魔法少女リリカルなのは~飛天の剣 リリカル剣客浪漫譚~ 作:fukuchan
私はただただ呆然としていた。何が起きたのかわからない。ソニックムーヴでケントの後ろを取った。そこまではいい、私はそのまサイスフォームのバルディッシュをケントの首に添えて終わらせるつもりだった。でも・・・・・・
「俺の勝ちだな。」
首に得物を添えられていたのは、私のほうだった。
♦♦♦
アルフさんが俺の勝利宣言をした後もフェイトは呆然としていた。まだ、思考が追いついていないのだろう。
「フェイト立てるか?」
「・・・・・・あっ、うん。」
俺が手を差し出すと、フェイトは我に返ったのか手をつかんで立ち上がった。
「ケント、あなたはいったい・・・・・・。」
フェイトは俺のことを知らないかのように聞いてくる。」
「俺か?飛天御剣流正統継承者 “緋村”剣斗さ。」
「ひてん、みつるぎりゅう?それに、ひむら?」
「飛天御剣流は我が家に代々伝わる剣術だよ。緋村ってのはなんていうか、飛天御剣流の使い手としての名前かな。あっ!これオフレコな。」
俺が説明してもフェイトはまだよくわからないといった顔をする。
まあ、別世界の人間にいきなり刀がどうとか言ってもわかるわけないか。
「あんた、ほんとに人間かい?魔法を使えない奴が高速移動魔法についていくなんて聞いたこともないよ。」
アルフさんは若干失礼なことを呆れたようにつぶやいている。
「失敬な、俺はれっきとした人間ですよ。確かにフェイトの高速移動は中々のもんだったけど、親父よりは遅かった。それに動きも直線的で読みやすかった。それだけのことですよ。」
「いやいや、さらっというけどそれが異常なんだよ。」
「そういわれましても、俺にとっては当たり前のことですから。ま、何はともあれ俺が勝ったんだ、ジュエルシード集めには同行させてもらうぜ?」
「・・・・・・ごめん、やっぱりだめ。ケントが強いのは分かった。でも、私も油断してた。」
「油断してなけりゃ私が勝ってたってか?」
「うん。」
「はぁ、しゃーない。ならもう一本だ。俺が勝ったら今度こそ同行を認めててもらうからな。」
俺はくぎを刺すように言う。
「わかった。アルフ、お願い。」
「フェイトがそういうなら。」
俺とフェイトは再び対峙した。フェイトからは微塵の油断も感じられない。
本気モードに入ったみたいだな。
「はじめ!!」
「ハッ!」
俺は開始と同時にフェイトの懐に飛び込み、竹刀を唐竹に一閃。しかし俺の竹刀は空を切った。
「飛べないあなたに私を捉えることはできない。」
フェイトは開始と同時に空に飛びあがっていたようだ。高度は、5、6メートルくらいだな。余談だが家の道場は御剣流の飛翔技に対応するため、天井が異常に高く作られている。
閑話休題
「フォトンランサー、ファイア!!」
《Fire》
金色の球体がいくつか現れたかと思うと、弾丸のように襲い掛かってきた。
「ほっ、よっと。」
しかし俺はそのすべての動きを“読み”躱す。数こそ多いが、速度は拳銃以下、軌道も直線のみ、飛天御剣流の前では無力だ。
「-っ!ファイア、ファイア、ファイア!!」
フェイトは高度を徐々に下げ、命中精度を上げつつフォトンランサーを連発してくる。
「何発撃とうが無駄だ。その攻撃は俺に通用しない。」
「うん、わかってる。だからこうするの。」
フェイトが俺にバルディッシュを持っていないほうの手を向けてくる。
ゾクリ
悪寒が走る、俺は本能的にフェイトから距離を取った。
「そんな、バインドまで・・・・・・」
俺がさっきまでたっていた場所には金色のリングがあった。
「バインド、相手を拘束する技か。少しでも回避が遅れてたらアウトだった。でも、これで終わりだ。」
俺はフェイトに向かって駈け、飛翔する。
高度を下げすぎたな、そこはもう俺の間合いだ。
「飛天御剣流・龍翔閃!!」
俺の一撃は再びバルディッシュを弾き飛ばす。
「あっ!」
デバイスを失って飛行魔法を維持できなくなったフェイトが落下しだす。
「――!」
俺はフェイトを抱きかかえ、そのまま着地した。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう。」
「ん、ならよし。アルフさん、俺の勝ちですよね?」
「ああ、そうだね。まさかほんとに勝っちまうとはねぇ、大したもんだよあんた。ところでいつまでそうしてるんだい?」
アルフさんに言われて気づいた、フェイトをお姫様抱っこしたままだということに。
「す、すまん!!」
俺は慌ててフェイトを下ろす。
「う、うんん気にしないで。私は大丈夫だから。」
そういうもののフェイトの顔は赤い。やっぱり恥ずかしかったのだろう。
「こりゃフェイトにも春がきたのかねぇ。」
「ア、 アルフ!!」
アルフさんがニヤニヤしながら何か言うと、フェイトは顔をさらに赤くした。
「どうしたフェイト、顔赤くして。」
「何でもない!!」
フェイトはプイと顔をそむけてしまった。むう、女の子はよくわからん。
暫くすると、親父たちが帰ってきた。
フェイトを見つけるなりお袋が三度暴走したのだが・・・・・・もういいよな、割愛する。
「この歳になって魔法なんてものに出会うとは、人生はわからんな。」
「ほんとね、訳ありだとは思ってたけどまさか魔法使いだなんて。」
フェイトは親父たちとも自分の事情を話した。俺は無理に話さなくてもいいといったが、フェイトはちゃんと自分のことを知ってほしいといって話し出した。次元世界のこと、魔法のこと、ジュエルシードのこと、そして母親のこと。初めこそ親父たちは信じられないといった表情だったが、フェイトが魔法を実演すると納得せざるを得なかった。
「しかしこれで納得がいったよ。斉藤のやつから“フェイト・テスタロッサという子供はこの世に存在しない。戸籍どころか出生届けすら存在しない。”って聞いたときは何かの間違いじゃないかと思ったんだがな。」
「ごめんなさい。」
フェイトが申し訳なさそうに謝る。
「いいのよ、私たちが勝手に調べたことなんだから。むしろ私たちのほうが謝るべきね。フェイトちゃんを守るためとは言え、勝手に調べちゃったのごめんなさいね。」
「いいえ、気にしてませんから。私のためにそこまでしてもらってうれしいくらいです。」
「フェイトちゃん・・・・・なんていい子なの!?」
「はうぅぅぅぅぅぅ!!」
お袋は感極まってフェイトを思いっきり抱きしめてもみくちゃにする。
すまんフェイト、俺にはどうすることもできん。
お袋が落ち着いた後親父がおもむろに言い出した。
「フェイトちゃん、アルフちゃん。あの事はかんがえてくれたかい?」
あの事、言うまでもなくフェイトが我が家で生活することについてだ。
「アルフ・・・・・・」
フェイトは不安げにアルフさんを見つめる。
「大丈夫だよ、あたしはフェイトがどんな決断をしてもついていくから。」
「うん、ありがとう。あの、迷惑じゃなければその・・・一緒に暮らしたいです。」
フェイトはもじもじと恥ずかしそうに言った。
俺たちの返事はもう決まっている。
「「「ようこそ我が家へ」」」
我が家の家族が二人増えた瞬間だった。
初戦があっさりと終わりすぎたのでもう一戦加えてみました。お楽しみいただけましたか?
なかなか話が進まないorz
作者としましては無印編はじっくり進めたいのですがテンポが悪すぎる気もしてきて迷っています。どうなんでしょうか?
アドバイスやご意見などいただけたら幸いです。