黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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色々詰め込んだのです。ぐだぐだなのです。
ん~、よくわかりませんでしたが、これでこの章は終了。
あまり間隔は開いていませんが、短編を挟みます。


四十六 夜雀とプチ宴会

「…お目覚めですか?」

「ん…ぅ………ひゃあ!?」

 

 椛の悲鳴を聞き、うっすらと開く視界で辺りを見回す。相変わらず私を枕に寝ている椛と、カメラを片手に意地悪な笑みを浮かべる文の姿があった。

 

「白と黒の狼ですか…いいですね。良い記事が書けそうです」

『・・・文ちゃ~ん? 以前の忠告を忘れたのかな~?」

「ろ、狼戈さん…!?」

 

 日が昇り始めた影響で、能力が自然と解ける。さてこの鴉、絶対捏造を含めるから新聞にさせる訳にはいかない。どうしてやろうか。

 

「…い、いや、何も書きませんよ?」

「嘘吐け。絶対捏造して何か書くつもりだったでしょ」

 

 苦笑する文。私の尻尾に顔を埋める椛。真顔で文を見詰める私。何か空気を読まない変なのがいる気がするが、気にしない。力が抜けても気にしない。

 一瞬の隙に地を強く蹴り、文の装束を掴んで引きずり落とす。

 

「あややや!? 何するんですか!?」

「変なの書いたら…鳥鍋にするからね…♪」

 

 満面の笑みで告げる。正直カメラを粉砕してやってもいいのだが、流石にそれは可哀想だと思って自重する。出来る事なら河童の湖に沈めてやりたい。

 

「わ、わわかりました…」

「ん、よろしい。椛、いつまで寝てるの。“もふもふ尻尾フルスイング”当てるわよ」

「えへ、別にされても気持ちいいから…いや、嘘です。やめてください」

 

 文の額を一発小突き、椛にお望み通り『モフモフ尻尾ジャイアントフルスイング』を決める。九つの尻尾で弾き飛ばされた椛が文に激突していたが、私は知らない。

 

「よし、帰るかな。じゃあね、天狗さん」

 

 ウインクひとつ、飛翔する。私今日は早めに帰って、ケーキ作るんだ!!

 

 

 

 

「ふぁぁ…もうらめ…」

「…なんでそんなに酒に弱いんだ」

 

 とある屋台的な場所にて。八目鰻を頬張りつつ、九尾と駄弁る狼一匹。

 

「んぅ…らいじょうぶ…すぐなおる…」

「随分酔ってるわね。まだ飲む?」

「…すまないがやめてあげてくれ」

 

 すぐに帰ってケーキを作るという、死亡フラグ的な発言をしたため藍に連れ去られた。

 結果、今は酒を飲んで料理をつまんで…としている訳だが……

 

「みすちー、お水くだしゃい…」

「ん~…はい、どうぞ」

 

 夜雀…ミスティア・ローレライ。歌で人を狂わせる、人間を襲うのが好きな妖怪。

 それはともかく…ここの料理がかなり美味しい。私より上手いと思う。流石みすちー。

 

「…ん、治った治った。もう大丈夫」

「お前はいったいどういう体をしているんだ」

 

 見ての通り漆黒の人狼でございます。

 料理を色々食べつつ(藍の奢り)、店主と九尾と談笑しつつ。一時間程経ったかというところで、聞いたことのない声が響く。

 

「…見たことのない妖怪がいるわね」

「あら、妹紅。いらっしゃい」

 

 妹紅…? あ、もこたんか。

 彼女は“老いることも死ぬこともない”程度の能力の持ち主。毎度思うが、程度ってレベルじゃないよこれ。いや、実際は死ぬか。肉体が死んでも魂が残り、そこからまた生が始まる。

 

「…私は咬音 狼戈だよ。見てのとおり…黒狼」

「私は藤原 妹紅。適当に呼んで構わないよ」

 

 藍とは顔見知りなのか、軽く挨拶をして終わってしまった。

 

「そういえば…私、妹紅が馬車で移動してるの見たことあるな」

「…え?」

「千年以上前。都が騒がしかった時」

 

 唐突に振った話題。見たことないと言われて、少し悲しかったのだ。まあ、私が一方的に見掛けただけだから仕方ないと言えば仕方ないのだが…

 

「…まったく気付かなかった」

「うん、まあ…私自然に馴染むと目立たないから…仕方ない…」

 

 露骨にしょんぼりとする私に、妹紅が“なんか…ごめん„と謝って来た。たまには誰かに意地悪したいのさ。正直言って妹紅はまったくとして悪くない。てへっ。

 

「ん~…鰻も美味しいけど、狼戈ちゃんも美味しそうね」

「ふぇ!? なんでそうなった!? ていうかなんでちゃん付けなのさ、みすちー」

 

 みすちーに変なことは言われるし、藍は共感し始めるし、妹紅は料理を食べ始めるし…何かこう…寿命が縮みそうで怖い。確かに私はこの中で一番小さいけどさぁ…いいもん、胸はあるもん…

 

「あややや…? 狼戈さん。また会いましたね」

「文に椛が何で…満員ですので天狗達はお帰りください」

「狼戈…後でまた遊んであげようかぁ…?」

 

 椛に脅され、渋々とスペースを開く。文の翼が然り気無く当たり、その感触が少し羨ましかったのは内緒。羽毛ってとっても気持ちいいと思うんだ。

 

「…静かに呑むつもりが、賑やかだねぇ」

「ん…まあ悪くないだろう」

 

 文の愚痴を聞きつつ、椛の欲望を直接(物理で)受けつつ、妹紅に色々聞かれつつ。妖怪達のプチ宴会は、夜遅くまで続いていくのだった。

 

 

 

 

 隙間の中にて。

 結局あの後私が藍から解放されることはなく、八雲の屋敷に連れ去られた。その後、紫が少し会わせたい友人がいるとのことで、隙間を通っている訳だ。この正体不明の隙間、悪趣味だと思うよ紫さん。

 

「友人って?」

「友人は友人よ」

 

 隙間を介し、飛び出るは綺麗な庭に屋敷。う~、ちょっと待ってね。此処って…

 

「…成る程。冥界ね」

「あら、知っているなら話は早いわ」

 

 紫の友人の時点で、私の中で候補は一人しかいない。

 私が案内されたのは、冥界…白玉楼。何処かに庭師でもいないかな…?

 

「…あら? いらっしゃい。見慣れない子がいるけれど」

 

 紫が紹介したいと言った友人。永遠に生き続けるであろう亡霊少女。

 ふわふわと浮きつつよくわからない表情を浮かべる、西行寺 幽々子の姿がそこにあった。

 

「…この子が以前話した狼戈よ」

「えっと…咬音…狼戈…です」

 

 何故か堅苦しい敬語になる自分に苦笑する。何故こんなに緊張するのか…簡単に考えればわかる。私は…他人を惹き付ける。つまり幽々子に捕まれば…私は簡単に殺される。偏見かも知れないが、私にとっては恐怖の存在だ。いや…単に死ぬだけならば。まだ構わない。だが、幽々子の能力に殺されれば…永遠に、彼女の下で死の中で生き続ける事になる。

 

「そんなに緊張しなくていいのよ? 私は西行寺 幽々子。まぁ…亡霊ね」

「あ、はい…」

 

 私が恐れている事はもうひとつ。彼女…確か大食い。美味しい物好き。つまり…

 

「それにしても…美味しそうねぇ」

 

 ですよねー。唐突過ぎるよ、幽々子様。

 

「えっと…私は結局どうすればいいの?」

「特にないわ。会わせたかっただけよ」

 

 ーー貴女色々な人に会いたいって言っていたでしょう?

 そう呟く紫。優しさなのかよくわからないが、とりあえず感謝だ。

 

「ん…まぁ今は帰るけど……また遊びに来るよ」

「またいらっしゃいね」

 

 はてさて、結局何がしたかったのだろうか?

 幽々子に別れを告げ、紫の隙間を通る。紫に紹介された事もあり、印象は悪くないはずだ。また今度遊びに来るとしよう。まあ、あの異変まで自力ではなかなか来られないだろうけど。

 

 さて、仕事はサボッちゃったけど…帰るとしましょうか。

 

 

 

 

「…まだかな~♪」

『少し位待ちなさい。まったく、せっかちなんだから』

 

 一人部屋。狼戈達が使っている部屋の隣にて。“何か„と話す少女が一匹。

 くすくすと、何かを嘲笑うようなその表情と仕草は、生まれたばかりとは思えぬ妖艶さを漂わせていた。

 

「だって…お姉ちゃんが一番なんだもん!!」

『…意味がわからないわね。とりあえず、落ち着きなさいな。その内来るわよ』

 

 膨れっ面になる少女。それを宥める何か。話し合い、互いに舌舐めずりするその姿…それは獲物を前にした捕食者そのものだった。だがその表情は穏やかで、優しい雰囲気も漂わせている。

 

「た~だいま~♪」

「あ!! 帰って来た…!!」

『…みたいね。さて、呼んで来ましょうか』

 

 部屋を元気に飛び出した、純白の少女。其処に“何か”の姿はない。

 恩人にお返しする為に。白音 己嵐は勢いよく扉を開けたのだった。

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