黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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久々に短くなりました(-w-;)

次回は…現時点では迷っていますが…
一応、けーね先生予定です。変更の可能性ありです(0w0*)


◆ 狐火鴉の暴走 (下)

「…ふぁ?」

 

 開いた視界に写る、相変わらずの紫の寝顔。どれだけ寝ていたのか…やけに長く寝ていた気がする。それこそ、丸々一日以上寝ていたような気が…

 

「…ふぇ!? 私…十日も寝てた…?」

 

 具現化させた時計には、目を疑う数字が表示されている。一週間を越えて、更に三日…いったい、帰った時に椛になんと言われるか…

 

「…あ」

 

 …いや、椛はそこまで問題ではない。怖いのは…狐火鴉だ。最近相手を出来ていなかったし、それに引っ越し早々十日も会えない始末…加えて彼女の能力。これは本気でマズイ。最悪、私の心も体も壊れかねない。

 

「…ゆ、紫!! 起きて…ねぇ、起きてってばぁ!!」

「んに…ぅ……あら、狼戈、おはよう」

 

 おはようじゃなくって…!!

 無理矢理に叩き起こし、隙間から出せと催促する。十日も過ぎたと告げたところ、寝過ぎたわと軽く流される始末になった。軽く流されても、私が軽く流せない。いっそのこと隙間に逃げていたいところだが、長くいるとその分反動も増える。ああ、ちょっと…憂鬱だ。

 

「…お気の毒ね。送るのは自宅でいいかしら?」

「…うん。もう二度と一緒に寝てあげない」

「手触りも抱き心地も最高だったわよ? また頼むわね」

 

 無視か。

 鉄拳制裁しようかと握り拳を作った瞬間、隙間から落とされる。打った背中を擦りつつも辺りを見回せば、それは見慣れた自宅の風景。そして…倒れ伏す二匹の妖獣の姿。

 

「っ!? 藍!? 椛!?」

「ろ、狼戈…遅い……」

 

 だいぶ疲れきっているようで、ゆっくりと体を起こす二人。原因はもう聞くまでもない…怪我も何もないあたり、変に暴走してはいないようだが…とりあえず、私の命が危ういのは理解した。逃げたい…逃げられない。悪循環。

 

「ろーおーかーさーん♪」

 

 突如背後から響いた、無機質で背筋の凍るような声。一見嬉しそうに聞こえるが、その声色には恐怖せざるを得ない、特殊な波長を含んでいた。リアルに動けなくなる体に、冷や汗が滲む。

 

「私を放置して熟睡なんて…勿論、覚悟は出来てるんですよねぇ…♪」

 

 ゆっくりと、肩から胸にかけて回される腕。その上で尻尾でも包まれ、問答無用で姿は幼いものとなる。だが、その幼少化が普段のものではなく、本当に小さな姿にまで戻らされた。幼稚園児か、それ以上に低い…それこそ衣服がだらんと足れて、自然に脱げる程度には。

 無理矢理抱き抱え、二階へと笑顔のままで連れていく狐火鴉。椛と藍は止める素振りも見せない…いや、見せられないといった方が正しいか。それほど迄に、狐火鴉の放つ雰囲気は異常だった。やっと一緒に住める…その興奮を裏切られ、尚更欲が暴走しているのだろう。紫を後でどうしてやろうか。

 

「うっ…ぐ…!?」

 

 叩き付けるようにベッドへと乗せられ、肺から小さく息が盛れる。抵抗する暇もなく、狐火鴉に組伏せられた。抱き枕を抱くように、足で、腕で押さえつけ、強引に唇を重ねる狐火鴉。久々の感覚に、そのねちっこさと執拗さ、有無を言わさぬ強引なディープキスに、息吐く間もなく意識が高揚する。小さな舌に絡む、狐火鴉の熱い舌…それに加えて胸や体を、意識してか擦り付ける狐火鴉に、もう息は荒く、頬は紅く…そして体は湿っていく。

 

「あ…ぅ…っ!! やめ…んぅ…ぐ…」

「ふふ…狼戈…? 大好きだよぉ? えへへ…♪」

 

 光を無くした狐の瞳に見詰められ、意識は真っ白に染まる。力を抜こうが入れようが、その前後にあるのは快楽のみ。濡れた体に追い討ちをかける狐火鴉の舌…とても熱く、身悶えるような感触だった。

 

「いやぁ…ぁ…!! ん、ぁ…っ!! やめ…離し…ひゃあぅ!?」

「なんで…自分のものを離さなきゃいけないの? ダメだよ…ずっと…」

 

 自我があるのか無いのか、それすらもハッキリしない。喘ぎ声に重なって、狼の荒い息が部屋に響いていく。

 

「あぅぅぁ…!? らめ、ん…やめ、て…ぅ…~~~!!」

「ふふ…狼戈、気持ちいい? 苦しい? 楽しい? あはは…♪」

 

 言葉の意味が理解出来なくなる程の乱心を見せる狐火鴉。宥めることも、止めることも出来ずに、ぬるぬるとした感触を伴って侵食していく五指に声にならぬ声をあげる。小さな体に、無理矢理、強引に捻じ込まれる指はぐちゅりぐちゅりと嫌なおとをたて、一向に動きを緩める気配はない。

 

「は…っ…!! ん…あっぐ、ぅ…!!」

「まだ…全然足りない…もっと、もっと…可愛い音を聞かせてよ…ねぇ…♪」

 

 体の全てを愛撫され、舐められ、かじられ、犯され、弄ばれ、食べられて…

 耐えようのない快楽の螺旋。口も、胸も、何もかも。もうぐちゃぐちゃで、どろどろで、ぬめぬめで…自分が何を考えているのか、何がしたいのか…まったく、何も、わからない。逃げることも終えることも出来ない…心が壊される寸前まで、ずっと。

 

「ほら…鳴いて? 狼の遠吠えを…もっと、いっぱい。ね…♪」

 

 

◇◆◇

 

 

「狼戈…狼戈!!」

 

 意識の中で反響する叫び声に、自分でも驚く程ゆっくりに視界が開く。自分の状態は…息が荒く、心拍数も早い。熱は…あるだろうか。

 

「…よかった、起きた。大丈夫?」

「ん…ぐ……た、多分…っ!?」

「狼戈!?」

 

 慎重に起き上がったつもりが、上半身を起こした瞬間立ち眩みのような症状に襲われ、あえなくベッドへと逆戻りする。その反動で、部屋の隅でうずくまる狐火鴉の姿が見えた。

 

「…狐火鴉。此方に来なさい」

「・・・・・・」

 

 無言でゆっくりと立ち上がり、下を向いたまま私の隣へと歩み寄る狐火鴉。顔を逸らし、目は虚ろで、尻尾は微塵も動かない。私が自分の間隣に手をやると、少し迷ったような素振りをした後に、恐る恐るといった感じでその手の場所に座った。

 

「…狼戈さん、私…っ!?」

「…ごめんね、狐火鴉」

 

 涙で瞳を滲ませていた狐火鴉を、問答無用で抱き寄せる。ただ呆然とする狐火鴉を強く抱き、ぽんと背中を撫でた。

 

「あの事件以降、まともに相手出来たの、少なかったからね…。前も椛が一緒だったし。

 引っ越し当日から私がいないんじゃ…ね。本当にごめん」

 

 狼戈は悪くないのに…そんな表情でまたも視線を逸らす狐火鴉を、更に強く抱き締めた。勿論、彼女が何も悪くないとは言わない。自制が出来ず、欲に溺れていたのも事実だ。…その原因も私にあるのだが。今更ながら、この体質…なんとか治せないだろうか。今のところ、人間、又は異性に、性的に狙われたことはない。つまりは、同性かつ人外に襲われる。何よりの救いは、異性からのそういうことがないことか。勿論その時はその時で、私とて手加減できずに消してしまうだろうけど。

 

「…狼戈さん…悪く…ないです…痛い!?」

「そう言うと思った。でも、変な約束した…させられた? のも私だし…」

 

 片言に話す狐火鴉の頭を、少し強めにぽんと叩いた。約束か…紫三分クッキングでもするとしようか? 本気で戦うとなると、正直かなりの長期戦になると思われるが。相手は遥か化け物…私の強さがいまいちわからないけど。

 

「…大丈夫。これからはずっと一緒だから…ね? 椛」

「…うん、勿論」

「狼戈さん…椛さん……ありがとう…ございます…う…ぁぁ」

 

 元々瞳はうるうるとしていた狐火鴉だったが、遂に泣き出してしまった。苦笑しながらも再度抱き締め、頭を撫でる。確かに腕の中にある、暖かい温もり…このまま泣き止むまで、ずっと一緒に…。

 

 

「…やっぱり、いつでも狼戈さんはお人好しですね」

「うるしゃい」

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