黒狼狐己録 -Life Harboring- 作:ふーか
性描写メイン。得意だという方以外は飛ばすことを”オススメ„します。
次回、本編。緋想天へ続きます…。
<化け猫と悪戯>
「…此処は何処?」
仕事を終え、理由もなく地上でふらふらしていた私だったが、何故か道に迷ってしまった。その代わりと言ってはなんだが、何故か…嗅いだことのある匂いがする。誰だったか…
あっちへこっちへと跳んで走って転がってとしている間に、辿り着くのは一件の家。こんなところに、家なんて…誰か住んでいるのだろうか? よく探して見れば、確かに何者かの気配がする。それもひとつやふたつではない。とても多い反応が…
「…んにゃあ」
「んにゃあ!? びぃ…びっくりした…猫?」
次々と現れ始める、大小様々多種多様の猫達。足に擦り寄って来た白猫の首を撫でると、嬉しそうにごろごろと喉を鳴らした。余談だが、橙も撫で続けると可愛く喉を……橙?
「…ああ、ここか。ふふ…」
この家の…場所の正体を知ったとき、自然と悪意の込められた笑みが浮かぶ。
ここは橙曰く猫の楽園。私が以前しようとした悪戯を…する時が来たようだ。
「ふふ…ふふふ……よし、やるか…♪」
悪戯…開始!!
▼
夜遅く。主の主の隙間を介し、戻ってきた。逃げはしていないものの、猫達は相変わらず寄ってきてくれない。
「む~…おいで~」
「・・・・・・」
無視された。
とぼとぼと家の中に入ると、感じた事のない気配に尻尾がぴんと立つ。警戒しながらも奥へ進むと、其処には一匹の猫。純白に染まり、瞳の緋い綺麗な白猫が佇んでいた。強い気配の正体は可愛らしい猫でしたとは、なかなかの笑い話だ。まあ、今の私の頭は、この猫のことでいっぱいなんだけど。
「っ…!! おいで…!」
私がそう呼び掛けると、素直に近寄ってきた。興奮を押さえつけて、近付いて来た猫を抱き寄せる。とても暖かく、抱いているだけで眠ってしまいそうな、とても柔らかい毛並み…
「…決めた!!」
この子を私の配下にしよう。きっと従順で、しっかり言うことも聞いてくれる。
でも、何処か違和感がある。この毛並みに優しい眼差し、雰囲気…何処かで見たことが、感じたことがあるような…まあ、きっと気のせいだろう。
「にゃ!? ん、ちょ、舐めな、んぅ…」
不意に顔を舐め回され、脱力する。白猫を見ても微笑むばかりで、まるで悪気がないような表情。いやまぁ、悪気なんてないんだろうけどさ。
「ふふ…可愛いなぁ…」
愛でたいし、撫でたいし、従えたいしと、やりたいことは多いが、もう夜遅い。猫たちに餌をあげて、さっさと寝てしまおう。また明日…この子を撫で倒すのだ。
「…お休み」
「…にゃん」
▼
橙が私を離してくれない。抱き枕のように離してくれない。そろそろ…まずい。これは能力を暴走させることによって猫の姿になっているだけであって、夜が明ければ能力は解ける。残されるのは純白の服を着た白猫の少女…私。まあ…衣服は化けるで変えただけなんだけど。
「…にゃうぅ」
一人で呟いたつもりが、高めの猫の鳴き声になってしまった。声帯的な問題だろう。ただどうしようと呟きたかっただけだから、別に問題など皆無。
「んむ~…猫~…白猫~」
やべぇ、取り返しつかなくなってきた。この子私を配下にするつもりだわ。
どうしたものかと唸る。夜以外は誤魔化せないし…狼の妖怪である私には…妖怪? そうか、その手があった。上手くいくかはわからないが、それでもやってみる価値はある。
「ほいっ…ごめんね、ちょっと代わりをお願い」
「んにゃ~」
傍らにいた昼の白猫に頼み、こっそりと家を抜け出して地底へ戻る。数分で辿り着いた地霊殿の中で少し荒くなった呼吸を戻しつつ、自室へ向かう。多分、まだ起きているだろう。
「…あ、狼戈。お帰り」
「ただいま。ごめん、すぐ出るよ。狐火鴉、此方来て」
すぐ戻るという私の発言に、燐が多少驚いたようだが、その後私が見せた悪戯っ子の顔に苦笑した。てへぺろ。
「な、なんですか…!? なんでそんなにニヤニヤして…」
「ん……と。ごめん、狐火鴉能力お願い」
「…ふぇ?」
狐火鴉の顔が、露骨に喜びに染まる。ふざけんな、犯させないぞ。
「ちょっと悪戯中でね…♪ いいから頼むよ」
「…いいですよ。報酬は後日」
狐火鴉の言葉を無視し、白猫の力を宿したまま能力を発動して貰う。少しの間をおき、私の体は小さなロリ状態へと変わった。衣服は幼女化すると能力が使えなくなる影響で治せない為、予め猫の体毛らしき感じで体の一部を覆っておいた。胸と、下半身と…こんなものか。際どい。私際どい。これで、私は単なる白猫の妖怪(幼女)。ばれなければいいが…いや、きっとばれない。藍なら感付くだろうけど。
「ん、ありがとう、狐火鴉。さらばっ!!」
「あっ、まだっ…」
顔に遊ばせろと書いてあったため、足早に逃走する。さて、悪戯しに戻ろうか。
▼
状況が読めない。頭が回らない。何が起きたんだろう…?
私が抱いていた白猫の姿は消え、代わりにいるのは白い獣耳に白くて細長い尻尾、体の一部を体毛に包んだ可愛らしい少女。露出が多い為思わず抱いた手を離し、顔を覗き込む。
「…ん…」
「っ!?」
寝ぼけているのか、不意に抱き締められ、一瞬で心拍数が跳ね上がった。幸せそうに眠る白猫に目をぱちくりさせつつも、甘い香りと柔らかい腕に、素直に身を委ねてしまう。暖かくて、いい匂い…。とても幸せだ。
「ん…うぐ…っ!!」
「…あっ、ご、ごめん!!」
いつの間にか強く抱き締めてしまい、苦しそうにする白猫を咄嗟に離す。軽く咳き込んだ後此方をジトーと睨み、また寄ってきた。猫の私が言うのも何だが、猫はきまぐれ。
「…お姉さん、誰?」
「え、あ、私? …橙」
全身を舐め回すように此方を見てくる白猫。ある程度眺めた後に何か決断したのか、ぴったりと寄り添って来た。その体温に再び意識が蕩けてくるが首を振って耐える。この子を毎日抱き枕に出来たらどれだけ幸せだろう。いや、普段から抱いていたいな。毛並みもふかふか。
「…橙姉」
「ちぇんねえ!? …な、何?」
こんな呼び方をされたのは初めてかも知れない。
「むぎゅっ」
「ひゃあ!? え、ちょっ…」
抱き付いて来た白猫に跳ね上がる。いくら気まぐれとはいえ、先程から行動がまったくとして読めない。無表情且つ上目使いでやられる為全て回避不可だ。そして暫く私にくっついた後、今度は近くにいた猫と戯れ始めた。ごめんなさい、もう疲れてきました。
私が深い溜め息を吐くのもお構い無しに、白猫は気まぐれに動き回るのだった。
▼
どうすればいいのよ、これ。
白猫が妖怪化した、という感じのシナリオを頭に描いて実行してみたはいいが、何をどうすればいいのかまったくとしてわからない。橙は私から離れようとするし、他の猫達はひたすら寄ってくるしで、頭がパニック状態だ。悪戯をするつもりの私がこれでは笑えないではないか。いや、橙の反応はかなり可愛いのだが…。
あれから適当に動き回ってみた。この家は結構私好み…なのだが、橙がちらちらと。遠くからずっと見てくる為落ち着かない。そもそも、自分が何をしたいのかがまったくわからない。
「…橙姉、お腹空いた」
「え? あ~…うん…」
やっぱり悪戯するべきでしょ。
いきなり無茶ぶりをぶつけてみたが、一分ほど後にしっかりと猫たちの餌(?)らしきものを持ってきた。意外としっかりしたご主人様だと思うが…猫達も私よりこの子に着いて行けばいいのに。
「…はい、マタタビ」
「…え?」
「貴女だけ特別だよ…ふふ…」
問答無用という感じで、投げ付けるようにマタタビを当てる橙。意識がとろんと蕩ける。ふらふらし始める私に、橙が抱き付いた。苦しい。
「さて…藍様に会いに行こうかな~♪」
虚ろな意識の中、余命宣告を告げられつつも、私は連行されるのだった。
▼
「藍様!!」
「ん、橙じゃないか……どうし…た…?」
此方を見るなり固まる藍。咄嗟に橙にばれぬように自分の口許に人差し指を当てる。すると橙の表情や私の身なりから察したのか、苦笑した。物分かりがよろしいようで。
「この子、可愛いですよね!!」
「…ああ、そうだな」
どういう反応をすればいいのか困っているようで、言動や口調が少しぎこちない。大丈夫、私もそんな感じだから。
「でも…あの…私、用事が…」
「…見ておこうか?」
「…お願いします!!」
おい待て、なんだよこれ。死ねってか? 私に死ねってか!? 多分逃げないようにってことだろうけど死ねってかぁ!? 後でマタタビ全力で投げ付けてやる…!!
「…さて、狼戈。相変わらず可愛いな」
「ちょっと悪戯するつもりが、もう疲れたよ」
「さて、その姿…狐火鴉の能力を借りたな?」
とてつもなく嫌な予感がする中、じりじりと寄ってくる藍。部屋の扉は閉められている上、いつか聞いた許可が無いと通れない方式になっている為逃げ場がない。しかも、狐火鴉の能力を使っているということは、すなわち妖力も能力も使えない…完璧な無防備な状態。しかもしかも今は体毛が無ければ裸同然の姿…完璧な死刑宣告だ。余命宣告が死刑宣告に変わってしまった。
「…はい、捕まえた」
「にゃぅ…やっ…んぅぅ…」
尻尾でがんじがらめにされてからのディープキス。尾で巻かれたせいで、足が地面から浮いた。最近あまり会って無かった上に燐達の相手が多かった為か物凄く新鮮…って違う。そうじゃない。
小さい舌に絡む藍の舌は執拗で、尻尾のせいで押し倒すも引き剥がすも出来ない私からしたら完全なる拷問だった。唾液が混ざり、音をたて、意識が高揚していく。藍が私を犯す時はいつもこうだ。キスで意識を蕩けさせ、そこから判断力や思考が鈍った私を弄び始めるのだ。しかし今回は…
「ひ、ひや…やめ…っ、だめ…んぐっ…」
変わらぬ口付け…その最中ですら、藍の妖艶な指が動く。喘ごうが抵抗しようが全ての言葉は口で閉ざされ、小さな呻き声にしかならなかった。
ーー私って、ここに何しに来たんだっけ? 犯されに来たんだっけ?
「猫はしっかりと躾しなくてはな…?」
「んっ…うぅ…あぅ…!!」
体毛が湿り、獣耳と尻尾は力なく垂れる。というか体の周囲360度が藍の尻尾で包まれており、自分がどんな姿かはよくわからない。ただ、他者に見られたら確実にアウトということはわかる。いや、まだ…まだ大丈夫……
…光のない瞳、赤い顔、滴る涎、垂れる獣耳、湿った体(ほぼ裸)、何処にセーフな要素があるのか。しかも絶賛拘束プレイ真最中だぞ。ふざけんな。
「ぃゃ…らめ…んんぅ…!!」
「大丈夫…長いことはしないさ…♪」
その後、何時間経っても九尾に襲われる猫に助けが来る事はなかった。
ーーもう二度と悪戯なんかしない。
▼
「…着けろって?」
「うん!!」
藍に散々犯し抜かれた挙げ句、橙が帰って来たのは何時間も後。何をしてたと聞かれても、藍と仲良く(?)風呂に入ってたなんて言えない。
そして、今私の顔を真っ赤にさせている原因は、橙が差し出している首輪。可愛らしい白色の革に、綺麗な鈴。流石に…これを着けろと言われても困る…。狼姿の時に、刺の装飾が入った首輪を着けろと言われたら、まだ大丈夫かも知れないけど。
橙は満面の笑みで私に差し出してくるし、藍も早く早くと急かすし、紫はずっとニヤニヤしているし…というか隙間妖怪は隙間に帰れ。羞恥プレイ? だが断る。
「…橙姉、着けて」
「わかった。ん…よいしょっと…」
橙の膝に座り、着けて貰うことに。今の私の身長は、きっと70すらないのだろうな。元々低い上に、ロリ化しているから仕方ない。誰よりも小さいのか、私…
「…よし、はいどうぞ~♪」
藍がこれを見越してか持っていた姿見を私に渡す。完全に“けもロリ白猫”という格好で、R-18ゲームにありそうな姿になっているが、やはりこれは何かの嫌がらせだろうか。だから…私は悪戯に来たのだ。なんでこんな目に合うのにゃ。
「にゃ…僕、飼い猫じゃないのに」
藍が“僕っ娘…„と、悪意を込めた笑みで呟いているのが見えた気がする。
「ふふふ…私が飼うの」
「…橙姉が?」
先程から無表情キャラで通していることに深い意味はない。
これからの事を妄想しているのか、満面の笑みを浮かべて独り言を呟いている橙。そろそろ…可哀想になってきた。このまま期待をさせ続けるのは、彼女に申し訳ないな。結局、悪戯という悪戯出来たのか、私…
「…橙姉…いや、橙。ごめんね、私は猫じゃないよ」
「…ふぇ?」
「私は、狼です。えへ」
言葉の意味を理解していないのか、橙が首をかしげる。実際、私の姿が白猫だから説得力の欠片もない。紫に目配せすると、少し残念そうな顔をしつつ隙間を開いた。少し遅れて、その中から小さな悲鳴と共に狐が落ちてくる。
「…にゃぁ!?」
「狐火鴉しゃん、早速能力を解いてくだしゃい」
「あ~悪戯って…。というか…その口調やめてください。襲いたくなる」
問題発言をしつつも、私へかけた能力を解く狐火鴉。その後、自分でかけた能力も解き、完璧な元の状態へ戻る。首輪は着けたままだが、そこまで身長が変わる訳でもなし、問題ない。
「…はい、ネタばらし。橙の反応が見たくてね…って……橙?」
下を向き、震える橙。まさか泣かせてしまったか、とおろおろしていると、藍がにじり寄ってきた。
「私の橙を泣かせるとは…覚悟はいいんだろうな?」
「ふえぇぇ!? 藍も楽しんでたでしょ!?」
狐火鴉の影に隠れて藍から逃げていると、下を向いたままの橙が此方へ歩いて来る。謝ろうと近寄ると、橙は私の手首を掴み、引きずったまま廊下を歩いていく。よく考えるとまだ服を着てないし、体毛(狼姿の為黒色)で体が隠れている状態のままだな。
「…藍様、着いて来ないでくださいね」
「……あ、ああ」
恐ろしい程に冷たく低い声。威圧感が物凄い上、原因である私が抵抗出来るはずもなく、無条件で連れていかれる。そのまま空き部屋に連れて行かれ、扉は塞がれた。どうしようかと目を泳がせていると、橙が何を思ったのか己の服に手をかける。突然の行動に驚きつつも瞬時にその意図を悟り、座ったまま小さく下がった。
「狼戈様…期待させた分……体で返して貰います」
この子、本当に子供?
橙の尻尾は不規則に振られている為、余程怒っているのだろう。猫が尻尾を振るのは怒っている等の合図だ。対して私は一歩も動けず、蛇に睨まれた蛙状態。諏訪子様…
「ん……と」
「橙…ご、ごめん…」
私を床に優しく押し倒し、上から覆い被さるように乗ってくる橙。普段藍から何をされているのかは知らないが、何処か慣れているような動きだ。
「別に…怒ってないです」
「でも…ひっ…にゃうぅ…」
小さな舌が頬を、首を、口を、胸を這う。ぴちゃぴちゃと水の音が響き、早くも意識が狂い始めた。
「ん…ぅ…っ!! そこは…舐めはら…らめ…らよ…っ」
中に迄入り込む柔らかく湿り、暖かい感触に見悶える。狂ってしまう程の快楽に抵抗したいが、罪悪感が邪魔をする。逃げたいけど…でも……
「…我慢なんてさせませんよ」
いや、この子本当に子供!? 藍譲り!?
橙の言葉通りに、私を弄ぶ舌の動きは止まらない。それどころか、その激しさは増していく。
「もう…らめ…」
「…ふふ、狼戈様、可愛い」
見上げるような橙の視線。私はそれどころではなく、もう息を荒くするのみ。まだ序の口の快楽、始まったばかりの遊戯…
「…明日まで、離しませんから」
それは、互いの体が液にまみれるまで、終わるなく続いていくのだった。
ーーーもう二度と悪戯なんてしない。
ちなみにボロボロになって地霊殿に帰った後、能力の報酬といって散々犯し抜かれたのは、また別の話だ。