魔法少女リリカルなのは~飛天の剣 リリカル剣客浪漫譚~   作:fukuchan

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フェイトの事情

「は、はい。おじゃましまちゅ!」

緊張したのか、フェイトは見事に噛んだ。

「~~~~~!!」

よほど恥ずかしかったのだろう、顔を真っ赤にしていた。

「「か、かわいすぎる」」

俺とお袋は同時に呟いていた。

「か、かわ、かわいい?わた、わた私が?」

聞こえていたのか、ますます顔を赤くしてしまった。

「ああん、もう!!」

そんなフェイトの姿を見てお袋は理性が崩壊してしまったらしい。フェイトを抱きしめてなんともしあわせそうな表情を浮かべている。

「はぅぅぅぅぅぅぅ。」

そしてフェイトはさらに困惑するのだった。この惨劇は親父が駆けつけてくるまで続いた。ちなみに親父もフェイトをみて驚いていた。もっとも俺やお袋ほど、動揺はしていなかったが。

 

まあ、何かとあったがフェイトは無事我が家の食卓に着いた。あの後しばらくして、フェイトのお姉さんであるアルフさんも家に来た。歳は恭弥さんと同じか、少し上くらいかな。元気のいい美人さんだった。フェイトにはあんまり似てなかったけどな。しかしこのアルフさん、なかなか豪胆な人で、親父とあっという間に意気投合してしまった。であってわずか5分の出来事だった。

 

「さ、出来たわよ。」

お袋が料理を運んでくる。お客さんがぎているせいか、いつもよりかなり豪勢だった。グラタン、特製コンソメスープ、ハンバーグetc・・・・・・

とにかく多種多様の料理が食卓に並べられていた。お袋よ、張り切りすぎだ。

「いやー悪いね。いきなり押しかけておまけにこんなにご馳走してもらっちゃって。」

「も、もう。アルフ、失礼だよ。あの、ほんとにすみませんこんなに良くしてもらって。」

「ははは、気にすることはない。フェイトちゃんもアルフちゃんも、もう我が家の一員だからな。」

「そうよ、フェイトちゃん、アルフさん。自分のうちみたいにしてもらっていいのよ。」

「そうかい?じゃ遠慮なく。」

アルフさんはそう言って足を崩した。いやはや、なんというか正直な人だな。でも不思議と嫌な感じはしないきっと裏表がない人なんだろう。親父も、そこが気に入ったのかな。

「もう、アルフったら・・・・・・。」

フェイトは姉の態度を恥じているようだったが、自分もそそくさと足を崩していた。正座になれていないのかな。

「じゃ、いただくとしようか。」

「「「「「いただきます」」」」」」

俺は早速グラタンを自分のさらにとって口に運ぶ。うん、いつもながらうまい。

「うお!フェイト、これすっごくうまいよ!!」

アルフさんは料理を片っ端から口に運び、そのたびにうまい!と声を上げていた。

「あらあら、そんなにおいしそうに食べてもらえるなんて。作った買いがあるわ。」

お袋はなんともうれしそうだ。

「ア、 アルフ。」

フェイトはそんな姉を見て困惑しているようだった。もはやどちらが姉だかわからんな。

「ほら、フェイト。遠慮してないで食えよ。」

俺はフェイトの皿に適当に料理をとって渡してやる。

「あ、ありがとうケント・・・・・・!!美味しい!!」

この日一番の笑顔が弾ける。その笑顔を見て、俺たち家族はおろかアルフさんまでもがうっとりとしていた。

「――!はぅ。」

俺たちの視線に気が付いたのか、フェイトは頬を染めてうつむいてしまう。しかし恥じらうその姿もまたかわいらしかった。

「ああん。フェイトちゃんったらほんとにカワイイわ!!」

「まったくだな。将来は相当な別嬪さんだな。」

「そうだろうそうだろう。うちのフェイトはほんとにかわいくてねぇ。この間も・・・・・・」

そこから大人組はフェイトの可愛さについて料理そっちのけで語りだした。

「あうあうあうあうあうあうあうあう~~~~!!」

フェイトは今にも爆発してしまいそうなほど真っ赤になっていた。俺は流石に気の毒になってフェイトに話しかけた。

「ごめんな、フェイト。親父もお袋も嬉しいんだよ。もちろんお前と香澄は全くの別人だってわかってるけどさ。それでもやっぱり、香澄が帰ってきたみたいに感じてるんだ。」

「ううん、気にしないで。ちょっと恥ずかしいけど、大丈夫だから。ねぇ、ケントも嬉しいの?」

「当たり前だろ、こんなに楽しい食事はほんとうに久しぶりだ。それこそ、香澄が生きてた時以来だな。」

「そっか。よかった、えへへへ。」

フェイトは嬉しそうに微笑んだ。俺も、フェイトにつられて思いっきり笑った。

楽しい時間ってやつは早く過ぎていくもので、あれだけあった料理はあっという間になくなっていた。

「はぁー。幸せだよ、こんなに美味しいもの食べたのなんていつぶりかねぇ。」

「もう、はしたないよアルフ。でも、ほんとうに美味しかったね。」

「もう、ほめたってなにも出ないわよ。それにフェイトちゃんのお母さんのお料理だって美味しいでしょう?」

お袋がそういっうた途端、フェイトとアルフさんの笑顔が凍り付いた。気まずい沈黙が流れ出す。お袋もしまった!というような表情をしている。親父も俺もどう切り出していいかわからず困惑していた。その沈黙を破ったのはアルフさんだった。

「あいつがあたしたちに料理を作ってくれたことなんてただの一度もありゃしないよ。仮に作ったとしても、あたしゃ絶対に食わないよ。あんな奴が創る飯がうまいわけないからね。」

「アルフ!!母さんを悪く言わないで。今は忙しいからあまり会えないけど、お仕事が一段落すれば昔みたいになってくれるはずだから。」

「だけどフェイト・・・。」

「アルフ、もう、それ以上言わないでお願い。」

アルフさんが急に荒れた口調で話し出したかと思うと、フェイトは涙を流した。俺たちはますます困惑してしまった。

「おほん、あーなんだ、母さんが不躾なことを聞いてしまったようだな。申し訳ない。」

さすが親父、この空気の中で発言できるなんて、俺には到底無理だ。親父の言葉で二人も我に返ったのか、申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「わ、わるかったね。つい熱くなっちまったよ。」

「私も、ごめんなさい。」

気まずい空気はどうにか収まった。

「いや、気にしなくていいよ。それより風呂にでも入ってきたらどうかな?」

「おお、そうだな。フェイトちゃんもアルフちゃんもそうしなさい。」

「あら、いいわね。フェイトちゃんいっしょに入りましょう♪」

俺たちは流れに乗って空気を一掃しようと話題を強引に変えた。

「え、さすがにそこまでしたいただくのは・・・・・・。」

「そうだねぇ。ご馳走までしてもらったのにさすがに迷惑じゃないかい?」

「もう水臭いわね、今更じゃない。何なら泊まってもらってもいいのよ。」

「おお、そりゃいいな。夜も遅いし。うん、君たちが嫌じゃなければそうするといい。」

 

「ど、どうしようアルフ。」

「どうしようって、ああいってくれてるんだし今日くらいお世話になってもいいんじゃないのかい?フェイトだってここの所あまり休めてなかったろ。」

「それはそうだけど。」

「あーフェイト、嫌ならいやって言っていいんだぞ。俺たちは別に気にしないからさ。」

「ううん、嫌じゃないよ。うん、えっとお言葉に甘えさせてもらっていいですか?」

「「「もちろん」」」

「うふふ、そうと決まればさっそくお風呂ね!行きましょうフェイトちゃん!!」

「ふ、ふぇぇぇ!」

お袋はフェイトを風呂場に強制連行していった。すまんフェイト、俺にはああなったお袋は止められん。居間には俺と親父とアルフさんだけが残った、さてこれでゆっくり話せそうだな。お袋もそのつもりでフェイトを連れて行ったんだろうし。

「アルフちゃん、会ったばかりの俺たちが立ち入ったことを聞くのは失礼かもしれないがいいかな。」

「・・・・・・はぁ、今日は散々お世話になってるしねぇ。いいよなんでも聞いとくれ。」

「そうか、では単刀直入に言わせてもらおう。君たちのお母さんはいったいどんな人なんだ?」

そう、俺たちが話したかったのはこのことだ。母親の話題が出たときの二人の様子は尋常じゃなかった。あまり他人のプライベートに立ち入りたくはないが、ここは聞かなければならない。

「あたしがこんなこと言うとフェイトは怒るけど、あんな奴母親なんかじゃないよ、ただの鬼婆さ。」

「それは、どういうことかな。」

「どうもこうもないよ。フェイトはね、今一生懸命頑張ってるんだ。詳しいことは言えないけど、ほんとに頑張ってるんだよ。あの鬼婆なんかのためにね。でも、あいつはそんなフェイトを褒めるどころかことあるごとに鞭でひっぱたくのさ!!あたしだって何回も止めようとしたさ、でもあいつは聞く耳なんて持っちゃいなかった。あいつには何を言っても無駄さ。それにフェイトもフェイトだよ、いくらひどい仕打ちを受けても“悪いのは私、だから母さんを悪く言わないで”って。あたしもうどうしていいか。」

アルフさんは途中で涙を流しながらも語ってくれた。正直、想像以上の内容だった。家庭環境があまりよくないってことは予測できていたが、まさかこれほどとは。俺は心の底からふつふつと怒りがわいてくるのを感じた。

「・・・・・・アルフちゃん、君のお母さんと少し話したいんだが連絡を取ってもらえるかな?」

「無理だね、あいつはいつも一方的に連絡してくるだけであたしらからの連絡には見向きもしないよ。」

「そうか。なぁ、アルフちゃん。君たちさえよければだが、しばらく家で暮らさないか?君たち家族に何が有ったのかはわからないが、今は一度距離を置いてみてはどうだろうか。」

「・・・・・・」

アルフさんは悩んでいるようだった。腹を割って話しているとはいえ、俺たちはまだであって一日もたっていない。もちろん信頼はしてもらえているだろうが、ここで共同生活を送るとなると話は変わってくる。俺だって逆の立場なら即答はできない。

「あたしは、もし迷惑でないのならそうしたい。でも、もしフェイトが違う選択をするのであればあたしはそれに従う。」

「そうか。わかった。」

それからフェイトとお袋が風呂から上がってくるまで俺たちは一言もしゃべらないままだった。

 




はい、第九話でした。
さあ、ここから物語は加速していきます!次回もお楽しみに!
感想、アドバイスなどいただけたら幸いです。
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