ハリー・ポッターという恐ろしい世界で   作:リクタスセンプラ

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この話は、どうしてこうなった\(^o^)/と思いながら読んで頂けると嬉しいです。


第二話  ダイアゴン横丁で 前編

 ダイアゴン横丁から少し離れたところにある待ち合わせの店に行くと、既にマルフォイ家が待っていた。

 予想外すぎた。このような状況を作らないために、待ち合わせ時間の三十分前に来たというのに、マルフォイ家はそれよりも早く来ていたのだ。

 父と母は吃りながらマルフォイ家に何度も謝罪した。マルフォイ家は桁違いの権力を持っているのだから、両親が怯えるのは仕方が無いことだ。俺なんて体をガチガチにして時間が過ぎるのを待つしか出来無かった。

 

 

 

 「ダレン、久しぶりだな。大体一年ぶりか?」

 

 両親と挨拶を終えたルシウスが、ドラコと話していた俺に声を掛けた。

 

「お久しぶりです、ルシウスさん。そうですね、そのぐらいになりますかね」

「随分と会っていなかった気がするぞ」

 

 ルシウスが笑いながら俺の肩を叩いた。

 ーーむしろ会い過ぎだよ。八ヶ月前に会ったばかりだよ。

 

「息子はこの日が待ち遠しかったようだ。寂しがっていたよ」

「父上!」

「本当のことだろう?」

 

 ドラコが不機嫌な顔で呻いた。

 

 手紙をやたらと送ってくるくらいなのだから、本当にドラコは俺と会うのを楽しみにしていたのだろう。友人というよりも取り巻きとして認識していると思うが。話をしにくいクラッブとゴイルと年がら年中一緒にいるようだし、会話がスムーズにいく俺を求めるのは自然の原理なのかもしれない。

 

「俺もドラコと会うのを楽しみにしていましたよ」

 

 嬉しそうに笑うドラコを横目で見ながら、俺がドラコを喜ばせているのも問題なのかもしれないと思った。ドラコの背後の存在を気にしてしまうから仕方が無いことなのだけど。

 

「……嬉しい言葉だ。ーーダレン、君はドラコと一緒に制服を仕立てに行って欲しいのだが構わないだろうか? 我々は教科書や教材を買いに行こうと思っていてね」

 

 ルシウスは離れた場所で話している大人たちをチラリと見ながら言った。

 

「勿論、良いですよ」

 

 子供がいない方が教科書や教材を購入する時に効率がいいと判断したのだろう。原作でもドラコが服の採寸をしているときにルシウスとナルシッサが買い物をしていることが書かれていたし。

 大人たちがいないのであれば、洋装店に行く時間をずらしハリーと遭遇しなくてすむかもしれない。これは嬉しい提案だ。

 

「ありがとう。制服を仕立て終わったらここに戻って来てくれ。その後杖を買いに行こう」

「わかりました」

 

 俺の返事を聞いたルシウスは満足げに頷くと、両親たちの方に歩いて行った。

 ルシウスが離れるのを確認した俺は、ドラコに尋ねた。

 

「すぐに洋装店に行くんじゃなくて、色々な店を廻ってから行かないか?」

「えっ、先に行くんじゃないのか?」

 

 俺の提案にドラコは戸惑っていた。十一歳という幼い歳なら好奇心を優先すると思っていたのだが、予想外にもドラコはしっかりとしているようだ。

 

「時間はたっぷりあるから大丈夫さ」

「そうだな……。店を廻ってから行こう」

 

 ドラコは若干悩んでいたが、結局は俺の提案を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「やっぱり一年生がホグワーツに箒を持ち込んじゃいけないってのは、理由が分からないね」

 

 ドラコがショーウィンドウに飾られたニンバス2000を見つめながら呻いた。

 

 ーー確かに理由が分からないよな。

 ショーウィンドウに鼻を押し付けて騒いでいる子供を見ながら思った。

 危険なスポーツであるクィディッチを一年生にはさせたくないからなのか、マグル出身の子供と魔法界出身の子供の差を少しでも小さくしようとしているからなのか。禁止する理由が何かしらあるのだろうが、それがハッキリされていない以上子供が不満を抱くのは当然だ。ドラコのように自分に才能があると思っている子は特に。

 

「ダレンは箒が欲しいとは思わないのかい?」

「欲しいけど、今欲しいとは思わないな。」

「どうして?」

「そりゃ、俺に選手としての才能が無いからだよ」

 

 高所恐怖症という訳ではないのだが、上空で一本一本性格がある箒に跨がっていると、どうしても自分の命を箒に握られていると考えてしまい、冷や汗をかいてしまう。その気持ちは跨がっている箒に伝わってしまうので、上手く飛んでくれなくなってしまう。才能が無いうえに、箒をトップスピードにすることができない俺は選手として致命的だ。見る分には好きなんだけど。

 そもそもクィディッチはハリーの活躍場所であると同時に、様々なストーリが関わる場所だから入り込みたくない。

 それに一年生から自分の箒を持ち込んだら注目を集めてしまう。これはもう遅いかもしれないが……。

 

「そうなのか……ダレンは何でも出来ると思っていたから、クィディッチの才能もあると思っていたよ」

「完璧な人なんていないさ」

 

 俺には勉強の分野でアドバンテージがあるが、それ以外は普通だ。むしろマイナスの可能性がある。

 

「……そうだよな。ーーなぁ、そろそろ洋装店に行かないか?」

「えっ、もう行くのか?」

「もうって、結構な時間が経ったぞ。それに父上に早めに終わらせておくように言われていてね。僕は制服だけじゃないから終わるのが遅いんだ」

「そうだよな。じゃあ、行こうか」

 

 暇な時間を潰すという名目のもと、色々な店に入って商品を物色したおかげで、かなりの時間が経った。ハリーは既に制服を作ったと思うし、顔を合わせることはないと思う。

 ドラコを嫌いになる出会いであるけれど、それは後々十分に知ることになるのだから無くなっても大丈夫だろう。身内以外の連中からすれば、ドラコはめんどくさくて煩わしい存在なのは確かなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 僕は顔の知らない少年のことが嫌いだった。天才だという噂が流れているダレン・ディヴィスが嫌いだった。マルフォイ家よりもレベルの低いディヴィス家の子供が注目を集めているのが気に入らなかった。 

 

 父上がダレンのことを家に招待すると聞いたとき、僕は耳を疑った。噂はあり得ない内容のモノばかりで、嘘に決まっているのに。

 ダレンが家にやって来る日、僕は二階の窓から門をずっと見張っていた。噂の人物がどんな顔をしているのか見てやろうと思って。

 驚くべきことにダレンは一人で家を訪ねてきた。馬車の従者はいたが、親同伴ではなかった。この段階で僕は、ダレンが只者ではないことに気がついていた。

 

 ダレンとの初めての顔合わせは、本当に僅かな時間だけだった。客間で母上と挨拶しただけで、その後すぐに父上に追い出された。

 父上と相対するダレンはまるで大人のようだった。息子の僕でさえ父上に臆するのに、ダレンは堂々とソファーに座っていた。

 僕はダレンとの差がどんどん広がっていくことに気がついた。そして、あり得ない噂話が本当であることにも気がついていた。

 

 ダレンは父上と一、二時間ほど話した後、夕食を食べて帰って行った。夕食の間、何度も話しかけようとしたが、臆してしまい、どうしても話しかけることができなかった。

 家の格では僕が圧倒的に上だ。だけど他の要素では圧倒的にダレンが上だ。嫉妬とは違う黒い感情がドロドロと溢れ出てくるのを感じた。

 

 だけどダレンは、一瞬でその感情を消してくれた。勝手に比べ、勝手に負け、勝手に沈んだ僕を救ってくれたのだ。

 

 ダレンが帰った後、父上が教えてくれた。ダレンは僕を褒め称えてくれたそうだ。

 僅かな時間しか会っていないのに、ダレンは僕の長所を見つけ出したのだ。父上が言うには的確だそうだ。ダレンは僕をしっかりと認識していてくれた。

 

 父上は遠い目をしながら言った。彼はカリスマだ、と。

 確かにその通りだと思う。一瞬で僕を惹き付けたダレンは確かにカリスマ性を持っている。

 

 それから僕はダレンに手紙を送るようになった。どうしてもダレンと仲良くなりたかったのだ。

 ダレンはどんな手紙でも返事をしてくれた。どうでもいいと僕自身が思う手紙でもしっかりと返事を返してくれた。それがとても嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 父上の計らいで、ダイアゴン横丁にディヴィス家と一緒に行くことになった。父上は親の方に何か用があるようだが、それはどうでもよかった。ダレンとホグワーツに行く準備ができることが何よりも重要だ。

 ちょっとした悪戯を父上が提案した。集合時間よりもかなり早い時間に集合場所に行き、ディヴィス一家の反応を見るらしい。面白い悪戯だ。普通であればマルフォイ家よりも遅く来た場合、程度は変わるが一言詫びを入れる。

 

 

 やはりダレンは普通ではなかった。遅れたことを両親が謝っている隣で静かに父上を見つめている。

 恐らく父上がわざと早く来たのに気がついているのだろう。礼儀正しいダレンが何も言わないのが何よりの証拠だ。

 

 

 

 「ダレンは何所の寮に行くか決めているかい?」

 

 僕は不安を隠しながら尋ねた。ダレンがスリザリン以外の言葉を言うのを恐れていた。

 

「レイブンクローに行きたいな」

 

 不安が的中した。頭脳明晰なダレンならレイブンクローを選ぶかもしれないと思っていた。

 

「確かにダレンならレイブンクローも良いかもしれないけど、スリザリンが一番いいんじゃないか?」

 

 大丈夫だ、ダレンはスリザリンに必ず入ると父上が言っていた。心配ないさ。……大丈夫。

 

「スリザリンも良い寮なのは分かるんだけどさ」

「でも、君の両親もスリザリン出身だろ?」

「まぁな」

 

 スリザリンが一番では無いのは本当に残念だが、望みは十分に叶う可能性がある。

 そこに父上がやってきて、今日の予定を説明し始めた。その途中でダレンが、僕と会うのが楽しみだったと言ってくれた。喜びでいっぱいになった。

 

 

 会話していて分かったのだが、ダレンは完璧ではない。

 ダレンは子供らしいところがある。まさかダレンが先に店を廻ろうと提案してくるとは思わなかった。てっきり、先に制服を作ってから店を廻ろうと言うのだと思っていたから。

 それにダレンは意外にも箒での飛行が得意ではないらしいく、クィディッチの選手を目指していないらしい。

 

 ダレンが完璧でないと知ったときの衝撃は大きかった。

 ショックだったのではない。嬉しかったのだ。

 僕が支えることが出来る部分があることに気がつけたのだからーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




注意ですが、ドラコは畏怖の念を拗らせてヤンデレみたくなっただけですよ。

ルシウス視点は大分先まで書かないので、謎は残ると思いますが、きっちり回収するつもりです。

キャラ崩壊タグはつけた方がいいのかな?
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