化け物なの? ああ、化け物だった。

 

「…うにゅ、戻った」

「…狼戈。ちょっと来い」

 

 言われるがままに近付く。手が届く距離まで近付いた瞬間、頬を何かが打ち抜いた。籃が頬を叩いたのだと気付くのに数秒を要する。籃の瞳は…潤んでいた。

 

「二度と…二度と無謀なことをするな」

「…籃」

「わかったな!?」

「…うん、絶対」

 

 己の無力さが、身に染みてわかった。そして…どれほど籃が私のことを心配してくれているか、も。

 

 

 

 

「ん…ぁ…」

「ふふ、もう限界か?」

 

 もう嫌だ、この狐。

 あの後、すぐに帰還した。だが地霊殿に帰ろうとした時、籃に捕まったのだ。今日の代償として、お仕置きとして。

 

 ーーーお仕置きで犯されるってどうよ? ああ、いつも通りでしたね。

 

 四肢を拘束され、口は口で犯され、下は尾で犯される。籃の感情が昂ると、最悪私の体が液濡れになる。

 

「っ、痛い…いたぃ…」

 

 譫言のように呟く。私の中へと侵入した尾は子宮に達し、突き回していた。痛みと快楽の混ざる声。籃はそれを楽しんでいるようで、離してくれる気配はない。それどころか、責めは粘着質になっていく。

 不意に籃の尻尾が抜かれた。一瞬の休息に安堵していると、唐突に表れた隙間から、これまた唐突に見慣れた人物が現れる。

 

「…さあ、どうぞ。紫様」

「…可愛いわね、狼戈。前の約束、覚えてるかしら?」

 

 信頼したら、別に構わないと言ったあれか。つまり、この判断力を鈍らせた状態の私に決断させようということか。

 

「もう…好きに…して…」

「ふふ、ありがとう」

 

 籃は隙間に消え、残されるのは私と真っ赤な紫だけ。

 私の体勢が、半透明の液に濡れて顔を赤に染め、目は虚ろ、獣耳と尻尾は力なく項垂れるという、男が見たら…いや、女が見ても確実にアウトなものとなっている。赤くなるのも無理はないだろう。

 

「ん…ぅ」

「…狼戈?」

 

 呻く私に紫が口を開く。顔が物凄く近い。それこそ、吐息が当たってしまう程には。ふと、視界が暗くなる。一瞬理解が遅れるが、すぐに紫が顔を離したことにより、キスだと理解した。それは籃のようなディープキスでもない、普通のキス。

 

「…ゆか…り…?」

「…もどかしいわね」

 

 そう言うと、紫が服に手を掛けた。何故望んでいた事なのに躊躇していたのかは、私にはわからない。紫の体はスラッとしており、妖艶な雰囲気が漂っていた。大人の女性なら誰もが憧れるであろうスタイル。冬は寝てる癖に。

 

「ねぇ、狼戈。犯されるって…どんな感覚なの?」

 

 唐突な質問に、思考が一瞬停止する。何と答えればいいのだろう。痛い? 気持ち良い?

 

「…言いたくないのならいいわ。さあ、楽しみましょう?」

 

 れろりと舌が唇を這い、素肌と素肌が重なる。既に籃にやられている為、力が出ずに抵抗出来ない。どちらにせよ以前認めてしまったから、今更抵抗出来ないが。

 

「にぁ…ぅ…ぁ…」

 

 私の中を紫の指が掻き回す。力なく喘ぐ私に紫も興奮しきっているようで、加減というものを知らない。快楽に身を捩っても、返ってくるのはまた快楽。もう、どうしようもない。

 

「…紫様、私もお手伝いしましょうか」

「…そうね」

 

 

 紫の声は少し震えていた。籃の参加に文句も言えず、これから起こるであろう事柄に軽く恐怖する。流石に逃げようと力を込めても、その快楽に即座に分散されてしまう。逃げ場は…ない。

 

 長い永い夜は…まだ始まったばかり。

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