黒狼狐己録 -Life Harboring-   作:ふーか

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WARNING♪

性的な描写、単調。
本編と関係なし。アウトに近いセーフ。

以上、ご留意くださいませ。


"番外編" 狼の淫行
▼ 狼の暴走


 ぽかぽかと暖かい、とある春の昼下がり…家の中、何やら紅い黒狼一匹。

 

「ふ…ぁ…」

「…狼戈? 大丈夫?」

 

 椛の問い掛けにも、虚ろに返事をするばかり。何故だろう…? 昨日から感情が安定しない。精神の暴走とは違う、よくわからない何か。体は火照るし、意識も少し朦朧とする。例えば、以前の椛みたいな…

 

「体が熱くて…よくわかんないよ…」

「…春だし、発情期かなぁ?」

 

 椛に言われて初めて気付く、地底では普段から相手をしてきた患い(?)。自分自身がなることもあったが、ここまで表に出ることは初めてかも知れない。それ程までに感じる違和感。椛ですら私の姿に首を傾げる程なのだ。普通なはずがあるまい。

 

「ねぇ、椛…ちょっと…来て」

「え? あ…うん」

 

 素直に近付いて来た椛を、腕が届く範囲内に入った瞬間に強引に、無理矢理に抱き寄せる。目をぱちくりさせながら私の顔を見てくる椛を気にも留めず、唇を奪う。

 

「ん…っ!! ろ、狼戈…っ」

 

 耳に入らぬ椛の制止。卑猥な水の音が響く部屋で、ただ一心不乱に貪り続ける。正常だった椛の顔も段々と紅を帯び始め、抵抗も力無いものとなっていた。

 

「や…めっ…」

「椛…ふふ…♪」

 

 嫌がる(?)椛を抱き締める。媚薬を呑んだ記憶はない…完全な自分の意志。止められるはずなのに止められない、狼の発情…止めようがなかった。

 

「ひぁぅ!? い、いや…んっ…!!」

 

 ベッドへと押し倒し、両手を押さえつけ、足を組んで無理矢理拘束する。湿った椛の中へと、するりと指を入れていく…色めいた喘ぎ声を上げる椛はとても愛おしく見えた。

 

「ふぁ…っ!! ら…めらって…」

「大丈夫だよ…ね…?」

 

 掻き回し、舐め回し、ただひたすらに、快楽で染めていく。ほぼ抵抗すらしなくなり、荒い息のまま逃げようともしなくなった椛の腹上へ跨がり、淫らに微笑む。

 

「えへへ…もっと…遊ぼう?」

「っぁ…ぅ」

 

 無意識に宿すのは植物。姿を変える私を、光の無い細い瞳で椛が見つめる。うねる蔓の触手に、椛が少し退いた。

 

「いた…い…っ」

「すぐ気持ち良くなるよ…あは、ははは…♪」

 

 既に自我のない体。太めの蔓に侵食され、椛が身を捩りながらもただ喘ぐ。蔓に羽根、尻尾に体躯、多種多様な責めに、椛が喘ぎ声すら出せなくなった頃、部屋の扉ががちゃりと開いた。

 

「…あ」

「ん…こ〜こあ〜…こっちおいでよ…あはは」

 

 見てはいけないようなものを見たような顔をする狐火鴉に手招きし、淫らに笑う。明らかな異常事態に困惑しつつも、狐火鴉はゆっくりと歩み寄ってくる。伸ばした手が触れた瞬間、感じる脱力感。能力を使われたようで、体が縮んでいく。

 

「…あ〜あ。宿すが使えなくなっちゃった」

「っ!? んぐっ…!!」

 

 椛と同じように引き寄せてベッドへと押し倒し、押さえつける。能力を使えば収められると思ったのだろうか…甘いよ…可愛い狐ちゃん?

 

「いやっ!? い、いた…痛い…で、す…っ!」

 

 衣服を無理矢理脱がせ、微塵も濡れぬ狐火鴉の中へと尾をねじ込む。少しの快楽を伴う痛みを受けて身を捩る狐火鴉だったが、私に抱き締められて無意味と化した。私が抱き締めているのは胸辺りで、狐火鴉の腕は自由…いざとなれば引き剥がそうとは出きるはずだが、それをしないのは…彼女自身もこの状況を望んでいるからなのかも知れない。

 

「はふっ…ろぉか…さん…」

 

 息を荒げ、頬を紅潮させながらも何処か幸せそうな狐火鴉の表情。隣で撃沈している椛すらもう視界に入らぬようで、自ら望むように縋って、誘ってくる。それを裏切る理由や意味など何処にもなく、望まれるがまま、望むがままに、快楽という一色に染めていく。もっと、遊んで、虐めて、弄んで…声が枯れるまでナかせて…

 

 

◇◆◇

 

 

「…紫様、どういうおつもりで?」

 

 ちょっと様子を見て来てくれる? そう言われるがまま覗いた狼戈の部屋は、目も当てられぬ状態だった。紫のことだ…きっと何かしたに違いない。そう考えて問い詰めてはいるが…紫は涼しい顔、何かされたかも知らない本人は幸せ(?)だったし、強く言えないのが現状だ。

 

「ちょっとね…狼戈の境界を悪戯したの」

 

 さらっと告げる犯行の正体。私が口を挟む間もなく、紫は言葉を連ねる。

 

「彼女自身、やられっぱなしで色々不満みたいなのよ。

 悪戯は…本当になんとなくなのだけれど」

 

 悪びれた様子で動機を告げる紫。溜め息を吐く私に、紫が苦笑した。

 

「…早く治してください」

「別に構わないけど…本当にいいの?」

 

 一瞬、言葉の意味が理解出来ず、固まる。つまり、治すか治さないか、ということか。当然、治すに決まっているではないか。一体何を考えているのか…

 

「治します。そもそもなんでそんなことを」

「貴女も相手をして欲しいんじゃないかしら、藍」

 

 僅かに浮かんだ的を射る、的確な紫の言葉。狼狽する私を見てにやりと微笑む主には、やはり適うことなどなく。

 

「…だったらなんですか」

「素直になりなさいな。ふふ」

 

 目の前に開かれた隙間。認めたくはない…でも、認めるしかない。深い深呼吸ひとつ…紫を一瞥し、その隙間へと身を滑らせる。

 

「…狼戈?」

「…ご主人さまぁ…♪ 私とあそびましょぉ?」

 

 これが狼戈だと告げられれば、俄には信じがたい狼戈の状態。頬を染め、誰のものかもわからぬに塗れて。服は着たままだが…誘い込むように仰向けに寝転がり、誘惑してくる。淫らな笑みを携え、小さな牙を覗かせて。

 先程の状況を見る限り…誘い込んで襲う気だろう。もし避けても…彼女にターゲットにされたのなら。逃げる術はない…それは、身をもって体験しているかとだった。現状の彼女に誘われた今…選択肢は少ない。逃げるか、身を差し出すか…どちらにせよ、きっと結末は変わらないが。

 

「ほら、早く来てくださいよ…痛いことなんてしませんからぁ…」

 

 わざとらしい敬語に、そろそろ襲いかかって来そうな狼戈の声色。一歩踏み出せば、まるで巣にかかった獲物を見る蜘蛛のように瞳孔が細くなった。今更…引き返せない…

 

「…落ち着け、狼戈」

「何言ってるんですかぁ…私は普通ですよ? ふふ…」

 

 建前だけの制止は容易くあしらわれ、狼戈の尻尾が不規則に揺れ始める。

 

「狼戈…っあ!?」

「遅いですよ、ご主人さまぁ…♪」

 

 何をされたのか…まったくわからなかった。ぎりぎり尾が届かぬ範囲へ近付いた瞬間に、私の体は、床へとねじ伏せられていて…背後から感じる甘い吐息と、蛇のように絡み付く尻尾。正面に居たはずの狼戈に、背後から抱き締められていた…警戒していても、目視すらままならぬ速度。どうしようもなかった。

 

「遊んで欲しいんですよね…素直に来ればよかったのに…もう、離さないよ」

「っぁ…!!! ぐ…ぅ…」

 

 骨が軋み、悲鳴を上げる。吐血しようかという強さで抱き締められ、声にならぬ悲鳴をあげた。

 ふと、狼戈が腕と尻尾を離した。痛みから解放され、無意識に部屋の隅へと逃げる。獲物が逃げたというのに、ただ微笑むばかりの狼戈は、恐怖しか感じられないものだった。

 

「何を…っ」

「獲物はね…いたぶって、弄んで…恐怖を植え付けてから食べるんだよ。

 さぁ…逃げてよ。鬼ごっこだよ…捕まったら、どうなるのかな…あっははっ!!」

 

 狂気。今の狼戈からは、それしか感じられなかった。彼女自身がもつ、誰かを思う優しさや想いという“リミッター”を外されて、表に出るのは狡猾な狼の本性、そして、欲。今の狼戈は狼戈じゃない…紫に治して貰わなかったことを後悔しつつも、逃げるべく痛む胸を押さえながら障子の扉に手をかける。

 

「…あ、あれ…?」

 

 開かぬ扉。背後で笑う可愛らしい悪魔。八雲の館だというのに…開かない。やっと理解した…この鬼ごっこという、名ばかりの狼の遊びは、彼女が獲物を弄ぶためだけの戯れだと。結界でも張られているのか、少し押した程度ではびくともしない。

 

「……」

 

 …扉など、後で直せばいい。

 手中に渦巻く灼熱の業火。最大火力まで上げ、声を上げて放つ、特大の呪術。周囲を包む熱気に、赤に染まる扉…

 

「…そんな…っ」

「そろそろ…捕まえようかなぁ…ふふ」

 

 扉も、床も、天井も。完璧な無傷…受け入れがたい事実に、追い打ちをかける狼戈の言葉。

 

「開いてくれ…っ」

 

 どれだけ力を込めようが、扉が開く気配はない。溜まっていくのは疲労ばかり…

 

「…ふふ」

 

 狼戈が微笑みを浮かべた次の瞬間、開かなかった扉は勢い良く開かれる。唐突な事態に驚く間もなく、少しでも距離を離すべく駆け出した。

 

『…もういいかい』

 

 低く、背筋の凍るような声。同時に眼前に現れた少女に、もう諦めるしか…出来なかった。

 

「ふふ…離さないって言ったよ。なんで逃げるの?」

「ろ…狼戈が逃げろって言ったんだろう…っ」

「…ふふ、まぁいいや。捕まったらどうなるのか…教えてあげるよ」

 

 …逃げる時間など、与えなかった癖に。

 狼戈の爪が衣服を一瞬で切り裂き、晒される裸身に体が震える。今の狼戈は狼戈じゃない…ならば。このまま殺されたり、食われたり…そんなことが、容易に有り得る。或いは、死より恐ろしいことが待ち受けているのかも知れない。でも…私に、抵抗する術はない。

 

「やめてくれ…ろう…か…っ」

 

 私の乞いなどお構いなしに、抱き締めら、舌を這わせる狼戈。痛みと柔らかい感触に、身悶えることすら出来ない抱擁。

 

「っあ!? ん…ぁ…っ!!」

「ふふ…もっと、鳴いて?」

 

 無理やりねじ込まれる、狼戈の小さな手。皮膚や細胞を裂かれるような鋭い痛みに、伴う快楽。狂わせるも喰い殺すも、全て彼女の自由で…

 

「ふぁ…ぅ…」

 

 さほど時間も経っていないのに、感じる快に感覚と感触に力が抜け、意識が虚ろになる。正直…何にでもなればいい。もう狂い始めた思考は、そう考えるようになる。自分を包む心地良い黒尻尾に身を委ねて、されるがままに…

 

「んぐ…ぅ…っ!?」

「…ろぉか…?」

 

 突然、狼戈が飛び退くように離れ、呻き始める。いきなりすぎて状況を理解しない頭に、苦しそうな狼戈。無理矢理上半身を起こし、狼戈を抱き寄せた。

 

「うぅ…? 私…何を…」

「…戻ったか…狼戈…」

 

 どうやら、境界を戻されたらしい。私を見るなり小さい悲鳴をこぼす狼戈に、虚ろな瞳で告げる。

 

「…記憶は?」

「……ない」

 

 心配そうに、申し訳無さそうに告げてくる狼戈の瞳孔は丸く、可愛らしい瞳へと戻っていた。体の臭いと状況を見て、全てを悟る狼戈に、無理矢理に作り笑いを見せた。

 

「狼戈は…悪くないさ」

「でも…藍、震えてるもん。私…何を…っ!!」

 

 涙を滲ませ、抱き付く狼戈。後で紫様にどう告げようか…そんなことを考えながら、先程の面影が微塵も感じられない、暖かい抱擁に身を委ねる。

 

「もうちょっと…このままで」

 

 

◇◆◇

 

 

「……帰りたいけど帰れない」

 

 自分の家であるはずの建物を前に、一匹で立ち尽くす。元凶や、原因も、すべて聞いた(紫は全力で殴っておいた。妖気無しの為涼しい顔をしていたが)。だが…私は椛と狐火鴉まで襲い倒したのだとか。帰ったらどうなるか…やめておけと本能が告げている。家の前をうろちょろと…

 

「あ、お帰り! 狼戈!!」

「あ…うん、ただいま…」

 

 突然開く扉、笑顔で迎える椛。ちょっと待って、訳がわからない。

 

「…お帰りなさい、狼戈さん」

「た、ただいま…」

「ねぇ、狼戈? お腹空いたよね。何か作るよ」

 

 怖い。果てしなく怖い。今すぐ八雲家に逃げ帰りたい程度には怖い。

 

「…どうしたんですか? 浮かない顔して」

「い、いや…なんでもない…」

 

 鼻歌混じりに料理に取りかかる椛に、何も知らないような顔で問いかけてくる狐火鴉。(自分だけ)気まずい雰囲気になり、部屋に逃げようかと考え始める。

 

「…何処へ行くつもりで?」

「い、いや…一回寝ようかなって…」

「今、布団は洗濯中ですよ? 酷い臭いでしたし」

 

 …やはり、夢ではないらしい。私は、この二人を…

 

「…何が起きたの? 記憶がないよ…」

「…全部、藍さんから聞きました」

 低い声色の狐火鴉に、小さく頷く。私が何をしでかしたのか…それを知りたくて。

 

「無理矢理押さえつけられて、嫌がっても無理矢理犯されて…」

 

 椛の手が、ピタリと止まる。罪悪感と同時に込み上げる涙に、狐火鴉が視線を逸らした。媚薬を使うときは、基本流れで仕返しの為にやるから問題はない。だが…今回は訳が違う。境界を弄くられたとはいえ、私は私の意志で、狐火鴉達を…

 

「ごめん…なさい…私…っ」

「…気にしなくていいです。普段私達が狼戈さんにやってることですし…」

 

 慰めなのかよくわからぬ言葉を聞き、涙が落ちる。気付けば背後に居た椛が優しく私を抱きしめ、優しい声色で告げる。

 

「それに、ちょっと嬉しかったよ」

「…椛の変態」

「失礼なっ!!」

 

 笑みが零れるリビング。あたふたと料理を作る椛を眺め、出来上がったご飯を食べて…時刻は夜になり、月光が当たりを照らし始める。この時…気づくべきだったのだろうか。この二人が…易々と私を逃すはずがないと。

 

「お風呂入って寝よう…ふぁぁ」

「そうですね…でも」

「まだ入る訳にはいかないよね」

 

 言葉も無しに体を襲う浮遊の感覚。気付けば柔らかいベッドの上へと、狐火鴉に組み付かれたままで倒されていた。背後から抱き締めるように拘束する狐火鴉と、にやりと笑う椛にもがく。

 

「さぁ、狼戈さん。昼間の分…しっかりとお返ししないといけませんね」

「倍返しで…気持ち良くさせてあげるから…ね」

「そんな…ひぁう!!?」

 

 前後から受ける快楽。全身を愛撫され、唇を奪われて、犯されて…一瞬で力が抜ける体に、虚ろな目で椛の瞳を見据える。いくら仕返しでも…こんなの、酷いよ…っ。

 

「いや…っ!! ひ…ぁ…ぁっ!」

「もっと鳴いて貰って結構ですよ…いや、鳴いてください、ろぉかさん…ふふ♪」

 

 響く痛みと快楽を伴う悲鳴。動けないままで、疲労はただ溜まり続ける。力が抜けて、やられて、また力が抜けて…幾重に続く快楽の波に飲まれ、微かな喘ぎ声すらも出なくなる。力も入らない…人形のように、ただただ生気を吸い取られながら…

 

「夜が明けるまで…絶対離さないよ」

「ふふ…沢山、遊びましょう?」

 

 気を失おうが、狼と狐の淫行は終わらない。もう何も考えられない頭…どうすることも出来ないまま、身を委ねるのだった。

 

 

 

「…どっちにしろ、目も当てられない状況だったな」

「ん〜…? どうかしたんですか? 藍様」

 

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