黒狼狐己録 -Life Harboring- 作:ふーか
…その更新が、性描写回っていうね(苦笑)
相変わらずですが、苦手な方はご注意を。
「なんか変な力を感じると思ったら…ま~たサボってるよこの死神は」
「まぁまぁ。此処が一番快適なのさ」
お陽様ぽかぽか昼下がり。ふと屋根の上を見てみれば、まるで自分のものだと言うように寝転がる死神一人。今度から屋根に油を塗るのが良いかも知れない…いや、まきびしでも撒いておくか? マタタビは…一部の妖獣にしか効果がないな。
「んなことしてると、また閻魔様にお説教されるよ。なんなら私が叩き落とそうか」
「え~…いいじゃないか、ちょっとくらい」
文句を言いながら上半身を起こす小町に、溜め息を吐きながら手を差し出す。立ち上がらせた後に、まさか本当に閻魔様が来たりしていないだろうかと周囲を見渡す。居ないことを確認してから引きずり落とし、家の中へと放り込んだ。
「…おや、追い出すんじゃなかったのかい」
「屋根に死神が居たら変なものが憑いてる家って思われるでしょうに。ゆっくりしてくといいわ」
「変なもの…酷いねぇ」
死神が変なものじゃなかったら何が変なものだと言うのか。
適当なお茶と茶菓子を出した後、昼だというのに未だに寝ているであろう椛と狐火鴉を起こしに二階へ向かう。先日彼女らが言った通り、まだ襲われることはない。昨日やその前の晩だったり、気ままに話ながら楽しく寝れたのは、とても新鮮に感じた。今思えば、この家に住んでから寝る前に弄ばれていない日の方が遥かに少ない。新鮮に思えるのも頷ける。
「椛、狐火鴉起き…てるじゃん。ほら、とっとと着替えなさい」
「んにゃ…きがえる…ふぁぁ…」
「うにゅ…ぅ」
…駄目だこいつら。
二度寝を始めた狐火鴉の尻尾にダイレクトアタックした後、再度一階へと戻る。背後から力の抜けたような喘ぎ声が聞こえたが、恐らく私は何も関与していない。粗方椛が狐火鴉に悪戯でもしたのだろう…まったく、元気なことだ。自重という言葉を知らないのだろうか…
「…皆揃って元気だねぇ」
「騒がしいの間違いだね。此処に九尾とか鬼とか加わると収拾つかないよ」
小町の隣に座り、深い溜め息を吐く。性的な意味で関係を持つ者は…基本的に地底にしか居ない上にあれ以降ねだられていない勇儀や、希にしか襲おうとしない紫辺りはまだいい。藍に橙、萃香やこいし他諸々。頻繁に来る癖に、自重することがない。襲えなければ襲われようとすることもあるし…発情の相手が違うと何度言えばいいのだろう。もし私が男だとしても、種族的な問題で子など成せぬというのに。女でよかったと切に思う。この体質でかつ男で、この世界に放り込まれたらどうなるか…嫌でも想像がつく。恐ろしい…
「本当に顔が広いね。まだ会ってない妖怪とか人間とか居るのかい?」
「そりゃあ居るでしょ…あの狸さんとか、鼠さんとか、虎さんとか…」
よくよく考えれば、結構偏っているものだ。今度、やっほい♪ などと言いながら会いに行って…やめよう。どう考えてもただの恥さらしにしかならないはずだ。
「ま、私は皆を大切にする人なら誰でもいいよ。逆は潰す」
「声が本気ですよ狼戈さん…くぁぁ…眠い…」
「狐火鴉は朝に弱いね、いっつも」
ーーあ~、椛さん。ブーメラン刺さってます。
普段着に着替えて降りてきた二人に生返事しつつ、ぐっだぐっだと小町に愚痴る。たまには吐き出しておかないと体も心ももたない…さとりに教えて貰ったことをただ実行してみているだけだが、実際共感されたり他方からの意見を聞くと、意外にも精神的に落ち着くものだ。溜め込み過ぎるのはよくない…前世でそれが出来ていたのなら。私の世界は…変わっていたのかな…
「…ま、私は皆と一緒に居られるならなんでもいいや。まだ三途の川なんて渡りたくないし」
「ははっ、お前さんを運ぶのはまだまだ先だよ」
微笑む小町に微笑しつつ、隣に座ってくる椛に視線を移す。基本的に使うのは私と椛、狐火鴉のダイニングテーブル。四人座れる分の椅子しか置いていないが、いざとなれば具現化でなんでも出来る…でもまぁ、魔理沙が起こした軽い異変のような事件の時、萃香が萃めた時は外でやってたし…問題はないかも知れない。最悪、フル稼働すれば家の一軒や二軒、余裕で建てられると思うけど。
「…小町の仕事って、ストレス溜まったりしないの?」
「しないよ。色々語るのは楽しいさ」
「…仕事してると欲求不満にならない?」
余計なことを告げる椛を、軽く横目で睨む。恐らく意図しての発言…襲わないという約束(?)をまだ守ってくれているのは嬉しいが、これでは正直意味がない。相手が変わるだけで、ほぼ。
「まぁ…なるかもねぇ…お迎えの死神とかは特に」
「じゃ、狼戈連れて何処か行ってきたら? なんなら私達が出てくけど」
明らかに誘導するような発言。冗談も抜きで、そろそろ本気で怒ろうかと思い始める。女の武器は涙…そうは言うが、私は基本的に嘘泣きしない。我慢して、我慢して…最終的に爆発するタイプ。だからこそ私が涙を見せると、基本的に全員が焦って慰めたりする。正直、最近の状況下…自分の感情に任せて暴走しても、私に非は無い気がするんだ。
「ん~…私としてはまったり出来るなら何処でもいいんだけどねぇ…?」
「…狐火鴉、一緒に行こっ。ヤマメとお酒でも飲もうよ」
「はーい…パルスィさんも誘いましょー」
気付かぬ間に、椛も地底に馴染んでしまっているようだ。地底の中で私がかなり有名になってしまっている(勇儀に勝った上に仲好く何度も話していたら嫌でも覚えられる)ため、その私の仲間として行っているのだ。馴染みたくなくても馴染んでしまうだろう。でもまぁ…今行かなくても良いのではないか。小町が浮かべる微笑みは変わらないが…
「…行っちゃった。寝癖も無さそうだったけど、もうちょっと支度してから行けばいいのに」
「まぁいいんじゃないかい? 狼戈と二人きりの状況なんてなかなかないしさ」
ずいっと顔を近づける小町に赤面しつつ、膨れっ面で視線を逸らす。廻りに人が居なくなった時に皆積極的になるのは、まぁ仕方のないことだろう。私の体質も相極まって…。
「…言っとくけど。夜以外は受け付けないわよ」
「椛からは今すぐにでも襲って良いって聞こえたんだけどなぁ…」
やはり小町も別の意味で聞いていたらしく、にやにやと笑いながら寄ってくる。隣の椅子に座ってくる小町に溜め息を吐き、口を開いた。皆同じような反応をする…にやにやと笑いながら、近寄ってきて言いくるめてから襲おうとするんだ。どいつもこいつも…
「…はぁ。もういいよ。私は上で寝て…っ…!?」
「ん…たまには…強引でもいいんじゃないかい?」
椅子から立ち上がって背を向けた瞬間、椅子を巻き込みながら押し倒される体。体勢を立て直す間もなく背中に跨がられ、抵抗する術をなくす。たまにはというが…私はいつも強引にやられているのだ。これ以上は…もう、要らないのに……
「んぅ…っ!! やめてよ、こんな真っ昼間から…!」
「いいじゃないか…ふふ…っ」
優しく、そっと包むような包容。死神の淫行から涙目になりながら逃げようとする。身を捩っても、もがいてみても、説得しようとしてみても……どうせ慣れたこと。そんなことはわかっている。だが…皆、私の扱いがおかしすぎるんだ。
「や…ぅぅ…」
「大丈夫さ…痛くは…しないから…」
冷たい死神のイメージとは違い、暖かみのある指が体をなぞる。背中に乗られるという極めて希な状態に困惑しつつも、どうにか逃げられないかと身を捩る。ただ撫でられただけでも抜ける力にもどかしさを感じながら、必死に手足を動かした。
「ひぁあ!? や、やめっ…!! あぁ…ぅ…っ!!」
「本当に……可愛いねぇ、狼戈ぁ…?」
蹴ることは出来ない。腕でも退かせられない。どうすることも出来ない状況下、服の中にまで入り込む手のひら。ゆっくりと掻いて、擽って、なぞって…もう力が入らなくなった体を無慈悲に襲う快楽に、ただひたすら身悶えて、泣いて、鳴いて。意識の高揚と、力を失う体に、小町は満足そうに笑う。濡れた指を舐めながら私から降りる小町をうるんだ瞳で睨みつつ、椅子を支えに無理矢理立ち上がった。足を伝う液体に気持ちの悪さを感じる…出来ることなら、今すぐにでも風呂へと向かいたい。
「は…ぅ……っ。酷い…よ…」
「ふふっ……次は…どうしてあげようか?」
まだやる気か…更に強く睨みつけても、一切気には留めないようだ。もう無視をして部屋に行こうと歩き出した瞬間、浮き上がる体。抱き締められた体は身長差故に浮かび上がり、ぶらりと手足は投げ出される。
「な…何すんのさ…!?」
「決まってるじゃないか…まだ、終わってないよ」
「っ…!? あぅ…ぁ……離し…ひやぁ…ぁ…!!」
突然始まる全身愛撫。撫でられ、擽られ、揉まれ、押され…床に寝かせられたその次の瞬間には腹上に跨がられ、逃げ場をなくす。息も荒い、顔も赤い、涎すら拭うことも出来ず、肌を伝って落ちていく。びくびくと震えながら怯えた顔をする私の反応を見て楽しんでいるのか、小町は何もしようとせずにただ眺めている。彼女がいつから生きているのかは知らないが…自分より遥か小さい女の子を押し倒すのは…どんな気分なのだろうか。
「離…して……ねぇ…んっ…!!」
「どうしようかなぁ? まだまだ遊び足りないんだけどねぇ…」
肩に押し付けられる小町の両手。吐息すら当たる距離にまで近付けられるその表情に、赤面しながら顔を逸らす。ふと、小町がにやぁと淫らに笑い、手を後ろ手に回す。嫌な予感は一瞬で的中し、全身を廻る快楽の電撃に高い喘ぎ声を上げながら大きく見悶えた。
「きゃうっ!? や…ぁ……ぁぅ…!!」
「もっと…鳴いておくれよ。可愛く、綺麗にさ……ははっ♪」
制止も、声も、涙も…小町の耳には届かない。思考を放棄し始めた頭のままに身を委ね、ただ終わるのを待ち続ける…。足腰が崩れるまで…深夜になるまで、その淫行は続いていくのだった。