黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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あ、あれ…? な、なんでこうなった…!?

いつも通りですが、性描写注意。


三十六 媚薬と開幕

 決行前夜。全員紫の部屋に集合し、各々の役割を確認する。

 

「…狼戈。貴女の事なら…」

「相手の事がわかるって? まあ、うん、一応」

 

 私の原作知識については、それに関して追求しないという条件付きで教えている。何故そんなことを知っているのか…それは教える訳にはいかない。私に関わる者全員、そのことについては何も言わないでいてくれる為、本当に助かる。

 

「…主力になるのは、館の主でーーー」

 

 それぞれ、館の住人の強さ、能力、その他情報を全て話しておく。正直言ってしまえば、紫と藍に情報を話す必要はないだろう。レミリア、パチュリー共に、弱くはない。だが…紫と藍に比べればまだ幼い。良い勝負は出来るだろうが、まず八雲二人に勝てる事はないだろう。

 

「…主は当然私が。藍は魔法使いを」

「能力の相性や戦い方的に、私が門番を。狐火鴉がメイドを、かな」

 

 想像通りの組み合わせだ。だが、それではひとつ、問題がある。

 

「他にも…住人はいる。それは誰がどうするの?」

 

 パチュリーのいる図書館には、小悪魔もいる。それだけではない。雑魚メイドもいる。紫と藍は、やはり気にしなくてもよいだろう。だが…咲夜と戦う狐火鴉は? 私と比べ室内で戦うために逃げ道も限られるし、集団で襲われれば能力関係無しに殺されるのがオチだ。

 

「…そうね、どうしようかしら」

 

 紫が目を瞑りながら呟く。彼女のことだ。案はあるのだろうが、こう引き伸ばすのは癖なのだろうか。それとも、ただ単に嫌がらせがしたいだけなのだろうか。

 

「…狐火鴉が耐えてくれるのならば。私が呪術で一掃出来る。

 それとも…まだ仲間を誘う宛はあるよ?」

 

 …新たに誰かを誘う、か。安全性をとるのならば、それが最善の選択だろう。勿論、命の危険は消えないが、少しでも生存率を上げるのならば…

 

「…ではお願い。私が主を潰すまで耐えて貰えれば、何とでもなるから」

 

 紫がレミリアを倒し、話を付けるまで耐えろ、ということか。倒してしまっても構わんのだろう? いや、嘘です。私あんなの倒せません。

 

「…じゃ、一回帰るね。多分すぐ戻る」

「いってらっしゃい」

 

 隙間を介し、地底に降り立つ。目指すは旧都。行くのは…何年ぶりだろう? 最初に地底に来た時、そして休暇で往復した程度か。それ以外は隙間だったりで移動している為、まず通っていない。

 地霊殿の玄関先から歩くこと数十分。旧都の入り口に到着する。ヤマメやパルスィを誘うのもひとつの手だが、今回誘うのは…すぐに見付かってくれればいいのだが。

 

 驚愕だったり好意だったりの視線を大量に浴びながら通りを歩いていく。以前通った時のことが嘘のように、嫌悪の色が見られない。まさかとは思うが、私の体質…悪化していないだろうか。現在、私の服装は、腹と肩を露出した薄手の衣服と、ジーパン。ああ、これ服装のせいかも知れない。

 怯えながら歩いていると、茶屋らしき店の前で、長椅子に座る鬼の姿が目に入る。

 

「あ、勇義!!」

「おお、狼戈か!! 久しぶりだねぇ? まさか此処に住んでいるとは思わなかったよ」

 

 盃を此方へ向けながら、笑顔で話す勇義。久々の再会なため、話し込みたいのは山々だが、今回は緊急だ。また今度、別の機会に、ね。

 

「ごめん、急ぎなんだ。萃香いる?」

「なんだい?」

 

 早い。怖い。毎度毎度、いきなり出て来ないでほしい。

 

「…明日、最悪死を伴う“戦い„に行かなくちゃいけない」

「…誘いに来たって訳かい?」

「別に、萃香がダメならいいんだ」

 

 細い目で私を睨む(?)萃香に言葉を繋げる。もしダメならば、やはり私が雑魚全て一掃する必要性があるだろう。萃香がどう返事をするのか、ビクビクしながら時を待つ。

 

「…よし、いいだろう。ただし、条件がある」

「…何?」

「今日一晩…付き合って貰おうか」

 

 死刑宣告を降され、唖然とする。昼に風呂場で散々弄ばれたというのに、更に追加すると。死ぬかも知れない戦いの直前に私を犯すと。私の事となると、皆性欲が強いというかなんというか…

 

「む~…しょうがないなぁ…」

「よし、交渉成立だね!! じゃあ連れて行っておくれよ」

 

 勇義に御辞儀をひとつ、萃香の手を握り、特性のお札に念じる。これからどうするのかを素早く察してくれる辺り、鬼には頭が上がらない。何処まで強いのだろう…

 

「…到着っと」

「あ、萃香さん!! お久しぶりです」

「狐火鴉じゃないか、久しぶり。後は…紫と藍かい」

 

 既に八雲とは顔見知りのようで、わざわざ自己紹介をして貰う必要はなさそうだ。それにしても…紫を呼び捨てするのは、私だけではないのだな。霊夢や魔理沙は余裕で呼び捨てしそうだ。

 

「…萃香には、雑魚を一掃して欲しいんだ。簡単な仕事だけど、重要な仕事」

「成る程、そういうことかい。わかったよ」

「よし!! 明日色々説明するよ。これで作戦は決まりかな? 全員寝て明日に備えよう」

 

 もっとも、私は恐らく眠れないのでしょうね。

 

 

 ベッドの上に仰向けに倒れ、息を荒くする少女。黒い尻尾が力なく項垂れており、獣耳は倒れている。顔も赤く、見ている側はかなり興奮してしまう姿だ。例え同性であろうとも。

 

 先ほど萃香が“仕方ないから明日にしてあげようか„と狼戈に意味深な発言をしていたが、結局のところ私と同じことがしたかったのだろうか。狼戈のことだから、約束を取り付けられて断れなかったのだろう。

 

「んぐ…狐火鴉ぁ…」

 

 そして、いつもより狼戈が甘えてくる(というかねだってくるというか…)。原因は…恐らく紫が“狼戈に飲ませてみて„と言った丸薬…媚薬、なのだろう。普段なら少しは抵抗する。

 

「…狼戈、おいで」

「んにゃ~?」

 

 私に抱き付く狼戈、うん、あれ絶対媚薬だね。可愛さが尋常じゃない。

 

「おやおや、もうデレデレだ」

「わっ!? す、萃香さん!?」

「紫の奴、また変なものを飲ませたね」

 

 多分今も見られてるよ、と苦笑する萃香。別に、今は私も狼戈も普通に服着てるし…見られて困るものではないけど。…何故狼戈の服は気付けばコロコロ変わっているのだろう。

 

「甘える狼戈か…想像出来ないね」

「今目の前にいますけどね」

 

 んにゃ? と顔をあげる狼戈。萌え殺す気満々の顔だ。

 

「…狐火鴉、お前…狼戈のこと好きだね?」

「え? まぁ、家族ですし…」

「いや、異性に対する“好き”と同じだろう?」

「な、な何言ってんですか!! た、ただの家族でです!!」

 

 柄にもなく動揺してしまう。自覚はまったくとしてないが、萃香の言葉に反対出来ない自分がいる。対して萃香はニヤニヤするばかり。勝てる気がしない。

 

「…好きですよ。だって…うわぁ!?」

「…随分となつかれてるねぇ?」

 

 狼戈に押し倒された。普段押し倒す側の為、新鮮…って違う。そうじゃない。

 

「いやっ!? 狼戈、そこは…ダメ…ぅぅ…」

 

 気付けば萃香の姿がない。空気を読んで退出していったのだろう。

 淫らに微笑む狼戈に、軽く喘がされる。長く黒い尾を巻き付けられて身動きが出来ない上、指捌きが恐ろしく妖艶で巧み。狼戈が誰かを犯すということは基本しないはずだが、犯され続けて何百年、技を覚えてしまっているのだろうか。犯されてばかりのぶん、彼女が欲求不満なのもある。

 

「ぅ…ぁ…んっ」

「~♪」

 

 口を塞がれ、舌が絡まる。いつも一方的なため、やはり違和感を感じる。

 くちゃくちゃと、部屋に卑猥な水の音が反響する。くちゅ…と。

 

「狼戈…っ。離して…」

「…だ~め♪ ずっと…離してあげない…ふふ」

「もう…らめ…」

 

 …ダメだ、媚薬のせいもあり、欲に自我を奪われている。狼戈に犯されるのなら願ったり叶ったりだが、これ程の技で犯され続ければ身がもたない。

 

「ッ…!! 藍さん…!!」

 

 名前を呼んでみるが、反応がない。今は深夜、仕方がないと言えば仕方がない…能力はもう発動させているが…意味はなさそうだ。

 

「…紫様も自重していただきたいものだな」

「藍さん…助け…」

 

 溜め息混じりに狼戈を引き剥がす藍。そのまま口に何かを飲ませ、部屋を出ようとする。

 

「ただの鎮静剤だ。狐火鴉…その…風呂にでも入ってから寝るといい」

 

 気付けば下着は濡れており、顔は狼戈に舐められたことにより湿っている。全身に甘い香りが付着しているのは狼戈の匂いのせいだ。

 

「は、はい…」

 

 真っ赤に赤面しながら、私は一人で呟いた。

 

 

「ん…ぅ…?」

 

 薄く視界が開く。私は、確か萃香と約束していたはずが狐火鴉に呼び出されて、何か飲まされて…

 そこまで思いだし、顔がみるみる内に赤くなっていく。私…狐火鴉を…

 

「ん…おはよう狼戈…真っ赤だな」

「・・・おはよう」

 

 驚く程の小声で藍に返す。狐火鴉にどんな顔で会いに行けば…

 

「おはようございます、狼戈さん」

「あ、うん、おはよう…うわぁぁ!?」

 

 …何故隣にいるし。

 噴火する私を他所に、笑顔で藍と挨拶を交わす狐火鴉。固まる私に、狐火鴉が恐ろしい程の笑みで詰めよって来た。

 

「いよいよ今日ですね、狼戈さん♪」

 

 遠足に行く直前の子供のような笑み。絶対わかってやってる、この狐。

 

「…昨日の分は、藍さんと共同でいつかお返しさせてもらいますね♪」

「手加減は出来ないけどな…?」

 

 私死んだ。もうきっと長く生きられない。ああ、もっと生きたかったなぁ…

 一人で絶望する私を、またも他所にして準備を始める二人。まるで“これが終わったら結婚するんだ!!„と言って戦場に行く気分だ。いや、その場合は笑顔か。作り笑いをしてみても、ひきつった笑みしか作る事が出来ない。

 死にたくなる衝動を抑えながら、私も準備を始めたのだった。

 

 

 

 

「さて、準備はいいかしら?」

 

 私は武器を必要としない為に素手。強いて言うなら下駄か。狐火鴉はクノイチのような衣服に身を包んでいる。私の能力で色々変えた結果、これが一番動きやすく軽いらしい。元の服のが可愛いというのは、ただの私の我が儘。藍と紫はいつも通りの為割愛。

 

「…各々の相手の場所へ繋がる。死ぬのは…許さないわよ」

「狐火鴉、危なくなったらすぐに私の所へ来てね」

 

 紫の言葉に深く頷き、狐火鴉へ一言告げる。全員と視線を会わせ、同時に目の前の隙間へと跳んだ。

 

「…お客さんでしょうか」

「ええ、貴女への、ね。貴女には悪いけど…少し足止めさせて貰うわ」

 

 目の前の女性の返事を聞く迄もなく、構えをとる。彼女も館の中の気配に気付いたようで、顔を歪ませた。

 

「…私は、貴女を殺すつもりも、卑劣な手を使う気もない。

 正々堂々…お相手願いましょうか」

「…ええ、わかりました。紅 美鈴、全力を持ってお相手します」

「咬音 狼戈、さあ、始めましょうか!!」

 

 時刻は丑三つ時。紅い月が照らす館の前。狼の狩りが…幕を開けた。

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