魔法少女リリカルなのは~飛天の剣 リリカル剣客浪漫譚~ 作:fukuchan
さて、剣斗たちが非常に重い話題に困惑していたころ当事者たるフェイトはというと・・・・・・。
「さあフェイトちゃん、ぬぎぬぎしましょうね!」
「ひゃう!じ、自分で脱げますから。」
「いいからいいから~♪」
「はうううう。」
裸にひん剥かれていた。フェイトは脱がされまいと必死に抵抗するがそこは神谷活心流師範、要所要所でフェイトの抵抗を押さえつけ手際よく服を脱がせていった。まさに才能の無駄遣いである。まあそんなんわけでフェイトは抵抗むなしく衣服をすべてはぎとられてしまったのであった。
「フェイトちゃん、その背中・・・・・・。」
そして、香織は見てしまった。フェイトの背中に刻まれた無数の傷跡を。
「あ、そのこれは、階段で転んだんです。私ドジだからへええ。でももう治ってきてるかから大丈夫ですよ!早くお風呂に入りましょう。」
フェイトはごまかすように笑い、そそくさと湯船に向かった。
「そう、大変だったわね。」
香織はそれ以上追及することなく、フェイトに続いた。
「はぁ~気持ちいいわ~。」
「はい、すごく気持ちいいです。私ここの所忙しくてシャワーしか浴びれてなかったから。」
「だめよ、フェイトちゃんたちは新陳代謝が活発なんだからちゃんと湯船につからないと。ましてフェイトちゃんは女の子なんだから。」
「あはは、今度からそうします。」
「よろしい!!」
フェイトと香織は風呂を堪能していた。しかし、楽しい空気を切り払うかのように香織はフェイトに話しかけた。
「ねぇ、フェイトちゃん。私ねこう見えても剣術道場の師範なんてやってるの。だからね、怪我に関しては普通の人より詳しいの。だからわかっちゃうのよ、フェイトちゃんの背中の傷が階段から転んだ時のものじゃないって。まだあって一日も経ってないけど、私はフェイトちゃんのことを実の娘みたいに思ってるわ。だから話してくれないかしら?」
「・・・・・・。」
フェイトは答えなかった。しかし、迷っているようでもあった。
「どうしても話したくないのならいいわ。でも、私はフェイトちゃんの力になってあげたいの。どうかしら。」
フェイトは悲しげな表情になり、おもむろに語りだした。
「アルフはあんなこと言ったけど、母さんはやさしい人なんです。私が小さかった頃は一緒に遊んでくれたり、お出かけしたりしました。でも、最近になってお仕事がすごく忙しくなっちゃって。でも、私にはそれがわからなくて母さんにたくさん迷惑をかけちゃったんです。これは、その罰なんです。母さんは悪くない、悪いのは私なんです。あ、でももうすぐお仕事が一段落つきそうだって母さんが言ってたんです。そしたらきっともとの母さんに戻ってくれるはずだから・・・・・・。」
香織はフェイトの話を聞き終えると、フェイトを自分の胸に抱き寄せた。
「辛かったわね。寂しかったわね。でももう大丈夫よ、今は、お母さんの代わりに私がいてあげる。だから安心していいのよ。」
香織はフェイトな頭をやさしく撫でながら語り掛けるように言った。
(あたたかい。母さんに抱きしめられてるみたい。)
フェイトは久しく感じていなかった人のぬくもりを感じ、緊張の糸が切れてしまった。
「うう、ひっぐ。母さん、かあ、さん。うわわわわわん!」
香織はフェイトが泣き止むまでやさしく抱きしめ続けた。
「すう、すう。」
「あら、泣き疲れちゃったのかしら。でもほんとにあの子そっくりね。」
ひとしきり泣いた後、フェイトは眠りに落ちてしまった。香織は湯船から上がり、フェイトを起こさないよう細心の注意を払いながらフェイトの体をふき、服を着せた。フェイトの着替えはアルフが持参していた。服を着せると抱きかかえ、リビングへ向かった。
俺たちが話を終えて少しすると、お袋がフェイトを抱えて戻ってきた。
「あ、お袋早かったな。」
「ええ、フェイトちゃんが寝ちゃってね。きっと疲れてたのね。」
「あらあら、すまいね。フェイトが迷惑かけちゃったみたいで。」
「いいのよ、これくらい。」
「アルフちゃん、フェイトちゃんはもう眠っているし、今日はもう遅い。どういう結論を出すにせよ、ひとまず今日は泊まっていきなさい。」
「わるいね、そうさせてもらうよ。」
アルフさんはお袋からフェイトを受取ってそう答えた。
「剣斗、部屋に案内してあげて。」
「ん、アルフさんついてきて。」
「はいよ。」
俺はアルフさんを空き部屋に案内した。
「この部屋は空き部屋なんで自由に使ってください。布団はお袋がもう準備してるはずです。」
「何から何までわるいね。」
「気にしないでください。あと、俺は隣の部屋で寝てるんで何かあったら遠慮なく起こしてください。」
「わかったよ。剣斗、今日はほんとにありがとね、この子のたのしそうな笑顔久しぶりに見たよ。あんたのお蔭さ。ほんとに感謝してるよ。」
「よしてください、俺はそんな御大層なことはしてませんよ。じゃ、おやすみなさい。」
「いやいや、御大層なことなのさ私たちにとってはね。おやすみ、剣斗。」
俺はアルフさんが部屋に入るのを見届けて、自分の部屋ではなく、リビングに足を向けた。色々と話し合わなきゃいけないことがあるからな。何が有ったのか知らないが、フェイトにあんなひどい仕打ちをするなんて許せない。もし、フェイトを理不尽な不幸が襲っているのなら俺は・・・・・・。
「フェイトを守る。襲い掛かってくる理不尽なんて切り捨ててやる。」
俺は心に固く誓った。
「来たか剣斗、まあ座れ。」
リビングでは、すでにお袋と親父が話を始めていた。俺は急いで輪に加わった。
「剣斗。アルフちゃんの話は本当だったみたいだ。フェイトちゃんの背中には鞭でたたかれたような傷跡がいくつもあったらしい。」
「そうか。」
俺の中で、また怒りがふつふつとわいてきた。
「許せねぇ、許せねぇよ!親父!俺明日フェイトのお母さんに会ってくるそしてぶん殴ってくる。」
俺は怒りに身を任せ、言い放つ。
「気持ちはわかるが落ち着け。」
親父はそんな俺を諌めるように言う。
「でも!!」
「いいから落ち着け、そしてまずは母さんの話を聞け。」
「お袋の話?」
「ええ、フェイトちゃんのお母さんなんだけど、おかしくなっちゃったのはつい最近のことみたいなの。それまではやさしいお母さんだったそうよ。」
「フェイトが母親をかばってッるだけなんじゃ。」
「フェイトちゃんが嘘を言ってるようには見えなかった。それに、やさしかった頃のお母さんの話をしてくれた時、あの子嬉しそうに笑ってたわ。なにか、深い事情があるみたいね。」
何かがおかしい、俺はそうかんじた。何か引かっかかる。何なんだこの違和感。ああ、そうか。そういうことか。俺は違和感の正体を突き止めた。
「なぁ、おかしくないか?」
「気づいたか。」
親父も、違和感を感じていたようだ。
「どういことかしら。」
お袋は事態を把握し切れていないようだ。そりゃそうだ、アルフさんの話を聞いてないんだからな。
「俺と親父はお袋が風呂に会いってる間アルフさんといろいろ話してたんだ。そのときにさ、アルフさんがいったんだよ“あいつが私たちに優しくしてくれたことなんて一度ない”って。でも矛盾してるよな、アルフさんはフェイトのお姉さんだ。ってことはフェイト以上に優しかった頃の母親ついて知ってなきゃおかしいんだ。」
そう、フェイトとアルフさんの母親にへの印象が違いすぎる。これが違和感の正体だ。
「それは、確かに妙な話ね。」
「こりゃ思ったよりめんどくさそうだな。仕方ねぇ、しゃくだがあいつ頼るか。」
「あいつって斉藤さん?」
「ああ、そうだよ。あの憎ったらしいくそ警官だ。」
斉藤誠、我が家と付き合いがある警察官だ。なんでもお先祖様はあの新撰組三番隊組長斉藤一らしい。俺のご先祖様“緋村検心”とは宿敵同士の関係だったとか。そのせいか不思議と我が家の男、ことに御剣流の継承者とは犬猿の仲である。かくいう俺も斉藤さんのことは好きになれない。なんだろう、悪い人じゃないってのは分かるんだけど、一目あった瞬間、ああ、こいつとは仲良くなれない。そう思っちゃったんだよな。とはいえ、有事の際はお互いに協力し合ったりもしている。もっとも本人たちに言わせれば「利用し合っている。」というだろうが。まあそれはいいとして、斉藤さんの剣の腕は一級品で、親父と同レベルだ。一度斉藤さん唯一無二の必殺技である“牙突”を訓練で受けたことがある。刺突を究極の必殺技の域にまで昇華させた技で、とてつもない速さと威力を兼ね備えていた。俺は反応しきれずに真正面から受けて吹っ飛んでしまった。悔しい話だが、今の俺では歯が立たないだろう。
斉藤さんは俺の刀剣所持許可証の発行やらなにやらで便宜を図ってくれている。いやー知り合いに警官がいるって便利だね。あ、ちなみに斉藤さんは公安の特務隊所属で階級はかなり高いらしい。まあそれはいいとして、今回のようなケースの時なども個人的に捜査えを依頼したりするのだ。向こうが俺や親父に依頼してくることもあるけどな。
「あ~あいつに頼み事とか、絶対面倒事押し付けられるぞ。」
親父はいやいやながらも斉藤さんの携帯に電話をかけている。
「こんな時間に何の用だ。」
電話口から不機嫌そうな声が聞こえてくる。
「いや、少しばかり調べてもらいたいことがあってだな。」
「そうか、切るぞ。」
「っておい!話ぐらい聞け!!」
「やかましい、耳元で騒ぐな。」
「お前のせいだろうが、くそっ相変わらずいけすかねぇやろうだ。」
「ふん、貴様にどう思われようとかまわん。それで、何の用だ。」
「だから、調べてもらいてぇことがあるんだよ。」
「聞くだけ聞いてやる。話せ。」
「なんでお前はいつもいつも上から目線何だよ!」
「いいからさっさと話せ、本当に切るぞ。」
「わかったよ!実はだな・・・・・・」
親父はフェイトのことを説明した。しかし斉藤さん相変わらずだな。
「・・・・・・ふむ、確かに妙な話ではあるな。よかろう、調べてやる。」
「そうか、ありがとよ。」
「貴様に礼を言われる筋合いなどない。俺が俺の正義のために動くだけだ。“悪・即・斬”その小娘の母親が悪であるならば切り捨てるだけだ。」
そういうと、斉藤さんは電話を切ってしまった。
「ったく。もう少し穏便な物言いが出来ねえのかあいつは。」
俺も親父と全く同意見だった。
そのあと、とくにに話すこともなくなった俺たちはそれぞれの部屋に戻り、就寝した。余談ではあるが、一度顔を真っ青にさせてフェイトが俺を起こしに来た。何事かと思ったが、トイレの場所がわからないとのことだった。俺が場所を教えると、フェイトは飛天御剣流もかくやというほどのスピードで向かっていった。フェイトの尊厳が守られたかどうかは神とフェイト本人のみぞ知ることである。
第十話でした。今後斎藤さんが物語に深くかかわるかは未定です(笑)
ここまでじっくりと話を進めてく来ましが、次話からは物語を加速させようと思います。
感想、アドバイスなどいただけたら幸いです。