黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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戦闘描写も、性的描写も含む。ちょっと長め。
次回は…うん。紫回です。<◎>


◆ 魔理沙とスペル (上)

「ふにゅ~…もっふもふ…やっ!! 擽るのはいやっ!!」

「お前はいったい何歳だ…」

 

 百年から先は覚えていない。

 土の道をゆっくりと歩く九尾に、それにしがみついて幸せそうな黒い狼。勿の論、私である。椛の性欲が落ち着いた最近。久々に、と思い八雲の屋敷へと泊まりに来ることとなった。椛は狐火鴉と話があるらしく、地底へと赴いて行った。この二人が揃うとロクな目に合わない為あまり行かせたくなかったのだが…流れ的に、恐らくというか確実に狐火鴉も私の家に住むこととなるだろう。私か居た影響か、動物達の妖怪化が盛んな地霊殿。仕事が無くなってしまうのも無理はないだろう。それにさとり曰く、狐火鴉は私に依存していた節がある。心を読むと、恐ろしい程の独占欲しかないのだとか。尚更椛と合わせてはいけない気がするが…止めてもどうせ無駄だろう。椛自身も迎える気満々のようで。

 

「うふふ、天国は此処にあったんだねぇ…」

「…狼戈の尻尾の方が天国に近いと思うんだが」

 

 藍の尻尾の付け根部分辺りに跨がり、おんぶのような状態で藍にしがみつく。時々複数の尾が服の中に入ろうと擽ってくるのを入れても、かなりの極楽状態だった。甘い匂いは相変わらず、とっても気持ちいい。

 

「ん…ひやっ!? ち、ちょっと、藍…」

「ふふ、捕まえた」

 

 お姫様だっこされるのは嫌いではないが、もう目的地は目の前。視線を受けるのは嫌故に、仕方がなく無理矢理飛び降りる。不満気な顔をする藍に後でと誤魔化しつつも、目的地への入り口を潜った。

 

「お、黒ちゃんじゃないか。お団子、食べてくかい?」

「あ、お団子屋のおじさん。じゃあ…二本ちょーだい!!」

 

 私達が目指していた目的地…人里。隙間を用いれば人里まで一瞬で行くことも出来るのだが、今回は私の“たまにはゆっくり、外の景色を眺めたい„という要望に藍を巻き込み、歩くことになった。

 

「…狼戈、知り合いか?」

「うん。この村…町? にはたまに来たりしてるよ。人里は色々廻って見てるから」

 

 だが、未だにどこぞの妖怪と会っていない。満月の夜に変身する、あの寺小屋の教師と。場所的に、きっと竹林の周りをぐるぐるしていれば着けるのだろうが…手っ取り早いのは、妹紅に聞くことか。何故か皆から私に対する信頼は厚い為、怪しまれることもあるまい。まぁ…確かに秘密をばらすようなことは滅多にない為、信頼されててもわかる気がする。

 

「ほらよ、持っていきな」

「え? でも、お代は…?」

「いいさいいさ。前の礼もあるしな。また来てくれよ?」

「…うん、ありがとう!!」

 

 多少あざとくなるのはご愛嬌。

 藍に団子を一本渡し、ずかずかと中に入っていく。私と藍、共に認識があるために、襲われたり追い出されたりするようなことはない。警戒はされているかも知れないが…誰もが団子屋のおじさんみたいに、優しい人という訳でもない故。

 

「おや、黒ちゃん。久しぶりだねぇ…今日は何しに来たんだい?」

「ん~とね、ちょっとお使いに来たの」

「…何処でも人気者だな」

 

 藍の独り言を無視し、さらりと奥へ向かう。途中途中で声を掛けられながらも、辿り着いたのは一件のお店。藍にとっては常連なのか、入るのに何の躊躇も迷いもない。

 

「油揚げください、油揚げ」

「九尾の姐さんと黒ちゃんじゃないか。待っててね、すぐ用意するよ」

 

 それでも注文は私、と。

 藍と立ち話をしながら、店主が出てくるのを待つ。藍が油揚げ好きなのは知っているが、それは私も一緒。宿すの影響だろうか、なんでも体が欲しがる。油揚げ…うまうま。

 

「お使い終わったら何処か出掛けようか…ね、九尾の姐さん」

「そうだな…久々に何処か行くのもいいかも知れないな。黒ちゃん」

 

 にやりにやりと会話する私達に、店主が怪しそうな目を向ける。ハッとして小包を受けとり、お代を渡しておく。またおいでね、と言われたが、正直暫く来たくない。ああ、恥ずかしい恥ずかしい。

 特にもう何かを買う用事もなく、のろのろと家路につく。人里を離れ、とある森に入ろうという場所まで来たとき、突然隙間が開く。危うく落ちそうになりながらも、なんとか踏みとどまった。一歯下駄だからバランスが…

 

「…藍、先に帰ってて。後で行くから」

「ん、わかったけど…どうした?」

「ちょっと、知り合いの家に突撃してくる」

 

 私の言葉を聞くなり苦笑する藍に目を細めつつ、森の中へと潜入する。薇や茸。色々なものが生える森…下手に茸とか食べて中るのも嫌だし、手を出さないのが無難だろう。知識は紅魔館で読んだ本くらいしかないし、似ているものも大量にあるし。でもまぁ…宿すで工夫すれば何食べても死なない気がする。

 

「ん、と。此処かな」

 

 辿り着くは一件の家。言うほど森の中という訳でもなく、普通に家。洋風で、綺麗な外観…結構大きい家だ。人形に襲われたりしないだろうか。怖いのだが。

 

「ん~、誰か、居るかなぁ…」

 

 こっそりと、窓の中を覗き込む。中には、机の横に置かれたソファーに佇む、一人の女性が見える。魔法使いというか魔女というか…紅茶らしきものを飲みながら、何やら本を読んでいる様子。邪魔しては悪いだろうか? 素直に帰るべきか…

 

「…ひゃっ!?」

 

 周囲を囲む人形群に、咄嗟に声を上げてしまう。気付けば武装した人形達が、自分の周りを取り囲んでいるのだ。誰が驚かぬというのか。

 

「何してるの? 覗き見なんて、趣味が悪いわね」

「てへへ、邪魔しちゃ悪いかなぁ、って…」

「…まあいいわ。入るならどうぞ?」

 

 最後に会ったのは何時だろう。人形使い、アリス・マーガトロイド。緋想天以降、全然会っていない気がする。

 人形をちらちらと見ながら、恐る恐る中にお邪魔する。下駄を綺麗に並べて中に入ると、やはり綺麗に整えられた部屋。人形もいる訳だし、掃除も綺麗に行き届いている。流石は賑やかな独り暮らし。といいたいところだが、私の家も常に賑やかなんだよなぁ…

 

「…狼戈、そういえば」

「…ん? どうしかした?」

 

 足袋を直していると、突然アリスから声が掛かる。表情は穏やか故に、何か私が悪いことをしたという訳では無さそうだが…どうしたのだろうか。

 

「あの異変、狼戈が終わらせちゃったの?」

「あ、あの異常気象? ん~…まあ、事実上はそうかな。元凶潰して、はいおしまい」

 

 あの時の天子が手加減していたかどうかは知らないが、まさかの無傷。少し手応えが無かったというか…いや、きっと手加減はしていたのだろうな。魔理沙や萃香にも勝っているあたり。だが萃香は何かとふざける節があるから、どちらとも言えないか。

 

「…てことは、貴女強いのね」

「いやいや、私はただの狼。強さの欠片も無いって」

 

 アリスの目に闘争心らしき何かが浮かんでいたため、咄嗟に否定する。これでもし戦闘になったら嘘吐きとどやされそうだが、まあその時はその時。

 差し出された紅茶をすすりながらアリスからの視線に目を逸らしていると、突然玄関の扉が開かれた。結構大きな音が鳴ったが、ドア、壊れてないだろうか。

 

「邪魔するぜ!! ん、狼戈じゃないか。珍しいな」

「…ああ、泥棒猫か。じゃあ放置でいいや」

「誰が泥棒猫だ!! 私はアリスの物は盗ってないぞ!」

「紅魔館の本は? パチュリーが愚痴ってたよ」

「あれは借りてるだけだ。私が死ぬまでな」

 

 それを泥棒って言うんだよ。

 入る隙を無くしたアリスが呆然と私と魔理沙を見比べる中、面倒だと逃げた私がまた紅茶をすする。魔理沙は結構強情なため、一度口喧嘩をするとなかなかにしつこく続ける。それに心は結構乙女な為、泣かせるのも申し訳ないのだ。それにしても、私が死ぬまで借りてると言いながらドヤ顔をされても、私としては困るだけなのだが。ドヤァ…

 

「よし、狼戈。弾幕勝負だ!! 表に出ろ!!」

 

 突然の宣戦布告。私があからさまに面倒そうな顔をすると、魔理沙がまたムッとする。

 

「…アリス、狼戈を引っ張り出してくれ」

「なんで私が…まあいいわ」

 

 次の瞬間、辺りにいた人形全ての矛先が私へと向く。実を言えば一気に掃射して潰すことも出来るのだが、下手に人形を壊すのも申し訳ない。アリスも何故か私の強さに興味津々といった様子で私を見ているし、もうやるしかないらしい。アリスを手で制して人形の構えをやめさせ、ゆっくりと立ち上がる。まったく、面倒なことになったものだ。私をいったい何だと思っているのか…私はスペルの実験台ではないのだぞ。

 

「スペル無制限。何処からでもかかって来なさい。アリス、そこ危ない」

「“恋符”マスタースパーク!!」

「だからいきなりはやめろって…」

 

 何事にも勢いがあるのは良いことだが、相手をするのは疲れる故自重していただきたい。

 

「“白炎„陽萃風嵐」

 

 円を描き、手を胸の前で合わせる。手中に溢れていくエネルギーの流れは白く発火し、純白の炎を作り出す。妖気との化学反応…火傷しないように、お気をつけて…ね。

 技が放たれた刹那、目映い閃光と共に衝撃が辺りに走る。相殺するか押しきるか…そんなことを考えながら、押され気味の火力をあげていく。だが次の瞬間手応えが無くなり、一気に炎が舞い上がる。しまった…そう思って術をやめた瞬間、轟音が響く。段々と近付いているような…

 

「“彗星„ブレイジングスター!!」

 

 それは一瞬…私が放った炎の中を、彗星のように突撃する魔理沙の姿が見えた。いくら手加減していたとはいえ予想外の攻撃に、咄嗟に体が反応する。

 左の下駄の歯を強く地面へと突き刺し、右の下駄の歯で、魔理沙の箒を受け止める。妖気を纏ったとはいえ、突然故にその威力は殺しきれず、大きくノックバック。技の終了時、下駄の歯が抉った痕が地面に残り、そこには片足立ちの私と魔理沙の姿だけがあった。

 

「そんな…片足で…」

「…いきなりは酷いよ」

 

 魔理沙がぴょんと後ろに跳び、距離をとる。角度的に強い衝撃を受けて地面深くに刺さった下駄の歯を引き抜き、魔理沙を見据える。流石に足が痛い…まさか、こんな不意打ちを受けるとは思わなんだ。

 

「ッ…!! ファイナルスパーク!!」

 

 …自棄になったら勝負は終わりだ。

 

「“繚乱„桜之凶宴」

 

 宿すは植物…体に巻き付く蔓に、頭の右前半分辺りに咲く、髪留めのような、真っ白で巨大な花。髪色は白に、服も、“宿す”に“化ける„が反応し、半透明の紅色へと変わっていく。写すは花弁…植物の加護を得て、集めるは自然の力。放つは草花の息吹…

 

「咲かせるは朱の桜!! 咲き乱れろ!!」

「いっけぇぇ!!!」

 

 魔理沙の放つ巨大な光線。それを真っ向から受ける、桃色の光。辺りに虹色の花弁を撒き散らし、匂いと色、光を伴って突き進む。

 

「ッ…!! まだ、まだ…っ!!」

「最大出力…百科繚乱!!」

 

 次の瞬間、手応えが無くなる。決して、先程のように魔理沙が捨て身覚悟で技を捨てた訳ではない。正真正銘の…勝ちだった。諦めぬ魔理沙に敬意を払い、最大出力で放ったが…本気で心配だ。今の威力は…妖怪ですら死んでもおかしくはない。

 

「…魔理沙? 魔理沙…!?」

「が…は……っ、大丈夫…だ…」

 

 …どう考えても、全然大丈夫じゃない。

 ふらふらと立ち上がる、少しの血に濡れた魔理沙を抱擁する。やり過ぎた…今更後悔は遅い。幸い、傷はあまりないようだ。咄嗟の判断で避けたのだろう…避けてなかったら、そう考えると冷や汗が落ちる。

 

「…ごめんね、魔理沙。もっと、考えてれば…」

「…いいんだ。狼戈の本気を見れてよかった…」

 

 ずっと手加減してたしな…そう笑う魔理沙に罪悪感を感じながら、具現化させた消毒液で石か何かに当たったのか、裂けた皮膚を消毒、包帯で処置。妖気を流せば手っ取り早く済むが、人間相手では拒絶反応が怖い。最悪…死ふ可能性だってある。紫曰く、優しい妖気だが、時にとても刺々しくなることがある…そんな妖気を、人間の、しかもまだ若い魔理沙に流す訳にはいかない。私自身元が人間…? だから、大丈夫かも知れないけど。

 

「アリス、魔理沙を頼んでもいい?」

「…貴女の何処が弱いのか説明して欲しいわ。魔理沙、歩ける?」

「…ああ。もう、大丈夫だ。もうそこまで痛くないぜ?」

 

 確かに、傷はあっても浅いし、エネルギーの衝突による打撲系のダメージだとは思うが…とりあえず、安静にしていただこう。私とて傷だらけの者を易々と野放しにする訳にはいかない。

 再度、アリスの家にお邪魔する。ちょっとアリスと駄弁って帰る予定だったというのに、私はいったい何をしているのだろう。嫌がる魔理沙を無理矢理ソファに寝かせ、傷を再度綺麗に処置し、絶対安静で見張る。そろそろ夜が近い…夜になると、最近椛の影響故か欲が暴走し始める為、誰かとあまり居たくないのだが…この際仕方ない。

 

「…このくらい全然大丈夫だぜ? 離してくれよ…」

「ダメ。私がやった以上、絶対離さない。何なら…無理矢理服従させる方法もあるわよ?」

 

 舌なめずりしながら淫らな笑みを見せる私に、魔理沙がビクッと震える。こうでもしないと無理矢理逃げそうだし、仕方がない。痛みが引く迄は逃がさない。

 

「…狼戈、別に帰っていいわよ。魔理沙は私が見張るから」

「え? でも、こうしたのは私だし…やっぱり私が」

「いいのよ。人形達も手伝ってくれるし。きっと貴女の大好きな九尾様が待ってるわよ」

 

 …何故知っているのか。粗方想像はつくため、何等問うことはない。森に人形が居てもおかしくはない、か…変なところに他人の視線があるのは、正直居心地が良いものではないな。

 

「…わかった。魔理沙、本当にごめんね?」

「気にしたら負けだ。次は…私が勝つからな」

 

 魔理沙の言葉に頷き、アリスをチラリと見てから家を出る。弾幕ごっこは、死者が出ることもある…私が相手してきたのは人外ばかりだった故に、こんな簡単なことを忘れていた。魔理沙には申し訳がたたない。

 今度、何か御詫びでも持っていこうか…そんなことを考えて下を向きながら歩いていると、突然浮遊感に襲われる。パニックになりかけながらも体を捻ると、じっと此方を見据える藍の姿があった。尻尾の日本が私の両手首に巻き付き、持ち上げている。世界が逆さま…浮遊感の正体はこれだったらしい。下着が見えぬように蔓で和装の下部分を押さえながら、藍を細い目で見詰める。

 

「…何するのよ、九尾様」

「遅かったから来てみただけさ。狼…いや、草花」

「“そうか„? まさか、狼戈に似せた? もう…遅れてごめん」

 

 藍は苦笑すると、私を離さずにそのまま抱き抱えた。そのまま現れていた隙間に連行していく。隙間を潜ると、相変わらずの屋敷の風景。一息吐く暇もなく、何かに吹っ飛ばされて撃沈する。

 

「うぐぅ…」

「狼戈さまぁ…♪ 食べていいですかぁ~♪」

「いきなり出てきてダイレクトに聞くな!! にゃっ!? な、舐め、る、なぁ…ひぅ…」

 

 この猫又めぇぇ…!!

 全身をところ構わず舐め回す橙に、まるで微笑ましいものを見るような目で此方を見てくる藍。この親馬鹿狐は、どうやら私を助けてくれる気はないらしい。それどころか、自分も加わりたいのかうずうずしている模様。夜まで待てと言いたいところだが、きっと無理矢理押し倒して来るのだろうな。…地底にいても、自宅にいても、八雲家に居ても夜はゆっくり出来ないらしい。今度、竹林に逃げるとしよう。妹紅なら、きっと助けてくれると思う。今のところ人間には襲われていないし…つまり、あの寺小屋の先生には襲われる可能性があると。教師って何かと不満が多そうだし…ああ、逃げ場がない。

 

「橙、落ち着け。ん、狼戈、風呂と夕食…の後は、勿論付き合ってくれるんだろうな?」

「嫌だ」

「わかった。丁重におもてなしするとしよう。橙、連れて来てくれ」

「ひゃぁぁ!? や、やめ、んにゃっ…ぅ…ぅぅ…」

 

 …もう、私駄目。そろそろ燐に運ばれる運命かも知れない。あぁ、もっと生きたかった…

 満面の笑みで私を抱き抱える猫又に、私はただただ現実逃避することしか出来ないのであった。

 

 

◆◇◆

 

 

「みすちー、お水もう一杯くだひゃい」

「ん~、どうぞ~」

 

 夜のお付き合い…これなら全然構わないのだけれども。

 橙は妖怪の山に帰っていき、藍と私だけでみすちーの屋台に来ることに。鰻美味しいよ鰻。

 それにしても、静かに酒を飲むのはいい…最近耐性がついたのか、少しだけでは酔わなくなった。勿論、弱いという事実に変わりはなく…少しでも調子に乗れば一瞬で出来上がる。その結果、絶対に襲われることになるため、基本的には控え目に飲むのが一番である。もっとも、無理矢理飲ませてくる輩には意味がないが。

 

「そういえばみすちー、何処に住んでるの?」

「私? 私は…内緒♪ 狼戈ちゃんは…確か家を建てたんでしょう? 今度お邪魔していいかな?」

 

 相変わらずちゃん付けするみすちーに苦笑いしながらも、小さく頷いて肯定を示す。私の家は、来る者拒まずだ。勿論、害がある奴は…全力で潰しにかかるがな。白黒の狼が、ね。私達の幸せを壊す輩は…幸せ? 幸せって…何だろう。無理矢理襲われるのが幸せなのかなぁ…襲う当人が幸せそうだからいいか。

 

「やった♪ じゃ、来週辺りにお邪魔するわね!!」

「えぇ!? 随分といきなり…わかった。何か適当に準備しとくね」

 

 九尾様が蚊帳の外。

 楽しい約束をした後も、ゆっくりと、ちびちびと飲んでいく。少し期待したが私達以外の来客は無く、結局そのまま帰宅まで時間が過ぎていった。丑三つ刻…お化けが出そう、なんて言ったら本当に幽々子辺りが出てきそうなため、自重しておく。

 

「……さて、帰ったらお楽しみだな」

「…え、まさか」

「何を言っているんだ? 当然だろう? ふふ…」

 

 そっちの夜のお付き合いは全力でお断りさせていただきます。

 逃げようとする私を、九本の尾で肌が少しも見えぬ程に包み込むという力業に出る藍。当然指一本動かせない状況で逃れられるはずもなく、一室に案内される。やはり、この部屋か…

 

「さて、と…いただきます♪」

「え、ちょっ、いきなりは…ひゃあぅぅ!? い、いや、痛、そん…なぁ…ぅぅ…!?」

 

 無理矢理侵食する、太い尻尾。湿っている訳でもなく、本当に無理矢理故に、かなり痛い。快楽と痛みに襲われ、よくわからない表情と化す。四肢を縛られ、必死にもがくその様は、絵的には確実にR-18である。それに、その元凶もやられている側も少女では、もう限りなくアウトに近いアウト。結局アウトだ。この野郎。

 

「い、やだってばぁ…ひぐっ…ぅ…」

「大丈夫さ…気持ちよくなるから…ねぇ? 狼戈…♪ ふふ…」

 

 久々故に欲求不満だったのか、激しさはどんどんと増していくばかり。明日の朝…私ちゃんと立てるだろうか。足腰が砕かれたように立てない気がする。ああ、もう…私、家で寝ていた方がよかった。たぶんというか、確実に立てないよ私。

 

「ぁぅ…ぅ……」

「ん~? もうダメなのか…? だらしないなぁ…♪」

「嬉し…そうに……言うなぁ…!! ひぁ…っ」

「そんな狼は、きっちりと鍛えてあげなきゃなぁ? ふふ…♪」

 

 指で、口で、尾で…休むことを知らないその淫行に、意識が朦朧としていく。もう…どうなっても知らない。例え自我が無くなっても…それは藍の自業自得。どうにでもなるがいいさ。

 

 響く狼の色声は、止むことを知らずに続いていく。夜が明けるまで終わらない、九尾の遊戯…狼は、ただただその快楽に身を委ねるしか、出来ないのだ…。

 

「も、う…知ら、ない……やり返してやる…っ」

「っ!! それは飲むなっ!!」

 

 …狼の色声が九尾のものに変わろうが、夜が明けるまで終わらないのは一緒。

 

 ーーさて、九尾様? 椛や鈴仙、全てを含めて…お返しさせていただきますね…♪

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