黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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2日以内更新、滑り込みセーフです…0w0;

長めの代わりにグダグダです。申し訳ない…

本編とは関係のない(かもしれない)日常の短編です。スルーしてOK。

後書きにて、主人公等のオリキャラの設定を記載。


短編 黒狼の日常
<とある真夜中>


「美味しいな~」

「同意。なんでこう美味しいんだろうね?」

「本人が色々な意味で美味しいですからね~」

 

 赤い液体の注がれたワイングラスを片手に騒ぎ立てる三匹の妖獣と、ベッドの上で顔を青くする黒い狼。無論、私である。三匹が飲んでいるものが何か。私が貧血だと言えば、きっと誰もが理解するだろう。

 

「…狼戈さん、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないよ…何? 私そんなに美味しいの?」

 

 注射針の痕から滲む血を舐めてみても、それは普通の血液…ではなく、ほんのり甘い。鉄の味がしないのに違和感を感じる。鉄分不足…? お菓子をよく食べているし、そんなことはないと思うのだが…。もう、体質とか関係無く、美味しいのかも知れない。

 

「…食べる飲むは好きにしてって感じだけど、頻度は自重してね」

「夜の頻度は自重出来る気がしませんけどね~」

 

 深夜狐火鴉の言動に、恐ろしい程の笑顔で握り拳を作る。

 

「ひ、ひゃあ!? 嘘です! 多くても週5で…」

「多過ぎるわ!! 相手、狐火鴉だけじゃないんだよ!? そこ、目を逸らすな。貴女達だ」

 

 私から揃って視線を逸らす三匹。最近は…空にすら遊ばれる始末だから。空は焦らしたり、ふざけたりがなく、全力で…うん、やめようか。だいたい、この三匹以外にも私を弄ぶ輩はいるのだぞ? 萃香に藍、紫にヤマメ。今のところ、地霊殿の親しい面子で被害を受けていないのは…勇義、パルスィ、さとり…とか。うわ、ほぼ全員から遊ばれてる。

 他で親しいのは…椛やにとりか。この二匹(?)からは被害なし。ただ椛が危うい。

 

「…呼ばれた気がしたのだが?」

「藍!? なんで此処に…まさか」

「ああ、ちょっと泊まりに。たまにはいいだろう?」

 

 空が喜んではいるが…さとりは許すのか? ああ、私の為にと許しそうだ。

 

「じゃん!! 私もいるよ~!」

「…ベッドが壊れちゃう」

 

 其処へタイミングを計ったようにこいしが参上する。実を言えば…こいしにも少し遊ばれた。

 まず、はっきりと述べさせて貰おう。私の身長はこいしより低い。レミリアより低い。最近で正確に測った結果だが…97.1センチ。ちょっと待て、誰よりも低いだろこれ。1メートルもないのか。

 身長差故に、私が誰に襲われてても多分違和感がない。逆に言えば、私を襲ってる輩は(私の外見的に)ロリコンか。笑えないぜ。

 

「…強い妖気を感じたと思ったのですが。藍さんでしたか」

「すまない、邪魔している」

 

 不意に開く扉と、藍をジト目で見詰めるさとり。だがこいしを見つけた途端、その表情が一変する。姉妹の愛って、見ていてとてもしみじみとするんだ。

 

「えへへ、ただいま~」

「…お帰りなさい、こいし」

「そうだ…! さとり様も一緒に寝よ!!」

 

 空の直球な誘いに、さとりが困惑する。まあ、それもそうか。こんなに人数がいる訳だし、普段あまり部屋から出ていないさとりからすれば、こんなに大勢で寝るのは…初体験なのかな?

 

「…賛成。さとり様、たまには一緒に寝ましょ?」

 

 空の意見に反対する意味と理由はない。上目使いに涙目、手は胸の前で合わせ、か弱い子アピール。それに対し、さとりは目を泳がせている。私の誘惑に勝てる者はいないのだ。…この体質を上手く使えれば良いけど、下手をすれば殺されるから怖い。

 …一瞬、隣の九尾からジェラシー的な何かを感じた。怖い。

 

「…そうですね。たまには…」

「やった!! さ、此方へどうぞ~」

 

 私の隣へ誘導する。その理由は単純。今、私を挟んでいるのは、狐火鴉と藍。私が死にかねない。隣にさとりがいれば、きっと何かあったら助けて貰え…唖然として固まってそう。ああ、結局駄目だ。

 

「うにゃ!? お、落ちる…!!」

「…ベッドを一旦どかそうか」

 

 一旦全員ベッドから降りて貰い、ベッドを一時的に私の一人部屋へ持っていく。妖気を使えば本当に軽く持っていけるのだ。適当に運び出した後、床に転がる。私の趣味で敷いてある敷物。誰にも秘密だが、藍の尻尾を真似た手触り最高のもの。

 

「さ、寝よう…へぐっ!?」

「私は狼戈ちゃんと寝る!!」

 

 不意に空が上から覆い被さり、口から空気を漏らす。空はただでさえ身長も高いのだから、私を潰さないでほしい。心が潰れそう。

 

「む、いくら空さんでも、狼戈さんは渡しません!!」

「そうだよお空。狼戈は皆のものなんだから」

「私は皆の所有物なの!?」

 

 空に続き、燐と狐火鴉が寄りそってくる。暑くはない…だが苦しい。

 

「む~!! 狼戈は私のだよ!!」

「いや、私が貰っていこうか」

「…人気なのね、狼戈」

 

 私の周り360度、全て囲まれてしまった。しかもこいし、さとりを除き、全て妖獣である。藍の甘い香りが部屋に充満しているため、なんというか…なんだろう?

 

「藍の匂い…」

「ん? 私がどうかしたか?」

「藍の甘い匂いは何事?」

 

 紫というか、妖怪全般そうだが…よくいう人間特有の臭いがしない。不快な臭いを今のところ感じたことがない。狼の嗅覚を舐めたらダメなんだよ?

 

「…そういう狼戈の方が、甘くて美味しい匂いが強くするんだが?」

「私はお菓子作ってるもん」

「いや、狼戈自身の匂いだ」

 

 …ええ、わかってます。お菓子を理由に逃げようとしただけです。はい。

 

「ん~…いい匂い…」

「ひゃう!? ちょっとこいし…抱き付かないでよ!!」

「こいし様…抜け出しはダメだよ!!」

 

 そして連鎖していく。このまま大乱闘と化すのは避けたい。こうするにはなんとしてでも…!!

 

「…私お風呂入ってくる」

「え? さっき入ってたじゃないか」

「だって…私が居るからこうなってるじゃない?」

 

 部屋には余裕でスペースがあるのに、私を中心に密集している。苦しい。

 

「奇遇だな、私も風呂に入ってないんだ」

「私も…さっき帰って来たから」

「私も仕事してました」

 

 …つまり、燐と空、私以外、全員入っていないと? 私は墓穴を掘ったと?

 

「…もう好きにしてよ」

 

 

「んにゃ~」

「…結局全員入るのね」

 

 一度目から数時間は経っているが二度風呂だ。一度入った面子以外は体を洗っている。いつ藍が洗い終わるかとビクビクする今日この頃だ。誰がいても、水中からこっそり悪戯されるから…

 

「じゃーん!!」

「ひにゃぁぁ!!!」

 

 こいしが飛び込んだことにより、お湯に沈む。燐があちゃーといった表情で私を見つつ、こいしが苦笑して心配しつつ。何これ? 艦これ? いや、全然違うよ。

 

「よく考えるとここにいる面子、さとり様以外全員に…」

「…私に遊んでほしいの?」

「さとり様!? い、いや、そういう意味ではなくてですね…!?」

 

 真っ赤になりながら聞いてくるさとりに慌てて訂正する。勘弁してくれ。こんなのコンプリートしても嬉しくないよ。誰が喜ぶんだ。藍か? 藍なのか? うん、ごめんなさい。

 

「…ぜ、全員洗い終わった?」

「…みたいだな」

 

 案の定、となりに座る(浸かる)藍。皆自由な場所で雑談したりしているが…私は一人になれないのだろうか。あちゃー…

 

「…ひぅ!? 藍、やめ…ぁぅ…」

 

 案の定、水中から悪戯する藍。視線が私に集まるものだから、異常に恥ずかしい。物凄く退室したい。狐火鴉とこいし、燐はニヤニヤ、さとりは私の反応に唖然とし、空は首をかしげている。

 

「ら、藍やめ…てよ…っ」

「ん~? 私は何もしてないぞ~?」

 

 …お前の背後でうねってる黄色い尻尾は何なんだ?

 私が制止しても、やめる気配はない。快楽に身を捩る中、遂に耐えきれなくなり、その場から逃げる。そのままさとりの隣まで逃走し、さとりに泣き付いた。

 

「さとり様…九尾様が怖いです…」

 

 さとりに、先程と同じコンボで仕掛ける。

 

「あ、いや…そう。よしよし」

「えへへ~」

 

少し目を泳がせ、最終的に頭を撫でるさとり。燐や藍、果てはこいしにすら嫉妬の色が見える気がする。そんなことを気にもせずさとりに抱き付く私に、遂に藍が立ち上がった。

 

「ろ う かぁ…?」

「ひぅ…!! い、いや、誰か…」

 

 さとりはもうどうしようもないと悟ったのか、苦笑するばかり。空に頼ろうにも、恐らく無理。つまり味方が消えた。ここは風呂場で、私がいるのは隅っこ。つまり…逃げ場がない。

 

「さ~て…遊ぼうか、狼戈」

「では、私達は失礼します。お楽しみに」

 

 狐火鴉が嫌らしい一言を残し、全員退出していった。隅っこで怯える私に、ゆっくりと、恐ろしい笑みを浮かべた藍が近付いて来る。

 

「…もうどうにでもなれ」

 

 

「あ、あの、狼戈さん…だい…じょうぶ…ですか……?」

「うぁぁん……うわぁぁ…」

 

 何が大丈夫だ。なんでこうなった。風呂で犯されるとかふざけるな。

 快楽が全然抜けない体を引きずり(というか藍に引きずられ)、部屋に戻った訳だが、その中にいた面子は私の話題で盛り上がっている始末。もう嫌だ、私もう寝たい。寝れない。

 

「まぁまぁ、落ち着いてください。普通に、一緒に寝ましょ?」

 

 狐火鴉が私の手を握り締め、尻尾を私の腰に一周させた。狐火鴉の体温は高い。触れているだけで眠くなるような温度だ。とろんと意識が薄くなる気がする。

 

「ふふ、私も一緒に寝るよ?」

 

 空が頭上で囁く。空と一緒に寝ると…たまに尻尾を捕まれたり、舐められたりするから少し怖かったりする。それでも可愛いのだから、魅力が高い。

 

「こうやって寝るのは…久々ですね」

 

 さとりが私に密接し、私の胸に手を当てる。以前私が暴走した際…さとりの部屋にお世話になったのだが、毎日私に寄り添って寝てくれていた。本当に感謝しきれない。さとりの体温は、私より冷たい。ひんやりと…だが暖かみのある冷たさだ。

 

「…狼戈の近くで寝ると、何故かとても気持ちが良いんだ」

 

 燐が頭上の空の隣で横になる。希に尻尾でつつかれるのだが、その手触りに夢中になって早朝から朝まで撫で続けた記憶がある。モフモフ尻尾とは別の良さがあるつやつや尻尾。

 

「狼戈の腹枕!! 柔らかくて気持ちいい……」

 

 こいしが私の腹を枕にはしゃぐ。満面の幼い笑みに、心を揺れ動かされそうになる。柔らかいと言われているが、私は太っている訳ではない。太っても痩せてもいない、標準だ。ただ、筋肉が…あまり無いのかも知れない。脚力はどうなのか知らないけど。

 

「…たまには誰かに譲るかな」

 

 藍が空と燐の後ろ…部屋の壁にもたれかかり、尻尾で自分の体を包んだ。夜にちょっかいをかけないとは、珍しい。だが、こう気を利かせてくれるのは、私としては嬉しい。

 

「…皆、暖かいね」

 

 私がそう呟くと、全員が同じように微笑む。とても和やかで、暖かくて、柔らかくて…幸せを痛い程に感じる。この世界に来て…私は後悔していない。実を言えば、今この世界が、一番楽しい。色々問題はあるけど、それでも…皆と会えて、全てをはきだして、私は少しでも、変われた気がするんだ。

 

「ふふ、みんな、お休み」

「お休み、狼戈」

 

 皆、良い夢を見られますように…。

 そう願いながら、私の意識はだんだんと、溶けるように消えていくのだった。




咬音 狼戈(かみね ろうか)
性別:♀ 身長:97.1cm 体重:31.6kg
能力:動物の力を宿す(覚醒時:動物の力を暴走させる)
  :記憶を具現化する(基本武器としては使っていない模様)
  :衣を変化させる(オシャレ)

不思議と誰かを惹き付ける、不思議な黒い狼の妖怪。本来は異世界の住人。
お菓子作りや楽器が得意。女子力が高いとでもいうのか…

独りぼっちが苦手。一匹狼は、ただの強がり見栄っ張り。
また、夜に関しては、ほぼ一方的にやられてる様子。やり返す? 無理。
地霊殿に住みつつ、色々なところを回る流浪(仮)の幼女。


狼淵 狐火鴉(ろうえん ここあ)
性別:♀ 身長:114.6m 体重:36.4kg
能力:時を巻き戻す

いつの間にか妖怪化していた狐。仲間思いで優しいが、狼戈のこととなると…
夜は基本的に、能力を使ったりして犯す側。実は狼戈にやり返されて嬉しい。

名の通り、火を操るのが得意。藍と似ているところが多い。流石狐同士。
そして男性恐怖症。なりば独り? 論外。百合の気が強い。狼戈大好き。
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