黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

53 / 96
性的描写注意…
なんかワンパターンでごめんなさい…

短編ですが、“春だから暴走しよう”と思って書き進めた結果私の煩悩が爆発しました。
申し訳ありませんが、他の日常短編はとりあえず保留です…

次回は…楽しみな方も嫌な方もいるであろう、BAD短編を挟みます。


短編 黒狼の日常
~勇儀の誘い~


「萃香。ちょっといいかい?」

「ん~? どうしたんだい」

 

 盃を椅子に置き、隣に座っていた萃香に顔を向ける。酒を口に含んでいた萃香だったが、即座に飲み干すと私に視線を向けた。

 

「萃香は…狼戈の事、どう思ってるんだい?」

 

 私の質問が意外だったのか、少し驚いたような顔を向けた。普段から何かあれば単刀直入に、堂々と聞く私だ。他の者にこんなことを聞くなんて、誰も予想しないだろう。

 

「ん~…可愛くて優しい狼、かな。私としてはまだ色々あるね」

「…そうかい」

 

 私が抱く、狼戈への感情や気持ち…。

 私から見れば、第一印象はその強さだ。戦闘を進んで行わないものの、その強さは並の者を遥か凌駕する。鬼と同等…いや、最近はそれすら危うい。既に鬼すらも超えている…妖気の量と脚力ならば。知恵も働くし、勝てるかわからぬ相手。腕相撲ではもう勝てないだろうな。

 

「…どうしたんだい。狼戈の事で気になることでも?」

「…いや、なんでもないんだ」

 

 幾ら私と言えど…恥ずかしい事もあるのだ。

 

 狼戈の第二印象…それは”他者を惹き付ける„体質の持ち主、ということ。萃香や他の妖怪が言うように、美味しそうに見えて仕方がない。惹き付ける形がどうであれ、彼女にとっては困るものだろう。

 

 …だが、私はこの体質に納得していない。

 彼女と接して初めてわかる。彼女は体質のせいと逃げているが…真に惹き付ける理由はその優しさだと。そう私は思う。

 

「…狼戈と遊びたいなら誘ってあげようかい?」

「…え?」

 

 様子のおかしい私に、萃香が肩をポンと叩いたのだった。

 

 

 

 

「ふぇ? 何処か行こうって?」

「…ああ」

 

 少し頬を染めながら、視線を泳がせる鬼。普段ならまず見せない表情に唖然としつつ、少し考え込む。特に用事はないし、別に問題ないか…

 

「うん。大丈夫だよ」

「…そうかい。じゃあ、明日の午前零時、館の前に来てくれ」

 

 そう言うと、ゆっくりと帰っていった。いったいどうしたんだろう…

 普段ならサラッと酒に誘う癖に、何故か今日はもじもじと、しかも酒ではなく何処かへ行こうと言う。珍しいこともあるものだ。

 勇儀の背中を眺めつつ、時計を見る。現在時刻は午後九時。あと三時間しかないが…髪を解かしたり風呂に入ったり…何時も通りなら二時間あれば終わるだろう。まあ、本気でお洒落をする必要はないけど。

 

 そんなこんなで、風呂に入って適当に準備を開始する。化粧だのは基本しないし、何時も通りだ。ただ、服装は少し変えている。純白のワンピース…白黒のコントラストなのだ。なんか…変な気がする。普段スカート等はあまり履かないから当然と言えば当然か。ズボンの方が動きやすいんですもの…

 クッキーを焼きつつ、狐火鴉達に出掛けると伝えつつ…全て終えた頃には、ちょうど約束の時間となっていた。よく小学生が遠足の直前に、あれもこれもと色々物を探っているように、準備に時間が掛かったからね。

 

「…あ、勇儀。ごめんね、待たせた?」

「いや、大丈夫さ。さあ、何処へ行こうか」

 

 何処へ行くかと聞かれても、正直言えば何も考えていなかった。彼女が鬼な以上、妖怪の山なんて無理だし、地底は彼女が住んでいる以上、意味はない。別に酒店回りでもいいけど…私死んじゃうよ。

 

「ん~…特に行く宛はないかなぁ…私、意外と一部の場所にしか行ってないから…」

「…そうかい」

 

 …どう考えても、勇儀の様子がおかしい。普段ならもっと笑顔を見せるのに、何故か私から視線を逸らすばかりだ。以前、人前で“顎くいっ”を遂行して来た当人とは思えない。

 

「ん…一回、中に行こう。ほら、着いてきて」

「え!? あ…ああ」

 

 勇儀の手を掴み、地霊殿の中へと連れ込む。念には念を、でさとりに強い妖怪が来るかもと伝えてあるし、問題はないだろう(以前夜に来た藍のこともあり、伝えておくべきと判断した)。寝ているであろう狐火鴉を起こすのは忍びない為、一人部屋へ案内する。最近使う頻度が多いこの部屋。ヤマメやこいし等と、変な思い出が多い部屋だ。まったく、皆揃って私を玩具にするんだから…

 

「さ、とりあえず座って」

「…ああ」

 

 普段持っている盃を持っていない為か、それとも彼女の衣服が普段のものではない、可愛らしいもののためか…違和感しか感じない。失礼かも知れないが、これが勇儀だと言われても…なかなか信じがたい。だが、その美しさは桁外れだ。

 

「…どうしたの? 緊張してるの?」

「いや…別に……」

 

 どうすればいいのかわからない表情をされると、私もどうすればいいのかわからない。

 

「な、なぁ狼戈…」

「なぁに? どうかした?」

 

 悲しげな瞳で、顔を赤くしながら言ってくるものだから物凄く目線を合わせにくい。なんというか…見てはいけないものを見てしまったような……勇儀らしくない…本当に何かあったのか?

 小さな不安が渦巻く静寂。顔を真っ赤にする勇儀からは、耳を疑うような言葉が出た。

 

「…私のものにならないか?」

 

 ……はい!?

 いやいや、私のものとはどういう意味だ。独占させろということなのか…?

 

「…え? ちょっと待って、どういう意味?」

「・・・・・・」

 

 …ダメだ。この姐さん真っ赤に染まって震えてるわ。

 …もし私の予想通りなら、遠回しに“遊ぼう”と言っているのだと思う。無論性的な意味で。今の彼女の様子から見るに、ダイレクトに言うのは相当恥ずかしかったのだろう。今のでさえこれだから。事後のこいしとそっくりだな、まったく。

 

「…つまり、私をああしてこうしたいってこと?」

 

 ふるふると震えてはいるが、肯定が見てとれる。勇儀姐さんに限ってそんなことはしないと…ああ、これこいしの時も同じこと思ったわ。ああ…もう、笑えない…

 

「…成る程、そういうことかい」

「きゃあ!? す、萃香!? や、やめてっ、離してよぉ…!!」

 

 何故か突然現れ、後ろからがっしりと拘束してくる萃香。手足をぶんぶん振って動かしても、身長差が少なからずあるために大した抵抗にならない。状況がまったくとして読めないんだけど…!?

 

「ちょいと相手をしてやって貰っていいかい? この子意外と乙女だから」

「えぇぇ!? 乙女は理解出来るけど、何故私!? それこそ萃香でよくない!?」

「狼戈をご指名なんだよ。まぁ、嫌ならいいんだけどねぇ…?」

 

 超が付くほどに嫌らしい笑みを見せ、嫌味を吐く萃香。このつるぺため。

 

「…わかった、わかったから離してよ!!」

「ん、手荒になってすまないね」

「もう…普通に言ってくれれば対応するってば。無理強いはやめて」

 

 その言葉に萃香は苦笑すると、その身を霧と化し消えていった。見られてなければいいのだが…とりあえず、目の前で今にも湯気を出しそうな顔色の姐さんをどうにかしなければ。

 

 こいしといい狐火鴉といい。藍といい紫といい。何故こうも私を犯したがるんだ。

 私を指名する者は、躊躇も無しに犯し尽くす者、勇儀やこいしのように恥ずかしがりながら許可を得る者といる。後者は燐とか。前者は…言うまでもない。

 

「さてと…おいでよ。裸に関しては初めてじゃないでしょ?」

 

 風呂に入った時に、裸体は互いに見ている(タオルは巻いているが)。私としては、もう何とも思わない。今まで散々見てきたし…変態と思われるかも知れないが、同性と一緒に大勢で同居している上に時間が合えば基本的には全員行動している為に、日常茶飯事なことだ。風呂も同様。最近は誰も恥ずかしがらない。まあ…見られたくないところはあるけどさ。

 

 服の重みで、肩に少し食い込むワンピースを落とし、纏めていた髪を解かす。

 

「・・・・・・」

 

 ゆっくりと立ち上がり、私に触れる勇儀。暖かい温もりを感じる指先が、唇へと当たる。

 

「ん……」

 

 仄かに変わる甘い香り。藍等と比べれば拙いものの、性技に弱い私にとっては凶器と化す。舌が口を犯し、当然の如く脱力する。舌捌きは段々と力強く、執拗なものになっていく。逃げても逃げても、その舌先は絡んでいく。粘着質なその快楽に、段々とベッドのシーツが湿気を帯びていくのを感じる。水の音が響く部屋の中。誰も来る事のない部屋の中…。

 相手によって、体の何処を、何処でどうして…いや、これは伏せておこう。

 

「んぅ…は…ぅ…」

 

 力無く喘ぐ私。段々と執拗になる、始まったばかりの遊戯。二匹の“遊び”は終わらない。

 

 

 

「ん~…なんだかな~…」

 

 隣で眠る勇儀の姿に、物凄いデジャヴを感じる。状況がこいしの時とまったく一緒なのだ。違うところがあるとすれば、今の時間が、まだ三時ということか。あれから…一時間程寝てたのか。おお、辛い辛い。さて、どうするか。風呂に入るか、また寝るか…

 

「…まあいいや」

「何がいいんだい? 私の相手は忘れたのかい?」

「ふぇ? 萃香…ん…ぅぅ…」

 

 突如現れた萃香に押し倒され、唇が重なった。端から見れば幼女に襲われている幼女である。萃香の能力の為か、快楽の為か、段々と抜けていく力。犯されて時間も経っていないというのに、また相手をさせられる…何かの修業かと文句を言いたくなる。

 

「すい…か…やめ……はぅ…」

「ふふ…逃がさないよ…」

 

 なんとかして逃れられないかと力を込めてみるものの、まったく動けない。同性だが、これでは強姦だ。勇儀は熟睡しているから起こす訳にはいかないし…。

 

「…ん…っ!! やめ…ひぁう!?」

「~~♪」

 

 いくら満面の笑みを見せられようが…どうすればいいんだ。既に力は少しも入らない。自分ではわからないが、既に瞳に光はないだろう。足を動かしても、体を捩っても、何も変わらない。

 萃香の驚く程妖艶で淫らな微笑みを最後に、私は自我を手放したのだった。

 

 

 

「いやぁ……狼戈ぁ…離して…」

「ふふ、駄目だよ…もっと遊ぼうよ…」

 

 一瞬の隙に立場が逆転する。私がいくら力を込めても動けない程の力を発揮する眼前の狼。その瞳に光はなく、深紅に染まっている。何故…毎度こうなるの…?

 

「ん…ぁ…」

「えへ…♪」

 

 容赦のない快楽の波に、次第に意識がおかしくなっていく。意識があるのかないのか、もうよくわからない。何故か先程まで効いた能力が効かないのだ。逃れられない…

 

「ひぅ…そこ、は…舐めるのは…ひぁ…」

 

 幾ら言葉を発しても、幾ら力を込めても、その天国のような地獄は終わらない。これを普段からやられている彼女にとって、これは報復なのか、八つ当たりたのか、それとも…彼女が欲求不満なのか……

 狼の戯れは、夜が明けるまで、続いていくのだった…。

 

 

 

 

 またやっちゃった。

 いや、私は悪くないだろう。立て続けに快楽を与えられたらそうなる。目には目を、強姦には強姦を。いや、これはダメだろ。流石にアウトだろ。

 毎度のことだが、自我はなくとも意識はある。つまり自分が何をしたとか、萃香がどんな反応をしたとか、基本的には全部覚えているのだ。笑えないぜ。

 …とにかく、隣ですーすーと寝息をたてている萃香と勇儀をどうにかしなければ。風呂に入るのは当然だが、こうも幸せ(?)そうな顔で寝られていたら起こせない。だが、こいしの時のように放置する訳にもいかない。問題点が多過ぎる。全員布団は被っているけど裸身だし、鬼達は此処の住人ではないから一部の誤魔化しが利かないし、何より毎度の如く臭いが酷い。誰かを入れる訳には…あれ、デジャヴ?

 

「…はぁ、仕方ない。萃香、起きて、起きてよ」

「ん…其処はダメ……はっ!?」

 

 …なんかごめんなさい。

 

「…お風呂。他の住人にばれると面倒だから手早く」

「ああ…成る程。既に狐が覗いてるけど」

「…おい、狐火鴉。ちょっと来い」

 

 威圧しつつドアを見据える。すると小さい悲鳴と共に、転んだのかどすんと大きな音が聞こえる。数十秒が経過した後、おずおずと部屋に入って来た。

 

「…ま、気にしない。私が襲われてるのは何時ものことだし」

「…なんかごめんなさい」

 

 元凶その一が謝り、元凶その二が苦笑する。勇儀に限ってはまだ寝ているし…

 

「…とりあえず。萃香は勇儀起こして来てね。狐火鴉は? 入る?」

「はい…ってその格好で行くんですか!? 結構遠いですよね!?」

 

 裸体に尻尾を巻き付けただけだが何か。要所は隠れてるし、いいでしょ。

 

「…最初は服を脱ぐにも恥ずかしがってたのに」

「狐火鴉。ここに媚薬があるけど」

「そ、それは勘弁してくださいよぉ…!! …でもちょっと嬉しいかも」

 

 狐火鴉がボソッと言ったことは聞こえないふりをしよう。

 勇儀を起こし始める萃香に苦笑しつつ、部屋を出る。さて、お風呂お風呂。そろそろ、嫌な臭いが自分に染み付かないか心配だな。

 

 

 

「やっぱり可愛かったですよね?」

「ああ…かなり鳴いてたね」

「…私は暫く狼戈に手を出さないようにするかな」

 

 狼戈が隅で噴火している最中、狐火鴉が興奮気味で繰り出す質問に答えていく。先程から萃香がぶつぶつと文句を言っているが、私が寝ている間に何かあったのだろうか。気付いたらいるのは日常茶飯事の為気にしていない。

 

「…狼戈、今度日を改めて何処かへ行こう」

「……そう言ってまた遊ぶ気?」

「いや…そういう訳じゃ……すまないね…」

 

 狼戈のジト目は可愛い。威圧しているのかも知れないが、此方からすれば逆に欲が湧く。あの白狼天狗と似たような感じだな。

 

「…別にいいけど。どちらにせよ強行手段はやめてよ? 次やったら潰すからね」

「ははっ、胆に命じておくよ」

 

 勿論、彼女がそんなことしないのは承知の上だが。

 

「まったく、皆揃って私を玩具だとか食料だとか…」

 

 愚痴を溢し始めた狼戈。人間に裏切られてきた私達にとって、彼女は…

 

「…勇儀達。折角だから朝御飯食べていきなよ。ご馳走するよ」

「お、なら有りがたく頂いていくとしよう」

 

 狼戈の言葉に笑顔で応える。ざばっと湯船から飛び出し、ぺたぺたと風呂場から出ていく狼戈達を追うように、私も立ち上がる。狼戈の誘いなら断る訳にもいかない。それに、断る理由もない。

 

 私にとって、狼戈は光。萃香程長く一緒にいる訳ではないし、希に会っては駄弁って酒を交わす程度。だが…何処か惹かれるんだ。彼女がいるだけで、その場の雰囲気は優しいものへと変わる。何故だろう…宝物のように感じるのは。私には、わからない。

 

「…狼戈は狼戈、か」

「勇儀~!! 早く行くよ~!!」

 

 狼戈の言葉にニッと笑う。さあ、答えは出せた。今日も真っ直ぐ、突き進むとしようか!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。