黒狼狐己録 -Life Harboring- 作:ふーか
ちょっと浮かれたかな…申し訳ない。ただ、性的には暴走したかも知れない。
次は…誰が暴走するのかなぁ…(黒微笑)
「も、椛…いや、その、さっき散々やったよね? うん、もうやめよ?」
「え~? 何のことかなぁ? 狼戈ちゃんが逃げるから悪いんだよねぇ…?」
誰か助けてください。
先ほど日が沈む寸前まで襲われていたというのに、時計が深夜(早朝)2時を指した途端ににじり寄ってくる椛。夜更かしをしてとある人形を仕上げていたのだが…やはり私に自由の時間はないらしい。一階に置かれた机の周りをぐるぐると逃げながら、どうしたものかと思考を巡らせる。いつものパターンでは、このまま捕まって朝までやられ続けるのがオチである。だが今日は…せめて今日くらいは、なんとか逃れたいのである。最近は空気を読んでか藍達が遊びに来てくれない為、逃げる場所がない。…いや、空気を読んでいる訳ではないな、絶対狙ってやってる。あの九尾め。
「…誰か居ますか?」
「ん、来客…椛、お預けね」
「え~…ちっ」
舌打ちし、渋々と二階へと戻っていく椛。何故だろう…彼女はこんな感じのイメージではなかったはずだが。最初はツンデレうふふという感じだったのに、今ではダイレクトに、人前だろうが何の躊躇もなく押し倒してくる。お願いだからベットの上だけにしてくれ…等と言っても、恐らく無理矢理捕まえてベッドの上に連れて行くのだろうな。
「…あら、鈴仙。いらっしゃい」
「…こんばんは。お邪魔します…」
恐る恐るといった感じで中に入ってくる鈴仙。とりあえず、と机周りに置かれた椅子に座らせ、冷たいお茶を差し出した。萃香みたいにいきなりお酒を差し出す訳にもいかない。私が酔い潰される。
「お疲れ様。師匠から許可は得られた?」
「…まあ、一応はとりました」
まさか、と兎詐欺の存在を疑うが、周りに気配は感じない。ならば、本当に一人…いや、一羽だけで来たのだろう。ところでよく聞いたりするが、兎鍋とは美味しいものなのだろうか。ちょっとかじって…みたいところだが、お疲れのようだしやめておこう。
「ん~…まぁ、ゆっくりしていきなさいな。何か食べる? 何でも作れるけど」
「あ、じゃあ…お団子食べたいです。みたらし団子」
…うどんという回答を期待したのは、私が悪かったのだろうか。
みたらしのタレは流石に作る訳にもいかず、記憶にあるもので具現化。生地は…まぁゆっくり作るとしよう。具現化さえあれば、極端な話この家の中だけで生きていける。勿論、そんなつまらないことはしないが。ふと思ったが、夢月や幻月はどうしているだろう。ちょっと会いに行ってもいいかも知れない。それに、これだけ生きてきてまだ会っていない者もいる。花妖怪や、半人半妖。毒人形とか…。チルノや三妖精は…一応見かけたことはあるが。関わりはまだ持っていないな。
「…楽にしてていいんだからね?」
「はい…あ、うん。ありがとう」
何故敬語なんだ。
生地を作って練って焼いてとしている中、他愛ない会話を繰り広げる。何人前だという程に多く作っているが、最悪藍や紫に押し付ければいいだろう。それに、地底にだって宛はある。冷めてしまうが、明日辺り届けに行くとしよう。
「本当に、あの悪戯兎…」
「まぁまぁ。なんやかんや言ってるけど、嫌いではないんでしょ?」
「…まぁ、そうだけど」
ツンデレ(?)いただきました。
先程から会話をしている為か、じっと私を見る鈴仙が気になる。楽にしろとは言ったものの、普段からこんなに此方を直視する娘だっただろうか…? 顔が赤いのはまあお疲れだからだろう。だが…こうも顔を直視されると、此方も赤くなってしまうではないか。
「…狼戈って美味しそうね」
「…何故かしらね、なんだか兎鍋が食べたくなってきてしまったわ」
「い、いやいや。変な意味じゃないよ!? かじったらどんな味がするのかな、なんて…」
どちらにせよ変な意味ではないか…内心で突っ込みをいれ、あたふたと言い訳を連ねる鈴仙をあしらう。可愛いからよしとしよう…だが、夜に襲ってくるようだったら、私は本当に兎鍋を作る。カエンタケやドクツル辺りも一緒に煮込むとしようか。なんなら、毒位作れると思うが。
「…まあいいよ。はい、お団子」
「あ、ありがとう…って多くない?」
何十本あるのだろう…? 下駄型の皿に、ピラミッドのように積まれた団子の山。少なくとも二十本は軽く越えている。やはり作りすぎた。ただでさえ餅は腹に溜まるというのに…。
「…美味しい」
「ふふ、私特製だもの。当然よ」
元々お菓子作りには携わっており、しかもこの百年千年という時を生きているのだ。知識は嫌でも身に付いていく。地霊殿でおやつを、一時期は食事まで担当していたのだ。尚更食材や調味料、調理方法は頭に入ってくる。
「好きなだけ食べてね。そうだ、鈴仙。今日は泊まっていくの? そう、わかった」
「え、えぇ!? まだ何も言ってな…わかった、泊まってく」
それでよろしい。
むぐむぐと食べ始める鈴仙を後目に、二階へと上がる。階段を登ると、其処は廊下。右側は寝室、左は自室、奥は風呂場とか脱衣所とか…。二階に風呂場を作ったのは、本当に正解だと思う。理由は…もう言うまでもあるまい。もっとも、お湯を沸かすのも水も、全部私の能力なのだが。万能…といいたいが、隙間の方が有用性はあると思われる。色々と隙間をいじってしまえば、きっと何でも出来ると思う。
「…椛?」
「…すぅ…んぅ…」
少女熟睡中…
椛を起こさないようにそっと扉を閉め、自室の扉を開ける。以前大騒ぎした以降全然使っていない為、物は全然ない綺麗な部屋だ。おもてなしすると言って客人を招いた訳だし、一人で寝かせるのも申し訳ないか…いや、一人がいいか嫌かは当人次第だ。本人に聞いて決めるとしよう。もし一緒に寝ると言われたら…明日、今幸せそうに寝ていた狼に襲われるだろうな。私が。
「…おーい、鈴仙。食べたら二階おいでよ~。お風呂も含めて」
「ふぇ!? 流石にそこまでお世話になるのは…」
口に団子を詰めているからか、少し聞き取り辛い口調で反応する鈴仙。可愛らしさを感じながらも、ちらと風呂場を見てまた声を上げる。
「大丈夫だよ、誰か来ると基本的にこうだからさ」
「…そう? じゃあ…折角だし、お言葉に甘えようかな」
それでよろしい…デジャブ?
さっさとお湯を沸かし、シャンプーリンスー、ボディソープと完全準備。お湯を自分の呪術で沸かすことになるなんて夢にも思わなかった。正直、熱湯だろうが冷水だろうが妖気と宿す次第でなんとでも出来る為、私が入るだけなら沸かす必要は正直ない。リラックスは…まぁ、うん。
「…さ、入ろう入ろう」
「…え、一緒に入るの?」
「あ、嫌ならいいよ?」
「…まあ、いいや。入ろう」
嫌なら本当にいいのだが…どうやら普通に入るらしい。流石にダメかと思い、バスタオルを渡しておいた。私としては…やっぱり見慣れたもんだから…。
「ふぇぇ…いいお湯加減。あ、鈴仙。お背中お流し致します。強制でごさいます」
「…やっぱり一人で入れば良かったかなぁ」
今更遅いぞ。ぐはは。
渋々といった感じだが、背中見せる鈴仙。お湯をかけると熱かったのかビクッと震えたが、少しすれば心地良さそうに微笑んでいる。私は…昼に椛からやられた関係で風呂には入っていたため、浸かるだけでいい。
体を流し、髪も丹念に洗い。完璧に洗い終えた後で、私は一足先にお風呂を出る。鈴仙の服をさらりと綺麗にした後、体にタオルを巻いただけの格好で布団と毛布を揃え、綺麗に敷いておいた。先程から…やりすぎなのかなぁ? 私は当然と思うおもてなしをしてるだけなんだけど。…正直、少し重いのかも知れないな。私も自重するべきだろうか。私としては藍や椛に自重して欲しいのだけれど。
「…いいお湯でした」
「あら、もういいの?」
「うん、あんまり長風呂しても迷惑かなって…てもう敷いてるの…」
やはり、やりすぎらしい。
バスタオルを体に巻き、髪を小さいタオルで拭きながら出てくる鈴仙。その姿は妖艶で、大人びている。全体的にしなやかなのは、きっと月の軍人をしていたからであろう。肉体的にも結構強そうだ。勿論、力で鬼に勝てなどとは言わないが。
「…じゃ、後はもう寝るだけかな。私はどうする? 居ない方がいい?」
「……ううん、居て欲しい」
上目使いの鈴仙に、危うく見惚れてしまいそうになる。格好も格好な為に余計だ。大人びた、か…私は身長も姿形もまったく変わらないもので、ずっとロリのままだ。東方はみんなそうだと言われればその通りだが、ちょっと大人になってみたい。
「…狼戈…ちょっと、此方来て…」
「ん~? どうし…っ」
何事…?
体を襲うのは窮屈感と圧迫感。気付けば背後から鈴仙の腕に包まれ、目をぱちくりさせていた。一瞬、何が起きたのか本気で理解出来なかった…それにしても、いきなりどうしたのだろう。私、何かあざとい仕草でもしてしまったか…? いや、身に覚えはない。
「んぅ…」
「ち、ちょっと。いきなりどうして…ひやっ!? み、耳は…やめ…っ」
「…良い匂い」
いや、良い匂いじゃなくって…!!
獣耳に顔を押し付ける鈴仙にびくびくと体が震える。敏感だと何十回と言っているのに…それに頬を擦り付けられたら、その度に体がびくっと跳ね上がる。足をばたばたさせながら喘ぎ声ともつかぬ声を上げていても、鈴仙は私を離さない。お願いだからやめてください。本気で喘ぐことになりそうだ。
「…ねぇ、狼戈」
「あ~、お月様が綺麗だな~」
「…食べていい?」
ガン無視するな。ダイレクトに聞くな。どいつもこいつも発情相手が違うっつの。
勿論否定しようとするが、鈴仙が離してくれる様子はない。それどころか私が嫌な反応をすると更に強く抱き締め、絞め殺す気かという感じの強さで拘束してくる…つまりは、遠回しの強制。だが、そう簡単にそれを許す訳にはいかない。私とて、いつもから無抵抗でやられている訳ではない。
「だっ…め……いや…だ」
「…なんで? 私じゃ…ダメなの?」
こいしといい、燐といい、橙といい…私じゃダメなのか~と聞かれたら、私はどう答えればいいのか。否定したら私の立場上、相手に“私は嫌われてる„的にとられてしまうだろうし、肯定すなわち快楽地獄だし…つまり、これを言われた時点でゲームオーバー。GAME OVER.
「…もう、好きに…してよ……」
「~~♪」
嬉しそうに笑われても、私としては即座に逃げ出したい気分です。
私をほぼ無理矢理に押し倒し、その表情をじっと見据える鈴仙。じっと見られるのはあまり得意ではないが、ただ視線を逸らすしか出来ない。ふと巻いていたタオルがほどけ、体が露出した。もっと強く結べばよかったかも知れない。狙ったようにとれやがってこのバスタオル。
「ひ…やっ…だ、め…いきなりはぁ…」
「……ふふ」
腹にまたがり、後ろ手に指を侵食させる鈴仙。獣耳を散々弄ばれたためか既に湿った体に、容赦なく快楽が循環していく。くちゅり、ぐちゅり…卑猥な音が支配する部屋の中。自分に巻いたタオルが落ちても気に留めず、私を押さえつけて犯し続ける兎に、些細な抵抗として身を捩る。だがそれすら許してくれず、両手首までもを押さえられた。
「ぅあ…だめっ、だってばぁ…!! ん…ぐぅ…」
「…狼戈は可愛いなぁ…♪」
私の言葉などは聞き入れて貰えず、一心不乱といった様子でその激しさを緩めない鈴仙に、段々と意識が高揚、息は荒くなっていく。口や体を犯し抜かれ、もう錯乱してしまいそうだった。自重を知らぬその快楽。もう…身を委ねるしか出来ないらしい。抵抗出来ない、逃げることも出来ない。ならば私は…もう、諦めるしかないのだ。
「もう…らめ…ら…よぅ…っ!? ひやぁぁ!?」
「ダメだよ…逃げちゃ…もっと、もっと…ふふ」
二本の指に、ぎゅうぎゅうに、ぐちゃぐちゃに掻き回される。耐性などない私がそんなものに耐えられる訳もなく。意識は真っ白になり、力が抜けていった。指を舐めとりながら、頬を紅潮させ、息を荒げる私を見下ろす鈴仙。その表情は淫らの一言で、まだまだ…逃してくれる気はないらしい。
「ふふ、もう一回…もっと、いっぱい…♪」
「……ぁぅ」
もう小さい声しか出ない。完全に脱力して身を委ね、全てを成り行きに任せる。もう…どうなってもいい。はつきり言ってしまえばいつものことだ…もう、どうにでもなるがいいさ。
「さぁ…遊びましょう。ねぇ? 狼戈…♪」
◇◆◇
「んぅ……ぅ…」
少し動けば体を襲う快楽。必死に耐えながらゆっくりと体を起こし、改めて周囲を見渡す。其処には幸せそうに眠る鈴仙の姿があった。結局…私は一睡も出来なかった。途中で鈴仙が疲れて眠ったため、無理矢理布団をかけておいたが…その時点でほぼ朝。今更寝る訳にもいかない…夜行性の私としては、今から寝れば丁度良いのだろうけど。
ゆっくりと起き上がり、風呂場へと向かう。びくびくしながらも体を軽く流し、自室へ戻る頃には既に朝日が昇っており、綺麗に輝いていた。唯一の救いは、椛がまだ寝ていることか。
「うぅ…?」
「あら、鈴仙。おはよう、よく眠れたかしら」
少しの怒りを孕ませた、ぶっきらぼうな口調で告げる。本当は風呂上がり故だが裸である私と、自分の姿を見比べ、鈴仙の顔が段々と真っ赤になっていく。一時の感情に任せてやりたいことをやると、絶対に後悔する。それは…私にも言えることだが。
「あ、わ、私…何を……」
「ん~…抱き締めて耳かじって、押し倒して…それで」
「はわわ…具体的に言わなくていいわよっ!!」
聞かれたことに真実で答えただけだというのに、何故か怒られてしまった。悪意たっぷりの笑みで言っただけではないか。何故怒るんだ。
「ご、ごめん…私……」
「あ~、気にしたら負け。正直慣れてるから」
決して尻軽という訳ではありません。
真っ赤になってふらふらする鈴仙を、とりあえずと風呂場に案内しておく。流石に、あの臭いが染み付いたまま帰るのは酷だろう。兎は年中発情期…兎詐欺にも襲われたらどうしよう。果ては月の姫様にまでそんなことになったら…
ーーまあ、月なんて絶対行かないから、問題なんてないよねっ!!
思いっきりフラグをたてたところで、扉がノックされる。鈴仙はお風呂にいるし…誰だろうと思って扉を開けると、そこにいるのは満面の笑みを見せる白い狼。忘れてた。
「…お、おはよう。椛」
「おはよう、狼戈。どう? お客さんとは楽しかった?」
表情が黒いしゲス顔なんですがそれは。
心にぐさぐさと言葉か突き刺さり、擦り寄ってくる椛に無抵抗で遊ばれるしかない。まるで自分だけのものだといったように私を抱き締める椛に、暫くの間身を委ねる。ここで抵抗したら、きっと襲われる。
「お邪魔して…あ、椛」
「…鈴仙。久しぶりだね」
修羅場的な何かを予想したのだが、その場に流れるのは和やかな空気。何処か親しそうにする二人の中に、私は唖然とするばかり。
「え、し、知り合い?」
「まぁ、ちょっと。あ、そうだ。朝ごはん食べてってよ。ね、狼戈」
わけがわからないよ。
風呂上がりの鈴仙を連れてさっさと一階に降りていく椛。取り残される私。もうどうすればいいんだよ、これ。さっきから淡々と全てが流れていってるよ。私はただ損しかしてないじゃないか。
今更出ていけなんて言えず、渋々と自分も階下におりる。仕方がない…どうせ損しかしないのならば、また豪華に作るとしようではないか。
「ん、邪魔してるぞ」
「…なんで八雲一家とペットがいるの」
「誰がペットですか!?」
…もう、私知らない。