黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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グダグダだったので、何回も書き直していましたが…
流石にあまりお待たせしてしまうのも申し訳ないと思い投稿。
暴走というか、いつも通り…かな(苦笑)

次回、次章へ。
地低で起きる異変。主人公は…どう関わるのでしょうかね…?


五十五 亡霊と諦め

 冗談抜きで動かない体を引きずりながら、冥界の階段を登る。こいしに散々やられた挙げ句、勇儀まで…。

 泣く泣く相手をした私に追い撃ちをかけるように時計は回る。気付けば真夜中…行かねば未来が目に見えているため、行かざるをえないのだ。妖夢とは先程の勝負(…?)もあって仲が悪いとは言えないし、幽々子もあまり話してはいないが友好度(?)は低くないだろう。私としては何でもいいから早く帰りたい。あまり空のところから離れない方がいいと思って地霊殿から動いていないのに、何故こうなるやら。萃香、許すまじ…。

 

「…狼戈? いらっしゃい…ってちょっと!?」

「妖夢…もう疲れたよ…お休みなさい…」

「えっ、ね、寝ないでよ!! ゆ、幽々子様! 笑ってないで助けてください!」

 

 …え、幽々子?

 

「うふふ…いらっしゃい、狼戈」

「ひやっ、ちょっ、いきなり抱き抱えるのは…」

 

 私は夜でもいつでも抱かれる宿命にあるのだろうか。

 いつの間にか現れた幽々子に屋敷の中に連れ込まれ、嫌々案内された部屋へ向かう。部屋の隅で特に意味のない正座をしつつ、差し出された湯呑みに首を振りつつもわかりきってはいるが用件は何かと聞いてみる。

 

「勿論、色々大変だったでしょう? 慰めてあげようかしら、なんて」

「幽々子の誘いも、私が疲れる原因なんだけどね。喉渇いたし」

「あら、お茶も飲まずに何を言うの? まぁ、それには色々入っているのですけど」

 

 少し匂いを嗅ぐ限り、媚薬の類いだな。狼の嗅覚を舐めてはいけない。

 その後じっと眺められ、視線を必死に泳がせる訳のわからぬ時間が続く。口を開くにも話題はないし、幽悠子はずっと微笑みながら私を眺めているしで、刻々と時間が過ぎていく。

 ふと嫌な妖気を感じ、周囲を見回す。以前の私なら気のせいかで済ませただろうが。今は違う。既に体験済みの悪夢を繰り返す訳にはいかない。

 

「…紫、出てきなさい。私泣くわよ」

「別に泣かれても良いのですけれど。こんばんは、可愛い狼さん」

「さようなら、素敵な隙間さん」

「あら酷い」

 

 唐突に強い妖気や気配を感じた時には、紫や藍、橙の存在を警戒した方がいいというのは、私の生きる中での注意事項。隙間から飛び出して来る事が多いのだ。

 紫がふわりと現れ、更に感じ慣れた妖気も感じる。その瞬間から、どう逃げるかと私の頭が高速で思考を開始する。以前、紫と藍に、同時に遊ばれたことはあった。詳しくは私がへばっていたのもあって其処まで覚えていないが…とりあえず、これだけは言える。この状況は非常に危険だ。最悪…4匹(?)に…

 

「幽々子、私こんなの聞いてない。流石に…これだけ相手にするのは私が…」

「あらあら、怯えていても可愛らしいわ。では、狼戈が指名したらどう?」

「…自分で選べと。弄ばれる相手を」

 

 真剣に実力行使で逃げ出そうかとも考えるが、流石にこの面子に勝てる気はしない。無意識に時間を稼ごうしているのか、深く目を瞑って考え込む。どうするべきか…。

 

「…あまり狼戈を虐めないでいただきたい。

 狼戈、私達は用事ついでに来ただけで、そういうつもりはないぞ?」

「…それなら、この猫ちゃんどうにかしてくれないかな、藍」

 

 先程から、やはり現れた橙に尻尾が玩具にされている。本人はほぼ上半身全て尻尾に埋もれ、幸せそうに伸びているが…私的に藍の尻尾の方が気持ちいいと思うのだけれど、どうだろう。そのまま対処も出来ず、満足するまで尻尾を触らせた結果、結局藍の尻尾に行ってしまった。何がしたいんだろう。

 

「…紫、ちょっと寄った程度なら早く帰ろうよ。冬眠してていいから」

「ああ、寝るときは狼の抱き枕が欲しいわね。何処かにいないのかしら。黒いの」

「酷い一択ですねこの野郎」

 

 幽々子のお茶をぶん投げてやろうかと考えたが、もし媚薬が効いたら恐ろしいことになるために自重する。他の奴は知らないが、私に媚薬を飲ませたらダメだよ。

 

「ほら、帰る帰る。枕は一週間くらいなら付き合ってあげるから」

「あら、録音し忘れたわ」

「私は口約束でも守るっての。また今度ね」

 

 やっと帰っていった隙間妖怪率いる八雲(橙を除く)の背中を眺めつつ、完璧に忘れていた存在に目を向ける。というか最終的に藍も苦笑していたが、あのご主人様では藍も大変そうだな。比べてさとりは…自慢話は置いといて。

 

「さて…幽々様、私を呼んだご用件は? 御食事なら喜んでいただくわ」

「ん~…そうね、そうしましょうか。妖夢~」

「…はい、なんでしょう」

「この子を切りなさい」

 

 …ごめん、粗方予想してた。

 一瞬動揺しつつも、刀を振るう妖夢。私が強いと知ってのことだろうが、いきなり剣先を向けるのは危ないではないか。紙一重で避けつつも、幽々子からも目を離さない。室内でやるのはやめとくれ。

 

「…私は刀は食べないわよ。あと妖夢、殺る気なら本気で振りなさい」

「…言葉が幽々子様に似てる」

「何か言ったかしら?」

 

 次に振られた刀を掴み、もう一本もしっかりと掴んでおく。幽々様、行動が相も変わらず不可解です。私は死にません切られません。

 

「…動かない…!!」

「狼を舐めると痛い目見るよ。もういいでしょ幽々子、私から仕掛けるわよ」

「あら怖い。もういいわよ、妖夢」

 

 ーー結局のところ、何がしたかったんだ。

 その後妖夢が出ていき、遂に二人きりになる部屋の中。襲うような素振りは見せないが、常に警戒中である。というかじっと眺められる方が恥ずかしいというか…なんというか…

 

「さて、狼さん。そろそろ…遊ぼうかしら」

「…嫌って言っても無理矢理やるんでしょ? 一応…覚悟はして来てる」

 

 もっとも、逃げられたらそれが一番よいのだがね。

 ゆっくりと歩み寄る幽々子に、本能的に後退り、距離をとる。だがそれは微々たるもので、勿論狭い部屋の中…簡単に追い付かれてしまう。幽々子の人差し指が私の唇に優しく触れ、顔を近付けてくる。

 

「無理矢理がお好み?」

「無理矢理も何も…無しならそれが一番いいよ…」

「だめよ。折角可愛いって散々教えて貰ったのに」

 

 どいつもこいつも無駄な入知恵しやがってこの野郎。

 逃げるように少し退けば背後は壁。完璧に逃げ道を無くし、後は震えながらも犯されるのを待つばかり…逃げ出せるものなら逃げ出したいが…そこまでして逃げたいという訳でもない。よくわからない。

 

「一応聞こうかな。貴女は犯す側? 犯される側?」

「食べる側」

「あ、そう」

 

 今更躊躇も無く、服をさらりと落とす。最近自分から服を脱ぐ事が多いのは、慣れたと安堵すべきなのか…いや、悲しい。どう考えても悲しいぞこれは。

 

「んっ…!! ち、ちょっと!! まだ全部っ…」

「私が脱がせるの。何か文句がある?」

「文句しか…ひやっ……ないよぉ…っ!!」

 

 まだ上着しか脱いでいないというのに、無理矢理押さえつけてくる幽々子。荒々しくも繊細な力に逃げつつ私に触れる手を払おうとするが、私が素の力で勝てる相手ではないようで。抵抗空しく束縛されてしまう。バタンという音が部屋に響き、地面に叩きつけられた。

 

「っ…!」

「ほら、暴れると痛いわよ~」

 

 下着に手を掛ける幽々子に、少し赤面しつつも身を任せる。無駄に抵抗するのは相手を喜ばせるのみで、意味がないというのは既に何度も後悔していること。特に狐火鴉や藍は逆効果である。あいつらSっ気が強くて毎晩びくびくさせられる。いや、逆に言えば私がMなのだろうか? 最近、誰が悪いとかは考えないけど、結果こっちに疑問がきてしまっている。

 

「…躊躇ないね、まったく」

「裸体を晒して少し顔を赤くする程度の貴女が言うかしら?」

「何処かの誰かさん達のお陰で慣れっこだから」

 

 慣れたというか、羞恥心が麻痺しているというか。最近、幻想郷の住人(原作の登場人物)全員に遊ばれることになりそうで怯えているのはここだけの話。

 

「ひっ!? いきなりはやめ…っ」

「え? 合図にウインクしたわよ?」

 

 そんなのずるい。

 辺りに舞う蝶のような光。その中で亡霊に襲われる狼。どうすればいいのさ。

 

「ぁぅ…ぃや…っ」

「だ~め。逃げたらとり憑くわ」

 

 狼の悲鳴が木霊する白玉楼。その悲鳴は、夜が明けるまで続くのであった。

 

 

 

 

「あ~…ふらふらする」

「お疲れ様ね、狼さん」

「お憑かれ様だよ。本当にもう」

 

 時計が指すのは真昼間。さとりになんと説明すべきか…亡霊に襲われたから? 私の言うことは基本的に信じてくれるけども、あまり言いたくないな…

 まだ湿ったままの身体を引きずりつつ、どう帰ろうかと考える。このまま妖怪の山に行ったら臭いに興奮した椛に襲われそうだし、紅魔館に行っても、フランにこんな臭い嗅がせたくないし…素直に帰るしかない、か。

 

「…もう帰る。結局何しに来たのさ、私は」

 

 あの後だが、散々口や体を犯された挙句、舐められしゃぶられ齧られと、散々なことになった。幸い藍や狐火鴉のように激しいものではなかった。事後に歩けるのが新鮮だ。こいしといい燐といい空といいヤマメといい…全員地底住みではないか、どういうことだ。

 

「…おい、紫」

「あら、見付かった」

 

 本人が隠れているつもりでも、彼女の妖気と香りは、私からすれば強烈にわかりやすいもの。隙間だろうがなんだろうが、察知できる…のは私だけなのかなぁ…? 正直、彼女の行動って意外と読みやすいというか、なんというか。

 

「…今日は駄目だよ。暫く後にして。一週間って貴重なんだから」

「千年以上生きている貴女が言う言葉かしらね。藍がお呼びなのよ」

「藍が? はぁ…やな予感しかしないんだけど」

 

 渋々と紫が眼前に開いた隙間に足を掛ける。幽々子にウインクで別れを告げ、小さく地面を蹴った。もう暫く来ないぞこの野郎。

 

「…はい、到着。藍しゃま、ご用件はなんですか~♪」

「お、狼戈。最近、遊び相手がいなくてな…ほら、ちょっとおいで?」

「…ねぇ、これ昨日から四回目なんだけど。もうそろそろ逃げていいんだよね?」

「残念、もう捕まえた」

 

 九重の尻尾に捕まり、無抵抗で折角着た衣服が剥がされる。私…もう裸で過ごしてた方がいいのかなぁ。

 

「さあ、可愛い反応を見せてくれよ?」

「もう…いや……」

 

 既に疲れきっている私の体は、何故か恐ろしい程に敏感。少し触れられただけで震えて飛び上がる私を見て、藍は何を思ったのだろうか。

 

 この異変で、わかったことがある。私は地上に出ず、地底に引き込もっている方がいい、と。

 ーーーもう二度と。絶対に。大事な異変以外には関わらない。

 

 

「もう…らめ……ふわぁぁ…」

「ん~…刺激が強すぎたかな…?」

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