黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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…日常を描き続けると、グダるのは私が下手だからです。申し訳ない。
物語の時期が現代になれば、少しはマシになる…と思います…。

次回、とあるお方に(違う意味で)暴走していただきます。


四十 居候とお返し

 紅魔館に居候して一週間。そろそろ帰らねばと思い始めた夕暮れ時。フランの吸血に関してだが、何故か夜になり、朝起きると貧血になる為だいぶ引き延ばしてしまっている。フランも待ってくれてはいるが、申し訳ない。今日の夜、あげるつもりだ。

 あれからパチュリーに本を借りたり、フランとチェスをしたり(奇跡的に勝った)、お菓子を作ってたりと。正直言えば、地霊殿での日常と大差ない普通の暮らしだ。住んでる者が普通じゃないけど。

 

「…フラン、私明日帰るね。血は…今日の夜」

「…もう帰っちゃうの?」

 

 申し訳ないが、私はここの住人ではないのだ。いつまでも居座る訳にはいかないし、いつまでも仕事を放棄する訳にもいかない。帰らねば…ならないのだ。

 

「また遊びに来れるよ。我慢…出来るよね?」

「…うん」

 

 頭をポンと撫でる。すると、寂しそうに、嬉しそうに微笑むのだった。

 

 その後、折角だからとお菓子作りをフランに手伝って貰う事にした。紅茶好き(原料はさておき)だから、何か…紅茶風味のものを作ろうか。紅茶の原料…以前から試したかったが、良い機会だ。やってみよう。

 作りやすさと、今回試したかったことのやり易さから、マカロンに。最近マカロンが多すぎて少し飽きてきた。シフォンケーキでも作ろうかな。ガトーショコラとかでもいいや。あ、でも生チョコも…やめよう、止まらなくなってしまう。もう止まらないけど。

 基本の素材自体はいつもと同じ。だが、調味料に…

 

「私の血を加える、と…」

 

 手首にすっと切り込みを入れる。ポタポタと垂れる鮮やかな血と痛みに目を瞑りつつ、数滴垂らしてから傷を癒す。勿論フランにも手伝って貰って作り上げる。着色料等は一切使用せず、見事な深紅に染まったお菓子。私の…血と瞳の色。ま、瞳は朝昼は緋色だけど。

 勿論、血を入れてないものも作っておいた。一部に渡せなくなるし。

 

「フラン、味見してみて」

 

 端数をフランにあげる。恐る恐る食べたフランの反応は…

 

「…っ!! 美味しい…!!」

 

 かなり可愛かった。笑顔で跳び跳ねるフランに和みつつ、レミリアにもマカロンを届けに行く。無償で泊めてくれたのだし、しっかりお返しをしなければならない。吸血鬼なのだから、血入りのマカロンは相当美味しいものだろう。私には…よくわからないけど。レミリアの部屋の扉をノックし、乱入する。

 

「私、明日になったら帰るね。拙いものだけど…お返しに」

「ありがとう。別に気にしなくていいのよ」

 

 マカロンを口に運び、固まるレミリア。お菓子と私を見比べ、目を見開いている。まさか、不味かったか…口に合わなかったのだろうか?

 

「ご、ごめんなさい…不味い?」

「…いいえ、とっても美味しいわ」

 

 お菓子自体は好評のようだ。ならば別にいいのだが。何故そんなに驚く…?

 首をかしげつつ、レミリアの部屋から退散する。次。

 

「咲夜さーん。メイド長ー。咲夜!!」

「…呼びました?」

 

 居候から三日間くらいは仕事モードの咲夜だったが、四日目位から段々素が出てきた。私がアタックし続けた結果。敬語を使うも使わないのも咲夜はイメージ通りだが、私は敬語、あんまり好きじゃないから。フレンドリィ的な意味で。

 

「はい、居候した分のお返し。メイド達の分も…拙いけど、ごめんね」

「え? いえ、私は…」

「お客様じゃなくって、友達として受け取ってよ。ね?」

「…ありがとう」

 

 苦笑して、咲夜は姿を消した。私としては、常に普段のように、素の状態で接してほしいというのが本心だ。私は客として来てないのだから。まあ、伝えてないけど。

 後渡すべきなのは…パチュリーと小悪魔。魔女には必要ないのだが、気持ちとして受け取っていただこう。

 

「…図書館ここだよね?」

「うん」

 

 扉をゆっくりと開け、パチュリーの姿を探す。魔力を辿れば発見は容易だ。

 

「パチュリー」

「…何?」

「これ、本とかのお礼。気持ちとして受け取っておいて?」

 

 小さい小包に包まれたお菓子を手に、パチュリーは無表情。彼女は普段から表情をあまり変えない為、まあ何時も通りといえばその通りだ。

 

「…ありがとう。ありがたくいただいておくわ」

 

 笑った…だと…!? 盗撮したい気もするが、もしそんなことしたらレーザーで焼き払われる為に自重しておく。くっ…!!

 

「小悪魔は…」

「そっちよ」

 

 パチュリーが指を指した先には、小悪魔が積み重ねた本を両手に移動していた。あ~…あれ絶対落ちるよね。

 

「こあ!?」

 

 …言ってる傍から落とすなよ。

 溜め息混じりに落とされた本を片付け、小悪魔にも渡しておく。片付けとお菓子でありがとうございますを二度言われたが、まあ感謝されて嫌な気分は…前も同じことを言った気がする。

 また本を落とされて片付け~なんてなるのは困るため、足早に退散する。次は美鈴。まだ日は出ているためフランを一度館に残し、門へ飛翔する。歩くより飛んだ方が楽。

 

「め い り ん…?」

「ひっ!? ろ、狼戈さん…!? ど、どうしました?」

 

 また寝てるから悪いんだと思う。

 私の起こし方に怯える美鈴を尻目に、ポーチからお菓子の小包を出す。丁度人数分と、余り三袋しかないため、美鈴に渡して今の残りは四袋。にゃん。

 

「これは…?」

「お菓子。お世話になったからね、ありがとう」

「いえいえ、此方こそありがとうございます」

 

 美鈴には、迷ったが血入りのものを渡した(というか、血無しを一袋しか作っていない)。

 そのままフランの部屋に戻り、私の仕事は終了。明日の朝、帰るだけだ。

 

「ほら…勿論、フランのもあるよ」

「え…? いいの?」

 

 渡し忘れていたお菓子をフランにも渡す。これで血液はチャラに…して貰えませんよね、はい。

 

「…血、いいよ」

「ふぇ?」

 

 マカロンを頬張りながら言葉を返すフラン。口に物を入れて喋る際、口を隠しているあたり、姉妹そろって上品だ。私も癖で隠してしまうけど。

 

「…でも…うん」

 

 お菓子を飲み込み、私に近付くフラン。私に触れる指はとても冷たく、氷のようだ。

 吸血…というにも、やり方がよくわからないようで。やり方と言うか、どこを吸えばいいのか、というか…。よくある感じなら、首? それとも、手首?

 

「…っ」

 

 私の背中に腕を回し、首に牙を沿えるフラン。次の瞬間鋭い痛みが首に走る。それと同時に、何かを吸われている感覚に目を瞑る。

 

「ちょっと…吸い過ぎ…っ」

 

 私に絡めた腕を離してくれない。無理矢理引き剥がそうにも、吸血鬼の力には勝てない。だが、流石にこのままでは吸い殺されてしまう…仕方がないと妖気を纏い、ゆっくりと引き剥がす。この子…自我、ある…?

 

「フラン!!」

「っ…!? わ、私…」

 

 …自我が無かったと見るべきか。勿論、これは紫の悪戯ではない。私の…血の味故だ。媚薬的な私の存在は、幼い吸血鬼の自我を奪う程になっていた。やはり…悪化している…? このまま悪化していった場合…最悪の未来が想像出来る。私の…思い違いであることを祈ろう。

 

「あ、あの…ごめんなさい…」

「ううん、気にしないで。今度からは、私が何かに注いであげるから」

 

 クラッと貧血のような症状にふらりと倒れそうになる。頭をぶんと振って目眩を振り払い、落ち込むフランに何かないかと話題を探す。

 

「…ね、フラン。チェスの続きしよう」

「…うん、今度は負けないから」

 

 …うん、この子に暗い顔は似合わない。笑顔が一番だ。チェス盤を広げ、駒を並べる。さあ、第2ラウンドだ…!!

 

 結果としては、私が勝利した。チェスで誰かに負けるのは、プライドが折れる。

 その後調子に乗ってトランプをした結果、ボロ負けしたのは、また別の話。




あなたは吸血鬼です。
目の前には、美味しそうな狼の少女が佇んでいます。
1.襲う(吸血) 2.反応を見る 3.襲われる(多分、普通の意味で)

…え? 私ですか? ん~…3でs(殴蹴刺打
こんな作者ですが、よろしくお願いします(今更
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