魔法少女リリカルなのは~飛天の剣 リリカル剣客浪漫譚~ 作:fukuchan
翌朝、フェイトとアルフさんは朝食を食べるとすぐに帰ってしまった。その際お袋がまた暴走したのだが、それは割愛しよう。我が家にはいつもの光景が戻ってきた。俺と親父とお袋三人だけの光景が。一昨日までは普通の光景だったのに、今は物寂しさを感じてしまう。たった一日だけではあったが、フェイトたちの存在は我が家にとってかけがえのないものになっていたようだ。俺はそんな寂しさを紛らわすように稽古に励んでいた。
「フッ!ハア!セイ!」
愚直に逆刃刀を振るう。しかし、思ったようには振るえなかった。
「やっぱり重いな。」
逆刃刀はまだ俺の手には馴染んでくれない。
ま、一日やそこらで使いこなせるようになるとは思ってないけどな。
「ふう、今朝はこのくらいにしとくかな。」
俺はきりのいいところで稽古を切り上げ、シャワーで汗を流した。リビングに戻り、スマホを見るとアリサから連絡が来ていた。
アリサ:今日すずかの家で遊ぶんだけどあんたも来る?
メンツは?:剣斗
アリサ:なのは、私、すずかあとは恭弥さんも来るわ。恭弥さんは忍さんに会いに行くのが目的だけど。
分かった、何時に集まるんだ?:剣斗
アリサ:お昼過ぎくらいね、現地集合でいいかしら?
了解:剣斗
アリサ:そういえばあの石のことお母様に聞いてみたけどやっぱり知らないって。
聞いてくれたのか、さんきゅーな。:剣斗
アリサ:どういたしまして。じゃ、遅れるんじゃないわよ!
はいよ:剣斗
とこんな感じで俺の午後からの予定が決まった。うーん、もう少し早く連絡が来てればフェイトを紹介できたんだが、それはまた今度だな。ま、機会はいくらでもあるだろ。
約束の時間になり、俺は月村邸に赴いた。
「お、来たな。剣斗君。」
「剣斗君、こんにちはなの。」
「来たわね。」
先に到着していた三人が声をかけてきた。
「よっ、なのは、アリサ。恭弥さんお久しぶりです。」
俺も返事を返す。
「さっ、みんなそろったことだし中に入りましょう。ところで剣斗、その棒みたいなやつは何?」
アリサが布にくるまれ逆刃刀を差して言う。友達の家に遊びにいくには我ながら物騒な持ち物だと思う。でも、今は片時もこいつを手放したくなかった。
「俺の相棒だよ。」
「相棒?」
アリサはまだわからない様子だったが、恭弥さんは興味深げな視線を送ってきた。
「その長さだと刀だな。ひょっとしてそれが逆刃刀かい?」
「はいその通りです。昨日親父から託されました。」
「ほう!ふふふ。これは明日が楽しみだな。」
「ええ、今度こそぎゃふんと言わせてやりますよ。」
「もう、お兄ちゃんも剣斗君も物騒な会話しちゃダメなの!ていうか剣斗君刀持ち歩いちゃだめだよ!?」
「護身用だよ護身用。」
「そんなのスタンガンで充分なの!」
「いや、それはそれで物騒だと思うんだが。ていうかお前のその思考回路も結構物騒だな。」
「ぶう、そんなことないの。なのはは常識人なの。」
「あんたたちは常識って言葉を辞書で引いてみなさい。」
とまあ少しばかりずれた会話をしていると、月村邸の門が開きメイドのファリンさんが出迎えてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。主がお待ちです。こちらへどうぞ。」
ファリンさんに案内され、月村邸の庭を歩く。
「さ、どうぞお入りください。」
ファリンさんがドアを開けてくれる。その瞬間すずかのお姉さんである忍さんが飛び出して・・・・・・
「恭弥!!」
「忍!!」
恭弥さんと熱い抱擁を交わしていた。
仲良きことは素晴らしきかな。とはいえ少し自重してもらえませんかね。ほら、なのはとアリサが引いちゃってるでしょ。
「会いたかったわ恭弥。」
「俺もだよ忍。」
「さ、私の部屋に行きましょう。あ、なのはちゃんたちもゆっくりして行ってね。」
そう言い残すと忍さんは恭弥さんを連れて行ってしまった。
小学生の俺が言うのもなんですが、ほどほどにしておいてくださいね。最近できちゃった婚とかおおいですから。
「あははは、ごめんね。お姉ちゃん最近忙しくて恭弥さんとあまりあえてなかったから。」
すずかが苦笑しながら出てきた。
「いいのよ、恭弥さんが来るってわかった時点でこうなることは予測できてたから。」
「にゃはははは。」
「まあ、いいんじゃないのか?幸せそうだし。」
「そういってもらえるとありがたいな。さ、入って入って。」
「「「お邪魔しまーす。」」」
屋敷に招き入れられた俺たちはすぐにすずかのへやに案内された。
「「「「「「「にゃ~~~!!!」」」」」」」
部屋に入った瞬間月村家の飼い猫が俺めがけて突進してきた。
「おーろー。」
俺はなすすべもなく押し倒され、猫に滅茶苦茶にされてた。
「あ、相変わらずね。」
「あははは、家の子たちみんな剣斗さんのことが大好きだから。」
「う~いいな~。」
なのはよ、そう思うのなら助けてくれ。
俺は三人によって救助され、何とか平常心を取り戻していた。しかし俺の代わりに新たな犠牲者が生まれていた。
「キューーーー!!」
なのはが保護したというフェレットである。名前はユーノ君というらしい。紆余曲折あって高町家で飼うことになったらしい。猫に追い掛け回されて部屋中を駆け回っている。南無三。
「こら、マロン、タマだめだよ!!」
すずかは猫たちを注意するがあまり効果はないようだ。
「ユーノはモテモテだな。」
「にゃははは。」
なのはは苦笑しながら眺めている。それでいいのか、飼い主よ。
まあ、そんな感じで楽しんでいると、なのはが急にそわそわしだした。俺が不審に思い声をかけようとしたとき、ユーノ君がなのはの手からするりと抜け出し部屋の外ににげていってしまった。
「あ、ユーノ君!!ごめんね、私追いかけてくる。」
そういうや否やなのはも部屋を飛び出してしまった。
「ちょっ、なのは!?あー行っちゃった。」
「なのはちゃん大丈夫かな。庭に逃げてないといいけど。」
すずかとアリサは心配そうにつぶやく。
「しゃーない。俺がちょっと見てくるよ。俺の足ならすぐ追いつけるはずだ。」
「すみません剣斗さん。お願いします。」
「あいよ。」
俺は逆刃刀を持ち、なのはの後を追った。
「どこまで行ってるんだよあいつは。」
しかし、俺の予想とは裏腹になのはを見つけることができなかった。
「こりゃ庭まで行ってるな。」
俺は窓から身を躍らせ、庭に着地する。すると、妙な感覚が体に走った。そこにあるはずのものがないそんな奇妙な感覚だった。
「なんだこれは?」
俺は警戒心を高め、辺りを捜索する。月村邸の庭はちょっとした森のようになっている。俺がその中心部に向かうにつれ、奇妙な感覚は強くなっていった。
「これは、壁?」
奇妙な感覚が最も強く感じられたとき、俺の目の前に透明な壁のようなものが現れた。試しに軽く押してみると、簡単に通り抜けられた。壁の内側に入った瞬間奇妙な感覚は消えうせた、その代り、巨大な気のようなものを二つ感じ取った。
「――!これは、なのはが危ない!?」
俺は本能的にそう感じ取り、気の発生源に急いだ。
「――!!」
俺がそこで目にしたものは、魔法少女のコスプレのような恰好をしたなのはと、これまたコスプレのような恰好をしたフェイトが空に浮かんでいる光景だった。
なんというか、取りあえず・・・・・・
「な、なんじゃこりゃーーーー!!!!」
思わず叫んでしまった俺は悪くないと思う。
というわけで11話でした。
とうとう原作に介入していきます。今後は原作とはかけ離れた展開になってくるかと思います。
あ、剣斗とアリサのスマホでのやりとりをLINEぽくしてみたんですけど。どうですかね(笑)
ちなみに電子機器は現在と同レベルという設定にしています。