魔法少女リリカルなのは~飛天の剣 リリカル剣客浪漫譚~ 作:fukuchan
その日の夕方、フェイトはアルフさんの後ろに隠れるようにして我が家を訪れた。
「よっ。待ってたぞ、取りあえず入れよ。ていうかフェイト、なんで隠れてるんだ?」
フェイトは答えようとせず、アルフさんの服を握りしめていた。
「ほらフェイト、大丈夫だから。」
アルフさんはそんなフェイトを前に出るよう促す。
「で、でも・・・・・・。」
フェイトはそれでも迷ったっていた。
「どうした、何かあったのか?」
「いやねぇ、この子ったらあんたに嫌われたんじゃないかってずっとこの調子なんだよ。」
「あ、アルフ!!」
「嫌うって、俺がフェイトをか?なんでそんな話になるんだ?。」
「だって、私ケントの友達を傷つけちゃったから。」
「なのはのことか?」
フェイトはこくりとうなずく。
「あいつは今度お前と話が出来ればそれでいいって言ってたぜ。あいつがそれでいいのならこれ以上俺が言うことなんてないよ。」
「ほ、ほんとに?私のこと嫌いになってない?」
捨てられる寸前の仔猫のような目を向けてくるフェイト。
「友達のことを簡単に嫌いになったりなんかしないさ。」
フェイトは俺の言葉を聞くとさっきまでの悲しい表情を一変させてパアッと笑顔になった。
「ほらね、大丈夫だっていったろ?」
アルフさんは苦笑しながらフェイトの頭をなでている。
「さ、中に入れよ。色々聞きたいからさ。」
「うん、わかった。」
俺はフェイトとアルフさんを俺の部屋に案内した。ちなみに親父とお袋は出稽古に出ていて留守である。
「狭いとこだけど適当に座ってくれ。」
「う、うん!。」
「じゃあたしはここに。」
フェイトは興味深げに部屋をキョロキョロと見回している。対象にアルフさんはクッションにさっさと座ってしまった。
「あ~フェイト、いいか?」
「ごめん!男の子の部屋って初めてだからつい。」
「そうか。ま、話が終わったらあちこち見て回っていいからさ、取りあえず話を始めるぞ?」
「うん。」
フェイトはうつむき加減で答える。
「さて、魔法やらジュエルシードとかいうロストロギア、だっけ?についてはなのは達からおおよそのことは聞いた。話を聞く限りジュエルシードはユーノ君、あの白いフェレットが持つべきもののように感じたがどうなんだ?」
「ねぇ、ケント一つ約束してくれる?私の話を聞いても私を嫌いにならないって。」
また、捨てられた子猫のようにこちらを見上げてくる。
「・・・・・・わかった。」
「ありがとう。じゃあ、話すね。あの子達からジュエルシードのことはどのくらい聞いた?」
「詳しいことはなにも。ロストロギアとかいうオーバーテクノロジーの産物で、かなり危険なものだってことは聞いたけど。」
「そう、じゃあそこから話すね。ジュエルシードはね、持ち主の願いをかなえてくれる願望器なんだ。でも、その願いはゆがんだ形でしか発動されないの。例えば、世界で一番綺麗になりたいって願ったらその人より綺麗な全世界の人が死んじゃうとかそんな感じ。」
なんて物騒な代物なんだ。しかもそんなものが21個もばらまかれてるって、そりゃユーノ君が多少無理してでも回収に来るはずだよ。
「それで、なんでフェイトはジュエルシードを集めてるんだ?」
「・・・・・・。」
「フェイト・・・・・・。」
フェイトはうつむいて黙ってしまった。アルフさんはそんなフェイトを心配そうに見つめている。
「フェイトがどうしてもっていうのなら無理には聞かない。でも、できれば話してほしい。」
「・・・・・・ごめん、ちゃんと話すね。私は母さんに言われてジュエルシードを集めてるの。ジュエルシードは母さんにとって大事なものみたいだから。」
正直、予想はできてた。アルフさんの話を聞いて入ればだれでもそう考えただろう。
「母さんね、なぁフェイトその母さんがジュエルシードを何に使っているか知ってるのか?」
「わからない。母さんはただ、“私にはどうしても必要なものなの”としか言わないから。」
「そうか。フェイト、お母さんを助けてあげたいって気持ちはよくわかる。でもな、ジュエルシードはユーノ君の一族が発掘し、いかるべき場所に輸送していたものだ。それを何も言わずに奪い取るってことがどういうことかわかるよな。」
「もちろんわかってる。でも、私は母さん娘だから。母さんが昔みたいに戻ってくれるならなんだってする。」
フェイトは覚悟と確固たる意志を持った瞳を向けてきた。
ジュエルシードはとんでもない危険物。それをフェイトを、こんなにも母親思いのやさしい子を虐待してるような奴に渡すことには賛成できない。でも、俺がどういったところでフェイトはやめない。あの眼はそういう眼だ。
「はぁ、わかった。この件に関して俺からいうことはもう何もない。ただ、明日なのはにあってきちんと事情を話せ。」
「そ、それは・・・・・・」
敵対勢力と話し合おうっていうんだ、渋るのは当然だよな。もので釣るようなことはしたくないが仕方ないか。
俺は立ち上がり、机の引き出しからあるものを取り出した。
「フェイト、なのはと話し合うって約束するならこれをやる。」
「なっ、あんたそれ!?」
「ジュエルシード、なんで。」
「拾ったんだよ、空から急に降ってきてな。まさかこんな危険物だとは思はなかったが。」
「それを渡して!」
「なら約束してくれ。大丈夫、なのはは話が分かるいいやつだ。俺が保証するよ。」
「約束する、だからはやく渡して!!危ないよ!!」
どうやら俺の心配をしてくれていたらしい。
「わかったからあわてるなよ。ほら。」
俺はジュエルシードを差し出す。するとフェイトはどこからか黒い棒のようなものを取り出し
「ジュエルシードシリアルⅢ封印。」
そういってジュエルシードに杖をこつんとあてた。するとジュエルシードが金色の光に包まれ、フェイトの持つ黒い棒に吸い込まれていった。
「もう!暴走したらどうするつもりだったの!!」
「いや、フェイトがいるし大丈夫かなって。それに俺が願い事を言わなければ発動しないみたいだったから。」
フェイトの剣幕に俺は驚いてしどろもどろになってしまった。
「それはそうだけど、万が一発動してケントが怪我したりするのは嫌だったから。」
フェイトは泣きそうな表情を向けてくる。
あ~これは俺が悪いな。素直に謝ろう。だからアルフさん、なにうちの子泣かしてんだ、ああん?的な視線を送るのをやめていただけないでしょうか。
「ごめんな、フェイト。心配してくれてありがとう。」
俺はそういってフェイトの頭をなでる。
「――!」
フェイトは体をビクッと震わせる。
「あ、ごめん、嫌だったか?」
「う、ううん。嫌じゃないよ、いきなりだからびっくりしただけ。」
えへへ、と照れたように笑うフェイト。
そういえば香澄も頭をなでたやったらこんな風に笑ってたな。
「おほん」
フェイトの笑顔を見て和んでいると、わざとらしい咳払いが聞こえてきた。
「「-!」」
アルフさんの存在を思い出した俺は急に気恥ずかしくなってファイトから離れた。フェイトも似たような反応をしていた。
「えっと、そうだ!さっきの黒い杖みたいなのがデバイスってやつなのか?」
俺はごまかすように話題を変える。
「あっ、うん。そうだよ、インテリジェントデバイスでバルディッシュって名前なんだ。」
《nice to meet you Mr.(はめましてミスター)》
フェイトがそういうと、胸元のペンダントがしゃべりだした。
「うお、しゃべった!?ていうかそのペンダントがさっきの杖なのか。」
「うん、今は待機状態だから。それにインテリジェントデバイスは意志を持ってるから、ちゃんと話せるんだよ。」
「魔法ってのは何でもありだな。よろしくなバルディッシュ。」
《me too.(こちらこそ)》
ほんとに会話が成立してるよ、まさに魔法って感じだな。
俺が感心していると、アルフさんが聞いててきた。
「そういえばあんた結界の中に入れたんだよね、だったらあんたも魔力を持ってるのかい?」
「あ!そういえば・・・・・・。どうなの、ケント?」
「ああ、D-らしいけどな。」
「なんだい、しょぼいね。」
グサッ
「だめだよアルフ。事実でもそんなこと言っちゃダメ。」
グサグサッ
フェイトよ、フォローになってないどころかとどめを刺しに来てるぞ。いいもん、俺には御剣流があるもん。
なんだかんだでちょっと気にしている剣斗であった。
第十三話でした。うーんほんとは戦闘シーンを入れたかったのですがおさめきれませんでした。次回こそは戦闘シーンが入ります。
次回 魔法VS御剣流 お楽しみに!
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