黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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グダグダな上、ただの日常なので飛ばしてもOK。

次回…作戦決行(&狐火鴉と藍の狼戈苛め{予定})

吸血鬼異変終了後、(恐らく)短編を挟みます。
今回の短編は<日常>と<BAD END>の二種類。合わせて…3~5話位かな。


三十五 準備と戯れ

「い、いや、その…」

 

 …何故、私は橙に押し倒されている。ああ、もう帰りたい。

 今は作戦決行の二日前。下準備等を終えた私達は、本格的な準備の為に八雲家に泊まりに来た。武器の確認(狐火鴉は小刀二対、私は素手{というか下駄})や、妖気の蓄え等。もう今は夜、ということで、夕食後に今日は早めに寝ようという話になった…はずだった。

 

「ひぅぁ…な、舐めないで…っ」

 

 顔を舐め回す橙に足をジタバタと動かすが、力が抜ける。顔なんて舐め回されたら力なんて出る訳もない。

 

「…ら、藍!! ちょっと助けて!!」

「狼戈!? どうし…た?」

 

 一瞬で此方へ来る藍。私を見るなり一瞬固まり、ニヤニヤし始めた。

 

「藍!? 早く助け…んぐっ…そこは…舐めるな…ひぅ…」

 

 親馬鹿狐がじっと此方を見て助けてくれない。手首は捕まれてて動けないし、足は力が出ない。流石にまた犯されるようなことになったら、私は無理矢理逃げる。

 

「…親か、玩具か、生殖相手か…何かに見られてるな」

「そう…って生殖!? 同性は無理だよね!? 勘弁してよ…ひぁ!?」

 

 そんなことはお構いなしに私を玩具にする化け猫。誰かこれ止めてくれ。てか、こんな幼い時から子供作ろうとすんな。無理だろ常識的に。

 

「仕方ないな…ほら」

「ちょ、それはダメ!!」

 

 全身に降りかかるマタタビ。トロトロと意識が虚ろになる。いつの間にやら現れた狐火鴉に散々撫でられ、気付けば朝になっていた。部屋に残るは私を枕にする狐火鴉、雑魚寝する橙、そして猫の如く丸まった私。もう橙と一緒には絶対に寝ないと心に決めたのだった。

 

 

「ろ、狼戈さん…服装が…」

「うにゅ?」

 

 露出が多い? そんなもの知るかいな。

 服があるから耐久力や防御力が上がるなんて有り得ない(相手の武器にも寄るし、分厚い服なら多少上がるかも知れないが)。今回は相手の武器も能力も割れている。私は微少の防御より、動きやすさをとる。

 と、いう訳で。体に包帯巻いただけという、なんとも恐ろしい服装に。要所要所に巻いてあるだけである。もし何かあっても、能力でいつでも変えられるため問題はなし。下手に繋がってる服を着ると、関節の動きが邪魔されるのだ。とりあえず、今は仮。動き易さの確認の為だ。後で着替えよう。

 

「狼戈…そういうお年頃なのか」

「動き易さをとっただけだよ。油揚げあげるからあっち行ってて」

「~♪」

 

 何あの狐可愛い。

 満面の笑みを浮かべた藍が嬉しそうに部屋を退出していったところで…

 

「さて、狐火鴉ちゃん。私を枕にした代金、御支払願いましょうか」

「い、いやぁぁ!? 怖い!! ひゃう!? 尻尾は…尻尾は止めてください!!」

 

 何この狐可愛い。あれ、デジャヴ?

 油揚げの余りを狐火鴉に渡し、ついでに未だ雑魚寝している橙にマタタビをふりかけ、紫の部屋へ向かう。寝ているかと思っていたが、意外にも何やら書類に目を通している最中のようだ。

 

「ん~…おはよう、紫」

「ええ、おはよう。朝食はまだかしら?『

 

 …この隙間野郎。

 

「…藍。ご飯作るから手伝って」

「…わかった」

 

 藍にとっても紫の我が儘(というか無茶ぶり)は内心嫌そうだ。だが、藍の料理の腕は良い。普通に上手いし、旨い。味付けは少し…薄い、かな。とりあえず、主婦として見れば完璧にこなしている。九尾って凄い。私尻尾一本しかないもんだ。

 

「ん…肉じゃが作ろう肉じゃが」

「肉じゃが?」

「まぁまぁ。藍、やっぱり手伝いはいいや。ちょっと待ってて」

 

 馬鈴薯と、人参と…あとは玉葱とか。ささっと作って二度寝しよう。

 

 

「…狐火鴉? 何がしたいの? そんなに私に種付けしたいの?」

「ち、違いますってばぁぁ!! 藍さんもそんな目で見ないでくださいよぉ…」

 

 狐火鴉が『勘違いされてすぐに泣く系女子』みたいに喚く中で『何私の獲物盗ってんだよ系女子』の藍が狐火鴉を睨み付けている。まあ『普段真面目な癖に私の事となると赤面する奴なんなの系女子』の私にはどうでもいいことだ。ところで、年齢的に全員女“子”では…私と狐火鴉は外見ロリだから問題ない。藍は面倒見(主に夜)の良いお姉さん的な…

 ともかくこうなった原因は、私が今リアルロリ化していることにある。見事に幼稚園児かそこら辺だ。身長の2倍程の尻尾をぶんぶんと振りながら、獣耳を小さくピコピコと動かすその姿に、藍が震え出した。嫌な予感がする。多分性的な意味でだと思う。

 

「狼戈、おいで? お風呂にでも入ろうか」

「ち、小さくなってもお風呂位入れるもん!! 狐火鴉!! 早く戻してよ!!」

 

 意識せずとも、自然に涙目となる。幼い子は涙腺が緩いが…まさに私がそれだ。その姿に、今度は狐火鴉がニヤリと微笑む。嫌な予感がする。多分風呂的な意味でだと思う。

 

「藍さん、行きましょう。お風呂お風呂」

「ああ、ゆっくり浸かるとしようか」

「いやぁぁ!! 誰か…ッ! 誰か助けてぇぇ!!」

 

 狐火鴉にお姫様だっこで連行される。私、姿が戻ったら狐火鴉を苛めるんだ。

 

 

「きゃう…じ、自分で洗うから…ひぅ…は、離して…」

「ん~? こことか、こことか…まだ洗えてないぞ?」

「にゃぅぅ!? そこは…ダメ…」

 

 お風呂場にて。よくよく考えると、藍と風呂に入るのは…初めてではないか。何度か入っている。主に朝だが。その昨夜に何が起きたかを聞くのは野暮。

 風呂場に着いた途端、藍に“此方へ来い„と催促され、結果小さなイスに座らされる。私の眼前の鏡に映るのは、尻尾で泡だてる藍の姿。うごめく尻尾が私に近付いた時、直感的に意識を失いかけたが、八雲家は今日も平和です。私を除き。

 

「いや…ん…ぅ…」

「ら、藍さん、お風呂場では…自重した方が良いかと…」

「ならガン見するな!! あぅ…やめ…藍…」

 

 私、狐の恐怖症になるかも知れない。

 第一、何故風呂にすら普通にゆっくり入れないのだ。というか狐火鴉、同情するならさっさと能力を解除してくれないか。私そろそろ死ぬぞ。色々な意味で。

 

「狼戈さん、猫や九尾になれるなら、蜘蛛とかにもなれるんですか?」

「はぁ…んぐ……なんで…蜘蛛…?」

 

 浴槽に逃走し、湯槽に浸かる狐火鴉の質問に疑問をぶつける。藍は自身の体と尻尾を丹念に洗っている。束の間の休息…色々おかしいよ。もう嫌だよ。

 

「ちょっとヤマメさんの事が頭に浮かびまして」

 

 ヤマメ…か。私が拒絶した以降、会っていないな。別に、私もそういうことに関しては慣れている(のも悲しい話)為、別に構わない。今なら…きっと大丈夫。ただ、私の情緒は自分でもどうなるかわからない。突然、溜まったストレスか何かが爆発するのだ。…とりあえず、今度謝りに行くとしよう。

 

「どうだろ…ほい」

 

 蜘蛛の力を宿す。が、外見に変化は見られない。違和感があるのは牙…か。蜘蛛は本来相手の体内を溶かし、その液を吸う。牙がストロー状にでもなっているのだろうか。

 …もし土蜘蛛の捕食方法が同じなら、ヤマメに血を与える時にわざわざ血を抜いた必要はあったのだろうか。牙で直に吸えば良かったのでは…

 

「一応、体に変化はあるけど…尻尾も耳も消えちゃうし、使わない方が良いね」

「ですね。耳と尻尾がなかったら狼戈さんじゃないですもの」

「そうかな…じゃ、狐火鴉。捕まえた。早く治せ早くさっさと」

「わ、わかりましたからそんな詰め寄らないでください!!」

 

 一瞬の内に目線が高くなる。それが微々たるものなのがかなり悲しい。胸はあるけど。

 つるぺた枠は萃香で埋まって…ああ、殺気を感じた気がする。怖い。

 

「ふ~…戻ったか、狼戈。相変わらず可愛いな」

「や、やめてよそんなド直球に…」

 

 浴槽に入ってきた藍の言葉に、羞恥心からか照れからか、顔の半分を湯の中へ沈める。ぶくぶくと泡を吹き出しつつ、不機嫌そうな声で問い掛けてみる。

 

「…いつも思うけど。藍は風呂に入って式神とれないの?」

「ん~…まあ色々あるのさ。そんなことより此方へ来い、狼戈」

 

 …あれ? 死亡フラグ?

 

「なに? 私一人でゆっくり浸かりたひゃああ!?」

「ふふ…今日の夜が楽しみだな」

「いや、明日決行ですよね!? やめた方がきゅう!? なんで私まで!?」

 

 二人仲良く、藍の尻尾にくるまれる。このまま夜に3Pとか話になったら、私は作戦放棄して逃げるだろう。私が二人に弄ばれる未来しか見えてこない。狐火鴉の能力にプラスして藍の技。つまり、死亡(別の意味で)。

 

「狐火鴉もどうだ? 遊んでやるぞ?」

「い、いや、私は狼戈さんで満足してますし…地霊殿の面子全員も、かな」

「私で満足ってどういうことよ!? 地霊殿の面子にとって私は玩具!?」

 

 こんなことを言ってはいるが、本心ではない。流石に、そう何度も暴走していては皆に迷惑が掛かり過ぎる。ストレスの解消法も一応ある(パンチングマシーンをぶん殴る)。他にも、私にとっては歌やお菓子作り、最近あまり吹いてないがオカリナ等も、私にとってはストレスの発散法だ。

 

「狼戈の反応はかなり可愛いからな」

「ですよね!! 最初は嫌がるのに、途中からただ鳴いてますし。きゃう…とか」

 

 …それ、レイプっていうんだけど知ってるかい。訴えるぞ? 閻魔様に訴えるぞ?

 私の反応という、とんでもない話題で盛り上がり始めた獣二匹を放置し、私は風呂場を後にした。もう…嫌だ。夜が怖い。私夜行性なのに。

 

 

「猫…猫…!!」

「ほ~ら、可愛い猫ちゃんですよ?」

 

 猫の尻尾をゆらゆらと揺らす。眼前の妖獣はプルプルと震えているが…

 

「うにゃあああ!!!」

「ひゃああああ!?」

 

 想像以上の突進スピードに、橙共々、藍の部屋へ吹き飛ぶ。廊下で何やってんだと思われるかも知れないが、橙が悪い。私悪くない。

 橙が猫を従えたいと言ってきた為、猫又の力を宿したらこのザマだ。

 

「猫猫~にゃう~」

「…私一応狼だよ」

 

 溜め息混じりに、頬を擦り付ける橙の頭をポンと叩く。私の身長的に、外見だけで見れば姉妹と思われるだろう…そうなると、藍が姉か母親ポジションか。紫? 聞くのは野暮だと思います。

 不意に浮遊感が体を襲う。腹に何かが巻き付き、私を持ち上げているようだ。おまけに、背後からただならぬ気配を感じる。なんと見事な死亡フラグ。

 

「藍しゃま♪ むぎゅー」

 

 満面の笑みで、無理矢理抱き付く。橙は私の揺れる尻尾を追い掛け、目を泳がせている。

 

「ぐっ…!!」

 

 私の誘惑はかなり効いたようだ。だが…

 

「…ふふ、御返ししなきゃな」

 

 誘惑した後の事を考えていない。どう逃げる? いや、無理です。

 眼前の九尾様は、尻尾で私の周りを取り囲み、襲う気満々の様子だ。

 

 …橙から聞いた話だが、私の断末魔を聞いた狐火鴉が無言で合掌していたのだとか。

 その後、狐火鴉がどうなったのか…知るのは恐らく私だけであった。

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