魔法少女リリカルなのは~飛天の剣 リリカル剣客浪漫譚~   作:fukuchan

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たとえ夢だとしても

これは夢だ、俺はすぐにそう自覚できた。俺の目の前に、香澄がいたから。目の前の香澄は、死んでしまった時の姿ではなく、なのは達くらいの歳まで成長していた。俺の目からは、涙が滝のようにあふれ出ている。俺は香澄を抱きしめようとして、思いとどまった。

 

俺に香澄を抱きしめる資格なんてない。香澄を守れなかった俺に、そんな資格などあっていいはずがない。だから俺はその場で跪き、地面に叩きつけるように頭を下げた。香澄の葬儀の時、親父とお袋にそうしたように。

「これは夢だってわかってる。俺が望んだ都合のいい夢だって。でも、言わせてほしい。ごめん、香澄。約束したのに、守るって約束したのに!!守れなかった・・・・・・。ごめん、ごめん、本当にごめん!!今更謝ったってどうしようもないことはわかってる。でも、俺にはこうすることしかできないんだ!!ごめん、ごめん、ごめん・・・・・・。」

途中から、自分でも何を言っているのかわからなかった。ただ、泣き叫んでいた。香澄の顔を見ようともせず、地面に頭をつけたまま。

「お兄ちゃん。」

俺は、誰かに抱きしめられていた。いや、答えはわかりきっている。

「お兄ちゃん、香澄のことそこまで想ってくれてありがとう。でも、もういいの。」

「でも、俺は・・・・・・」

「いいの、もう香澄のことで苦しまないで。死んじゃったのは悲しかったけど、それはお兄ちゃんのせいじゃないよ。それに、お兄ちゃんが香澄のことで苦しんでいる姿はもう見たくない。」

「だめなんだ、だめなんだよ!お前が許してくれたとしても、俺は俺自身を許すことができないんだ!!俺だって頑張ってきた。活心流の奥義も、御剣流の技も、血反吐吐いて修めた。あの時とは比べ物にならないくらい強くなれた。お前みたいな理不尽な不幸からみんなを守りたかったから。でも、だめだった。やっぱり、俺は俺を許せなかった。」

夢だからだろうか、今まで抑え込んでいた気持ちが奔流のようにあふれ出てきた。

「ごめんね、お兄ちゃん。私が、お兄ちゃんを苦しめてるんだよね。ごめんね。」

香澄は俺の頭をやさしくなでてくれた。ふしぎと気持ちが落ち着いてきた。

「いや、違うんだ。香澄のせいじゃない。俺が悪いんだ、一人で抱え込んで勝手に苦しんでるんだ。」

「お兄ちゃん・・・・・・」

香澄は、悲しそうな顔を俺に向けてくる。

「わかった。なら私はお兄ちゃんを許さない。お兄ちゃんが自分を許してあげるまで、私もお兄ちゃんを許さない。これなら、私もお兄ちゃんの苦しみを感じてあげられる。私は死んじゃってるから、こんなことしかできないけど。それでお兄ちゃんの苦みが少しでも和らぐのなら、私はそうする。」

「香澄・・・・・・」

「だからお兄ちゃん、自分を許してあげられるようにがんばって。私みたいな人を救ってあげて、そうすればいつかきっと・・・・・・・」

 

「ああ、わかったよ香澄。俺はここでお前に誓う。俺は理不尽な不幸からみんなを守る。俺の大切な人を守って見せる。それができたとき、俺は俺を許す。だから香澄、見ててくれるか?」

「当たり前だよ、お兄ちゃん。」

香澄は輝くような笑顔を向けてくれる。俺も、香澄に微笑みかける。

「あ、そろそろ時間みたい。」

香澄がそういうと、香澄の体が透けだした。

「香澄!!」

俺は慌てた香澄に駆け寄る。

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。香澄は消えちゃうわけじゃないから。ただ、元いた場所に帰るだけ。お兄ちゃんからは香澄のこと見えなくなっちゃうけど、香澄はずっと見てるから。そうだ、お兄ちゃん目をつぶってくれる?」

香澄はいたずらを思いついたような顔をしていってきた。

「ん、こうか?」

「うん、それでいいよ・・・・・・・ん。」

頬に、暖かい感触が伝わってくる。

「バイバイ、お兄ちゃん。」

俺が目を開けたとき、そこに香澄の姿はなかった。そして、世界がまばゆい光に包まれた。

 




いかがでいしたか?今回は今まであまり触れていなかった剣斗の内面に焦点を当ててみました。
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